JP3673889B2 - 超撥水性複合メッキ皮膜、超撥水性複合メッキ皮膜を備えた基材およびその製造法 - Google Patents

超撥水性複合メッキ皮膜、超撥水性複合メッキ皮膜を備えた基材およびその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撥水性、潤滑性などに優れた超撥水性複合メッキ皮膜、該皮膜を備えた基材、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、フッ素樹脂微粒子を含有する複合メッキ皮膜は、通常のフッ素樹脂塗膜、フッ素樹脂フィルムなどに比して、撥水性、耐傷付き性、耐久性などに優れているが、その撥水性の度合いを示す水の接触角は、通常115〜130度程度である。
【0003】
水との接触角が140度以上である材料が、極めて高度の撥水特性、着雪・着氷防止特性などを示すことは、知られている。この様な高度の特性を示す皮膜として、テトラフルオロエチレンオリゴマー(TFEO)粒子を含有する複合メッキ皮膜(特開平4-285199号公報)、フッ化ピッチ微粒子を必須成分とする複合メッキ皮膜(特開平7-26397号公報)などが提案されている。しかしながら、TFEOおよびフッ化ピッチは、一般的な材料ではないので、これらの超撥水性皮膜は、実用化の観点からは、コスト高となる問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、市販の安価な材料を使用して、水の接触角が140度以上という高度の超撥水特性/着雪・着氷防止特性を備え、耐傷付き性および耐久性にも優れ複合メッキ皮膜を形成し得る技術を提供することを主な目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記の様な従来技術の問題点に鑑みて、鋭意研究を進めた結果、基板材上にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)微粒子を分散含有する複合メッキ皮膜を形成させた後、熱処理を行なう場合には、複合メッキ皮膜表面の撥水性(水の液滴法による)が、140度以上となることを見出した。
【0006】
即ち、本発明は、下記の複合メッキ皮膜、該皮膜を備えた基板材およびその製造方法ならびに着雪・着氷防止材料を提供するものである;
1.テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体微粒子を分散含有しており、熱処理後の水に対する接触角が140度以上である超撥水性複合メッキ皮膜。
2.テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体微粒子の平均粒径が2μm以下である上記項1に記載の超撥水性複合メッキ皮膜。
3.上記項1または2に記載の超撥水性複合メッキ皮膜を備えた基材。
4.上記項1または2に記載の超撥水性複合メッキ皮膜を備えた着雪・着氷防止材料。
5.メッキ液のpHにおいてカチオン性を示す界面活性剤を含み且つテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体微粒子を分散させた電解メッキ液中で基板材表面に該微粒子を共析する複合メッキ皮膜を形成させた後、複合メッキ皮膜を熱処理することを特徴とする、水に対する接触角が140度以上である超撥水性複合メッキ皮膜を備えた基材の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
一般に、フッ化黒鉛、フッ素系樹脂{ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)など}などは、自己潤滑性、低摩擦性、撥水性、撥油性、非粘着性などに優れている。これらフッ素含有材料中でも、特にPFAは、安価な材料であり、またパーフルオロアルコキシ基を有しているので、非粘着性に優れている。従って、炊飯器の内釜コーティング材、饅頭などの菓子類の成形型材として、広く使用されている。
【0008】
本発明者の研究によれば、このPFA微粒子を金属中に含む共析複合メッキ皮膜は、その他のフッ素含有材料微粒子を含む共析複合メッキ皮膜に比して、自己潤滑性、低摩擦性、撥水性、撥油性、非粘着性などに優れており、特にその著しく高度の撥水性に基づく着雪・着氷防止効果が傑出していることが判明した。
【0009】
本発明における共析複合メッキ皮膜の形成に際しては、金属などの基板材の表面にマトリックス金属を析出させ得る公知の無電解メッキ法および電解メッキ法を採用することができる。また、使用するメッキ液についても、各種の公知の組成のメッキ液のいずれをも使用できる。より具体的には、例えば、特開昭49-27443号公報、特開平4-329897号公報などに開示されているメッキ手法に準じて、PFA微粒子をメッキ金属塩の水溶液中に分散させ、基板材上にマトリックス金属とともにPFA微粒子を共析させて、非金属であるPFAの固有の性質とマトリックスである金属固有の性質とを併せ持ち且つ両者の性質の相乗的作用に基づく特有の効果を発揮する複合メッキ皮膜を形成させれば良い。
【0010】
メッキ浴中では塩の形態で用いられ、複合メッキ皮膜中のマトリックスとなる金属としては、例えば、ニッケル、銅、亜鉛、スズ、鉄、鉛、カドミウム、クロム、貴金属類およびそれらの合金など何れも使用することができる。これら金属を含むメッキ液は、各種の組成のものが公知となっており、本発明では、これらの公知のメッキ液のいずれをも用いることができる。
【0011】
本発明において、複合メッキ皮膜を形成するためのメッキ液(以下複合メッキ液という)に添加するPFA微粒子の粒径は、特に限定されるものではないが、複合メッキ皮膜全体の膜厚よりも大きい場合には、摩擦によりメッキ面から粒子が脱落するので、メッキ皮膜厚よりも小さい微粒子を使用することが望ましい。 本発明による複合メッキ皮膜の厚さは、基板材の材質、用途および形状、マトリックス金属の種類などにより異なるが、通常1〜50μm程度である。従って、PFA微粒子の粒径は、所望の複合メッキ皮膜の厚さをも考慮して定めれば良いが、通常平均2μm程度であり、平均1μm以下のものがより好ましい。また、複合メッキ液中および複合メッキ皮膜中でのPFA微粒子の分散の均一性を確保するために、30μm以上の粗大粒子を含まないことが望ましい。複合メッキ液中のPFA微粒子の添加量は、特に限定されないが、通常200g/l程度以下、好ましくは1〜100g/l程度である。
【0012】
一般に、金属と共析物とからなる複合メッキ皮膜においては、共析物の体積分率が大きくなるほど、メッキ層と基材との密着性は低下する。本発明においても、メッキ皮膜と基板材との密着性を考慮すれば、複合メッキ皮膜中の共析物(PFA微粒子)の体積分率は、60%程度が限度である。一方、PFA微粒子の体積分率が低すぎる場合には、撥水性および着雪・着氷防止効果の改善が十分に行なわれない。従って、本発明においては、複合メッキ皮膜中のPFA微粒子の体積分率は、通常10〜60%程度、より好ましくは25〜40%程度とする。
【0013】
本発明においては、基板材としては、銅、ステンレス鋼、一般鋼、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属類が用いられる。また、樹脂類、炭素材などの表面に公知の下地金属メッキ層(ニッケルメッキ層、銅メッキ層など)を形成した表面金属化基板を使用することもできる。
【0014】
本発明による複合メッキ皮膜を形成させるための複合メッキ液では、撥水性が非常に高いPFA微粒子をメッキ液中に均一に分散させ且つ完全に濡れた状態とする必要があるので、界面活性剤を用いる。界面活性剤としては、例えば、水溶性のカチオン系、非イオン系およびメッキ液のpH値においてカチオン性を示す両性界面活性剤を用いることができる。この場合、カチオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、第2および3アミン類などが挙げられ、非イオン系界面活性剤としては、ポリエチレンイミン系、エステル系のものなどが挙げられ、両性界面活性剤としては、カルボン酸系、スルホン酸系のものなどが挙げられる。特に、分子中にC-F結合を有するフッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。
【0015】
メッキ液中への界面活性剤の添加量は、PFA微粒子1gに対し、通常1〜500mg程度の範囲内であり、より好ましくは1〜100mg程度である。
【0016】
本発明においては、上記の複合メッキ液に一次光沢剤、二次光沢剤、メッキ皮膜着色のための顔料などの公知の添加剤をさらに配合することができる。
【0017】
本発明方法により複合メッキ皮膜を形成するに際しては、PFA微粒子を均一に分散させるために、複合メッキ液を撹拌しつつメッキ操作を行なうことが好ましい。撹拌方法は特に限定されず、通常の機械的撹拌手段、例えばスクリュ−撹拌、マグネチックスタ−ラ−による撹拌などの方法を採用することができる。
【0018】
メッキ条件は、基板材の材質、使用する複合メッキ液の種類などに応じて、適宜定めれば良く、一般に通常の複合メッキ法において採用されていると同様の液温、pH値、電流密度などから選択すればよい。
【0019】
なお、本発明における共析複合メッキ皮膜は、必ずしも基板材上に直接形成する必要はない。例えば、上述の表面金属化基板上に共析複合メッキ皮膜を形成しても良く、或いは銅、アルミニウムなどの金属基板材上に公知の下地メッキ層(例えば、ニッケルメッキ、銅メッキなど)を形成した後、同様にして共析複合メッキ皮膜を形成しても良い。
【0020】
本発明においては、上記の様にして基板材上に形成した共析複合メッキ皮膜を熱処理することが好ましい。熱処理温度は、基板材が金属である場合には、50〜320℃程度、より好ましくは225〜300℃程度の温度範囲である。この熱処理により、複合メッキ皮膜の表面撥水性および着雪・着氷防止特性が著しく改善される。熱処理温度が低すぎる場合には、十分な特性改善を得るために処理時間を長くする必要があり、一方、熱処理温度が高すぎる場合には、PFAの融点を超えるので、複合メッキ皮膜の劣化、変色、褪色などを生じるおそれがある。熱処理時間は、特に限定されるものではないが、通常10〜30分間程度でよい。
【0021】
また、基板材が表面金属化材料である場合には、熱処理は、50℃以上でかつ基板材が変形したり、複合めっき層に割れを生じない温度を上限として行うことが望ましい。
【0022】
上記の熱処理により、本発明による共析複合メッキ皮膜の撥水性などが著しく改善される理由は、未だ十分に解明されていないが、主に、複合メッキ皮膜表面の熱的改質、界面活性剤の除去(熱分解、蒸発、昇華などによる)などによる濡れ性の低下などによるものと推測される。
【0023】
【発明の効果】
本発明により基板材上に形成された複合メッキ皮膜は、基本的に非金属であるPFAの固有の性質とマトリックス金属の固有の性質とを兼ね備えるとともに、両者の性質の相乗的作用に基づく著しい性質の改善を呈する。
【0024】
より具体的には、この複合メッキ皮膜は、先ず、PFAに由来する高度の潤滑性、耐摩耗性、防汚性などを有し、さらに著しく改善された撥水性、着雪・着氷防止性、耐久性、耐熱性、耐薬品性などを発揮する。
【0025】
この複合メッキ皮膜は、さらに、マトリックス金属に由来する高硬度、高強度、高熱伝導性、高電気伝導性などを備え、且つ各種の基板材に対する優れた密着性を発揮する。
【0026】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。
【0027】
なお、以下に示す物性の測定は、下記の方法により行った。
(1)PFA共析率
メッキ皮膜を形成したSUS430試験片を硝酸水溶液(硝酸:水容量比=1/1)に浸漬して、メッキ皮膜を溶解した後、メンブランフィルター(平均孔径=0.1μm)を用いて濾過した。次いで、このメンブランフィルターを乾燥機に入れ、100℃で20分間乾燥した後、1時間デシケータ中で冷却して、重量をはかり、PFA共析率を算出した。
(2)接触角
FACE接触角測定器(協和界面化学(株)製、“CA-A”型)を用いて、液適法により、水の接触角を測定した。
(3)密着力試験(JIS K5400)
実施例1および2における密着力試験は、メッキ皮膜を形成したSUS430試験片に1cm2当たり100個のごばん目を形成し、下記の各条件下に放置した後、常温に戻し、セロファン粘着テープにより、圧着剥離試験を行った。
(a)250℃で2時間放置
(b)-10℃で2時間放置
(c)(200℃で1時間放置→-10℃で1時間放置)×10サイクル
密着力試験結果において、“100/100”とあるのは、剥離が生じなかったことを示し、“50/100”とあるのは、ごばん目の半数が剥離したことを示す。
(4)衝撃変形試験(JIS K5400)
20℃でデュポン方式により衝撃試験を行って、変形した部分の塗面の損傷を確認した。
【0028】
おもり :500g
落下高さ:500mm
(5)耐薬品性試験
メッキ皮膜を形成したSUS430試験片に1cm2当たり100個のごばん目を形成し、下記の薬品或いは材料に96時間浸漬し、4時間ごとに試験片を取り出し、水洗を行った後、変色および剥がれの有無を肉眼で確認するとともに、セロファン粘着テープにより、圧着剥離試験を行った。
(a)ラッカーシンナー
(b)界面活性剤(商標“ファミリーフレッシュ”、花王(株)製)
(c)カレー(商標“ククレカレー辛口”、ハウス食品(株)製)
(d)こいくち醤油(キッコーマン(株)製)
(e)台所用漂白剤(商標“キッチンハイター”、花王(株)製)15%水溶液
(f)台所用漂白剤(商標“キッチンハイター”、花王(株)製)100%
圧着剥離試験の判定基準は、上記(3)と同様である。
(6)耐摩耗性試験
先端にナイロンたわしを取り付けた棒を600rpmで回転させながら、荷重500gde1分間押しつけた後、傷の有無を肉眼で確認した。
【0029】
実施例1
PFA(平均粒径2μm以下、ダイキン工業(株)製)150gとカチオン性界面活性剤として第4級パ−フルオロアンモニウム塩{商標“メガファックF150”、大日本インキ化学(株)製、(C8F17SO2NH(CH2)3N+(CH3)3・Cl-)}4.5gを下記の組成を有するニッケル電解メッキ液3リットルに添加して、複合電解メッキ液を調製した。
スルファミン酸ニッケル電解浴組成
スルファミン酸ニッケル 360g/l
塩化ニッケル 45g/l
ほう酸 30g/l
一方、負極としてのSUS430試験片(50mm×50mm×0.5mm)を脱脂した後、下記の組成を有するウッド浴を用いて、液温25℃、電流密度10A/dm2 の条件下に2分間下地ニッケルストライクメッキ処理を行った。
ウッド浴組成
塩化ニッケル 245g/l
塩酸 120g/l
次いで、上記の試験片を液温50℃、pH4.2、電流密度2A/dm2 の条件下にスクリュー撹拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、ニッケル/PFA複合メッキ皮膜を形成させた。得られた複合メッキ皮膜を有する試験片を水洗し、乾燥した。複合メッキ皮膜中のPFA共析率を求めたところ、35容量%であった。得られたニッケル/PFA複合メッキ皮膜を有する試験片を熱風循環式乾燥炉中所定温度で30分間加熱した後、常温で1時間放置した。
【0030】
それぞれの温度で熱処理した各試験片の撥水性(接触角)、密着力、耐衝撃変形性、耐薬品性および耐摩耗性を下記の表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003673889
表1に示す結果から、本発明によるニッケル/PFA微粒子含有共析複合メッキ皮膜は、極めて優れた撥水性、密着性、耐熱衝撃変形性、耐薬品性、耐摩耗性などを備えていることが明らかである。特に、本発明による複合メッキ皮膜を50〜320℃の間で熱処理する場合には、水の接触角が140度を超える超撥水性を示すことがわかる。
【0032】
実施例2
PFA(平均粒径2μm以下、ダイキン工業(株)製)150gとカチオン性界面活性剤{商標“メガファックF150”、大日本インキ化学(株)製}4.5gとを下記の組成を有する亜鉛電解メッキ液3リットルに添加して、複合電解メッキ液を調製した。
硫酸亜鉛電解浴組成
硫酸亜鉛 288g/l
塩化アンモニウム 27g/l
ほう酸 30g/l
一方、負極としてのSUS430試験片(50mm×50mm×0.5mm)を脱脂し、塩酸洗浄した後、液温30℃、pH4.2、電流密度2A/dm2の条件下にスクリュー攪拌しつつ、膜厚が10μmとなるまで電解メッキを行って、亜鉛/PFA複合メッキ皮膜を形成させた。得られた複合メッキ皮膜を有する試験片を水洗し、乾燥した。複合メッキ皮膜中のPFA共析率を求めたところ、33容量%であった。
【0033】
得られた亜鉛/PFA複合メッキ皮膜を有する試験片を熱風循環式乾燥炉中所定温度で30分間加熱した後、常温で1時間室内に放置した。
【0034】
それぞれの温度で熱処理した各試験片の撥水性(接触角)、密着力、耐衝撃変形性、耐薬品性および耐摩耗性を下記の表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 0003673889
表2に示す結果から、本発明による亜鉛/PFA微粒子含有共析複合メッキ皮膜は、極めて優れた撥水性、密着性、耐熱衝撃変形性、耐薬品性、耐摩耗性などを備えていることが明らかである。特に、本発明による複合メッキ皮膜を50〜320℃の間で熱処理する場合には、水の接触角が140度を超える超撥水性を示すことがわかる。
【0036】
実施例3
ABS樹脂試験片(50mm×50mm×0.5mm)表面に下地ニッケルめっきを行った後、実施例1と同様にして、電解めっきを行った。
【0037】
先ず、試験片を脱脂した後、クロム酸400g/lと硫酸400g/lとを含むエッチング液に70℃で10分間浸漬して表面エッチングを行い、水洗した。
【0038】
次いで、エッチング処理した試験片を5%塩酸水溶液に25℃で2分間浸漬した後、水洗した。
【0039】
次いで、塩酸浸漬処理後の試験片を塩化パラジウム0.2g/l、塩化第1スズ15g/lおよび濃塩酸200ml/lを含むキャタリスト液に25℃で3分間浸漬し、水洗した後、15%硫酸水溶液に40℃で5分間浸漬し、水洗した。
【0040】
次いで、キャタリストを付与した試験片を下記組成の無電解ニッケルめっき液にpH8.5、温度35℃の条件で10分間浸漬して、導電性を付与するためのニッケルめっき層を形成した。
無電解ニッケルめっき浴組成
硫酸ニッケル 240g/l
次亜リン酸アンモニウム 20g/l
クエン酸アンモニウム 50g/l
かくして得られた無電解ニッケルめっき層を有する試験片を用いて、実施例1と同様の手法により、ニッケルストライクめっき層およびニッケル/PFA微粒子含有共析複合メッキ皮膜(10μm)を順次形成させた。
【0041】
得られたニッケル/PFA複合メッキ皮膜を有する試験片を熱風循環式乾燥炉中所定温度(50℃および75℃)で30分間加熱した後、常温で1時間室内に放置した。本実施例において、加熱温度の上限を75℃としたのは、75℃を超える温度での熱処理を行う場合には、ABS樹脂が変形を生じたり、ニッケル/PFA複合メッキ皮膜と基材であるABS樹脂との熱膨張係数の差が大きく異なるため、メッキ皮膜に割れを生じるからである。
【0042】
なお、本実施例における密着力試験は、メッキ皮膜を形成したABS樹脂試験片に1cm2当たり100個のごばん目を形成し、下記の各条件下に放置した後、常温に戻し、セロファン粘着テープにより、圧着剥離試験を行った。
(a)75℃で2時間放置
(b)-10℃で2時間放置
(c)(75℃で1時間放置→-10℃で1時間放置)×10サイクル
それぞれの温度で熱処理した各試験片の撥水性(接触角)、密着力、耐衝撃変形性、耐薬品性および耐摩耗性を下記の表3に示す。
【0043】
【表3】
Figure 0003673889
表3に示す結果から、本実施例によるニッケル/PFA微粒子含有共析複合メッキ皮膜は、極めて優れた撥水性、密着性、耐熱衝撃変形性、耐薬品性、耐摩耗性などを備えていることが明らかである。また、本実施例による複合メッキ皮膜を基材の熱変形を生じない範囲の温度で熱処理する場合には、水の接触角が140度を超える超撥水性を示すことがわかる。
【0044】
比較例1
PFAに代えてPTFE(平均粒径2μm以下、ダイキン工業(株)製)を使用する以外は実施例1と同様な手法により、SUS430試験片表面にニッケル/PTFE複合メッキ皮膜を形成させた。複合メッキ皮膜中のPTFE共析率を求めたところ、35容量%であった。
【0045】
得られたニッケル/PTFE複合メッキ皮膜を有する試験片を熱風循環式乾燥炉中所定温度で30分間加熱した後、常温で1時間放置した。
【0046】
それぞれの温度で熱処理した各試験片の撥水性(接触角)、密着力、耐衝撃変形性、耐薬品性および耐摩耗性を下記の表4に示す。
【0047】
【表4】
Figure 0003673889
表4に示す結果から明らかな様に、ニッケル/PTFE複合メッキ皮膜では、本発明によるニッケル/PFA複合メッキ皮膜とは異なって、熱処理による撥水性の著しい改善が認められない。
【0048】
比較例2
PFAに代えてFEP(平均粒径2μm以下、ダイキン工業(株)製)を使用する以外は実施例1と同様な手法により、SUS430試験片表面にニッケル/FEP複合メッキ皮膜を形成させた。複合メッキ皮膜中のFEP共析率を求めたところ、34容量%であった。
【0049】
得られたニッケル/FEP複合メッキ皮膜を有する試験片を熱風循環式乾燥炉中所定温度で30分間加熱した後、常温で1時間放置した。
【0050】
それぞれの温度で熱処理した各試験片の撥水性(接触角)、密着力、耐衝撃変形性、耐薬品性および耐摩耗性を下記の表5に示す。
【0051】
【表5】
Figure 0003673889
表5に示す結果から明らかな様に、ニッケル/FEP複合メッキ皮膜においても、本発明によるニッケル/PFA複合メッキ皮膜とは異なって、熱処理による撥水性の著しい改善が認められない。

Claims (5)

  1. 微粒子として、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体微粒子のみを分散含有しており、50〜310℃で熱処理して得られる、水に対する接触角が140〜156度である超撥水性複合メッキ皮膜。
  2. テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体微粒子の平均粒径が2μm以下である請求項1に記載の超撥水性複合メッキ皮膜。
  3. 請求項1または2に記載の超撥水性複合メッキ皮膜を備えた基材。
  4. 請求項1または2に記載の超撥水性複合メッキ皮膜を備えた着雪・着氷防止材料。
  5. メッキ液のpHにおいてカチオン性を示す界面活性剤を含み且つテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体微粒子を分散させた電解メッキ液中で基板材表面に該微粒子を共析する複合メッキ皮膜を形成させた後、複合メッキ皮膜を50〜310℃で熱処理することを特徴とする、水に対する接触角が140〜156度である超撥水性複合メッキ皮膜を備えた基材の製造方法。
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