JP4281005B2 - 調理器用内鍋 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導コイルを用いた電磁誘導作用による加熱によって調理物の調理を行うための、電磁誘導加熱調理器に組み込んで用いられる、調理器用内鍋に関するものである。
近年、これまでの、電熱ヒータによる加熱に代えて、誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって調理物を加熱して調理を行う電磁誘導加熱調理が、特に、炊飯器の分野において広く普及しつつある。また、電磁誘導加熱調理を利用した、炊飯器等の電磁誘導加熱調理器においては、Alやその合金等の、熱伝導性に優れた材料からなる内鍋本体の外側面に、Ni、Fe等の金属やその合金等の、磁性材料からなる発熱層を設けると共に、調理物を収容する内側面には、フッ素樹脂等をコーティングした積層構造を有する調理器用内鍋を用いるのが一般的である(特許文献1参照)。
炊飯器においては、炊きムラをなくしてご飯をおいしく炊くことが求められる。そこで、特許文献1においては、電磁誘導加熱調理器の、調理器用内鍋をセットした際に、その底部の中央部に対応する位置と、底部の外周縁から側部の下端にかけてのコーナー部に対応する位置とに、それぞれ、リング状の誘導コイルを配置すると共に、調理器用内鍋の、上記底部の全面とコーナー部とにおける内鍋本体の厚みを大きくして、その熱容量を大きくすることで、調理物、つまりお米と水とを均一に加熱することが記載されている。
特開平9−224819号公報(請求項1〜3、第0017欄〜第0019欄、第0024欄〜第0025欄、第0029欄)
しかし、上記の構成でも、依然として、調理物を均一に加熱する効果には限界があり、特に、誘導コイルと対峙する領域以外の隙間の領域、具体的には、調理器用内鍋の底部の中央部に対応する位置に配置される誘導コイルの、リングの中心に対応する領域や、当該誘導コイルと、調理器用内鍋のコーナー部に配置される誘導コイルとの間の隙間に対応する領域などにおける発熱層の発熱が十分でなく、例えば、調理物がお米と水である場合には、依然として、炊きムラを生じるおそれのあることが判明した。本発明の目的は、調理物を、これまでに比べて、さらに均一に加熱することができる調理器用内鍋を提供することにある。
上記課題を解決するため、発明者は、発熱層の外側に、Cu等の、高熱伝導材料からなる層(高熱伝導層)を設けて、発熱層の、誘導コイルと対峙する領域の発熱を、当該高熱伝導層によって、それ以外の領域にも熱伝導させて、調理物を均一に加熱する構造の調理器用内鍋の、前記高熱伝導層に着目して検討を行なった。その結果、誘導コイルと対峙する領域意外の領域における高熱伝導層の厚みを、誘導コイルと対峙する領域における高熱伝導層の厚みより大きくするか、または、高熱伝導層を、誘導コイルと対峙する領域以外の領域にのみ形成すれば、当該高熱伝導層による熱伝導の効率を向上して、調理物を、これまでに比べて、さらに均一に加熱できることを見出した。
したがって、請求項1記載の発明は、内鍋本体と、この内鍋本体の外側面に設けられる、磁性材料からなる発熱層と、この発熱層の外側に設けられる、高熱伝導材料からなる高熱伝導層とを備え、電磁誘導加熱調理器の誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって加熱される調理器用内鍋であって、電磁誘導加熱調理器の誘導コイルと対峙する領域以外の領域における高熱伝導層の厚みを、対峙する領域における高熱伝導層の厚みより大きくするか、または、高熱伝導層を、電磁誘導加熱調理器の誘導コイルと対峙する領域以外の領域にのみ形成することを特徴とする調理器用内鍋である。
また、発明者は、調理器用内鍋の、誘導コイルと対峙する領域以外の領域における発熱層の厚みを、誘導コイルと対峙する領域における発熱層の厚みよりも大きくして、その発熱量を増加させれば、両領域の発熱層を、ほぼ均一に発熱させることができるため、内鍋本体による熱伝導、および高熱伝導層による熱伝導と相まって、調理物を、より一層、均一に加熱できることを見出した。したがって、請求項2記載の発明は、電磁誘導加熱調理器の誘導コイルと対峙する領域以外の領域における発熱層の厚みを、対峙する領域における発熱層の厚みより大きくする請求項1記載の調理器用内鍋である。
電磁誘導加熱調理器の誘導コイルは、コンデンサと、いわゆるLC発信回路を構成しており、高周波磁界を発生させると、発熱層は、この高周波磁界と共振するように誘導電流を発生して発熱するのであるが、発熱層の外側面に低抵抗層を形成し、それを、誘導コイルに近接配置することで、当該誘導コイルのインダクタンスを変化させることができる。そのため、低抵抗層の厚みや電気抵抗率を調整することによって、コンデンサの良好なマッチングが可能となる。低抵抗層を形成する低抵抗の金属材料としては、例えばCu等が挙げられる。前記高熱伝導層をCuで形成した場合には、低抵抗層の機能を兼ねさせることもできる。したがって、請求項3記載の発明は、高熱伝導層をCuで形成した請求項1または2記載の調理器用内鍋である。
本発明の調理器用内鍋は、従来同様に、例えばAlやその合金等の、高い熱伝導性を有する金属材料の板材を絞り加工等して形成され、電気めっきなどによって発熱層を形成する際に、その基材として機能する、内鍋本体と、この内鍋本体の外側面に設けられる、磁性材料からなる発熱層と、この発熱層の外側に設けられる、高熱伝導材料からなる高熱伝導層とを備えた積層構造に形成される。内鍋本体の厚みは、強度や熱伝導性等を考慮して適宜、設定することができるが、通常は、0.5〜5mm程度であるのが好ましい。また、Alやその合金からなる内鍋本体は、表面が酸化膜で覆われているため、発熱層を形成するに先立って、酸化膜の除去、およびジンケート(亜鉛置換)処理を行って、Znまたはその合金(Fe、Ni、Co等との合金)からなる中間層(亜鉛置換めっき処理層)を形成した後、その上に発熱層と高熱伝導層とをこの順に積層するのが好ましい。
発熱層の外側に、Cu等の、高熱伝導材料からなる高熱伝導層を形成することにより、発熱層の、誘導コイルと対峙する領域の発熱を、高熱伝導層によって、それ以外の領域にも熱伝導させて、調理物を均一に加熱することができる。
請求項1記載の発明では、当該高熱伝導層のうち、誘導コイルと対峙する領域以外の領域(以下「非対峙領域」と略記する場合がある)における高熱伝導層の厚みを、対峙する領域(以下「対峙領域」と略記する場合がある)における高熱伝導層の厚みより大きくするか、または、非対峙領域にのみ、高熱伝導層を形成する。例えば、前記のように、電磁誘導加熱調理器の、調理器用内鍋をセットした際に、その底部の中央部に対応する位置と、底部の外周縁から側部の下端にかけてのコーナー部に対応する位置とに、それぞれ、リング状の誘導コイルが配置される場合には、前者の、調理器用内鍋の底部の中央部に対応する位置に配置される誘導コイルの、リングの中心に対応する領域や、当該誘導コイルと、調理器用内鍋のコーナー部に配置される誘導コイルとの間の隙間に対応する領域などを非対峙領域として、当該非対峙領域における高熱伝導層の厚みを、両誘導コイルと対峙する対峙領域における高熱伝導層の厚みより大きくするか、または、上記非対峙領域にのみ、高熱伝導層を形成する。
そうすると、高熱伝導層による熱伝導の効率を向上して、調理物を、これまでに比べて、さらに均一に加熱することが可能となる。すなわち、高熱伝導層を上記のように形成することによって、発熱層のうち対峙領域の発熱を、高熱伝導層によって、非対峙領域に効率的に熱伝導することができるため、調理物を、均一に加熱することができる。
高熱伝導層を形成する高熱伝導材料としては、熱伝導性の高い種々の金属材料が挙げられ、特にCuが好ましい。また、発熱層がNi−Fe合金である場合は、当該Ni−Fe合金よりも熱伝導性の高いNiも、高熱伝導材料として使用できる。これらの金属材料からなる高熱伝導層は、発熱層と同様に、内鍋本体を陰極とする電気めっきによって形成することができ、その際に、非対峙領域と対峙領域とで厚みを変化させるためには、電気めっきの条件(例えば、内鍋本体各部における電流密度の分布、めっき浴のかく拌状態等)を調整すればよい。その具体的な方法としては、例えば、
(a) 陽極と、陰極である内鍋本体との位置関係を調整する、
(b) 陽極と、内鍋本体との間に遮蔽板を設けると共に、その位置や形状を調整する、
等が挙げられる。また、非対峙領域にのみ高熱伝導層を形成するには、対峙領域をマスクで被覆した状態で、電気めっきを行えばよい。
高熱伝導層の厚みを、非対峙領域において、対峙領域に比べて、どの程度の割合で大きくするかは、特に限定されないが、両領域における高熱伝導層の厚みを違えることによる効果をより一層、明確なものとするためには、非対峙領域における高熱伝導層の厚みの最大値を、当該非対峙領域に隣接する対峙領域における高熱伝導層の厚みの、およそ110%以上とするのが好ましく、120〜160%程度とするのがさらに好ましい。また、対峙領域における高熱伝導層の厚みは、十分な強度や熱伝導性を得ること等を考慮して適宜、設定することができるが、通常は、1〜50μm、特に5〜25μmとするのが好ましい。また、非対峙領域にのみ高熱伝導層を形成する場合、その厚みは、高い熱伝導度と、十分な強度とを得ること等を考慮して適宜、設定することができるが、1〜50μm、特に5〜25μmとするのが好ましい。
さらに、請求項2に記載したように、発熱層の厚みを、非対峙領域において、対峙領域よりも大きくすると共に、高熱伝導層の厚みを、同じく非対峙領域において、対峙領域よりも大きくするか、または、非対峙領域にのみ高熱伝導層を形成すれば、両層の効果の相乗効果によって、調理物を、より一層、均一に加熱することができる。この際の、高熱伝導層の厚み分布等は、上で説明した範囲とするのが好ましい。上記発熱層は、例えば、磁性材料として機能する合金によって形成される。
例えば、前記のように、電磁誘導加熱調理器の、調理器用内鍋をセットした際に、その底部の中央部に対応する位置と、底部の外周縁から側部の下端にかけてのコーナー部に対応する位置とに、それぞれ、リング状の誘導コイルが配置される場合には、前者の、調理器用内鍋の底部の中央部に対応する位置に配置される誘導コイルの、リングの中心に対応する領域や、当該誘導コイルと、調理器用内鍋のコーナー部に配置される誘導コイルとの間の隙間に対応する領域などを非対峙領域として、当該非対峙領域における発熱層の厚みを、両誘導コイルと対峙する対峙領域における発熱層の厚みより大きくする。
そうすると、非対峙領域における発熱層の発熱量を増加させることができるため、当該非対峙領域と対峙領域の両領域における発熱層を、ほぼ均一に発熱させることができる。そのため、内鍋本体による熱伝導、および高熱伝導層による熱伝導と相まって、調理物を、これまでに比べて、さらに均一に加熱することが可能となる。
発熱層を形成する合金としては、Ni、FeおよびCoのうちの2種以上を含むと共に、必要に応じてP、C、B等が添加された、磁性材料として機能する種々の合金が挙げられ、特にNi−Fe合金(パーマロイ)が好適に使用される。これらの合金からなる発熱層は、内鍋本体を陰極とする電気めっきによって形成することができ、その際に、非対峙領域と対峙領域とで厚みを変化させるためには、電気めっきの条件(例えば、内鍋本体各部における電流密度の分布、めっき浴のかく拌状態等)を調整すればよい。その具体的な方法としては、前記(a)(b)の方法が、好適に採用される。
発熱層の厚みを、非対峙領域において、対峙領域に比べて、どの程度の割合で大きくするかは、特に限定されないが、両領域における発熱層の厚みを違えることによる効果をより一層、明確なものとするためには、非対峙領域における発熱層の厚みの最大値を、当該非対峙領域に隣接する対峙領域における発熱層の厚みの、およそ110%以上とするのが好ましく、120〜160%程度とするのがさらに好ましい。また、対峙領域における発熱層の厚みは、十分な発熱量や強度を得ること等を考慮して適宜、設定することができるが、通常は、10〜200μm、中でも30〜180μm、特に40〜160μmとするのが好ましい。
また、発熱層の渦電流損失を、非対峙領域において、対峙領域よりも大きくすると、両領域の厚みに差をつけることの効果と相まって、非対峙領域の発熱量をさらに増加させて、調理物を、より一層、均一に加熱することができる。発熱層の渦電流損失を、上記のように、非対峙領域において、対峙領域よりも大きくするためには、式(1):
Figure 0004281005
から明らかなように、非対峙領域における透磁率を、対峙領域よりも高くすればよい。
また、例えば、Ni−Fe合金からなる発熱層において、非対峙領域における透磁率を、対峙領域よりも高くするためには、Ni−Fe合金の組成比を調整すればよい。詳しくは、Ni−Fe合金の組成比を、非対峙領域において、Feが20〜30重量%、特に22〜25重量%の範囲とし、対峙領域において、Feが20重量%未満、特に15重量%以下の範囲か、もしくは30重量%を超える、特に32重量%以上の範囲とすることによって、非対峙領域における透磁率を、対峙領域よりも高くすることができる。
さらに、Ni−Fe合金の組成比を、上記のように、領域によって違えるためには、発熱層を、前記のように、内鍋本体を陰極とする電気めっきによって形成する際に、前記(a)(b)の方法を採用したり、あるいは、
(c) 陽極を、Ni陽極とFe陽極とに分けて、両陽極の、内鍋本体との位置関係や、形状、大きさ等を調整することで、めっき浴における、合金を構成する各金属イオンの濃度の比を調整したり、
すればよい。
電気めっき等で形成された発熱層は、熱処理して、内部歪みを取り除いておくのが好ましい。すなわち、内鍋本体の外側面に、電気めっき等で形成される発熱層には、どうしても内部歪みが存在しており、この内部歪みが存在した状態の発熱層は、内部歪みを有しない状態よりも、渦電流損失、ひいては発熱量を規定するパラメータである透磁率が低く、また、抵抗率が高くなる傾向にある。そのため、発熱層は、所定の発熱量が得られないおそれがある。
また、内部歪みは、内鍋本体を調理に使用して繰り返し発熱させることで、徐々に緩和されるが、それによって、発熱層の渦電流損失が徐々に大きくなるため、発熱層の渦電流損失の初期値に合わせて、電磁誘導加熱調理器の誘導コイルへの出力等を設定した場合には、電磁誘導加熱調理器の使用時に、渦電流損失の経時変化によって、安定した加熱性能が得られなくなるおそれもある。そのため、形成した発熱層を、あらかじめ熱処理して、内部歪みを取り除いておくのが好ましい。熱処理の条件は特に限定されないが、熱処理の温度は200℃以上、特に300〜400℃であるのが好ましい。また、熱処理の時間は、5分間以上、特に10〜60分間であるのが好ましい。
本発明の調理器用内鍋は、従来同様に、熱伝導層である内鍋本体の、調理物を収容する内側面を、テトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂等でコーティングしてもよい。また、調理器用内鍋は、日常的に水洗い等されることから、発熱層および高熱伝導層の外側面には、その腐食を防止するために、Niめっき層やZnめっき層等の、耐食性の金属被膜を、防食層として形成してもよい。また、上記金属被膜に代えて、例えば、前記フッ素樹脂や、あるいはポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の、耐熱性樹脂の被膜を形成してもよい。
また、電磁誘導加熱調理器の誘導コイルは、コンデンサと、いわゆるLC発信回路を構成しており、高周波磁界を発生させると、発熱層は、この高周波磁界と共振するように誘導電流を発生して発熱するのであるが、発熱層の外側面に低抵抗層を形成し、それを、誘導コイルに近接配置することで、当該誘導コイルのインダクタンスを変化させることができる。そのため、低抵抗層の厚みや電気抵抗率を調整することによって、コンデンサの良好なマッチングが可能となる。低抵抗層を形成する低抵抗の金属材料としては、例えばCu等が挙げられる。したがって、前記高熱伝導層をCuで形成した場合には、低抵抗層の機能を兼ねさせることもできる。
(発熱層の膜厚検討)
図1(a)に示すように、有底筒状で、かつ筒部1aが、上部の開口1b側から平板状の底部1c側へ向けて徐々に外径が小さくなっていると共に、開口1bの外径寸法Dが150mm、高さHが150mm、厚みTが1.2mmである内鍋本体1を、日本工業規格JIS3004系のAl合金〔住友軽金属(株)製のMG−110、0.6〜0.8重量%のMgと、0.9〜1.1重量%のMnとを含む〕によって形成した。詳しくは、上記Al合金からなる板材の表面を、NaCl水溶液中で、20クーロン/cmの電気量で電解エッチングして、その表面に微細な凹凸を形成し、次いで、その片面に、PTFE分散液を塗布し、焼き付けて、PTFEのコーティング層(厚み20μm)を形成した後、当該コーティング層を内側にしてプレス成形して、上記の寸法および形状を有し、市販のIH炊飯器に装着することができる内鍋本体1を形成した。
次に、この内鍋本体1の外側面11を、80℃に保温した120g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して脱脂処理し、次いで、60℃に保温したアルカリ性エッチング剤〔上村工業(株)製のAZ−102〕の50g/L水溶液に浸漬して酸化膜を除去し、水洗後、室温(23±1℃)環境下、スマット除去剤〔上村工業(株)製の商品名ジスマッターAZ−201〕と硝酸とを含む水溶液〔スマット除去剤の濃度100g/L、硝酸の濃度800mL/L〕中に浸漬してスマットを除去した。次に、スマットを除去した板材を、ジンケート処理剤〔上村工業(株)製のAZ−401×3、濃度300〜360mL/L〕の3倍希釈水溶液に浸漬してジンケート処理して、0.1μmのジンケート層を形成した。
次に、この内鍋本体1を、図1(b)に示すように治具2に装着し、治具2を、その中心軸21を中心として、図中に矢印で示すように回転させながら、Ni陽極3およびFe陽極4と共に、下記のNi−Feめっき浴5に浸漬して、浴温45℃の条件で電気めっき処理して、外側面11の全面に、Ni−Fe合金からなる発熱層7を形成した。
(めっき浴組成)
硫酸ニッケル6水和物:105g/L
塩化ニッケル6水和物:60g/L
ホウ酸:45g/L
硫酸第一鉄7水和物:10g/L
添加剤FA−C:20g/L
光沢剤FA−3:25mL/L
光沢剤FA−RA:2mL/L
光沢剤FA−4:20mL/L
潤滑剤#84:2mL/L
〔添加剤、光沢剤、潤滑剤は、いずれも荏原ユージライト(株)製〕
なお、電気めっき処理は、図中に示す遮蔽板6を、内鍋本体1と、Cu陽極との間に介在させた状態で実施した。遮蔽板6は、有底筒状で、かつ平板状の底部6aの中央に円形の開口6bを有する形状に形成されており、ここでは、開口6bの形状の異なる2種の遮蔽板6を使用した。
形成した発熱層7における厚みの分布を、下記の手順で測定した。すなわち、図2に示すように、内鍋本体1の外側面11に形成した発熱層7上に、平板状の底部1cの中心点Cを通る中心軸Aを含む平面Pと交差する線Lを設定すると共に、この線L上に、上記中心点Cを含む、中心点Cから1cmおきのポイントを設定し、それぞれのポイントごとに、発熱層7の厚みを測定して、その分布を求めた。線Lの全長は、実施例の場合、23cmであった。測定結果を図3に示す。なお、図において、−□−□−、−◆−◆−は、それぞれ、介在させた遮蔽板6の、開口6bの形状の違いによる、結果の相違を示している。
また、図中の、中心点Cから5cmの位置の前後の、2本の二点鎖線で挟んだ範囲は、発熱層7のうち、電磁誘導加熱調理器の、調理器用内鍋をセットした際に、その底部の中央部に対応する位置に配置される誘導コイルと対峙する対峙領域を示し、同様に、中心点から10cmの位置の前後の、2本の二点鎖線で挟んだ範囲は、電磁誘導加熱調理器の、調理器用内鍋をセットした際に、その底部の外周縁から側部の下端にかけてのコーナー部に対応する位置に配置される誘導コイルと対峙する対峙領域を示している。
そして、調理器用内鍋の底部の中央部に対応する位置に配置される誘導コイルの、リングの中心に対応する領域(図において左側の対峙領域のさらに左側の領域)と、当該誘導コイルと、調理器用内鍋のコーナー部に配置される誘導コイルとの間の隙間に対応する領域(2つの対峙領域の間の領域)とを、図中に記載したように、非対峙領域としている。
図から、遮蔽板の開口の形状を変化させることで、発熱層7の厚みの分布を変化できること、内鍋本体1の外側面に、上記非対峙領域における厚みが、対峙領域に比べて大きい発熱層7を形成できることが確認された。
(高熱伝導層の膜厚検討)
発熱層の膜厚検討で使用したのと同じ内鍋本体1の外側面11を、前記と同様にして前処理した後、図1(b) に示すように治具2に装着し、治具2を、その中心軸21を中心として、図中に矢印で示すように回転させながら、Ni陽極3およびFe陽極4に代えて、図示しないCu陽極と共に、下記のCuめっき浴5に浸漬して、浴温45℃の条件で電気めっき処理して、外側面11の全面に、Cuからなる高熱伝導層を形成した。
(Cuめっき浴組成)
硫酸銅5水和物:210g/L
硫酸:55g/L
塩酸:0.15mL/L
光沢剤(メイキャップカパラシド210):7mL/L
光沢剤(カパラシド210A):0.5mL/L
光沢剤(カパラシド210B):0.5mL/L
〔光沢剤は、いずれもアトテックシャパン(株)製、カパラシドは登録商標〕
なお、電気めっき処理は、図中に示す遮蔽板6を、内鍋本体1と、Cu陽極との間に介在させた状態で実施した。遮蔽板6は、有底筒状で、かつ平板状の底部6aの中央に円形の開口6bを有する形状に形成されており、ここでは、開口6bの形状の異なる2種の遮蔽板6を使用した。
形成した高熱伝導層における厚みを、前記と同様にして測定して、その分布を求めた。線Lの全長は、23cmであった。測定結果を図4に示す。なお、図において、−□−□−、−◆−◆−は、それぞれ、介在させた遮蔽板6の、開口6bの形状の違いによる、結果の相違を示している。
また、図中の、中心点Cから5cmの位置の前後の、2本の二点鎖線で挟んだ範囲は、高熱伝導層のうち、電磁誘導加熱調理器の、調理器用内鍋をセットした際に、その底部の中央部に対応する位置に配置される誘導コイルと対峙する対峙領域を示し、同様に、中心点から10cmの位置の前後の、2本の二点鎖線で挟んだ範囲は、電磁誘導加熱調理器の、調理器用内鍋をセットした際に、その底部の外周縁から側部の下端にかけてのコーナー部に対応する位置に配置される誘導コイルと対峙する対峙領域を示している。
そして、調理器用内鍋の底部の中央部に対応する位置に配置される誘導コイルの、リングの中心に対応する領域(図において左側の対峙領域のさらに左側の領域)と、当該誘導コイルと、調理器用内鍋のコーナー部に配置される誘導コイルとの間の隙間に対応する領域(2つの対峙領域の間の領域)とを、図中に記載したように、非対峙領域としている。
図から、遮蔽板の開口の形状を変化させることで、高熱伝導層の厚みの分布を変化できること、内鍋本体1の外側面に、上記非対峙領域における厚みが、対峙領域に比べて大きい高熱伝導層を形成できることが確認された。
実施例1:
(発熱層の形成)
発熱層の膜厚検討で使用したのと同じ内鍋本体1の外側面11を、前記と同様にして前処理した後、図1(b)に示すように治具2に装着し、治具2を、その中心軸21を中心として、図中に矢印で示すように回転させながら、Ni陽極3およびFe陽極4と共に、前記と同じNi−Feめっき浴5に浸漬して、浴温45℃の条件で電気めっき処理して、外側面11の全面に、Ni−Fe合金からなる発熱層7を形成した。電気めっき処理は、図3において、−□−□−の結果が得られた遮蔽板6を、内鍋本体1と、両陽極3、4との間に介在させた状態で実施し、それによって、内鍋本体1の外側面11に、Ni−Fe合金からなり、図3中に−□−□−で示す膜厚分布を有する発熱層7を形成した。
(高熱伝導層の形成)
次に、治具2に装着した状態の上記内鍋本体1を、再び、治具2の中心軸21を中心として、図1(b)に矢印で示すように回転させながら、Cu陽極と共に、前記と同じCuめっき浴5に浸漬して、浴温45℃の条件で電気めっき処理して、発熱層7の外側の全面に、Cuからなる高熱伝導層を形成した。電気めっき処理は、図4において、−□−□−の結果が得られた遮蔽板6を、内鍋本体1と、Cu陽極との間に介在させた状態で実施し、それによって、発熱層7の外側に、Cuからなり、図4中に−□−□−で示す膜厚分布を有する高熱伝導層を形成した。
(仕上げ)
上記内鍋本体1を、大気中で、300℃で30分間、熱処理して、調理器用内鍋を製造した。製造した調理器用内鍋における、発熱層と高熱伝導層の膜厚分布は、発熱層が分布あり(図3中の−□−□−)、高熱伝導層も分布あり(図4中の−□−□−)であった。
実施例2
図3において、−◆−◆−の結果が得られた遮蔽板6を使用してNi−Fe合金の電気めっき処理を実施することで、内鍋本体1の外側面11の全面に、Ni−Fe合金からなり、図3中に−◆−◆−で示す膜厚分布を有する発熱層7を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、調理器用内鍋を製造した。製造した調理器用内鍋における、発熱層と高熱伝導層の膜厚分布は、発熱層が分布なし(図3中の−◆−◆−)、高熱伝導層が分布あり(図4中の−□−□−)であった。
比較例1:
図4において、−◆−◆−の結果が得られた遮蔽板6を使用してCuの電気めっき処理を実施することで、発熱層7の外側の全面に、Cuからなり、図4中に−◆−◆−で示す膜厚分布を有する高熱伝導層を形成したこと以外は、実施例2と同様にして、調理器用内鍋を製造した。製造した調理器用内鍋における、発熱層と高熱伝導層の膜厚分布は、発熱層が分布なし(図3中の−◆−◆−)、高熱伝導層も分布なし(図4中の−◆−◆−)であった。
比較例2:
発熱層7の外側に、Cuからなる高熱伝導層を形成しなかったこと以外は、実施例2と同様にして、調理器用内鍋製造した。製造した調理器用内鍋における、発熱層の膜厚分布は、分布なし(図3中の−◆−◆−)であった。
(発熱試験)
図5に示すように、実施例、比較例で製造した調理器用内鍋10の内側の、底部1cの中心点Cに対応する位置(a点)と、上記中心点Cを囲んで配置される誘導コイルIに対峙する内側の対峙領域に対応する位置(b点)と、調理器用内鍋のコーナー部に配置される誘導コイルIに対峙する外側の対峙領域に対応する位置(c点)と、この外側の対峙領域のさらに外側の位置(d点)に、それぞれ熱電対をセットして温度測定を開始すると共に、1.5リットルの水を入れた状態で、市販のIH炊飯器に装着して、30秒間、加熱した後の、各点の上昇温度を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0004281005
表より、発熱層および高熱伝導層のうちの少なくとも高熱伝導層の、非対峙領域における厚みを、対峙領域より大きくすると、各領域の上昇温度の差を小さくできることが判った。そして、このことから、各実施例で製造した調理器用内鍋によれば、比較例のものに比べて、調理物を、より均一に加熱できることが確認された。
図(a)は、本発明の実施例において用いた内鍋本体の半裁断面図、図(b)は上記内鍋本体の外側面に、電気めっき処理によって発熱層および高熱伝導層を形成する装置の一例を示す断面図である。 上記実施例で形成した発熱層および高熱伝導層の、厚みの分布を測定する手順を説明する斜視図である。 実施例で形成した発熱層の、厚みの分布を測定した結果を示すグラフである。 実施例で形成した高熱伝導層の、厚みの分布を測定した結果を示すグラフである。 実施例、比較例で製造した調理器用内鍋における、温度上昇を測定する位置を説明する部分断面図である。
符号の説明
1 内鍋本体
11 外側面
7 発熱層

Claims (3)

  1. 内鍋本体と、この内鍋本体の外側面に設けられる、磁性材料からなる発熱層と、この発熱層の外側に設けられる、高熱伝導材料からなる高熱伝導層とを備え、電磁誘導加熱調理器の誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって加熱される調理器用内鍋であって、電磁誘導加熱調理器の誘導コイルと対峙する領域以外の領域における高熱伝導層の厚みを、対峙する領域における高熱伝導層の厚みより大きくするか、または、高熱伝導層を、電磁誘導加熱調理器の誘導コイルと対峙する領域以外の領域にのみ形成することを特徴とする調理器用内鍋。
  2. 電磁誘導加熱調理器の誘導コイルと対峙する領域以外の領域における発熱層の厚みを、対峙する領域における発熱層の厚みより大きくする請求項1記載の調理器用内鍋。
  3. 高熱伝導層をCuで形成した請求項1または2記載の調理器用内鍋。
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