JP4683709B2 - タレットパンチプレスおよび金型の識別媒体読取り方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、タレットパンチプレスのタレットにおけるステーションの認識およびタレットに装着された金型の認識を行う、タレットパンチプレスおよび金型の識別媒体読取り方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
板金等の板材に穴明け加工等を行うパンチプレスは、穴の形状等に応じて多数のパンチ金型およびダイ金型を備える必要がある。これらの多数のパンチ金型およびダイ金型は、タレットパンチプレスでは、機械フレームに回転自在に設けた上下のタレットに収容されている。そして、前記タレットを回転することにより、前記多数のパンチ金型およびダイ金型の内からいずれか一組のパンチ金型およびダイ金型が選択的に所定の加工位置へ割り出される。
【0003】
また、他の型のパンチプレスでは、前記パンチ金型およびダイ金型は金型マガジンに収容され、この金型マガジンから適宜パンチ金型およびダイ金型が選択されて、パンチプレスに装着される。
【0004】
これらの多数のパンチ金型およびダイ金型を管理するために、パンチ金型およびダイ金型に識別媒体を取り付けると共に、この識別媒体を検出装置により検出する技術が提案されている。例えば、特開昭63−174733号公報には、パンチ金型の頭部にパンチ金型およびダイ金型の寸法や形状等を表すバーコードを取りつけ、このバーコードをタレットの上方に設けたセンサにより読み取る技術が提案されている。これにより、タレット上のパンチ金型およびダイ金型を容易に特定することができる。
【0005】
また、特開平7−164073号公報には、金型交換装置を備えたパンチプレスにおいて、パンチ金型およびダイ金型のそれぞれに固有の金型情報と、この金型を一対の金型として特定する対金型情報とを記憶し、この対金型情報に対応して前記上下金型の金型マガジンの収納番地を記憶させ、加工時には、この対金型情報に基づいて所望の上下金型を呼び出して金型交換を行う技術が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような従来の技術にあっては、前記タレットに金型を装着する際に、オペレータが金型を誤ったステーションに装着しても誤りを検出することができず、タレットを回転させて加工位置に位置決めしても適正な金型が加工位置に位置決めされない場合が起こりうるという問題がある。
【0007】
上記従来の例えば特開昭63−174733号公報に記載されているような場合には、ステーションの認識をしないので、ステーションと金型との整合性を明確に認識できない。また、タレットの径方向に複数の金型がある場合に全ての装置ステーション及び金型を認識できないという問題がある。
【0008】
この発明の目的は、以上のような従来の技術の問題点に着目してなされたものであり、上部タレットのパンチ金型ステーションとパンチ金型あるいは下部タレットのダイ金型ステーションとダイ金型を識別することのできるタレットパンチプレスおよび金型の識別媒体読取り方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1による発明のタレットパンチプレスは、複数のパンチ金型を装着した上部タレットと、前記各パンチ金型と対応した複数のダイ金型を装着した下部タレットと、を上下に対応して回転自在に設けたタレットパンチプレスにおいて、前記上部タレットの径は下部タレットの径よりも小径であり、且つ上部タレットの軸心と下部タレットの軸心とが位置ずれしてあって、前記下部タレットの上面の一部に開放領域を設け、前記上部タレットに設けたパンチ金型ステーションに対応した位置に、上端部に識別媒体を備えた支持部材を立設し、前記上部タレットに設けた複数のパンチ金型ステーションに対応して各パンチ金型ステーションを表す識別媒体を設けると共に、前記下部タレットに設けた複数のダイ金型ステーションに対応して各ダイ金型ステーションを表す識別媒体を設け、前記上部タレットに設けた各パンチ金型ステーションに対応した各識別媒体を読み取るための第1読取り装置と、前記下部タレットに設けた各ダイ金型ステーションに対応した各識別媒体を読み取るための第2読取り装置とを設け、前記第1読取り装置と第2読取り装置とをそれぞれ上下のタレットの径方向へ移動自在に設けてなることを特徴とするものである。
【0010】
従って、上部タレットの各パンチ金型ステーションに設けられた識別媒体により各パンチ金型ステーションが識別され、下部タレットの各ダイ金型ステーションに設けられた識別媒体により各ダイ金型ステーションが識別される。同時にパンチ金型及びダイ金型の識別媒体によりパンチ金型及びダイ金型を識別することにより、パンチ金型ステーションとダイ金型ステーションが対応しているか等が確認されると共に、金型ステーションへ別の金型を装着した入れ間違い等が確認される。
【0012】
また、上部タレットと下部タレットは加工位置において同じ位置となっているので、径の大きな下部タレットは、加工位置とは反対側部分において小径の上部タレットからはみ出して、上方が開放された開放領域を有しており、この開放領域に面する下部タレットに設けたダイ金型ステーションを上方から容易に認識する。
【0014】
また、特に複数列のパンチ金型が上部タレットの径方向に装着されている場合には、各パンチ金型間にパンチ金型と同程度の高さの支持部材を設け、この支持部材の上端面に設けられている上部タレットの各パンチ金型ステーションを示す識別媒体が上方から容易且つ確実に認識される。
【0018】
従って、第1読取り装置により上部タレットの各パンチ金型ステーションに対応した各識別媒体が容易且つ確実に読み取られる。同様に、第2読取り装置により下部タレットの各ダイ金型ステーションに対応した各識別媒体が容易且つ確実に読み取られる。同時にパンチ金型及びダイ金型の識別媒体を読み取ることにより、パンチ金型及びダイ金型が確実に認識されるので、金型ステーションへ別の金型を装着した入れ間違い等が確認される。
【0020】
また、第1読取り装置、第2読取り装置をそれぞれ上、下部タレットの径方向へ移動させながら上、下部タレットにおける各パンチ金型ステーション、ダイ金型ステーションに対応した各識別媒体が容易且つ確実に読み取られる。同時にパンチ金型及びダイ金型の識別媒体を読み取ることにより、パンチ金型及びダイ金型を確実に認識されるので、金型ステーションへ別の金型を装着した入れ間違いが確認される。
【0021】
請求項2による発明のタレットパンチプレスは、請求項1に記載のタレットパンチプレスにおいて、前記上部タレットおよび下部タレットに備えた複数パンチ金型ステーションに対応した複数の識別媒体を前記上部タレットおよび下部タレットの周面または上面の外周付近に設けたことを特徴とするものである。
【0022】
従って、上部タレットおよび下部タレットの周面に識別媒体を設けた場合には、上部タレットおよび下部タレットの側方から識別媒体を認識することができる。また、上部タレットおよび下部タレットの上面に識別媒体を設けた場合には、上部タレットおよび下部タレットの上方から識別媒体を容易且つ確実に認識される。
【0023】
請求項3による発明のタレットパンチプレスは、請求項2に記載のタレットパンチプレスにおいて、少なくとも前記下部タレットに備えた各ダイ金型ステーションに対応した各識別媒体を読み取るための読み取り装置を設け、該読み取り装置は前記上部タレットの周面または上面の外周付近に設けた各識別媒体を読み取るための読み取りヘッドを備えたことを特徴とするものである。
【0024】
従って、小径の上部タレットの下方においてはみ出している大径の下部タレットの上方である開放領域に設けられた読取り装置により、上方から少なくとも下部タレットに設けられている識別媒体が容易に且つ確実に読み取られる。また、小径の上部タレットの下方においてはみ出している大径の下部タレットの上方である開放領域に設けられた読取り装置により、上方から下部タレットに設けられている識別媒体が容易に且つ確実に読み取られると共に、上部タレットの周面または上面の外周付近に設けた識別媒体が、読み取りヘッドにより開放領域である下部タレットの上方から容易に且つ確実に読み取られる。
【0029】
請求項4による発明のタレットパンチプレスのダイ金型の識別媒体読取り方法は、タレットパンチプレスにおける回転自在な下部タレットに装着した複数のダイ金型にそれぞれ備えた識別媒体の読取り方法において、前記下部タレットを低速回転させると共に、該下部タレットの上方に配置した前記識別媒体を読み取る読取り装置を、前記下部タレットの回転方向に対して交差する方向に往復移動させ、前記読取り装置と前記識別媒体が対向したときに該識別媒体の情報を読み取ることを特徴とするものである。
【0030】
従って、タレットを低速回転させ、読取り装置をタレットに装着されている金型と対向させて、読取り装置をタレットの回転方向と交差する方向へ往復移動させて走査することにより、この金型に設けられている識別媒体が容易に且つ確実に読み取られる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
図7には、パンチプレスとしてのタレットパンチプレス1が示されている。このタレットパンチプレス1は、ベース3の両側にコラムフレーム5、7を立設し、さらにこれらのコラムフレーム5、7の上側に上部フレーム9を備えている。
【0033】
図8を併せて参照するに、上部フレーム9の下面には複数のパンチ金型Pを装着する複数のパンチ金型ステーションSTPを周方向に備えた上部タレット11が上部回転軸13によって回転自在に支持されている。
【0034】
この上部タレット11に相対向してベース3の上面には、前記パンチ金型Pと対を成す複数のダイ金型Dを装着する複数のダイ金型ステーションSTDを周方向に備えた下部タレット15が、下部回転軸17によって回転自在に支持されている。
【0035】
この下部タレット15の外径は前記上部タレット11の外径より大径であり、下部タレット15を回転せしめる下部回転軸17は前記上部回転軸13に対して偏心している。このため、下部タレット15の一部分(図8において右側部分)は、上部タレット11からはみ出しており、上部タレット11に邪魔されることなく上方からダイ金型Dおよび下部タレット15の一部分を直接見ることができ、加工位置K1とパンチ金型交換位置K2とダイ金型交換位置K3が設けられている。なお、前記ダイ金型交換位置K3における下部タレット15の上方は、開放領域Rとなっている。
【0036】
図7を参照するに、前記加工位置K1に位置したパンチ金型Pを打撃するため、上部フレーム9内に流体圧シリンダ19が設けられ、この流体圧シリンダ19により上下移動するラム21が設けられている。前記コラムフレーム7の下部にはタレット回転モータ23が設けられている。
【0037】
従って、上部タレット11と下部タレット15は、タレット回転モータ23により回転制御されて、所望のパンチ金型Pとダイ金型Dが対となりラム21の真下である加工位置K1に選択的に位置決め制御され、流体圧シリンダ19の作動によりラム21が上下移動して、パンチ金型Pとダイ金型Dとの協働でワークWにパンチング加工が行われることになる。
【0038】
前記ベース3の上面には、下部タレット15を囲繞してワークテーブル25が設けられ、このワークテーブル25の上方に駆動モータ27よりボールネジ29を介してY軸方向(図7中左右方向)へ移動自在なキャレッジベース31が設けられている。また、このキャレッジベース31には、X軸方向(図7中紙面直交方向)に移動自在なキャレッジ33が設けられていて、このキャレッジ33には板状のワークWの一端を把持する複数のワーククランパ35が設けられている。
【0039】
従って、上部タレット11と下部タレット15の間へのワークWの位置決めは、ワークWを把持するワーククランパ35が設けられているキャレッジ33が、キャレッジベース31上をX軸方向に移動制御され、且つ、キャレッジベース31がY軸方向へ移動制御されることにより行われる。
【0040】
このようにして位置決めされたワークWは、上部タレット11と下部タレット15を回転させて、加工位置K1に位置決めされたパンチ金型Pとダイ金型Dとの協働によりパンチ金型ング加工が行われる。
【0041】
また、前述のタレットパンチプレス1に隣接して金型交換装置37および金型マガジン39が設けられている。なお、金型交換装置37および金型マガジン39は既によく知られたものなので、概略のみ説明する。
【0042】
図7および図8を参照するに、金型交換装置37は、駆動モータ41により複数のギヤ43、45を介して回転自在な回転軸47に、Z軸方向(図7において上下方向)へ図示省略の駆動部材により移動自在な、パンチ金型Pを交換するための第1ツールチェンジャアーム49と、ダイ金型Dを交換するための第2ツールチェンジャアーム51とがZ軸方向へ移動自在に上下に並んで設けられている。
【0043】
前記第1ツールチェンジャアーム49は水平方向に伸縮自在であり、その先端には、例えば板バネグリッパ等によりパンチ金型Pを把持するためのパンチ金型用グリッパ53が設けられている。また、前記第2ツールチェンジャアーム51の先端には、ダイ金型Dを挟んで把持するダイ金型用グリッパ55が設けられている。
【0044】
上記構成により、上、下部タレット11、15に装着されたパンチ金型P、ダイ金型Dを交換する際には、回転軸47を回転させて、第1、第2ツールチェンジャアーム49、51をパンチ金型Pの交換位置K2とダイ金型Dの交換位置K3の真上に位置決めする。
【0045】
そして、第1、第2ツールチェンジャアーム49、51を下降させ、パンチ金型用グリッパ53とダイ金型用グリッパ55にてパンチ金型P、ダイ金型Dをそれぞれ把持し、所定量だけ第1、第2ツールチェンジャアーム49、51を上昇させて、パンチ金型Pおよびダイ金型Dを上、下部タレット11、15から引き抜く。
【0046】
パンチ金型Pの引き抜きを終了したらパンチ金型用グリッパ53を後退させ、ダイ金型Dの真上にパンチ金型Pを位置決めしてから第1、第2ツールチェンジャアーム49、51を回動させて、金型マガジン39上へパンチ金型P、ダイ金型Dを収納する。
【0047】
金型マガジン39は、駆動モータ57により複数のギヤ59、61を介して回転自在な回転軸63を備えており、この回転軸63には、パンチ金型Pを多数貯蔵可能な円盤形状のパンチストレージ65と、ダイ金型Dを多数貯蔵可能な円盤形状のダイストレージ67が上下方向に設けられている。
【0048】
従って、前述した金型交換装置37により、上、下部タレット11、15から取り外したパンチ金型P、ダイ金型Dは、金型マガジン39に設けたパンチストレージ65、ダイストレージ67に収納される。また、パンチストレージ65、ダイストレージ67に貯蔵されたパンチ金型P、ダイ金型Dのうち所望のパンチ金型P、ダイ金型Dを前記金型交換装置37にて取り出し、上、下部タレット11、15に装着する。
【0049】
図1には、上部タレット11のパンチ金型ステーションSTPを示す例えばバーコード、2次元コード(VERIコード、PDF417コード、QRコード)、IDタグ、ICチップ、マーカー等の識別媒体としての上部タレット識別標識69および各パンチ金型ステーションSTPに装着されているパンチ金型Pの識別媒体としてのパンチ識別標識71を読み取る第1読取り装置としての第1ID読取り装置73が示されている。
【0050】
上部タレット識別標識69は、各パンチ金型ステーションSTP位置において、上部タレット11の上面から上方へ設けられている支持部材75の上端面に設けられており、図3に示されているように、パンチ金型Pが複数列装着可能となっている場合には、各パンチ金型Pごとに対応して設けられている。なお、図1を参照するに、上部タレット11の上面の外周部に上部タレット識別標識76を設けるようにしても良い。この場合には、前述の支持部材75が不要である。また、パンチ金型Pを示すパンチ識別標識71は、パンチ金型Pのパンチヘッド77の上面に取り付けられている。
【0051】
図2を併せて参照するに、第1ID読取り装置73においては、パンチ金型交換位置K2の近傍における上部フレーム9の下面に、図1において左右方向へガイドレール79が設けられており、このガイドレール79に沿って水平スライダ81が移動自在に吊り下げられている。この水平スライダ81は、上部フレーム9の下面に設けられている駆動モータ83により回転される水平ボールネジ85に螺合するボールナット87を有しており、駆動モータ83が水平ボールネジ85を回転させると図1において左右方向へ移動する。
【0052】
前記水平スライダ81には下方に向かってスライダフレーム89が設けられており、このスライダフレーム89にはブラケット91が上下移動自在設けられている。すなわち、スライダフレーム89に上下方向に設けられている上下ガイドレール93に沿って上下移動自在の上下スライダ95を介してブラケット91が移動自在に支持されており、スライダフレーム89に設けられている駆動モータ97により回転駆動される上下ボールネジ99が回転自在に設けられている。
【0053】
従って、駆動モータ97が上下ボールネジ99を回転させることにより、この上下ボールネジ99に螺合する上下ボールナット101を備えたブラケット91が上下移動する。
【0054】
前記ブラケット91の下端部付近には、パンチ金型交換位置K2を通って上部タレット11の上部回転軸13に向かって(図1において左方向)延びる片持ち梁103が設けられている。この片持ち梁103にはベースプレート105が取り付けられており、このベースプレート105には水平方向に一対のガイドレール107が設けられている。
【0055】
再び図1を参照するに、前記ベースプレート105には、ACサーボモータ109が設けられており、このACサーボモータ109により回転駆動されるボールネジ111が図1において左右方向へ延伸され、しかも水平方向に回転自在に設けられている。前記ガイドレール107には、前記ボールネジ111の回転により前記ガイドレール107に沿って図1中左右へ移動し、前記ボールネジ111に螺合したボールナット113を有するスライダ115が設けられている。このスライダ115には、先端にリングライト117を備えた、上部タレット読み取り用CCDカメラ119が下向きに取り付けられている。
【0056】
上記構成により、駆動モータ83が水平ボールネジ85を回転させて水平スライダ81を水平方向へ移動させてパンチ金型交換位置K2の近傍に位置決めするとと共に、駆動モータ97が上下ボールネジ99を回転させてブラケット91を上下移動させて、上部タレット11の上方へ位置決めする。
【0057】
そして、ACサーボモータ109がボールネジ111を回転駆動してスライダ115を図1において左右方向へ移動させることにより、上部タレット読み取り用CCDカメラ119を各支持部材75あるいはパンチ金型Pの真上に移動させて、支持部材75の上端面に設けられている上部タレット識別標識69や各パンチ金型Pのパンチヘッド77上面に設けられているパンチ識別標識71を容易に且つ確実に読み取ることができる。
【0058】
従って、パンチ金型ステーションSTPとダイ金型ステーションSTDの各金型ステーションへ各金型を装着した入れ間違い等を確認することができる。
【0059】
次に、図4を参照するに、下部タレット15のダイ金型ステーションSTDの識別媒体である下部タレット識別標識121および各ダイ金型ステーションSTDに装着されているダイ金型Dの識別媒体であるダイ識別標識123、さらに上部タレット11の外周面に設けられている上部タレット11のパンチ金型ステーションSTPを示す識別媒体である上部タレット識別標識125を読み取る第2読取り装置としての第2ID読取り装置127が示されている。
【0060】
第2ID読取り装置127においては、ダイ金型交換位置K3の近傍における上部フレーム9の下側に、ブラケット129が水平方向(図4において左右方向)および上下方向(図4において上下方向)に移動自在に設けられている。なお、ブラケット129の水平方向移動機構および上下方向移動機構は、先に図1において示した機構とまったく同様なので、同じ部位には同じ符号を付して、重複する説明は省略する。
【0061】
前記ブラケット129の下端部には下部タレット15の上方において下部タレット15の下部回転軸17方向(図4において左方向)へ水平に延びる片持ち梁131が取り付けられている。
【0062】
図5を併せて参照するに、前記片持ち梁131には、ベースプレート133が取り付けられており、このベースプレート133には一対のガイドレール135が設けられている。また、ベースプレート133にはACサーボモータ137が設けられており、このACサーボモータ137により回転駆動されるボールネジ139が水平方向に回転自在に設けられている。前記ガイドレール135には、前記ボールネジ139の回転により前記ガイドレール135に沿って図4中左右へ移動し、前記ボールネジ139に螺合したボールナット141を備えたスライダ143が設けられている。
【0063】
再び図4を参照するに、前記スライダ143には、先端にリングライト145を備えた読み取りヘッドとしての下部タレット読み取り用CCDカメラ147が下向きに取り付けられている。また、片持ち梁131の先端部上面には、上部タレット11の周面(外周面)に設けられた上部タレット識別標識125を読み取るためのリングライト149および上部タレット周面読み取り用CCDカメラ151が設けられている。
【0064】
上記構成により、ACサーボモータ137がボールネジ139を回転駆動してスライダ143を図4において左右方向へ移動させることにより、下部タレット読み取り用CCDカメラ147にて下部タレット15のダイ金型ステーションSTDを示す下部タレット識別標識121およびダイ識別標識123を容易且つ確実に読み取ることができる。あるいは、下部タレット15の周面(外周面)に設けられたダイ金型ステーションSTDを示す下部タレット識別媒体152を容易且つ確実に読み取ることができる。
【0065】
また、駆動モータ97によりボールネジ99を回転させることにより上部タレット外周面読み取り用CCDカメラ151を上下移動させて、複数の上部タレット識別標識125を容易且つ確実に読み取ることができる。
【0066】
さらに、下部タレット15に装着されているダイ金型Dが大径のものである場合には、図6に示されているように、下部タレット15を極低速(例えば10rpm以下)で回転させながら、下部タレット読み取り用CCDカメラ147を下部タレット15の径方向へ往復移動させて走査し、下部タレット識別標識121およびダイ識別標識123を読み取ることができる。なお、上部タレット読み取り用CCDカメラを同様に上部タレットの径方向へ往復移動させ走査することによりパンチ金型Pが大径のものである場合も同様に読み取ることができる。
【0067】
以上の結果から、第1ID読取り装置73により支持部材75の上端に設けられている上部タレット識別標識69、あるいは上部タレット11の上面に設けられている上部タレット識別標識76およびパンチ識別標識71を上方から容易に且つ確実に認識することができる。
【0068】
また、上部タレット11において、上部タレット11の径方向に複数列のパンチ金型Pを装着している場合でも、各パンチ金型Pおよびパンチ金型Pに対応するステーションのIDを1台の上部タレット読み取り用CCDカメラ119を往復移動することにより容易に且つ確実に認識することができる。
【0069】
また、第2ID読取り装置127では、小径の上部タレット11から大径の下部タレット15がはみ出している開放領域Rに設けられている下部タレット読み取り用CCDカメラ147により、上部タレット11に遮られることなく下部タレット識別標識121,152およびダイ識別標識123を容易に且つ確実に認識することができる。
【0070】
また、第2ID読取り装置127に設けられている上部タレット外周面読み取り用CCDカメラ151により、上部タレット11の外周面に設けられている上部タレット識別標識125を容易に且つ確実に認識できるので、コンパクトな装置により下部タレット15および上部タレット11に設けられている識別標識を容易に且つ確実に認識することができる。
【0071】
なお、この発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。すなわち、前述の発明の実施の形態においては、第1ID読取り装置73と第2ID読取り装置127を別個に説明したが、これら両方を備えるようにすることもできる。この場合において、上部タレット11の上面に上部タレット識別標識69、76を設けてある場合には、第2ID読取り装置127の上部タレット外周面読み取り用CCDカメラ151は設ける必要はない。
【0072】
また、前述の第2ID読取り装置127においては、下部タレット識別標識121とダイ識別標識121を読み取るための下部タレット読み取り用CCDカメラ147と、上部タレット15の外周面に設けられている上部タレット識別標識125を読み取るための上部タレット外周面読み取り用CCDカメラ151の2個のCCDカメラを設けたが、1個のCCDカメラのみを設けて、このCCDカメラを径方向に移動可能且つ図4において下部タレット15の上面に対向する下方向きの姿勢および上部タレット11の外周面に対向する左向きの姿勢を切換え自在とすることもできる。
【0073】
すなわち、図9および図10を参照するに、ボールネジ139に螺合するボールナット141の作用により左右方向へ移動するスライダ143の側面に、前述の下部タレット読み取り用CCDカメラ147が取り付けられたプレート153を回転自在に設け、このプレート153をギヤ155、157を介して駆動モータ159により回転させることにより、下部タレット読み取り用CCDカメラ147の姿勢を下向きあるいは水平向きに切り換えるようにする。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によるタレットパンチプレスでは、上部タレットの各パンチ金型ステーションに設けられた識別媒体により各パンチ金型ステーションを識別すると共に、下部タレットの各ダイ金型ステーションに設けられた識別媒体により各ダイ金型ステーションを識別することができる。同時にパンチ金型及びダイ金型の識別媒体によりパンチ金型及びダイ金型を識別することにより、各金型ステーションへ各金型を装着した入れ間違い等を確認することができる。
【0075】
また、上部タレットと下部タレットは加工位置において同じ位置となっているので、径の大きな下部タレットは、加工位置とは反対側において小径の上部タレットからはみ出して、上方が開放された開放領域を有している。従って、特に、この開放領域において下部タレットにおける各ダイ金型ステーションの識別を容易に行うことができる。
【0076】
請求項1の発明によるタレットパンチプレスでは、特に複数列のパンチ金型を上部タレットの径方向に有する場合には、各パンチ金型間にパンチ金型ヘッドと同程度の高さの支持部材を設け、この支持部材の上端面に識別媒体を設けてあるので、上部タレットのパンチ金型ステーションを示す識別媒体を上方から容易に且つ確実に認識することができる。
【0078】
また、請求項1の発明によれば、第1読取り装置により上部タレットの各パンチ金型ステーションに対応した各識別媒体を容易且つ確実に読み取ることができる。同様に第2読取り装置により下部タレットの各ダイ金型ステーションに対応した各識別媒体を容易且つ確実に読み取ることができる。同時にパンチ金型及びダイ金型の識別媒体を読み取ることにより、パンに金型及びダイ金型が確実に認識されるので、金型ステーションへ別の金型を装着した入れ間違い等を確認することができる。
【0079】
さらに、請求項1の発明によるタレットパンチプレスでは、第1読取り装置を上部タレットの径方向へ移動させながら上部タレットに設けられている識別媒体を認識するので、各パンチ金型ステーションにおいて径方向に複数列設けられているステーション位置を容易に且つ確実に認識することができる。同様に、第2読取り装置を下部タレットの径方向へ移動させながら下部タレットに設けられている識別媒体を認識するので、各ダイ金型ステーションにおいて径方向に複数列設けられてるステーション位置を容易に認識することができる。
【0080】
請求項2の発明によるタレットパンチプレスでは、上部タレットおよび下部タレットの周面に識別媒体を設けた場合には、上部タレットおよび下部タレットの側方から識別媒体を認識することができる。また、上部タレットおよび下部タレットの上面に識別媒体を設けた場合には、上部タレットおよび下部タレットの上方から識別媒体を容易に且つ確実に認識することができる。
【0081】
請求項3の発明によるタレットパンチプレスでは、小径の上部タレットの下方においてはみ出している大径の下部タレットの上方である開放領域に設けられた読取り装置により、上方から下部タレットに設けられている識別媒体を容易に且つ確実に読み取ることができる。また、上部タレットの外周面または上面の外周付近に設けた識別媒体を、読み取りヘッドにより開放領域である下部タレットの上方から容易に且つ確実に読み取ることができる。
【0084】
請求項4の発明によるタレットパンチプレスに装着した金型の識別媒体読取り方法では、タレットを低速回転させ、読取り装置をタレットに装着されている金型と対向させて、読取り装置をタレットの回転方向と交差する方向へ往復移動させて走査することにより、この金型に設けられている識別媒体を容易に且つ確実に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るタレットパンチプレスにおける第1ID読取り装置を示す断面図である。
【図2】図1においてII方向から見た側面図である。
【図3】図1においてIII−III方向から見た平面図である。
【図4】この発明に係るタレットパンチプレスにおける第2ID読取り装置を示す断面図である。
【図5】図4においてV方向から見た側面図である。
【図6】下部タレット読み取り用CCDカメラの移動と下部タレットの回転の関係を示す平面図である。
【図7】この発明に係るタレットパンチプレスを示す正面図である。
【図8】図7においてVIII−VIII方向から見た平面図である。
【図9】図4における下部タレット読み取り用CCDカメラの旋回機構を示す正面図である。
【図10】図9においてX方向から見た平面図である。
【符号の説明】
1 タレットパンチプレス
11 上部タレット
15 下部タレット
69 上部タレット識別標識(識別媒体)
71 パンチ識別標識(識別媒体)
73 第1ID読取り装置(第1読取り装置)
75 支持部材
99 下部タレット識別標識(識別媒体)
101 ダイ識別標識(識別媒体)
105 第2ID読取り装置(第2読取り装置)
125 下部タレット読み取り用CCDカメラ(読み取りヘッド)
P パンチ金型
D ダイ金型
R 開放領域
Claims (4)
- 複数のパンチ金型を装着した上部タレットと、前記各パンチ金型と対応した複数のダイ金型を装着した下部タレットと、を上下に対応して回転自在に設けたタレットパンチプレスにおいて、前記上部タレットの径は下部タレットの径よりも小径であり、且つ上部タレットの軸心と下部タレットの軸心とが位置ずれしてあって、前記下部タレットの上面の一部に開放領域を設け、前記上部タレットに設けたパンチ金型ステーションに対応した位置に、上端部に識別媒体を備えた支持部材を立設し、前記上部タレットに設けた複数のパンチ金型ステーションに対応して各パンチ金型ステーションを表す識別媒体を設けると共に、前記下部タレットに設けた複数のダイ金型ステーションに対応して各ダイ金型ステーションを表す識別媒体を設け、前記上部タレットに設けた各パンチ金型ステーションに対応した各識別媒体を読み取るための第1読取り装置と、前記下部タレットに設けた各ダイ金型ステーションに対応した各識別媒体を読み取るための第2読取り装置とを設け、前記第1読取り装置と第2読取り装置とをそれぞれ上下のタレットの径方向へ移動自在に設けてなることを特徴とするタレットパンチプレス。
- 請求項1に記載のタレットパンチプレスにおいて、前記上部タレットおよび下部タレットに備えた複数パンチ金型ステーションに対応した複数の識別媒体を前記上部タレットおよび下部タレットの周面または上面の外周付近に設けたことを特徴とする特徴とするタレットパンチプレス。
- 請求項2に記載のタレットパンチプレスにおいて、少なくとも前記下部タレットに備えた各ダイ金型ステーションに対応した各識別媒体を読み取るための読み取り装置を設け、該読み取り装置は前記上部タレットの周面または上面の外周付近に設けた各識別媒体を読み取るための読み取りヘッドを備えたことを特徴とするタレットパンチプレス。
- タレットパンチプレスにおける回転自在な下部タレットに装着した複数のダイ金型にそれぞれ備えた識別媒体の読取り方法において、前記下部タレットを低速回転させると共に、該下部タレットの上方に配置した前記識別媒体を読み取る読取り装置を、前記下部タレットの回転方向に対して交差する方向に往復移動させ、前記読取り装置と前記識別媒体が対向したときに該識別媒体の情報を読み取ることを特徴とするタレットパンチプレスのダイ金型の識別媒体読取り方法。
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