以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の粘着剤組成物は、光学部材用であって、
モノマー単位として、炭素数5以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50重量%以上および不飽和カルボン酸を0.05〜2重量%含有する、重量平均分子量50万以上の(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対し、
モノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを70重量%以上および不飽和カルボン酸を1〜7重量%含有し、かつ、カルボン酸当量が前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)のカルボン酸当量より大きい、重量平均分子量2,000〜50,000の(メタ)アクリル系ポリマー(B)0.01〜2重量部、
有機過酸化物0.02〜2重量部、ならびに、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と相溶性を有し、かつ数平均分子量が300〜7,000である水素化粘着付与樹脂および/またはビニル系ポリマー1〜40重量部含有してなることを特徴とする。
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、一般式CH2=C(R1)COOR2(ただし、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数5以上のアルキル基である)で表される(メタ)アクリル系モノマーを主成分とするものである。かかる(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いることにより、偏光板等の光学部材の寸法変化に起因する応力に対する緩和性にも優れ、残存応力に起因する液晶セルの反りや偏光板の色ムラや白ヌケなどの発生を抑制した粘着剤組成物を得ることができる。
上記一般式において、R1は水素またはメチル基である。また、上記一般式において、R2は炭素数5〜12のアルキル基であるが、炭素数5〜11が好ましく、5〜9のものがより好ましい。また、R2のアルキル基は、直鎖または分岐鎖のいずれも使用できるが、ガラス転移点が低いことから分岐鎖のものが好ましい。
炭素数5以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレートなどが具体例としてあげられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、モノマー単位として、炭素数5以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50重量%以上含有する。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は好ましくは60〜90重量%である。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が50重量%未満では応力緩和性に乏しくなり好ましくない。
また、不飽和カルボン酸としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などがあげられる。またこれらの無水物を用いることもできる。これらの中でも特にアクリル酸とメタクリル酸が好ましく用いられる。
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、モノマー単位として、不飽和カルボン酸を0.05〜2重量%、好ましくは0.1〜1.5重量%含有する。上記不飽和カルボン酸の含有量が、2重量%を超えると液晶セルへの接着力が大きくなりすぎ、一方、0.05重量%未満では耐久性に悪影響があり好ましくない。
また、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)が、モノマー単位として、さらに水酸基含有モノマー0.05〜1重量%含有することが好ましい。上記構成を有する(メタ)アクリル系ポリマー(A)を用いることにより、有機過酸化物との反応性に優れ、加熱保存安定性が高いものとなる。
なお、本発明における水酸基含有モノマーとは、水酸基を分子構造中に少なくとも1以上有するアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、上記水酸基含有モノマーが炭素数5〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
上記水酸基含有モノマーとは、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)においては、上述のモノマー以外のモノマーとして、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移点や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
上記その他のモノマーとしては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;グリシジル(メタ)アクリレート等エポキシ基を含有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アセトニトリル、ビニルピロリドン、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のN元素を有するモノマー等があげられる。さらには酢酸ビニル、スチレン等を用いることもできる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
上記その他の重合性モノマーは、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマー(A)のモノマー全体において、0.01〜20重量%であるが、0.05〜10重量%であることが好ましく、0.1〜5重量%であることがより好ましい。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、重量平均分子量が50万以上であるが、60万以上であることが好ましく、150万以上であることがより好ましい。上記重量平均分子量が50万未満であると、耐久性が乏しくなり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる傾向がある。一方、作業性の観点より、上記重量平均分子量は300万以下が好ましい。また、乳化重合で得られたポリマーの場合には現在のGPCでの分子量測定が困難であり、上述の範疇には入らず、300万以上の高分子量体であっても作業性に大きな問題もない。なお、上記重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
また、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が−25℃以下(通常−100℃以上)、好ましくは−30℃以下であることが望ましい。ガラス転移温度が−25℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく被着体への濡れが不十分となり、層間に発生するフクレの原因となる場合がある。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより上記範囲内に調整することができる。
このような(メタ)アクリル系ポリマー(A)の製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、たとえば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤として、たとえば、モノマー全量100重量部に対して、アゾビスイソブチロニトリル0.01〜0.2重量部加え、通常、50〜70℃程度で、8〜30時間程度行われる。
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。
本発明に用いられる重合開始剤としては、たとえば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
上記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.005〜1重量部程度であることが好ましく、0.02〜0.6重量部程度であることがより好ましい。
また、本発明においては、重合において連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、(メタ)アクリル系ポリマーの分子量を適宜調整することができる。
連鎖移動剤としては、たとえば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどがあげられる。
これらの連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.01〜0.1重量部程度である。
また、乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などがあげられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
さらに、反応性乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、たとえば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(以上、いずれも第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(旭電化工社製)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。乳化剤の使用量は、モノマー100重量部に対して、0.3〜5重量部、重合安定性や機械的安定性から0.5〜1重量部がより好ましい。
本発明の光学部材用粘着剤組成物は、上述のような(メタ)アクリル系ポリマー(A)をベースポリマーとするものである。
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、モノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを70重量%以上および不飽和カルボン酸を1〜7重量%含有し、かつ、カルボン酸当量が、(メタ)アクリル系ポリマー(A)のカルボン酸当量より大きいものである。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は特に制限はないが、親水性の面と柔軟性の点から炭素数1〜4のものが好ましい。炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどが具体例としてあげられる。炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの50重量%以上、さらには60重量%以上用いるのが好ましい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、モノマー単位として、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを70重量%以上含有する。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は好ましくは70〜96重量%である。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が70重量%未満では親水性に乏しくなり好ましくない。
不飽和カルボン酸としては、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)で例示したものと同様のものを例示できる。
(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、モノマー単位として、不飽和カルボン酸を1〜7重量%、好ましくは2〜6重量%含有する。上記不飽和カルボン酸の含有量が、7重量%を超えると応力緩和性を低下させるために好ましくない。一方、1重量%未満では液晶セルへの接着力が大きくなり好ましくない。
また、(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、カルボン酸当量が(メタ)アクリル系ポリマー(A)のカルボン酸当量より大きくなるように、不飽和カルボン酸の含有量を調整する。(メタ)アクリル系ポリマー(B)のカルボン酸当量が、(メタ)アクリル系ポリマー(A)のカルボン酸当量より小さいと液晶セルへの接着力が大きくなり好ましくない。なお、カルボン酸当量は、ポリマー1g当たりのカルボン酸基の量であり、たとえば、カルボン酸がアクリル酸由来の場合には、ポリマー1g中のアクリル酸重量をアクリル酸の分子量で割ることにより算出される値(当量/g)である。
また、上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)においては、上述のモノマー以外のモノマーとして、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移点や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
上記その他の重合性モノマーとしては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等エポキシ基を含有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アセトニトリル、ビニルピロリドン、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のN元素を有するモノマー等があげられる。さらには酢酸ビニル、スチレン等を用いることもできる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量は2,000〜50,000であるが、好ましくは5,000〜40,000である。重量平均分子量が20,00未満では耐久性が低下する。一方、(メタ)アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量が50,000を超えると液晶セルへの接着力が増大するため好ましくない。なお、上記重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
また、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)が−10℃以下(通常−100℃以上)、好ましくは−15℃以下であることが望ましい。ガラス転移温度が−10℃より高い場合、ガラス界面への偏析が遅くなり、安定したリワーク性が確保できない場合がある。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより上記範囲内に調整することができる。
このような(メタ)アクリル系ポリマー(B)の製造は、上述の(メタ)アクリル系ポリマー(A)の場合と同様に行うことができる。また、重量平均分子量の調製は、大量の重合開始剤を使用したり、メルカプタンなどの連鎖移動剤を適宜使用して行うことができる。
本発明の光学部材用粘着剤組成物は、上述のような(メタ)アクリル系ポリマー(B)を含有するものである。
また、本発明の粘着剤組成物において、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対し、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と相溶性を有し、かつ数平均分子量が300〜7,000である水素化粘着付与樹脂および/またはビニル系ポリマー1〜40重量部含有してなることを特徴とする。
上記水素化粘着付与樹脂および上記ビニル系ポリマーは単独使用または組合せ使用のいずれであってもよいが、両者の合計含有量が上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対し1〜40重量部となるように用いられるが、1〜37重量部含まれることが好ましく、1〜35重量部含まれることがより好ましい。
なお、本発明における上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と相溶性を有する水素化粘着付与樹脂および/またはビニル系ポリマーとは、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と水素化粘着付与樹脂および/またはビニル系ポリマーが配合された粘着剤層が相分離せず透明であるであるような水素化粘着付与樹脂および/またはビニル系ポリマーをいう。
また、上記相溶性の評価方法としては、具体的には、粘着剤層を透明フィルムに貼り付けることにより評価用サンプルを作製し、上記評価用サンプルの色の状態を目視にて観察評価することによりおこなうことができる。その際、透明である場合は、粘着付与樹脂やビニル系ポリマーがベースポリマーである(メタ)アクリル系ポリマーと相溶していることを示し、一方、白濁など不透明であった場合は、粘着付与樹脂やビニル系ポリマーがベースポリマーである(メタ)アクリル系ポリマー(A)と相溶していないことを示す。
本発明における水素添加処理されたテルペン樹脂とは、不飽和結合が水素添加処理なされたテルペン樹脂をいう。水素添加処理されたテルペン樹脂の不飽和結合の水素化率は高い方が有機過酸化物の架橋阻害を起こしにくくなるので好ましいが、本発明の(メタ)アクリル系ポリマー(A)との相溶性が悪くなる傾向があるので、水素化率が高いものについては水酸基の導入などの極性を高める処理をすることが必要となる場合もある。なお、上記水素添加処理されたテルペン樹脂には、無色透明な粘着付与樹脂を用いることが好ましい。
上記水素添加処理されたテルペン樹脂とは、より具体的には、たとえば、粘着付与剤として用いられるポリテルペン樹脂(テルペン系樹脂など)およびこれらの変性樹脂などであって、水素化処理されているものをいう。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
ポリテルペン樹脂としては、たとえば、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテンなどのホモポリマー、または、これらのコポリマー、テルペンフェノールコポリマー、ならびにこれらの水添加物などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
脂肪族石油樹脂としては、石油ナフサの分解留分のうち主にC5留分を精製しカチオン重合したものがあげられ、たとえば、シスピペリレン、トランスピペリレン、イソプレン、2−メチルブテン2、ジシクロペンタジエンなどを主成分単量体とするホモポリマー、およびこれらのコポリマー、ならびにこれらの水添加物などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
芳香族石油樹脂としては、石油ナフサの分解留分のうち主にC9留分を精製しカチオン重合したものがあげられ、たとえば、スチレン、インデン、メチルインデン、メチルスチレン、クマロン(ベンゾ[b]フラン)などを主成分単量体とするホモポリマー、およびこれらのコポリマー、ならびにこれらの水添加物などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
脂肪族/芳香族混成樹脂としては、石油ナフサの分解留分のうち主にC5留分およびC9留分のブレンドをカチオン重合したものがあげられたとえば、ジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、およびジエンモノマー(C5留分ダイマー)などと、スチレン、インデンなどのコポリマー、ならびにこれらの水添加物などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂(油性フェノール樹脂)としては、ノボラックタイプ、およびレゾールタイプのものがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
特にロジン誘導体樹脂の着色原因として、原料ロジン中に含まれる高分子量物および不ケン化物によるため、ならびに、上記ロジン誘導体樹脂の共役二重結合を有するアビエチン酸などの構造の酸素吸収性が大きいためと推測されているが、種々の方法で精製することによりロジン誘導体樹脂をより無色透明なものとし、所定の特性値を有するものとすることができる。
ロジン誘導体樹脂(ロジン誘導体樹脂を構成するモノマー)の精製とは、未精製ロジンに含まれている不ケン化物を除去することをいうが、具体的には、蒸留、再結晶、抽出、水素添加などがあげられる。
水素添加(水素化)をおこなう場合には、通常の有機化合物の水素添加条件で行なうことができる。たとえば、ロジン誘導体樹脂を水素添加触媒存在下、溶融した状態あるいは溶媒に溶解した状態で、密閉容器中で水素初圧が常圧〜20MPaにて100〜300℃、好ましくは150〜250℃で加熱することにより行なうことができる。
ここで、水素添加触媒としては特に制限なく各種公知のものが使用でき、ニッケル、白金、コバルト、ロジウム、ルテニウム、レニウム、モリブデンなどの金属粉末、これら金属の酸化物、硫化物などの金属化合物などがあげられる。また、これらの水素化触媒を、多孔質で表面積の大きなアルミナ、シリカ(ケイソウ土)、カーボン、チタニアなどの担体に担持させて、使用してもよい。たとえば、パラジウムカーボン、ロジウムカーボンなどがあげられる。これらの中でも、アルカリ土類金属を含むニッケル−ケイソウ土触媒が、水素化率を上記範囲内に調整しやすく、色調にすぐれたものが得られやすく、特に好ましい。このニッケルーケイソウ土触媒の市販品としては、SN−250(堺化学工業社製)などがある。これらの触媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また上記触媒の使用量は、ロジン誘導体樹脂に対して通常0.01〜5重量%である。
なお、水素化反応に際しては、適宜溶媒を使用でき、たとえば、シクロヘキサン、デカリン、テトラヒドロフランなどの炭化水素系溶剤も使用することができる。
また、上記水素添加は、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)で測定される水素化率が95%以上となるまで、とくに樹脂中のオレフィン性二重結合のすべてが水素化されるまで、行うのがよい。このようにすることにより、その水素化物が有機過酸化物による架橋阻害を引き起こす可能性が極めて少なくなり、また脱色が十分となり、その水素化物が(メタ)アクリル系ポリマーと良好に相溶して淡色または無色の(メタ)アクリル系粘着剤組成物の製造を可能とする。
また、この粘着付与樹脂は、JIS K 2531の環球法により測定される軟化点が、通常30〜170℃の範囲、より好ましくは50〜150℃の範囲にあるのがよい。軟化点が30℃未満となると、ブロッキングが生じ作業性の低下を招いたり、(メタ)アクリル系ポリマーと相溶せずにブリードが生じやすい。一方、軟化点が170℃を超えると、(メタ)アクリル系ポリマーとの相溶性が悪くなる傾向がある。
本発明の粘着剤組成物は、上記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、上記水素化粘着付与樹脂1〜40重量部含有してなるものであり、1〜37重量部含有してなることが好ましく、1〜35重量部含有してなることがより好ましい。上記粘着付与樹脂の含有量が40重量部を超えると、経時で粘着付与樹脂がブリーディングして保存性が悪化したり、粘着剤層を白濁してしまう場合もある。特に粘着剤層の白濁や白化は、透明性を必要とする光学部材用途に用いる場合には大きな問題となる。
また、本発明においては、上述の水素化粘着付与樹脂の数平均分子量が300〜7,000であるものが用いられるが、500〜6,500であるものが好ましく、500〜5,500であるものがより好ましい。上記数平均分子量は、小さすぎると耐久性に悪影響を及ぼし、一方、大きくなりすぎるとベースポリマーとの相溶性が乏しくなる傾向がある。なお、数平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
また、本発明におけるビニル系ポリマーとは、ビニル基をもつ化合物を重合して得られる重合体をいい、たとえば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリスチレンなどの重合体があげられる。
上記ビニル系ポリマーとして、より具体的には、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、インポルニル(メタ)アクリレート、アクリル酸フェニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、スチレン、2−メチルスチレンなどのホモポリマーまたは共重合体などをあげることができる。これらのポリマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
なお、上記ビニル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)が30〜180℃であることが好ましく、40℃〜170℃であることがより好ましく、50℃〜160℃であることがさらに好ましい。上記ビニル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、低すぎると耐久性に悪影響を及ぼし、一方、高くなりすぎると応力緩和性に悪影響を及ぼす傾向がある。
また、本発明においては、上述のビニル系ポリマーの数平均分子量が300〜7,000であるものが用いられるが、500〜6,500であるものが好ましく、500〜5,500であるものがより好ましい。上記数平均分子量は、小さすぎると耐久性に悪影響を及ぼし、一方、大きくなりすぎるとベースポリマーとの相溶性が乏しくなる傾向がある。なお、数平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
また、このビニル系ポリマーは、JIS K 2531の環球法により測定される軟化点が、通常30〜170℃の範囲、より好ましくは50〜150℃の範囲にあるのがよい。軟化点が30℃未満となると、ブロッキングが生じ作業性の低下を招いたり、(メタ)アクリル系ポリマーと相溶せずにブリードが生じやすい。一方、軟化点が170℃を超えると、(メタ)アクリル系ポリマーとの相溶性が悪くなる傾向がある。
本発明の粘着剤組成物は、上記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、上記ビニル系ポリマー1〜40重量部含有してなるものであり、1〜37重量部含有してなることが好ましく、1〜35重量部含有してなることがより好ましい。上記ビニル系ポリマーの含有量が40重量部を超えると、経時でビニル系ポリマーがブリーディングして保存性が悪化したり、粘着剤層を白濁してしまう場合もある。特に粘着剤層の白濁や白化は、透明性を必要とする光学部材用途に用いる場合には大きな問題となる。
また、本発明の粘着剤組成物は、有機過酸化物を含有することを特徴とする。
本発明の有機過酸化物としては、加熱または光照射によりラジカル活性種を発生して粘着剤組成物のベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃〜160℃である有機過酸化物を使用することが好ましく、90℃〜140℃である有機過酸化物を使用することがより好ましい。1分間半減期温度が低すぎると、塗布乾燥する前の保存時に反応が進行し、粘度が高くなり塗布不能となる場合があり、一方、1分間半減期温度が高すぎると、架橋反応時の温度が高くなるため副反応が起こり、また未反応の有機過酸化物が多く残存して経時での架橋が進行する場合があり、好ましくない。
本発明に用いられる有機過酸化物としては、たとえば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などの有機過酸化物があげられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)などが好ましく用いられる。
なお、有機過酸化物の半減期とは、有機過酸化物の分解速度を表す指標であり、有機過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログなどに記載されており、たとえば、日本油脂株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。
上記有機過酸化物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、上記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、上記有機過酸化物0.02〜2重量部含有してなることが好ましく、0.05〜1重量部含有してなることがより好ましく、0.08〜0.6重量部含有してなることがさらに好ましい。0.02重量部未満では、架橋形成が不十分となり、耐久性に劣る場合があり、一方、2重量部を越えると、架橋形成が過多となり、接着性に劣る場合がある。
上記有機過酸化物架橋を用いることにより上述の特性を発現する理由の詳細は明らかではないが、以下のように推測している。有機過酸化物による有機過酸化物架橋は、まず有機過酸化物から発生したラジカル(活性種)により、ポリマー骨格の水素引き抜き反応が生じてポリマー骨格にラジカルが発生し、それらポリマー骨格上のラジカルがカップリング等して架橋を形成し、ポリマー骨格全体が架橋構造に取り込まれ、粘着剤全体が均一に架橋されることとなる。その結果、架橋処理後速やかに打ち抜き加工などの加工処理を行っても、切断刃に粘着剤が付着したり、加工後の糊はみだしがないなどの性能が発揮でき、かつ所定の架橋処理することで、経時での架橋反応が起こらないので特性が安定化すると推定している。
また、重合開始剤として有機過酸化物を使用した場合には、重合反応に使用されずに残存した有機過酸化物を架橋反応に使用することも可能であるが、その場合は残存量を定量し、必要に応じて再添加し、所定の有機過酸化物量にして使用することができる。
なお、反応処理後の残存した有機過酸化物分解量の測定方法としては、たとえば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
より具体的には、たとえば、反応処理後の粘着剤組成物を約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置する。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、反応処理後の有機過酸化物量とすることができる。
さらに、本発明の粘着剤組成物においては、イソシアネート系架橋剤を含有することが好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどがあげられる。
より具体的には、たとえば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合などで多官能化したポリイソシアネートなどをあげることができる。
上記イソシアネート系架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、上記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、上記イソシアネート系架橋剤0.01〜2重量部含有してなることが好ましく、0.01〜1.5重量部含有してなることがより好ましく、0.02〜1重量部含有してなることがさらに好ましい。0.01重量部未満では、添加による凝集力向上の効果が少ない場合があり、一方、2重量部を越えると、架橋形成が過多となり、接着性に劣る場合がある。
本発明においては、架橋された粘着剤層のゲル分率が、40〜90重量%となるように架橋剤(有機過酸化物、イソシアネート系架橋剤等を併用した場合には有機過酸化物およびイソシアネート系架橋剤)の添加量を調整することが好ましく、50〜85重量%となるように上記架橋剤の添加量を調整することがより好ましく、50〜80重量%となるように上記架橋剤の添加量を調整することがさらに好ましい。ゲル分率が40重量%より小さくなると、凝集力が低下するため耐久性に劣る場合があり、90重量%を超えると、接着性に劣る場合がある。
本発明における粘着剤組成物のゲル分率とは、塗工乾燥後(架橋後)の粘着剤層の乾燥重量W1(g)を酢酸エチルに浸漬した後、上記粘着剤層の不溶分を酢酸エチル中から取り出し、乾燥後の重量W2(g)を測定し、(W2/W1)×100として計算される値をゲル分率(重量%)とした。
より具体的には、たとえば、架橋後の粘着剤層をW1(g)(約500mg)採取した。次いで、上記粘着剤層を酢酸エチル中に約23℃下で7日間浸漬し、その後、上記粘着剤層を取り出し、130℃で2時間乾燥し、得られた粘着剤層のW2(g)を測定した。このW1およびW2を上記の式に当てはめることにより、ゲル分率(重量%)を求めた。
所定のゲル分率に調整するためには、有機過酸化物やイソシアネート系架橋剤等の添加量を調整することとともに、架橋処理温度や架橋処理時間の影響を十分考慮する必要がある。
架橋処理温度や架橋処理時間の調整は、たとえば、粘着剤組成物に含まれる有機過酸化物の分解量は75重量%以上になるように設定することが好ましく、80重量%以上になるように設定することがより好ましく、85重量%以上になるように設定することがさらに好ましい。有機過酸化物の分解量が75重量%より少ないと、粘着剤組成物中に残存する有機過酸化物の量が多くなり、架橋処理後も経時での架橋反応が起こることで結果的にゲル分率が90重量%を超える場合などがあり、好ましくない。
より具体的には、たとえば、架橋処理温度が1分間半減期温度では、1分間で有機過酸化物の分解量は50重量%であり、2分間で有機過酸化物の分解量は75重量%であり、2分間以上の架橋処理時間が必要となる。また、たとえば、架橋処理温度における有機過酸化物の半減期(半減時間)が30秒であれば、1分以上の架橋処理時間が必要となり、また、たとえば、架橋処理温度における有機過酸化物の半減期(半減時間)が5分であれば、10分間以上の架橋処理時間が必要となる。
このように、使用する有機過酸化物によって架橋処理温度や架橋処理時間は、有機過酸化物が一次比例すると仮定して半減期(半減時間)から理論計算により算出することが可能であり、添加量を適宜調節することができる。一方、より高温にするほど、副反応が生じる可能性が高くなることから、架橋処理温度は170℃以下であることが好ましい。
また、かかる架橋処理は、粘着剤層の乾燥工程時の温度で行ってもよいし、乾燥工程後に別途架橋処理工程を設けて行ってもよいが、光学部材に熱がかかってしまい光学部材の特性が変化する場合もあるので、光学部材に貼りあわせる前におこなうことが望ましい。
また、架橋処理時間に関しては、生産性や作業性を考慮して設定することができるが、通常0.2〜20分間程度であり、0.5〜10分間程度であることが好ましい。
また、本発明の粘着剤組成物には、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、メラミン化合物、金属塩、金属キレート化合物などの架橋剤を適宜併用してもよい。これらのいずれの架橋剤であっても、架橋過多になると、得られる粘着剤層の応力緩和性が劣る傾向にある。
また、本発明の粘着剤組成物には接着力、耐久力を上げる目的でシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤としては、公知のものを特に制限なく適宜用いることができる。
具体的には、たとえば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミンなどのアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのインシアネート基含有シランカップリング剤などがあげられる。このようなシランカップリング剤を使用することは、耐久性の向上に好ましい。
上記シランカップリング剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は上記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、上記シランカップリング剤0.01〜1重量部含有してなることが好ましく、0.02〜0.6重量部含有してなることがより好ましく、0.05〜0.3重量部含有してなることがさらに好ましい。0.01重量部未満では、耐久性に劣る場合があり、一方、1重量部を越えると、液晶セル等の光学部材への接着力が増大しすぎてしまう場合がある。
さらに本発明の粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
本発明の光学部材用粘着剤組成物は、上記のような構成を有するものである。
一方、本発明の粘着剤層は、上記のような粘着剤組成物を架橋してなるものである。その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を支持体などに転写することも可能である。
支持体(光学部材、セパレーターなど)上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、上記粘着剤組成物を剥離処理したセパレーターなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を支持体に転写する方法、または支持体に上記粘着剤組成物を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を支持体に形成する方法などにより作製される。また、粘着剤組成物を支持体上に塗布して粘着剤付光学部材などを作製する際には、支持体上に均一に塗布できるよう、該組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶媒(溶剤)を新たに加えてもよい。
本発明において用いられる溶媒としては、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロへキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、水などがあげられる。これらの溶剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、本発明の粘着剤層の形成方法としては、粘着シート類の製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法があげられる。
また、たとえば、剥離処理した支持体(剥離処理したシート)上の片面または両面に上述のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる層を形成する工程と、前記粘着剤組成物からなる層を有機過酸化物架橋処理するする工程とを含む製造方法を用いることによって本発明の粘着剤層を得ることができる。かかる製造方法を用いることにより、上述の優れた粘着特性、特に長期の過酷条件下に対する、耐久性、応力の緩和性、ならびに加工性をバランスよく並立する光学部材用の粘着剤層を得ることができる。
なお、上記の製造方法において、剥離処理したシートは、そのまま粘着シート類や粘着剤付光学部材などのセパレーターとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
本発明における粘着剤層は、上記粘着剤組成物を上記の有機過酸化物(およびイソシアネート架橋剤)にて架橋することにより、これらの特性が塗布、乾燥、架橋、転写の工程を経た後にエージングなどを必要とせず、打ち抜き加工やスリット加工が速やかに行えるという生産性に優れた粘着剤層となる。
また、上記粘着剤層において、上記粘着剤層の厚みが通常2〜500μmであるが、5〜100μmであることがより好ましい。
また、上記粘着剤層の表面にはコロナ処理、プラズマ処理、易接着層の形成などの易着処理をおこなってもよい。
さらに、このような表面に粘着剤が露出する場合には、実用に供されるまで剥離処理したシート(剥離シート、セパレーター、剥離ライナー)で粘着剤層を保護してもよい。
セパレーターの構成材料としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などをあげることができるが、表面平滑性に優れる点および乾燥時の耐熱性から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックフィルムが好適に用いられる。
上記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。
上記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、上記セパレーターの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、上記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
また、本発明の粘着剤付光学部材は、上記の構成を有する粘着剤層を光学部材の片面または両面に形成してなるものである。本発明の粘着剤付光学部材は、上記のような作用効果を奏する粘着剤層を備えるため、優れた粘着特性、特に長期の過酷条件下に対する、耐久性、応力の緩和性、ならびに加工性に優れたものとなる。
光学部材としては、液晶表示装置などの画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。たとえば、光学部材としては偏光板などがあげられる。偏光板には、偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などポリエン系配向フィルムなどがあげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛などを含んでいてもよいヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴なかでも延伸することができる。
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。たとえば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
保護フィルムの厚さは、適宜に決定することができるが、一般には強度や取扱性などの作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。
また、保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料などからなる保護フィルムを用いてもよい。前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系粘着剤などを介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステルなどを例示できる。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、たとえばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性などに優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止などを目的に施されるものであり、たとえばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、たとえば、平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモンなどからなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋または未架橋のポリマーなどからなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
また本発明の光学部材としては、たとえば、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置などの形成に用いられることのある光学層となるものがあげられる。これらは単独で本発明の光学部材として用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
特に、偏光板にさらに反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板にさらに位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板にさらに視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板にさらに輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライトなどの光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層などを介して偏光板の片面に金属などからなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウムなどの反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制することができる利点などを有する。また微粒子含有の透明保護フィルムは、入射光およびその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制することができる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、たとえば、真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式などの蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板などで被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラーなどの半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライトなどの内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライトなどの光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板にさらに位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青または黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。さらに、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、たとえば、画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。
高分子素材としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、ノルボルネン系樹脂、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これら高分子素材は延伸などにより配向物(延伸フィルム)となる。
液晶性ポリマーとしては、たとえば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどがあげられる。主鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、たとえば、ネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これら液晶性ポリマーは、たとえば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコールなどの薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化珪素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
位相差板は、たとえば、各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差などの光学特性を制御したものなどであってもよい。
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板または反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板などは、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成することができるが、前記の如く予め楕円偏光板などの光学部材としたものは、品質の安定性や積層作業性などに優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させることができる利点がある。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、たとえば、位相差板、液晶ポリマーなどの配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマーなどの配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、たとえば、ポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理または/および収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどがあげられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いることができる。
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いることができる。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光をさらにその後ろ側に設けられた反射層などを介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部または全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示などに利用することができる光量の増大を図ることにより輝度を向上させることができるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示などに利用することができる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、さらにその後ろ側に設けられた反射層などを介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層などの間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層などに向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層などに向かい、反射層などを介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層などの間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
前記の輝度向上フィルムとしては、たとえば、誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いることができる。
したがって、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を投下するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を、位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域などの広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、たとえば、波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、たとえば、1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。したがって、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層または2層以上の位相差層からなるものであってよい。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層または3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域などの広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層または3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。したがって、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
偏光板に前記光学層を積層した光学部材は、液晶表示装置などの製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学部材としたものは、品質の安定性や組立作業などに優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させることができる利点がある。積層には粘着剤層などの適宜な接着手段を用いることができる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
なお、本発明の粘着剤付光学部材の光学部材や粘着剤層などの各層には、たとえば、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などの紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の粘着剤付光学部材は、液晶表示装置などの各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行うことができる。すなわち、液晶表示装置は一般に、液晶セルと粘着剤付光学部材、および必要に応じての照明システムなどの構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学部材を用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じることができる。液晶セルについても、たとえば、TN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いることができる。
液晶セルの片側または両側に粘着剤付光学部材を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学部材は液晶セルの片側または両側に設置することができる。両側に光学部材を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、たとえば、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、たとえば、トリフェニルアミン誘導体などからなる正孔注入層と、アントラセンなどの蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体などからなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体など、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
このような光学部材は、上述した粘着剤層と貼り合せた場合の投錨力を向上させるため、光学部材の表面をコロナ処理、プラズマ処理などの易着処理や下塗り処理を行ってもよい。
また、本発明の画像表示装置は、上記粘着剤付光学部材を用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、PDPなどであり、長期保存や、高温・高湿状態で保存されても剥がれや発泡が発生しない優れた耐久性を発現し、光学部材を剥がして画像表示装置が再利用される場合でも接着力の増大が見られず、装置に悪影響や損傷を与えることなく容易に剥離できる機能を有する。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
<分子量の測定>
((メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量)
得られた(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・データ処理装置:東ソー社製、GPC−8020
・カラム(アクリル系ポリマー(A)):東ソー社製、G7000HXL−H+GMHXL−H+GMHXL
・カラム(アクリル系ポリマー(B)):東ソー社製、GMHHR−H+GMHHR−H+G2000HHR
・カラムサイズ;各7.8mmφ×30cm(計90cm)
・流量:0.8ml/min
・注入試料濃度:約0.1重量%
・注入量:100μl
・カラム温度:40℃
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
なお、重量平均分子量はポリスチレン換算により算出した。
(粘着付与樹脂およびビニル系ポリマーの数平均分子量)
各実施例、比較例で用いた粘着付与樹脂およびビニル系ポリマーの数平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・データ処理装置:東ソー社製、GPC−8020
・カラム:東ソー社製、GMHHR−H+GMHHR−H+G2000HHR
・カラムサイズ;各7.8mmφ×30cm(計90cm)
・流量:0.8ml/min
・注入試料濃度:約0.1重量%
・注入量:100μl
・カラム温度:40℃
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
なお、数平均分子量はポリスチレン換算により算出した。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度(Tg)は、DSC(示差走査熱量)分析装置により測定した。
・分析装置:セイコー電子工業社製、DSC6200
・試料重量:7〜13mg
・昇温速度:10℃/min
・窒素流量:60〜70ml/min
・冷却方法:液体窒素使用
<ゲル分率の測定>
各実施例・比較例で作製した架橋後の粘着剤層をW1(g)(約0.1g)採取し、次いで、上記粘着剤層を微孔性テトラフルオロエチレン膜に包み(膜の重量をW2(g))、上記粘着剤層を酢酸エチル(約50ml)中に約23℃下で2日間浸漬し、可溶分を抽出した。その後、上記粘着剤層を取り出し、120℃で2時間乾燥し、得られた粘着剤層と膜の重量W3(g)を測定した。このW1〜W3を下記の式に当てはめることにより、ゲル分率(重量%)を求めた。
・ゲル分率(重量%)=〔(W3−W2)/W1〕×100
なお、塗工後、室温(約23℃下)で7日間保存した後に、ゲル分率の測定を行った。
<接着力の評価>
各実施例・比較例で作製した粘着剤付光学部材を縦幅約10cm×横幅2.5cmのサイズにカットし、無アルカリガラス板(コーニング社製、1737、大きさ:18×4cm、厚み:約1.0mm)にロールで貼付け、50℃、0.5Mpaのオートクレーブにて15分間処理した。次いで、23℃、50%RHの条件下に3時間放置後、剥離角度90°、剥離速度1000mm/分で剥離接着力(初期接着力:N/25mm)を測定した。さらに、オートクレーブ処理後、60℃の条件に15時間放置後、23℃、50%RHの条件下に3時間放置後、剥離角度90°、剥離速度1000mm/分で剥離接着力(処理接着力:N/25mm)を測定した。初期接着カとともに、加熱処理後の処理接着力が増大しないことが望まれる。
<加工性の評価>
各実施例・比較例で作製した粘着剤付光学部材を、エージング処理を行わずにプレス機を用いて打ち抜き加工処理を行い、上記加工処理の際の切断刃の状態を目視にて観察評価した。評価基準は以下のとおりである。
・粘着剤層の付着・破損が認められなかった場合:○
・粘着剤層の付着・破損が認められた場合:×
<透明性の評価>
各実施例・比較例で作製した粘着剤層を光学部材用透明フィルム(JSR社製、ARTON)に貼り付けることにより評価用サンプルを作製し、上記評価用サンプルの色の状態を目視にて観察評価した。評価基準は以下のとおりである。
・透明であった場合:○
・白濁など不透明であった場合:×
なお、透明である場合は、粘着付与樹脂やビニル系ポリマーがベースポリマーである(メタ)アクリル系ポリマーと相溶していることを示す。
<色ムラの評価>
各実施例・比較例で作製した粘着剤付光学部材を縦幅24cm×横幅32cm(15型サイズ相当)のサイズにカットし、無アルカリガラス板(コーニング社製、1737、大きさ:25×35cm、厚み:0.7mm)の両面に偏光板の吸収軸が直行するように貼り付け、50℃、0.5MPaの圧力で15分間オートクレーブ処理を行った。その後、90℃で500時間保存してから室温(約25℃)に戻し、評価用サンプルを得た。色ムラの評価は目視でおこない、評価基準は以下のとおりである。
・色ムラなどが生じなかった。:○
・色ムラなどが生じた。:×
<耐久性(耐熱試験)の評価>
各実施例・比較例で作製した粘着剤付光学部材を縦幅24cm×横幅32cm(15型サイズ相当)のサイズにカットし、無アルカリガラス板(コーニング社製、1737、大きさ:25×35cm、厚み:0.7mm)に貼り付け、50℃、0.5MPaの圧力で15分間オートクレーブ処理を行った。その後、90℃で500時間保存してから室温(約25℃)に戻し、評価用サンプルを得た。上記評価用サンプルのガラス板への付着状態を目視にて観測評価した。評価基準は以下のとおりである。
・光学部材の浮きや剥がれが生じなかった。:○
・光学部材の浮きや剥がれが生じた。:×
<(メタ)アクリル系ポリマーの調製>
〔アクリル系ポリマー(A)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート50重量部、ブチルアクリレート50重量部、アクリル酸0.3重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.3重量部、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.07重量部、酢酸エチル200重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して1時間窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って10時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(A)溶液を調製した。上記アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は208万、ガラス転移温度(Tg)は−48℃、カルボン酸当量は0.41×10−4当量/gであった。
〔アクリル系ポリマー(B)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート100重量部、アクリル酸5重量部、ラウリルメルカプタン0.8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して1時間窒素置換した後、フラスコ内の液温を60℃付近に保って12時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(B)溶液を調製した。上記アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量は31,000、ガラス転移温度(Tg)は−38℃、カルボン酸当量は6.89×10−4当量/gであった。
<粘着付与樹脂の組成>
〔粘着付与樹脂(1)〕
芳香族変性水素化テルペン樹脂:クリアロンK4090(ヤスハラケミカル社製、軟化点:90℃、数平均分子量:679)
〔粘着付与樹脂(2)〕
超淡色ロジンエステル:パインクリスタルKE311(荒川化学社製、軟化点:95℃、数平均分子量:583、水素化処理はされていない)
<ビニル系ポリマーの組成>
〔ビニル系ポリマー(1)〕
α−メチルスチレンとスチレンの共重合体:クリスタレックス3085(イーストマンケミカル社製、軟化点:85℃、数平均分子量:943)
〔ビニル系ポリマー(2)〕
スチレン重合体:YS−ポリスターSX90(ヤスハラケミカル社製、軟化点:90℃、数平均分子量:838)
〔ビニル系ポリマー(3)〕
メカニカルスターラ、窒素導入口、冷却管、ラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、スチレンモノマー40g、アクリル酸ブチルモノマー10重量部を加え、これに2,2’−ビピリジン1.872重量部を加えて、系内を窒素置換した。これに窒素気流下、臭化銅0.715重量部を加えて、反応系内を90℃に加熱し、重合開始剤として2−ブロモイソ酪酸エチル1.950重量部を加えて重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、90℃で4時間重合した。酢酸エチルで20重量%程度に希釈して、メタノールで再沈殿し触媒を除去精製した。精製物の溶媒を、減圧加熱(60℃)してビニル系ポリマー(3)を得た。軟化点は50℃で、数平均分子量は6,900であった。
〔実施例1〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(A)溶液の固形分100重量部に対して、上記アクリル系ポリマー(B)0.05重量部、上記粘着付与樹脂(1)10重量部、有機過酸化物としてジベンゾイルパーオキシド(和光純薬社製、1分間半減期:130℃)0.25重量部、イソシアネート系架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル社製、D160N)0.05重量部、およびシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.08重量部を配合し、均一に混合撹拌してアクリル系粘着剤溶液(1)を調整した。
(粘着剤付光学部材の作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、130℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが25μmの粘着剤層を形成した。ここで、理論計算により算出される有機過酸化物の分解量は約88重量%であった。次いで、偏光フィルムの表面に上記粘着剤層を転写し、粘着剤付光学部材を作製した。
〔参考例2〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(A)溶液の固形分100重量部に対して、上記アクリル系ポリマー(B)0.2重量部、上記ビニル系ポリマー(1)10重量部、有機過酸化物としてジベンゾイルパーオキシド(和光純薬社製、1分間半減期:130℃)0.25重量部、イソシアネート系架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル社製、D160N)0.05重量部、およびシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.2重量部を配合し、均一に混合撹拌してアクリル系粘着剤溶液(2)を調整した。
(粘着剤付光学部材の作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(2)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、130℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが25μmの粘着剤層を形成した。ここで、理論計算により算出される有機過酸化物の分解量は約88重量%であった。次いで、偏光フィルムの表面に上記粘着剤層を転写し、粘着剤付光学部材を作製した。
〔参考例3〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(A)溶液の固形分100重量部に対して、上記アクリル系ポリマー(B)0.05重量部、上記ビニル系ポリマー(2)5重量部、有機過酸化物としてジベンゾイルパーオキシド(和光純薬社製、1分間半減期:130℃)0.25重量部、イソシアネート系架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル社製、D160N)0.05重量部、およびシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.08重量部を配合し、均一に混合撹拌してアクリル系粘着剤溶液(3)を調整した。
(粘着剤付光学部材の作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(3)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、130℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが25μmの粘着剤層を形成した。ここで、理論計算により算出される有機過酸化物の分解量は約88重量%であった。次いで、偏光フィルムの表面に上記粘着剤層を転写し、粘着剤付光学部材を作製した。
〔参考例4〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(A)溶液の固形分100重量部に対して、上記アクリル系ポリマー(B)0.1重量部、上記ビニル系ポリマー(3)10重量部、有機過酸化物としてジベンゾイルパーオキシド(和光純薬社製、1分間半減期:130℃)0.25重量部、イソシアネート系架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル社製、D160N)0.05重量部、およびシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.1重量部を配合し、均一に混合撹拌してアクリル系粘着剤溶液(4)を調整した。
(粘着剤付光学部材の作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(4)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、130℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが25μmの粘着剤層を形成した。ここで、理論計算により算出される有機過酸化物の分解量は約88重量%であった。次いで、偏光フィルムの表面に上記粘着剤層を転写し、粘着剤付光学部材を作製した。
〔比較例1〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(A)溶液の固形分100重量部に対して、有機過酸化物としてジベンゾイルパーオキシド(和光純薬社製、1分間半減期:130℃)0.25重量部、イソシアネート系架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル社製、D160N)0.03重量部、およびシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.08重量部を配合し、均一に混合撹拌してアクリル系粘着剤溶液(5)を調整した。
(粘着剤付光学部材の作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(5)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、130℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが25μmの粘着剤層を形成した。ここで、理論計算により算出される有機過酸化物の分解量は約88重量%であった。次いで、偏光フィルムの表面に上記粘着剤層を転写し、粘着剤付光学部材を作製した。
〔比較例2〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(A)溶液の固形分100重量部に対して、上記アクリル系ポリマー(B)0.08重量部、有機過酸化物としてジベンゾイルパーオキシド(和光純薬社製、1分間半減期:130℃)0.25重量部、イソシアネート系架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル社製、D160N)0.03重量部、およびシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.08重量部を配合し、均一に混合撹拌してアクリル系粘着剤溶液(6)を調整した。
(粘着剤付光学部材の作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(6)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、130℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが25μmの粘着剤層を形成した。ここで、理論計算により算出される有機過酸化物の分解量は約88重量%であった。次いで、偏光フィルムの表面に上記粘着剤層を転写し、粘着剤付光学部材を作製した。
〔比較例3〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(A)溶液の固形分100重量部に対して、上記粘着付与樹脂(1)10重量部、有機過酸化物としてジベンゾイルパーオキシド(和光純薬社製、1分間半減期:130℃)0.25重量部、イソシアネート系架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル社製、D160N)0.04重量部、およびシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.08重量部を配合し、均一に混合撹拌してアクリル系粘着剤溶液(7)を調整した。
(粘着剤付光学部材の作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(7)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、130℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが25μmの粘着剤層を形成した。ここで、理論計算により算出される有機過酸化物の分解量は約88重量%であった。次いで、偏光フィルムの表面に上記粘着剤層を転写し、粘着剤付光学部材を作製した。
〔比較例4〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(A)溶液の固形分100重量部に対して、上記アクリル系ポリマー(B)0.1重量部、上記粘着付与樹脂(2)10重量部、有機過酸化物としてジベンゾイルパーオキシド(和光純薬社製、1分間半減期:130℃)0.25重量部、イソシアネート系架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル社製、D160N)0.2重量部、およびシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.1重量部を配合し、均一に混合撹拌してアクリル系粘着剤溶液(8)を調整した。
(粘着剤付光学部材の作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(8)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、130℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが25μmの粘着剤層を形成した。ここで、理論計算により算出される有機過酸化物の分解量は約88重量%であった。次いで、偏光フィルムの表面に上記粘着剤層を転写し、粘着剤付光学部材を作製した。
〔比較例5〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(A)溶液の固形分100重量部に対して、上記アクリル系ポリマー(B)0.05重量部、上記ビニル系ポリマー(2)50重量部、有機過酸化物としてジベンゾイルパーオキシド(和光純薬社製、1分間半減期:130℃)0.25重量部、イソシアネート系架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル社製、D160N)0.05重量部、およびシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.1重量部を配合し、均一に混合撹拌してアクリル系粘着剤溶液(9)を調整した。
(粘着剤付光学部材の作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(9)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、厚さ:38μm)の片面に塗布し、130℃で3分間乾燥をおこない、乾燥後の厚さが25μmの粘着剤層を形成した。ここで、理論計算により算出される有機過酸化物の分解量は約88重量%であった。次いで、偏光フィルムの表面に上記粘着剤層を転写し、粘着剤付光学部材を作製した。
上記方法にしたがい、作製した粘着剤付光学部材の接着力、加工性、透明性、色ムラ、および耐久性(耐熱試験)の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
上記表1の結果より、本発明によって作製された粘着剤付光学部材を用いた場合、粘着付与樹脂等を添加しても、アクリル系ポリマー(A)との相溶性が良い。また、これらはいずれも有機過酸化物架橋の阻害が小さいため、加工性や長期の過酷試験に対しても優れた耐久性を有しており、偏光板の色むらもなく良好であることが分かった。さらには、粘着付与樹脂等を添加しても接着力が小さく、リワーク性が良好であることがわかった。
これに対して、本発明の構成を満たさない粘着剤付光学部材を用いた場合(比較例1〜5)、いずれの比較例においても、粘着付与樹脂による架橋阻害が大きく加工性や耐久性に劣る結果や、ポリマーとの相溶性が悪く透明性に劣る結果となった。このように、長期の過酷試験に対する応力緩和性、耐久性、リワーク性、および加工性を並立することができない結果となり、本発明の粘着剤層を用いた場合に比較して、長期の過酷試験に対する耐久性、特に偏光板の色ムラの抑制等に劣ることが明らかとなった。
以上により、本発明の粘着剤層は、優れた粘着特性を発揮し、特に長期の過酷条件下に対する、耐久性、応力緩和性、リワーク性、ならびに加工性に優れたものであることが分かった。