JP2000218097A - アイロン - Google Patents

アイロン

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JP2000218097A
JP2000218097A JP2160699A JP2160699A JP2000218097A JP 2000218097 A JP2000218097 A JP 2000218097A JP 2160699 A JP2160699 A JP 2160699A JP 2160699 A JP2160699 A JP 2160699A JP 2000218097 A JP2000218097 A JP 2000218097A
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JP
Japan
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plating film
composite plating
fluorine compound
iron
plating
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JP2160699A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Matsuyoshi
弘明 松好
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動性、非粘着性、耐衝撃性、耐傷付き性、
耐食性、耐熱性などに優れ、外観の装飾性にも優れた耐
食性複合メッキ皮膜をアイロン底基材に設けたアイロン
の提供を目的とする。 【解決手段】 フッ素化合物微粒子を含有する複合メッ
キ皮膜の上にクロムメッキ皮膜をフッ素化合物が露出す
る程度の膜厚で有する耐食性複合メッキ皮膜をアイロン
底基材表面に設けたアイロンを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般家庭或いは業
務用に使用するアイロンに関する。
【0002】
【従来の技術】ニッケル等の金属メッキ液中にフッ素化
合物微粒子を分散させてメッキを行い、金属メッキ皮膜
中にフッ素化合物微粒子が取り込まれた複合メッキ皮膜
は、摺動性、耐衝撃性、耐傷つき性、撥水性、非粘着
性、防汚性、耐磨耗性に優れた皮膜であり、あらゆる用
途に使用されている。
【0003】この金属−フッ素化合物複合メッキ皮膜を
アイロン底基材に施したアイロンの発明が特開平9−1
49998号公報に開示されている。
【0004】しかしながら、これらの金属マトリックス
に使用される金属は、ニッケル、銅、亜鉛が一般的で、
これらの金属は、耐食性や耐熱性の面でやや問題があ
る。
【0005】例えば、ニッケルを金属マトリックスに使
用した場合、一部の薬品で腐食が発生したり、ユーザー
の誤った使い方で500℃程度の高温にさらされると、
表面のフッ素化合物の一部が分解するのはやむを得ない
としても、ニッケルメッキ皮膜が青色に変色する。
【0006】さらに、この金属−フッ素樹脂複合メッキ
の外観は灰色であり、光沢がない。光沢を出すために、
メッキ後、表面をバフ研磨して光沢にすることも可能で
あるが、この研磨には熟練工の手を必要とするため、コ
スト高となる。また、せっかく行った複合メッキ皮膜を
数ミクロン削ることとなるため、不経済である。更にこ
の複合メッキ皮膜を削りすぎた場合にはメッキ皮膜の膜
厚が薄くなり、耐食性にも問題がでてくる。
【0007】一方、クロムは、耐食性に優れた金属であ
り、クロムメッキもあらゆる用途に広く一般的に用いら
れている。しかし、電解クロムメッキは電流効率が10
%程度と低い。即ち、流した電流の約90%は水素イオ
ンの水素ガスへの還元反応に消費され、クロムイオンの
クロム金属への還元反応は残り約10%の電流で行われ
る。
【0008】よって、クロムメッキは5〜20μmのよ
うな膜厚を得るには時間がかかり、生産性が悪い。ま
た、フッ素化合物などを含むクロム複合メッキは事実上
不可能であって、実用化されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アイロン底
基材の皮膜における上記のような問題点(即ち、耐食
性、耐熱性、装飾性)に鑑み、摺動性、非粘着性、耐衝
撃性、耐傷つき性(耐磨耗性、基材との密着力に優れ
る)、耐食性、耐熱性などに優れ、外観の装飾性にも優
れた耐食性複合メッキ皮膜をアイロン底基材表面に設け
たアイロンを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、鋭意研究を進めた結果、フッ素化合物
微粒子を分散含有する複合メッキ皮膜を形成させた後、
その上にクロムメッキ皮膜をフッ素化合物微粒子が最表
面露出するように薄く形成させた場合にはその目的を達
成しうることを見いだした。
【0011】更に、本発明者の研究によれば、アイロン
底基材の表面上に上記複合メッキ皮膜を形成し、その上
にクロムメッキ皮膜を形成した後に、該皮膜を所定の温
度で加熱処理すると、一層撥水・撥油性、非粘着性に優
れた皮膜が得られることを見いだした。本発明は、これ
らの知見に基づいて完成されたものである。
【0012】即ち、本発明は、下記のアイロンを提供す
る。 1.フッ素化合物微粒子を含有する複合メッキ皮膜の上
に、クロムメッキ皮膜をフッ素化合物が露出する程度の
膜厚で有する、耐食性複合メッキ皮膜をアイロン底基材
表面に設けたアイロン。 2.該クロムメッキ皮膜の膜厚が0.05〜1μmであ
る上記アイロン。 3.該フッ素化合物微粒子の平均粒径が、2μm以下で
ある上記アイロン。 4.該複合メッキ皮膜が体積分率で15%以上のフッ素
化合物を含む上記アイロン。 5.該複合メッキ皮膜が、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチ
レン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCT
FE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体
(ETFE)、フッ化黒鉛及びフッ化ピッチからなるフ
ッ素化合物群から選ばれる少なくとも1種のフッ素化合
物を含む上記アイロン。 6.該耐食性複合メッキ皮膜を、更に150〜380℃
で加熱処理してなる上記アイロン。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において、「複合メッキ皮
膜」とは、フッ素化合物微粒子を含有する複合メッキ皮
膜のことをいい、「耐食性複合メッキ皮膜」とは、フッ
素化合物微粒子を含有する複合メッキ皮膜の上にクロム
メッキ皮膜をフッ素化合物微粒子が露出する程度の膜厚
で有する2層の皮膜をいう。
【0014】摺動性に優れているとは、アイロン掛け作
業におけるアイロンのすべりやすさをいい、非粘着性に
優れているとは、アイロン掛けの際使用する糊がアイロ
ンに付着することを防止できることをいう。
【0015】図1は、本発明の実施形態を示すアイロン
底の断面図である。具体的には、アイロン底基材1の表
面に、複合メッキ皮膜2を設けており、該複合メッキ皮
膜2は、マトリックス金属4中にフッ素化合物微粒子5
が分散含有した構造を有している。更に、複合メッキ皮
膜2の上に複合メッキ皮膜中のフッ素化合物微粒子5が
露出する程度の膜厚でクロムメッキ皮膜3を設けてい
る。
【0016】本発明においては、アイロン底基材の部材
としては、銅、ステンレス鋼、一般鋼、アルミニウム、
アルミニウム合金などの金属類が用いられる。この中で
も、アルミニウム、アルミニウム合金が、軽量、安価と
いう点で好ましい。
【0017】アイロン底基材の厚さとしては、アイロン
に使用できる厚さであれば特に限定されないが、0.5
〜20mm、好ましくは、1〜10mmの部材を用いる
のがよい。
【0018】上記アイロン用基材に複合メッキ皮膜を形
成させる方法としては、以下の通りである。
【0019】一般に、複合メッキ皮膜中に含まれるフッ
素化合物としては、フッ素樹脂{ポリテトラフルオロエ
チレン(以下PTFEという)、テトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下PFAと
いう)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロ
ピレン共重合体(以下FEPという)、ポリクロロトリフル
オロエチレン(以下PCTFEという)、テトラフルオロエ
チレン−エチレン共重合体(以下ETFEという)など}、
フッ化黒鉛、フッ化ピッチなど(本願明細書において
は、これらのフッ素樹脂、フッ化黒鉛及びフッ化ピッチ
をフッ素化合物と総称する。)が挙げられ、これらは、
自己潤滑性、摺動性(低摩擦性)、撥水性、撥油性、非
粘着性などに優れている。この中でも、PTFEとPF
Aが好ましい。
【0020】本発明で使用するフッ素化合物は、いずれ
も公知物質であり、その原料、製造方法などは特に限定
されない。
【0021】例えば、本発明で用いるフッ化ピッチは、
組成式CFx(0.5<x<1.8)で表される組成を
有する化合物であって、各炭素原子にフッ素が1〜3個
共有結合によって強固に結合したものである。その性状
は、フッ化黒鉛に類似した層状構造を有し、褐色〜黄白
色〜白色を呈し、自己潤滑性、耐水性、耐薬品性、撥水
性、撥油性、非粘着性などに優れ、空気中で非常に安定
な化合物であり、工業的には、ピッチを常温付近でフッ
素ガスと直接反応させることにより得られる。その具体
的な製造方法、構造などについては、例えば、特開昭6
2−275190号公報に開示されている。
【0022】また、フッ化ピッチと染料又は顔料とを反
応させることによって得られる着色フッ化ピッチも本発
明において用いることができる。これらの具体的な製造
方法、構造などについては、例えば、特開平9−118
885号公報や特開平9−263643号公報に開示さ
れている。
【0023】本発明においては、フッ素化合物をそれぞ
れ単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用して
もよい。
【0024】好ましい併用例としては、PTFEとPF
A、PTFEとFEP、PFAとFEP、PFAとフッ
化黒鉛、PFAとフッ化ピッチが挙げられる。2種以上
のフッ素化合物を併用する場合であっても、それらの混
合割合は特に限定されず、任意に選択することができ
る。
【0025】本発明における複合メッキ皮膜の形成に際
しては、アイロン底基材の表面にマトリックス金属を析
出させ得る公知の無電解メッキ法および電解メッキ法を
採用することができる。また、使用するメッキ液につい
ても、各種の公知の組成のメッキ液のいずれをも使用で
きる。
【0026】より具体的には、例えば、特開昭49-27443
号公報、特開平4-329897号公報などに開示されているメ
ッキ手法に準じて、PTFE微粒子等のフッ素化合物微粒子
をメッキ金属塩の水溶液中に分散させ、基材上にマトリ
ックス金属とともにPTFE微粒子などのフッ素化合物微粒
子を共析させて、非金属であるフッ素化合物の固有の性
質とマトリックスである金属の性質とを併せ持った複合
メッキ皮膜を形成させれば良い。
【0027】これらフッ素化合物微粒子を金属とともに
アイロン底基材の表面に析出させて複合メッキ皮膜を形
成させることによって、摺動性がよくなめらかなアイロ
ン掛け作業が可能となり、またアイロン底基材表面の汚
れを低減させると共に汚れが発生した場合でもその除去
を容易に行うことができる。
【0028】メッキ浴中では塩の形態で用いられ、複合
メッキ皮膜中のマトリックスとなる金属としては、例え
ば、ニッケル、銀、コバルト、銅、亜鉛、スズ、鉄、
鉛、カドミウム、貴金属類およびそれらの合金など何れ
も使用することができる。これら金属を含むメッキ液
は、各種の組成のものが公知となっており、本発明で
は、これらの公知のメッキ液のいずれをも用いることが
できる。
【0029】本発明において、複合メッキ皮膜を形成す
るためのメッキ液(以下複合メッキ液という)に添加す
るフッ素化合物の微粒子の粒径は、特に限定されるもの
ではないが、複合メッキ皮膜全体の膜厚よりも大きい場
合には、摩擦によりメッキ面から粒子が脱落するので、
メッキ皮膜の膜厚よりも小さい微粒子を使用することが
望ましい。
【0030】本発明による複合メッキ皮膜の厚さは、ア
イロン底基材の材質、形状、マトリックス金属の種類な
どにより異なるが、通常1〜50μm程度である。好ま
しくは5〜20μm程度である。従って、フッ素化合物
微粒子の粒径は、この複合メッキ皮膜の厚さを考慮して
定めれば良いが、通常平均2μm程度であり、平均1μm
以下のものがより好ましい。また、複合メッキ液中およ
び複合メッキ皮膜中でのフッ素化合物微粒子の分散の均
一性を確保するために、30μm以上の粗大粒子を含ま
ないことが望ましい。下限は特に限定されないが、通常
0.1μm程度である。複合メッキ液中のフッ素化合物
微粒子の添加量は、特に限定されないが、通常200g/
l程度以下、好ましくは1〜100g/l程度である。
【0031】一般に、金属と共析物とからなる複合メッ
キ皮膜においては、共析物の体積分率が大きくなるほ
ど、メッキ層と基材との密着性は低下する。本発明にお
いても、メッキ皮膜と基材との密着性を考慮すれば、複
合メッキ皮膜中の共析物(フッ素化合物微粒子)の体積
分率は、60%が限度である。一方、フッ素化合物微粒
子の体積分率が低すぎる場合には、撥水性、非粘着性、
摺動性の改善が十分に行なわれない。従って、本発明に
おいては、複合メッキ皮膜中のフッ素化合物微粒子の体
積分率は、通常15〜60%程度、より好ましくは25
〜40%程度とするのがよい。
【0032】本発明による複合メッキ皮膜を形成させる
ための複合メッキ液では、撥水性が非常に高いフッ素化
合物をメッキ液中に均一に分散させ且つ完全に濡れた状
態とする必要があるので、界面活性剤を用いる。界面活
性剤としては、例えば、水溶性のカチオン系、非イオン
系およびメッキ液のpH値においてカチオン性を示す両性
界面活性剤を用いることができる。この場合、カチオン
系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、第2お
よび3アミン類などが挙げられ、非イオン系界面活性剤
としては、ポリエチレンイミン系、エステル系のものな
どが挙げられ、両性界面活性剤としては、カルボン酸
系、スルホン酸系のものなどが挙げられる。特に、分子
中にC−F結合を有するフッ素系界面活性剤を用いること
が好ましい。
【0033】メッキ液中への界面活性剤の添加量は、フ
ッ素化合物1gに対し、通常1〜500mg程度の範囲
内であり、より好ましくは1〜100mg程度である。
【0034】本発明においては、上記の複合メッキ液に
一次光沢剤、二次光沢剤、メッキ皮膜着色のための顔料
などの公知の添加剤をさらに配合することができる。
【0035】本発明方法により複合メッキ皮膜を形成す
るに際しては、フッ素化合物微粒子を均一に分散させる
ために、複合メッキ液を撹拌しつつメッキ操作を行なう
ことが好ましい。撹拌方法は特に限定されず、通常の機
械的撹拌手段、例えばスクリュ−撹拌、マグネチックス
タ−ラ−による撹拌などの方法を採用することができ
る。
【0036】メッキ条件は、アイロン底基材の材質、使
用する複合メッキ液の種類などに応じて適宜定めれば良
く、一般に通常の複合メッキ法において採用されている
と同様の液温、pH値、電流密度などから選択すればよ
い。
【0037】なお、本発明における複合メッキ皮膜は、
必ずしもアイロン底基材上に直接形成する必要はなく、
基材上に公知の下地メッキ層(例えば、ニッケルメッ
キ、銅メッキなど)を形成した後、複合メッキ皮膜を形
成しても良い。
【0038】フッ素化合物微粒子を含有する複合メッキ
皮膜上へのクロムメッキ皮膜の形成は、通常行われてい
るクロムメッキ方法を採用することができる。クロムメ
ッキ液の種類は、特に限定されず、複合メッキの金属表
面にクロムを析出され得る通常のサージェント浴等が使
用される。また、メッキ条件も使用するメッキ液の種類
に応じて適宜決定すればよく、一般に通常のクロムメッ
キの場合と同様の液温、pH、電流密度などを採用し
て、複合メッキ皮膜上にクロムメッキ皮膜を形成させれ
ばよい。
【0039】ここで、フッ素化合物微粒子を含有する複
合メッキ皮膜の上に形成するクロムメッキ皮膜の厚さ
は、通常0.05〜1μm、好ましくは0.1〜0.5
μmである。クロムメッキ皮膜の厚さが0.05μmよ
り小さいと、皮膜の均一性がなく、クロムメッキ皮膜の
有する耐食性、耐熱性の効果が少なくなる。クロムメッ
キ皮膜の厚さが1μmを越えるとクロムメッキを行う前
のフッ素化合物微粒子を含有する複合メッキ皮膜におい
て、表面に露出しているフッ素化合物微粒子がクロムメ
ッキ皮膜で埋もれてしまい、フッ素化合物微粒子の持つ
自己潤滑性、低摩擦性、撥水性、撥油性、非粘着性など
の性質が十分に発揮できなくなる。
【0040】本発明のより好ましい態様としては、上記
の様にしてアイロン底基材上に形成した2層のメッキ皮
膜である耐食性複合メッキ皮膜を加熱処理することが好
ましい。熱処理温度は、150〜380℃程度、より好
ましくは200〜350℃程度の温度で行うのがよい。
この加熱処理により、耐食性複合メッキ皮膜の耐久性及
び表面撥水性が著しく改善される。熱処理温度が150
℃未満である場合には、十分な処理効果を得るために処
理時間を長くする必要があり、一方、380℃を上回る
場合には、フッ素化合物が分解する恐れがあるので好ま
しくない。
【0041】上記の加熱処理により、本発明による耐食
性複合メッキ皮膜の撥水・撥油性や基材に対する密着性
が著しく改善される理由は明確ではないが、耐食性複合
メッキ皮膜自体の熱的改質、界面活性剤の除去(熱分
解、蒸発、昇華などによる)による濡れ性の低下などに
よるものと推測される。熱処理時間は、特に限定される
ものではないが、通常10〜30分間程度でよい。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、フッ素化合物を含有し
た複合メッキ皮膜の上にクロムメッキを0.05〜1μ
mと薄く施したため、フッ素化合物に基づく撥水性、撥
油性、摺動性、非粘着性、耐薬品性、耐磨耗性、マトリ
ックス金属に基づく高硬度、高強度、高熱伝導度、耐熱
性を損なうことなく、その耐薬品性、耐熱性、硬度、耐
腐食性、装飾性を大きく改善する。
【0043】また、耐食性複合メッキ皮膜を加熱処理す
ることにより、一層、撥水性、撥油性、非粘着性が著し
く改善される。
【0044】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴とするところをより一層明確にする。
【0045】尚、物性の特性は、下記の方法により行っ
た。
【0046】(1)共析率測定 複合メッキ皮膜を形成したSUS430試験片を硝酸水
溶液(硝酸:水容量比=1:1)に浸漬して、メッキ皮
膜を溶解した後、メンブランフィルター(平均孔径=
0.1μm)を用いて濾過した。次いで、このメンブラ
ンフィルターを乾燥機に入れ、100℃で20分間乾燥
した後、1時間デシケーター中で冷却して重量を測り、
フッ素化合物微粒子の共析率を算出した。
【0047】(2)接触角 FACE接触角(協和界面科学(株)製、”CA-A型”)を用
いて、液滴法により、水の接触角を測定した。
【0048】(3)密着力試験(JIS K5400) 耐食性複合メッキ皮膜を形成したアイロン底基材に1cm
2あたり100個の碁盤目を入れ、下記の各条件下に放
置した後常温に戻し、セロファン粘着テープにより、圧
着剥離試験を行った。
【0049】(a)250℃で2時間放置 (b)-10℃で2時間放置 (c)(200℃で1時間放置した後、-10℃で1時間放
置)×10サイクル 密着力試験結果において、"100/100"とあるのは、剥離
が生じなかったことを示し、"50/100"とあるのは、碁
盤目の半数が剥離したことを示す。
【0050】(4)耐衝撃変形性試験(JIS K5400) 20℃でデュポン方式により下記の条件下、耐食性複合メ
ッキ皮膜を形成したアイロン底基材上に、上からおもり
を落とす衝撃試験を行って変形させた部分の塗面の損傷
を肉眼で確認した。 おもり:500g 落下高さ:500mm。
【0051】(5)耐薬品性試験 耐食性複合メッキ皮膜を形成したアイロン底基材上に1
cm2あたり100個の碁盤目を形成し、下記の薬品或い
は材料に96時間浸漬した。4時間毎に基材を取り出し水
洗いを行った後、変色及び剥がれの有無を肉眼で確認す
ると共に、96時間浸漬後にセロファン粘着テープによ
り、圧着剥離試験を行った。
【0052】(a)ラッカーシンナー (b)界面活性剤(商標"ファミリーフレッシュ"、花王
株式会社製) (c)カレー(商標"ククレカレー辛口"、ハウス食品株
式会社製) (d)こいくち醤油(キッコーマン株式会社製) (e)台所用漂白剤(商標"キッチンハイター"、花王株
式会社製)15容量%水溶液 (f)台所用漂白剤(商標"キッチンハイター"、花王株
式会社製)50容量%水溶液 (g)台所用漂白剤(商標"キッチンハイター"、花王株
式会社製)100%原液 (h)4容量%酢酸水溶液 結果の判定は、上記(3)の場合と同様である。
【0053】(6)非粘着性試験 耐食性複合メッキ皮膜を形成したアイロン底基材を備え
たアイロンを用いて、アイロン掛け用スプレー糊(商
標”キーピング”、花王株式会社製)をカッターシャツ
に適量吹き付け、アイロン掛けを行い、アイロン底面に
糊がどの程度付着したかを目視によって判断した。
【0054】(7)摺動性試験 綿の試験布に置いた、上記(6)と同様の耐食性複合メ
ッキ皮膜を形成したアイロン底基材を備えたアイロン
を、テンションゲージを使用して水平に引っ張った時に
テンションゲージの表示がいくらで移動したかを調べて
評価を行った。
【0055】(8)耐磨耗性試験 アイロン底基材中央部の表面温度を220±5℃に調節
し、上から3kgfの重量を加えた状態で綿布上を80
km(5年相当のアイロン掛けを想定した。)摺動させ
た。その後に、蛍光X線分析(株式会社リガク製、Wafe
r X300)により試験前後のメッキ膜厚を測定して磨耗量
の評価をした。
【0056】(9)500℃耐熱試験 耐食性複合メッキ皮膜を形成させたアイロン底基材を電
気炉に入れ、500℃、20分間放置した後、自然冷却
させ、メッキ皮膜の変色を目視にて調べた。
【0057】実施例1以下のような電解メッキを行っ
た。
【0058】i)ニッケルストライクメッキ液の調製 以下のような組成を有するメッキ液を調製した。 塩化ニッケル 245g/l 塩酸 120g/lii)電解ニッケル−PTFE複合メッキ液の調製 PTFE微粒子(粒子径2μm以下、ダイキン工業(株)
製、ルブロンL−2)を、電解ニッケルメッキ液(組
成:スルファミン酸ニッケル360g/l、塩化ニッケ
ル45g/l、ホウ酸30g/l)1リットルに対して
50g添加し、更に、界面活性剤として第4級パーフル
オロアンモニウム塩{商標“メガファックF150”、大日
本インキ化学(株)製、(C8F17SO2NH(CH2)3N+(CH3)3
Cl-)}をPTFE1gに対して30.0mgの割合で添
加して、電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を調製し
た。
【0059】iii)電解クロムメッキ液の調製 以下のような組成を有するメッキ液を調製した。 無水クロム酸 200g/l 硫酸 2g/l 炭酸クロム 2g/liv)メッキ法 以下のものを被メッキ材料として用いた。 ・アイロン底基材(長さ200mm、横幅110mm、厚さ3mm、
材質A1100) ・試験片(50mm×50mm、厚さ0.5mm、材質SUS43
0) まず、上記被メッキ材料をアルカリ脱脂液で脱脂した
後、それぞれを負極とし、上記i)の組成のニッケルス
トライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25
℃、電流密度10A/dm2の条件下で、2分間のニッ
ケルストライクメッキ処理を行った。
【0060】ついで、上記の被メッキ材料を、上記i
i)の組成の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液を含
むメッキ槽を用いて、液温50℃、pH4.2、電流密度
2A/dm2の条件下に、スクリュー撹拌しつつ、膜厚
が10μmとなるまで電解メッキを行って、電解ニッケ
ル−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。この時点で
SUS430試験片を使用し、PTFEの共析率(容量
%)を求めたところ、30容量%であった。
【0061】更に、アイロン底基材を15容量%塩酸水
溶液に30秒浸漬した後、負極として上記iii)の組
成を有する電解クロムメッキ液を含むメッキ槽を用い
て、液温50℃、pH3.0、電流密度20A/dm2
の条件下に、膜厚が0.2μmとなるまで電解メッキを
行って、クロムメッキ皮膜を形成させた。メッキ終了
後、水洗して100℃、5分間乾燥させた。
【0062】得られた電解ニッケル−PTFE複合メッ
キ皮膜の上にクロムメッキ皮膜を有するアイロン底基材
を熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した
後、常温で1時間室内放置した。この耐食性複合メッキ
皮膜を形成したアイロン底基材を用いて上記(2)〜
(9)の試験を行った。
【0063】実施例2 実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液におい
て、PTFE微粒子の添加量を電解ニッケルメッキ液1
リットルに対して25gとした以外は、実施例1と同様
にして、アイロン底基材にニッケルストライクメッキ、
電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜及び電解クロム
メッキ皮膜を順次形成させた。
【0064】得られた電解ニッケル−PTFE複合メッ
キ皮膜の上に電解クロムメッキ皮膜を有するアイロン底
基材を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加
熱した後、常温で1時間室内放置した。このアイロン底
基材を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0065】試験片においては、ニッケルストライクメ
ッキ及び電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成
した後、PTFE共析率(容量%)の測定に使用した。
PTFE共析率は15容量%であった。
【0066】実施例3 実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液におい
て、PTFE微粒子の添加量を電解ニッケルメッキ液1
リットルに対して75gとした以外は、実施例1と同様
にして、アイロン底基材にニッケルストライクメッキ、
電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜及び電解クロム
メッキ皮膜を順次形成させた。
【0067】得られた電解ニッケル−PTFE複合メッ
キ皮膜の上に電解クロムメッキ皮膜を有するアイロン底
基材を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加
熱した後、常温で1時間室内放置した。このアイロン底
基材を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0068】試験片においては、ニッケルストライクメ
ッキ及び電解ニッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成
した後、PTFE共析率(容量%)の測定に使用した。
PTFE共析率は45容量%であった。
【0069】実施例4 実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液におい
て、PTFE微粒子の代わりにFEP微粒子(粒子径2
μm以下、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッ
キ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例
1と同様にして、アイロン底基材にニッケルストライク
メッキ、電解ニッケル−FEP複合メッキ皮膜及び電解
クロムメッキ皮膜を順次形成させた。
【0070】得られた電解ニッケル−FEP複合メッキ
皮膜の上に電解クロムメッキ皮膜を有するアイロン底基
材を、熱風循環式乾燥炉中で、250℃で30分間加熱
した後、常温で1時間室内放置した。このアイロン底基
材を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0071】試験片においては、ニッケルストライクメ
ッキ及び電解ニッケル−FEP複合メッキ皮膜を形成し
た後、FEP共析率(容量%)の測定に使用した。FE
P共析率は30容量%であった。
【0072】実施例5 実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液におい
て、PTFE微粒子の代わりにPFA微粒子(粒子径2
μm以下、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメッ
キ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例
1と同様にして、アイロン底基材にニッケルストライク
メッキ、電解ニッケル−PFA複合メッキ皮膜及び電解
クロムメッキ皮膜を順次形成させた。
【0073】得られた電解ニッケル−PFA複合メッキ
皮膜の上に電解クロムメッキ皮膜を有するアイロン底基
材を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱
した後、常温で1時間室内放置した。このアイロン底基
材を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0074】試験片においては、ニッケルストライクメ
ッキ及び電解ニッケル−PFA複合メッキ皮膜を形成し
た後、PFA共析率(容量%)の測定に使用した。PF
A共析率は30容量%であった。
【0075】実施例6 実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液におい
て、PTFE微粒子の代わりにPCTFE微粒子(粒子
径2μm以下、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケル
メッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実
施例1と同様にして、アイロン底基材にニッケルストラ
イクメッキ、電解ニッケル−PCTFE複合メッキ皮膜
及び電解クロムメッキ皮膜を順次形成させた。
【0076】得られた電解ニッケル−PCTFE複合メ
ッキ皮膜の上に電解クロムメッキ皮膜を有するアイロン
底基材を、熱風循環式乾燥炉中で、250℃で30分間
加熱した後、常温で1時間室内放置した。このアイロン
底基材を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0077】試験片においては、ニッケルストライクメ
ッキ及び電解ニッケル−PCTFE複合メッキ皮膜を形
成した後、PCTFE共析率(容量%)の測定に使用し
た。PCTFE共析率は30容量%であった。
【0078】実施例7 実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液におい
て、PTFE微粒子の代わりにETFE微粒子(粒子径
2μm以下、ダイキン工業(株)製)を電解ニッケルメ
ッキ液1リットルに対して50g添加した以外は、実施
例1と同様にして、アイロン底基材にニッケルストライ
クメッキ、電解ニッケル−ETFE複合メッキ皮膜及び
電解クロムメッキ皮膜を順次形成させた。
【0079】得られた電解ニッケル−ETFE複合メッ
キ皮膜の上に電解クロムメッキ皮膜を有するアイロン底
基材を、熱風循環式乾燥炉中で、250℃で30分間加
熱した後、常温で1時間室内放置した。このアイロン底
基材を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0080】試験片においては、ニッケルストライクメ
ッキ及び電解ニッケル−ETFE複合メッキ皮膜を形成
した後、ETFE共析率(容量%)の測定に使用した。
ETFE共析率は30容量%であった。
【0081】実施例8 実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液におい
て、PTFE微粒子の代わりにフッ化黒鉛微粒子(粒子
径1μm以下、旭硝子(株)製)を電解ニッケルメッキ
液1リットルに対して50g添加した以外は、実施例1
と同様にして、アイロン底基材にニッケルストライクメ
ッキ、電解ニッケル−フッ化黒鉛複合メッキ皮膜及び電
解クロムメッキ皮膜を順次形成させた。
【0082】得られた電解ニッケル−フッ化黒鉛複合メ
ッキ皮膜の上に電解クロムメッキ皮膜を有するアイロン
底基材を、熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間
加熱した後、常温で1時間室内放置した。このアイロン
底基材を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0083】試験片においては、ニッケルストライクメ
ッキ及び電解ニッケル−フッ化黒鉛複合メッキ皮膜を形
成した後、フッ化黒鉛共析率(容量%)の測定に使用し
た。フッ化黒鉛共析率は30容量%であった。
【0084】実施例9 実施例1の電解ニッケル−PTFE複合メッキ液におい
て、PTFE微粒子の代わりにフッ化ピッチ(粒子径1
μm以下、大阪ガス(株)製)を電解ニッケルメッキ液
1リットルに対して50g添加した以外は、実施例1と
同様にして、アイロン底基材にニッケルストライクメッ
キ、電解ニッケル−フッ化ピッチ複合メッキ皮膜及び電
解クロムメッキ皮膜を順次形成させた。
【0085】得られた電解ニッケル−フッ化ピッチ複合
メッキ皮膜の上に電解クロムメッキ皮膜を有するアイロ
ン底基材を、熱風循環式乾燥炉中で、250℃で30分
間加熱した後、常温で1時間室内放置した。このアイロ
ン底基材を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0086】試験片においては、ニッケルストライクメ
ッキ及び電解ニッケル−フッ化ピッチ複合メッキ皮膜を
形成した後、フッ化ピッチ共析率(容量%)の測定に使
用した。フッ化ピッチ共析率は30容量%であった。
【0087】実施例10 下記のごとく無電解メッキを行った。
【0088】i)ニッケルストライクメッキ液の調製 以下のような組成を有するメッキ液を調製した。 塩化ニッケル 245g/l 塩酸 120g/lii)無電解ニッケル/リンメッキ液の調製 以下のような組成を有する無電解ニッケル/リンメッキ
液を調製した。 硫酸ニッケル 20g/l 次亜リン酸ナトリウム 25g/l 乳酸 20g/l プロピオン酸 3g/liii)無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ液
の調製 PTFE微粒子(粒子径2μm以下、ダイキン工業(株)
製、ルブロンL−2)を、上記組成を有する無電解ニッ
ケル/リンメッキ液1リットルに対して10g添加し、
更に、界面活性剤として第4級パーフルオロアンモニウ
ム塩{商標“メガファックF150”、大日本インキ化学
(株)製、(C8F17SO2NH(CH2)3N+(CH3)3・Cl-)}をPT
FE1gに対して30.0mgの割合で添加して、無電
解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ液を調製した。
【0089】iv)電解クロムメッキ液の調製 以下のような組成を有するメッキ液を調製した。 無水クロム酸 200g/l 硫酸 2g/l 炭酸クロム 2g/lv)メッキ法 以下のものを被メッキ材料として用いた。 ・アイロン底基材(長さ200mm、横幅110mm、厚さ3mm、
材質A1100) ・試験片(50mm×50mm、厚さ0.5mm、材質SUS43
0) まず、上記被メッキ材料をアルカリ脱脂液で脱脂した
後、それぞれを負極とし、上記i)の組成のニッケルス
トライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25
℃、電流密度10A/dm2の条件下で、2分間のニッ
ケルストライクメッキ処理を行った。
【0090】ついで、それぞれを、上記ii)の組成の
無電解ニッケル/リンメッキ液を含むメッキ槽を用い
て、液温90℃、pH4.6の条件下に、スクリュー撹拌
しつつ、膜厚が3μmとなるまで無電解メッキを行っ
て、無電解下地ニッケル/リンメッキ皮膜を形成させ
た。
【0091】更に、無電解下地ニッケル/リンメッキ皮
膜を形成させた被メッキ材料を、上記iii)の組成の
無電解ニッケル/リン−PTFE複合メッキ液を含む複
合メッキ槽を用いて、液温90℃、pH5.1の条件下
に、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が7μmとなるまで無
電解メッキを行って、無電解ニッケル/リン−PTFE
複合メッキ皮膜を形成させた。
【0092】この時点でSUS430試験片を使用し、
PTFEの共析率(容量%)を求めたところ、30容量
%であった。
【0093】更に、アイロン底基材を15容量%塩酸水
溶液に30秒浸漬した後、負極として上記iv)の組成
を有する電解クロムメッキ液を含むメッキ槽を用いて、
液温50℃、pH3.0、電流密度20A/dm2の条
件下に、膜厚が0.2μmとなるまで電解メッキを行っ
て、クロムメッキ皮膜を形成させた。メッキ終了後、水
洗して100℃、5分間乾燥させた。
【0094】得られた無電解ニッケル/リン−PTFE
複合メッキ皮膜の上にクロムメッキ皮膜を有するアイロ
ン底基材を熱風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間
加熱した後、常温で1時間室内放置した。このアイロン
底基材を用いて上記(2)〜(9)の試験を行った。
【0095】比較例1 実施例1と同様のアイロン底基材と試験片に、実施例1
と同様にして脱脂、ニッケルストライクメッキ、電解ニ
ッケル−PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。このあ
と、アイロン底基材をクロムメッキを行うことなく、熱
風循環式乾燥炉中で、350℃で30分間加熱した後、
次いで常温で1時間室内放置した。このアイロン底基材
を用いて実施例1と同様の試験評価を行った。
【0096】試験片においては、上記熱処理を行わず、
PTFE共析率(容量%)の測定に使用した。PTFE
共析率は30容量%であった。
【0097】比較例2 以下のような電解メッキを行った。
【0098】i)ニッケルストライクメッキ液の調製 以下のような組成を有するメッキ液を調製した。 塩化ニッケル 245g/l 塩酸 120g/lii)電解ニッケルメッキ液の調製 以下のような組成を有するメッキ液を調製した。 スルファミン酸ニッケル 360g/l 塩化ニッケル 45g/l ホウ酸 30g/liii)電解クロムメッキ液の調製 以下のような組成を有するメッキ液を調製した。 無水クロム酸 200g/l 硫酸 2g/l 炭酸クロム 2g/liv)メッキ法 まず、実施例1と同様のアイロン底基材をアルカリ脱脂
液で脱脂した後、負極とし、上記i)の組成のニッケル
ストライクメッキ液を含むメッキ槽を用いて、液温25
℃、電流密度10A/dm2の条件下で、2分間のニッ
ケルストライクメッキ処理を行った。
【0099】ついで、上記のアイロン底基材を負極と
し、上記ii)の組成の電解ニッケルメッキ液を含むメ
ッキ槽を用いて、液温50℃、pH4.2、電流密度4A
/dm 2の条件下に、スクリュー撹拌しつつ、膜厚が1
0μmとなるまで電解ニッケルメッキを行った。
【0100】更に、上記のアイロン底基材を15容量%
塩酸水溶液に30秒浸漬した後、負極とし、上記ii
i)の組成を有する電解クロムメッキ液を含むメッキ槽
を用いて、液温50℃、pH3.0、電流密度20A/
dm2の条件下に、膜厚が0.2μmとなるまで電解メ
ッキを行って、クロムメッキ皮膜を形成させた。メッキ
終了後、水洗して100℃、5分間乾燥させた。このア
イロン底基材を用いて上記(2)〜(9)の試験を行っ
た。
【0101】
【表1】
【0102】表1に示す結果から、本発明による耐食性
(フッ素化合物共析)複合メッキ皮膜が、極めて優れた
撥水性、非粘着性、密着性、耐衝撃変形性、耐薬品性、
耐磨耗性、摺動性、耐熱性、装飾性等を備えていること
が明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施形態を示すアイロン底
の断面図を示す。
【符号の説明】
1 アイロン底基材 2 複合メッキ皮膜 3 クロムメッキ皮膜 4 マトリックス金属 5 フッ素化合物微粒子

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素化合物微粒子を含有する複合メッ
    キ皮膜の上に、クロムメッキ皮膜をフッ素化合物が露出
    する程度の膜厚で有する、耐食性複合メッキ皮膜をアイ
    ロン底基材表面に設けたアイロン。
  2. 【請求項2】 該クロムメッキ皮膜の膜厚が0.05〜
    1μmである請求項1に記載のアイロン。
  3. 【請求項3】 該フッ素化合物微粒子の平均粒径が、2
    μm以下である請求項1又は2に記載のアイロン。
  4. 【請求項4】 該複合メッキ皮膜が体積分率で15%以
    上のフッ素化合物を含む請求項1〜3のいずれかに記載
    のアイロン。
  5. 【請求項5】 該複合メッキ皮膜が、ポリテトラフルオ
    ロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘ
    キサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフ
    ルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル
    共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン
    (PCTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共
    重合体(ETFE)、フッ化黒鉛及びフッ化ピッチから
    なるフッ素化合物群から選ばれる少なくとも1種のフッ
    素化合物を含む請求項1〜4のいずれかに記載のアイロ
    ン。
  6. 【請求項6】 該耐食性複合メッキ皮膜を、更に150
    〜380℃で加熱処理してなる、請求項1〜5のいずれ
    かに記載のアイロン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002019313A1 (fr) * 2001-03-05 2002-03-07 Gotoh Gut Co., Ltd. Enrouleur de cordes pour un instrument a cordes
WO2002073590A1 (fr) * 2001-03-05 2002-09-19 Gotoh Gut Co., Ltd. Composants metalliques pour instrument a cordes
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