JP2006314388A - 調理容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 調理容器から調理物への、輻射による熱の移動量をこれまでよりも高めることによって、外部から加えたエネルギーを、熱として、より一層、効率よく調理物に伝達できるため、IH調理器等における、省エネルギー化のための、消費電力のさらなる低減化が可能な調理容器を提供する。
【解決手段】 調理物と接する内側面を被覆するフッ素樹脂コーティングに、カーボンナノファイバーを含有させる。カーボンナノファイバーとしては、平均繊維長が、0.2μm以上であるものが好ましい。その含有量は、フッ素樹脂コーティングを形成する固形分の総量中の、0.1〜10体積%であるのが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 調理物と接する内側面を被覆するフッ素樹脂コーティングに、カーボンナノファイバーを含有させる。カーボンナノファイバーとしては、平均繊維長が、0.2μm以上であるものが好ましい。その含有量は、フッ素樹脂コーティングを形成する固形分の総量中の、0.1〜10体積%であるのが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、調理容器、特に、電磁誘導加熱調理器(以下、「IH調理器」と記載する場合がある)において、誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって加熱される調理器用内鍋として用いられる調理容器に関するものである。
近年、これまでの、電熱ヒータによる加熱に代えて、誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって加熱して調理を行う、電磁誘導加熱調理が、特に、炊飯器の分野において、広く普及しつつある。電磁誘導加熱調理を利用した、炊飯器等のIH調理器においては、調理器用内鍋として、Alやその合金等の、高い熱伝導性を有する金属材料からなる容器本体の外側面に、Ni、Fe等の金属やその合金等の、磁性材料からなる発熱層を設けた積層構造を有する調理容器(特許文献1参照)や、あるいは、容器本体自体を、例えば、磁性ステンレス鋼等の磁性材料によって形成して発熱層を省略した調理容器等が用いられる。また、これら調理容器の、調理物を収容する内側面には、調理物のこびり付きや焦げ付き等を防止するために、フッ素樹脂コーティング等を被覆するのが一般的である。
特開平9−224819号公報(請求項1、第0016欄〜第0017欄、第0024欄、第0030欄〜第0034欄)
地球温暖化の原因となる二酸化炭素の放出量を少なくするために、様々な分野で、省エネルギー化が推進されており、IH調理器等においても、省エネルギー化のために、消費電力をできるだけ小さくすることが求められるようになってきた。しかし、特に、炊飯器の場合、ご飯をおいしく炊くためには一定の火力が必要であって、消費電力を小さくすることは難しかった。
これに対し、炊き上がったご飯を保温する際には、一定の温度範囲を維持するために、エネルギーを、調理容器に断続的に加えることが行われるが、その際に、外部から加えたエネルギーを、熱として、調理容器から調理物(ご飯)に効率よく移動させることができれば、消費電力をこれまでよりも小さくすることが可能である。
熱の移動は、周知のように、対流、伝導および輻射の3つに分類され、このうち、調理容器内部での調理物の対流による熱の移動量は、調理容器に外部から加えるエネルギーの分布によって決まる。そのため、IH調理器においては、電磁誘導コイルの配置等が種々、検討されている。また、伝導による熱の移動量は、調理容器の材質によって決まる。そのため、調理容器の容器本体を、前記のように、Alやその合金等の、高い熱伝導性を有する金属材料によって形成することが行われる。また、例えば、Cu等の、さらに熱伝導性に優れた層を、容器本体に積層することも行われる。
輻射による熱の移動量は、調理容器の内側面の、表面状態によって決まる。しかし、先に説明したように、調理容器の内側面には、調理物のこびり付きや焦げ付き等を防止するために、フッ素樹脂コーティング等を被覆するのが一般的であり、また、調理容器の内側面は調理物と直接に接触する面であって、使用できる材料が限られることから、これまで、輻射による熱の移動量を高めるための検討はほとんどされていないのが現状であった。
本発明の目的は、調理容器から調理物への、輻射による熱の移動量をこれまでよりも高めることによって、外部から加えたエネルギーを、熱として、より一層、効率よく調理物に伝達できるため、IH調理器等における、省エネルギー化のための、消費電力のさらなる低減化が可能な調理容器を提供することにある。
請求項1記載の発明は、調理物と接する内側面が、フッ素樹脂コーティングによって被覆された調理容器であって、フッ素樹脂コーティングが、カーボンナノファイバーを含有することを特徴とする調理容器である。
請求項2記載の発明は、カーボンナノファイバーの平均繊維長が、0.2μm以上である請求項1記載の調理容器である。
請求項3記載の発明は、フッ素樹脂コーティングが、カーボンナノファイバーを、当該フッ素樹脂コーティングを形成する固形分の総量中の、0.1〜10体積%の割合で含有する請求項1記載の調理容器である。
請求項4記載の発明は、電磁誘導加熱調理器の、誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって加熱される調理器用内鍋である請求項1記載の調理容器である。
特定の表面からの、輻射による熱の移動量を高めるためには、その表面が黒色であることが良いとされる。備長炭等による、いわゆる遠赤外線の効果も、実のところは、炭の表面が黒色であることによる、輻射による熱の移動量の増加が主な原因と考えられる。そのため、フッ素樹脂コーティング中に、炭の粉末、あるいは、カーボンブラック等を分散させることが検討されているが、それによる効果は、未だ十分に得られていないのが現状である。
そこで、発明者は、フッ素樹脂コーティング中に、微細な立体構造を有する、いわゆるカーボンナノマテリアルを含有させることを検討した。その結果、平均繊維径がナノメーターレベルであって、微細な繊維状を呈するカーボンナノファイバーを含有させると、フッ素樹脂コーティングの表面から調理物への、輻射による熱の移動量を、これまでよりも飛躍的に高めることができるため、外部から加えたエネルギーを、熱として、これまでよりもさらに効率よく調理物に伝達できることを見出した。そのメカニズムは、未だ明らかではないが、発明者は、カーボンナノファイバーの平均繊維長が、赤外ないし遠赤外線の波長と同レベルであることが大きく係わっているものと推測している。
そのため、前記請求項1記載の発明によれば、調理容器から調理物への、輻射による熱の移動量を高めることで、外部から加えたエネルギーを、熱として、これまでよりもさらに効率よく調理物に伝達できるため、例えば、IH調理器等における、省エネルギー化のための、消費電力のさらなる低減化が可能となる。
また、フッ素樹脂コーティング中にカーボンナノファイバーを含有させると、当該カーボンナノファイバーが、フッ素樹脂よりも硬いため、フッ素樹脂コーティングを硬くして、例えば、調理後の調理容器を洗うために、タワシ等で擦った際の、フッ素樹脂コーティングの耐摩耗性を向上することもできる。
また、請求項2記載の発明によれば、カーボンナノファイバーの平均繊維長を、赤外ないし遠赤外線の波長λ=0.8〜1000μmの1/4以上(λ/4以上)である0.2μm以上に規定することによって、前記のメカニズムに基づいて、調理容器から調理物への、輻射による熱の移動量を、より一層、高めることが可能となる。
請求項3記載の発明によれば、カーボンナノファイバーの含有量を、フッ素樹脂コーティングを形成する固形分の総量中の、0.1〜10体積%に規定することによって、フッ素樹脂コーティングに欠陥が生じるのを防止しながら、調理容器から調理物への、輻射による熱の移動量を、より一層、高めることが可能となる。
本発明の調理容器は、請求項4に記載したように、IH調理器の、誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって加熱される調理器用内鍋として用いるのが好ましい。これにより、IH調理器の、特に保温時の消費電力を低減して、より一層の省エネルギー化を達成することが可能となる。
本発明は、調理物と接する内側面が、フッ素樹脂コーティングによって被覆された調理容器であって、フッ素樹脂コーティングが、カーボンナノファイバーを含有することを特徴とするものである。フッ素樹脂コーティングを形成するフッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂(FEP)等のフッ素樹脂の1種または2種以上が挙げられる。
カーボンナノファイバーを含むフッ素樹脂コーティングは、上記各フッ素樹脂の1種または2種以上の微粒子を、水等の分散媒中に分散したフッ素樹脂ディスパージョンに、さらに、カーボンナノファイバーを均一に分散させたフッ素樹脂塗料を、調理容器の容器本体の内側面に塗布し、乾燥させた後、焼き付けることによって形成される。乾燥や焼付けの条件等は、通常のフッ素樹脂コーティングの場合と同程度でよい。
カーボンナノファイバーとしては、その平均繊維径がナノメーターレベルである、種々のカーボンナノファイバーが、いずれも使用可能であるが、特に、その平均繊維長が、赤外ないし遠赤外線の波長λ=0.8〜1000μmの1/4以上(λ/4以上)である0.2μm以上であるのが好ましい。カーボンナノファイバーの平均繊維長を、この範囲に規定することによって、前記のメカニズムに基づいて、調理容器の、フッ素樹脂コーティングの表面から調理物への、輻射による熱の移動量を、より一層、高めることが可能となる。
なお、フッ素樹脂コーティングの表面から調理物への、輻射による熱の移動量を、さらに高めることを考慮すると、カーボンナノファイバーの平均繊維長は、上記の範囲内でも、特に、4μm以上であるのが好ましい。カーボンナノファイバーの平均繊維長の上限は、特に限定されないが、フッ素樹脂コーティングの厚み以下であるのが好ましい。カーボンナノファイバーの平均繊維長が、フッ素樹脂コーティングの厚みを超える場合には、当該フッ素樹脂コーティングに欠陥を生じて、その耐摩耗性等が低下するおそれがある。
カーボンナノファイバーの、その他の物性については特に限定されないが、当該カーボンナノファイバーの、フッ素樹脂塗料中での分散性を向上して、凝集等を防止することで、できるだけ均一な特性を有するフッ素樹脂コーティングを形成することを考慮すると、その平均繊維径は、0.5〜600nm、特に50〜300nmであるのが好ましく、平均繊維長Lと平均繊維径Dとの比L/Dで表されるアスペクト比は、0.3〜100000であるのが好ましい。
また、カーボンナノファイバーの含有量は、フッ素樹脂コーティングを形成する固形分の総量中の、0.1〜10体積%であるのが好ましい。この範囲よりカーボンナノファイバーが少ない場合には、当該カーボンナノファイバーによる、フッ素樹脂コーティングの表面から調理物への、輻射による熱の移動量を高める効果が十分に得られないおそれがあり、逆に、この範囲を超える場合には、相対的に、フッ素樹脂の含有量が少なくなるため、フッ素樹脂コーティングに欠陥を生じるおそれがある。
カーボンナノファイバーの分散性を向上するため、フッ素樹脂塗料には、分散剤を含有させても良い。分散剤としては、フッ素樹脂コーティングの耐熱性等に影響を及ぼさないために、例えば、フッ素系の界面活性剤等を使用するのが好ましい。フッ素樹脂塗料は、例えば、カーボンナノファイバーと分散剤とを混合して形成した混合物に、フッ素樹脂ディスパージョンを加えて、カーボンナノファイバーが均一に分散されるまで混合する等して調製することができる。
分散剤の添加量は、カーボンナノファイバー100重量部に対して、100〜3000重量部、特に300〜1500重量部であるのが好ましい。この範囲より分散剤の添加量が少ない場合には、当該分散剤を含有させることによる、カーボンナノファイバーの分散性を向上する効果が得られず、カーボンナノファイバーが凝集等を生じやすくなる結果、均一な特性を有するフッ素樹脂コーティングを形成することができないおそれがある。また、上記の範囲を超える場合には、相対的にフッ素樹脂の含有量が少なくなるため、フッ素樹脂コーティングに欠陥を生じるおそれがある。
フッ素樹脂コーティングの厚みは、5〜50μmであるのが好ましい。厚みがこの範囲未満では、フッ素樹脂コーティングにピンホールを生じやすく、逆に、厚みが上記の範囲を超える場合には、当該フッ素樹脂コーティングを焼き付ける際に、クラックが発生するおそれがある。
フッ素樹脂コーティングは、容器本体の内側面に直接に形成しても良いし、その密着性を向上するため、上記内側面に、プライマー層を形成した上に積層しても良い。プライマー層は、例えば、フッ素樹脂コーティングの下塗りとして公知の、フッ素樹脂系のプライマー等を用いて形成することができる。
また、フッ素樹脂コーティングは、その硬度を高めるため、容器本体の内側面に、溶射等によって、硬質の合金、金属酸化物、セラミック等からなる多孔質層を形成した上に積層しても良い。また、容器本体の内側面は、これらの層、すなわち、フッ素樹脂コーティング、プライマー層、多孔質層等の密着性を向上するために、あらかじめ、粗面化しておいても良い。
本発明の構成は、例えば、電熱ヒータ式の炊飯器や、フライパンその他の、内側面にフッ素樹脂コーティングが被覆される種々の調理容器に適用することができるが、特に、IH調理器の、誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって加熱される調理器用内鍋に、最も好適に適用することができる。
調理器用内鍋として使用される調理容器の容器本体としては、
(1) Alまたはその合金等の、高い熱伝導性を有する金属材料からなり、その外側面に、磁性材料からなる発熱層を備えるもの、
(2) 磁性ステンレス鋼等の磁性材料からなり、発熱層を省略したもの、
等が挙げられる。
(1) Alまたはその合金等の、高い熱伝導性を有する金属材料からなり、その外側面に、磁性材料からなる発熱層を備えるもの、
(2) 磁性ステンレス鋼等の磁性材料からなり、発熱層を省略したもの、
等が挙げられる。
また、上記容器本体の外側面または内側面には、さらに、前記のように、熱伝導性に優れると共に、発熱層より電気抵抗率が低いため、発熱層の抵抗率を引き下げることで、渦電流損失を大きくして発熱量を増加させる機能を有するCuの層や、同様に、発熱層より電気抵抗率が低いため、発熱層の発熱量を増加させる機能を有するNiの層(以下、両層を「低抵抗層」と総称する場合がある)等を積層しても良い。
(1)の容器本体は、Alまたはその合金等の金属材料の板材を絞り加工する等して形成される。当該容器本体の厚みは、強度や熱伝導性等を考慮して適宜、設定することができるが、通常は、0.5〜5mm程度であるのが好ましい。また、特に、Alまたはその合金からなる容器本体は、表面が酸化膜で覆われているため、その外側面に発熱層を形成するに先立って、酸化膜の除去、およびジンケート(亜鉛置換)処理を行って、Znまたはその合金(Fe、Ni、Co等との合金)からなる中間層(亜鉛置換めっき処理層)を形成した後、発熱層を積層するのが好ましい。
(1)の容器本体の外側面に形成される発熱層は、磁性材料として機能する合金によって形成することができる。発熱層を形成する合金としては、例えば、Ni、Fe、およびCoのうちの2種以上を含むと共に、必要に応じて、P、C、B等が添加された、磁性材料として機能しうる種々の合金が挙げられ、特にNi−Fe合金(パーマロイ)が好適に使用される。これらの合金からなる発熱層は、容器本体を陰極とする電気めっきによって形成することができる。
Ni−Fe合金の組成は、Niが40〜90重量%、特に70〜85重量%の範囲内、Feが10〜60重量%、特に15〜30重量%の範囲内であるのが好ましい。また、発熱層の平均厚みは、十分な発熱量や強度を得ることを考慮して適宜、設定することができるが、通常は、10〜200μm、中でも30〜180μm、特に40〜160μmとするのが好ましい。
また、発熱層の上に、さらに、前記のように、CuやNi等からなる低抵抗層を積層する場合は、当該低抵抗層の作用によって、発熱層の平均厚みを上記の範囲内でも大きめに設定して発熱量を増加させたり、発熱量は同じで、発熱層の平均厚みを上記の範囲内でも小さくして、調理容器を軽量化したりすることができる。また、特許文献1に記載されているように、容器本体の、誘導コイルと対峙する領域にのみ、発熱層を形成して、調理容器を軽量化することもできる。
電気めっき等で形成される発熱層は、熱処理して、内部歪みを取り除いておくのが好ましい。すなわち、容器本体の外側面に、電気めっき等で形成される発熱層には、どうしても内部歪みが存在しており、この内部歪みが存在した状態の発熱層は、内部歪みを有しない状態よりも、渦電流損失、ひいては発熱量を規定するパラメータである透磁率が低く、また、抵抗率が高くなる傾向にある。そのため、発熱層は、所定の発熱量が得られないおそれがある。
また、内部歪みは、容器本体を調理に使用して繰り返し発熱させることで、徐々に緩和されるが、それによって、発熱層の渦電流損失が徐々に大きくなるため、発熱層の渦電流損失の初期値に合わせて、IH調理器の誘導コイルへの出力等を設定した場合には、IH調理器の使用時に、渦電流損失の経時変化によって、安定した加熱性能が得られなくなるおそれもある。そのため、形成した発熱層を、調理容器の使用に先立って、あらかじめ熱処理して、内部歪みを取り除いておくのが好ましい。
また、低抵抗層についても、形成後に熱処理して内部歪みを取り除いておくのが好ましい。熱処理は、発熱層と低抵抗層とを形成する形成するごとに、個別に行っても良いが、両層を形成後、一度にまとめて熱処理するのが、調理容器の製造工程を簡略化する上で好ましい。熱処理の条件は特に限定されないが、熱処理の温度は、200℃以上、特に300〜400℃であるのが好ましい。また、熱処理の時間は、5分間以上、特に10〜60分間であるのが好ましい。
前記(2)の容器本体を形成する磁性材料としては、その強度や耐熱性、耐食性等を考慮して、例えば、SUS447J1、YUS180等の磁性ステンレス鋼が好適に使用される。かかる磁性ステンレス鋼からなる容器本体の厚みは、その強度や熱伝導性等を考慮して適宜、設定することができるが、通常は、0.5〜5mm程度であるのが好ましい。
磁性ステンレス鋼からなる容器本体の外側面には、強固な不働態皮膜が存在するため、その上に低抵抗層を形成しても、良好な密着性が得られない。そのため、低抵抗層を形成するに先立って、多量の水素ガス発生を伴うストライクニッケルめっき処理を行い、発生した水素ガスによって不働態皮膜を還元除去しながらニッケルを電着させた後、その上に、低抵抗層を積層するのが好ましい。また、ストライクニッケルめっきを行う前の、磁性ステンレス鋼からなる容器本体の外側面には、電解脱脂処理、酸活性化処理等を施すのが好ましい。また、磁性ステンレス鋼からなる容器本体の外側面に低抵抗層を積層した後は、先の場合と同条件で熱処理して、当該低抵抗層の内部歪みを取り除いておくのが好ましい。
また、容器本体としては、Alまたはその合金等の、高い熱伝導性を有する金属材料からなる層と、磁性材料からなる発熱層とを交互に、複数層ずつ積層した積層構造を有するものや、この積層構造中に、さらに、低抵抗層を加えた積層構造を有するもの等を用いることもできる。これら容器本体は、上記の積層構造を有する、いわゆるクラッド材を、容器本体の形状に絞り加工する等して製造される。
実施例1:
(フッ素樹脂塗料の調製)
カーボンナノファイバーとしては、平均繊維長が10μm、平均繊維径が100nm、アスペクト比が100である昭和電工(株)製のVGCF−Sを用いた。
(フッ素樹脂塗料の調製)
カーボンナノファイバーとしては、平均繊維長が10μm、平均繊維径が100nm、アスペクト比が100である昭和電工(株)製のVGCF−Sを用いた。
分散剤としての、ノニオン性のフッ素系界面活性剤〔住友スリーエム(株)製の商品名フロラードFC−4430〕20gを、ホモジナイザーを用いて、1000rpmの回転数でかく拌しながら、上記カーボンナノファイバー1.8gを、0.36gずつ、5回に分けて加えて混合物を作製した。
次に、かく拌を続けながら、事前に1時間以上、かく拌することで、PTFEの微粒子を、分散媒としての水中に十分に分散させておいた、PTFEの微粒子の含有量が60重量%であるフッ素樹脂ディスパージョン120g(PTFE量:72g)を、2回に分けて、60gずつ添加してさらにかく拌し、次いで、PTFEの微粒子の濃度が、元のフッ素樹脂ディスパージョンの場合と同じ60重量%になるように水を加えて希釈した後、100メッシュの金網でろ過してフッ素樹脂塗料を調製した。
(基材の前処理)
調理容器の容器本体のモデルとして、厚み1.2mmのアルミニウム合金板〔(株)神戸製鋼所製〕を用意し、このアルミニウム合金板を陽極として、塩化アンモニウム水溶液中に浸漬して、25C/cm2の電気量で、電気化学的エッチング処理を行って、その表面を粗面化した。
調理容器の容器本体のモデルとして、厚み1.2mmのアルミニウム合金板〔(株)神戸製鋼所製〕を用意し、このアルミニウム合金板を陽極として、塩化アンモニウム水溶液中に浸漬して、25C/cm2の電気量で、電気化学的エッチング処理を行って、その表面を粗面化した。
(フッ素樹脂コーティングの形成)
粗面化処理したアルミニウム合金板をスピンコーターにセットし、280rpmの回転数で回転させながら、当該アルミニウム合金板の粗面化処理した表面に、あらかじめ5分間の真空脱泡処理をし、10±2℃に冷却しておいたフッ素樹脂塗料を滴下し、5秒後に停止させて塗膜を形成した。そして、この塗膜を、150℃で10分間、加熱して乾燥させた後、420℃で20分間、加熱して焼き付けることによって、厚み20μmのフッ素樹脂コーティングを形成した。このフッ素樹脂コーティングにおける、カーボンナノファイバーの含有量は、当該フッ素樹脂コーティングを形成する固形分の総量中の1体積%であった。
粗面化処理したアルミニウム合金板をスピンコーターにセットし、280rpmの回転数で回転させながら、当該アルミニウム合金板の粗面化処理した表面に、あらかじめ5分間の真空脱泡処理をし、10±2℃に冷却しておいたフッ素樹脂塗料を滴下し、5秒後に停止させて塗膜を形成した。そして、この塗膜を、150℃で10分間、加熱して乾燥させた後、420℃で20分間、加熱して焼き付けることによって、厚み20μmのフッ素樹脂コーティングを形成した。このフッ素樹脂コーティングにおける、カーボンナノファイバーの含有量は、当該フッ素樹脂コーティングを形成する固形分の総量中の1体積%であった。
実施例2:
PTFEの微粒子の含有量が60重量%であるフッ素樹脂ディスパージョンの添加量を、60g(PTFE量:36g)としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み20μmのフッ素樹脂コーティングを形成した。このフッ素樹脂コーティングにおける、カーボンナノファイバーの含有量は、当該フッ素樹脂コーティングを形成する固形分の総量中の5体積%であった。
PTFEの微粒子の含有量が60重量%であるフッ素樹脂ディスパージョンの添加量を、60g(PTFE量:36g)としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み20μmのフッ素樹脂コーティングを形成した。このフッ素樹脂コーティングにおける、カーボンナノファイバーの含有量は、当該フッ素樹脂コーティングを形成する固形分の総量中の5体積%であった。
比較例1:
カーボンナノファイバーと分散剤とを加えないフッ素樹脂ディスパージョンのみをフッ素樹脂塗料として使用したこと以外は実施例1と同様にして、厚み20μmのフッ素樹脂コーティングを形成した。このフッ素樹脂コーティングにおける、カーボンナノファイバーの含有量は、当該フッ素樹脂コーティングを形成する固形分の総量中の0体積%であった。
カーボンナノファイバーと分散剤とを加えないフッ素樹脂ディスパージョンのみをフッ素樹脂塗料として使用したこと以外は実施例1と同様にして、厚み20μmのフッ素樹脂コーティングを形成した。このフッ素樹脂コーティングにおける、カーボンナノファイバーの含有量は、当該フッ素樹脂コーティングを形成する固形分の総量中の0体積%であった。
比較例2:
カーボンナノファイバーに代えて、平均粒子径14nmの球状のカーボンブラック〔東海カーボン(株)製の登録商標トーカブラック#8500/F〕を同量、使用したこと以外は実施例1と同様にして、厚み20μmのフッ素樹脂コーティングを形成した。
カーボンナノファイバーに代えて、平均粒子径14nmの球状のカーボンブラック〔東海カーボン(株)製の登録商標トーカブラック#8500/F〕を同量、使用したこと以外は実施例1と同様にして、厚み20μmのフッ素樹脂コーティングを形成した。
積分放射率の測定:
実施例、比較例で形成したフッ素樹脂コーティングを、表面温度が100℃、または150℃となるように加熱した際の赤外放射を、フーリエ変換赤外分光光度計〔日本電子(株)製のJIR−5500〕を用いて測定して、波長4.5〜20μmの領域における積分放射率を求めた。結果を表1に示す。
実施例、比較例で形成したフッ素樹脂コーティングを、表面温度が100℃、または150℃となるように加熱した際の赤外放射を、フーリエ変換赤外分光光度計〔日本電子(株)製のJIR−5500〕を用いて測定して、波長4.5〜20μmの領域における積分放射率を求めた。結果を表1に示す。
表より、カーボンブラックを含有する比較例2のフッ素樹脂コーティングは、何も含有しない通常のフッ素樹脂コーティングである比較例1よりも、積分放射率を上昇させることができたが、カーボンナノファイバーを含有する実施例1、2のフッ素樹脂コーティングによれば、積分放射率を、上記比較例2に比べて、さらに大きく上昇させることができた。そして、この結果から、カーボンナノファイバーを加えることで、フッ素樹脂コーティングの表面から調理物への、輻射による熱の移動量を向上できることが確認された。
Claims (4)
- 調理物と接する内側面が、フッ素樹脂コーティングによって被覆された調理容器であって、フッ素樹脂コーティングが、カーボンナノファイバーを含有することを特徴とする調理容器。
- カーボンナノファイバーの平均繊維長が、0.2μm以上である請求項1記載の調理容器。
- フッ素樹脂コーティングが、カーボンナノファイバーを、当該フッ素樹脂コーティングを形成する固形分の総量中の、0.1〜10体積%の割合で含有する請求項1記載の調理容器。
- 電磁誘導加熱調理器の、誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって加熱される調理器用内鍋である請求項1記載の調理容器。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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