JP6067826B2 - アクリル系粘着剤層およびアクリル系粘着テープ - Google Patents

アクリル系粘着剤層およびアクリル系粘着テープ Download PDF

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Description

本発明は、アクリル系粘着剤組成物および、当該組成物を有するアクリル系粘着剤層およびアクリル系粘着テープに関する。
従来、アクリル系粘着剤層を有するアクリル系粘着テープは、粘着力、耐反撥性、および保持特性(凝集力)等の接着性に優れ、また耐熱性、耐光性、耐候性、耐油性等の耐老化性に優れているため、広く用いられている。特に、このような特性を有するアクリル系粘着テープは、家電製品、建材、自動車内装・外装材などの各種産業分野における接合材料として幅広く使用されている。そのため、アクリル系粘着テープには、ステンレスやアルミ等の金属材料や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂等の各種プラスチック材料、あるいはガラス材料などの様々な被着体(接合対象物)に対して、高い信頼性をもって接着することが求められている。
アクリル系粘着テープの被着体に対する接着性を高める手法としては、アクリル系粘着剤層を構成するアクリル系粘着剤組成物に粘着付与樹脂(粘着付与剤)を添加する方法が知られている。特許文献1および2には、アクリル系ポリマーに粘着付与樹脂としてロジンや水添石油樹脂を添加したアクリル系粘着剤組成物が開示されている。
特開平6−207151号公報 特表平11−504054号公報
アクリル系粘着テープには、被着体への接着性の向上が常に求められており、特に、家電製品、建材、自動車内装・外装材などに多く用いられる、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂に代表される低極性被着体に対する接着性の向上が強く求められている。これに対し、ロジンなどの粘着付与樹脂を添加した上述のアクリル系粘着剤組成物では、アクリル系粘着テープの低極性被着体に対する接着性を向上させたいという要求に十分に応えられていない場合があった。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、アクリル系粘着テープの接着性を向上させることができる技術を提供することにある。
本発明のある態様は、アクリル系粘着剤組成物である。当該アクリル系粘着剤組成物は、アクリル系ポリマ−(A)100質量部と、重量平均分子量が1000以上30000未満の(メタ)アクリル系重合体(B)1〜70質量部と、水素添加型粘着付与樹脂(C)1〜50質量部と、を含むことを特徴とする。
この態様のアクリル系粘着剤組成物によれば、低極性被着体を含む被着体に対するアクリル系粘着テープの粘着力を向上させることができる。
上記態様のアクリル系粘着剤組成物において、(メタ)アクリル系重合体(B)のガラス転移温度が0℃以上300℃以下であってもよい。また、(メタ)アクリル系重合体(B)は、側鎖に脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーをモノマー単位として含んでもよい。この場合に、脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーの脂環式炭化水素基が橋かけ環構造を有してもよい。
また、水素添加型粘着付与樹脂(C)が、石油系樹脂、またはテルペン系樹脂であってもよい。また、水素添加型粘着付与樹脂(C)の軟化点が80〜200℃であってもよい。
また、アクリル系ポリマ−(A)は、モノマー単位として、下記一般式(1)で表されるN−ビニル環状アミド、カルボキシル基含有モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーを含有してもよい。
Figure 0006067826
一般式(1)式中、Rは、2価の有機基である。
本発明の他の態様は、アクリル系粘着剤層である。当該アクリル系粘着剤層は、上述したいずれかの態様のアクリル系粘着剤組成物からなる。この態様のアクリル系粘着剤層において、40〜90質量%の溶剤不溶成分を含んでもよい。
本発明のさらに他の態様は、アクリル系粘着テープである。当該アクリル系粘着テープは、上述したいずれかの態様のアクリル系粘着剤層を含む。
本発明によれば、アクリル系粘着テープの接着性を向上させることができる。
本実施形態に係るアクリル系粘着剤組成物は、粘着性組成物としてのアクリル系ポリマー(A)と、粘着付与樹脂としての、重量平均分子量が1000以上30000未満である(メタ)アクリル系重合体(B)(以下、適宜、(メタ)アクリル系重合体(B)と称する)および水素添加型粘着付与樹脂(C)とを含む。
実施形態に係るアクリル系粘着剤組成物中の各成分の含有量は以下の通りである。
アクリル系ポリマー(A):100質量部
(メタ)アクリル系重合体(B):1〜70質量部
水素添加型粘着付与樹脂(C):1〜50質量部
以下、アクリル系ポリマー(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)および水素添加型粘着付与樹脂(C)について詳述する。
[アクリル系ポリマー(A)]
アクリル系ポリマー(A)は、たとえば、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー単位として50質量%以上含有する。また、アクリル系ポリマー(A)は、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが単独で、または2種以上が組み合わされた構成とすることができる。アクリル系ポリマー(A)は、重合開始剤とともに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合(たとえば、溶液重合、エマルション重合、UV重合)させることにより得ることができる。
炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、アクリル系ポリマー(A)を調製するためのモノマー成分全量に対して50質量%以上99.9質量%以下、好ましくは60質量%以上98質量%以下、より好ましくは70質量%以上95質量%以下である。
炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C2−14アルキルエステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸C2−10アルキルエステル]等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルをいい、「(メタ)・・・」は全て同様の意味である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば、
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル
等が挙げられる。
なお、アクリル系ポリマー(A)は、凝集力、耐熱性、架橋性等の改質を目的として、必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な、他のモノマー成分(共重合性モノマー)を含んでいてもよい。したがって、アクリル系ポリマー(A)は、主成分としての(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共に、共重合性モノマーを含んでいてもよい。共重合性モノマーとしては、極性基を有するモノマーを好適に使用することができる。
共重合性モノマーの具体的な例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等の水酸基含有モノマー;
無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;
スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;
2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(n−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(t−ブチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン等の(N−置換)アミド系モノマー;
N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシヘキサメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;
N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;
N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルへキシルイタコンイミド、N−シクロへキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルモルホリン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、N−ビニル−3,5−モルホリンジオン、N−ビニルピラゾール、N−ビニルイソオキサゾール、N−ビニルチアゾール、N−ビニルイソチアゾール、N−ビニルピリダジン等の窒素含有複素環系モノマー;
N−ビニルカルボン酸アミド類;
N−ビニルカプロラクタム等のラクタム系モノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;
(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;
スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;
(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;
(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素原子含有(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;
イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
ビニルトルエン、スチレン等の芳香族ビニル化合物;
エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のオレフィンまたはジエン類;
ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類;
塩化ビニル;
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;
ビニルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有モノマー;
シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基含有モノマー;
2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有モノマー;
アクリロイルモルホリン;
等が挙げられる。なお、これらの共重合性モノマーは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
上述した窒素含有複素環系モノマーのうち、より好ましいモノマーをまとめると、下記一般式(1)で表されるN−ビニル環状アミドが挙げられる。
Figure 0006067826
一般式(1)式中、Rは、2価の有機基である。
アクリル系ポリマー(A)が、主成分としての(メタ)アルキル酸アルキルエステルと共に共重合性モノマーを含有する場合、カルボキシル基含有モノマーを好適に使用することができる。その中でも、アクリル酸を好適に使用することができる。共重合性モノマーの使用量としては、特に制限されないが、通常、前記アクリル系ポリマー(A)を調製するためのモノマー成分全量に対して、共重合性モノマーを0.1〜40質量%、好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1〜20質量%含有することができる。
共重合性モノマーを0.1質量%以上含有することで、アクリル系粘着剤組成物で形成された粘着剤層を有するアクリル系粘着テープまたはシートの凝集力の低下を防ぎ、高いせん断力を得ることができる。また、共重合性モノマーの含有量を40質量%以下とすることで、凝集力が高くなり過ぎるのを防ぎ、常温(25℃)でのタック感を向上させることができる。
また、アクリル系ポリマー(A)には、形成するアクリル系粘着剤組成物の凝集力を調整するために必要に応じて多官能性モノマーを含有してもよい。
多官能性モノマーとしては、たとえば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。多官能(メタ)アクリレートは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
多官能性モノマーの使用量としては、その分子量や官能基数等により異なるが、アクリル系ポリマー(A)を調製するためのモノマー成分全量に対して、0.01〜3.0質量%、好ましくは0.02〜2.0質量%であり、さらに好ましくは0.03〜1.0質量%となるように添加する。
多官能性モノマーの使用量が、アクリル系ポリマー(A)を調製するためのモノマー成分全量に対して3.0質量%を超えると、たとえば、アクリル系粘着剤組成物の凝集力が高くなりすぎ、接着力が低下したりする場合等がある。一方、0.01質量%未満であると、たとえば、アクリル系粘着剤組成物の凝集力が低下する場合等がある。
<重合開始剤>
アクリル系ポリマー(A)の調製に際して、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)等の重合開始剤を用いた熱や紫外線による硬化反応を利用して、アクリル系ポリマー(A)を容易に形成することができる。特に、重合時間を短くすることができる利点等から、光重合開始剤を好適に用いることができる。重合開始剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱重合開始剤としては、たとえば、アゾ系重合開始剤(たとえば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド等);過酸化物系重合開始剤(たとえば、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルマレエート、過酸化ラウロイル等);レドックス系重合開始剤等が挙げられる。
熱重合開始剤の使用量としては、特に制限されず、従来、熱重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。
光重合開始剤としては、特に制限されないが、たとえば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を用いることができる。
具体的には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン[商品名:イルガキュア651、BASF社製]、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、たとえば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[商品名:イルガキュア184、BASF社製]、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン[商品名:イルガキュア2959、BASF社製]、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン[商品名:ダロキュア1173、BASF社製]、メトキシアセトフェノン等が挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては、たとえば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等が挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、たとえば、2−ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、たとえば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等が挙げられる。
また、ベンゾイン系光重合開始剤には、たとえば、ベンゾイン等が含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、たとえば、ベンジル等が含まれる。ベンゾフェノン系光重合開始剤には、たとえば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が含まれる。ケタール系光重合開始剤には、たとえば、ベンジルジメチルケタール等が含まれる。チオキサントン系光重合開始剤には、たとえば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が含まれる。
アシルフォスフィン系光重合開始剤としては、たとえば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−t−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)オクチルホスフィンオキシド、ビス(2−メトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2−メトキシベンゾイル)(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエトキシベンゾイル)(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジブトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)(2,4−ジペントキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルエチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルエチルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルベンジルブチルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルベンジルオクチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジイソプロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2−メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−4−メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジエチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,3,5,6−テトラメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジ−n−ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)イソブチルホスフィンオキシド、2,6−ジメチトキシベンゾイル−2,4,6−トリメチルベンゾイル−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジブトキシフェニルホスフィンオキシド、1,10−ビス[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド]デカン、トリ(2−メチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、などが挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、たとえば、アクリル系ポリマー(A)を調製するモノマー成分100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜3質量部の範囲内の量で配合される。
ここで、光重合開始剤の使用量が0.01質量部より少ないと、重合反応が不十分になる場合がある。光重合開始剤の使用量が5質量部を超えると、光重合開始剤が紫外線を吸収することにより、紫外線が粘着剤層内部まで届かなくなる場合がある。この場合、重合率の低下を生じたり、生成するポリマーの分子量が小さくなってしまう。そして、これにより、形成される粘着剤層の凝集力が低くなり、粘着剤層をフィルムから剥離する際に、粘着剤層の一部がフィルムに残り、フィルムの再利用ができなくなる場合がある。なお、光重合性開始剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
凝集力を調整するには、上述の多官能性モノマー以外に架橋剤を用いることも可能である。架橋剤は、通常用いる架橋剤を使用することができ、たとえば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等を挙げることができる。特に、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤を好適に使用することができる。
具体的には、イソシアネート系架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、および、これらとトリメチロールプロパン等のポリオールとのアダクト体を挙げることができる。あるいは、1分子中に少なくとも1つ以上のイソシアネート基と、1つ以上の不飽和結合を有する化合物、具体的には、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートなどもイソシアネート系架橋剤として使用することができる。
エポキシ系架橋剤としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンおよび1,3−ビス(N,N’−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
本実施形態において、アクリル系ポリマー(A)は、前記モノマー成分と重合開始剤を配合した混合物に紫外線(UV)を照射させて、モノマー成分を一部重合させた部分重合物(アクリル系ポリマーシロップ)として調製することもできる。アクリル系ポリマーシロップに、後述する(メタ)アクリル系重合体(B)を配合してアクリル系粘着剤組成物を調製し、この粘着剤組成物を所定の被塗布体に塗布し、紫外線を照射させて重合を完結させることもできる。また、アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、たとえば、30000〜5000000である。
なお、アクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)は、0℃未満、好ましくは、−10℃未満であり、通常−80℃以上である。
[(メタ)アクリル系重合体(B)]
(メタ)アクリル系重合体(B)は、アクリル系ポリマー(A)よりも重量平均分子量が小さい重合体であり、粘着付与樹脂として機能し、かつUV重合の際に重合阻害を起こしにくいという利点を有する。(メタ)アクリル系重合体(B)は、たとえば、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー単位として含む。
このような(メタ)アクリル酸エステルの例としては、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルのような(メタ)アクリル酸の脂環族アルコールとのエステル;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル;
テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル;
等を挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、(メタ)アクリル系重合体(B)は、前記(メタ)アクリル酸エステル成分単位のほかに、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマー成分(共重合性モノマー)を共重合させて得ることも可能である。
(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとしては、
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;
(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩等の塩;
エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルモノマー;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステルのような多価(メタ)アクリル酸エステルモノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物;
2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;
(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;
アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニルモノマー;
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニルモノマー;
フッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステルのような含フッ素ビニルモノマー;
無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物系モノマー;
2−クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニルモノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンのようなアミド基含有ビニルモノマー;
N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシヘキサメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;
N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;
N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルへキシルイタコンイミド、N−シクロへキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;
N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルモルホリン、N−ビニルピラゾール、N−ビニルイソオキサゾール、N−ビニルチアゾール、N−ビニルイソチアゾール、N−ビニルピリダジン等の窒素含有複素環系モノマー;
N−ビニルカルボン酸アミド類;
N−ビニルカプロラクタム等のラクタム系モノマー;
(メタ)アクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;
(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;
シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基含有モノマー;
2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有モノマー;
ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2−メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素含有ビニルモノマー;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等の水酸基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素原子含有(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;
イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;
エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のオレフィンまたはジエン類;
ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類;
塩化ビニル;
その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。これらのモノマーは、単独であるいは組み合わせて前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができる。
本実施形態のアクリル系粘着剤組成物において、(メタ)アクリル系重合体(B)としては、たとえば、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とイソブチルメタクリレート(IBMA)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とアクリロイルモルホリン(ACMO)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とジエチルアクリルアミド(DEAA)の共重合体、1−アダマンチルアクリレート(ADA)とメチルメタクリレート(MMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルメタクリレート(IBXMA)、イソボルニルアクリレート(IBXA)、ジシクロペンタニルアクリレート(DCPA)、1−アダマンチルメタクリレート(ADMA)、1−アダマンチルアクリレート(ADA)の各単独重合体等を挙げることができる。
また、(メタ)アクリル系重合体(B)としては、t−ブチル(メタ)アクリレートのようなアルキル基が分岐構造を持った(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートや(メタ)アクリル酸イソボルニルのような(メタ)アクリル酸の脂環式アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸フェニルや(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステルなどの環状構造を持った(メタ)アクリレートに代表される、比較的嵩高い構造を有するアクリル系モノマーをモノマー単位として含んでいることが好ましい。このような嵩高い構造を(メタ)アクリル系重合体(B)に持たせることで、アクリル系粘着剤組成物(アクリル系粘着テープ)の接着性をさらに向上させることができる。特に嵩高さという点で環状構造をもったものは効果が高く、環を複数含有したものはさらに効果が高い。また、(メタ)アクリル系重合体(B)の合成の際や粘着剤組成物作製の際にUV重合を採用する場合には、重合阻害を起こしにくいという点で、飽和結合を有したものが好ましく、アルキル基が分岐構造を持った(メタ)アクリレート、あるいは脂環式アルコールとのエステルを、(メタ)アクリル系重合体(B)を構成するモノマーとして好適に用いることができる。
さらに、(メタ)アクリル系重合体(B)は、たとえば、三環以上の脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーをモノマー単位として含んでいてもよい。三環以上の脂環式構造のようなより嵩高い構造を(メタ)アクリル系重合体(B)に持たせることで、アクリル系粘着剤組成物(アクリル系粘着テープ)の接着性をより向上させることができる。特に、ポリプロピレンなどの低極性被着体に対する粘着力をより顕著に向上させることができる。(メタ)アクリル系重合体(B)は、この三環以上の脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーの単独重合体であってもよく、あるいは三環以上の脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーと前記(メタ)アクリル酸エステルモノマー、または共重合性モノマーとの共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル系モノマーは、たとえば、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルである。
CH=C(R)COOR (2)
[式(2)中、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、三環以上の脂環式構造を有する脂環式炭化水素基である]
脂環式炭化水素基は、橋かけ環構造等の立体構造を有することが好ましい。このように、橋かけ環構造を有する三環以上の脂環式構造を(メタ)アクリル系重合体(B)に持たせることで、アクリル系粘着剤組成物(アクリル系粘着テープ)の接着性をより向上させることができる。特に、ポリエチレンやポリプロピレンなどの低極性被着体に対する粘着力をより顕著に向上させることができる。橋かけ環構造を有する脂環式炭化水素基としては、たとえば、下記式(3a)で表されるジシクロペンタニル基、下記式(3b)で表されるジシクロペンテニル基、下記式(3c)で表されるアダマンチル基、下記式(3d)で表されるトリシクロペンタニル基、下記式(3e)で表されるトリシクロペンテニル基等を挙げることができる。なお、(メタ)アクリル系重合体(B)の合成の際や粘着剤組成物作製の際にUV重合を採用する場合には、重合阻害を起こしにくいという点で、橋かけ環構造を有する三環以上の脂環式構造を持った(メタ)アクリル系モノマーの中でも特に、下記式(3a)で表されるジシクロペンタニル基や、下記式(3c)で表されるアダマンチル基、下記式(3d)で表されるトリシクロペンタニル基等の飽和構造を有した(メタ)アクリル系モノマーを(メタ)アクリル系重合体(B)を構成するモノマーとして好適に用いることができる。
Figure 0006067826
また、このような橋かけ環構造を有する三環以上の脂環式構造を持つ(メタ)アクリル系モノマーの例としては、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、トリシクロペンタニルメタクリレート、トリシクロペンタニルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、1−アダマンチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。この(メタ)アクリル系モノマーは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに(メタ)アクリル系重合体(B)は、エポキシ基またはイソシアネート基と反応性を有する官能基が導入されていてもよい。このような官能基の例としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、メルカプト基を挙げることができ、(メタ)アクリル系重合体(B)を製造する際にこうした官能基を有するモノマーを使用(共重合)することが好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(B)の重量平均分子量は、1000以上30000未満、好ましくは1500以上20000未満、さらに好ましくは2000以上10000未満である。分子量が30000以上であると、粘着テープにおける粘着力の向上効果が充分には得られない場合がある。また、1000未満であると、低分子量となるため粘着テープの粘着力や保持特性の低下を引き起こす場合がある。
アクリル系ポリマー(A)や(メタ)アクリル系重合体(B)の重量平均分子量の測定は、GPC法によりポリスチレン換算して求めることができる。具体的には東ソー株式会社製のHPLC8020に、カラムとしてTSKgelGMH−H(20)×2本を用いて、テトラヒドロフラン溶媒で流速約0.5ml/分の条件にて測定される。
上述したように、(メタ)アクリル系重合体(B)の含有量は、アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して1〜70質量部であるが、好ましくは2〜50質量部であり、さらに好ましくは3〜40質量部である。(メタ)アクリル系重合体(B)を70質量部を超えて添加すると、本実施形態に係るアクリル系粘着剤組成物で形成した粘着剤層の弾性率が高くなり低温での接着性が悪くなったり、室温においても粘着力を発現しなくなる場合がある。また、(メタ)アクリル系重合体(B)の添加量が1部より少ない場合はその効果が得られない場合がある。
(メタ)アクリル系重合体(B)は、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上300℃以下、好ましくは20℃以上300℃以下、さらに好ましくは40℃以上300℃以下であることが望ましい。ガラス転移温度(Tg)が20℃未満であると粘着剤層の室温以上での凝集力が低下し、保持特性や高温での接着性が低下する場合がある。本実施形態において、(メタ)アクリル系重合体(B)として使用可能な代表的な材料のガラス転移温度を表1に示す。表1に示すガラス転移温度は、文献、カタログ等に記載された公称値であるか、あるいは、下記式(4)(Fox式)に基づいて計算された値である。
1/Tg=W/Tg+W/Tg+・・・+Wn/Tg (4)
[式(4)中、Tgは(メタ)アクリル系重合体(B)のガラス転移温度(単位:K)、Tg(i=1、2、・・・n)はモノマーiがホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(単位:K)、W(i=1、2、・・・n)はモノマーiの全モノマー成分中の質量分率を表す。]
上記式(4)は、(メタ)アクリル系重合体(B)が、モノマー1、モノマー2、・・・、モノマーnのn種類のモノマー成分から構成される場合の計算式である。
Figure 0006067826
表1中の略語は以下の化合物を示す。
DCPMA:ジシクロペンタニルメタクリレート
DCPA:ジシクロペンタニルアクリレート
IBXMA:イソボルニルメタクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
CHA:シクロヘキシルアクリレート
IBMA:イソブチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
ADMA:1―アダマンチルメタクリレート
ADA:1―アダマンチルアクリレート
以上説明した(メタ)アクリル系重合体(B)の好ましい態様について総括すると、以下の通りである。
[1](メタ)アクリル系重合体(B)のガラス転移温度が0℃以上300℃以下であること
[2](メタ)アクリル系重合体(B)は、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルなどの側鎖に脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーをモノマー単位として含むこと。
[3]脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーの脂環式炭化水素基が橋かけ環構造を有すること。
<(メタ)アクリル系重合体(B)の作製方法>
(メタ)アクリル系重合体(B)は、たとえば、上述した構造を有する(メタ)アクリル系モノマーを、溶液重合法やバルク重合法、乳化重合法、懸濁重合、塊状重合等により重合することで作製することができる。
<(メタ)アクリル系重合体(B)の分子量の調整方法>
(メタ)アクリル系重合体(B)の分子量を調整するためにその重合中に連鎖移動剤を用いることができる。使用する連鎖移動剤の例としては、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール等のメルカプト基を有する化合物;チオグリコール酸、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのチオグリコール酸エステル、ネオペンチルグリコールのチオグリコール酸エステル、ペンタエリスリトールのチオグリコール酸エステルが挙げられる。
連鎖移動剤の使用量としては、特に制限されないが、通常、(メタ)アクリル系モノマー100質量部に対して、連鎖移動剤を0.1〜20質量部、好ましくは、0.2〜15質量部、さらに好ましくは0.3〜10質量部含有する。このように連鎖移動剤の添加量を調整することで、好適な分子量の(メタ)アクリル系重合体(B)を得ることができる。なお、連鎖移動剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
[水素添加型粘着付与樹脂(C)]
水素添加型粘着付与樹脂(C)は、具体的には、石油系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、スチレン系樹脂、ロジン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂などの粘着付与樹脂に水素添加した誘導体から選ぶことができる。たとえば、水素添加型石油系樹脂は、芳香族系、ジシクロペンタジエン系、脂肪族系、芳香族−ジシクロペンタジエン共重合系などから選ぶことができる。また、水素添加型テルペン系樹脂は、テルペンフェノール樹脂、芳香族テルペン樹脂などから選ぶことができる。これらの中でも、特に、石油系樹脂またはテルペン系樹脂を用いることが好ましい。
水素添加型粘着付与樹脂(C)の軟化点は80〜200℃が好ましく、100〜200℃がより好ましい。水素添加型粘着付与樹脂(C)の軟化点が当該範囲であることにより、高い凝集力が得られる。
上述したように、水素添加型粘着付与樹脂(C)の含有量は、アクリル系ポリマー(A)100質量部に対して1〜50質量部であるが、好ましくは2〜40質量部であり、さらに好ましくは3〜30質量部である。水素添加型粘着付与樹脂(C)の添加量が50質量部より多い場合には、凝集力が低下する場合がある。また、水素添加型粘着付与樹脂(C)の添加量が1部より少ない場合は接着力の向上効果が得られない場合がある。
(メタ)アクリル系重合体(B)(オリゴマー)と水素添加型粘着付与樹脂(C)の配合量は、(メタ)アクリル系重合体(B)/水素添加型粘着付与樹脂(C)=1/0.12〜1/1.7、好ましくは1/0.15〜1/1.6、さらに好ましくは1/0.2〜1/1.55(いずれも質量比)である。両者の配合量が当該範囲内であると、接着信頼性が向上するため好ましい。これは、(メタ)アクリル系重合体(B)が水添粘着付与樹脂の相溶化剤として働き、両者が均一に分散することで接着信頼性が向上するためと推測される。
本実施形態に係るアクリル系粘着剤組成物は、上述したアクリル系ポリマー(A)、(メタ)アクリル系重合体(B)、および水素添加型粘着付与樹脂(C)を必須成分として含有し、粘着剤組成物の分野において一般的な各種の添加剤を任意成分として含有し得る。かかる任意成分としては、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料等)、酸化防止剤、レベリング剤、安定剤、防腐剤等が例示される。このような添加剤は、従来公知のものを常法により使用することができる。
粘着性組成物としてのアクリル系ポリマー(A)と、粘着付与樹脂としての、重量平均分子量が1000以上30000未満である(メタ)アクリル系重合体(B)および水素添加型粘着付与樹脂(C)とを含むアクリル系粘着剤層は、その溶剤不溶成分率が40〜90質量%、好ましくは45〜85質量%であることが望ましい。溶剤不溶成分率が40質量%未満であると凝集力が不十分となり、保持特性を満足できない場合があり、また溶剤不溶成分率が90質量%を超えると凝集力が高くなりすぎ、粘着力や耐反撥性試験に劣る場合がある。なお溶剤不溶成分率の評価方法は、後述する。
続いて、上述の組成を有するアクリル系粘着剤組成物を含む粘着剤層を有するアクリル系粘着テープ(あるいはアクリル系粘着シート)の構造について説明する。
本実施形態に係るアクリル系粘着テープは、アクリル系粘着剤組成物を含む粘着剤層を備える。アクリル系粘着テープは、かかる粘着剤層をシート状基材(支持体)の片面または両面に固定的に、すなわち当該基材から粘着剤層を分離する意図なく、設けた、いわゆる基材付き粘着テープであってもよく、あるいは該粘着剤層を、剥離ライナー(剥離紙、表面に剥離処理を施した樹脂シート等)のような剥離性を有する基材上に設けた、貼付時に粘着剤層を支持する基材が除去される形態である、いわゆる基材レス粘着テープであってもよい。ここでいう粘着テープの概念には、粘着シート、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。なお、粘着剤層は連続的に形成されたものに限定されず、たとえば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された粘着剤層であってもよい。
上記基材としては、たとえば、
ポリプロピレンフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等のプラスチックフィルム;
ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム等のフォーム基材;
クラフト紙、クレープ紙、和紙等の紙;
綿布、スフ布等の布;
ポリエステル不織布、ビニロン不織布等の不織布;
アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;
等を、粘着テープの用途に応じて適宜選択して用いることができる。上記プラスチックフィルムとしては、無延伸フィルムおよび延伸(一軸延伸または二軸延伸)フィルムのいずれも使用可能である。また、基材のうち粘着剤層が設けられる面には、下塗剤の塗付、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。基材の厚みは目的に応じて適宜選択できるが、一般的には概ね10μm〜500μm(典型的には10μm〜200μm)程度である。
粘着剤層は、アクリル系粘着剤組成物の硬化層であり得る。すなわち、該粘着剤層は、アクリル系粘着剤組成物を適当な基材に付与(たとえば、塗布)した後、硬化処理を適宜施すことにより形成され得る。二種以上の硬化処理(乾燥、架橋、重合等)を行う場合、これらは、同時に、または多段階に行うことができる。部分重合物(アクリル系ポリマーシロップ)を用いた粘着剤組成物では、典型的には、上記硬化処理として、最終的な共重合反応が行われる(部分重合物を更なる共重合反応に供して完全重合物を形成する)。たとえば、光硬化性の粘着剤組成物であれば、光照射が実施される。必要に応じて、架橋、乾燥等の硬化処理が実施されてもよい。たとえば、光硬化性粘着剤組成物で乾燥させる必要がある場合は、乾燥後に光硬化を行うとよい。完全重合物を用いた粘着剤組成物では、典型的には、上記硬化処理として、必要に応じて乾燥(加熱乾燥)、架橋等の処理が実施される。
アクリル系粘着剤組成物の塗付は、たとえば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の慣用のコーターを用いて実施することができる。なお、基材付き粘着テープの場合、基材に粘着剤組成物を直接付与して粘着剤層を形成してもよく、剥離ライナー上に形成した粘着剤層を基材に転写してもよい。
粘着剤層の厚さは特に限定されないが、通常は、たとえば10μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上とすることにより、良好な接着性が実現され得る。たとえば、粘着剤層の厚さを10〜250μm程度とすることが適当である。
本実施形態に係るアクリル系粘着テープは、たとえば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、SBS(スチレン―ブタジエン―スチレンブロック共重合体)、PC(ポリカーボネート)、PVC(塩化ビニル)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)のようなアクリル系樹脂を含む各種の樹脂や、SUS、アルミ等の金属からなる部材を、自動車(そのボディ塗膜)、住建材、家電製品等の表面に接合(固定)する用途に好適に用いることができる。
また、本実施形態に係るアクリル系粘着テープは、各種光学部材を、たとえば液晶セルや光学用ポリエステルフィルム、タッチパネル部材などに貼り合せる用途に好適に用いられる。したがって、ここに示される技術には、アクリル系粘着剤組成物を含む粘着剤層が光学部材に設けられた積層体が含まれる。この積層体は、典型的には、光学部材上の粘着剤層が剥離ライナーによって保護された態様をなす。このような粘着剤層が設けられた光学部材は、たとえば、プラスチック製のカバーレンズパネル、ガラス、液晶セルの表面等に容易に貼り付けることができる。光学部材は特に制限されず、偏光フィルム、位相差フィルム、透明導電性フィルム(ITOフィルム)等であり得る。このような光学部材は、同一材料からなる単層構造であってもよく、複数の材料からなる多層構造であってもよい。光学部材上に粘着剤層を形成する方法は、基材上に粘着剤層を形成する場合と同様に、直接付与する方法や転写する方法を適宜採用することができる。典型的には、光学部材のベース面に、剥離ライナー上に形成した粘着剤層を転写する。
以上説明したように、本実施形態に係るアクリル系粘着剤組成物は、粘着性組成物としてアクリル系ポリマー(A)を含み、かつ、粘着付与樹脂として、水素添加型粘着付与樹脂(C)のみならず、(メタ)アクリル系重合体(B)を含むことにより、当該アクリル系粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成した場合に、アクリル系粘着テープの低極性被着体に対する接着性を向上させることができる。ひいては、低極性被着体を含む、表面極性の異なる各種被着体へのアクリル系粘着テープの接着信頼性の向上を図ることができ、アクリル系粘着テープを自動車、家庭用電化製品の分野等の多様な接合用途に利用可能とすることができる。
アクリル系粘着テープの低極性被着体に対する接着性が向上する理由としては、(メタ)アクリル系重合体(B)が水素添加型粘着付与樹脂(C)と相溶するとともに、アクリル系ポリマー(A)とも相溶するためと推測される。つまり、(メタ)アクリル系重合体(B)が水素添加型粘着付与樹脂(C)の相溶化剤として働くことで両者が均一に分散した結果、接着信頼性が向上したと推測される。
特に、(メタ)アクリル系重合体(B)が脂環式構造を有する場合には、脂環式構造により水素添加型粘着付与樹脂(C)との相溶性が高まり、一方で(メタ)アクリル系重合体(B)の主鎖がアクリル系ポリマーに相溶化すると推測される。
また、本実施形態に係るアクリル系粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマーに酸性基を含まないように設計することが可能である。この場合には、酸性基に起因して生じる、金属腐食などの影響が低減されたアクリル系粘着テープを得ることができる。なお、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマーが酸性基を含む場合であっても、アクリル系粘着テープの接着特性の向上を図ることができることに変わりはない。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1〜11、比較例1〜8に係るアクリル系粘着剤組成物の成分を表2に示す。
Figure 0006067826
表2中の略語は以下の化合物を示す。
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
NVP:N−ビニル−2−ピロリドン
HEAA:N−ヒドロキシエチルアクリルアミド
AA:アクリル酸
DCPMA:ジシクロペンタニルメタクリレート
DCPMA(低):DCPMA(実施例8)よりも低重合度のジシクロペンタニルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
IBMA:イソブチルメタクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
HDDA:1,6−ヘキサンジオール・ジアクリレート
(溶剤不溶成分率の測定)
溶剤不溶成分率は、粘着剤組成物を、0.1gサンプリングして精秤(浸漬前の質量)し、これを50mlの酢酸エチル中に室温(20〜25℃)で1週間浸漬したのち、溶剤(酢酸エチル)不溶分を取り出し、該溶剤不溶分を130℃で2時間乾燥した後、秤量(浸漬・乾燥後の質量)して、溶剤不溶成分率算出式「溶剤不溶成分率(質量%)=[(浸漬・乾燥後の質量)/(浸漬前の質量)]×100」を用いて、算出した。
((A)成分としてのアクリル系ポリマーシロップ1(2EHA/NVP=86/14)の調製)
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)86質量部、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)14質量部、光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、BASF社製)0.05質量部、および光重合開始剤(商品名:イルガキュア651、BASF社製)0.05質量部を4つ口フラスコに投入した。そして、混合物を窒素雰囲気下で紫外線に曝露して部分的に光重合させることによって、重合率約11質量%の部分重合物(アクリル系ポリマーシロップ1)を得た。
((A)成分としてのアクリル系ポリマーシロップ2(2EHA/AA=94/6)の調製)
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)94質量部、アクリル酸(AA)6質量部、光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、BASF社製)0.05質量部、および光重合開始剤(商品名:イルガキュア651、BASF社製)0.05質量部を4つ口フラスコに投入した。そして、混合物を窒素雰囲気下で紫外線に曝露して部分的に光重合させることによって、重合率約8質量%の部分重合物(アクリル系ポリマーシロップ2)を得た。
((A)成分としてのアクリル系ポリマーシロップ3(2EHA/NVP/HEAA=86/13/1)の調製)
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)86質量部、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)13質量部、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)1質量部、光重合開始剤(商品名:イルガキュア184、BASF社製)0.05質量部、および光重合開始剤(商品名:イルガキュア651、BASF社製)0.05質量部を4つ口フラスコに投入した。そして、混合物を窒素雰囲気下で紫外線に曝露して部分的に光重合させることによって、重合率約10質量%の部分重合物(アクリル系ポリマーシロップ3)を得た。
((B)成分としての(メタ)アクリル系重合体1(CHMA/IBMA=60/40)の調製)
シクロヘキシルメタクリレート(CHMA、60質量部)、イソブチルメタクリレート(IBMA、40質量部)、チオグリコール酸(4.0質量部)を配合した後、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を除去した。ついで90℃まで昇温したところで、パーヘキシルO(日油株式会社製、0.005質量部)、パーヘキシルD(日油株式会社製、0.01質量部)を混合した。さらに、90℃で1時間攪拌後、1時間かけて150℃まで昇温し、150℃で1時間攪拌した。次いで、1時間かけて170℃まで昇温し、170℃で60分間攪拌した。
次に、170℃の状態で減圧し、1時間攪拌して残留モノマーを除去し、(メタ)アクリル系重合体1を得た。得られた(メタ)アクリル系重合体1のガラス転移温度(Fox式より算出)は59℃、重量平均分子量は4000であった。
((B)成分としての(メタ)アクリル系重合体2(DCPMA)の調製)
トルエン100質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)(商品名:FA−513M、日立化成工業株式会社製)100質量部、および連鎖移動剤としてチオグリコール酸(GSH酸)3質量部を4つ口フラスコに投入した。そして、70℃にて窒素雰囲気下で1時間攪拌した後、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を投入し、70℃で2時間反応させ、続いて80℃で2時間反応させた。その後、反応液を130℃の温度雰囲気下に投入し、トルエン、連鎖移動剤、および未反応モノマーを乾燥除去させ、固形状の(メタ)アクリル系重合体2を得た。得られた(メタ)アクリル系重合体2のガラス転移温度は175℃、重量平均分子量は4600であった。
((B)成分としての(メタ)アクリル系重合体3(DCPMA(低))の調製)
トルエン100質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)(商品名:FA−513M、日立化成工業株式会社製)100質量部、および連鎖移動剤としてチオグリコール酸(GSH酸)5質量部を4つ口フラスコに投入した。そして、75℃にて窒素雰囲気下で1時間攪拌した後、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を投入し、75℃で2時間反応させ、続いて80℃で2時間反応させた。その後、反応液を130℃の温度雰囲気下に投入し、トルエン、連鎖移動剤、および未反応モノマーを乾燥除去させ、固形状の(メタ)アクリル系重合体3を得た。得られた(メタ)アクリル系重合体3のガラス転移温度は175℃、重量平均分子量は3000であった。
(実施例1)
(アクリル系粘着剤組成物の調製)
上述したアクリル系ポリマーシロップ1の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体1を8質量部、アルコンP125(水素添加型石油系樹脂、軟化点125℃、荒川化学工業株式会社製)12質量部およびトリメチロールプロパントリアクリレート0.12質量部を添加した後、これらを均一に混合してアクリル系粘着剤組成物を調製した。
(粘着剤層シートの作製)
片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:MRF、三菱樹脂株式会社製)の剥離処理面に、上述したアクリル系粘着剤組成物を最終的な厚みが50μmになるように塗布して塗布層を形成した。次いで、塗布されたアクリル系粘着剤組成物の表面に、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:MRN、三菱樹脂株式会社製)を、当該フィルムの剥離処理面が塗布層側になるようにして被覆した。これにより、アクリル系粘着剤組成物の塗布層(粘着剤層)を酸素から遮断した。このようにして得られた粘着剤層シートに、ブラックライトランプ(株式会社東芝製)を用いて照度5mW/cm(約350nmに最大感度をもつトプコンUVR−T1で測定)の紫外線を360秒間照射した。このようにして得られたアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層の溶剤不溶成分率は、69.8質量%であった。粘着剤層の両面に被覆されたポリエステルフィルムは、剥離ライナーとして機能する。
(実施例2)
上述したアクリル系ポリマーシロップ1の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体1を15質量部、アルコンP125(水素添加型石油系樹脂、軟化点125℃、荒川化学工業株式会社製)15質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.18質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、67.7質量%であった。
(実施例3)
上述したアクリル系ポリマーシロップ1の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体1を20質量部、アルコンP125(水素添加型石油系樹脂、軟化点125℃、荒川化学工業株式会社製)5質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.2質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、71.3質量%であった。
(実施例4)
上述したアクリル系ポリマーシロップ1の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体1を12質量部、アルコンP125(水素添加型石油系樹脂、軟化点125℃、荒川化学工業株式会社製)8質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.15質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、71.9質量%であった。
(実施例5)
上述したアクリル系ポリマーシロップ1の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体1を12質量部、アルコンP100(水素添加型石油系樹脂、軟化点100℃、荒川化学工業株式会社製)8質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.15質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、71.1質量%であった。
(実施例6)
上述したアクリル系ポリマーシロップ3の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体1を12質量部、クリアロンP135(水素添加型テルペン系樹脂、軟化点135℃、ヤスハラケミカル株式会社製)8質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.15質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、61.1質量%であった。
(実施例7)
上述したアクリル系ポリマーシロップ3の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体1を12質量部、アイマーブP125(水素添加型石油系樹脂(ジシクロペンタジエン・芳香族共重合系)、軟化点125℃、出光興産株式会社製)8質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.12質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、75.0質量%であった。
(実施例8)
上述したアクリル系ポリマーシロップ1の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体2を12質量部、アルコンP125(水素添加型石油系樹脂、軟化点125℃、荒川化学工業株式会社製)8質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.1質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、63.4質量%であった。
(実施例9)
上述したアクリル系ポリマーシロップ2の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体1を12質量部、アイマーブP125(水素添加型石油系樹脂(ジシクロペンタジエン・芳香族共重合系)、軟化点125℃、出光興産株式会社製)8質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.11質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、62.5質量%であった。
(実施例10)
上述したアクリル系ポリマーシロップ2の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体3を12質量部、アルコンP125(水素添加型石油系樹脂、軟化点125℃、荒川化学工業株式会社製)8質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.14質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、65.7質量%であった。
(実施例11)
上述したアクリル系ポリマーシロップ2の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体1を12質量部、アルコンP125(水素添加型石油系樹脂、軟化点125℃、荒川化学工業株式会社製)8質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.12質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、61.3質量%であった。
(比較例1)
上述したアクリル系ポリマーシロップ1の100質量部に、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.045質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、77.4質量%であった。
(比較例2)
上述したアクリル系ポリマーシロップ2の100質量部に、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.07質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、75.2質量%であった。
(比較例3)
上述したアクリル系ポリマーシロップ1の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体1を20質量部、およびトリメチロールプロパントリアクリレート0.12質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、73.4質量%であった。
(比較例4)
上述したアクリル系ポリマーシロップ2の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体1を20質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.14質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、67.3質量%であった。
(比較例5)
上述したアクリル系ポリマーシロップ1の100質量部に、アルコンP125(水素添加型石油系樹脂、軟化点125℃、荒川化学工業株式会社製)8質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.08質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、75.0質量%であった。
(比較例6)
上述したアクリル系ポリマーシロップ1の100質量部に、アルコンP125(水素添加型石油系樹脂、軟化点125℃、荒川化学工業株式会社製)20質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.12質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、71.7質量%であった。
(比較例7)
上述したアクリル系ポリマーシロップ2の100質量部に、アルコンP125(水素添加型石油系樹脂、軟化点125℃、荒川化学工業株式会社製)20質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート0.15質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、67.3質量%であった。
(比較例8)
上述したアクリル系ポリマーシロップ1の100質量部に、上述した(メタ)アクリル系重合体1を12質量部、マイティエースK−125(テルペンフェノール系樹脂、軟化点125℃、ヤスハラケミカル株式会社製)8質量部およびトリメチロールプロパントリアクリレート0.25質量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤組成物および粘着剤層シートを得た。得られた粘着剤層の溶剤不溶成分率は、74.7質量%であった。
(試験方法)
[180°引き剥がし粘着力試験]
各実施例、および各比較例に係る粘着剤層シートの一方の剥離ライナー(ポリエステルフィルム)を剥がし、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合せ、それを25mm幅に切断したものを試験片とした。また、イソプロピルアルコールにて清浄化した厚さ2mmのポリプロピレン板(品番1600、タキロン株式会社製)およびアクリル板(アクリライト、三菱レイヨン株式会社製)を用意した。そして、粘着剤層シートの他方の剥離ライナー(ポリエステルフィルム)を剥がし、2kgローラーを往復させてポリプロピレン板およびアクリル板に粘着剤層シートの粘着面を貼り付けた。
ポリプロピレン板およびアクリル板に粘着剤層シートを貼り付けた後、23℃の環境下で30分間放置した(初期)。また、ポリプロピレン板およびアクリル板に粘着剤層シートを貼り付けた後、40℃の環境下で48時間経過させた後に、23℃の環境下で30分間放置した(常態)。そして、初期条件および常態条件のそれぞれの粘着剤層シートについて、粘着剤層シートの他端を300mm/分の速度で180度の剥離方向へ剥離し、その時の被着体に対する粘着力(抵抗力)(単位:N/25mm)を測定した。ポリプロピレン板およびアクリル板のそれぞれにおいて、初期条件および常態条件ともに、粘着力が16N/25mm以上である場合を良好(○)とし、16N/25mm未満である場合を不良(×)とした。測定結果を表3に示す。
[耐反撥性試験]
各実施例、および各比較例に係る粘着剤層シートを幅10mm、長さ90mmに切断したものを、厚さ0.5mm、幅10mm、長さ90mmの清浄なアルミ板に貼り合せ、これを試験片とした。次いで、試験片のアルミ板側を円柱に沿わせることで、曲率がR50mmとなるように試験片を湾曲させた。そして、粘着剤層シートの他方の剥離ライナー(ポリエステルフィルム)を剥がして上述のポリプロピレン板およびアクリル板にラミネートした。ポリプロピレン板およびアクリル板に試験片をラミネートした状態で、常温(25℃)で1時間経過させた後に、粘着剤層シートが浮いた距離、すなわちポリプロピレン板およびアクリル板の表面から粘着剤層までの距離(両端の高さの平均)(単位:mm)を測定した。浮いた距離が10mm以下である場合を良好(○)とし、浮いた距離が10mmを超えた場合を不良(×)とした。測定結果を表3に示す。なお、表3に示す数値は、任意の複数点についての平均値である。
[保持特性試験]
各実施例、および各比較例に係る粘着剤層シートの一方の剥離ライナー(ポリエステルフィルム)を剥がし、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合せ、それを10mm幅に切断したものを試験片とした。トルエンにて清浄化したベークライト板に、幅10mm、長さ20mmの面積で試験片の粘着面を貼り合せ、60℃の環境下で30分間放置した。その後、500gの荷重がせん断方向にかかるよう試験片の一端におもりを吊るし、おもりを宙吊り状態として60℃の環境下で1時間放置して、保持特性を評価した。試験片が落下しなかった場合を良好(○)とし、落下した場合を不良(×)とした。測定結果を表3に示す。
Figure 0006067826
表3に示すように、比較例1〜4、7は、ポリプロピレン板に対する粘着力が初期条件および常態条件のどちらの場合も不良であった。また、比較例5、6、8のポリプロピレン板に対する粘着力は、常態条件では良好であったが、初期条件では不良であった。さらに、比較例1、7は、アクリル板に対する粘着力が初期条件および常態条件のどちらの場合も不良であった。また、比較例6、8のアクリル板に対する粘着力は、常態条件では良好であったが、初期条件では不良であった。これに対し、実施例1〜11は、ポリプロピレン板およびアクリル板の両方において、初期条件および常態条件のどちらの場合も粘着力が良好であった。すなわち、いずれの実施例も比較例1〜8に比べて低極性被着体に対する接着性が向上したことが確認された。
また、比較例6は、ポリプロピレン板およびアクリル板の両方において耐反撥性が不良であった。また、比較例1、2、5、7は、ポリプロピレン板における耐反撥性が不良であった。これに対して、いずれの実施例もポリプロピレン板およびアクリル板の両方において耐反撥性が良好であった。
また、全ての実施例および比較例において、良好な保持特性(凝集力)が見られた。したがって、実施例1〜11は、優れた粘着力と、優れた耐反撥性と、優れた保持特性とを兼ね備えていることが確認された。
以上の結果をまとめると、粘着性組成物としてのアクリル系ポリマー(A)に添加される粘着付与樹脂として、(メタ)アクリル系重合体(B)と水素添加型粘着付与樹脂(C)の両方を含むことにより、低極性被着体を含む被着体に対する粘着力、耐反撥性および保持特性をいずれも良好にすることができるという従来にない効果を得ることができることが確認された。

Claims (7)

  1. クリル系粘着剤組成物からなり、溶剤不溶成分率が40〜90質量%であるアクリル系粘着剤層であって、
    前記アクリル系粘着剤組成物は、
    ガラス転移温度が0℃未満であるアクリル系ポリマ−(A)100質量部と、
    ガラス転移温度が40℃以上300℃以下であり、重量平均分子量が1000以上30000未満であり、(メタ)アクリル酸の脂環式アルコールとのエステルをモノマー単位として含む(メタ)アクリル系重合体(B)1〜70質量部と、
    水素添加型粘着付与樹脂(C)1〜50質量部と、
    を含み、
    (メタ)アクリル系重合体(B)と水素添加型粘着付与樹脂(C)との配合量は、(メタ)アクリル系重合体(B)/水素添加型粘着付与樹脂(C)=1/0.12〜1/1.7であることを特徴とするアクリル系粘着剤層。
  2. 前記脂環式アルコールが有する脂環式炭化水素基が橋かけ環構造を有する請求項1に記載のアクリル系粘着剤
  3. 水素添加型粘着付与樹脂(C)が、石油系樹脂、またはテルペン系樹脂である請求項1または2に記載のアクリル系粘着剤
  4. 水素添加型粘着付与樹脂(C)の軟化点が80〜200℃である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤
  5. 前記アクリル系ポリマ−(A)は、モノマー単位として、下記一般式(1)で表されるN−ビニル環状アミド、カルボキシル基含有モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーを含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤
    Figure 0006067826
    一般式(1)式中、Rは、2価の有機基である。
  6. 前記(メタ)アクリル系重合体(B)のガラス転移温度が59℃以上300℃以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤層。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアクリル系粘着剤層を含むアクリル系粘着テープ。
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