JP6484074B2 - 熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料 - Google Patents

熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料 Download PDF

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Description

本発明は、1度の塗装及び焼成のみで凹凸表面を有する塗膜を形成する熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料、その塗料を塗装してなる塗膜、その塗膜を有する塗装物品、およびその塗料の製造方法に関する。
フッ素樹脂は、優れた耐熱性、耐薬品性、電気的性質及び機械的性質を有し、また極めて低い摩擦係数及び非粘着性も有しているため、化学、機械、電機などあらゆる工業分野において広く利用されている。特に、熱溶融性フッ素樹脂は、融点以上の温度で流動性を示すため、塗膜とした際にピンホールの発生を抑制でき、フッ素樹脂コーティングのための塗料の材料として一般的に利用されている。
フッ素樹脂塗料の形態としては、フッ素樹脂を水や有機溶剤に分散・溶解させた液体塗料が広く使用されているが、フッ素樹脂をミクロンオーダー(平均粒径1〜100μm)に造粒・調製した熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料も一般的に広く使用されている。
このような粉体塗料として使用される熱溶融性フッ素樹脂粉体の製法としては、熱溶融性フッ素樹脂水性分散液を、熱溶融性フッ素樹脂の融点以上の雰囲気中に噴霧させることによって球形の粒子(ミクロンオーダー)を得る方法(特許文献1)、懸濁重合や溶液重合によって得られた熱溶融性フッ素樹脂を圧縮成形し、粉砕して造粒する方法(特許文献2、特許文献3、特許文献4)、熱溶融性フッ素樹脂の粒子を2回熱融着させたのちに粉砕する方法(特許文献5)が知られている。
一方、熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料をコーティングした塗膜は、通常は平滑であることが求められるが、例えば、建材の耐候塗料や耐久消費財のコーティングでは、吹き付け塗装のような凹凸のある、意匠性に優れた塗膜が求められることもある。また、炊飯器の内釜では、ご飯の付着防止のため、非粘着性のフッ素樹脂コーティングが一般的に施されているが、炊飯器の内釜内面に凹凸を付けることで、意匠性に加え、釜内部への熱移動量が増加して、よりご飯が美味になったり、炊飯中の水の沸騰により発生する気泡が小さく均一になることで、炊きムラを防止し、やはりご飯が美味になる、といった効果が知られている(特許文献6、特許文献7、特許文献8)。
このような凹凸塗膜の形成には、大きく分けて3つの方法がある。
1つ目は、一度形成したフッ素樹脂塗膜表面にエンボス加工を施す方法(特許文献9、特許文献10)、2つ目は、融点、溶融粘度、結晶構造が異なるフッ素樹脂塗料による2層コーティング層を焼成して凹凸を形成する方法(特許文献11)である。これらの方法は、塗膜形成後にエンボス加工を施したり、コーティング層を2層にする必要があることから、作業効率の面で課題がある。
また3つ目は、フッ素樹脂に他の樹脂を混合することにより得られた粉体塗料を用いる方法(特許文献12、特許文献13)である。この方法は、フッ素樹脂のほかに硬化剤やベース樹脂を用いるため、塗膜の凹凸形状による非粘着性能を低下させる欠点を有する。
特公昭52−44576号公報 特開2000−103865号公報 国際公開第2013/031858号 特許第3467778号公報 特公平7−64936号公報 特開2014−23925号公報 特許第4395310号公報 特許第4682831号公報 特開2012−89780号公報 特開2006−82061号公報 特開2014−23925号公報 特許第3876575号公報 特開2004−27115号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、1度の塗装及び焼成のみで凹凸表面を有する塗膜を形成する熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
1.熱溶融性フッ素樹脂の1次粒子を凝集させて、その溶融開始温度以上、かつ融点より低い温度で熱融着させた粉体粒子であって、粉体粒子の平均粒径が1〜100μmであり、その比表面積が8〜25m2/gの範囲内であることを特徴とする、熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料。
2.熱溶融性フッ素樹脂がテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体又はテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体から選ばれる少なくとも1種である、1.に記載の熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料。
3.熱溶融性フッ素樹脂のメルトフローレート(MFR)が0.5〜15g/10分である、1.又は2.に記載の熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料。
4.1.〜3.に記載の粉体塗料を塗装してなる塗膜。
5.4.に記載の塗膜を有する塗装物品。
6.炊飯器の内釜である、5.に記載の塗装物品。
7.熱溶融性フッ素樹脂の1次粒子を凝集させて、その溶融開始温度以上、かつ融点より低い温度で熱融着処理を行い、得られた凝集体を粉砕する工程からなる、1.〜3.に記載の熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料の製造方法。
本発明の熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料は、1度の塗装及び焼成のみで凹凸表面を有する塗膜を形成することができ、より簡便な凹凸表面の形成を可能とする。
本発明の熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料は、取り扱い性が良好で、粉体塗装(特に静電塗装)する際の作業性に優れている。
本発明の熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料はまた、基本的に他の樹脂を混合することなく1種類のフッ素樹脂から製造することができ、非粘着性能に優れる。さらに凹凸により非粘着性も改善される。
さらに、本発明の粉体塗料にて形成される塗膜表面の凹凸は、炊飯器の内釜などの塗膜に利用された場合、平滑面と比較して、熱を伝達させる面積が増加するため、水を沸騰させる場合などに必要な熱量を低減でき、凹部は沸騰を促進させるための発泡点を塗膜上に付与することで、ご飯がおいしくなる効果が期待できる。
さらにまた、本発明の粉体塗料にて形成される塗膜表面の凹凸は、建材の耐候塗料や耐久消費財のコーティングなどにおいて、網目状模様により、独特の意匠性又は質感を表現することができる。
実施例2で得られた熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料(平均粒子径d50 25μm、比表面積 13.98m2/g)における粉体粒子の表面状態(1次粒子の凝集状態)を示す電子顕微鏡写真(3000倍)である。 比較例2で使用した粉体塗料(平均粒子径d50 18μm、比表面積 7.42m2/g)における粉体粒子の表面状態を示す電子顕微鏡写真(3000倍)である。 実施例2において得られた塗膜表面の共焦点レーザー顕微鏡画像である。 比較例2において得られた塗膜表面の共焦点レーザー顕微鏡画像である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用する熱溶融性フッ素樹脂は、熱溶融性フッ素樹脂として知られている樹脂の中から適宜選択することができる。例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ビニリデンフルオライド及びビニルフルオライドから選ばれるモノマーの重合体又は共重合体、又は、これらモノマーとエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン等の2重結合を有するモノマーや、アセチレン、プロピン等の3重結合を有するモノマーとの共重合体などを挙げることができる。具体的な熱溶融性フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体などを挙げることができる。
これらの熱溶融性フッ素樹脂の中では、特にPFAやFEP、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体といったパーフルオロ樹脂が、塗膜の非粘着性、耐熱性の観点から好ましく用いられる。PFAを使用する場合、PFA中のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。またここで、PFA中のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の量としては、1〜50重量%の範囲にあることが好ましい。
本発明で使用する熱溶融性フッ素樹脂はまた、高温溶融時の成形性から、融点以上の温度で流動性を有する、具体的にはそのメルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上の値を持つ熱溶融性フッ素樹脂が好ましい。このような樹脂としては、PFA、FEP、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体が挙げられる。融点が高く、かつ熱流動性に優れたPFAが特に好ましい。一方、MFRが大きすぎる(溶融粘度が小さすぎる)と、粉体塗装後、焼成した時に、凹凸を形成せずに平坦になってしまうことから好ましくない。具体的には、熱溶融性フッ素樹脂のMFRは、15g/10分以下が好ましく、10g/10分以下がより好ましく、5g/10分以下が特に好ましい。
本発明で使用される熱溶融性フッ素樹脂は、求める特性に応じて、2種類以上の熱溶融性フッ素樹脂をブレンドしてもよい。また、本発明の熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料の特長を阻害しない範囲で、熱溶融性フッ素樹脂以外の樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン等とのブレンドも可能である。
本発明において、粉体粒子とは、熱溶融性フッ素樹脂の1次粒子を凝集させて、その溶融開始温度以上、かつ融点より低い温度で熱融着させてなる凝集体(2次粒子)である。1次粒子間が融着により固定されているが、1次粒子間の間隙が樹脂で満たされているのではなく、間隙が残されていることを特徴とする。これにより、本発明の粉体塗料は、フッ素樹脂粉体塗料に用いられる一般的な塗装条件・焼成条件による塗膜作成で、網目模様や、吹き付け塗装のような意匠性の高い凹凸のある塗膜を形成できる。
本発明における凹凸形成のメカニズムは、粉体塗料の粒子形状が焼成における溶融挙動に影響を及ぼして、凹凸を形成していると推測される。本発明の粉体塗料の粉体粒子内には1次粒子間の間隙からなる空隙が存在している。通常の粒子内空隙がない粉体塗料では、塗装後の塗膜焼成時に、溶融状態の樹脂が粉体粒子間を埋めて塗膜を平滑にするのに対し、本発明の粉体塗料では、溶融状態の樹脂が粉体粒子内部の空隙を埋めるように流動することで粉体粒子間に流動する溶融状態の樹脂が相対的に少なくなり、結果として塗膜に凹凸が形成されるのではないかと推察される。更に、本発明の熱溶融性フッ素樹脂はMFRが小さく、溶融粘度が高いため、意匠性の高い凹凸が平坦化せずに残るのではないかと推測される。
本発明において、粉体塗料の粒子の平均粒径は、1〜100μmであり、好ましくは5〜70μmである。平均粒径が1μmより小さい場合、静電気の量が少なく、現実的には排気の風で飛んで吸われてしまうため、静電塗装が困難になる。100μmを超える大きな粒子では、塗膜の欠損が起き、均一な膜が得られない。ここで、「平均粒径」とは、レーザー回折・散乱法によって得られる粒度分布における積算値50%(体積基準)での粒径を意味する。
本発明において、粉体塗料の比表面積は、8〜25m2/gであり、好ましくは8〜20m2/gであり、より好ましくは10〜16m2/gである。比表面積が8より小さい場合、1次粒子間の間隙が少なく、凹凸形成性が不十分となる。25より大きい場合、1次粒子間の融着が十分でなく、粉体塗装に適した粒径(1〜100μm)の調製が困難となり、また、微粉が増加して取り扱いが難しくなる。
本発明の熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料は、次の3つの工程により製造される。
第一の工程において、フッ素樹脂の1次粒子を凝集させる。1次粒子のコロイド状態の熱溶融性フッ素樹脂分散液を乳化重合により調製し、これを例えば凍結させたり、電解物質を加えて混合液のイオン強度又はpHを変化させたり、せん断力をかけたりするなどして、1次粒子を凝集させる。
1次粒子の平均粒径は、0.01〜1.00μmの範囲にあることが好ましく、0.01〜0.50μmの範囲にあることがより好ましく、0.01〜0.30μmの範囲にあることが更に好ましい。1次粒子の平均粒径は大きすぎると、1次粒子の凝集体である粉体粒子に十分な量の空隙が形成されないため、好ましくない。
この後、作業性を向上させるために、得られた凝集物を公知の方法で造粒することもできる。
第二の工程において、第一の工程で得られた凝集体を熱融着させる。熱溶融性フッ素樹脂の溶融開始温度以上、かつ融点より低い温度で熱融着処理を行うことにより、1次粒子同士を粒子間の間隙を残した状態で融着させることができる。この時、温度が高すぎると溶融する樹脂の割合が増加して、融着時に1次粒子間の間隙が埋まってしまい、凹凸形成の効果が得られない。一方、温度が低すぎると、1次粒子間の融着が十分でなく、粉体塗装に適した粒径(1〜100μm)の調製が困難となり、また、微粉が増加して取り扱いが難しくなる。処理温度は融解開始温度近傍が好ましく、例えば、熱溶融性フッ素樹脂がPFAの場合、その融点は290〜310℃の範囲であるので、処理温度は240〜280℃の範囲が好ましい。
第三の工程において、第二の工程で得られた凝集体を粉砕する。各種の粉砕機、ミル、例えばハンマーミル、ジェットミルが使用でき、中でも、ハンマーミルによる粉砕が好ましい。本発明において好適なミルとしては、例えば、ホソカワミクロン(株)製リンレックスミル(登録商標)LXが挙げられる。
また、本発明の熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料は、求める特性に応じて、各種の有機・無機充填材を加えることもできる。有機充填材としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリイミドなどのエンジニアリングプラスチックが挙げられる。無機充填材としては、金属粉、金属酸化物(酸化アルミ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン等)、ガラス、セラミックス、炭化珪素、酸化珪素、弗化カルシウム、カーボンブラック、グラフアイト、マイカ、硫酸バリウムなどが挙げられる。充填材の形状としては、粒子状、繊維状、フレーク状など、各種の形状の充填材が使用可能である。充填材は、フッ素樹脂1次粒子分散液に加えたのちに凝集することで複合化したり、粉砕後の粉体塗料と混合して用いることができる。このほか、導電性、発泡防止、耐摩耗改善など求める特性に応じて通常の塗料に使用される顔料や各種の添加剤も加えることができる。
本発明の熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料の特長を阻害しない範囲で、別の粉体塗料(通常のフッ素樹脂粉体塗料やその他樹脂の粉体塗料)と組み合わせて使用することも可能である。
本発明の粉体塗料を塗装してなる塗膜は、各種通常の粉体塗装方法、例えば、静電塗装、回転塗装、流動浸漬法などにより形成される。中でも静電塗装が好ましい。
本発明の粉体塗料は、塗装の対象となる基材に直接塗装してもよく、表面処理を施した後、またはプライマーを下塗りした後に塗装してもよい。本発明の粉体塗料がPFAやFEP、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体といったパーフルオロ樹脂のみからなる場合は、フッ素樹脂を含んだプライマーを下塗りした後に塗装することが、基材への接着性向上の点から好ましい。
本発明の粉体塗料を塗装してなる塗装物品は、アルミニウム、及びその合金、鉄、ステンレス、これら金属の複合物、セラミック、ガラス等の材質からなる物品であり、具体的には、炊飯器の内釜、その他調理器具(フライパン、オーブン、ホットプレート等)、建材、医療機器、非粘着性が求められる製造設備(金型、コンベアベルトやロール等)、その他耐久消費財等である。特に、本発明の粉体塗料は、炊飯器の内釜の塗装に好適である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(物性測定方法)
・メルトフローレート(MFR)
ASTM D−1238−95に準拠した耐食性のシリンダー、ダイ、ピストンを備えたメルトインデクサー(東洋精機(株)製)を用いて、5gの試料粉末を372±1℃に保持されたシリンダーに充填して5分間保持した後、5kgの荷重(ピストン及び重り)下でダイオリフィスを通して押出し、この時の押出速度(g/10分)をMFRとして求めた。
・比表面積(SSA)測定
JIS Z8830に準拠して、フローソーブ2300型(マイクロメリティックス社製)を使用し、測定サンプルを約0.3g(0.001g単位まで)ガラスセルに量りとり、窒素吸着試験(キャリヤガス法)によりBET比表面積を求めた。
・粉体粒子の平均粒径
粉体塗料を構成する粉体粒子の平均粒径は、レーザー回折式の粒度分布測定器(Sympatec GmbH、HELOS & RODOS)を用い、乾式法により、エアー分散圧2barで測定を行い、積算値50%(体積基準)での粒径(d50)を平均粒径とした。
・粗大凝集造粒物の圧縮破壊強度
微小圧縮試験機(MCT―W500,株式会社島津製作所製)を用いて、高剛性ステージに試料を極小量だけ散布し、微粒子試料一粒ずつ粒径Dを測定してから負荷を与え、実験力P(Compressive Load)と圧縮変位を測定し、下記の式で低強度の無機微粒子凝集体の圧縮破壊強度St(または破壊強度)を求めた(日本鉱業会誌、vol.1,p24,1965)。実験力Pを圧縮荷重とする。
圧縮破壊強度は、各試料につき5回測定し、その平均値を圧縮破壊強度(MPa)にした。
t =2.8P/(πD2 )St (MPa):試料の圧縮破壊強度
P(N):微小圧縮試験機で測定した実験力(Compressive Load)
D(mm):試料の粒径
・塗膜作製
(A)基材表面処理(ショットブラスト)
基材アルミニウム(JIS A1050準拠品、95mm×150mm、厚み1mm)の表面を、イソプロピルアルコールで脱脂し、その表面にサンドブラスタ―((株)不二製作所製 ニューマブラスター SGF−4(A)S−E566)を用い、#60番アルミナ(昭和電工社製 ショウワブラスター)によるショットブラストを施し粗面化した。
(B)下塗り(プライマー塗布)
上記(A)にて処理を施した基材に、エアースプレー塗装ガン(アネスト岩田(株)製 W−88−10E2 φ1mmノズル(手動ガン))を用いて、エアー圧力3〜4kgf/cm3で液体塗料PJ−AL921(三井・デュポンフロロケミカル(株)社製)を吹き付け、塗装を行った。塗装された液体重量が、基材1枚あたり0.9〜1.2gとなるように塗装し、強制通風循環炉で120℃×15分間乾燥後、膜厚8〜12μmの塗膜を形成させた。塗装環境は温度25℃、湿度60%RHであった。
(C)静電塗装による塗膜形成
上記(A)及び(B)にて処理したアルミニウム基材に、静電粉体塗装機(日本パーカライジング(株)製ハンドガンシステム GX7500CS)を用いて、粉体を塗装電圧20〜40kV(負)、吐出量約50g/minにて25cm離れているアースされたアルミニウム基材に静電吹付塗装を行った。基材1枚あたりの粉末重量は0.9〜1.2gとして、強制通風循環炉で390℃×20分間焼成後、40〜50μmの塗膜を形成させた。塗装環境は温度25℃、湿度60%RHであった。
(粉体塗料作製)
乳化重合によって得られたPFAの水性分散液(平均粒径 約0.2μm、融点309℃、MFR 2g/10分)に、攪拌しながら硝酸を加えて凝集させたのち、次いで1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタンを加えて攪拌を続けて造粒することにより、PFA粒子の凝集造粒物を得た。
得られたPFA凝集造粒物をステンレストレーに2〜4cmの厚みに盛って、熱風乾燥機で5時間、熱融着処理を行った。この時の温度として、260℃、270℃、274℃、277℃、280℃、290℃の各温度で熱融着処理を行った。
各温度での乾燥・熱融着されたPFA凝集造粒物について、比表面積及び圧縮破壊強度の測定を行った。結果を表1に示す。
融着温度が高温になるほど、PFA1次粒子同士の融着が進み、比表面積が小さくなり、1次粒子の凝集造粒物の圧縮破壊強度が増加していることがわかる。
(実施例1)
上記の277℃で乾燥・融着処理したPFA凝集造粒物を、ハンマーミルで粉砕して、平均粒径が35μmとなるPFA粉体塗料を得た。この粉体塗料の比表面積を測定したところ、12.2m2/gであった。静電塗装による塗膜形成を行ったところ、作業性は良好であり、塗装表面には一様な凹凸模様が形成された。結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例1と同様の手順で、平均粒径が25μmとなるPFA粉体塗料を得た。この粉体塗料の比表面積を測定したところ、14.0m2/gであった。粉体塗装時の作業性、塗膜の状態(凹凸模様の有無)については、結果を表2に示した。
(実施例3)
実施例1と同様の手順で、平均粒径が15μmとなるPFA粉体塗料を得た。この粉体塗料の比表面積を測定したところ、15.5m2/gであった。粉体塗装時の作業性、塗膜の状態(凹凸模様の有無)については、結果を表2に示した。
(実施例4)
実施例1と同様の手順で、平均粒径が7μmとなるPFA粉体塗料を得た。この粉体塗料の比表面積を測定したところ、15.4m2/gであった。粉体塗装時の作業性、塗膜の状態(凹凸模様の有無)については、結果を表2に示した。
(実施例5)
上記の260℃で乾燥・融着処理したPFA凝集造粒物を、小型カッターミキサーで粉砕して、平均粒径が13μmとなるPFA粉体塗料を得た。この粉体塗料の比表面積を測定したところ、13.1m2/gであった。粉体塗装時の作業性、塗膜の状態(凹凸模様の有無)については、結果を表2に示した。
(実施例6)
上記の280℃で乾燥・融着処理したPFA凝集造粒物を、ハンマーミルで粉砕して、平均粒径が36μmとなるPFA粉体塗料を得た。この粉体塗料の比表面積を測定したところ、10.3m2/gであった。粉体塗装時の作業性、塗膜の状態(凹凸模様の有無)については、結果を表2に示した。
(実施例7)
上記の290℃で乾燥・融着処理したPFA凝集造粒物を、ハンマーミルで粉砕して、平均粒径が37μmとなるPFA粉体塗料を得た。この粉体塗料の比表面積を測定したところ、8.5m2/gであった。粉体塗装時の作業性、塗膜の状態(凹凸模様の有無)については、結果を表2に示した。
(比較例1)
PFA凝集造粒物の乾燥・融着を295℃で行った他は、実施例1と同じ原料及び同様の製造手順でPFA粉体塗料を作製した。平均粒径は55μm、比表面積は4.7m2/gであった。静電塗装による塗膜形成を行ったところ、作業性は良好であり、塗装表面は平滑で、凹凸模様は形成されなかった。結果を表2に示す。
(比較例2)
三井・デュポンフロロケミカル株式会社製PFA粉体塗料 MJ−302(原料となるPFA水性分散液としてMFRが5g/10分であるものを用い、PFA凝集造粒物の乾燥・融着を295℃で行った他は、実施例1と同様の製造手順で作製されたPFA粉体塗料。平均粒径18μm、比表面積7.4m2/g)を用いて、静電塗装による塗膜形成を行った。作業性は良好であり、塗装表面は平滑で、凹凸模様は形成されなかった。結果を表2に示す。
(比較例3)
三井・デュポンフロロケミカル株式会社製PFA粉体塗料 MJ−103(特公昭53−11296の実施例に記載の方法で、PFAの融点以上の焼成室にPFA凝集造粒物を噴霧して製造された真球状のPFA粉体塗料。MFR 2g/10分、平均粒径26μm、比表面積0.7m2/g)を用いて、静電塗装による塗膜形成を行った。作業性は良好であり、塗装表面は平滑で、凹凸模様は形成されなかった。結果を表2に示す。
(粉体塗料の粒子表面観察)
実施例2のPFA粉体塗料の粒子表面を、走査型電子顕微鏡(SEM−SU8000、日立ハイテクノロジーズ(株)製)により観察した。1次粒子間は部分的に融着しているため、1次粒子間に空隙が確認された。(図1)
比較例2のPFA粉体塗料(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製PFA粉体塗料 MJ−302)の粒子表面も同様に観察した。実施例2とは異なり、1次粒子間は融着した樹脂によって埋まっており、空隙は確認されなかった。(図2)
(塗膜の表面観察)
実施例2及び比較例2によって得られた塗膜表面を共焦点レーザー顕微鏡(レーザーテック株式会社製、OPTELICS C130)を用いて表面観察を行った(図3、図4)。比較例2では、塗膜が平坦であるのに対し、実施例2の塗膜では、特徴的な凹凸模様が形成されていることがわかる。

Claims (6)

  1. テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体又はテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体から選ばれる少なくとも1種である熱溶融性フッ素樹脂の1次粒子を凝集させて、その溶融開始温度以上、かつ融点より低い温度で熱融着させた粉体粒子であって、粉体粒子の平均粒径が1〜100μmであり、その比表面積が8〜25m2/gの範囲内であることを特徴とする、熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料。
  2. 熱溶融性フッ素樹脂のメルトフローレート(MFR)が0.5〜15g/10分である、請求項1に記載の熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料。
  3. 請求項1又は2に記載の粉体塗料を塗装してなる塗膜。
  4. 請求項に記載の塗膜を有する塗装物品。
  5. 炊飯器の内釜である、請求項に記載の塗装物品。
  6. 熱溶融性フッ素樹脂の1次粒子を凝集させて、その溶融開始温度以上、かつ融点より低い温度で熱融着処理を行い、得られた凝集体を粉砕する工程からなる、請求項1又は2に記載の熱溶融性フッ素樹脂粉体塗料の製造方法。
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