JP4682348B2 - 溶液等電点電気泳動による荷電分子解析の方法および装置 - Google Patents
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Description
発明の技術分野
本発明は荷電分子の等電点電気泳動、特に、タンパク質の等電点電気泳動の分野に関する。
【0002】
発明の背景
現在、細胞、組織、または生物全体のタンパク質プロフィールの変化を定量的に比較する方法として唯一利用可能であるのが、2次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D PAGE)である(ハーバート(Herbert)ら(1997)「プロテオーム研究:機能的ゲノム解析の新境地(PROTEOME RESEARCH: NEW FRONTIERS IN FUNCTIONAL GENOMICS)」(ウィルキンズ(Wilkins)ら編)pp. 13-33, Springer, Berlin;クワドローニ(Quadroni)およびジェームズ(James)(1999) Electrophoresis 20, 664-677)。可溶性の両性電解質(クローズ(Klose),(1975)Humangenetik 26, 231-243;オファーレル(O'Farrell)(1975)J. Biol. Chem. 250, 4007-4021;シール(Scheele)(1975)J. Biol. Chem. 250, 5375-5385)または固定剤(immobiline)(ビェルクビスト(Bjellqvist)ら(1982)J. Biochem. Biophys. Meth. 6, 317-339)を含むゲルチューブまたはゲルストリップ中において変性条件下で等電点電気泳動を利用し、続いて従来のSDS PAGEスラブゲル上で2次元分離を行うのが基本的な方法である。
【0003】
タンパク質スポット数が最大1,000〜3,000個と予測される真核生物のプロテオームには、通常、既存の2D法で十分である。これとは対照的に、酵母は6,000個を超える遺伝子、Caenorhabditis elegansは19,000を超える遺伝子、より高等な真核生物では約100,000個の遺伝子を有する。哺乳動物の細胞で一度に発現する遺伝子の数は十分に定義されていないが、少なくとも5,000〜10,000個であるという予測が妥当と考えられる。さらに、高等な真核生物ではmRNAの大幅な選択的スプライシングおよび多くのタンパク質の翻訳後修飾が生じ、このため予測されるタンパク質スポット数が増加する(グーリー(Gooley)およびパッカー(Packer)(1997)「プロテオーム研究:機能的ゲノム解析の新境地(PROTEOME RESEARCH: NEW FRONTIERS IN FUNCTIONAL GENOMICS)」(ウィルキンズ(Wilkins)ら編)pp. 65-91, Springer, Berlin)。真核生物のプロテオーム中に存在するタンパク質成分の大多数を分離および検出するには、現在の2D法には十分な分離能がなく、動的範囲も不十分である。したがって、真核生物のプロテオームを効果的に解析するには、細胞抽出物全体中に存在する10,000個を超えるタンパク質成分の大多数を分離し、かつ定量的に検出できる、より優れたタンパク質分離方法が必要である。
【0004】
真核生物のプロテオーム中に存在する多数のタンパク質成分を分離する方法の一つは、2D PAGEの前に試料タンパク質を前分画することである。既報の前分画法としては、段階的に強くした可溶化溶液による連続抽出(モロイ(Molloy)ら(1998)Electrophoresis 19, 837-844)、細胞内構造分画(subcellular fractionation)(フーバー(Huber)ら(1996)Electrophoresis 17, 1734-1740)、および、最も豊富なタンパク質成分を選択的に除去する方法(ロロ(Lollo)ら(1999)Electrophoresis 20, 854-859)などがある。この他の代替法としては、ゲル濾過、イオン交換、またはアフィニティークロマトグラフィーなど従来のクロマトグラフィー技術がある。しかし、これらの方法は、分画間のタンパクス質分離が不完全という欠点があり、収率が低いことが多い。分画プール間における特定のタンパク質の交差混入が定量的な解析および比較に重大な混乱をもたらすことがある。これは、多くのタンパク質が2つ以上の分画中に現れ、かつ、交差混入の程度はしばしばばらつきが大きいためである。
【0005】
タンパク質前分画手順としての予備的等電点電気泳動はビエール(Bier)らによって提唱され(「ペプチド:構造と生物学的機能(PEPTIDES: STRUCTURE AND BIOLOGICAL FUNCTIONS)」(グロス(Gross)およびマイエンホーファー(Meienhofer)編 pp.79-89. Pierce Chemical Co., Rockford, Ill., 1979)、Rotoforと呼ばれる市販品がBio-Rad(米国カリフォルニア州Hercules)から販売されている。これは、20個のコンパートメントに分けられた回転チャンバとして形成されており、溶液等電点電気泳動を用いて試料を分画する。しかし、この装置は分離隔壁がなく、概して、各分画の体積が比較的大きい、分離能の低い技術である。リゲッティ(Righetti)ら((1989) J. Chromatogr. 475, 293-309)は、特定のpHを有するポリアクリルアミドゲル膜で各コンパートメントが仕切られた多コンパートメントの電気分解装置について説明している。固定化pH勾配(IPG)ゲルにpH勾配を形成するのと同様の方法で、ポリアクリルアミド膜に固定剤を組み込む。この原理を採用したIsoPrimeと呼ばれる装置が市販されている(Hoefer Pharmacia、カリフォルニア州San Francisco)。IsoPrimeユニットは部分的に精製した調製物から出発して、各タンパク質を大規模に精製することを主眼に開発されたもので、粗抽出物の分画用ではない。同装置は大きな分離チャンバを有し、分離チャンバは各分画の体積をさらに増加させる(約30 ml)ためのペリスタポンプと外部チャンバとに接続されている。IsoPrimeユニットは質の高い分離が可能であるが、一方で、その大きな容積と設計のため、プロテオーム研究用に変性条件下で試料を前分画するには実用的でない。同様に、他の予備的等電点電気泳動装置においても、RotoforまたはIsoPrimeで経験される限界の少なくともいくつかが問題となる。特に、(1)試料を大量に必要とする、(2)濃縮を要する大量の希釈分画が生じ、濃縮の際に損失を伴う、(3)分離能が低い、または、(4)高価で複雑な計器装備を伴う、という問題がある。
【0006】
プロテオーム研究用の前分画法は、少量タンパク質の検出を向上させ、同定できるタンパク質成分の総数を増加させるものと考えられる(クワドローニ(Quadroni)ら1999; ウィリアムズ(Williams)(1999)Electrophoresis 20, 678-688)。理想的な前分画法とは、真核生物の細胞または組織の全抽出物などの複雑なタンパク質混合物を、明確に定義された少数の分画に分解できるものである。分画の数が少ないことは必須である。なぜなら、少なくなければ、すでに労働集約的な手順となっている2D分離が極端に複雑なものになるからである。一方で、隣接する分画間でのタンパク質の交差混入を最小限に抑えるため、分離能が高いことも必須である。市販の予備的等電点電気泳動(IEF)法は、概して大量の試料を消費し、タンパク質の損失が大きく、解析的IEFより分離能がはるかに低いため隣接分画間で多くのタンパク質の交差混入が生じ、かつ、得られる分画は希釈度が非常に高く2Dゲルでの直接解析に使用できないことから、前分画には適さない。
【0007】
発明の概要
本発明の目的の一つは、荷電分子を分離するための新規の装置と方法を提供することである。本発明のこれらおよびその他の目的は、以下に示す1つまたは複数の態様により示される。
【0008】
本発明の一つの態様では、液体を保持するためのチャンバを提供する。チャンバは、第一の端に小イオン透過性の第一の膜を有し、かつ、第一の端と反対側の第二の端に小イオン透過性の第二の膜を有する。少なくとも1つのゲル膜仕切りがチャンバに沿って配置され、この仕切りにより、各コンパートメントの保持する液体の体積が5 ml未満となるよう、チャンバ内で複数のコンパートメントが規定される。
【0009】
本発明の別の態様では、荷電分子を分離する方法を提供する。溶液中の荷電分子は前述のチャンバのコンパートメントに添加される。チャンバの第一の端と第二の端との間に直流電流が印加され、これにより荷電分子が分離される。
【0010】
本発明は、荷電分子を明確に定義されたプールに分画でき再現性を有する、新しい小規模の溶液等電点電気泳動の装置と方法とを提供する。この手法は、10,000を上回るタンパク成分の再現可能な分離と定量とに適した、真核生物のプロテオーム試料などのより複雑な荷電分子試料に適用することができる。
【0011】
発明の詳細な説明
荷電分子は、タンパク質も含め、特定のpHでの実効電荷が異なるという性質により等電点電気泳動で分離することができる。本発明は荷電分子を等電点電気泳動するための新しい装置と方法とを提供するものであり、特に多数の荷電分子の分離に有用である。本発明は特にタンパク質の2次元電気泳動分離に有用である。
【0012】
チャンバ
本発明は、液体を保持するためのチャンバを含む。図1に示すように、本発明の一つの態様はチャンバ(100)を含む。小イオン透過性膜がチャンバの第一の端(110)に配置される。別の小イオン透過性膜が、チャンバの第一の端と反対側の、チャンバの第二の端(120)に配置される。ゲル膜仕切り(130, 140, 150, 160)がチャンバ(100)に沿って配置され、チャンバ(100)内で複数のコンパートメント(170, 180, 190, 200, 210)を規定する。ゲル膜仕切り(130, 140, 150, 160)はシール(220)によってチャンバ(100)内に嵌め込まれる。
【0013】
選択的に、チャンバの第一の端に配置された小イオン透過性膜(110)に隣接するゲル膜仕切り(130)と、チャンバの第二の端に配置された小イオン透過性膜(120)に隣接するゲル膜仕切り(160)とは、他のゲル膜仕切りより高い割合のアクリルアミドを含む。この選択的な態様において、チャンバの第一の端に配置された小イオン透過性膜(110)と、隣接するゲル膜(130)とでつくられるコンパートメントはターミナル分離コンパートメント(170)であり、陽極緩衝液が充填される。さらに、チャンバの第二の端に配置された小イオン透過性膜(120)と、隣接するゲル膜(160)とでつくられるコンパートメントはターミナル分離コンパートメント(210)であり、陰極緩衝液が充填される。
【0014】
チャンバは、例えばテフロンまたはプラスチックなど、液体の保持に適した任意の材料を含んでもよい。チャンバは、チャンバの第一の端と、第一の端と反対側の第二の端とに配置された、小イオン透過性膜を含む。該膜はチャンバ内のコンパートメントを保護し、かつ、仕切りとなる。該膜はまた、分離コンパートメントのpH範囲外のpIを有するタンパク質が電気泳動タンク内へと移動するのを防ぐ。有用な膜の一例は透析膜である。透析膜は、例えば少なくとも1、5、10、または30 kDaの分子量カットオフ値を有してもよいが、任意の分子量カットオフ値を有する透析膜の使用は本発明の意図に含まれる。
【0015】
チャンバはゲル膜仕切りにより分離コンパートメントに分けられる。ゲル膜仕切りは好ましくはアクリルアミドまたはポリアクリルアミドを含む。ゲル中のアクリルアミドの濃度は、一般的に%T(ゲル中のアクリルアミドの重さによる総パーセンテージ)および%C(使用する架橋剤と反応する総アクリルアミドの割合)により示される。N,N'-メチレンビスアクリルアミド(「ビス(bis)」)は使用可能な架橋剤の一例である。ゲル膜仕切りは、ゲル膜仕切りを通過するまたはゲル膜仕切り内を移動する荷電分子の動きを妨げない、大きな孔径を有することが好ましい。当業者は、日常的な実験のみを行うことにより、適切な%Tと%Cとを有するゲル膜仕切りを形成することができる。有用なゲル膜仕切りは、濃度が少なくとも1、3、10、15、または25 %T、かつ、1、5、8、15、または25 %Cであってもよい。
【0016】
選択的に、チャンバの第一の端に隣接する、すなわち小イオン透過性膜に隣接するゲル膜仕切りと、チャンバの第二の端に隣接する、すなわち第二の小イオン透過性膜に隣接するゲル膜仕切りとは、チャンバ内の他のいずれのゲル膜仕切りよりも高い割合のアクリルアミドを含む。アクリルアミドの割合がこのように高いゲル膜仕切りと小イオン透過性膜とで形成されるコンパートメントをターミナル・コンパートメントと呼ぶ。
【0017】
好ましくは、各ゲル膜仕切りはチャンバ内の他のゲル膜仕切りと異なるpHを有する。ゲル膜仕切りは、荷電分子の分離に適した任意のpHをもっていてよい。より好ましくは、チャンバ内のゲル膜仕切りによりあるpH範囲がつくられるように、各ゲル膜仕切りは異なるpHを有する。当業者は、特定の荷電分子の集合を分画するのに有用なpH範囲を有するゲル膜仕切りを選択することができる。ゲル膜仕切りがそれぞれ異なるpHを有する場合、チャンバ内でpHが最も低いものから最も高いものへと配列するのが好ましい。ゲルのpHは、例えば固定剤(Fluka、ウィスコンシン州Milwaukee)など、強い緩衝能を有する分子を用いて所望のpHに調整することができる。
【0018】
ゲル膜仕切りは、例えば少なくとも厚さ0.1〜5 mmであってよく、好ましくは少なくとも厚さ0.5〜2 mmであり、より好ましくは少なくとも厚さ0.9〜1.2 mmである。ゲル膜仕切りの領域は少なくとも10 mm、100 mm、250 mm、500 mm、またはそれ以上でありうる。ゲル膜仕切りは、例えば四角形または円形など、チャンバ内にはまる任意の形状でありうる。チャンバ内で任意の数のゲル膜仕切りを使用して任意の数のコンパートメントを形成することができる。例えば、チャンバ内に少なくとも1、4、10、50、100、またはそれ以上のゲル膜仕切りがあり、2、5、11、51、101、またはそれ以上のコンパートメントが形成されてもよい。
【0019】
ゲル膜仕切りは、高度に多孔性のマトリックスをゲル膜仕切り内に埋め込むことによって機械的強度を高めても良い。例えば、非ガラス繊維性のフィルタ、またはWhatman GF/Dガラス繊維フィルタなどのガラス繊維性フィルタを使用してゲル膜仕切りの強度を高めてもよい。
【0020】
ゲル膜仕切りは、ゲル膜仕切りでつくられるコンパートメント間で液体または電流の漏れが生じないよう、本発明のチャンバ内にシールされる。ゲル膜仕切りは、例えば、O-リングに嵌合させるかもしくはゴム管で周囲を囲い、O-リングまたは管とチャンバとの間がシールされるようにしてもよい。または、テフロンまたはポリプロピレンなど適切な材料のガスケット中にゲル膜仕切りを成形してもよい。ゲル膜仕切りを含むガスケットとチャンバとの間がシールされるよう、ガスケットをチャンバ内に嵌め込む。
【0021】
好ましくは、チャンバの各コンパートメントが保持する液体の量は5 ml未満とする。より好ましくは、各コンパートメントが保持する液体の量は4 ml未満、1 ml未満、または0.1 ml未満とする。
【0022】
選択的に、チャンバの各コンパートメントは、各コンパートメントに液体を注入するまたは各コンパートメントから液体を抽出するために使用できるアクセスポートを有することができる。好ましくは、各コンパートメントに液体を添加するまたは各コンパートメントから液体を除去することができるよう、該ポートにより注射器またはピペットチップがコンパートメントに到達できるものとする。
【0023】
選択的に、チャンバは、コンパートメント内の液体に動きを与えるために撹拌することができる。チャンバは例えば電磁撹拌機を用いて、または、チャンバを円状に回転させることよって撹拌してもよい。
【0024】
本発明の好ましい態様では、前述のようなチャンバ、電気泳動用のタンク、および電源を含む装置が提供される。チャンバは電気泳動タンク内に設置され、タンクには陽極緩衝液と陰極緩衝液とが充填される。チャンバがターミナル分離コンパートメントを有する場合は、これらのコンパートメントにも陽極緩衝液と陰極緩衝液とが充填される。分離コンパートメントには試料が充填される。電源はタンクに接続され電圧が印加される。
【0025】
荷電分子の分離方法
前述のようなチャンバを用いて荷電分子を分離してもよい。荷電分子は電流印加下で、該荷電分子の実効電荷がゼロとなる地点(すなわち該荷電電子の等電点)であるチャンバの領域(すなわちコンパートメントまたはゲル膜仕切り)に入るまで、チャンバを通過して移動する。荷電分子は、少なくとも10、50、1,000、15,000、またはそれ以上の分子の混合物でありうる。好ましくは荷電分子はタンパク質であり、より好ましくは荷電分子は原核生物または真核生物のプロテオームである。プロテオームは少なくとも1,000、10,000、15,000、またはそれ以上のタンパク質成分を含んでいてもよい。
【0026】
本発明の装置および方法により任意の荷電分子調製物を分離することができる。タンパク質試料は粗原料または部分的に精製されたものでもよい。例えば、タンパク質試料の精製度は25、50、75、90、または95%であってもよい。さらに、タンパク質試料は変性したものでも天然の構造であってもよい。例えば、原核生物細胞または真核生物細胞を例えば細胞培養または組織試料から取得し当業者に既知の方法によって細胞を溶解することによって、原核生物試料または真核生物試料を調製してもよい。例えば細胞はペレットにし溶解緩衝液に再懸濁してもよく、続いて例えば細胞を音波処理してもよい。例えば、アウスベル(Ausubel)ら(1994)「分子生物学の最新プロトコル(CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY)」(Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons, New York, NY)、および、サンブルック(Sambrook)ら(1989)「分子クローニング:実験室マニュアル(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL)」第2版(Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York)を参照のこと。音波処理後、細胞溶解物は遠心分離およびSDS処理を行ってもよい。試料中のタンパク量は、たとえばBCAタンパク質アッセイ法(Pierce Chemical Co. 米国イリノイ州Rockford)を用いて決定してもよい。試料はさらにDNase/RNase(ハーパー(Harper)ら、1995)で処理してもよい。
【0027】
荷電分子試料はIPG試料緩衝液中に可溶化され、少なくとも1つの分離コンパートメントに添加される。好ましくは、IPG緩衝液中の試料は分離コンパートメントの数に均等に分け、各分離コンパートメントが充填されるように各分離コンパートメントに入れる。試料がタンパク質またはタンパク質の混合物である場合は、各分離コンパートメントに0.01、1、5、10、または50 mgのタンパク質を添加してもよい。チャンバがターミナル分離コンパートメントを有する場合は、これらのコンパートメントにIEF陽極電極緩衝液およびIEF陰極電極緩衝液を充填する。これらの緩衝液は当業者が作製してもよく、市販のものを使用してもよい(BioRad)。
【0028】
充填したチャンバは電気泳動タンク内に設置してもよく、タンクの2つのコンパートメントにはそれぞれ陽極緩衝液および陰極緩衝液を充填してもよい。電気泳動タンクに電源を接続してもよく、当業者に既知のとおり電流が低レベルへと降下して平衡に達したことを示すまで電圧を印加してもよい。典型的には、少なくとも25、100、500、1,000、または2,000 V を1、12、24、または48時間使用してもよい。選択的に、電流が低レベルへと降下するまで、集束(focusing)の間に電圧を調整してもよい。
【0029】
分画した試料は各分離コンパートメントから除去する。分画試料の大部分を回収するため、ゲル膜の表面および分離コンパートメントの壁を少量の試料緩衝液ですすぎ、すすぎ液を分画試料とあわせてもよい。各ゲル膜仕切りをチャンバから除去し、ゲルから荷電分子を抽出することにより、分画試料の回収率をさらに高めることができる。抽出したこれらの荷電分子は分画試料とあわせてもよく、最も好ましくは、抽出したゲル膜仕切りのいずれかの側のコンパートメントから回収した分画試料とあわせる。さらに、ターミナル分離コンパートメントがある場合は該ターミナル分離コンパートメントから荷電分子を回収してもよく、該ターミナル分離チャンバに隣接するコンパートメントから回収した分画試料とあわせてもよい。好ましくは、チャンバに添加したタンパク質または荷電分子の50、80、95、または100%が分画試料として回収される。
【0030】
分画した試料は例えばSDS PAGEに供してもよい。または、溶液等電点電気泳動により調製した複製分画試料を、種々のpH範囲のIPGストリップで分離し、続けてSDS PAGEを行ってもよい。図9を参照のこと。
【0031】
以下に示す実施例は例示のみを目的としたものであり、広範な用語で以上に説明した本発明の範囲を制限するものではない。本明細書で引用した参考文献はすべて参照として本明細書に組み入れられる。
【0032】
実施例
実施例 1 :代謝的に放射線標識した大腸菌 (E. coli) 抽出物の調製
これらの研究では、代謝的に放射線標識した大腸菌抽出物を用いてタンパク質の回収を系統的に評価した。大腸菌を選択したのは、この比較的単純な生物は代謝的な放射線標識が容易で高い比活性をもたせることができ、タンパク質損失を高感度かつ高信頼度で検出できるためである。試料の一部をヨウ素化するなどの化学的標識法と比較して、試料全体を代謝的に放射線標識することにより、タンパク質の特性を変化させることなく、かつ各タンパク質を同質の分子母集団とすることができた。
【0033】
大腸菌を、既報の方法(ハーパー(Harper)およびスパイチャー(Speicher), (1995)「タンパク質科学の最新プロトコル(CURRENT PROTOCOLS IN PROTEIN SCIENCE)」(コリガン(Coligan)ら編), pp. 6.6.1-6.6.21, John Wiley & Sons Inc., Virginia)を改変して培養した。簡潔には、E coliの細胞をルリアブロス(Luria broth)(LB培地)に接種し、連続的に振盪して(250〜300 rpm)37℃で6時間インキュベートした。次にこのLB培地を最少培地に接種し、一晩インキュベートした。一晩培養培地の550 nm吸光度が約1.0になった時点で、ProMix 35S(Amersham Corp)5 μCi/mlを含むメチオニン・システインフリー最少培地で9倍に希釈した。比活性が高くなるよう細胞タンパク質を代謝的に放射線標識するため、OD550が0.9〜1.0になるまで大腸菌細胞を培養した。
【0034】
基本的にハーパー(Harper)およびスパイチャー(Speicher) (1995)の方法に従って、大腸菌を溶解して35S放射線標識したタンパク質を抽出した。簡潔には、4000 g、4℃、20分間の遠心分離により培養細胞を回収し、細胞ペレットを新鮮最少培地に再懸濁し、遠心分離により1回洗浄した。上清を廃棄した後、50 mM NaCl、50 mM Tris、5 mM EDTA、1 μg/ml ロイペプチン、1 μg/ml ペプスタチン、0.15 mM フェニルメチルスルフォニル・フルオライド(PMSF)、1 mM ジイソプロピル・フルオロリン酸(DFP)を含むpH 8.0の溶解緩衝液5 mlにペレットを再懸濁し、プローブ・チップ音波処理器を用いて氷上で音波処理した。過熱を防ぐため、音波処理器の出力設定は最低とし、音波出力15秒間、間隔1分間のサイクルを20サイクル実施した。細胞溶解物を48,000 g、4℃で20分間遠心分離し、上清を回収した。このE coli抽出物の上清に、最終濃度が0.05%となるようSDSを添加した。この試料を、12 kDaカットオフ透析膜を用い、0.05% SDSを含む溶解緩衝液を透析液とし、緩衝液を2回交換して4℃で約15時間透析して、取り込まれていない放射線標識を除去した。BCAタンパク質アッセイ(Pierce Chemical Co., Rockford, IL, USA)を用いて透析後の試料中のタンパク量を決定した後、試料のアリコートを使用時まで-80℃で保管した。試料は使用直前に解凍し、ハーパー(Harper)らの方法((1995)「タンパク質科学の最新プロトコル(CURRENT PROTOCOLS IN PROTEIN SCIENCE)」(コリガン(Coligan)ら編), pp. 10.4.1-10.4.36, John Wiley & Sons Inc., Virginia)に従ってDNase/RNaseで処理し、凍結乾燥し、各実施例で説明している適切なIPG試料緩衝液に溶解した。
【0035】
実施例 2 : 2 次元電気泳動
等電点電気泳動装置、IPGゲル、および関連試薬は、特に記述があるものを除いてAmersham Pharmacia Biotech(米国カリフォルニア州San Francisco)から購入した。種々のpH範囲のIPGストリップ(pH 3〜10 NL、4〜7 L、および4.8〜6.2 L、長さ18 cm)を用い、IPGphor(商標)等電点電気泳動システムでタンパク質を等電点電気泳動した。pH範囲の狭いIPGゲル(pH 4.8〜6.2 L)は、IPG応用マニュアル(LKB Bromma 1990)の説明に従い市販の固定剤を使用して実験室で成形した。IEF直前に、ゴーグ(Gorg)ら(1999)の方法に従い、セラミック製ストリップホルダー内で、試料を溶解したIPG試料緩衝液(350 μl)で乾燥IPGストリップを8時間再水和した(1時間は電流なし、次の7時間は30Vを印加)。IPG試料緩衝液の組成は、2 M チオ尿素、7 M 尿素、0.1 M DTT、4% CHAPS、および2% IPG緩衝液(使用pH範囲に適合した担体両性電解質混合液)とした。8時間の再水和後、500 V、1000 V、2000 Vでそれぞれ1時間集束させ、続いて8000 Vを印加し、合計60 kVhとした。
【0036】
集束させたIPGストリップを2次元ゲルに流す直前に、IPGストリップを、50 mM Tris、6 M 尿素、2% SDS、30% グリセロール、30 mM DTT、pH 6.8の溶液10 mL内で10分間インキュベートし、続いてDDTの代わりに2.5%ヨードアセトアミドを使用した同じ溶液で10分間インキュベートした。レムリ(Laemmli)の方法((1970) Nature 227, 680-685)で調製した10%アクリルアミド分離ゲルで、Iso-Daltゲルフォーマット(25 x 20 cm、厚さ1.5 mm)(Pharmacia)を用いて2次元SDS-PAGEを実施した。50 mM Tris-Cl (pH 6.8)、2% SDS、30%グリセロール、およびブロモフェノールブルーを含む0.5%アガロースを用いて2次元ゲルの上にSDS平衡IPGゲルをシールした。トラッキング色素がゲル下端から1 cm以内に達するまで、SDSゲルを一晩(10℃で)流した。2Dゲルを基本的にクーマシーブルー R250で染色した。一部の実験では放射線標識したタンパク質を可視化するためオートラジオグラフィーを使用した。簡潔には、ゲルを10%酢酸、30%メタノール中で1時間固定し、EN3HANCE(商標)オートラジオグラフィー増強剤(NEN Products、米国マサチューセッツ州Boston)とともに1時間インキュベートし、真空下で加熱(60〜80℃)して乾燥させた。Transcreen-LE Intensifying Screen(Eastman Kodak Company、米国ニューヨーク州Rochester)を用いて、乾燥したゲルを、前フラッシュしたBioMax MSフィルムに-80℃で1.5〜7時間露光させた。Melanie II 2-D PAGE 解析ソフトウェア(Bio-Rad)で2Dゲルを解析した。
【0037】
実施例 3 :タンパク質回収率の決定
代替的な前分画法によるタンパク質の回収率および損失を、液体シンチレーション計数により決定した。試料と接触した表面で吸収されたまたは沈殿したタンパク質をすべて除去するため、試料と接触したすべての表面を1% SDSで抽出した。典型的には、これらSDS抽出液または試料溶液を少量(5 μl)とってBio-Safe IIシンチレーションカクテル(Research Products International Corp、米国イリノイ州Mt. Prospect)4.5 mlと混合し、Model 1500 TRI-CARB Liquid Scintillation Analyzer(PACKARD Instrument Company、米国イリノイ州Downers Grove)で放射能を計測した。溶出後のゲルに残存した放射能を、1 N NaOHを用いて60℃で3時間可溶化し、濃塩酸で中和し、シンチレーションカクテルを添加した後に計測した。
【0038】
実施例 4 :試料前分画を用いない、最大タンパク質添加許容量の評価
前分画法の解析の前に、種々のタンパク質添加量が分離能およびスポット検出に及ぼす影響を、代謝的に放射線標識した大腸菌抽出物を用いて評価した。任意のゲル検出閾値およびタンパク質同定閾値において、タンパク質添加許容量が大きければ存在量のより少ないタンパク質を検出できることになるため、任意の2Dゲル法の最大タンパク質添加許容量は重要なパラメータである。
【0039】
18 cm、pH 4〜7のIPGストリップおよび18 cmの2次元ゲルを用いて大腸菌抽出物の0.5 mgアリコートを分離した場合は、クーマシーブルーR250で染色したゲル上で約530個のタンパク質スポットが検出された(図2)。タンパク質成分が最も大きな割合を占めたのはpH 5〜6の範囲で、約240個のスポットが検出された。ほとんどのスポットは0.5 mgの添加で分離されたが、高分子量の塩基性タンパク質では横縞が観察された。タンパク質の沈殿および/または凝集を示す横縞は、関連するタンパク質の定量の信頼性を低下させ、縞の下にある他のタンパク質を隠す可能性があり、かつ、他のタンパク質の共沈を誘発する可能性がある。タンパク質添加量をさらに増加させた場合、検出スポット数の実質的な増加はなかったが、高い充填量(2.0 mg)では、横縞が増加したことと、主要なタンパク質スポットが周囲のスポットと併合したこととにより、タンパク質分離能が顕著に低下した。これらの実験は、この2Dゲル系における未分画大腸菌抽出物の最大実現可能添加量が約1.0 mgであることを示している。
【0040】
2Dゲルの能力を向上させる一つの推奨法は、総細胞抽出物の複製アリコートを、狭いpH範囲の平行ゲル上で分離することであるため(ハーバート(Herbert)ら(1997)「プロテオーム研究:機能的ゲノム解析の新境地(PROTEOME RESEARCH: NEW FRONTIERS IN FUNCTIONAL GENOMICS)」(ウィルキンズ(Wilkins)ら編), pp. 13-33, Springer, Berlin; ワシンガー(Wasinger)ら電気泳動18, 1373-1383)、狭いpH範囲を有するIPGストリップの最大タンパク質添加許容量も評価した。種々の量の未分画大腸菌抽出物をpH 4.8〜6.2のIPGゲル上で分離した結果を図3に示す。0.25 mgを添加し分離した場合はゲルのpH 5〜6の範囲で約320個のスポットが検出された。ほとんどのスポットは良好に 分離されており、一部の高分子タンパク質(> 60 kDa)では横縞がいくぶん生じた。試料の添加量を増加させると(0.5 mlおよび1 mg)、より低い分子量でもより重度の横縞が観察されたが、タンパク質スポットの検出数は実質的に増加しなかった。予測されたとおり、pH範囲の狭いゲル(pH 4.8〜6.2)では、このpH範囲内の分離能が上昇し、これによりスポット検出数が増加した。例えば、試料0.5 mgを分離した場合、pH 5〜6の範囲の総スポット数はpH 4.8〜6.2のゲルでは約320個であったが(図3)、同量の試料をpH 4〜7のゲルで分離した場合に検出されたスポット数は約240個にすぎなかった(図2)。しかし、前分画を行わずに細胞抽出物を解析した場合、狭いpH範囲のゲルを使用することによって最大試料添加許容量が増加することはなかった。
【0041】
したがって、既存の2Dゲル法を高等な真核生物のプロテオーム解析に適用した場合の主たる欠点は、全細胞または全組織の抽出物の最大試料添加許容量が小さく、このため現在利用可能な染色法を用いた場合は最も豊富なタンパク質だけが検出されるという点にある(ハーバート(Herbert)ら1997、ウィリアムズ(Williams)1999、クワドローニ(Quadroni)ら1999)。例えば本実験において大腸菌抽出物を1〜2 mgとするなど、試料の量を最適レベルより多くすると、図2および図3に示すように多くのタンパク質の横縞が生じる。現在のIPG 2Dゲルは代替の分離法と比較してはるかに高い分離能を有するものの、1枚のIPGゲルで全細胞抽出物中のすべてのタンパク質を分離することはできない。この不完全な分離は、以後のタンパク質の定量および同定に誤差をもたらす。すなわち、ゲル上の1つのスポットが単一のタンパク質でない場合が多い。
【0042】
実施例 5 : 2D PAGE 前の細胞抽出物のクロマトグラフィー前分画
2D PAGE前の前分画法として期待できるとして複数のHPLCクロマトグラフィーを最初に評価した。変性剤不在下でのHPLCゲル濾過では、試料が希釈され、特定のタンパク質が複数の分画に大きく重複した。これは、一部はこのクロマトグラフィー法の分離能が中等度であることに起因し、一部は複数のオリゴマー状態の不均一な移動に起因するものであった。尿素またはSDSなどの変性剤の存在下でのゲル濾過は、主としてSDSゲルの大きさで生じる分離と同程度のサイズで試料を分離する。通常、2D PAGEにおいてSDS の大きさは制限要因ではないため、この方法は、分離法の全体的な能力を向上させない。
【0043】
等電点電気泳動の大きさで得られる分離を模倣するため、7 M尿素含有緩衝液中で段階pH溶出によるFPLCイオン交換分離を試みた。その理論的根拠は、狭い範囲の平行IPGゲルに直接添加する前に試料を単純化することにより沈殿と横縞とを最小限に抑えられる可能性が考えられたことにある。残念ながら、任意のpH段階でタンパク質を有効に溶出するのに必要な量はIPGゲルへの直接添加が不可能な量で、試料の濃縮が必要となる。損失が大きく、煩雑な方法であり、さらに、イオン交換段階での分離能が不十分で複数のプールで大量のタンパク質が観察されたため定量的な比較が極めて困難となった。
【0044】
実施例 6 :ゲル等電点電気泳動を用いた細胞抽出物の前分画
イオン交換クロマトグラフィーの方法が不完全であったことから、実際の解析的IPGゲル法そのものによく類似した高分離能の等電点電気泳動法となりうるのは、多くのタンパク質が複数のプール間で広範に交差混入することを防ぐ十分な分離能を有する分離法のみであることが示唆された。同一モードの前分画手法は、分離の真の3次元モードまたは3D法の提供による全体的な分離の向上をもたらさなかったが、わずかに重複する複数の狭pH範囲のゲルを平行に使用した場合には能力および分離能を向上できる可能性を示した。
【0045】
この手法の実現可能性を評価するため、はじめにpH 4〜7 LのIPGゲルを用いて大腸菌抽出物1 mgを集束させた。ゲルの両端の、電極位置を超える部分を除去した後、残りのゲルをpH 4〜5、5〜6、および6〜7の3つの部分に切り分けた。これらゲル片を支持プラスチックフィルムから分離し、各ゲル片を3セットのIPG試料緩衝液500 μlでそれぞれ1時間抽出した。3つの抽出液を集め(〜1.5 ml)、10 kDaカットオフCentriConを用いて約50 μlまで濃縮した。濃縮試料の体積をIPG試料緩衝液で350 μlに再調整し、新しいIPGストリップ(pH 4〜7 L)に流し、2Dゲルで解析してIPGゲルによる前分画手法の実現可能性を評価した(図4)。典型的な例では、pH 6〜7のプール中の全タンパク質が他の分画から明確に分離された。しかし、pH 4〜5およびpH 5〜6のプールで得られたタンパク質スポットの一部は、分画した試料を第二のIPGストリップで再集束させたとき、他のpHでも集束した(図4)。このことは、1.0 mgの細胞抽出物を第一の4〜7L IPGゲルで最初に等電点電気泳動させたときに一部のタンパク質が正しく集束していなかったことを意味する。この正しくない集束は、前述の1 mgの添加(図2)で一部のタンパク質について軽度の横縞が観察されたことと一致する。
【0046】
IPGゲルを用いた前分画過程において、一部のタンパク質の損失は実用的といえない程に大きなものであった。典型的な例では、IPGphorシステムでpH 4〜7L IPGゲルを用いてE. Coli抽出物1.0 mgを最初に等電点電気泳動させた場合、全試料タンパク質の16%が検出された。この段階で失われた試料タンパク質は、主としてpH 4〜7の範囲外のpIを有するタンパク質で、ゲル外に流出してストリップホルダー内に残留していた。全試料タンパク質の5.5%は電極を超えてIPGゲルの端に入り、ここには集束しなかったタンパク質が含まれ、等電点電気泳動後に切り取られた。全試料タンパク質の3.6%はIPGゲルのプラスチック支持フィルム上で検出された。しかし、最大の損失(約23%)は連続溶出後も集束済みのIPGゲル分画から溶出されなかったタンパク質によるものであった。3つの溶出分画によるタンパク質の総回収率はIPGゲルに添加した元試料の約47%にすぎなかった。この回収率の低さおよび分画の分離の不完全さは、2D PAGE前に複雑な試料を前分画する方法として、ゲルによる等電点電気泳動のスケールアップが実際には日常的な方法ではないことを示すものであった。
【0047】
実施例 7 :溶液等電点電気泳動による試料の前分画
様々な数の体積500 μlのテフロン製透析コンパートメント(Amika Corp、米国メリーランド州Columbia)を様々な数で直列に連結して、以下の実施例で使用した新しい溶液等電点電気泳動装置を構築した。図1に示すように、この装置は、任意のpHで固定剤を含む3%アクリルアミドゲル膜仕切りにより区切られた、3つの隣接する分離コンパートメントを有する。ターミナル分離コンパートメントには、適切な固定剤を有する10%アクリルアミドゲル膜仕切りをつけた。ターミナル分離コンパートメントは陽極緩衝液または陰極緩衝液で満たし、5 kDa透析膜により電極緩衝液から保護した。
【0048】
固定剤ゲルは種々の濃度および厚さで成形し、複数の代替支持体で強度を与えた。典型的には、BioRadミニゲルプレートとゲル成形用の1 mmのスペーサとを使用し、機械強度を与えるためにWhatman GF/Dガラス繊維フィルタをゲルに埋め込んだ。ゲル溶液を表1および表2に示すとおり調製した。ゲル溶液25 mlはスラブゲル(1 mm x 7 cm x 10 cm)2枚を成形するのに十分な量であった。ゲルを60℃で約1.5時間重合させた後、ステンレス鋼コアボーラを用いてスラブゲルから直径12 mmのゲル膜ディスクを切り出した。これらのゲル膜ディスクをMilli-Q水1 mlで1回につき1時間、3回洗浄し、使用前に少なくとも30分間IPG試料緩衝液に浸漬した。未使用の膜は、試料前分画の有効性を損なうことなく緩衝液中に4℃で3週間まで保存可能であった。
【0049】
【表1】
所望のpHにおける固定剤混合液の調製
混合液は所望pHの0.05 pH単位以内とし、そうでない場合は固定剤を用いて調製するものとした。
【0050】
【表2】
ゲル膜の調製
【0051】
実施例 8 :試料前分画のための溶液等電点電気泳動法の開発
溶液等電点電気泳動法を開発し、特定のpHで固定剤を含む多孔性アクリルアミドゲル薄膜で区切られた直列の少量液体充填コンパートメントの中でタンパク質抽出物などの荷電分子を分離するために使用した。代表例の装置の略図を図1に示す。本発明の一つの態様では、Amika Corp(米国メリーランド州Columbia)製の容積500 μlのテフロン製透析コンパートメントを使用した。該ユニットは5つのコンパートメントと、それぞれpH 3.5、5.0、6.0、および9.5の4枚のゲル膜とを含む。隣接する分離コンパートメントは、所望のpHで固定剤を含む厚さ1 mmの3%アクリルアミドゲル膜で分けた。ターミナル分離コンパートメントには10%アクリルアミドの固定剤ゲル膜を使用し、これらのコンパートメントは透析膜(5 kDaカットオフ、Amica Corp)により電極溶液から保護した。コンパートメント間にはO-リング(12 mm)を使用し、直列のコンパートメントを組み立てる前にO-リングの内側に適切なゲル膜を配置することによりゲル膜とコンパートメントとのシーリングを補助した。
【0052】
大腸菌抽出物(3 mg)をIPG試料緩衝液1.5 mL中に可溶化し、3つの分離コンパートメントに分注した。ターミナル分離コンパートメントには、BioRad調製済みIEF電極緩衝液、7 mMリン酸(陽極)、および20 mMリシン/20 mMアルギニン(陰極)を充填した。組み立てたコンパートメントを電気泳動タンク(Amika Corp)内に設置し、タンクの2つのコンパートメントにそれぞれ陽極緩衝液および陰極緩衝液を充填した。試料の集束にはPS500X電源(Hoefer Scientific Instruments、米国カリフォルニア州San Francisco)を使用した。典型的な例では、100 Vを1時間(開始時約2〜3 mA、最終的に約1 mA)、続いて200 Vを1時間(開始時約2〜3 mA、最終的に約1 mA)、次に、500 V(開始時〜3-4 mA)を電流が0 mAに降下するまで(約1.5時間)印加した。分画された試料(各約500 μl)を除去した後、ゲル膜の表面および分離コンパートメントの内壁を試料緩衝液500 μlですすぎ、このすすぎ液を分画された試料とあわせた。ゲル膜を取り外し、試料緩衝液500 μlで2回、各1時間抽出してゲルマトリックスからタンパク質を溶出した。この前分画法の有効性を評価するため、各分画試料の3分の1(元の試料1.0 mgに比例)をpH 4〜7 L IPG 2D PAGEで分離した(図5)。これらの結果から、細胞抽出物が3つの不連続なプールに良好に分離されたことが明らかとなり、重複スポットはpH 3.5〜5.0の分画と6.0〜9.5の分画とに数個みられたのみであった。分離膜から溶出されたタンパク質はごくわずかであり、その大部分はpIが膜のpHと近かった(±0.1)(図5)。
【0053】
図5に示した5枚の各ゲルの合成像(図6A)を、前分画を行っていない大腸菌抽出物1.0 mgの2Dゲル分離(図6B)と比較することができる。合成像は、未分画試料のタンパク質スポットのほとんどが前分画試料において良好な収率で検出され、分離能が向上したことを示した(図6A)。具体的には、前分画を行っていない2Dゲルの総スポット数は545であり(図6B)、これに対して前分画の合成像のスポット数は610であった(図6A)。さらに重要な点として、未分画試料のゲルにはタンパク質の横縞がかなり生じたのに対して(図6B)、前分画試料の合成像にはこの縞はまったく観察されなかった(図6A)。
【0054】
これらの実験において、3つの溶液集束分画全体のタンパク質収率は65%であった。全試料タンパク質のうち別の20%は4枚のゲル膜に結合していた。膜内に残留したタンパク質の約3/4は容易に抽出して隣接する分画とあわせることができ、全体的な収率は約80%に上昇した。最後に、全試料の約5%が2つのターミナル分離コンパートメントから検出され、これは、大腸菌のタンパク質のうち、これらの実験で使用した分離コンパートメントのpH範囲3.5〜9.5に含まれないpIを有するものが小さい割合で存在したためであった。これらのタンパク質のほとんどは、必要に応じて広いpH範囲をカバーするよう実験設計を変更することにより回収が可能となった。したがって、この新しい装置および溶液等電点電気泳動技術により、わずかに重複した狭pH勾配平行ゲル上で、複雑なタンパク質混合液を、明確に定義された少数の不連続なプールに非常に高い収率(> 80%)で迅速に分離でき、次の分離に供することができることがこれらの実験で示された。
【0055】
本発明の溶液等電点電気泳動の方法および装置は、試料の前分画のために集束済みIPGゲルの切片からタンパク質を溶出することよりもはるかに優れている。集束済みIPGゲルからのタンパク質の溶出により妥当に良好な分離分画を得られる場合もあるが、試料の損失は50%を上回り、元の試料のタンパク質スポットのすべてが前分画後に回収されたわけではなかった(図4と図2とを比較)。対照的に、本発明の方法および装置を用いた前分画では収率がより高く(〜80%)、さらに重要な点として、元の試料のタンパク質スポットのほとんどが回収できる(図6)。溶液中の最初の等電点電気泳動により、試料を前分画なしで狭pH IPGゲルに流した場合にみられるタンパク質の非理想的な挙動(沈殿/凝集)が最小限に抑えられる(図3)。分画されたタンパク質は狭pH範囲のIPGゲルに流した場合良好な可溶性を示し、このため前分画なしの直接2D PAGE(図5、6、7)と比較して分離能が高く検出スポット数も多い(図5、6A)。本発明の方法および装置を使用した前分画は比較的高速(4時間未満)であり、単純で使用の簡単な装置のみを要し、続いて狭pH IGPストリップに直接流すことのできる良好に分離された分画が得られる。
【0056】
溶液等電点電気泳動の初期の試験では、IsoPrime法の大多数の用途について提唱されているとおり分離膜には5%ゲルを、電極膜には10%ゲルを使用した(リゲッティ(Righetti)ら1989; リゲッティ(Righetti)ら(1990) J. Chromatogr. 500, 681-696; ウェニッシュ(Wenisch)ら(1992) Electrophoresis 13,668-673; Amersham Phamacia biotech 1999)。しかし、分離膜に1 mmの5%ゲルを使用した場合は、pIが膜pHと等しくなく分子量の大きいタンパク質の多くがゲルマトリックス上に凝集し、その結果、分画試料の全体的な収率が低下し(わずか〜40%)、分離状態も良好でなかった。分離膜として5%ゲルを3%ゲルに置換したところ、分画の収率および分離状態が向上し、典型的には膜pHと等しいpIのタンパク質のみが3%ゲルマトリックス内に残留した(図5参照)。これらの結果から、等電点電気泳動中の膜の破断を防ぐための機械的強度が維持されるのであれば、ゲル濃度がさらに低く、かつ、ゲル厚がさらに薄くても有益でありうることが示唆される。また、本発明者らはゲル膜を4℃で最長3週間保存したが膜の能力は損なわれなかった。市販のIPGストリップの製造に使われるのと同様の方法で膜を乾燥および凍結すれば長期の保存も可能である。溶液IEF中に両性電解質が2%存在することは有益であり、これがなければ電気泳動中の電流が低すぎて試料を有効に集束できない。試料緩衝液中の2 Mチオ尿素/7 M尿素は、試料タンパク質を可溶化するうえで9 M尿素単独より優れている(ラビラウド(Rabilloud)ら(1997) Electrophoresis 18, 307-316)。
【0057】
本実施例で使用した単純な溶液等電点電気泳動装置(図4)は3つの分離コンパートメントでpH範囲3.5〜9.5をカバーし、使用した試料中のほとんどのタンパク質が確認された。別の装置の略図を図8に示す。コンパートメントの数がより多くpH範囲もより広いため、複雑な真核生物のプロテオームの総合的なまたは全体的な解析に適していると考えられる。各コンパートメントは、試料の添加と除去とをより簡便にするためのフィルポートを有する。分離コンパートメントの容積は、所望の複製2Dゲルの数について分画試料の体積がIPGゲルの再水和体積に適合するよう、実験設計にあわせて調整してもよい。同様に、分離コンパートメントの総数および仕切りゲル膜のpHを特定のプロテオーム研究の要求に応じて変更してもよい。
【0058】
実施例 9 :タンパク質の検出能および分離能に対する狭 pH 範囲 IPG ゲルの影響
真核生物のプロテオームの全体解析のための等電点電気泳動装置の使用方法を図9に示す。2Dゲル電気泳動の前に、複雑な試料を溶液等電点電気泳動により約5つのプールに分画する。各プールのpH範囲は、次の各2Dゲルで概ね同数のスポットが得られるように選択する。例えば、図中では、真核生物のプロテオームのタンパク質の大部分がpH 5〜6の範囲内にあるため、この範囲を0.5 pH単位の増分で分けた。前述のとおり、分離ゲル膜と等しいpIを有するタンパク質はゲルマトリックス内に残留し、少量の試料緩衝液で抽出することにより妥当な収率で回収することができる。ゲル膜での試料の損失を最小限に抑えるため、ゲル膜から溶出したタンパク質は隣接する溶液分画と合わせることができる。次に、分画した試料を、側面のゲル膜より0.1 pH単位広い、狭pH範囲のゲルに流す。本発明者らは溶液プールより±0.2 pH単位広いゲルを使用したが、これらプールのpIの精度は十分に高く、±0.2 pH単位広いゲルで適切であることは注意を要する。2次元分離電気泳動には平行SDSゲルを使用した。前分画した試料を使用して未分画試料の場合と比較して狭pH範囲のゲル1枚あたりのタンパク質添加量を増加できることは、任意の検出法で量が少ないスポットの検出を可能にすることと、少ない成分と多い成分との分離距離を増加させることとにより、全体プロテオーム解析の動的範囲を向上させる。さらに、前分画により、狭pH範囲のゲル上で未分画試料を解析する場合と比較して、限られた量の試料をより効率的に利用できる。狭pH範囲のゲルは各々約2,000〜3,000のタンパク質成分を分離する能力を有するため、試料を5つの分画に分け重複する5枚の狭pH範囲のゲルに流すという本実施例の方式は、少なくとも10,000〜15,000のタンパク質成分を高い信頼度で検出できる強力な方法となる。
【0059】
前述の、狭pH勾配ゲルを前分画した試料とともに使用することの実施可能性を評価した。溶液等電点電気泳動を用いて調製した複製前分画試料(pH 5〜6)を種々のpH範囲のIPGストリップ(pH 3〜10 NL、4〜7 L、および4.8〜6.2 L)で分離し、続いてSDS-PAGEを行った(図7)。IPGゲルのpH範囲または検出法にかかわらず、2Dゲルのタンパク質スポットはpH 5〜6の範囲にのみみられた。最も高感度のオートラジオグラフィ検出法を使用した場合でも前分画後のタンパク質の交差混入は検出されず(図7)、これらの結果は、pH 5〜6の分画試料の成分が他のpHの分画から良好に分離されたことを裏付けるものである。狭pH範囲のゲル上で分画されたプールでは分離能が向上していたことから、試料の前分画とともに狭pH勾配ゲルを使用することの利点が示された。具体的には、18 cmのpH 4.8〜6.2 LゲルではpH 3〜10 NLのゲルと比較して、クーマシーブルー検出法でも(355スポット対187スポット)より感度の高いオートラジオグラフィ検出法でも(543スポット対281スポット)、約2倍のタンパク質スポットが検出された。
【0060】
pH 4.8〜6.2 LのIPGストリップを用いた2Dゲルと、同じ狭pH範囲を使用した未分画試料の2D PAGE解析(図3)とを比較することにより、前分画の利点がより明らかとなる。前分画を行った2Dゲルではタンパク質の横縞は観察されないが(図7)、未分画試料を流した2Dゲルでは多数の横縞が生じた(図3)。任意の狭IPGゲルのpH範囲外のpIを有する成分はゲル内で沈殿または凝集を生じうるが、溶液等電点電気泳動を用いた前分画では明らかにこのような成分の干渉が解消される。したがって、前分画を行わない狭pH範囲平行ゲルの直接使用など他の2D PAGE法と比較して、前分画の段階により全体的な添加許容量が増加する。本システムを使用して沈殿または凝集を起こすことなく試料添加量を増加できることは、定量的比較の信頼性を向上させ、分離できるスポット数を増加させ、より量の少ないスポットの検出を可能にする。最終的には、前分画により、未分画試料を複数の異なる狭pH範囲のゲルに複製して使用する場合と比較して、量の限られた試料を効率的に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で使用される、溶液等電点電気泳動の一つの態様の略図である。
【図2】 未分画大腸菌抽出物の2D PAGE分離におけるタンパク量の増加の影響を示す。種々の量の試料を再水和によりpH 4〜7 Lの固定化pH勾配(IPG)ストリップに添加し、試料を60 kVhで集束させ、続いて10% SDSゲルで分離した。クーマシーブルー染色によりタンパク質を可視化した。pH範囲と分子量マーカーの位置とを示す。
【図3】 未分画の大腸菌抽出物を狭いpH範囲のIPGを基にした2D PAGEで分離した結果を示す。種々の量の試料を再水和によりpH 4.8〜6.2 LのIPGストリップに流し、タンパク質を60 kVhで集束させ、続いて10% SDSゲルで分離した。クーマシーブルー染色によりタンパク質を可視化した。
【図4】 IPGゲルを用いて前分画した試料の評価結果を示す。最初に、大腸菌抽出物のアリコート1.0 mgをpH 4〜7 LのIPGゲル上で分画し、集束させたゲルを3つの部分に切り分け、タンパク質を溶出した。最初の分離の有効性を確認するため、溶出したプールを再度pH 4〜7 LのIPGゲルに60 kVhで流し、続いて10% SDS-PAGEゲルで分離した。クーマシーブルー染色によりタンパク質を可視化した。溶出に供した最初のIPGゲルの各部分のpH範囲を、各2Dゲルの上部のpHスケールに角括弧をつけて示した。
【図5】 代表的な実験における、溶液等電点電気泳動を用いた試料分画の評価結果を示す。大腸菌抽出物3 mgを溶液等電点電気泳動で前分画した後に、3つの分離コンパートメントの試料と分離膜から抽出したタンパク質とを2D PAGEで評価した。回収した各試料の1/3(元の試料1 mgに比例)をpH 4〜7 LのIPGゲルで分離し、続いて10% SDS-PAGEゲルで分離した。クーマシーブルー染色によりタンパク質を可視化した。
【図6】 前分画した試料の合成2D画像と未分画の大腸菌抽出物の2D画像との比較を示す。(A)図5に示した5つのゲルからタンパク質を含む部分を切り出しおよび張り合わせして作成した、タンパク質の合成2D画像。(B)未分画の大腸菌抽出物1.0 mgを含む、pH 4〜7 Lの2Dゲル。クーマシーブルー染色によりタンパク質を可視化した。
【図7】 IPGストリップのpH範囲がタンパク質分離能に与える影響を示す。溶液等電点電気泳動により前分画した、pH範囲5〜6の複製試料(未分画の大腸菌抽出物1 mgに比例)をpH 3〜10 NL、4〜7 L、および4.8〜6.2 L のIPGストリップを用いてそれぞれ集束させ、続いて10% SDSゲルで分離した。クーマシーブルー染色(上段)およびオートラジオグラフィー(下段)によりタンパク質を可視化した。Melanie IIソフトウェアを用いてスポットの検出および計数を行った。これらの値およびpI 5〜6のタンパク質の有効分離距離を各2Dゲルの上に示した。
【図8】 本発明の別の等電点電気泳動装置を示す。本装置は、大多数のプロテオームの全pH範囲に対応し、かつ、検出されるスポットの総数を増加させるため、図1の装置より分離コンパートメントの数が多い。各コンパートメントは、試料の充填と除去とを向上させるためのアクセスポートを有する。
【図9】 複雑なプロテオームの全体解析を行う方法を示す略図である。種々の条件および試料特性に適合させるため、分離コンパートメントの数および分離膜のpHを調整することができる。各ゲルの分離能を最大限利用できるようpH範囲を最適化するのが実用的である。高感度の検出法を使用した場合、フルサイズ(18 cm X 20 cm)の各ゲルは2,000〜3,000スポットを容易に分離できると考えられることから、この略図では、複雑な真核生物のプロテオームを解析した場合、約10,000〜15,000のタンパク質スポットを分離できると考えられる。
Claims (17)
- 試料を溶液等電点電気泳動に供するためのチャンバであって、
第一の端に、分子量1 kDa〜30 kDaの小イオンに対して透過性の第一の膜を有し、第一の端と反対側の第二の端に、分子量1 kDa〜30 kDaの小イオンに対して透過性の第二の膜を有し;
各コンパートメントが体積4 ml未満の液体を保持するように該チャンバ内で前記試料全体を保持するための複数のコンパートメントを規定するための、該チャンバに沿って配置された少なくとも1つのゲル膜仕切りを有し; かつ、
前記ゲル膜仕切りの各々が異なるpHを有し、前記コンパートメントの数が変更可能であり、前記ゲル膜仕切りが1 %T〜3 %Tのゲル濃度を有するチャンバ。 - ゲル膜仕切りがアクリルアミドを含む、請求項1に記載のチャンバ。
- 請求項2に記載のチャンバであって、チャンバの第一の端にある分子量1 kDa〜30 kDaの小イオンに対して透過性の第一の膜に隣接するゲル膜仕切りと、チャンバの第二の端にある分子量1 kDa〜30 kDaの小イオンに対して透過性の第二の膜に隣接するゲル膜仕切りとが、他のゲル膜仕切りより高い割合のアクリルアミドを含むチャンバ。
- 少なくとも4つのゲル膜仕切りを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のチャンバ。
- ゲル膜仕切りの面積が10 mm 2 〜100 mm 2 である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のチャンバ。
- 各コンパートメントへのアクセスポートをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のチャンバ。
- 各コンパートメントが体積1 ml未満の液体を保持する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のチャンバ。
- 荷電分子を分離するための装置であって、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のチャンバと、
電気泳動タンクと、
電源と
を含む装置。 - 以下の段階を含む、荷電分子を分離する方法:
溶液中の荷電分子を請求項1〜8のいずれか一項に記載のチャンバのコンパートメントに添加する段階;および
該チャンバの第一の端と第二の端との間に直流電流を印加し、これにより該荷電分子が分離される段階。 - 荷電分子がその等電点によって分離される、請求項9に記載の方法。
- 請求項9または10に記載の方法であって、
仕切りとして分子量1 kDa〜30 kDaの小イオンに対して透過性の第一の膜を有する請求項1に記載のチャンバのコンパートメントの中に、陽極緩衝液が入れられ、かつ、
仕切りとして分子量1 kDa〜30 kDaの小イオンに対して透過性の第二の膜を有する請求項1に記載のチャンバのコンパートメントの中に、陰極緩衝液が入れられる方法。 - 荷電分子がタンパク質である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも50のタンパク質が添加される、請求項12に記載の方法。
- 少なくとも10,000のタンパク質が添加される、請求項12に記載の方法。
- タンパク質がプロテオームを含む、請求項12に記載の方法。
- 以下の段階を含む、2次元電気泳動の方法:
(a)請求項9〜15のいずれか一項に記載の方法によりタンパク質試料を分離する段階;および
(b)段階(a)の分離タンパク質試料をSDSゲル電気泳動に供する段階。 - 以下の段階を含む、2次元電気泳動の方法:
(a)請求項9〜15のいずれか一項に記載の方法によりタンパク質試料を分離する段階;
(b)固定化pH勾配ゲルを用いて段階(a)のタンパク質試料をさらに分離する段階;および
(c)段階(b)の分離タンパク質試料をSDSゲル電気泳動に供する段階。
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