JP4681161B2 - メッキ皮膜及びそれを用いたメッキ被覆物 - Google Patents

メッキ皮膜及びそれを用いたメッキ被覆物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性及び耐熱性に優れた複合メッキ皮膜及びそれを用いたメッキ被覆物に関する。より詳細には、優れた撥水性、非粘着性及び摺動性を有する複合メッキ皮膜(耐食性複合メッキ皮膜)及びそれを施したメッキ被覆物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニッケル等の金属メッキ皮膜中にフッ素化合物の微粒子が取り込まれた複合メッキ皮膜は、例えば、金属メッキ液中にフッ素化合物の微粒子を分散させてメッキを行うことにより得られる。このような複合メッキ皮膜は、摺動性、耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着性、防汚性、耐摩耗性などの特性に優れるため、種々の用途に使用されている。例えば、特開平7−23862号公報には、金属−フッ素化合物複合メッキ皮膜を調理器具部材に施した調理器具が開示されている。また、特開平11−34142号公報には、金属−フッ素化合物複合メッキ皮膜を樹脂押出機ダイプレートに施した例が開示されている。
【0003】
一般に、このような複合メッキ皮膜の金属マトリックスとしては、ニッケル、銅、亜鉛などが使用されている。しかし、これらの金属では、耐食性や耐熱性が不十分である。例えば、金属マトリックスとしてニッケルを使用した場合、一部の薬品(無機酸、有機酸等)により腐食が発生したり、イオウを含有するゴム等の樹脂との接触により、ニッケルの硫化物が生じ、メッキ皮膜が変色して脆くなる。さらに、500℃程度の高温にさらされると、ニッケルメッキ皮膜表面のフッ素化合物の一部が分解するとともに、皮膜が青色に変色する。特に調理器具などでは、空だきといったユーザーの誤った使用方法などにより500℃程度の高温にさらされる場合も多い。
【0004】
さらに、このニッケル−フッ素樹脂複合メッキの外観は、灰色であり、光沢がない。光沢を出すために、メッキ後、表面をバフ研磨することも可能であるが、研磨には熟練した技術が必要であるため、コスト高となる。また、形成した複合メッキ皮膜を数ミクロンの厚さで削ることとなるため、不経済であるとともに、削りすぎによりメッキ皮膜が薄膜化し、耐食性を損なう虞がある。
【0005】
一方、ニッケル−スズ合金は、ローズピンクの色彩を有し、耐食性に優れているため、その合金メッキは、一部の装飾用途や耐食性を必要とする用途などで用いられている。しかし、前記ニッケル−スズ合金メッキは内部応力が高いため、10μm以上の膜厚を得ることが困難である。また、合金メッキであるため、陽極にカーボン板などの不溶性陽極を用いて、ニッケル塩やスズ塩などをその都度補給する必要があり、メッキ液の管理が複雑であるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、耐食性及び耐熱性が改善された複合メッキ皮膜及びその製造方法、並びに前記メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、耐食性及び耐熱性に優れるとともに、加熱下で非粘着性又は摺動性に優れる複合メッキ皮膜及びその製造方法、並びに前記メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、メッキ液の管理が簡単であり、耐傷付き性(耐摩耗性、基材との密着性)に優れたメッキ皮膜を製造する方法を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、膜厚を厚くしても、割れ、剥がれなどを防止できる耐食性複合メッキ皮膜及びその製造方法、並びに前記メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意検討した結果、フッ素化合物の微粒子を含有するニッケル系複合メッキ皮膜を、ニッケルと融点が420℃以下の第2の金属との合金で形成すると、複合メッキ皮膜の耐食性、耐熱性、摺動性、非粘着性などを改善できることを見いだし、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明のメッキ皮膜は、フッ素化合物の微粒子を含有するニッケル系複合メッキ皮膜であって、この複合メッキ皮膜は、ニッケル(又はニッケル系マトリックス金属)と融点が420℃以下の第2の金属との合金で構成されている。但し、第2の金属がスズである場合、スズは、通常、表面から深さ方向に拡散し、かつニッケル−スズ合金を形成している。
【0012】
本発明には、フッ素化合物の微粒子を含有するニッケル系複合メッキ皮膜であって、融点が420℃以下の第2の金属が表面から深さ方向に拡散しているメッキ皮膜も含まれる。すなわち、ニッケル(又はニッケル系マトリックス金属)に、前記第2の金属が表面から深さ方向に拡散しているメッキ皮膜も含まれる。
【0013】
前記第2の金属は、少なくとも第2の金属で構成された金属単体又は合金であってもよい。第2の金属は、亜鉛、カドミウム、水銀、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ、鉛などであってもよい。なお、第2の金属がスズである場合、第2の金属としてのスズは表面から深さ方向に拡散し、かつニッケル−スズ合金を形成していてもよい。第2の金属の融点は20〜420℃程度であってもよい。フッ素化合物の微粒子は、メッキ皮膜の表面に露出していてもよい。前記ニッケル系複合メッキ皮膜は、前記第2の金属の拡散層とニッケル系メッキ層とで構成されていてもよい。前記ニッケル系複合メッキ皮膜において、第2の金属の拡散層とニッケル系メッキ層との厚みの比は、前者/後者=1/99〜99/1程度であってもよい。前記微粒子は、フッ素樹脂、フッ化黒鉛、フッ化ピッチなどのフッ素化合物で構成できる。
【0014】
本発明には、基材上に前記メッキ皮膜が形成されたメッキ被覆物も含まれる。メッキ被覆物は、加熱下で非粘着性又は易摺動性を有する。前記メッキ被覆物は、調理器具、調理器具用部材、成型用金型、摺動部材、軸受け部材、航空機用部材などとして使用できる。
【0015】
本発明には、基材上にフッ素化合物の微粒子を含有するニッケル系複合メッキ皮膜を形成するメッキ皮膜の製造方法であって、前記複合メッキ皮膜をニッケルと融点が420℃以下の第2の金属との合金で構成するメッキ皮膜の製造方法も含まれる。
【0016】
また、本発明には、フッ素化合物の微粒子を含有するニッケル系複合メッキ皮膜の上に、少なくとも融点が420℃以下の第2の金属で構成された皮膜を形成し、加熱処理して、前記ニッケル系複合メッキ皮膜中(少なくとも表面)に前記第2の金属を溶融拡散させるメッキ皮膜の製造方法も含まれる。前記第2の金属で構成された皮膜は、フッ素化合物の微粒子が表面に露出可能な厚みで形成してもよい。
【0017】
なお、本明細書中、「複合メッキ皮膜」とは、フッ素化合物の微粒子を含有する金属メッキ皮膜を意味する。また、複合メッキ皮膜の少なくとも表面にニッケルと第2の金属との合金層が形成されたメッキ皮膜を「耐食性複合メッキ皮膜」という場合がある。
【0018】
「非粘着性に優れる」とは、調理器具部材においては、調理とともに飛散する油や食品の汚れが付着しにくく、また、付着した場合でも容易にふき取ることができ、手入れ性に優れていることをいう。また、成型用金型においては、成型した樹脂などが付着せずに容易に金型から剥離することをいう。アイロンなどの摺動部材においては、アイロン掛けで使用する糊がアイロンに付着するのを防止できることをいう。
【0019】
「摺動性に優れる」とは、静摩擦係数と動摩擦係数が低く、例えば、アイロンなどの摺動部材においては、アイロン掛け作業でアイロンが滑りやすいことをいう。また、車輌や航空機のエンジンのピストンやシリンダー、車輪の軸受けなどの摺動部材においては、摩擦が少なく滑りやすい、すなわち、前記摺動部材の摩耗が防止されたり、エンジンの効率が向上することをいう。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のメッキ皮膜は、少なくともフッ素化合物の微粒子を含有し、かつニッケルと融点が420℃以下の第2の金属との合金層で構成されている。前記ニッケルと第2の金属との合金層は、均一な合金層であってもよく、第2の金属がニッケルに拡散していてもよい。このような合金層では、下記式で表されるニッケルと第2の金属との合金が形成されている。
【0021】
NiMx
(式中、Mは第2の金属を示し、xは0.1〜2である)
前記Mは一種の第2の金属であってもよく、複数の第2の金属であってもよい。xは好ましくは0.2〜1.5程度である。例えば、第2の金属がスズの場合、合金層では、ニッケル−スズ合金、例えば、Ni3Sn、Ni3Sn2、Ni3Sn4などが形成されている。
【0022】
本発明のメッキ皮膜において、フッ素化合物の微粒子は、メッキ皮膜の表面に露出しているのが好ましい。
【0023】
本発明では、ニッケルと第2の金属との合金層において、第2の金属がニッケルに拡散しているのが有利である。好ましいメッキ皮膜は、少なくとも表面が、フッ素化合物の微粒子を分散して含有する第2の金属の拡散層(ニッケルと第2の金属との合金層)で構成されている。
【0024】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明のメッキ皮膜をより詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の複合メッキ皮膜の一例を示す概略断面図である。この例では、基材1上に、複合メッキ皮膜2が形成されており、この複合メッキ皮膜2は、マトリックス金属3中にフッ素化合物の微粒子4が分散した構造を有している。すなわち、フッ素化合物の微粒子4が分散した複合メッキ皮膜は、表面側の第2の金属の拡散層5と基材側のニッケル系メッキ層6とで構成されている。前記フッ素化合物の微粒子4の一部はメッキ皮膜2の表面に露出している。前記第2の金属の拡散層5は、ニッケル系マトリックス金属3中に第2の金属が表面から深さ方向に拡散したニッケルと第2の金属との合金で構成されている。
【0026】
このようなメッキ皮膜は、少なくとも表面が、フッ素化合物の微粒子を分散して含有する第2の金属の拡散層(ニッケルと第2の金属との合金層)で構成されているため、外観特性(装飾性、光沢など)、耐食性、耐熱性、撥水性、強度[耐衝撃性、耐傷つき性(耐摩耗性、基材との密着性など)など]、摺動性に優れるとともに、樹脂などに対する非粘着性にも優れている。
【0027】
メッキ皮膜は、前記第2の金属の拡散層を少なくとも含んでいればよく、全体が、第2の金属の拡散層であってもよい。このような第2の金属の拡散層において、第2の金属の割合は、合金中、例えば、5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは15〜65重量%程度である。
【0028】
複合メッキ皮膜は、通常、第2の金属の拡散層とニッケル系メッキ層とで構成されており、両者の厚みの比は、第2の金属の拡散層/ニッケル系メッキ層=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜60/40、さらに好ましくは20/80〜40/60程度である。
【0029】
基材としては、用途に応じてメッキ可能な種々の基材が使用でき、例えば、金属基材[銅、鉄(一般鋼など)、アルミニウムなどの金属製基材;ステンレス鋼、アルミニウム合金などの合金製基材など]、プラスチック基材[ポリオレフィン(ポリプロピレンなど)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ABS樹脂などの各種樹脂で構成された基材など]、非金属基材[炭素材、木材、石材、ガラス、タイル、セラミックスなどで構成された基材など]などが使用できる。好ましい基材は金属基材である。特に、調理器具、調理器具用部材、成型用金型、摺動部材用基材、航空機用部材(エンジン基材、降着装置用構成部品基材など)が好ましい。
【0030】
調理器具又は調理器具用部材に適した基材としては、安価で高強度の基材、例えば、一般鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金などが挙げられる。成型用金型の基材としては、一般鋼、合金鋼(Mn、Cr、Mo、Ni、Alなどを含む合金鋼など)、ステンレス鋼などが挙げられる。特に安価かつ高強度であるため一般鋼が好ましい。摺動部材の基材としては、銅、ステンレス鋼、一般鋼、アルミニウム、アルミニウム合金などが挙げられ、この中でも、アルミニウム又はアルミニウム合金が、軽量及び安価であるため好ましい。航空機用部材(特に、エンジン基材、降着装置の構成部品の基材)としては、一般鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金などが挙げられ、この中でも、アルミニウム又はアルミニウム合金が、軽量及び安価であるため好ましい。これらの基材の形状及び厚さは、特に制限されず、用途又は目的に応じて選択できる。
【0031】
ニッケル系複合メッキ皮膜を構成するマトリックス金属としては、メッキ皮膜に用いられる慣用のニッケル系金属、例えば、ニッケル単独、ニッケルを主成分とするニッケル合金(Ni基合金)などが使用できる。ニッケル合金を構成する金属及び非金属としては、例えば、クロム、モリブデン、タングステンなどの周期表第6A族金属;マンガン、テクネチウム、レニウムなどの周期表第7A族金属;鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金などの周期表第8族金属;銅、銀、金、水銀などの周期表第1B族金属;亜鉛、カドミウムなどの周期表第2B族金属;ガリウム、インジウム、タリウムなどの周期表第3B族金属;スズ、鉛などの周期表第4B族金属;ホウ素、周期表第5B族元素(リン、アンチモン、ビスマスなど)、周期表第6B族元素(セレン、テルル、ポロニウムなど)などの非金属が挙げられる。これらの金属及び非金属は、1種で又は2種以上組み合わせて使用できる。なお、ニッケル合金を構成する金属は、通常、後述の第2の金属と異種の金属が用いられる。
【0032】
このようなニッケル合金としては、例えば、ニッケル−コバルト、ニッケル−鉄、ニッケル−パラジウム、ニッケル−マンガン、ニッケル−レニウム、ニッケル−クロム、ニッケル−モリブデン、ニッケル−タングステン、ニッケル−銅、ニッケル−金、ニッケル−亜鉛、ニッケル−スズ、ニッケル−カドミウム、ニッケル−リン、ニッケル−ホウ素などの2元素合金の他、ニッケル−コバルト−リン、ニッケル−鉄−リンなどの3元素合金が挙げられる。
【0033】
好ましいマトリックス金属は、ニッケル単独、ニッケルとコバルト及び/又はリンとの合金(ニッケル−コバルト合金、ニッケル−リン合金、ニッケル−コバルト−リン合金など)である。
【0034】
第2の金属は、融点が420℃以下である限り、特に制限されず、マトリックスを構成するニッケルと合金化可能であってもよく、また、合金化しなくてもよい。第2の金属としては、例えば、亜鉛、カドミウムなどの周期表第2B族金属、水銀などの周期表第1B族金属、ガリウム、インジウム、タリウムなどの周期表第3B族金属、スズ、鉛などの周期表第4B族金属などが挙げられる。中でも、亜鉛、カドミウムなどの周期表第2B族金属、インジウムなどの周期表第3B族金属、スズ、鉛などの周期表第4B族金属が好ましい。前記第2の金属は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0035】
前記第2の金属の融点は、好ましくは20〜420℃、さらに好ましくは100〜420℃程度である。このような比較的低融点の金属を用いることにより、特に、第2の金属の拡散によりメッキ層を形成する場合に、ニッケル系マトリックス金属中に効率よく第2の金属を拡散できる。
【0036】
第2の金属は、少なくとも第2の金属で構成された金属単体又は合金であってもよい。前記合金には、複数の第2の金属で構成された合金、及び少なくとも一種の第2の金属と前記マトリックス金属の項で例示の非金属(ホウ素、リン、アンチモン、ビスマス、セレン、テルル、ポロニウムなど)とで構成された合金などが含まれる。
【0037】
前記第2の金属は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、調理器具や調理器具用部材では、毒性のない亜鉛、スズ、亜鉛−スズ合金などを用いるのが好ましい。また、軸受け部材などの摺動部材では、インジウム、鉛−スズ合金、鉛−スズ−アンチモン合金などが、さらに航空機用部材では、カドミウム、カドミウム−スズ合金などがそれぞれ好ましい。
【0038】
前記ニッケル系複合メッキ皮膜に含有されるフッ素化合物の微粒子としては、複合メッキに使用される慣用のフッ素化合物(フッ素樹脂、フッ化黒鉛、フッ化ピッチなど)の微粒子が使用できる。なお、本願明細書中、これらのフッ素樹脂、フッ化黒鉛及びフッ化ピッチをフッ素化合物と総称する。
【0039】
前記フッ素樹脂としては、特に限定されず、慣用のフッ素樹脂、例えば、フッ素含有単量体の単独又は共重合体、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。好ましいフッ素樹脂は、PTFE及びPFAなどである。これらのフッ素樹脂は、自己潤滑性、摺動性(低摩擦性)、撥水性、撥油性、非粘着性などに優れている。
【0040】
前記フッ化ピッチは、組成式CFx(式中、xは0.5<x<1.8である)で表される組成を有する化合物である。フッ化ピッチでは、通常、共有結合により、各炭素原子に1〜3個程度のフッ素が強固に結合している。このようなフッ化ピッチは、フッ化黒鉛に類似した層状構造を有し、褐色乃至黄白色、黄白色乃至白色などの色調を呈し、自己潤滑性、耐水性、耐薬品性、撥水性、撥油性、非粘着性などに優れ、空気中でも非常に安定な化合物である。フッ化ピッチの原料及び製造方法などは、特に制限されず、例えば、ピッチを常温付近でフッ素ガスと直接反応させることにより工業的に得られるフッ化ピッチなどを用いてもよい。フッ化ピッチの製造方法及び構造の詳細については、例えば、特開昭62−275190号公報などを参照できる。また、フッ化ピッチと染料又は顔料とを反応させることによって得られる着色フッ化ピッチも使用できる。着色フッ化ピッチの製造方法及び構造の詳細については、例えば、特開平9−118885号公報や特開平9−263643号公報などを参照できる。
【0041】
前記フッ素化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。2種以上のフッ素化合物を組み合わせて使用する場合、例えば、PTFEとPFAとの組み合わせ、PTFEとFEPとの組み合わせ、PFAとFEPとの組み合わせ、PFAとフッ化黒鉛との組み合わせ、PFAとフッ化ピッチとの組み合わせなどが挙げられる。2種以上のフッ素化合物を併用する場合であっても、各フッ素化合物の割合は特に限定されず、任意に選択することができる。
【0042】
前記フッ素化合物の微粒子は、微粒子の一部がメッキ皮膜の表面に露出しているのが好ましい。一方、微粒子の露出部分が増大しすぎると、摩擦によりメッキ皮膜表面から微粒子が脱落する虞がある。そのため、ニッケル系複合メッキ皮膜の厚みに応じてフッ素化合物の微粒子の平均粒径を選択するのが望ましい。
【0043】
複合メッキ皮膜全体の厚さは、フッ素化合物微粒子の粒径、基材の材質、形状及びマトリックス金属の種類などに応じて、例えば、1〜1000μm程度の広い範囲から選択でき、好ましくは2〜100μm、より好ましくは5〜50μm程度である。
【0044】
また、フッ素化合物微粒子の平均粒径は、例えば、0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜2μm程度である。前記平均粒径が複合メッキ皮膜全体の膜厚よりも大きい場合には、摩擦によりメッキ皮膜表面から微粒子がより脱落しやすいので、メッキ皮膜の膜厚よりも小さい微粒子を使用することが望ましい。なお、複合メッキ液及び複合メッキ皮膜中で、フッ素化合物微粒子を均一に分散させるため、30μm以上の粗大粒子を含まないのが望ましい。
【0045】
一般に、金属と共析物とからなる複合メッキ皮膜では、共析物の体積分率(共析率)が大きくなるほど、メッキ層と基材との密着性は低下する。本発明においても、メッキ皮膜と基材との密着性を考慮すると、複合メッキ皮膜中の共析物(フッ素化合物微粒子)の体積分率は、60%が限度である。一方、フッ素化合物微粒子の体積分率が低すぎる場合には、撥水性、非粘着性、摺動性の改善が十分に行なわれない。従って、本発明においては、複合メッキ皮膜中のフッ素化合物微粒子の体積分率は、第2の金属を含有しない状態で、皮膜全体の10〜60%(例えば、15〜60%)程度、好ましくは10〜50%(例えば、20〜40%)程度、さらに好ましくは25〜40%程度である。
【0046】
本発明のメッキ皮膜は、基材上に、フッ素化合物の微粒子を含有するニッケルと第2の金属との合金で構成された複合メッキ皮膜を形成することにより製造できる。このような複合メッキ皮膜は、慣用のニッケルと第2の金属との合金メッキ液にフッ素化合物の微粒子を添加した複合メッキ液を用いて基材をメッキ処理することにより形成してもよく、フッ素化合物の微粒子を含有するニッケル系複合メッキ皮膜に第2の金属を拡散させることにより形成してもよい。
【0047】
特に、第2の金属の拡散によりニッケルと第2の金属との合金層を形成するのが好ましく、例えば、フッ素化合物の微粒子を含有するニッケル系複合メッキ皮膜を形成し、このニッケル系複合メッキ皮膜の上に、さらに、少なくとも第2の金属で構成された皮膜を形成し、加熱処理して、前記ニッケル系複合メッキ皮膜中に第2の金属を拡散溶融させることにより形成してもよい。
【0048】
なお、複合メッキ皮膜は、必ずしも基材上に直接形成する必要はなく、基材上に慣用のエッチング処理を施したり、下地メッキ層(例えば、ニッケルメッキ、銅メッキなど)を形成した後、複合メッキ皮膜を形成してもよい。
【0049】
ニッケル系複合メッキ皮膜は、少なくともニッケルを含む金属塩(硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケルなど)を用いたメッキ浴を用いて形成でき、電解メッキ法及び無電解メッキ法のいずれによって形成してもよい。
【0050】
電解メッキ法としては、ワット浴、スルファミン酸ニッケル浴、全塩化ニッケル浴(全塩化物浴)、硫酸塩−塩化物浴、全硫酸塩浴などを用いる無光沢ニッケルメッキ法;光沢剤を用いる光沢ニッケルメッキ法(有機光沢ニッケルメッキ、ニッケル−コバルト合金光沢ニッケルメッキなど);黒色ニッケル浴、ストライクニッケル浴、ホウフッ化ニッケル浴などを用いるメッキ法などが挙げられる。
【0051】
前記無電解メッキ法としては、酸性浴、中性浴、水酸化アルカリ浴、アンモニアアルカリ浴などを用いる無電解メッキ法などが挙げられる。無電解メッキにおいては、還元剤に次亜リン酸ナトリウムやジメチルアミンボランなどを用いてメッキすることにより、マトリックス金属とともに、リンやホウ素を共析させ、合金としてもよい。
【0052】
好ましいメッキ方法は、ワット浴、スルファミン酸ニッケル浴(全スルファミン酸浴、塩化物含有スルファミン酸浴、高速度スルファミン酸ニッケル浴など)を用いた電解メッキ法、及び無電解メッキ法などである。
【0053】
複合メッキ液中のフッ素化合物微粒子の濃度は、例えば、200g/L以下(例えば、0.1〜200g/L程度)、好ましくは1〜150g/L、さらに好ましくは5〜100g/L(例えば、10〜100g/L程度)、特に5〜80g/L(例えば、20〜80g/L)程度である。
【0054】
このようなフッ素化合物の微粒子を含む複合メッキ皮膜は、フッ素化合物の微粒子(DTFE微粒子など)を、マトリックス金属を構成する金属の塩(メッキ金属塩)を含む水溶液中に分散させ、基材上にマトリックス金属とともにフッ素化合物の微粒子を共析させることにより形成でき、非金属であるフッ素化合物の固有の性質とマトリックスである金属の性質とを併せ持っている。このような複合メッキ皮膜は、例えば、特開昭49−27443号公報や特開平4−329897号公報などのメッキ方法などにより形成できる。
【0055】
本発明のメッキ皮膜は、慣用のメッキ用添加剤、例えば、光沢剤[一次光沢剤(サッカリン、1,5−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホンアミドなど)、二次光沢剤(クマリン、2−ブテン−1,4−ジオール、エチレンシアンヒドリン、プロパルギルアルコール、ホルムアルデヒド、チオ尿素、キノリン、ピリジン、アリルスルホン酸ナトリウムなど)など]、メッキ皮膜着色のための着色剤(顔料、染料など)などを含んでいてもよい。
【0056】
複合メッキ皮膜を形成させるための複合メッキ液では、撥水性が非常に高いフッ素化合物の微粒子をメッキ液中に均一に分散させるとともに、前記微粒子の表面を完全に濡れた状態にする必要があるため、界面活性剤を用いるのが好ましい。このような界面活性剤としては、例えば、水溶性のカチオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、及びメッキ液のpH値においてカチオン性を示す両性界面活性剤などが使用できる。前記カチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、第2及び第3級アミン類などが挙げられ、非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン系、ポリエチレンイミン系及びエステル系の界面活性剤などが挙げられ、両性界面活性剤としては、カルボン酸系及びスルホン酸系の界面活性剤などが挙げられる。特に、フッ素化合物微粒子の濡れ性を高めるため、分子中にC−F結合を有するフッ素系界面活性剤、例えば、CF3−(CF2n−、CF3−(CH2n−、CF3−(CF2n−(CH2m−などのフッ化炭素基を有する界面活性剤などを用いるのが好ましい。
【0057】
メッキ液中への界面活性剤の添加量は、フッ素化合物1gに対して、通常、1〜500mg程度の範囲から選択でき、好ましくは1〜300mg、さらに好ましくは1〜100mg(例えば、10〜50mg)程度である。
【0058】
本発明においては、上記の複合メッキ液に一次光沢剤、二次光沢剤、メッキ皮膜着色のための顔料などの公知の添加剤をさらに配合することができる。
【0059】
フッ素化合物の微粒子を均一に分散させるためには、複合メッキ液を撹拌しつつメッキ操作を行なうことが好ましい。撹拌方法は特に限定されず、慣用の機械的撹拌手段、例えば、スクリュー撹拌、マグネチックスターラーによる撹拌などの方法を採用できる。
【0060】
ニッケル系複合メッキの条件は、基材の材質、使用する複合メッキ液の種類などに応じて、適宜設定でき、一般に、通常の複合メッキ法において採用されているのと同様の液温、pH値、電流密度などから選択すればよい。例えば、無電解メッキの場合、メッキ液の組成に応じて、pHは、酸性又は中性メッキ浴で4〜7、塩基性メッキ浴で8.5〜12.5程度から選択でき、温度は40〜90℃程度の範囲から選択できる。また、例えば、塩化物含有スルファミン酸ニッケル浴を用いる電解メッキでは、pHは3.5〜4.5程度、温度は25〜70℃程度、電流密度は2〜14A/dm2程度の範囲からそれぞれ選択できる。
【0061】
ニッケル系複合メッキ皮膜の厚みは、特に制限されず、例えば、1〜1000μm、好ましくは2〜100μm、さらに好ましくは5〜50μm程度である。
【0062】
第2の金属の拡散方法は、特に制限されず、例えば、複合メッキ皮膜上に少なくとも第2の金属で構成された皮膜を形成し、加熱することなどにより、前記複合メッキ皮膜中に第2の金属を溶融拡散できる。第2の金属の拡散によりニッケルと第2の金属との合金を形成するので、フッ素化合物の微粒子が含まれた複合メッキであってもメッキ液の管理が簡単である。特に、第2の金属としてスズを用いる場合には内部応力が大きくなる傾向にある。そのため、このようにスズの溶融拡散によりニッケル−スズ合金を形成すると、ニッケル−スズ合金でありながらも内部応力を低減でき、皮膜の膜厚を厚くしても(例えば、10μm以上)、割れや剥がれ等のない良好なメッキ皮膜を維持できる。
【0063】
第2の金属の皮膜は、メッキにより形成してもよく、また、金属溶射、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの手法により形成してもよい。前記メッキは、複合メッキの金属表面に第2の金属を析出させる慣用のメッキ法、例えば、電解メッキ(酸性メッキ浴、アルカリ性メッキ浴、中性メッキ浴などを用いた電解メッキ法など)、無電解メッキ、溶融メッキなどにより行うことができ、特に電解メッキが好ましい。例えば、電解亜鉛メッキ法としては、酸性亜鉛メッキ浴(硫酸亜鉛浴、塩化亜鉛浴など)、アルカリ性亜鉛メッキ浴(シアン化亜鉛浴、ジンケート浴など)などを用いた電解メッキ法が挙げられる。また、電解カドミウムメッキとしては、酸性メッキ浴(硫酸浴、ホウフッ化浴など)、アルカリ性メッキ浴(シアン化浴、アミン浴など)などを用いた電解メッキ法が挙げられる。
【0064】
また、メッキ条件も使用するメッキ液の種類に応じて適宜決定すればよく、通常のメッキの場合と同様の液温、pH、電流密度などが採用できる。
【0065】
ここで、前記複合メッキ皮膜上に形成する第2の金属のメッキ皮膜の厚みは、複合メッキ皮膜に分散しているフッ素化合物の微粒子の粒径に応じて、例えば、0.01〜2μm(例えば、0.1〜1.5μm)、好ましくは0.1〜1μmである。第2の金属の皮膜の厚みが0.01μmより小さいと、皮膜の均一性がなく、熱処理した場合にニッケルと第2の金属との合金が十分に形成されない虞がある。また、第2の金属の皮膜の厚みが2μmを越えると第2の金属の皮膜を形成する前のフッ素化合物の微粒子を含有する複合メッキ皮膜において、表面に露出しているフッ素化合物の微粒子が、第2の金属の皮膜で埋もれてしまい、フッ素化合物微粒子の持つ自己潤滑性、低摩擦性、撥水性、撥油性、非粘着性などの性質が十分に発揮できなくなる。従って、フッ素化合物微粒子が表面に露出可能な厚みで第2の金属の皮膜を形成するのが好ましい。
【0066】
第2の金属をニッケル系複合メッキ皮膜中に熱拡散させる熱処理温度は、第2の金属の融点に応じて適宜選択でき、例えば、200〜450℃(例えば、200〜420℃)程度、好ましくは200〜400℃(例えば、250〜400℃)程度、さらに好ましくは250〜380℃(例えば、250〜350℃)程度である。また、熱処理時間は、特に限定されず、例えば、5分〜2時間程度の範囲から選択でき、通常、10〜60分(例えば、20〜40分)程度である。前記熱処理温度が200℃未満である場合には、十分な処理効果を得るために処理時間を長くする必要があり、一方、熱処理温度が高すぎると、フッ素化合物が分解する虞がある。加熱処理により、第2の金属がニッケル系複合メッキ皮膜の少なくとも表面に拡散して耐食性の高いニッケルと第2の金属との合金が形成される。
【0067】
このような加熱処理により、第2の金属を拡散させ、フッ素化合物微粒子を含有するニッケルと第2の金属との合金を形成すると、耐食性複合メッキ皮膜の撥水・撥油性や基材に対する密着性も著しく改善される。これは、耐食性複合メッキ皮膜自体の熱的改質、界面活性剤の除去(熱分解、蒸発、昇華など)による濡れ性の低下などによるものと推測される。
【0068】
ニッケルと第2の金属との合金の耐食性をさらに高めるとともに、外観を美しくするため、クロメート処理を行ってもよい。クロメート処理は、通常、最終仕上げとして行う場合が多い。クロメート処理は、慣用のクロメート処理液[例えば、第2の金属の種類に応じたクロメート液(例えば、スズメッキ用、亜鉛メッキ用、カドミウムメッキ用など)の光沢クロメート液、有色クロメート液、緑色クロメート液、黒色クロメート液など]を用いて、慣用の方法により行うことができる。例えば、フッ素化合物微粒子を含有するニッケルと第2の金属(例えば、スズ、亜鉛、カドミウムなど)との複合メッキ皮膜を施した被覆物を、前記のようなクロメート処理液に浸漬し(例えば、数秒乃至数十秒間程度浸漬し)、必要により水洗、乾燥などを行うことによりクロメート処理した被覆物を得てもよい。前記クロメート処理液は市販品であってもよい。
【0069】
このようにして得られたメッキ皮膜は、フッ素化合物に基づく撥水性、撥油性、摺動性、非粘着性、耐薬品性及び耐磨耗性、マトリックス金属に基づく高硬度、高強度、高熱伝導度及び耐熱性などの特性を損なうことなく、さらに第2の金属の拡散処理を行って表面をニッケルと第2の金属との合金系としているため、耐薬品性、耐熱性、耐腐食性及び装飾性を大きく改善できる。また、加熱処理により、撥水性、撥油性及び非粘着性などの特性は著しく改善される。従って、このようなメッキ皮膜は、種々の基材の表面に形成して、基材に前記のような特性(特に、耐食性、耐熱性、非粘着性、摺動性など)を付与するのに有用であり、前記メッキ皮膜を施したメッキ被覆物は、特に、加熱下で非粘着性及び/又は易摺動性を示すため、調理器具(コンロ、レンジ用部材など)、調理器具用部材(フライパン、焼き網、炊飯器内釜、鍋など)、成型用金型、摺動部材(アイロン底板のかけ面などのアイロン用部材など)、軸受け部材、航空機用部材(エンジン部材、降着装置の構成部材、制御機器部材、操縦機器部材など)などとして有用である。
【0070】
【発明の効果】
本発明では、メッキ皮膜を、フッ素化合物微粒子を含むニッケルと特定の融点を有する第2の金属との合金で構成するので、メッキ皮膜の耐食性及び耐熱性を改善できる。また、本発明のメッキ皮膜は、耐傷付き性(耐摩耗性、基材との密着性)にも優れている。さらに、ニッケルと第2の金属との合金を、前記第2の金属の拡散により構成すると、メッキ液の管理が簡単である。前記第2の金属としてスズを用いると、膜厚を厚くしても、割れ、剥がれなどを防止でき、加熱下であっても非粘着性又は摺動性に優れる。
【0071】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0072】
なお、実施例及び比較例で用いた基材を以下に示す。
【0073】
基材A:板状試験片(縦50mm×横50mm×厚さ0.5mm、材質SUS430)
基材B:板状試験片(縦50mm×横50mm×厚さ3mm、材質SS400)
基材C:直径5mmの棒材で構成された外枠と、直径3mmの棒材で形成された網部とを有する幅185mm×奥行き255mmの焼き網(材質SPCC)
基材D:テーブルコンロのグリル皿(開口部:縦276mm×横190mm、深さ20mm、厚さ0.5mm、材質SPCC)
上記基材を用いて、実施例及び比較例で得られたメッキ皮膜の物性及び特性を次のように評価した。
【0074】
(1)フッ素化合物の共析率測定
フッ素化合物の微粒子を含む複合メッキ皮膜を形成した基材Aを、硝酸水溶液(硝酸:水(容量比)=1:1)に浸漬して、メッキ皮膜を溶解し、この溶解液をメンブランフィルター(平均孔径=0.1μm)を用いて濾過した。次いで、このメンブランフィルターを乾燥機に入れ、100℃で20分間乾燥した後、1時間デシケーター中で冷却して重量を測り、フッ素化合物微粒子の共析率を算出した。
【0075】
(2)撥水性
メッキ皮膜を形成した基材Bについて、FACE接触角測定器(協和界面科学(株)製、「CA−A型」)を用いて、液滴法により、水の接触角を測定し、撥水性の指標とした。
【0076】
(3)密着性
メッキ皮膜を形成した基材Bに1cm2あたり100個の碁盤目を入れ、下記の各条件下に放置した後常温に戻し、セロファン粘着テープにより、JIS K5400に準拠して圧着剥離試験(密着力試験)を行った。
【0077】
(a)250℃で2時間放置
(b)−10℃で2時間放置
(c)(200℃で1時間放置した後、−10℃で1時間放置)×10サイクル
なお、メッキ皮膜の密着性は、1cm2あたり剥離した碁盤目の数により、下記の基準で評価した。
【0078】
○:全く剥離せず
△:剥離した碁盤目の数が100個中50個未満であった
×:剥離した碁盤目の数が100個中50個以上であった
(4)耐衝撃変形性試験(JIS K5400)
JIS K5400に準拠して、メッキ皮膜を形成した基材B上に、20℃でデュポン式により500mmの高さから500gのおもりを落とし、変形させた部分の皮膜の損傷を観察し、下記の基準により目視で評価した。
【0079】
○:損傷なし
×:損傷あり
(5)耐薬品性試験
メッキ皮膜を形成した基材B上に1cm2あたり100個の碁盤目を形成し、下記の薬品又は材料に96時間浸漬した。4時間毎に試験片を取り出して、水洗いし、変色及び剥がれの有無を肉眼で確認すると共に、96時間浸漬後にセロファン粘着テープにより、圧着剥離試験を行い、メッキ皮膜の耐薬品性を評価した。
【0080】
(a)ラッカーシンナー
(b)界面活性剤(登録商標「ファミリーフレッシュ」,花王(株)製)
(c)カレー(登録商標「ククレカレー辛口」,ハウス食品(株)製)
(d)こいくち醤油(キッコーマン(株)製)
(e)台所用漂白剤(登録商標「キッチンハイター」,花王(株)製)15容量%水溶液
(f)台所用漂白剤(登録商標「キッチンハイター」,花王(株)製)50容量%水溶液
(g)台所用漂白剤(登録商標「キッチンハイター」,花王(株)製)
(h)4容量%酢酸水溶液
(i)10容量%塩酸水溶液
(j)10容量%硫酸水溶液
(k)10容量%硝酸水溶液
なお、耐薬品性は、下記の基準で評価した。
【0081】
○:変色及び剥離のいずれもなし
×:少なくとも一部の薬品又は材料について変色及び/又は剥離が生じる
(6)500℃耐熱試験
メッキ皮膜を形成した基材Bを、電気炉中(500℃)で20分間加熱した後、自然冷却させ、メッキ皮膜の変色を目視にて観察した。なお、メッキ皮膜の耐熱性は、下記の基準で評価した。
【0082】
○:変色なし
×:青色に変色した
(7)摺動試験
メッキ皮膜を形成した基材Bについて、表面性測定機(新東科学(株)製、HEIDON−14D型)を用いてメッキ表面における静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。
【0083】
(8)耐摩耗試験
(a)ラビングテスター(太平理化(株)製)の可動ステージにメッキ皮膜を形成した基材Bを固定し、上から2.45Nの重力を加えた状態で羊毛フェルトを摺動させた。1回の摺動距離は100mmであった。10万回摺動させた後に羊毛フェルトの汚れの有無を目視にて確認した。
【0084】
○:汚れなし
×:汚れあり
(b)上記(a)の試験前後のメッキ皮膜の膜厚を、蛍光X線分析((株)リガク製、Wafer−X300)を用いて測定し、膜厚の減少度合いにより摩耗性を下記の基準で評価した。
【0085】
○:膜厚の減少が1μm未満である
×:膜厚の減少が1μm以上である
(9)成型用金型としての非粘着性試験
メッキ皮膜を形成した基材B2枚に、板状のスチレンブタジエンゴム(SBゴム、50mm×50mm×3mm)を挟み込み、9.8×104Paの圧力をかけて180℃で10分間保持した。その後、SBゴムの剥がれ具合とメッキ皮膜の変色の有無を目視にて観察し、非粘着性を下記の基準で評価した。
【0086】
○:メッキ皮膜に変色はなく、SBゴムも容易に剥離した
△:メッキ皮膜に変色はないが、SBゴムの一部が付着してとれなかった
×:メッキ皮膜が黒色に変色し、SBゴムの一部が付着してとれなかった
(10)焦げ付き試験
メッキ皮膜を形成した基材Dに、下記の食品及び調味材料(a)又は(b)2mlを滴下し、250℃で30分間加熱して焦げ付かせた後、冷却し、指先で炭化物を軽く圧迫して、炭化物の剥離の難易により、焦げ付き性を下記の基準で評価した。
(a)カレー(登録商標「ククレカレー辛口」,ハウス食品(株)製)
(b)醤油+砂糖+卵(重量比1:1:1)
○:炭化物が容易に剥離する
×:炭化物が剥離しない
(11)魚焼き試験
それぞれにメッキ皮膜を形成した基材C(焼き網)及び基材D(グリル皿)をテーブルコンロ(大阪ガス(株)製10−666型)のグリルにセットし、基材Cにサンマ(体長25cm)を置いて両面焼きで5分間加熱を行った。加熱後、グリルより焼き魚を置いたままの基材Cを取り出し、焼き魚を凧糸で2カ所固定してテンションゲージを付けて吊り上げ、焼き魚が基材Cより離れた時点での指示値を測定した。基材Cより剥がした焼き魚の重さを測定し、テンションゲージ指示値より焼き魚の重さを差し引いた値を焼き魚の身離れ荷重とした。この試験を連続5回行って平均値を求めた。
【0087】
また、5回試験後、基材Dをティッシュペーパーにてふき取った場合の油汚れの取れ易さと、メッキ皮膜の変色の有無とを下記の基準で評価した。
【0088】
(油汚れの取れ易さ)
○:油汚れが容易にとれる
×:油汚れが取れにくい
(メッキ皮膜の変色)
○:変色なし
×:皮膜の一部が黒色に変色した
実施例1
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0089】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケルメッキ液(組成:スルファミン酸ニッケル360g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を調製した。
(3)電解スズメッキ液の調製
下記の組成を有するスズメッキ液を調製した。
【0090】
硫酸スズ 43g/L
グルコン酸ナトリウム 131g/L
p−メトキシベンズアルデヒド 0.1g/L
ポリエチレングリコール7500 1g/L
37%ホルマリン 0.6ml/L
(4)メッキ法
前記各基材(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0091】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成した。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0092】
さらに、前記複合メッキを施した被覆物を負極として、前記(3)の組成を有する電解スズメッキ液を含むメッキ槽中、液温35℃、pH6.0及び電流密度2A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、スズメッキ皮膜を形成した。メッキ終了後、水洗し、100℃で5分間乾燥させた。
【0093】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上にスズメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をX線回折装置(理学電機(株)、RINT2500)を用いて分析したところ、Ni3Sn2の組成のニッケル−スズ合金が生成しているのがわかった。EPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて被覆物表面を分析したところ、被覆物表面のニッケル−スズ合金の組成は、ニッケル:64重量%及びスズ:36重量%であった。
【0094】
また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズの分析を行ったところ、スズの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて共析率以外の前記(2)〜(11)の試験を行った。
【0095】
実施例2
実施例1の電解スズメッキの膜厚を0.2μmとした以外は、実施例1と同様にして、基材にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−PTFEメッキ皮膜及び電解スズメッキ皮膜を順次形成した。
【0096】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上にスズメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をX線回折装置(理学電機(株)、RINT2500)を用いて分析したところ、Ni3SnおよびNi3Sn2の2種類の組成のニッケル−スズ合金が生成していることが分かった。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:83重量%及びスズ:17重量%のニッケル−スズ合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズの分析を行ったところ、スズの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0097】
実施例3
実施例1の電解スズメッキの膜厚を1.2μmとした以外は、実施例1と同様にして、基材にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−PTFEメッキ皮膜及び電解スズメッキ皮膜を順次形成した。
【0098】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上にスズメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をX線回折装置(理学電機(株)、RINT2500)を用いて分析したところ、Ni3Sn2、及びNi3Sn4の2種類の組成のニッケル−スズ合金が生成していることが分かった。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:41重量%及びスズ:59重量%のニッケル−スズ合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズの分析を行ったところ、スズの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0099】
実施例4
実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにFEP微粒子(平均粒子径1μm、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例1と同様にして、被メッキ材料にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−FEP複合メッキ皮膜及び電解スズメッキ皮膜を順次形成した。
【0100】
得られた電解ニッケル−FEP複合メッキ皮膜の上に電解スズメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、300℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:64重量%及びスズ:36重量%のニッケル−スズ合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズの分析を行ったところ、スズの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0101】
なお、FEP共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−FEP複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。FEP共析率は30容量%であった。
【0102】
実施例5
実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにPFA微粒子(平均粒子径0.5μm、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例1と同様にして、基材にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−PFA複合メッキ皮膜及び電解スズメッキ皮膜を順次形成した。
【0103】
得られた電解ニッケル−PFA複合メッキ皮膜の上に電解スズメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:64重量%及びスズ:36重量%のニッケル−スズ合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズの分析を行ったところ、スズの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0104】
なお、PFA共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−PFA複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。PFA共析率は30容量%であった。
【0105】
実施例6
実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにPCTFE微粒子(平均粒子径2μm、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例1と同様にして、基材にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−PCTFE複合メッキ皮膜及び電解スズメッキ皮膜を順次形成した。
【0106】
得られた電解ニッケル−PCTFE複合メッキ皮膜の上に電解スズメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、250℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:64重量%及びスズ:36重量%のニッケル−スズ合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズの分析を行ったところ、スズの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0107】
なお、PCTFE共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−PCTFE複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。PCTFE共析率は30容量%であった。
【0108】
実施例7
実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにETFE微粒子(平均粒子径2μm、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例1と同様にして、被メッキ材料にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−ETFE複合メッキ皮膜及び電解スズメッキ皮膜を順次形成した。
【0109】
得られた電解ニッケル−ETFE複合メッキ皮膜の上に電解スズメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、250℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:64重量%及びスズ:36重量%のニッケル−スズ合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズの分析を行ったところ、スズの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0110】
なお、ETFE共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−ETFE複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。ETFE共析率は30容量%であった。
【0111】
実施例8
実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにフッ化黒鉛微粒子(平均粒子径1μm、旭硝子(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例1と同様にして、被メッキ材料にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−フッ化黒鉛複合メッキ皮膜及び電解スズメッキ皮膜を順次形成した。
【0112】
得られた電解ニッケル−フッ化黒鉛複合メッキ皮膜の上に電解スズメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:64重量%及びスズ:36重量%のニッケル−スズ合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズの分析を行ったところ、スズの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0113】
なお、フッ化黒鉛共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−フッ化黒鉛複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。フッ化黒鉛共析率は30容量%であった。
【0114】
実施例9
実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにフッ化ピッチ(平均粒子径1μm、大阪ガス(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例1と同様にして、被メッキ材料にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−フッ化ピッチ複合メッキ皮膜及び電解スズメッキ皮膜を順次形成した。
【0115】
得られた電解ニッケル−フッ化ピッチ複合メッキ皮膜の上に電解スズメッキ皮膜を有する被メッキ材料を、熱風循環式乾燥炉中で、300℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:64重量%及びスズ:36重量%のニッケル−スズ合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズの分析を行ったところ、スズの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0116】
なお、フッ化ピッチ共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−フッ化ピッチ複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。フッ化ピッチ共析率は30容量%であった。
【0117】
実施例10
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0118】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケル−コバルト合金メッキ液(組成:スルファミン酸ニッケル360g/L、スルファミン酸コバルト10g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0119】
(3)電解スズメッキ液の調製
実施例1と同様に電解スズメッキ液を調製した。
【0120】
(4)メッキ法
前記各基材(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、上記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0121】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0122】
更に、前記複合メッキを施した被覆物を負極として、前記(3)の組成を有する電解スズメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温35℃、pH6.0及び電流密度2A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、スズメッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0123】
得られた電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ皮膜の上にスズメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:51重量%、コバルト:13重量%及びスズ:36重量%のニッケル−コバルト−スズ合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズの分析を行ったところ、スズの拡散層の厚みは3μmであった。
【0124】
この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて共析率以外の上記(2)〜(11)の試験を行った。
【0125】
実施例11
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0126】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)無電解ニッケル/リンメッキ液の調製
下記の組成を有する無電解ニッケル/リンメッキ液を調製した。
【0127】
硫酸ニッケル 20g/L
次亜リン酸ナトリウム 25g/L
乳酸 20g/L
プロピオン酸 3g/L
(3)無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ液の調製
上記組成を有する無電解ニッケル/リンメッキ液1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)10gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0128】
(4)電解スズメッキ液の調製
実施例1と同様に電解スズメッキ液を調製した。
【0129】
(5)メッキ法
前記各基材(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0130】
次いで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の無電解ニッケル/リンメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温90℃、pH4.6の条件下に、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が3μmとなるまで無電解メッキを行って、無電解下地ニッケル/リンメッキ皮膜を形成させた。
【0131】
さらに、この無電解下地ニッケル/リンメッキ皮膜が施された被覆物を、前記(3)の組成の無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ液を含む複合メッキ槽を用いて、液温90℃、pH5.1の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が7μmとなるまで無電解メッキを行って、無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。
【0132】
この時点でPTFE共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0133】
得られた無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ皮膜が施された被覆物をを水洗した後、負極として前記(4)の電解スズメッキ液を含むメッキ槽中、液温35℃、pH6.0及び電流密度2A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、電解スズメッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、得られた被覆物を水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0134】
得られた無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ皮膜の上にスズメッキ皮膜を施した被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:59重量%、リン:5重量%、及びズ:36重量%のニッケル−スズ−リン合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズの分析を行ったところ、スズの拡散層の厚みは3μmであった。
【0135】
この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて共析率以外の上記(2)〜(11)の試験を行った。
【0136】
比較例1
スズメッキを行わない以外は、実施例1と同様に操作及び評価を行った。なお、共析率の測定は、熱風循環式乾燥炉中での加熱の前に行った。
【0137】
実施例1と同様の基材に、実施例1と同様にして脱脂、ニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。このあと、スズメッキを行うことなく、電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜が施された被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、次いで常温で1時間室内放置した。得られたメッキ被覆物を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0138】
なお、PTFE共析率(容量%)は、上記加熱処理の前に評価した。PTFE共析率は30容量%であった。
【0139】
比較例2
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
実施例1と同様のニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0140】
(2)電解ニッケルメッキ液の調製
下記の組成を有する電解ニッケルメッキ液を調製した。
【0141】
スルファミン酸ニッケル 360g/L
塩化ニッケル 45g/L
ホウ酸 30g/L
(3)電解スズメッキ液の調製
実施例1と同様に電解スズメッキ液を調製した。
【0142】
(4)メッキ法
実施例1と同様の基材をアルカリ脱脂液で脱脂した後、負極とし、上記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0143】
次いで、得られた被覆物を負極とし、上記(2)の組成の電解ニッケルメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温50℃、pH4.2及び電流密度4A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解ニッケルメッキを行った。
【0144】
更に、得られた被覆物を水洗した後、負極とし、上記(3)の組成を有する電解スズメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温35℃、pH6.0及び電流密度2A/dm2の条件下に、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、スズメッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗して100℃、5分間乾燥させた。さらに熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、次いで常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:64重量%及びスズ:36重量%のニッケル−スズ合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズの分析を行ったところ、スズの拡散層の厚みは3μmであった。得られたメッキ被覆物を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0145】
実施例及び比較例のメッキ被覆物について、前記物性及び特性の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0146】
【表1】
Figure 0004681161
【0147】
【表2】
Figure 0004681161
【0148】
表1及び2から明らかなように、実施例のメッキ皮膜は、撥水性、基材との密着性、耐衝撃変形性、耐薬品性、耐熱性、非粘着性のいずれにも優れており、摺動性も高い。また、魚を焼いた後でも、焼き網からの魚の身離れ性が良好で、焼き網における魚の皮の残存もわずかであるとともに、グリル皿の変色もない。さらに、カレーや卵などを高温で焦げ付かせても、生じた炭化物は指先で軽く圧迫するだけで、容易に剥離した。
【0149】
これに対して、スズを含まない比較例1では、撥水性、密着性、耐衝撃変形性、摺動性などは高いものの、耐薬品性、耐熱性及び非粘着性が低く、魚焼き試験においてもグリル皿が変色した。特に、耐薬品性においては、台所用漂白剤の50容量%水溶液に対して茶褐色錆状物が生じ、100個中10個の碁盤目が剥離するとともに、4容量%の酢酸水溶液に対して黒色錆状物が生じ、100個中10個の碁盤目が剥離した。また、非粘着性試験では、SBゴムが付着するとともに、メッキ皮膜も黒色に変色した。
【0150】
フッ素化合物微粒子を含まない比較例2では、密着性、耐衝撃変形性、耐薬品性、耐熱性、耐摩耗性などは高いものの、撥水性、摺動性が低い。また、焦げ付き試験や魚焼き試験などにおいて、炭化物や魚の剥離性が特に低く、油汚れも取れ難かった。さらに非粘着性試験においてはSBゴムが付着した。
【0151】
参考例12
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0152】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−亜鉛−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケル−亜鉛合金メッキ液(組成:ニッケル18g/L、亜鉛20g/L、ピロリン酸カリウム245g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−亜鉛−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0153】
(3)メッキ法
前記各基材(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0154】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−亜鉛−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温60℃、pH9.0、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−亜鉛−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で5分間乾燥させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:25重量%及び亜鉛:75重量%のニッケル−亜鉛合金が形成されていた。
【0155】
得られた電解ニッケル−亜鉛−PTFE複合メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間、室内放置した。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて共析率以外の前記(2)〜(11)の試験を行った。
【0156】
実施例13
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0157】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケルメッキ液(組成:スルファミン酸ニッケル360g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0158】
(3)電解亜鉛メッキ液の調製
下記の組成を有する電解亜鉛メッキ液を調製した。
【0159】
酸化亜鉛 17g/L
水酸化ナトリウム 140g/L
37%ホルマリン 20mL/L
(4)メッキ法
前記各基材(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0160】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0161】
更に、前記複合メッキを施した被覆物を負極として、前記(3)の組成を有する電解亜鉛メッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温30℃、電流密度3A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、亜鉛メッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0162】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上に亜鉛メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、400℃で15分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%及び亜鉛:40重量%のニッケル−亜鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の亜鉛の分析を行ったところ、亜鉛の拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて共析率以外の前記(2)〜(11)の試験を行った。
【0163】
実施例14
実施例13の電解亜鉛メッキの膜厚を0.2μmとした以外は、実施例13と同様にして、基材にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−PTFEメッキ皮膜及び電解亜鉛メッキ皮膜を形成した。
【0164】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上に亜鉛メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、400℃で15分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:80重量%及び亜鉛:20重量%のニッケル−亜鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の亜鉛の分析を行ったところ、亜鉛の拡散層の厚みは3μmであった。
【0165】
この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて共析率以外の上記(2)〜(11)の試験を行った。
【0166】
実施例15
実施例13の電解亜鉛メッキの膜厚を1.2μmとした以外は、実施例13と同様にして、基材にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−PTFEメッキ皮膜及び電解亜鉛メッキ皮膜を形成した。
【0167】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上に亜鉛メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、400℃で15分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:40重量%及び亜鉛:60重量%のニッケル−亜鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の亜鉛の分析を行ったところ、亜鉛の拡散層の厚みは3μmであった。
【0168】
この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて共析率以外の上記(2)〜(11)の試験を行った。
【0169】
実施例16
実施例13の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにFEP微粒子(平均粒子径1μm、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例13と同様にして、被メッキ材料にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−FEP複合メッキ皮膜及び電解亜鉛メッキ皮膜を順次形成させた。
【0170】
得られた電解ニッケル−FEP複合メッキ皮膜の上に電解亜鉛メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で15分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。また、メッキ表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:50重量%、亜鉛:50重量%のニッケル−亜鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の亜鉛の分析を行ったところ、亜鉛の拡散層の厚みは2.5μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例13と同様の試験評価を行った。
【0171】
なお、FEP共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−FEP複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。FEP共析率は30容量%であった。
【0172】
実施例17
実施例13の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにPFA微粒子(平均粒子径0.5μm、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例13と同様にして、基材にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−PFA複合メッキ皮膜及び電解亜鉛メッキ皮膜を順次形成させた。
【0173】
得られた電解ニッケル−PFA複合メッキ皮膜の上に電解亜鉛メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、400℃で15分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%及び亜鉛:40重量%のニッケル−亜鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の亜鉛の分析を行ったところ、亜鉛の拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例13と同様の試験評価を行った。
【0174】
なお、PFA共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−PFA複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。PFA共析率は30容量%であった。
【0175】
実施例18
実施例13の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにPCTFE微粒子(平均粒子径2μm、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例13と同様にして、基材にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−PCTFE複合メッキ皮膜及び電解亜鉛メッキ皮膜を順次形成させた。
【0176】
得られた電解ニッケル−PCTFE複合メッキ皮膜の上に電解亜鉛メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、300℃で15分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。また、メッキ表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:40重量%及び亜鉛:60重量%のニッケル−亜鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の亜鉛の分析を行ったところ、亜鉛の拡散層の厚みは2μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例13と同様の試験評価を行った。
【0177】
なお、PCTFE共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−PCTFE複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。PCTFE共析率は30容量%であった。
【0178】
実施例19
実施例13の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにETFE微粒子(平均粒子径2μm、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例13と同様にして、被メッキ材料にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−ETFE複合メッキ皮膜及び電解亜鉛メッキ皮膜を順次形成させた。
【0179】
得られた電解ニッケル−ETFE複合メッキ皮膜の上に電解亜鉛メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、300℃で15分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:40重量%及び亜鉛:60重量%のニッケル−亜鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の亜鉛の分析を行ったところ、亜鉛の拡散層の厚みは2μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例13と同様の試験評価を行った。
【0180】
なお、ETFE共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−ETFE複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。ETFE共析率は30容量%であった。
【0181】
実施例20
実施例13の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにフッ化黒鉛微粒子(平均粒子径1μm、旭硝子(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例13と同様にして、被メッキ材料にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−フッ化黒鉛複合メッキ皮膜及び電解亜鉛メッキ皮膜を順次形成させた。
【0182】
得られた電解ニッケル−フッ化黒鉛複合メッキ皮膜の上に電解亜鉛メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、400℃で15分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%、及び亜鉛:40重量%のニッケル−亜鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の亜鉛の分析を行ったところ、亜鉛の拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例13と同様の試験評価を行った。
【0183】
なお、フッ化黒鉛共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−フッ化黒鉛複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。フッ化黒鉛共析率は30容量%であった。
【0184】
実施例21
実施例13の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにフッ化ピッチ(平均粒子径1μm、大阪ガス(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例13と同様にして、被メッキ材料にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−フッ化ピッチ複合メッキ皮膜及び電解亜鉛メッキ皮膜を順次形成させた。
【0185】
得られた電解ニッケル−フッ化ピッチ複合メッキ皮膜の上に電解亜鉛メッキ皮膜を有する被メッキ材料を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で15分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:50重量%及び亜鉛:50重量%のニッケル−亜鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の亜鉛の分析を行ったところ、亜鉛の拡散層の厚みは2.5μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例13と同様の試験評価を行った。
【0186】
なお、フッ化ピッチ共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−フッ化ピッチ複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。フッ化ピッチ共析率は30容量%であった。
【0187】
実施例22
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0188】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケル−コバルト合金メッキ液(組成:スルファミン酸ニッケル360g/L、スルファミン酸コバルト10g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0189】
(3)電解亜鉛メッキ液の調製
下記の組成を有する電解亜鉛メッキ液を調製した。
【0190】
酸化亜鉛 17g/L
水酸化ナトリウム 140g/L
37%ホルマリン 20mL/L
(4)メッキ法
前記各基材(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、上記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0191】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0192】
更に、前記複合メッキを施した被覆物を負極として、前記(3)の組成を有する電解亜鉛メッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温30℃、電流密度3A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、亜鉛メッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0193】
得られた電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ皮膜の上に亜鉛メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、400℃で15分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:48重量%、コバルト:12重量%及び亜鉛:40重量%のニッケル−コバルト−亜鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の亜鉛の分析を行ったところ、亜鉛の拡散層の厚みは3μmであった。
【0194】
この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて共析率以外の上記(2)〜(11)の試験を行った。
【0195】
実施例23
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0196】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)無電解ニッケル/リンメッキ液の調製
下記の組成を有する無電解ニッケル/リンメッキ液を調製した。
【0197】
硫酸ニッケル 20g/L
次亜リン酸ナトリウム 25g/L
乳酸 20g/L
プロピオン酸 3g/L
(3)無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ液の調製
上記組成を有する無電解ニッケル/リンメッキ液1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)10gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0198】
(4)電解亜鉛メッキ液の調製
下記の組成を有する電解亜鉛メッキ液を調製した。
【0199】
酸化亜鉛 17g/L
水酸化ナトリウム 140g/L
37%ホルマリン 20mL/L
(5)メッキ法
前記各基材(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0200】
ついで、得られた被覆物を用い、前記(2)の組成の無電解ニッケル/リンメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温90℃、pH4.6の条件下に、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が3μmとなるまで無電解メッキを行って、無電解下地ニッケル/リンメッキ皮膜を形成させた。
【0201】
無電解下地ニッケル/リンメッキ皮膜が施された被覆物を、前記(3)の組成の無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ液を含む複合メッキ槽を用いて、液温90℃、pH5.1の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が7μmとなるまで無電解メッキを行って、無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。
【0202】
この時点でPTFE共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0203】
得られた無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ皮膜が施された被覆物を水洗した後、負極として前記(4)の電解亜鉛メッキ液を含むメッキ槽中、液温30℃、電流密度3A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、電解亜鉛メッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、得られた被覆物を水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0204】
得られた無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ皮膜の上に亜鉛メッキ皮膜を施した被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、400℃で15分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:55重量%、リン:5重量%及び亜鉛:40重量%のニッケル−亜鉛−リン合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の亜鉛の分析を行ったところ、亜鉛の拡散層の厚みは3μmであった。
【0205】
この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて共析率以外の上記(2)〜(11)の試験を行った。
【0206】
比較例3
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
実施例13と同様のニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0207】
(2)電解ニッケルメッキ液の調製
下記の組成を有するメッキ液を調製した。
【0208】
スルファミン酸ニッケル 360g/L
塩化ニッケル 45g/L
ホウ酸 30g/L
(3)電解亜鉛メッキ液の調製
実施例13と同様に電解亜鉛メッキ液を調製した。
【0209】
(4)メッキ法
実施例13と同様の基材をアルカリ脱脂液で脱脂した後、負極とし、上記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0210】
次いで、得られた被覆物を負極とし、上記(2)の組成の電解ニッケルメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温50℃、pH4.2、電流密度4A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解ニッケルメッキを行った。
【0211】
更に、得られた被覆物を水洗した後、負極とし、上記(3)の組成を有する電解亜鉛メッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温30℃、電流密度3A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、亜鉛メッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗して100℃、5分間乾燥させた。さらに熱風循環式乾燥炉中で、400℃で15分間加熱した後、次いで常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%及び亜鉛:40重量%のニッケル−亜鉛合金が形成されていた。得られたメッキ被覆物を用いて実施例13と同様の試験評価を行った。
【0212】
実施例及び比較例のメッキ被覆物について、前記物性及び特性の評価を行った結果を表3及び表4に示す。
【0213】
【表3】
Figure 0004681161
【0214】
【表4】
Figure 0004681161
【0215】
表3及び表4から明らかなように、本発明による耐食性(フッ素化合物共析)複合メッキ皮膜は、極めて優れた撥水性、非粘着性、密着性、耐衝撃変形性、耐薬品性、耐磨耗性、摺動性、耐熱性、装飾性等を備えている。
【0216】
参考例24
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0217】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−カドミウム−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケル−カドミウム合金メッキ液(組成:硫酸ニッケル79g/L、硫酸カドミウム10g/L、硫酸ナトリウム20g/L、デキストリン0.5g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−カドミウム−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0218】
(3)メッキ法
前記基材A及びB(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0219】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−カドミウム−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH5.0、電流密度4A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−カドミウム−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で5分間乾燥させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:75重量%及びカドミウム:35重量%のニッケル−カドミウム合金が形成されていた。
【0220】
得られた電解ニッケル−カドミウム−PTFE複合メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間、室内放置した。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて前記(2)〜(9)の試験を行った。
【0221】
実施例25
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0222】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケルメッキ液(組成:スルファミン酸ニッケル360g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0223】
(3)電解カドミウムメッキ液の調製
下記の組成を有する電解カドミウムメッキ液を調製した。
【0224】
ホウフッ化カドミウム 242g/L
金属カドミウム 95g/L
ホウフッ化アンモニウム 60g/L
ホウ酸 27g/L
甘草エキス 1g/L
(4)メッキ法
前記基材A及びB(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0225】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0226】
更に、前記複合メッキを施した被覆物を負極として、前記(3)の組成を有する電解カドミウムメッキ液を含むメッキ槽を用いて、pH3.5、液温30℃、電流密度4A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、カドミウムメッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0227】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上にカドミウムメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%及びカドミウム:40重量%のニッケル−カドミウム合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のカドミウムの分析を行ったところ、カドミウムの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて前記(2)〜(9)の試験を行った。
【0228】
実施例26
実施例25の電解カドミウムメッキの膜厚を0.2μmとした以外は、実施例25と同様にして、基材にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−PTFEメッキ皮膜及び電解カドミウムメッキ皮膜を形成した。
【0229】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上にカドミウムメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:80重量%及びカドミウム:20重量%のニッケル−カドミウム合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のカドミウムの分析を行ったところ、カドミウムの拡散層の厚みは3μmであった。
【0230】
この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて前記(2)〜(9)の試験を行った。
【0231】
実施例27
実施例25の電解カドミウムメッキの膜厚を1.2μmとした以外は、実施例25と同様にして、基材にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−PTFEメッキ皮膜及び電解カドミウムメッキ皮膜を形成した。
【0232】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上にカドミウムメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:40重量%及びカドミウム:60重量%のニッケル−カドミウム合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のカドミウムの分析を行ったところ、カドミウムの拡散層の厚みは3μmであった。
【0233】
この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて前記(2)〜(9)の試験を行った。
【0234】
実施例28
実施例25の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにFEP微粒子(平均粒子径1μm、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例25と同様にして、被メッキ材料にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−FEP複合メッキ皮膜及び電解カドミウムメッキ皮膜を順次形成させた。
【0235】
得られた電解ニッケル−FEP複合メッキ皮膜の上に電解カドミウムメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、320℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:50重量%及びカドミウム:50重量%のニッケル−カドミウム合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のカドミウムの分析を行ったところ、カドミウムの拡散層の厚みは2.5μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例25と同様の試験評価を行った。
【0236】
なお、FEP共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−FEP複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。FEP共析率は30容量%であった。
【0237】
実施例29
実施例25の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにPFA微粒子(平均粒子径0.5μm、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例25と同様にして、基材にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−PFA複合メッキ皮膜及び電解カドミウムメッキ皮膜を順次形成させた。
【0238】
得られた電解ニッケル−PFA複合メッキ皮膜の上に電解カドミウムメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%及びカドミウム:40重量%のニッケル−カドミウム合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のカドミウムの分析を行ったところ、カドミウムの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例25と同様の試験評価を行った。
【0239】
なお、PFA共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−PFA複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。PFA共析率は30容量%であった。
【0240】
実施例30
実施例25の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにPCTFE微粒子(平均粒子径2μm、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例25と同様にして、基材にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−PCTFE複合メッキ皮膜及び電解カドミウムメッキ皮膜を順次形成させた。
【0241】
得られた電解ニッケル−PCTFE複合メッキ皮膜の上に電解カドミウムメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、300℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。また、メッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:40重量%及びカドミウム:60重量%のニッケル−カドミウム合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のカドミウムの分析を行ったところ、カドミウムの拡散層の厚みは2μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例25と同様の試験評価を行った。
【0242】
なお、PCTFE共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−PCTFE複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。PCTFE共析率は30容量%であった。
【0243】
実施例31
実施例25の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにETFE微粒子(平均粒子径2μm、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例25と同様にして、被メッキ材料にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−ETFE複合メッキ皮膜及び電解カドミウムメッキ皮膜を順次形成させた。
【0244】
得られた電解ニッケル−ETFE複合メッキ皮膜の上に電解カドミウムメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、300℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:40重量%及びカドミウム:60重量%のニッケル−カドミウム合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のカドミウムの分析を行ったところ、カドミウムの拡散層の厚みは2μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例25と同様の試験評価を行った。
【0245】
なお、ETFE共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−ETFE複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。ETFE共析率は30容量%であった。
【0246】
実施例32
実施例25の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにフッ化黒鉛微粒子(平均粒子径1μm、旭硝子(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例25と同様にして、被メッキ材料にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−フッ化黒鉛複合メッキ皮膜及び電解カドミウムメッキ皮膜を順次形成させた。
【0247】
得られた電解ニッケル−フッ化黒鉛複合メッキ皮膜の上に電解カドミウムメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%及びカドミウム:40重量%のニッケル−カドミウム合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のカドミウムの分析を行ったところ、カドミウムの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例25と同様の試験評価を行った。
【0248】
なお、フッ化黒鉛共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−フッ化黒鉛複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。フッ化黒鉛共析率は30容量%であった。
【0249】
実施例33
実施例25の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液において、PTFE微粒子の代わりにフッ化ピッチ(平均粒子径1μm、大阪ガス(株)製)を電解ニッケルメッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例25と同様にして、被メッキ材料にニッケルストライクメッキ、電解ニッケル−フッ化ピッチ複合メッキ皮膜及び電解カドミウムメッキ皮膜を順次形成させた。
【0250】
得られた電解ニッケル−フッ化ピッチ複合メッキ皮膜の上に電解カドミウムメッキ皮膜を有する被メッキ材料を、熱風循環式乾燥炉中で、320℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:50重量%及びカドミウム:50重量%のニッケル−カドミウム合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のカドミウムの分析を行ったところ、カドミウムの拡散層の厚みは2.5μmであった。この耐食性複合被メッキ材料を用いて実施例25と同様の試験評価を行った。
【0251】
なお、フッ化ピッチ共析率(容量%)は、ニッケルストライクメッキ及び電解ニッケル−フッ化ピッチ複合メッキ皮膜を形成した後、評価した。フッ化ピッチ共析率は30容量%であった。
【0252】
実施例34
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0253】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケル−コバルト合金メッキ液(組成:スルファミン酸ニッケル360g/L、スルファミン酸コバルト10g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0254】
(3)電解カドミウムメッキ液の調製
下記の組成を有する電解カドミウムメッキ液を調製した。
【0255】
ホウフッ化カドミウム 242g/L
金属カドミウム 95g/L
ホウフッ化アンモニウム 60g/L
ホウ酸 27g/L
甘草エキス 1g/L
(4)メッキ法
前記基材A及びB(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、上記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0256】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0257】
更に、前記複合メッキを施した被覆物を負極として、前記(3)の組成を有する電解カドミウムメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温30℃、電流密度3A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、カドミウムメッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0258】
得られた電解ニッケル−コバルト−PTFE複合メッキ皮膜の上にカドミウムメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:48重量%、コバルト:12重量%及びカドミウム:40重量%のニッケル−コバルト−カドミウム合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のカドミウムの分析を行ったところ、カドミウムの拡散層の厚みは3μmであった。
【0259】
この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて前記(2)〜(9)の試験を行った。
【0260】
実施例35
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0261】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)無電解ニッケル/リンメッキ液の調製
下記の組成を有する無電解ニッケル/リンメッキ液を調製した。
【0262】
硫酸ニッケル 20g/L
次亜リン酸ナトリウム 25g/L
乳酸 20g/L
プロピオン酸 3g/L
(3)無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ液の調製
上記組成を有する無電解ニッケル/リンメッキ液1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)10gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0263】
(4)電解カドミウムメッキ液の調製
下記の組成を有する電解カドミウムメッキ液を調製した。
【0264】
ホウフッ化カドミウム 242g/L
金属カドミウム 95g/L
ホウフッ化アンモニウム 60g/L
ホウ酸 27g/L
甘草エキス 1g/L
(5)メッキ法
前記基材A及びB(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0265】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の無電解ニッケル/リンメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温90℃、pH4.6の条件下に、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が3μmとなるまで無電解メッキを行って、無電解下地ニッケル/リンメッキ皮膜を形成させた。
【0266】
無電解下地ニッケル/リンメッキ皮膜が施された被覆物を、前記(3)の組成の無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ液を含む複合メッキ槽を用いて、液温90℃、pH5.1の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が7μmとなるまで無電解メッキを行って、無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。
【0267】
この時点でPTFE共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0268】
得られた無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ皮膜が施された被覆物をを水洗した後、負極として前記(4)の電解カドミウムメッキ液を含むメッキ槽中、液温30℃、電流密度3A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、電解カドミウムメッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、得られた被覆物を水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0269】
得られた無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ皮膜の上にカドミウムメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:55重量%、リン:5重量%及びカドミウム:40重量%のニッケル−カドミウム−リン合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のカドミウムの分析を行ったところ、カドミウムの拡散層の厚みは3μmであった。
【0270】
この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて前記(2)〜(9)の試験を行った。
【0271】
比較例4
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
実施例25と同様のニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0272】
(2)電解ニッケルメッキ液の調製
下記の組成を有するメッキ液を調製した。
【0273】
スルファミン酸ニッケル 360g/L
塩化ニッケル 45g/L
ホウ酸 30g/L
(3)電解カドミウムメッキ液の調製
実施例25と同様に電解カドミウムメッキ液を調製した。
【0274】
(4)メッキ法
実施例25と同様の基材をアルカリ脱脂液で脱脂した後、負極とし、上記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0275】
次いで、得られた被覆物を負極とし、上記(2)の組成の電解ニッケルメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温50℃、pH4.2、電流密度4A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解ニッケルメッキを行った。
【0276】
更に、得られた被覆物を水洗した後、負極とし、上記(3)の組成を有する電解カドミウムメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温30℃、電流密度3A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、カドミウムメッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗して100℃、5分間乾燥させた。さらに熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、次いで常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%及びカドミウム:40重量%のニッケル−カドミウム合金が形成されていた。得られたメッキ被覆物を用いて実施例25と同様の試験評価を行った。
【0277】
実施例及び比較例のメッキ被覆物について、前記物性及び特性の評価を行った結果を表5及び表6に示す。
【0278】
【表5】
Figure 0004681161
【0279】
【表6】
Figure 0004681161
【0280】
表5及び表6から明らかなように、本発明による耐食性(フッ素化合物共析)複合メッキ皮膜は、極めて優れた撥水性、非粘着性、密着性、耐衝撃変形性、耐薬品性、耐磨耗性、摺動性、耐熱性、装飾性等を備えている。
【0281】
実施例36
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0282】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケルメッキ液(組成:スルファミン酸ニッケル360g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0283】
(3)電解インジウムメッキ液の調製
下記の組成を有する電解インジウムメッキ液を調製した。
【0284】
硫酸インジウム 20g/L
硫酸ナトリウム 10g/L
(4)メッキ法
前記基材A及びB(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0285】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0286】
更に、前記複合メッキを施した被覆物を負極として、前記(3)の組成を有する電解インジウムメッキ液を含むメッキ槽を用いて、pH2.4、液温25℃、電流密度3A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、インジウムメッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0287】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上にインジウムメッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%及びインジウム:40重量%のニッケル−インジウム合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のインジウムの分析を行ったところ、インジウムの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて前記(2)〜(9)の試験を行った。
【0288】
実施例37
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0289】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケルメッキ液(組成:スルファミン酸ニッケル360g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0290】
(3)電解鉛メッキ液の調製
下記の組成を有する電解鉛メッキ液を調製した。
【0291】
ホウフッ化鉛 400g/L
ホウフッ酸 30g/L
ホウ酸 30g/L
ゼラチン 0.5g/L
(4)メッキ法
前記基材A及びB(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0292】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0293】
更に、前記複合メッキを施した被覆物を負極として、前記(3)の組成を有する電解鉛メッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温30℃、電流密度4A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、鉛メッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0294】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上に鉛メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%及び鉛:40重量%のニッケル−鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の鉛の分析を行ったところ、鉛の拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて前記(2)〜(9)の試験を行った。
【0295】
実施例38
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0296】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケルメッキ液(組成:スルファミン酸ニッケル360g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0297】
(3)電解スズ−亜鉛合金メッキ液の調製
下記の組成を有する電解スズ−亜鉛合金メッキ液を調製した。
【0298】
金属スズ 20g/L
金属亜鉛 8g/L
プロピオン酸 75g/L
硫酸ナトリウム 80g/L
(4)メッキ法
前記各基材(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0299】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0300】
更に、前記複合メッキを施した被覆物を負極として、前記(3)の組成を有する電解スズ−鉛合金メッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度2A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、スズ−鉛合金メッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0301】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上にスズ−鉛合金メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%、スズ:24重量%及び鉛:16重量のニッケル−スズ−鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズ及び鉛の分析を行ったところ、スズ及び鉛の拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて前記(2)〜(11)の試験を行った。
【0302】
実施例39
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0303】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケルメッキ液(組成:スルファミン酸ニッケル360g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0304】
(3)電解スズ−鉛合金メッキ液の調製
下記の組成を有する電解スズ−鉛合金メッキ液を調製した。
【0305】
ホウフッ化第一スズ 130g/L
ホウフッ化鉛 50g/L
ホウフッ酸 125g/L
ホウ酸 25g/L
ペプトン 5g/L
(4)メッキ法
前記基材A及びB(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0306】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0307】
更に、前記複合メッキを施した被覆物を負極として、前記(3)の組成を有する電解スズ−鉛合金メッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度2A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、スズ−鉛合金メッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0308】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上にスズ−鉛合金メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%、スズ:24重量%及び鉛:16重量のニッケル−スズ−鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のスズ及び鉛の分析を行ったところ、スズ及び鉛の拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて前記(2)〜(9)の試験を行った。
【0309】
実施例40
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0310】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケルメッキ液(組成:スルファミン酸ニッケル360g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0311】
(3)電解カドミウム−スズメッキ液の調製
下記の組成を有する電解カドミウム−スズメッキ液を調製した。
【0312】
ホウフッ化カドミウム 120g/L
ホウフッ化スズ 30g/L
ホウ酸 20g/L
ホウフッ化アンモニウム 50g/L
ホウフッ酸 25g/L
p−フェノールスルホン酸ナトリウム 2g/L
ゼラチン 20g/L
(4)メッキ法
前記基材A及びB(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0313】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0314】
更に、前記複合メッキを施した被覆物を負極として、前記(3)の組成を有する電解カドミウム−スズ合金メッキ液を含むメッキ槽を用いて、pH3.0、液温25℃、電流密度3A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、カドミウム−スズ合金メッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0315】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上にカドミウム−スズ合金メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%、カドミウム:28重量%及びスズ:12重量%のニッケル−カドミウム−スズ合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向のカドミウム及びスズの分析を行ったところ、カドミウム及びスズの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて前記(2)〜(9)の試験を行った。
【0316】
実施例41
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0317】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケルメッキ液(組成:スルファミン酸ニッケル360g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0318】
(3)電解鉛−スズ−亜鉛合金メッキ液の調製
下記の組成を有する電解鉛−スズ−亜鉛メッキ液を調製した。
【0319】
ホウフッ化鉛 40g/L
ホウフッ化スズ 15g/L
ホウフッ化亜鉛 2g/L
にかわ 1g/L
(4)メッキ法
前記基材A及びB(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0320】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0321】
更に、前記複合メッキを施した被覆物を負極として、前記(3)の組成を有する電解鉛−スズ−亜鉛合金メッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温20℃、電流密度1A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、鉛−スズ−亜鉛合金メッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0322】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上に鉛−亜鉛−スズ合金メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%、鉛:35重量%、スズ:4重量%及び亜鉛:1重量%のニッケル−鉛−スズ−亜鉛合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の鉛、スズ及び亜鉛の分析を行ったところ、鉛、亜鉛及びスズの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて前記(2)〜(9)の試験を行った。
【0323】
実施例42
(1)ニッケルストライクメッキ液の調製
下記の組成を有するニッケルストライクメッキ液を調製した。
【0324】
塩化ニッケル 245g/L
塩酸 120g/L
(2)電解ニッケル−PTFE複合メッキ液の調製
電解ニッケルメッキ液(組成:スルファミン酸ニッケル360g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸30g/L)1リットルに対して、PTFE微粒子(平均粒子径0.2μm、ダイキン工業(株)製、ルブロンL−2)50gを添加し、このPTFE1gに対して、界面活性剤としての第4級パーフルオロアンモニウム塩[C817SO2NH(CH23+(CH33・Cl-,登録商標「メガファックF150」,大日本インキ化学(株)製]を30.0mg添加して、電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0325】
(3)電解鉛−スズ−アンチモン合金メッキ液の調製
下記の組成を有する電解鉛−スズ−アンチモンメッキ液を調製した。
【0326】
ホウフッ化鉛 100g/L
ホウフッ化スズ 30g/L
ホウフッ化アンチモン 6g/L
ホウフッ酸 80g/L
ハイドロキノン 0.5g/L
ペプトン 15g/L
(4)メッキ法
前記基材A及びB(被メッキ材料)をアルカリ脱脂液で脱脂した後、それぞれを負極とし、前記(1)の組成のニッケルストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2の条件下で、ニッケルストライクメッキ処理を2分間行った。
【0327】
ついで、得られた被覆物を用いて、前記(2)の組成の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を含むメッキ槽中、液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件で、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。この時点で共析率測定用試験片を使用し、PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量%であった。
【0328】
更に、前記複合メッキを施した被覆物を負極として、前記(3)の組成を有する電解鉛−スズ−アンチモン合金メッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温20℃、電流密度4A/dm2の条件で、膜厚が0.5μmとなるまで電解メッキを行って、鉛−スズ−アンチモン合金メッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水洗し、100℃で、5分間乾燥させた。
【0329】
得られた電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜の上に鉛−亜鉛−アンチモン合金メッキ皮膜を施したメッキ被覆物を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このメッキ被覆物の表面をEPMA分析装置(日本電子(株)製JXA−8900RL)を用いて分析したところ、ニッケル:60重量%、鉛:32重量%、スズ:5重量%及びアンチモン:3重量%のニッケル−鉛−スズ−アンチモン合金が形成されていた。また、前記EPMA分析装置を用いて、断面深さ方向の鉛、スズ及びアンチモンの分析を行ったところ、鉛、スズ及びアンチモンの拡散層の厚みは3μmであった。この耐食性複合メッキ皮膜が施された被覆物を用いて前記(2)〜(9)の試験を行った。
【0330】
実施例のメッキ被覆物について、前記物性及び特性の評価を行った結果を表7及び表8に示す。
【0331】
【表7】
Figure 0004681161
【0332】
【表8】
Figure 0004681161
【0333】
表から明らかなように、本発明による耐食性(フッ素化合物共析)複合メッキ皮膜は、極めて優れた撥水性、非粘着性、密着性、耐衝撃変形性、耐薬品性、耐摩耗性、摺動性、耐熱性、装飾性等を備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のメッキ皮膜を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
1…基材
2…耐食性複合メッキ皮膜
3…ニッケル系マトリックス金属
4…フッ素化合物微粒子
5…第2の金属の拡散層
6…ニッケル系メッキ層

Claims (13)

  1. 融点が420℃以下の第2の金属を含むニッケル系メッキ層と、前記第2の金属を含まないニッケル系メッキ層とで構成されており、フッ素化合物の微粒子を含有するニッケル系複合メッキ皮膜であって、第2の金属を含むニッケル系メッキ層において、第2の金属が表面から深さ方向に拡散しているメッキ皮膜。
  2. 第2の金属が、少なくとも第2の金属で構成された金属単体又は合金である請求項1記載のメッキ皮膜。
  3. 第2の金属が、亜鉛、カドミウム、水銀、ガリウム、インジウム、タリウム、スズ、及び鉛から選択された少なくとも一種である請求項記載のメッキ皮膜。
  4. 第2の金属を含むニッケル系メッキ層において、第2の金属としてのスズが表面から深さ方向に拡散し、かつニッケル−スズ合金を形成している請求項1記載のメッキ皮膜。
  5. 第2の金属の融点が20〜420℃である請求項1記載のメッキ皮膜。
  6. 表面にフッ素化合物の微粒子が露出している請求項1記載のメッキ皮膜。
  7. 2の金属を含むニッケル系メッキ層と第2の金属を含まないニッケル系メッキ層との厚みの比が、前者/後者=1/99〜99/1である請求項記載のメッキ皮膜。
  8. 微粒子が、フッ素樹脂、フッ化黒鉛及びフッ化ピッチから選択された少なくとも一種のフッ素化合物で構成されている請求項1記載のメッキ皮膜。
  9. フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体から選択された少なくとも一種である請求項記載のメッキ皮膜。
  10. 基材の表面に請求項1記載のメッキ皮膜が形成されているメッキ被覆物。
  11. 調理器具、調理器具用部材、成型用金型、摺動部材、軸受け部材及び航空機用部材から選択された少なくとも一種である請求項10記載のメッキ被覆物。
  12. フッ素化合物の微粒子を含有するニッケル系複合メッキ皮膜の上に、少なくとも融点が420℃以下の第2の金属で構成された皮膜を形成し、加熱処理して、前記ニッケル系複合メッキ皮膜中に前記第2の金属を溶融拡散させる請求項1記載のメッキ皮膜の製造方法。
  13. 微粒子が表面に露出した皮膜を形成する請求項12記載の製造方法。
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