JP4398043B2 - フッ素樹脂塗膜を有する物品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材表面にフッ素樹脂塗膜を有する物品およびその製造方法に関する。更に詳しくは、トップコート層との充分な接着力を有するプライマー層を設けることにより得られる、接着力の優れたフッ素樹脂塗膜を有する物品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素樹脂は優れた非粘着性を有するため、家庭用フライパンを初めとする様々な非粘性を要求される用途の物品の表面塗膜として広く使用されている。しかし他の物質を付着しないというフッ素樹脂のこの優れた性質は、一方では、他の物質への接着が困難であることを意味し、そのため基材へのフッ素樹脂塗膜の形成が容易でないという問題がある。
【0003】
そこで、フッ素樹脂を金属表面やセラミック、ガラス表面等に塗装する際には、これら基材表面にサンドブラスト、エッチング等の方法で物理的な凹凸を形成させた後、接着性を有するプライマー組成物を基材表面に塗布してプライマー層を形成させ、このプライマー層を介して、基材とトップコート層であるフッ素樹脂を接着させる方法が一般的に広く行なわれている。 この方法において基材表面とプライマー層との接着には、基材表面の凹凸によりプライマー層と基材表面との接着面積が増大し接着力が向上するアンカー効果(投錨効果)が利用されている。
【0004】
また、プライマー層は金属、セラッミック、ガラス等の基材表面に接着すると共に、トップコート層であるフッ素樹脂とも接着しなければならないため、プライマー層の形成には、トップコート層と同じ材料であるフッ素樹脂粉末とバインダー樹脂と呼ばれる接着性を有する物質とを、液状媒体中に均一に分散させたプライマー組成物を基材表面に塗布する方法が用いられている。プライマー組成物に用いられるフッ素樹脂粉末としては、分散性、トップコート層のフッ素樹脂粉末との接着性等の点から、従来平均粒径1μm未満のフッ素樹脂微粉末が一般的に広く使用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような平均粒径1μm未満のフッ素樹脂のみからなる従来のプライマー組成物により形成されたプライマー層は、基材表面の凹凸に入り込み、アンカー効果(投錨効果)による基材表面との優れた接着性を示す反面、形成されたプライマー層の表面が平滑になってしまうため、トップコート層との接着面でのアンカー効果を得ることができず、プライマー層とトップコート層との強固な接着力を得ることが出来ないという問題があった。
【0006】
また、従来のプライマー組成物は通常平均粒径1μm未満のフッ素樹脂粉末を用いているため、プライマー層の焼成中にプライマー組成物中の平均粒径1μm未満のフッ素樹脂粉末とバインダー樹脂が二層に分離する現象が起こり易く、プライマー層とトップコート層との間で層間剥離が発生するという問題点があった。二層分離現象を防止する為、プライマー組成物中にプライマー層の膜厚未満の平均粒径を有するシリカ等の無機微粉末を添加する方法もあるが、トップコート層とプライマー層との接着力を改善するまでには至らなかった。
【0007】
本発明者らは、先に、従来のプライマー組成物にプライマー層の膜厚以上の平均粒径を有する無機粉末を添加し均一に分散させることによって、二層分離現象を防止すると同時に、プライマー層の表面に凹凸を形成しアンカー効果によるトップコート層との優れた接着性を有するプライマーを見出したが、トップコート層の膜厚が薄い場合、該無機粉末がトップコート層の表面に露出し、トップコート層の表面平滑性が得られないという問題と共に、トップコート層の非粘着性が低下するという問題が発生した。
【0008】
本発明者らはプライマー層の焼成中の二層分離現象を防止し、基材表面及びトップコート層との接着性に優れたプライマー層を有し、且つトップコート層の膜厚が薄い場合でもトップコート層の表面平滑性及び非粘着性に優れたフッ素樹脂塗膜を提供する方法について検討を重ねた結果、プライマー層の膜厚以上の平均粒径を有するフッ素樹脂粉末を含有するプライマー組成物によりプライマー層を形成させ、このプライマー層を介してフッ素樹脂組成物からなるトップコート層を形成することにより、接着力の優れたフッ素樹脂塗膜を有する物品が得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、基材上に形成されるプライマー層と、該プライマー層上に形成されるトップコート層とからなるフッ素樹脂塗膜を有する物品において、プライマー層が、その膜厚以上の平均粒径を有する少なくとも1種のフッ素樹脂粉末(A)と、その膜厚未満の平均粒径を有する少なくとも1種のフッ素樹脂粉末(B)とを、(A):(B)の重量比10〜100:90〜0の割合で液状媒体中に均一に分散したプライマー組成物により形成されてなるフッ素樹脂塗膜を有する物品及びその製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
(基材)
本発明に用いられる基材は特に限定されず、アルミニウム、ステンレスのような金属、ガラス、セラミック、及びアルミとステンレスのクラッド材等の基材を使用することができる。金属の中でも、ステンレスからなる基材は、アルミニウムに比べて基材表面を粗面処理し難く、従来のプライマー組成物により形成されるプライマー層を用いたのでは、基材表面との接着性に優れたフッ素樹脂塗膜を得ることが困難であるが、本発明はこのような基材に対しても強い接着力でフッ素樹脂塗膜を形成させることができる。
【0011】
(フッ素樹脂粉末)
本発明において、プライマー層の形成に用いられるフッ素樹脂粉末は、プライマー層の膜厚以上の平均粒径を有する少なくとも1種のフッ素樹脂粉末(A)を必須成分として含有する。好ましくは上記フッ素樹脂粉末(A)及びプライマー層の膜厚未満の平均粒径を有する少なくとも1種のフッ素樹脂粉末(B)との、平均粒径の異なる2種のフッ素樹脂粉末が用いられる。
【0012】
フッ素樹脂粉末としては、上記(A)、(B)何れのフッ素樹脂粉末においても、テトラフルオロエチレン重合体(以下、PTFEという)、テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(以下、PFAという)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPという)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(以下、ETFEという)、ポリビニリデンフルオライド(以下、PVDFという)、ポリクロロトリフルオロエチレン(以下、PCTFE)等、及びこれらの混合物が挙げられる。より好ましくは、耐熱性に優れたPTFE、PFA、FEP及びこれらの混合物が挙げられる。(A)及び(B)のフッ素樹脂粉末は互いに同種でも異種であっても良い。
【0013】
フッ素樹脂粉末(A)はプライマー層の表面に凹凸を形成させるとともに、プライマー層の二層分離現象を防止する目的で用いられる。その平均粒径は次式で表される範囲であることが好ましい。
プライマー層の膜厚≦フッ素樹脂粉末(A)の平均粒径
≦(プライマー層の膜厚+トップコート層の膜厚)
即ち、フッ素樹脂粉末(A)の平均粒径は、二層分離現象を防止する効果を得るためには形成されるプライマー層の膜厚の1/2以上であれば充分であるが、プライマー層の表面に凹凸を形成させるためには、プライマー層の膜厚以上であることが必要であり、膜厚未満の平均粒径では、プライマー層の表面に凹凸が形成されず、アンカー効果によるプライマー層とトップコート層との優れた接着性を得ることが出来ない。また、該フッ素樹脂粉末の平均粒径が(プライマー層の膜厚+トップコート層の膜厚)よりも大きい場合には、トップコート層の表面平滑性を得ることができないため好ましくない。実際の粒径はプライマー層の膜厚によっても異なるが、特に平均粒径1μm以上50μm以下のものが好ましい。
【0014】
該フッ素樹脂粉末の形状は、特に限定されるものではなく、球状であっても異形であっても良いが、アンカー効果に優れた異形が特に好ましい。
【0015】
プライマー層の膜厚以上の粒径を有するフッ素樹脂粉末(A)は、単独で用いることもできるが、より好ましくは、プライマー層の膜厚未満の粒径を有するフッ素樹脂粉末(B)と共に用いられる。
【0016】
プライマー層の膜厚未満の平均粒径を持つフッ素樹脂粉末(B)の実際の平均粒径はプライマー層の膜厚によっても異なるが、1μm以下が好ましい。
【0017】
即ち、プライマー層の膜厚以上の平均粒径を持つフッ素樹脂粉末(A)は、プライマー層の二層分離現象を防止し、プライマー層の表面に凹凸を形成しアンカー効果によるプライマー層とトップコート層との優れた接着性を得ること、及びトップコート層の焼成に際してはトップコート層のフッ素樹脂粉末と相溶しプライマー層とトップコート層を強固に接着させる等の作用が有り、一方、プライマー層の膜厚未満の平均粒径を持つフッ素樹脂粉末(B)は、バインダー樹脂(C)が均一に分散又は溶解したプライマー組成物中に、フッ素樹脂粉末(A)を凝集させることなく、均一に分散させる作用があるので、両者を使用することにより、フッ素樹脂粉末(A)による凹凸がプライマー層の表面に均一に形成される。プライマーに使用されるフッ素樹脂粉末が、フッ素樹脂粉末(A)とフッ素樹脂粉末(B)と混合して用いられ、(A)と(B)が同じ融点や粘度を有するフッ素樹脂であっても、小粒径のフッ素樹脂粉末が先に溶融するが、大粒径の粒子は、芯まで溶融するのに時間がかかり、また元来フッ素樹脂の溶融粘度は高く、流動し難いため、焼成後も大粒径による凹凸が形成される。
【0018】
プライマー組成物を構成するフッ素樹脂粉末の(A):(B)の重量比は、10〜100:90〜0であり、好ましくは10〜55:90〜45、より好ましくは15〜40:85〜60である。フッ素樹脂粉末(A)の重量比が10重量%未満の場合には、プライマー層の表面にアンカー効果を得るのに十分な凹凸が形成されない為、プライマー層とトップコート層との接着が不十分であり層間剥離が生じ、55重量%以上の場合には、フッ素樹脂粉末(A)の基材表面との接着が不十分になる。
【0019】
(バインダー樹脂)
プライマー層形成に用いられるバインダー樹脂(C)は、フッ素樹脂粉末と同等の耐熱性を有し、金属、ガラス、セラミック等の基材に接着性を有するものが好ましい。このようなバインダー樹脂として特に好適なものは、ポリイミド樹脂(以下、PIという)、ポリアミドイミド樹脂(以下、PAIという)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、PPSという)、ポリエーテルスルホン樹脂(以下、PESという)、或いはこれらの混合物である。
【0020】
バインダー樹脂は、液状媒体中に溶解されていても、微粒子として液状媒体中に均一に分散されていても良い。使用できる液状媒体としては、水、極性有機溶媒、非極性有機溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
液状媒体として水を使用する場合には、液状媒体の表面張力を低下させバインダー樹脂及びフッ素樹脂粉末の分散性を向上させるため、界面活性剤を液状媒体に添加することが好ましい。
【0022】
バインダー樹脂がPI、PAI、及びPES等、有機溶媒、例えばN−メチルピロリドン、或いはN−メチルピロリドンとジアセトンアルコールまたはキシレン等の混合物等に比較的容易に溶解する場合には、バインダー樹脂を液状媒体中に溶解して用いることが好ましく、バインダー樹脂がPPS等、有機溶媒に溶解が困難な場合には、液状媒体として界面活性剤を添加した水を使用し、バインダー樹脂を液状媒体中に均一に分散して用いることが好ましい。
【0023】
プライマー層形成のためのフッ素樹脂組成物におけるバインダー樹脂(C)と、フッ素樹脂粉末[(A)と(B)の合計]との重量比は、(C):[(A)+(B)]の重量比が 5〜50:95〜50であることが好ましい。バインダー樹脂が5重量%未満では、フッ素樹脂粉末が基材表面に接着されにくくなるため好ましくなく、95重量%を超える場合には、トップコート層との接着性が低下するため好ましくない。
【0024】
(プライマー層)
プライマー層は、フッ素樹脂粉末とバインダー樹脂が均一に分散されたプライマー組成物を、基材表面に塗布し、乾燥または焼成することにより得られる。プライマー層は、通常、粗面処理された基材表面に形成される。得られたプライマー層の表面は、図1に示されるように、プライマー層の膜厚以上の平均粒径を有するフッ素樹脂粉末(A)は芯まで溶融するのに時間がかかり、また元来フッ素樹脂の溶融粘度は高く、流動し難いため、凹凸が形成され、トップコート層との接着面積が増加した状態になっている。また、この凹凸によりアンカー効果を得ることが出来るので、トップコート層と強固に接着することが出来る。
【0025】
プライマー層の膜厚は、フッ素樹脂粉末の粒径と同等或いはフッ素樹脂粉末の粒径未満であり、焼成後の膜厚が5〜15μmであることが特に好ましい。 プライマー層の膜厚が5μm未満の場合には、プライマー層の膜厚以上の平均粒径を有するフッ素樹脂粉末(A)がプライマー層より脱離し、十分なアンカー効果が得られないため、好ましくない。また、プライマー層の膜厚が15μmを超える場合には、プライマー層に二層剥離現象が生じ易く、フッ素樹脂塗膜が基材から剥離してしまうため好ましくない
【0026】
(トップコート層)
本発明におけるトップコート層は、上記のごとく表面に凹凸が形成されたプライマー層上に、任意のフッ素樹脂組成物、好ましくは熱流動性を有するフッ素樹脂の組成物を用いて形成される。トップコート層形成に用いるフッ素樹脂粉末としては、プライマー層に用いられるフッ素樹脂粉末(A)または(B)と同種でも異種でも良いが、プライマー層表面に凹凸を形成しているフッ素樹脂粉末(A)と同一である場合には、プライマー層表面のアンカー効果(物理的な効果)に加え、トップコート層焼成の際フッ素樹脂粉末同士が相互に融着(化学的な効果)し、プライマー層とトップコート層が強固に接着するため、より好ましい。
【0027】
(フッ素樹脂塗膜の製造方法)
本発明のフッ素樹脂塗膜を有する物品は、
(A)プライマー層の膜厚以上の平均粒径を有する少なくとも1種のフッ素樹脂粉末、
(B)プライマー層の膜厚未満の平均粒径を有する少なくとも1種のフッ素樹脂粉末、及び
(C)バインダー樹脂
が下記に示す重量比で液状媒体中に均一に分散されたプライマー組成物を調製し、
(A):(B)= 10〜100:90〜0 、
(C):[(A)+(B)]= 5〜50:95〜50
このプライマー組成物を任意の方法により基材表面に塗布し、室温〜400℃程度の温度で乾燥または焼成することにより、プライマー層の表面にフッ素樹脂粉末(A)による凹凸を形成した後、該プライマー層上に、任意のフッ素樹脂粉末を静電粉体塗装、スプレーコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ローラーコーティング等任意の塗装方法により塗装し、慣用の装置を用いて350℃〜400℃で10〜40分間焼成してトップコート層を形成することにより得られる。トップコート層の膜厚は用途によって異なるが、通常10μm〜100μmである。
【0028】
プライマー組成物の調製に際しては、プライマー層の膜厚以上の平均粒径を有するフッ素樹脂粉末(A)及びプライマー層の膜厚未満の平均粒径を有するフッ素樹脂粉末フッ素樹脂粉末(B)をあらかじめ液状媒体中に均一に分散させた後、バインダー樹脂が溶解又は均一に分散した液状媒体中に添加混合しても、フッ素樹脂粉末を粉末状のままバインダー樹脂が溶解又は均一に分散した液状媒体中に直接添加混合しても良い。
【0029】
本発明のプライマー層及びトップコート層は、着色のためカーボン、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、マイカ、アルミフレーク等の顔料を、導電性付与のために導電性カーボン、グラファイト、無機導電性繊維状組成物等を、耐磨耗性及び硬度向上のために、炭化珪素、酸化アルミ等の無機粉末を含有してもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明のフッ素樹脂塗膜を有する物品は、金属、ガラス、セラミック等からなる基材表面とトップコート層がプライマー層を介して強固に接着される。また従来の方法では表面の粗面処理が困難であるため、塗膜を形成させることが困難であったステンレス等の基材にも強い接着力でフッ素樹脂塗膜を形成されることができるので、複写機・プリンター用の定着ロール等、炊飯器、湯沸かしポット、ホットプレート、フライパン等の厨房用品、及び非粘着性を要求される様々な工業分野に有効である。
【0031】
【実施例】
以下本発明を実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。なお実施例および比較例で得られた物品の塗膜の物性測定方法は下記のとおりである。
【0032】
(1)耐熱性接着力試験
得られたフッ素樹脂塗膜を有する物品を、390℃で20時間恒温保持した後、引張り試験機により接着強度を測定した。
【0033】
(2)耐塩水接着力試験
フッ素樹脂塗膜を有する物品を、80℃の5%塩水中に24時間恒温保持した後、引張り試験機に接着強度を測定した。
【0034】
【実施例1〜4】
n−メチルピロリドンとジアセトンアルコールとの混合溶剤(重量比2:1)中に、PES(ICI社製 VICTREX)、PAI(AMOCO社製 TORLON)、フッ素樹脂粉末(B)(FEP粉末;平均粒径0.2μm)、フッ素樹脂粉末(A)(PFA粉末;平均粒径 23μm)、及びアルミニウムフレークを表1に示す割合で添加混合し、B型粘度計で1000〜1500cpsの粘度を有するプライマー組成物を調製した。
【0035】
得られたプライマー組成物を、サンドブラスト処理(平均粒径#60のAl2O3パウダー;0.5MPa)した縦15cm*横10cmのSUS430板に乾燥後の膜厚が10μmになるよう塗布し、150℃で30分乾燥してプライマー層を形成した。実施例3のプライマー層表面の電子顕微鏡写真を図1に示す。次いで、該プライマー層上に、PFA粉末(三井・デュポンフロロケミカル社製MP−10)を、焼成後の膜厚が50μmになるよう静電粉体塗装し、390℃で30分焼成してトップコート層を形成し、得られたフッ素樹脂塗膜を有する物品について、耐熱性接着力試験および耐塩水接着力試験を行なった。結果を表1に示す。
【0036】
【比較例1】
n−メチルピロリドンとジアセトンアルコールとの混合溶剤(重量比2:1)中に、PES(ICI社製 VICTREX)、PI(AMOCO社製 TORLON)、フッ素樹脂粉末(B)(FEP粉末;平均粒径0.2μm)、及びアルミニウムフレークを表1に示す割合で添加混合し、B型粘度計で1000〜1500cpsの 粘度を有するプライマー組成物を調整した。 得られたプライマー組成物を用い、実施例1と同様にして耐熱性試験、耐塩水性試験を行った。結果を表1に示す。また、プライマー層表面の電子顕微鏡写真を図2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1及び図1,2の結果から明らかなように、平均粒径0.2μmの微粒フッ素樹脂粉末(B)のみで形成されたプライマー層は凹凸が少なく、このようなプライマー層を介してコートされた従来法のフッ素樹脂塗膜は熱処理や塩水処理によりはがれ易くなるが、プライマー層の膜厚以上の平均粒径を有するフッ素樹脂粉末(A)を配合したフッ素樹脂粉末で形成したプライマー層は凹凸が大きいためこのようなプライマー層を用いた本発明のフッ素樹脂塗膜は、過酷な条件においても強い接着力を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフッ素樹脂塗膜を有する物品におけるプライマー層表面の顕微鏡写真
【図2】 従来のフッ素樹脂塗膜を有する物品におけるプライマー層表面の顕微鏡写真
Claims (5)
- 基材上に形成されるプライマー層と、該プライマー層上に形成されるトップコート層とからなるフッ素樹脂塗膜を有する物品において、プライマー層が、その膜厚以上の平均粒径を有する少なくとも1種のフッ素樹脂粉末(A)と、その膜厚未満の平均粒径を有する少なくとも1種のフッ素樹脂粉末(B)とを、(A):(B)の重量比10〜100:90〜0の割合で液状媒体中に均一に分散したプライマー組成物により形成されてなるフッ素樹脂塗膜を有する物品。
- プライマー層の膜厚以上の平均粒径を有するフッ素樹脂粉末(A)の平均粒径が1μm以上であり、かつ(プライマー層の膜厚+トップコート層の膜厚)以下である請求項1に記載のフッ素樹脂塗膜を有する物品。
- フッ素樹脂粉末(A)および(B)の少なくとも一方が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、或いはこれらの混合物である請求項1または2に記載のフッ素樹脂塗膜を有する物品。
- (A)基材上に形成されるプライマー層の膜厚以上の平均粒径を有するフッ素樹脂粉末、
(B)プライマー層の膜厚未満の平均粒径を有するフッ素樹脂粉末、及び
(C)バインダー樹脂を、
(A):(B)の重量比10〜100:90〜0、(C):[(A)+(B)]
の重量比が 5〜50:95〜50 の割合で液状媒体中に均一に分散されたプライマー組成物を基材表面に塗布し、プライマー層の表面にフッ素樹脂粉末(A)による凹凸を形成した後、該プライマー層上にフッ素樹脂組成物からなるトップコート層を形成することを特徴とするフッ素樹脂塗膜を有する物品の製造方法。 - バインダー樹脂(C)が、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂又はその混合物である請求項4に記載のフッ素樹脂塗膜を有する物品の製造方法。
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