JP2014214341A - 無電解複合めっき皮膜、並びにそれが形成された摺動部品、転動部品及び金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】めっき処理後に熱処理を施さなくとも高硬度であり、且つ潤滑油を使用せずとも優れた自己潤滑性能を有する無電解複合めっき皮膜を提供すること。【解決手段】1重量%以上3重量%以下のリン及び0.01重量%以上0.3重量%以下のホウ素の少なくとも一方を含有するニッケル合金からなる金属マトリックスにグラファイト粒子を共析させた無電解複合めっき皮膜であって、前記グラファイト粒子が、0.1μm以上15μm以下の粒子径及び10以上50以下のアスペクト比を有するものであることを特徴とする無電解複合めっき皮膜である。【選択図】図3
Description
本発明は、高い硬度と自己潤滑性能とを備えた無電解複合めっき皮膜、並びにその皮膜が形成された摺動部品、転動部品及び金型に関するものである。
近年、内燃機関やパワートレインまた機械駆動による動力伝達部における高効率化及び高出力化の進展に伴い、これらを構成する部材表面には従来よりも高面圧、高温及び高速な摺動環境における高い耐摩耗性が求められている。併せて、低環境負荷及びメンテナンスフリーの観点から潤滑油を使用せずに機械動作する無給油摺動部品が多く用いられ、更なる低フリクション化が求められている。即ち、部材表面に対して、従来よりも優れた耐摩耗性と潤滑性能との2つの性能を同時に満足させることが求められている。
従来、これらを構成する部材表面には、耐摩耗性、耐焼付き性、潤滑性、耐食性等の性能を有するニッケル合金めっき処理が広く適用されている。ニッケル合金めっき処理は、主に湿式めっき法により行われる。特に、小型で複雑形状の部材に対する均一被覆性、めっき皮膜自身の耐食性、膜厚制御容易性及び高い生産性を有する点から、外部電源を使用しない無電解めっき法による処理が一般的である。
上述の要求に対し、部材表面に形成されるニッケル合金めっき皮膜の機能を従来よりも向上させる必要がある。そこで、種々の材料特性を有する固体粒子をニッケル合金めっき皮膜中に複合化させた複合めっき皮膜の開発が積極的に行われている。
複合めっき皮膜は、ニッケルめっき浴に固体粒子を分散させ、部材表面で生じる電気化学反応によりニッケル合金層が析出する過程で固体粒子がニッケル合金めっき皮膜に内包されることで形成される。こうして形成された複合めっき皮膜には、ニッケル合金からなる金属マトリックスの性能に加え、複合化される固体粒子の材料特性をそのまま付与することができる。そのため、このような複合化は、所望特性に対する設計容易性を有しており、非常に有効な手段である。
例えば、硬さ(耐摩耗性)を付与する場合には、めっき反応中に金属マトリックス中に硬質粒子を分散共析させる手法が知られている。ここで、硬質粒子とは、剛性の高い無機固体粒子を指し、例えば、炭化物としてダイヤモンド、SiC、TiC、WC、VC、ZrC、Cr3C2、B4C、窒化物として立方相BN、TiN、Si3N4、酸化物としてAl2O3、Cr2O3、ZrO2、SiO2、TiO2、CeO2、MgOなどが提案されている。
また、潤滑性を付与する場合には、金属マトリックス中に固体潤滑性を有する固体粒子を複合化させる手法が挙げられる。ここで、固体潤滑性を有する固体粒子とは、例えば、結合強度に異方性を持つ六方晶窒化ホウ素(BN)、二硫化モリブデン(MoS2)、グラファイト、メラミンシアヌレート(MCA)、雲母のような劈開性固体やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるフッ素系高分子からなるものである。
複合めっき皮膜は、金属マトリックス中の固体粒子の共析量の増加に従い、複合化された固体粒子の有する材料特性が顕在化し、めっき皮膜にその特性が付与されるという特徴を有している。しかしながら、例えば、特許文献1〜3に開示される硬質粒子を共析させた場合、硬さ(耐摩耗性)は向上するものの、摺動相手材を摩耗損傷させ摩擦係数が増大してしまう問題がある。また、特許文献4及び非特許文献1〜2に開示される固体潤滑性粒子を共析させた場合、摺動時の潤滑性は向上するものの、硬さ(耐摩耗性)を損なう問題がある。従って、従来の複合めっき皮膜では、上述のトレードオフの関係により、硬さ(耐摩耗性)と潤滑性との2つの特性を同時に満足して得ることは困難であった。
また、金属マトリックス中に固体潤滑性材料などの軟質な粒子を複合化することで損なわれる複合めっき皮膜の硬度を向上させるために、めっき処理後に熱処理を施す場合がある。これは、金属マトリックス中に固溶しているリンやホウ素に由来する金属間化合物生成による析出硬化現象を利用したものであり、複合めっき皮膜の硬度を大幅に向上させることができる。しかしながら、省エネルギーの観点から注目されるアルミニウム、マグネシウムなどを含む軽量合金部材は融点が低いため、高温で熱処理を施すことによって部材の変形あるいは強度の低下が生じてしまう問題がある。
そこで、硬さと潤滑性とを両立するために2種類以上の固体粒子を複合化させる複合めっき皮膜も提案されている。例えば、特許文献5では、硬質粒子としてSiCを用い、摺動相手材の損傷を抑制する粒子としてMo2Cを用いている。また、特許文献6では、硬質粒子としてSi3N4を用い、固体潤滑性粒子として雲母を用いている。
上述の手段によれば、金属マトリックスに耐摩耗性と潤滑性とを付与することができる。しかしながら、2種類以上の固体粒子をめっき浴中で凝集させずに安定した懸濁状態を維持するためには、各々の固体粒子のゼータポテンシャルを厳密に制御する必要があり、安定した性能を発現する複合めっき皮膜を得るのは難しく、生産性の著しい低下に繋がる。また、2種類以上の固体粒子を用いるため、生産コストが掛かり非経済的である。
金属表面技術,Vol.39,No.12,1988,p813〜817
表面技術,Vol.57,No.8,2006,p579〜583
従って、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、めっき処理後に熱処理を施さなくとも高硬度であり、且つ潤滑油を使用せずとも優れた自己潤滑性能を有する無電解複合めっき皮膜を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、まず、金属マトリックスであるニッケル合金組成を制御することにより、硬さに加え耐焼付き性を制御できることに着目し、次いで、金属マトリックス中の共析率が低くとも良好な自己潤滑性能を発現し得る粒子としてグラファイトを選定し、更に、そのグラファイト粒子の大きさ及び形状に着眼し、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、1重量%以上3重量%以下のリン及び0.01重量%以上0.3重量%以下のホウ素の少なくとも一方を含有するニッケル合金からなる金属マトリックスにグラファイト粒子を共析させた無電解複合めっき皮膜であって、このグラファイト粒子が、0.1μm以上15μm以下の粒子径及び10以上50以下のアスペクト比を有するものであることを特徴とする無電解複合めっき皮膜である。
本発明において、グラファイト粒子は、2体積%以上10体積%以下の範囲で共析されていることが好ましい。また、本発明において、グラファイト粒子は、六方晶と三方晶とが共存する結晶構造を有するものであることが好ましい。
本発明において、グラファイト粒子は、2体積%以上10体積%以下の範囲で共析されていることが好ましい。また、本発明において、グラファイト粒子は、六方晶と三方晶とが共存する結晶構造を有するものであることが好ましい。
本発明によれば、めっき処理後に熱処理を施さなくとも高硬度であり、且つ潤滑油を使用せずとも優れた自己潤滑性能を有する無電解複合めっき皮膜を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の複合めっき皮膜は、リン及びホウ素の少なくとも一方を特定の重量割合で含有するニッケル合金からなる金属マトリックスに、特定の粒子径及びアスペクト比を有するグラファイト粒子を共析させたことを特徴としている。
本発明の複合めっき皮膜は、リン及びホウ素の少なくとも一方を特定の重量割合で含有するニッケル合金からなる金属マトリックスに、特定の粒子径及びアスペクト比を有するグラファイト粒子を共析させたことを特徴としている。
本発明の複合めっき皮膜の金属マトリックスはニッケル合金であり、無電解めっき法により得ることができる。一般的に、無電解めっき法において析出する金属中には、酸化還元反応に用いる還元剤の化学種に由来する元素が不可避的に含有される。例えば、ホスホン酸などのリン化合物系還元剤を用いればリンが含有され、ホウ素化合物系還元剤を用いた場合にはホウ素が含有される。また、その両者を用いた場合はリン及びホウ素が含まれる。ニッケル合金中のこれら元素の含有量を変化させることにより、ニッケル合金の組織を制御することが可能となり、それに伴って硬度と耐焼付き性を制御することが可能となる。具体的には、ニッケル合金中にリン及びホウ素の少なくとも一方を少量含有させることによる固溶強化によりニッケル母材自体の硬度を向上させることができる。また、このときニッケル合金は多結晶体であり組織の大きさや配向性を調整することにより耐焼付き性を向上させることができる。
本発明者は、上記のような知見に基づき、金属マトリックスとしてのニッケル合金組成を検討した結果、1重量%以上3重量%以下のリン及び0.01重量%以上0.3重量%以下のホウ素の少なくとも一方を含有するニッケル合金であれば、耐摩耗性及び耐焼付け性に優れることを見出した。本発明の複合めっき皮膜の金属マトリックスは、好ましくは、1重量%以上3重量%以下のリンと0.01重量%以上0.3重量%以下のホウ素とを含有するニッケル合金からなり、更に好ましくは、1.5重量%以上2.8重量%以下のリンと0.1重量%以上0.25重量%以下のホウ素とを含有するニッケル合金からなる。
ニッケル合金中のリン及びまたはホウ素の含有率は、浴中の還元剤濃度、処理時の浴温やpHなどのめっき処理条件を制御することによって変化させることが可能である。また、リン及びホウ素の含有率を制御する化合物をめっき浴に適宜添加し制御してもよい。
本発明の複合めっき皮膜に共析させるグラファイト粒子は、薄い鱗片形状を呈するものであり、所定のアスペクト比を有している。ここで、図1を参照しながら、グラファイト粒子におけるベーサル面、エッジ面及びアスペクト比(エッジ面の厚さに対するベーサル面の最大径の比)について説明する。グラファイトは炭素からなる2次元グラフェンシートが層状に積層した結晶構造であり、グラフェンシートと平行をなす面をベーサル面1(基底面)と呼び、それに角度をなす面をエッジ面2と呼ぶ。各グラフェンシート層間はファンデルワールス力による凝集力により弱く結合しているため、グラファイトの劈開方向(すべり方向)はグラフェンシート層に平行であり、すなわちベーサル面1に平行である。つまり、上述のアスペクト比とは、「鱗片の厚さに対するすべり面の大きさ」を意味しており、アスペクト比(D/h)が大きいほど薄く大きな鱗片形状であることを意味し、一方、アスペクト比(D/h)が小さいほど厚く小さな鱗片形状であることを意味する。
例えば、摺動時におけるグラファイト粒子一粒当たりの剪断変形量を考慮した場合、アスペクト比の大きなグラファイト粒子の方が大きな変位を生じることができるため、摺動界面間に生じる摩擦力をより低下させることが可能である。
また、グラファイトの結晶構造には、六方晶及び三方晶が存在し、前者をgraphite 2H(以下、2Hと略記することがある)、後者をgraphite 3R(以下、3Rと略記することがある)と呼ぶ。一般的には2H構造が安定構造として存在する。2H構造はベーサル面に対して垂直方向にグラフェンシート層が2回の積層周期構造を持ち、3R構造は3回の積層周期構造を持つ。この積層周期性の違いにより、アスペクト比の大きい場合、すなわち、エッジ面が狭い場合において、2H構造のみよりも3R構造が共存している方が劈開による剪断変形を生じる箇所が増加し、摺動時の摩擦力を更に低下させることができる。
また、複合めっき皮膜の硬さは、金属マトリックス中の共析粒子の個数及び粒子径によって定まる粒子の体積占有率により決定する。グラファイト粒子のように金属マトリックスに比べ軟質な粒子の場合はその体積占有率の増加に従い硬度が低下する。例えば、単位体積当りのグラファイト粒子の個数を一定とした場合、グラファイト粒子の粒子径が大きい場合には体積占有率が増加し、一方、粒子径が小さい場合には粒子の体積占有率が低下する。このとき、前者の方が後者に比べ皮膜の硬さが低下するが、粒子のアスペクト比を増大させることにより粒子の体積占有率を低下させ、複合化による硬度低下を極力抑制することが可能となる。
また、グラファイト粒子のベーサル面は疎水性を有し化学的に安定であり不活性である。一方、ベーサル面と角度をなすエッジ面には、カルボニル基、オルトキノン基、パラキノン基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、及びそれらからなるラクトン構造等の官能基が存在するため、親水性であり高い化学的活性を持つ。無電解めっき浴中では場所を選ばずに活発に酸化還元反応が生じるため、めっき浴中にグラファイト粒子を添加した場合、グラファイト粒子の化学活性部分の面積が狭い方が浴安定性の観点から望ましい。すなわち、グラファイト粒子のアスペクト比が大きい方が、無電解めっき浴の安定性をより長く保つことが可能である。
本発明者は、上記のような知見に基づき、複合めっき皮膜に共析させるグラファイト粒子の大きさ及び形状を検討した結果、粒子径が0.1μm以上15μm以下であり且つアスペクト比が10以上50以下と大きいグラファイト粒子であれば、金属マトリックスの硬度の低下を抑制しながら効率良く優れた自己潤滑性能を付与できることを見出した。粒子径及びアスペクト比が上記範囲内であれば、粒子径やアスペクト比の異なる2種以上のグラファイト粒子を混合して用いてもよい。本発明において、好ましいグラファイト粒子は、2.5μm以上10μm以下の粒子径及び10以上35以下のアスペクト比を有するものである。
なお、本発明において、グラファイト粒子の粒子径とは、水に分散させたグラファイト粒子を、レーザ回折式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製 Partica LA−950V2)を用いて求められるメジアン径である。
また、本発明において、グラファイト粒子のアスペクト比とは、複合めっき皮膜の断面を走査型電子顕微鏡JSM−6060A(日本電子株式会社製)を用いて反射電子像を観察し、得られたデジタル画像中のランダムに選択したグラファイト粒子50個について、画像演算解析ソフトウェア Image−J(アメリカ国立衛生研究所製)を用いてエッジ面の厚さ及びベーサル面の長さを計測し、それら値からエッジ面の厚さに対するベーサル面の最大径の比を算出し、算術平均した値である。
なお、本発明において、グラファイト粒子の粒子径とは、水に分散させたグラファイト粒子を、レーザ回折式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製 Partica LA−950V2)を用いて求められるメジアン径である。
また、本発明において、グラファイト粒子のアスペクト比とは、複合めっき皮膜の断面を走査型電子顕微鏡JSM−6060A(日本電子株式会社製)を用いて反射電子像を観察し、得られたデジタル画像中のランダムに選択したグラファイト粒子50個について、画像演算解析ソフトウェア Image−J(アメリカ国立衛生研究所製)を用いてエッジ面の厚さ及びベーサル面の長さを計測し、それら値からエッジ面の厚さに対するベーサル面の最大径の比を算出し、算術平均した値である。
ニッケル合金中に複合化させるグラファイト粒子は、天然鉱石由来であっても、コークス、チャーコール、コールタールなどを原料として合成される合成物でもよい。また、粉末として分級する際の工程は、湿式、乾式を問わない。ただし、めっき浴の安定性を確保するために、グラファイト粒子中に含有される灰分はごく微量であることが望ましい。
グラファイト粒子としては、摺動時における劈開による剪断変形箇所を増加させ摩擦力を更に低下させる観点から、六方晶と三方晶の結晶構造が共存するものを用いることが好ましい。その結晶構造の存在比率は任意に設定・選択することができる。また、六方晶のみの結晶構造を有するグラファイト粒子と三方晶のみの結晶構造を有するグラファイト粒子とを任意比率で混合して用いてもよい。
上述した大きさ及び形状を有するグラファイト粒子を金属マトリックスに複合化させた本発明の複合めっき皮膜の断面及び表面の走査型電子顕微鏡像を図2及び図3に示す。図2及び図3より、表面からグラファイト粒子が露出し、金属マトリックス内部ではでグラファイト粒子が凝集すること無く均一に分散し共析していることが分かる。
また、共析されるグラファイト粒子の量は、特に制限されるものではないが、複合共析化による皮膜硬度の低下を抑制するために、複合めっき皮膜に対して、2体積%以上10体積%以下の範囲であることが好ましく、2.5体積%以上4.5体積%以下であることが更に好ましい。複合めっき皮膜中のグラファイト粒子の量は、めっき浴中へのグラファイト粒子添加量の調整、めっき処理条件、グラファイト粒子の親溶媒化処理条件、めっき浴の攪拌条件等によって制御することができる。
グラファイト粒子をめっき浴に添加する手法は、特に制限が無く、グラファイト粒子を水やアルコール類等の中に予め分散させたものをめっき浴に添加してもよいし、グラファイト粒子を単独でめっき浴に添加してもよい。また、めっき浴中での分散性及び複合めっき皮膜中での分散性を向上させるために、一般的な界面活性剤を併せて添加してもよい。界面活性剤の分子構造、分子量、イオン性の有無及び極性は、特に制限が無く、2種以上の界面活性剤を組み合わせて用いてもよい。
また、めっき浴中でのグラファイト粒子の分散性を更に向上させるために、超音波照射等の処理を施す方が望ましい。
また、めっき浴中でのグラファイト粒子の分散性を更に向上させるために、超音波照射等の処理を施す方が望ましい。
本発明において、ニッケル合金マトリックスを得るのに使用するめっき液組成は、特に限定されず、水溶性ニッケル塩と、リン化合物系還元剤及びホウ素化合物系還元剤の少なくとも一方とを含有する公知の無電解ニッケルめっき液組成を適宜調整して用いることができる。
水溶性ニッケル塩としては、例えば、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。無電解ニッケルめっき液中における水溶性ニッケル塩の濃度は、通常、0.03mol/L以上0.13mol/L以下である。
リン化合物系還元剤としては、例えば、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ニッケル等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。無電解ニッケルめっき液中におけるリン化合物系還元剤の濃度は、金属マトリックスであるニッケル合金中のリン含有量が1重量%以上3重量%以下となる濃度であれば特に制限が無いが、通常、0.1mol/L以上0.35mol/L以下である。
ホウ素化合物系還元剤としては、例えば、ジメチルアミノボラン、ジエチルアミノボラン、トリメチルアミノボラン、水素化ホウ素ナトリウム等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。無電解ニッケルめっき液中におけるホウ素化合物系還元剤の濃度は、金属マトリックスであるニッケル合金中のホウ素含有量が0.01重量%以上0.3重量%以下となる濃度であれば特に制限が無いが、通常、0.002mol/L以上1mol/L以下である。
無電解ニッケルめっき液には、必要に応じて錯化剤を添加してもよい。錯化剤としては、公知のものを制限なく使用することができ、例えば、グリシン、アラニン、アルギニン等のアミノ酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等のジカルボン酸、クエン酸等のトリカルボン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などのカルボン酸類を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。無電解ニッケルめっき液中における錯化剤の濃度は、通常、0.1mol/L以上1.0mol/L以下である。また、無電解ニッケルめっき液には、本発明の効果を損なわない範囲で、反応促進剤、光沢剤、界面活性剤等の公知の添加剤も必要に応じて添加してもよい。
本発明の複合めっき皮膜は、公知の複合めっき工法により作製することが可能であり、槽の形状や構造、めっき浴内における処理対象部材の配置方法、めっき浴の攪拌方法に特に制限はなく行うことができる。
一般に無電解ニッケルめっき液の比重は1.1〜1.3g/cm3程度であり、グラファイト粒子の比重は2.2〜2.3g/cm3程度である。この比重差によりグラファイト粒子はめっき浴中で沈降し易い。その結果、無攪拌の状態では均一な共析状態や所定の共析量を安定して得ることが難しく、ムラ発生等の外観性状の悪化や処理部位内における性能の不均一性が生じてしまう。そこで、めっき浴中のグラファイト粒子の懸濁状態を均一にするために、めっき液の比重調整及び粘度調整、めっき浴に対する機械的攪拌操作等を行うことが望ましい。
一般に無電解ニッケルめっき液の比重は1.1〜1.3g/cm3程度であり、グラファイト粒子の比重は2.2〜2.3g/cm3程度である。この比重差によりグラファイト粒子はめっき浴中で沈降し易い。その結果、無攪拌の状態では均一な共析状態や所定の共析量を安定して得ることが難しく、ムラ発生等の外観性状の悪化や処理部位内における性能の不均一性が生じてしまう。そこで、めっき浴中のグラファイト粒子の懸濁状態を均一にするために、めっき液の比重調整及び粘度調整、めっき浴に対する機械的攪拌操作等を行うことが望ましい。
また、本発明の複合めっき皮膜は、基材に対して適切な前処理を施すことにより、基材材質に関する制限は特に無い。特に電気化学的に卑な性質を有するアルミニウム、マグネシウム、チタニウム、亜鉛等の合金に対して処理する際には電気めっき法または無電解めっき法によって予め金属層を成膜し、その上に本発明の複合めっき皮膜を形成することが望ましい。その際、予備成膜する金属層の元素種は任意に選択することが可能である。
本発明の複合めっき皮膜は、めっき処理後に特に熱処理を施さなくとも高硬度を有するが、耐摩耗性の更なる向上、基材との密着性の向上等を目的に適宜熱処理を施してもよい。その際の温度、時間、雰囲気は任意に設定することが可能である。ただし、アルミニウムやマグネシウムを主体とする低融点合金部材に対して本発明の複合めっき皮膜を形成した場合は、部材自体の変形や強度低下を抑えるために100〜200℃程度の低温での熱処理に留める方が望ましい。
本発明の複合めっき皮膜は、上述したように、耐摩耗性、耐焼付き性、潤滑性、耐食性等に優れているので、これらの特性が求められる摺動部品、転動部品、金型等に特に有用である。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
参考例、実施例及び比較例は、以下に示す試料作製方法及び評価手法を用いて行った。
参考例、実施例及び比較例は、以下に示す試料作製方法及び評価手法を用いて行った。
[試料作製方法]
基材としてJIS B0601:2001に規格化される表面粗さのSPCCブライト鋼板(表面積0.2dm2)を用い、脱脂・電解研磨・酸活性処理を行った後、めっき処理を施した。その後、30℃程度の温風で乾燥させ、試料を得た。
金属マトリックスとして、ニッケル−リン合金を得る場合は「SEK−797」(日本カニゼン株式会社製)、ニッケル−ホウ素合金を得る場合は「SFB−26」(日本カニゼン株式会社製)、またニッケル−リン−ホウ素合金を得る場合には「SKB−230」(日本カニゼン株式会社製)のめっき薬液を用いた。また、リン及びホウ素を含まないニッケルめっき試料は、ワット浴を用いて電気めっき法により作製した。
金属マトリックスに複合共析化させるグラファイト粒子は市販のものを用いた。
なお、基材上の複合めっき層の膜厚はめっき処理時間の調整により行い、15μmで一定とした。
基材としてJIS B0601:2001に規格化される表面粗さのSPCCブライト鋼板(表面積0.2dm2)を用い、脱脂・電解研磨・酸活性処理を行った後、めっき処理を施した。その後、30℃程度の温風で乾燥させ、試料を得た。
金属マトリックスとして、ニッケル−リン合金を得る場合は「SEK−797」(日本カニゼン株式会社製)、ニッケル−ホウ素合金を得る場合は「SFB−26」(日本カニゼン株式会社製)、またニッケル−リン−ホウ素合金を得る場合には「SKB−230」(日本カニゼン株式会社製)のめっき薬液を用いた。また、リン及びホウ素を含まないニッケルめっき試料は、ワット浴を用いて電気めっき法により作製した。
金属マトリックスに複合共析化させるグラファイト粒子は市販のものを用いた。
なお、基材上の複合めっき層の膜厚はめっき処理時間の調整により行い、15μmで一定とした。
[評価手法]
金属マトリックス中のリン及びホウ素含有率は、めっき皮膜を30%硝酸で溶解し、誘導結合プラズマ質量分析装置(Agilent Technologies,Inc.製 7500CX)を用いて定量した。
金属マトリックス中のリン及びホウ素含有率は、めっき皮膜を30%硝酸で溶解し、誘導結合プラズマ質量分析装置(Agilent Technologies,Inc.製 7500CX)を用いて定量した。
複合めっき皮膜中に共析したグラファイト粒子の共析量は、表面積1dm2のSUS304平板上にめっき皮膜を施し、それを30%硝酸で溶解しその前後の重量差から複合めっき皮膜の総重量を算出し、次いで溶解液から濾別したグラファイト粒子の重量を測定し、それら値からグラファイト粒子のめっき皮膜中の重量分率を算出した。更に、金属マトリックス及びグラファイト粒子の比重を用いて体積分率に換算した。
複合めっき皮膜中に共析したグラファイト粒子のアスペクト比は、複合めっき皮膜の断面を走査型電子顕微鏡JSM−6060A(日本電子株式会社製)を用いて反射電子像を観察し、得られたデジタル画像中のランダムに選択したグラファイト粒子50個について、画像演算解析ソフトウェア Image−J(アメリカ国立衛生研究所製)を用いてエッジ面の厚さ及びベーサル面の長さを計測し、それら値からエッジ面の厚さに対するベーサル面の最大径の比を算出し、算術平均して求めた。
複合めっき皮膜の皮膜硬度は、マイクロビッカース硬度計MVK−G1(有限会社明成硬機製)を用いて、20℃においてダイヤモンド圧子を加重25gfで10秒間押し込み測定した。
複合めっき皮膜の潤滑性は、表面性測定器HEIDON−14型(新東科学株式会社製)を用いて、往復摺動試験による摩擦係数測定により評価した。潤滑油は一切使用せず、20℃、相対湿度40%の雰囲気で行った。摺動相手材として予め脱脂・乾燥させたSUJ2(直径10mm、Hv805)を用い、垂直加重200gf、摺動速度100mm/分、移動距離20mm/サイクルの摺動条件で行った。また、耐焼付き性は摩擦係数が0.6に達した摺動回数を「焼付き限界摺動回数」として定義することにより判定した。
[参考例−ニッケル合金中のリン及びホウ素の含有率と皮膜硬度及び耐焼付き性]
耐摩耗性と潤滑性を有する複合めっき皮膜を得るためには、金属マトリックス自体が高硬度であり且つ焼付きを生じ難い性能を備えることが必要である。そこで、金属マトリックスとするニッケル合金めっき中のリン及びホウ素の含有率を変化させた場合の皮膜硬度と焼き付き限界摺動回数を測定した。測定結果を表1に示す。
ここでは、皮膜硬度がHv600以上のものを良(○)とし、Hv600未満のものを不良(×)と判定した。また、焼付き限界回数が5回以上のものを良(○)とし、焼付き限界回数が4回以下のものを不良(×)とした。それら両特性において良(○)を併せて満足するものを総合判定で良(○)とした。
耐摩耗性と潤滑性を有する複合めっき皮膜を得るためには、金属マトリックス自体が高硬度であり且つ焼付きを生じ難い性能を備えることが必要である。そこで、金属マトリックスとするニッケル合金めっき中のリン及びホウ素の含有率を変化させた場合の皮膜硬度と焼き付き限界摺動回数を測定した。測定結果を表1に示す。
ここでは、皮膜硬度がHv600以上のものを良(○)とし、Hv600未満のものを不良(×)と判定した。また、焼付き限界回数が5回以上のものを良(○)とし、焼付き限界回数が4回以下のものを不良(×)とした。それら両特性において良(○)を併せて満足するものを総合判定で良(○)とした。
表1に示すように、ニッケル合金中のリン及びホウ素の含有量によりニッケル合金皮膜(固体潤滑性粒子を含有しない)の硬度及び耐焼付き性が変化する。参考例1〜3のニッケル合金皮膜は、Hv620以上の高い硬度を示し、耐摩耗性に優れていると考えられる。
一方、参考例4に示すようにニッケル皮膜中にリン及びホウ素を一切含有しない場合は、硬度が低く、往復摺動試験の結果、サイクル回数2回目において摩擦係数が急激に増大し0.6以上となった。この結果より、ニッケル皮膜中にリン及びホウ素を一切含有しない場合は、耐摩耗性及び耐焼付き性において良好な性能を得ることができないと考えられる。また、参考例5に示すようにリンの含有量が多い場合は、往復摺動200サイクル時において摩擦係数は0.35を示し、今回の試料の中で最も焼付き難い特性を示したが、摺動試験後の表面を観察した結果、めっき皮膜表面及び相手材のSUJ2表面も共に摩耗による損傷が大きく、耐摩耗性が低いと考えられる。
更に、参考例6に示すようにホウ素の含有量が多い場合は、ビッカース硬度計によりめっき皮膜にダイヤモンド圧子を押し込むと皮膜にクラックが生じた。このクラックの破断面を観察したところ、脆性破壊によるものであると分かった。仮に機械構成部材へ処理した場合、摺動時に掛かる摩擦力により皮膜が破壊され、その破片により摺動界面における摩擦係数が上昇してしまうことが容易に類推可能である。従って、参考例6に示すようにホウ素の含有量が多い場合は、複合めっき皮膜の金属マトリックスとして不適である。
以上の結果から、参考例1〜3に示すニッケル合金組成は、耐摩耗性と耐焼付き性に優れていると考えられ、特に参考例3のニッケル−リン−ホウ素合金が複合めっき皮膜のマトリックスとして最も好適と判断できる。
[実施例1〜3及び比較例1〜7−固体潤滑性粒子を複合化させた複合めっき皮膜の摺動特性と皮膜硬度]
実施例1〜3として、参考例で好適と判定した参考例1〜3のニッケル合金マトリックスに対してグラファイト粒子を複合化した場合の皮膜硬度と往復摺動試験における200サイクル時の摩擦係数を測定した。測定結果を表2に示す。また、比較例1〜7として、グラファイト粒子以外の固体潤滑性粒子を複合化した場合の結果を表2に併記する。
実施例1〜3で用いたグラファイト粒子は、5.5μmの粒子径及び16のアスペクト比を有し、結晶構造は2Hと3Rとが共存するものである。
比較例で用いた固体潤滑性粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)、フッ化黒鉛(以下、CF)、二硫化モリブデン(以下、MoS2)、窒化ホウ素(以下、BN)、メラニンシアヌレート(以下、MCA)であり、平均粒径2〜3μmである。
また、実施例1〜3及び比較例1〜7において、各固体潤滑性粒子の量は、複合めっき皮膜に対して、3体積%〜4体積%の範囲となるように調整した。
皮膜硬度が、Hv600以上のものを良(○)とし、Hv600未満のものを不良(×)とした。また、往復摺動試験における200サイクル時の摩擦係数が0.1以下のものを良(○)とし、摩擦係数が0.1超のものを不良(×)とした。それら両特性において良(○)を併せて満足するものを総合判定で良(○)とした。
実施例1〜3として、参考例で好適と判定した参考例1〜3のニッケル合金マトリックスに対してグラファイト粒子を複合化した場合の皮膜硬度と往復摺動試験における200サイクル時の摩擦係数を測定した。測定結果を表2に示す。また、比較例1〜7として、グラファイト粒子以外の固体潤滑性粒子を複合化した場合の結果を表2に併記する。
実施例1〜3で用いたグラファイト粒子は、5.5μmの粒子径及び16のアスペクト比を有し、結晶構造は2Hと3Rとが共存するものである。
比較例で用いた固体潤滑性粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)、フッ化黒鉛(以下、CF)、二硫化モリブデン(以下、MoS2)、窒化ホウ素(以下、BN)、メラニンシアヌレート(以下、MCA)であり、平均粒径2〜3μmである。
また、実施例1〜3及び比較例1〜7において、各固体潤滑性粒子の量は、複合めっき皮膜に対して、3体積%〜4体積%の範囲となるように調整した。
皮膜硬度が、Hv600以上のものを良(○)とし、Hv600未満のものを不良(×)とした。また、往復摺動試験における200サイクル時の摩擦係数が0.1以下のものを良(○)とし、摩擦係数が0.1超のものを不良(×)とした。それら両特性において良(○)を併せて満足するものを総合判定で良(○)とした。
表2に示すように、参考例で好適と判定した金属マトリックス中にグラファイト粒子を複合化した複合めっき皮膜は、金属マトリックスの硬度とほぼ同等の硬度を有し、且つ低い摩擦係数を示すことが分かる(実施例1〜3)。
PTFEを金属マトリックス中に複合化した場合、めっき皮膜に優れた固体潤滑性を付与することは一般に知られているが、その含有率が少ない場合にはある程度の固体潤滑能を示すものの、その摩擦係数は高い。更に、皮膜硬度も著しく低下してしまう(比較例1〜3)。
CF、BN又はMCAを金属マトリックス中に複合化した場合、金属マトリックスの硬度はほぼ維持するものの、高い摩擦係数を示す(比較例4、6及び7)。特にCFを金属マトリックス中に複合化した場合、往復摺動65サイクル目において摩擦係数が0.6に達し、固体潤滑性粒子を全く含まない参考例3の結果と比較した場合、金属マトリックスに複合化しても潤滑性能をほとんど付与することができないことが分かる。
なお、PTFE、CF、BN、MCAの各固体潤滑性粒子の共析率を増大させると、粒子の有する固体潤滑性により低い摩擦係数を示すが、著しく皮膜硬度が低下してしまう。
また、MoS2を固体潤滑性粒子として用いた場合、浴の昇温中又はめっき反応中に浴が不安定となり、浴の分解を引き起こし、複合めっき皮膜を得ることができなかった。このとき、腐卵臭が発生したことからMoS2粒子表面が浴中の還元剤や有機酸と反応し硫化水素を発生したと考えられる。分解した浴中の粒子を調査したところ、酸化モリブデンもしくは水酸化モリブデンに変質しており、両者ともに固体潤滑性能を有さない物質のため、仮にそれらが金属マトリックス中に複合化したとしても潤滑性能の発現は期待することはできない。
上記結果より、金属マトリックス中に少量の固体潤滑性粒子を複合した場合、複合化する粒子としてグラファイト粒子が最も好適であり、優れた耐摩耗性と摺動特性を同時に満足することが可能であることが明らかである。
[実施例4〜12及び比較例8〜11−粒子径、アスペクト比及び結晶構造の異なるグラファイト粒子を複合化した複合めっき皮膜の摺動特性と皮膜硬度]
先の実施例1〜3で最も好適と判定したニッケル合金マトリックスにグラファイト粒子を分散共析させる組み合わせ(実施例1)において、粒子径、アスペクト比及び結晶構造を変化させたグラファイト粒子を複合化した場合の皮膜硬度と往復摺動試験における200サイクル時の摩擦係数を測定した。測定結果を表3に示す。
先の実施例1〜3で最も好適と判定したニッケル合金マトリックスにグラファイト粒子を分散共析させる組み合わせ(実施例1)において、粒子径、アスペクト比及び結晶構造を変化させたグラファイト粒子を複合化した場合の皮膜硬度と往復摺動試験における200サイクル時の摩擦係数を測定した。測定結果を表3に示す。
皮膜硬度が、Hv600以上のものを良(○)とし、Hv600未満のものを不良(×)とした。また、往復摺動試験における200サイクル時の摩擦係数が0.1以下のものを良(○)とし、摩擦係数が0.1超のものを不良(×)とした。それら両特性において良(○)を併せて満足するものを総合判定で良(○)とした。
表3に示すように、金属マトリックスに対し本発明の範囲内で粒子径及びアスペクト比を変化させたグラファイト粒子を複合化した複合めっき皮膜は、金属マトリックスの硬さをほぼ変化させずに低い摩擦係数を示すことが分かる(実施例4〜12)。
また、比較例8に示すようにグラファイト粒子のアスペクト比が小さい場合は、摺動初期段階において摩擦係数が急激に上昇し、その後一定値を示し摺動相手材との焼付きを抑制するが、その摩擦係数は高い。往復摺動試験前後の試料の表面性状を観察したところ、摺動界面におけるグラファイト粒子の劈開変形が不十分であることが分かった(図7)。
更に、比較例9に示すようにグラファイト粒子の粒子径が0.1μmより小さい場合は、摩擦係数の増大を示し、他の比較例と同様に高い皮膜硬度と自己潤滑性を同時に満足して得ることはできない。
比較例10に示すようにグラファイト粒子の粒子径が15μmより大きくアスペクト比が10より小さい場合は、摩擦係数が高く、更に皮膜硬度も大幅に低下してしまう。このとき作製した複合めっき皮膜の表面性状を観察したところ、金属マトリックスが塊状に析出している箇所が存在し、平滑性が損なわれたために摺動相手材間との摩擦力が増大したと考えられる。また、粒子径が大きいことにより単位体積当たりの金属マトリックス部分が減少し、金属マトリックス本来の硬さを保持することができない。
比較例11に示すようにグラファイト粒子のアスペクト比が50より大きな場合は、高い摩擦係数を示す。アスペクト比が大き過ぎるとグラファイト粒子のエッジ面厚さが極度に薄くなり、グラファイト粒子の剪断変形箇所が減少してしまうためである。
また、比較例8に示すようにグラファイト粒子のアスペクト比が小さい場合は、摺動初期段階において摩擦係数が急激に上昇し、その後一定値を示し摺動相手材との焼付きを抑制するが、その摩擦係数は高い。往復摺動試験前後の試料の表面性状を観察したところ、摺動界面におけるグラファイト粒子の劈開変形が不十分であることが分かった(図7)。
更に、比較例9に示すようにグラファイト粒子の粒子径が0.1μmより小さい場合は、摩擦係数の増大を示し、他の比較例と同様に高い皮膜硬度と自己潤滑性を同時に満足して得ることはできない。
比較例10に示すようにグラファイト粒子の粒子径が15μmより大きくアスペクト比が10より小さい場合は、摩擦係数が高く、更に皮膜硬度も大幅に低下してしまう。このとき作製した複合めっき皮膜の表面性状を観察したところ、金属マトリックスが塊状に析出している箇所が存在し、平滑性が損なわれたために摺動相手材間との摩擦力が増大したと考えられる。また、粒子径が大きいことにより単位体積当たりの金属マトリックス部分が減少し、金属マトリックス本来の硬さを保持することができない。
比較例11に示すようにグラファイト粒子のアスペクト比が50より大きな場合は、高い摩擦係数を示す。アスペクト比が大き過ぎるとグラファイト粒子のエッジ面厚さが極度に薄くなり、グラファイト粒子の剪断変形箇所が減少してしまうためである。
上記結果より、金属マトリックス中に複合化するグラファイト粒子の粒子径及びアスペクト比を本発明の範囲内で変化させても、得られる複合めっき皮膜は、高硬度かつ低摩擦係数を示すことが分かる。
以上の実施例及び比較例の結果より、本発明の効果は明らかである。従来提案されている硬質もしくは固体潤滑性粒子を用いた複合めっき皮膜では硬さもしくは自己潤滑性のいずれかの特性しか満足に得ることができなかったが、本発明の複合めっき皮膜ではそれら特性を同時に満足して得ることが可能であり、耐摩耗性、耐焼付き性及び摺動特性に優れた皮膜を提供することが可能である。
また、金属マトリックス中にグラファイト粒子を複合化させるに際し、従来の処理工法、無電解めっき薬液を使用することも可能であり、更にグラファイト粒子を少量しか使用しない点や硬化のために高温の熱処理を必要としない点を鑑みて、工業的運用性及び経済性に関して従来よりも優れている。
また、金属マトリックス中にグラファイト粒子を複合化させるに際し、従来の処理工法、無電解めっき薬液を使用することも可能であり、更にグラファイト粒子を少量しか使用しない点や硬化のために高温の熱処理を必要としない点を鑑みて、工業的運用性及び経済性に関して従来よりも優れている。
1 ベーサル面、2 エッジ面。
Claims (5)
- 1重量%以上3重量%以下のリン及び0.01重量%以上0.3重量%以下のホウ素の少なくとも一方を含有するニッケル合金からなる金属マトリックスにグラファイト粒子を共析させた無電解複合めっき皮膜であって、
前記グラファイト粒子が、0.1μm以上15μm以下の粒子径及び10以上50以下のアスペクト比を有するものであることを特徴とする無電解複合めっき皮膜。 - 前記グラファイト粒子が、2体積%以上10体積%以下の範囲で共析されていることを特徴とする請求項1に記載の無電解複合めっき皮膜。
- 前記グラファイト粒子が、六方晶と三方晶とが共存する結晶構造を有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の無電解複合めっき皮膜。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の無電解複合めっき皮膜が形成されていることを特徴とする摺動部品又は転動部品。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の無電解複合めっき皮膜が形成されていることを特徴とする金型。
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