JP4324097B2 - 耐熱性と非粘着性とに優れる塗装金属板 - Google Patents

耐熱性と非粘着性とに優れる塗装金属板 Download PDF

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本発明は、フッ素樹脂を含有した塗料を塗装した非粘着性および潤滑性に優れた家電製品、容器類等に用いられる塗装金属板に関する。特に、本発明は、上記フッ素樹脂と共に耐熱性樹脂を含有した塗料を塗装した非粘着性と共に耐熱用途も適した塗装金属板に関する。
従来、フッ素系樹脂は耐候性、耐食性等が良好なため高級塗装金属板用途に広く用いられている。特に、フッ素樹脂の中でも表面エネルギーが低く、低摩擦係数を有する四フッ化エチレン樹脂(以下PTFEと言う。)や四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂(以下FEPと言う。)は非粘着性や潤滑性(加工性)を要求される分野に広く用いられており、塗料としてはPTFEやFEPに種々の樹脂(以下バインダー樹脂と言う。)を混合した系として利用されることが多い。
非粘着性や潤滑性を要求される分野としては、例えば付着防止が必要な家庭用調理容器、冷凍食品容器や、潤滑性が要求される無塗油で成形する分野などが挙げられる。
このようなPTFEやFEPとバインダー樹脂を主成分とする塗料から形成される塗膜においては、PTFE、FEPは非粘着性、潤滑性を、バインダー樹脂は基材との密着性および可とう性の機能をそれぞれ発揮することが必要である。そのため膜構造としては、塗膜内上部ではPTFE、FEP富化であり、塗膜内の基材側部ではバインダー樹脂富化となっている塗膜内分離構造が理想的である。
このような塗膜内分離構造を作りだすために、層分離挙動に及ぼす乾燥塗膜厚と塗料中のPTFE、FEPの平均粒径又はジアン粒径をコントロールすることが、特開平0−092536号公報に記載されている。
特開平0−092536号公報によると、フッ化オレフィン系樹脂粉末の平均粒径又はメジアン粒径(R)に対する塗膜の乾燥塗膜厚(T)の比をT/R=0.6〜2の範囲内にすることにより、塗膜内分離構造が実現されている。
特開平02−092536号公報
特開平0−092536号公報記載の方法によって製造された塗装金属板の非粘着性をさらに向上させるためには、塗膜にフッ素樹脂を多く混入させること、塗膜厚を厚くすること等が考えられる。しかし、フッ素樹脂を多く混入させると塗布液の粘性が上昇し塗布性が低下し製造が困難である。フッ素含有層を2層として、両層のフッ素樹脂の合計の量を多くする方法もあるが、従来の2コート2ベークによる方式では、フッ素を含有した下層と上層との層間の密着性が悪くなるため、やはり塗膜中のフッ素樹脂濃度を高くすることは困難であった。また、塗膜を厚くすると、粒径と塗膜厚の比、T/R=0.6〜2の範囲を超えることとなり、塗膜内分離構造の形成が困難である。一方、非粘着性を長期間にわたって確保できる耐久性も要求されるようになった。
本発明の目的は、従来技術の塗装金属板よりも、さらに高い非粘着性および耐久性を有し、非粘着性が長期間にわたって持続する塗装金属板を提供することである。
本発明者は、従来技術の単層の非粘着性耐熱性塗膜を、2層構造にし、これらを同時硬化させることにより、両層間の密着性およびその後の成形性を確保しながら、従来技術を超える非粘着性を有する塗装金属板を提供できることを見出した。
即ち、本発明は、
(1)金属板の上に配置された、最上層と前記最上層の下に配置された下層とを有する塗装金属板であって、
前記最上層が、耐熱性バインダー樹脂および10〜80質量%のフッ素化オレフィン樹脂を含み、
前記下層が、耐熱性バインダー樹脂および5〜50質量%のフッ素化オレフィン樹脂を含み
前記最上層と前記下層との間の界面のRaが0.3μm〜0.6μmである、
塗装金属板。
(2)前記フッ素化樹脂が、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP)から選ばれる1種または複数種である(1)記載の塗装金属板。
(3)前記耐熱性バインダー樹脂が、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)からなる群より選ばれる1種または複数種である(1)または(2)記載の塗装金属板。
(4)前記最上層内の表面部分にフッ素樹脂の皮膜層が形成されており、その表面部分の下に粒状のフッ素樹脂が存在する(1)〜(3)のいずれか一項記載の塗装金属板。
(5)前記最上層のフッ素樹脂粉末の平均粒径又はメジアン粒径(R1)に対する前記最上層の乾燥塗膜厚(T1)の比が
T1/R1=0.6〜2.0
である(1)記載の塗装金属板を製造する方法。
(6)前記下層のフッ素樹脂粉末の平均粒径又はメジアン粒径(R2)に対する前記最上層の乾燥塗膜厚(T1)および前記下層の乾燥塗膜厚(T2)の比が、
(T1+T2)/R2=1.0〜15
である(1)記載の塗装金属板を製造する方法。
(7)金属板上に、耐熱性バインダー樹脂および5〜50質量%のフッ素化オレフィン樹脂を含む下層と、耐熱性バインダー樹脂および10〜80質量%のフッ素化オレフィン樹脂含む最上層とを塗布し、その後前記各層を同時に硬化させることを含む、塗装金属板の製造方法。
(8)前記下層と前記最上層とを同時塗布して両層同時焼き付けする(7)記載の製造方法。
本発明により、非粘着性が向上しかつ非粘着性が長期間持続し、耐久性が良く、また層間密着性が良く成形性が向上した塗装金属板を提供することができる。
本願発明の塗装機金属板に用いる金属板としては、冷延鋼板、ZnおよびZn合金メッキ鋼板、AlおよびAl合金メッキ鋼板、Crメッキ鋼板(TFS)、Niメッキ鋼板、Cuメッキ鋼板等のメッキ鋼板、およびアルミニウム板、チタン板、ステンレス板などが用いられ、必要に応じてアルカリ脱脂等により表面を清浄化した後、これらを直接またはブラッシングロールによる表面研磨や化成処理を施した後塗装される。
化成処理としてはクロメート化成処理やリン酸塩化成処理、複合酸化皮膜処理などがあり、クロメート化成処理には電解クロメート、塗布型クロメート、反応型クロメート処理が、リン酸塩化成処理にはリン酸亜鉛処理、リン酸鉄処理が、複合酸化皮膜処理にはニッケルとコバルトを含有する処理などが適用できる。また、クロメートフリーの下地処理も適用することができる。
また、耐食性、密着性向上等の目的で必要に応じてプライマーを施すことも可能である。
最上層および下層のフッ素化オレフィン樹脂としては、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)または四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)から選ぶことができ、これらが単独で含まれていてもよく、また複数種混合されていてもよい。
最上層および下層の耐熱性バインダー樹脂としては、塗料として適用できるものであれば熱可塑性、熱硬化性にかかわらずいかなるものでもよく、代表的にはポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂などである。特に常用耐熱温度が200〜260℃程度を要求される耐熱用途の場合は、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)から選ぶことができ、これらが単独で含まれていてもよく、また複数種混合されていてもよい。
最上層における、フッ素化オレフィン樹脂の量は要求される特性に応じて決定されるが、好ましくは当該層の全樹脂に対する割合は10〜80質量%である。フッ素化オレフィン樹脂の量が多いほど、非粘着性が向上し、皮膜の耐久性もまた向上する。
一般的に表面自由エネルギーの異なる互いに相溶しない2種類以上の樹脂を混合した塗料の塗膜形態を考えた場合、表面自由エネルギーの低い樹脂が上層に配向し表面を覆う形態が熱力学的に最も安定した状態であると考えられ、樹脂の中で表面自由エネルギーが低いとされるPTFEやFEPとその他の樹脂の混合系においては、PTFE、FEPが自然的に上層に配向するような層分離構造が予想される。しかし実際には混合される樹脂の粘性や、顔料等の混合物の障害のため、焼付け過程において分散したPTFEやFEPの熱エネルギーによる拡散が十分に進行せず、塗膜形成当初から表層付傍に位置するPTFE、FEPのみが表面層の形成に寄与するだけで、大規模な層分離にはなかなか至らない。
最上層において大規模な塗膜内分離構造を実現するためには、PTFE、FEPの平均粒径もしくはメジアン粒径に対する乾燥塗膜厚の大きさは2倍以下であることが好ましい。しかし乾燥塗膜厚がPTFE、FEPの平均粒径もしくはメジアン粒径の0.6倍を下回るとPTFE、FEPの層が不均一となり密着性、加工性の低下を招く。塗膜物性を確保した上で非粘着性を向上するためのPTFE、FEPの平均粒径もしくはメジアン粒径に対する乾燥塗膜厚の大きさは0.6倍〜2倍の範囲であり、特に好ましくは0.75倍〜1.75倍の範囲である。
このような構成をとることにより、最上層表面から溶剤が蒸発すると、フッ素化オレフィン樹脂粒子が塗膜形成時において表面近傍に多量に位置することとなり、フッ素化オレフィン樹脂が富化された内部表面層を形成する。
最上層の厚みは、上記した粒径と厚みの比の範囲を満たすことを条件に、必要とされるいずれの厚みにもなることができる。
下層における、フッ素化オレフィン樹脂の量は要求される特性に応じて決定されるが、好ましくは当該層の全樹脂に対する割合は5〜50質量%である。
下層においては、最上層のような塗膜内分離構造を形成しなくてもよい。したがって、下層に対しては最上層のような膜厚とフッ素樹脂粒径との比の関係を満たす必要はない。したがって、膜厚とフッ素樹脂の粒径に関しては種々の値をとることができる。
下層のフッ素樹脂が、塗膜内分離構造を有して表面部分がフッ素樹脂富化となっている最上層内に拡散して移動して、フッ素樹脂濃度を高めることが好ましい。下層側のフッ素樹脂が上層側にも適度に拡散して移動し、上層の表面に形成されるフッ素樹脂層の下に、粒状のフッ素樹脂が存在する形態となると、非粘着性が長期間持続する耐久性の特に良い塗膜となることを見出した。このためには、最上層の膜厚膜厚(T1)を含めて、下層のフッ素樹脂の粒径が次の関係を満たすことが好ましいことがわかった。
(T1+T2)/R2=1.0〜15
ここで、R2は、下層のフッ素樹脂粉末の平均粒径又はメジアン粒径であり、T2は下層の乾燥塗膜厚である。この値が1.0未満であると、下層のフッ素樹脂が上層に拡散して移動したときに、上層の最表面に接する可能性が高くなり、上層中の粒状のフッ素が少なくなるため耐久性がやや劣った塗膜となり好ましくない。この値が15を超えると下層のフッ素樹脂が、下・上層界面を越えて上層に拡散移動する可能性が少なくなり、粒状のフッ素樹脂が下層側に偏って存在するため、耐久性にやや劣る塗膜となり好ましくない。2.5〜10の範囲がより好ましい。
本発明の塗装金属板は、前記した第一層と第二層以外にも種々の追加の層を有することができる。例えば、上記下層の下に密着性向上等の目的で必要に応じてプライマー層を設けることも可能である。
フッ素樹脂を含む二つの層を塗布するのに、2コート2ベーク方式を用いると、下層が硬化乾燥後に最上層を塗布することになる。この場合フッ素樹脂含有層同士の密着性を確保するのが困難である。本発明の塗装金属板では、フッ素樹脂を含む最上層と下層とを同時塗布するか、または下層を塗布後乾燥せずに最上層を塗布してから、これらの層を同時乾燥硬化させる方法で形成することを特徴とする。この上下層を同時乾燥硬化させることにより、下層と最上層との界面は比較的粗いものとなり、両層の密着性が向上する。また、下層のフッ素樹脂が拡散により最上層に移動しやすくなり、最上層のフッ素樹脂濃度がさらに増加する。
下層と前記最上層との界面の粗さ(Ra)は、0.3〜0.6μmの範囲内であることが好ましい。2コート2ベーク様式で作成した塗膜の下層と上層との間の界面は通常0.3μm未満である。これは、下層表面が十分にレベリングして平滑になるからである。界面の粗さが余りに小さいと、塗装後の成形時に最上層との間の密着性が悪くなり剥離しやすくなる。下層と最上層とを同時硬化させ、両層間の界面の粗さ(Ra)を、約0.3〜約0.6μmの範囲内にコントロールすると、下層と最上層との密着性が確保される。
下層と最上層の塗布には、いわゆる多層同時塗布方式を用いるのが好ましい。塗膜の外観、膜厚制御の観点から、最上層の塗工方法はすでに形成されている下層塗膜に接触しない塗工方法が望ましい。本発明では、下層、最上層の塗布にカーテンコーターを用いるのが好ましい。多層同時塗布の方式としては、特に、下層と最表層とを2層に重ね合わせてダイから吐出して、金属板上に2層を同時塗布するスライドホッパー型カーテン塗工を用いることができる。本発明の塗工方法としてはスライドホッパー型カーテン塗工を用いるのが好ましい。
具体的には、最上層および下層を塗工する塗工機として、写真感光材料に使用されている特公昭49−24133号公報に開示されたスライドホッパー型カーテン塗工装置が使用できる。このスライドホッパー型カーテン塗工機の概略図を図1に示す。スライドホッパー1には3層の塗料がギアポンプ等により定量的に送り出される塗料供給孔8およびスリット6が設置されている。スライド面7の唇部7Aの両端部に接するようにチェーン状のカーテンガイド3が設けられている。該唇部7Aの下方には塗料パン5が設置され、カーテンガイド3は塗料パン5の底部まで垂らしている。塗料Pはスライドホッパー1の各々の塗料供給孔8からスリット6を通してスライド面7に幅方向均一に供給され、スライド面7上で積層される。積層された塗料はスライド面7の先端部(唇部7A)で塗料パン5に落下する際にカーテンガイド3により拡げられるため、塗料のカーテン4として幅方向に均一な液膜として流れる。この液膜に帯状の金属板、例えば鋼帯2を通板することにより、鋼帯2の面上に複数層の塗料を同時に塗布することができる。
金属板上に下層および最上層を塗布した後、2層を同時に焼付ける。焼付けの方法は公知の方法が適用でき、例えば熱風加熱、誘導加熱、赤外線による加熱など塗膜に熱を与えて乾燥硬化させる方法を用いることができる。
塗膜の焼付け温度は使用するフッ素樹脂の融点以上の温度で行なうことが必要である。焼付け過程で、最上層のフッ素樹脂は、塗膜厚みとフッ素樹脂との粒径の比を本発明のように限定することによって塗膜表面に選択的に配向するが、このままでは塗膜の表面を十分に覆うことができない。さらに焼付け温度を当該フッ素樹脂の融点以上にすることによって、表面付近のフッ素樹脂が溶融して塗膜の表面を十分に覆うことが可能になる。フッ素樹脂は表面エネルギーが低いため、表面に広がることによってエネルギー的に安定となるので、融点以上に加熱されて流動性を増すことによって、表面を広くフッ素樹脂で覆うことが可能になる。すなわち、塗膜表面を広い範囲にわたってフッ素樹脂で覆うためには、フッ素樹脂の融点以上の温度で塗膜を焼付けることが必要である。
PTFEの融点は327℃、FEPの融点は253〜282℃(高分子データハンドブックによる)であるので、どちらを使用するかによって焼付け温度をこれらの温度以上になるようにすればよい。両者を混合して用いる場合には融点の低いFEPの温度より高い温度で焼付ける。
表1に記載するように、最上層および下層において、のフッ素樹脂の粒径、層厚、フッ素樹脂濃度をそれぞれ変えて、塗装金属板(例1〜19)を用意した。
各塗装金属板をロールコーター、スライドコーター、カーテンコーター、およびを用いて塗布した。表中、「ロールコーター」と記載したもの(例5および例7)は、下層をロールコーターで塗布し乾燥硬化させた後、最上層もロールコーターで塗布して乾燥硬化させた2コート2ベーク方式で塗布した塗装金属板である。「カーテンコーター」と記載したもの(例4)は、下層をロールコーターで塗布し乾燥硬化させた後、最上層をカーテンコーターで塗布して乾燥硬化させた2コート2ベーク方式で塗布した塗装金属板である。「スライドコーター」と記載したものは、下層および最上層を同時にスライドカーテンコーターで塗布し同時乾燥硬化させた1コート1ベーク方式で塗布した塗装金属板である。「カーテン2C1B」と記載したもの(例15)は、下層をカーテンコーターで塗布した後、最上層もカーテンコーターで塗布して同時乾燥硬化させた2コート1ベーク方式で塗布した塗装金属板である。
スライドコーターを用いた例では、金属板としてアルミメッキ鋼板を用い、カーテンコーターを用いた例ではステンレス鋼板を用いた。下層および最上層で用いたフッ素樹脂は四フッ化エチレン樹脂(PTFE)であり、耐熱性バインダー樹脂はポリエーテルサルフォン(PES)であった。
上記各例の塗装金属板を表に示す各項目について評価した。各試験方法は次の通りである。
塗装外観は、塗装金属板の表面フッ素層の形成状態を目視により観察した。フッ素は比重が高く塗膜の断面を光学顕微鏡観察すると黒く見える。ムラの無い良好な状態を◎とした。
表面フッ素層を形成する面積(%)は、塗膜の断面から表面フッ素層を観察し、画像解析することにより面積を測定した。
層間密着性は、作成した塗装金属板を引っ張って10%延伸させ、伸びた部分で碁盤目密着試験を行なって評価した。碁盤目密着試験は、NTカッターにて、試料表面に100個の碁盤目をカットし、エリクセン試験機にて、7mm押出し後テーピングし、剥離状況を観察し次の基準で評価した。
◎:全く剥離が認められない。○:100個の碁盤目の内、1〜5個の剥離が発生する。×:100個の碁盤目の内、5個以上の剥離が発生する。
非粘着性は、醤油、たまご、砂糖の混合物を各塗装金属上に載せ、250℃に加熱したホットプレートを用いて、上記混合物をかき混ぜながら硬化させた。その後プラスチックへらを用いてそぎ落とした塗膜表面を観察し、次の基準で評価した。◎:きれいに取れる。○:よくこすると落ちる。△:若干跡が残る。
摩耗後の非粘着性は、この非粘着性試験を20回繰り返した後の塗膜表面を観察し同様に評価した。
成形性は、作成した各例の塗装金属板について、油圧式エリクセンタイプのプレス加工試験機にて絞り比:1.8で円筒絞りを行った後、胴部にクロスカットを入れテープを貼り、その後剥がして剥離の有無を観察し、次の基準で評価した。◎:剥離が無い。○:僅かに剥離がある。△:カット近くの塗膜で剥離する。×:カット以外の部分でも剥離する。
界面の粗さは、各実施例の本発明のプレコート金属板を切断して、樹脂に埋め込んだ後に研磨することで、塗膜の表面に垂直な断面を平滑にして、3500倍の走査型顕微鏡で写真を撮影した後に、その界面の粗さ(Ra)を評価した。
界面のRaは、写真の上から、OHPに用いられる透明シートをかぶせて、界面の凹凸を精密にトレースした後に、図2に示すように、縦線の部分の面積を画像処理装置で測定して、その平均値として以下の式から求めることができる。
Figure 0004324097
さらに、簡便に界面のRaを測定するには、写真の上から、OHPに用いられる透明シートをかぶせて、界面の凹凸を精密にトレースした後に、平均値を引いて、凹凸に沿って透明シートを切り取り、平均値の上下の凹凸部分の重量を測定して、その重量を平均長さに換算してRaを求めてもよい。
Figure 0004324097
表の結果からスライドコーターを用いた例は例1および例12以外は全て良好な結果が得られたことが判る。例1(比較例)は、最上層のフッ素樹脂量が85質量%である例である。最上層塗布液の粘着性が高くなりすぎて、塗布状態が悪く塗装外観にムラを生じ、そのため成形性も悪くなっている。例12は下層にフッ素樹脂を含有させなかった例である。下層から最上層へのフッ素樹脂の拡散移動がないため、最上層のフッ素樹脂濃度を高めることができず、同じ条件の例11および例13と比較して摩耗後の非粘着性が悪くなっている。
2コート2ベーク方式で塗布した塗装金属板(例4、5および7)はいずれも悪い結果が得られた。即ち、最上層のフッ素樹脂濃度が50質量%である例4は、最上層の塗工時にカーテン形成ができず、最上層をうまく塗布できなかった。また上下層ともロールコーターを用いた例5は、両層ともに塗膜のムラが大きく評価できる塗膜を形成することができなかった。同様に上下層ともロールコーターを用いた例7は、最上層のフッ素樹脂濃度を35質量%に押さえたため、塗装外観は良好であったが、下層をロール塗布した後乾燥硬化したため、界面のRa値が0.08μmと非常に小さくなり、層間密着性が悪く評価できる塗膜を形成することができなかった。
本発明で使用されるスライドホッパー型塗装機の概略図。 塗膜界面のRa評価方法について説明する図である。
符号の説明
1 ダイ
2 鋼帯
3 カーテンガイド
4 カーテン
5 塗料パン
6 スリット
7 スライド面
8 塗料供給孔

Claims (8)

  1. 金属板の上に配置された、最上層と前記最上層の下に配置された下層とを有するプレコート金属板であって、
    前記最上層が、耐熱性バインダー樹脂および10〜80質量%のフッ素化オレフィン樹脂を含み、
    前記下層が、耐熱性バインダー樹脂および5〜50質量%のフッ素化オレフィン樹脂を含み
    前記最上層と前記下層との間の界面のRaが0.3μm〜0.6μmである、
    プレコート金属板。
  2. 前記フッ素化樹脂が、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP)から選ばれる1種または複数種である請求項1記載のプレコート金属板。
  3. 前記耐熱性バインダー樹脂が、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)からなる群より選ばれる1種または複数種である請求項1または2記載のプレコート金属板。
  4. 前記最上層内の表面部分にフッ素樹脂の皮膜層が形成されており、その表面部分の下に粒状のフッ素樹脂が存在する請求項1〜3のいずれか一項記載のプレコート金属板。
  5. 前記最上層のフッ素樹脂粉末の平均粒径又はメジアン粒径(R1)に対する前記最上層の乾燥塗膜厚(T1)の比が
    T1/R1=0.6〜2.0
    である請求項1記載のプレコート金属板を製造する方法。
  6. 前記下層のフッ素樹脂粉末の平均粒径又はメジアン粒径(R2)に対する前記最上層の乾燥塗膜厚(T1)および前記下層の乾燥塗膜厚(T2)の比が、
    (T1+T2)/R2=1.0〜15
    である請求項1記載のプレコート金属板を製造する方法。
  7. 金属板上に、耐熱性バインダー樹脂および5〜50質量%のフッ素化オレフィン樹脂を含む下層と、耐熱性バインダー樹脂および10〜80質量%のフッ素化オレフィン樹脂含む最上層とを塗布し、その後前記各層を同時に硬化させることを含む、請求項1記載のプレコート金属板の製造方法。
  8. 前記下層と前記最上層とを同時塗布して両層同時焼き付けする請求項7記載の製造方法。
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