JP4678410B2 - ヘッドの製造方法及びプリンタの製造方法 - Google Patents

ヘッドの製造方法及びプリンタの製造方法 Download PDF

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本発明は、基板、インクジェット式記録ヘッドおよびインクジェットプリンタ
に関する。
一般に、インクジェット式記録ヘッドは、主に、インクを貯留可能な複数のイ
ンク室(キャビティ)を形成するインク室基板と、インク室基板の一方の面に接
合されたノズル板と、他方の面に接合された振動板を介して設けられた複数の圧
電素子(振動源)とを備えた構成とされている。
このようなインクジェット式記録ヘッドは、次のような<1>〜<4>の工程
を経て製造されている。
<1> まず、インク室基板となる母材としてSi基板を用意し、このSi基
板上に、振動板を積層または接合する。
<2> 次に、この振動板上に、複数の圧電素子を形成する。
<3> 次に、Si基板に対してエッチングを施すことにより、インク室基板
を得る。
<4> 次に、インク室基板の振動板と反対側に、インクを吐出するノズル孔
が形成されたノズル板を接合する。
ところが、この製造方法では、Si基板に対してエッチングを施して、インク
室基板を形成する際に、浸食が過度(必要以上)に進行してしまい、振動板、さ
らには、圧電素子まで浸食されたり、各インク室の寸法もバラついたりするとい
う不都合が生じることがある。
このような不都合を防止するためには、例えばエッチング時間等のエッチング
条件をコントロールする必要があるが、かかるコントロールを厳密に行うのは、
極めて困難であった。
本発明の目的は、インクジェット式記録ヘッドを、容易、確実かつ精度よく製
造することができる基板、かかる基板を備えるインクジェット式記録ヘッド、さ
らに、かかるインクジェット式記録ヘッドを備えるインクジェットプリンタを提
供することにある。
本発明のヘッドの製造方法の一態様は、第1珪素層と、該第1珪素層の表面に形成されたエッチングストッパ層と、該エッチングストッパ層の表面に形成された第2珪素層とを有する基板を用意する工程と、前記第2珪素層の上方に、下部電極、圧電体層及び上部電極を有する圧電素子を形成する工程と、前記第1珪素層の一部をエッチングして凹部を形成する工程と、を含み、前記基板を用意する工程は、前記第1珪素層からなる第1珪素基板を用意する工程と、第2珪素基板を用意する工程と、前記第1珪素基板の表面に前記エッチングストッパ層を形成する工程と、前記エッチングストッパ層と前記第2珪素基板とを接合する工程と、前記第2珪素基板を研磨することにより、前記第2珪素層を形成する工程と、を含み、前記第2珪素層の上方に、下部電極、圧電体層及び上部電極を有する圧電素子を形成する工程は、前記第2珪素層と前記下部電極との間に前記第2珪素層と前記下部電極との接合性を向上させるバッファ層を形成する工程を含み、前記バッファ層は、NaCl構造の金属酸化物又はフルオライト構造の金属酸化物を含む。
上記の本発明に係るヘッドの製造方法の一態様は、第1珪素層と、該第1珪素層の表面に形成されたエッチングストッパ層と、該エッチングストッパ層の表面に形成された第2珪素層とを有する基板を用意する工程と、前記第2珪素層の上方に、下部電極、圧電体層及び上部電極を有する圧電素子を形成する工程と、前記第1珪素層の一部をエッチングして凹部を形成する工程と、を含む。
上記の本発明に係るヘッドの製造方法は、第1Si層と、該第1Si層上に形成されたストッパ層と、該ストッパ層上に形成された第2Si層とを有する基板を用意する工程と、前記第2Si層の上方に、下部電極、圧電体層及び上部電極を有する圧電素子を形成する工程と、前記第1Si層に凹部を形成する工程と、を含む。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記基板を用意する工程は、前記第1Si層からなる第1Si基板を用意する工程と、第2Si基板を用意する工程と、前記第1Si基板上に前記ストッパ層を形成する工程と、前記ストッパ層と前記第2Si基板とを接合する工程と、前記第2Si基板を研磨することにより、前記第2Si層を形成する工程と、を有する。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記第1Si層の配向と、前記第2Si層の配向とは、異なる。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記第1Si層の配向は、(110)配向である。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記第2Si層の配向は、(100)配向である。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記第2Si層の配向は、(111)配向である。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記基板を用意する工程は、Si基板を用意する工程と、前記Si基板中に前記ストッパ層を形成する工程と、前記ストッパ層が形成されたSi基板を研磨する工程と、を有する。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記第1Si層の配向と、前記第2Si層の配向とは、同じである。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記第1Si層の配向は、(110)である。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記第2Si層の配向は、(110)である。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記ストッパ層は、酸化物又は窒化物である。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記ストッパ層は、SiO 2 、Si 2 3 、Al 2 3 、ZrO 2 、TiO 2 、Y 2 3 、TiN、BN又はAlNを含む。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、さらに、前記第2Si層と前記下部電極との間にバッファ層を形成する工程を含む。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記バッファ層は、NaCl構造の金属酸化物、蛍石構造の金属酸化物又はフルオライト構造の金属酸化物を含む。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記バッファ層は、MgO、CaO、SrO、BaO、MgOを含む固溶体、CaOを含む固溶体、SrOを含む固溶体又はBaOを含む固溶体を含む。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記バッファ層は、立方晶(100)配向、立方晶(110)配向又は立方晶(111)配向を有する、ヘッドの製造方法。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記バッファ層は、立方晶(100)配向、立方晶(110)配向又は立方晶(111)配向を有する。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記下部電極は、ペロブスカイト構造を有する第1金属酸化物を含む、ヘッドの製造方法。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記ペロブスカイト構造を有する前記第1金属酸化物は、ルテニウム酸ストロンチウム、NbがドープされたSrTiO 3 、ルテニウム酸ストロンチウムを含む固溶体、又はNbがドープされたSrTiO 3 の固溶体を含む。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記下部電極は、擬立方晶(001)配向、擬立方晶(111)配向、擬立方晶(11配向又は擬立方晶(100)配向している。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記圧電体層は、Pb(Zr,Ti)O3、(Pb,La)(Zr,Ti)O3、BaTiO3、KNbO3、PbZnO3、(Sr,Bi)(Ta,Nb)29、又は(Bi,La)4Ti312を含む。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記圧電体層は、正方晶(001)配向、正方晶(111)配向、菱面体晶(001)配向、又は菱面体晶(111)配向を有する。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記上部電極は、ペロブスカイト構造を有する第2金属酸化物を含む。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記ペロブスカイト構造を有する前記第2金属酸化物は、ルテニウム酸ストロンチウム、NbがドープされたSrTiO3、ルテニウム酸ストロンチウムを含む固溶体、NbがドープされたSrTiO3の固溶体、白金、イリジウム、アルミニウム、白金を含む合金、イリジウムを含む合金又はアルミニウムを含む合金を含む。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記凹部は、インク室である。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、さらに、前記第1Si層にノズル板を接合する工程を含む。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記第1Si層は、Si単結晶基板である。
本発明のヘッドの製造方法は、前記ヘッドの製造方法において、前記第2Si層は、Si単結晶層である。
本発明のプリンタの製造方法は、前記ヘッドの製造方法を備える。
本発明のヘッドの一態様は、第1珪素層と、前記第1珪素層の表面に形成されたエッチングストッパ層と、前記エッチングストッパ層の表面に形成された第2珪素層とを有する基板と、前記第2珪素層の上方に形成された、下部電極、圧電体層及び上部電極を有する圧電素子と、前記第1珪素層の一部に形成された凹部と、を含む。
以下、本発明の基板、インクジェット式記録ヘッドおよびインクジェットプリ
ンタの好適な実施形態について説明する。
<基板>
まず、本発明の基板について説明する。
図1は、本発明の基板の実施形態を示す断面図であり、図2および図3は、そ
れぞれ、図1に示す基板の製造工程を説明するための図(断面図)である。
本発明の基板10は、後述するインクジェット式記録ヘッドH(以下、単に「
ヘッドH」と言う。)の製造に用いるものである。
図1に示す基板10は、Si単結晶基板20と、Si単結晶基板20上に形成
された(設けられた)ストッパ層30と、このストッパ層30を介してSi単結
晶基板20と反対側に設けられたSi単結晶層60とを有している。換言すれば
、この基板10は、Si単結晶基板20とSi単結晶層60とで、ストッパ層3
0を挟持した構成とされている。
Si単結晶基板20には、後述するように、インク室210となる凹部210
’、その他、リザーバ室230および供給口240となる凹部が、それぞれエッ
チングにより形成される。すなわち、このSi単結晶基板20に対してエッチン
グを施すことにより、ヘッドHのインク室基板200が得られる。
このSi単結晶基板20、すなわち、Si単結晶で構成される基板は、汎用的
な基板であるので、このSi単結晶基板20を用いて基板10を構成することに
より、基板10、延いては、ヘッドHの製造コストを低減することができる。
Si単結晶基板20の平均厚さは、特に限定されないが、10μm〜1mm程
度であるのが好ましく、30〜300μm程度であるのがより好ましい。Si単
結晶基板20の平均厚さを、前記範囲とすることにより、得られるヘッドHは、
十分な強度を確保しつつ、その小型化(特に、薄型化)を図ることができる。
Si単結晶基板20上には、ストッパ層30が形成され(設けられ)ている。
このストッパ層30は、Si単結晶基板20に前記凹部210’を含む所定の
パターン形状をエッチングにより形成する際に、浸食の進行を防止する機能を有
するものである。このストッパ層30を設けることにより、エッチングによる浸
食が過度(必要以上)に進み、ストッパ層30のSi単結晶基板20と反対側に
設けられる各部(特に、後述する振動源としての圧電素子400)が侵食される
のを防止することができる。その結果、ヘッドHの機能(性能)が低下、または
、失われることを防止することができる。
また、後述するように、このストッパ層30は、Si単結晶層60とともに、
圧電素子400の振動により振動する振動板300として機能する。このため、
ストッパ層30には、エッチングによる浸食の進行を防止する機能に加えて、振
動板としての十分な強度(物理的性質)が要求される。
かかる観点からは、ストッパ層30は、アモルファス状態の物質で構成されて
いるのが好ましい。このようなストッパ層30は、エッチングによる浸食の進行
を防止する機能を十分に発揮することができるとともに、振動板に要求される十
分な強度を確保することができる。
このアモルファス状態の物質としては、特に限定されないが、例えば、SiO
2、Si23、Al23、ZrO2、TiO2、Y23のような各種酸化
物、TiN、BN、AlNのような各種窒化物、各種樹脂材料、各種ガラス材料
等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることが
できる。
これらの中でも、アモルファス状態の物質としては、酸化物または窒化物が好
ましく、酸化物であるSiO2が最適である。酸化物(特に、SiO2)または
窒化物を用いてストッパ層30を構成することにより、前記効果が特に顕著とな
る。
このようなストッパ層30の平均厚さは、特に限定されないが、100nm〜
50μm程度とするのが好ましく、500nm〜2μm程度とするのがより好ま
しい。ストッパ層30の平均厚さを、前記範囲とすることにより、得られるヘッ
ドHの大型化を防止しつつ、ストッパ層30は、振動板に要求される十分な強度
を確保することができる。なお、ストッパ層30は、前記範囲において、エッチ
ングによる浸食の進行を防止する機能を十分に発揮することができる。
ストッパ層30上には、Si単結晶層60が接合され(設けられ)ている。
このようなSi単結晶層60、すなわち、Si単結晶で構成される層(基板)
は、汎用的なものであるので、このSi単結晶層60を用いて基板10を構成す
ることにより、基板10、延いては、ヘッドHの製造コストを低減することがで
きる。
また、Si単結晶層60上に各部(各層)を成膜した場合、各層は、それぞれ
Si単結晶層60の配向方位に依存して(影響を受けて)成長、すなわち、エピ
タキシャル成長するので、その配向方位が揃うようになる。
後述するヘッドHでは、Si単結晶層60上に、少なくとも下地層700、圧
電素子400の下部電極420となる導電性酸化物層420’、および、圧電体
層430となる強誘電体材料層430’を、順次成膜していく。したがって、下
地層700、導電性酸化物層420’(下部電極420)、および、強誘電体材
料層430’(圧電体層430)は、それぞれ、その配向方位が揃うようになる
。このように、配向方位が揃った圧電体層430を有する圧電素子400は、電
界歪み特性等の各種特性が向上する。その結果、ヘッドHは、その性能が向上す
る。
このようなSi単結晶層60の平均厚さは、10nm〜50μm程度であるの
が好ましく、20nm〜2μm程度であるのがより好ましい。Si単結晶層60
の平均厚さを、前記範囲とすることにより、得られるヘッドHの大型化を防止し
つつ、Si単結晶層60は、前記効果を好適に発揮することができる。
また、このSi単結晶層60は、前記ストッパ層30とともに振動板300を
構成するが、Si単結晶層60の平均厚さを、このように薄くすることにより、
振動板300の強度が、必要以上に大きくなるのを防止することができる。
さて、このような構成の基板10は、Si単結晶基板20とSi単結晶層60
との配向方位を、互いに異なるようにすることもできるし、一致するようにする
こともできるが、Si単結晶基板20とSi単結晶層60とは、互いに配向方位
が異なっているのが好ましい。
具体的には、次のようにするのが好ましい。すなわち、前述したように、圧電
体層430は、Si単結晶層60の配向方位に依存して(影響を受けて)成長す
るので、圧電体層430の配向方位が、圧電素子400の各種特性を向上させる
ことができるような配向方位となるように、Si単結晶層60の配向方位を選択
する。一方、Si単結晶基板20の配向方位は、エッチングに適し、かつ、面方
向に対してほぼ垂直な方向にエッチングによる浸食が進行するものを選択する。
このような構成の基板10は、ヘッドHを製造する上で、極めて有用な基板であ
る。
かかる観点からは、Si単結晶層60としては、(100)配向または(11
1)配向のものが好ましい。このような(100)配向または(111)配向S
i単結晶層を用いることにより、圧電体層430を、例えば、正方晶(001)
配向、正方晶(111)配向、菱面体晶(001)配向、菱面体晶(111)配
向等でエピタキシャル成長により形成することができる。かかる圧電体層430
を有する圧電素子400は、電界歪み特性等の各種特性が特に優れたものとなる
一方、Si単結晶基板20としては、(110)配向のものが好ましい。この
ような(110)配向のSi単結晶基板は、より容易に異方性エッチングされる
とともに、面方向に対してほぼ垂直な方向にエッチングによる浸食が、精度よく
進行するので、より寸法精度の高いインク室基板200を得ることができる。
次に、このような基板10の製造方法について、図2および図3を参照しつつ
説明する。
前述した基板10は、例えば、次のようにして製造することができる。
<I> まず、Si単結晶基板20とSi単結晶層60との配向方位が異なる
基板10を製造する場合について説明する(図2参照)。
<I−1> Si単結晶基板20となる、例えば(110)配向のSi単結晶
板20aと、Si単結晶層60となる、例えば(100)配向のSi単結晶板6
0aとを用意する。
<I−2> 次に、Si単結晶板20a上に、SiO2からなるストッパ層3
0を形成する。これは、Si単結晶板20aのストッパ層30を形成する面に対
して、例えば、大気中、酸素ガス中等の酸化性雰囲気で、熱処理を施すことによ
り、容易に行うことができる。
この熱処理条件は、特に限定されないが、900〜1400℃×20分〜2時
間程度とするのが好ましい。この熱処理条件を適宜設定することにより、前述し
たような平均厚さのストッパ層30を形成する。
なお、ストッパ層30を、例えばSiO2以外の各種酸化物、各種窒化物で構
成する場合には、かかるストッパ層30は、例えば、熱CVD、プラズマCVD
、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティング等の物理蒸着法(PVD)、スパッタリーフロー等により形成
することができる。
また、ストッパ層30を、例えば各種樹脂材料、各種ガラス材料で構成する場
合には、シート状のストッパ層30を、例えば各種接着法、各種融着法等により
Si単結晶板20a上に接合するようにすればよい。
<I−3> 次に、ストッパ層30が形成されたSi単結晶板20aと、Si
単結晶板60aとを貼り合わせ(接合して)、これらを一体化させる。
この接合には、例えば、ストッパ層30にSi単結晶板60aを圧着させた状
態で、熱処理する方法が好適に用いられる。かかる方法によれば、容易かつ確実
に、ストッパ層30が設けられたSi単結晶板20aと、Si単結晶板60aと
を一体化させることができる。
この熱処理条件は、ストッパ層30の構成材料等により適宜設定され、特に限
定されないが、900〜1400℃×20分〜2時間程度とするのが好ましい。
なお、接合には、その他の各種接着方法、各種融着方法等を用いてもよい。
<I−4> 次に、Si単結晶板20aおよびSi単結晶板60aに対して、
それぞれ、例えば、研削、研磨、エッチング等の後処理を施すことにより、それ
らの形状(厚さ)を整えて、Si単結晶基板20およびSi単結晶層60を得る
。このとき、Si単結晶基板20およびSi単結晶層60の平均厚さを、それぞ
れ前述したような範囲とする。
なお、本工程<I−4>は、必要に応じて省略することもできる。
<II> 次に、Si単結晶基板20とSi単結晶層60との配向方位が一致し
、かつ、SiO2からなるストッパ層30を有する基板10を製造する場合につ
いて説明する(図3参照)。
<II−1> まず、基板10となる、例えば(110)配向のSi単結晶板1
0bを用意する。
<II−2> 次に、このSi単結晶板10bに対して酸素イオンを注入した後
、熱処理を施す。これにより、Si単結晶板10bの厚さ方向の途中に、SiO
2層(ストッパ層)30が形成される。このストッパ層30の生成により、Si
単結晶板10bは、上側のSi単結晶板60bと、下側のSi単結晶板20bと
に分割(分離)される。
この酸素注入量は、特に限定されないが、1×1016〜1×1020cm-
2程度とするのが好ましく、1×1017〜1×1019cm-2程度とするの
がより好ましい。
また、酸素イオンの加速電圧は、特に限定されないが、10〜1000keV
程度とするのが好ましく、100〜500keV程度とするのがより好ましい。
これらの各条件を適宜設定することにより、ストッパ層30の厚さを調整する
ことができる。
また、熱処理条件も、特に限定されないが、900℃以上×20分〜2時間程
度とするのが好ましい。
<II−3> 次に、必要に応じて、この基板10bに対して高温酸化処理を施
す。これにより、Si単結晶板60bのストッパ層30との界面付近が熱酸化さ
れ、ストッパ層30の厚さが増大する。なお、このとき、Si単結晶板60bの
表面付近にも、熱酸化膜90が形成される。なお、この熱酸化膜90は、次工程
<II−4>を行うことにより除去することができる。
<II−4> 次に、必要に応じて、前記工程<I−4>と同様の工程を行う。
これにより、Si単結晶基板20およびSi単結晶層60を得る。
以上のような工程を経て、基板10が製造される。
<インクジェット式記録ヘッド>
次に、本発明のインクジェット式記録ヘッドについて説明する。
図4は、本発明のインクジェット式記録ヘッドの実施形態を示す分解斜視図(
一部切り欠いて示す)であり、図5は、図4に示すインクジェット式記録ヘッド
の主要部の構成を示す断面図であり、図6および図7は、それぞれ、図5に示す
インクジェット式記録ヘッドの主要部の製造工程を説明するための図(断面図)
である。なお、図4は、通常使用される状態とは、上下逆に示されている。
図4に示すインクジェット式記録ヘッドH(ヘッドH)は、主に、ノズル板1
00と、インク室基板200と、振動板300と、圧電素子(振動源)400と
を備え、これらが基体500に収納されている。このヘッドHは、前述した基板
10を用いて製造されたものであり、基板10のSi単結晶基板20がインク室
基板200とされ、ストッパ層30およびSi単結晶層60が振動板300とさ
れている。
なお、このヘッドHは、オンデマンド形のピエゾジェット式ヘッドを構成する
ノズル板100は、例えばステンレス製の圧延プレート等で構成されている。
このノズル板100には、インク滴を吐出するための多数のノズル孔110が形
成されている。これらのノズル孔110のピッチは、印刷精度に応じて適宜設定
される。
ノズル板100には、インク室基板200が固着(固定)されている。
このインク室基板200には、ノズル板100、側壁(隔壁)220および後
述する振動板300により、複数のインク室(キャビティ、圧力室)210と、
インクカートリッジ31から供給されるインクを一時的に貯留するリザーバ室2
30と、リザーバ室230から各インク室210に、それぞれインクを供給する
供給口240とが区画形成されている。
これらのインク室210は、それぞれ短冊状(直方体状)に形成され、各ノズ
ル孔110に対応して配設されている。各インク室210は、後述する振動板3
00の振動により容積が変化し、この容積変化により、インクを吐出するよう構
成されている。
また、インク室210の容積は、特に限定されないが、1×10-7〜2×1
-5mL程度とするのが好ましく、5×10-7〜1×10-5mL程度とす
るのがより好ましい。
一方、インク室基板200のノズル板100と反対側には、振動板300がイ
ンク室基板200の側壁220に接触して設けられ、さらに振動板300のイン
ク室基板200と反対側には、複数の圧電素子400が下地層700を介して設
けられている。
また、振動板300の所定位置には、その厚さ方向に貫通して連通孔310が
形成されている。この連通孔310を介して、インクカートリッジ31からリザ
ーバ室230に、インクが供給可能とされている。
本実施形態では、この振動板300は、インク室基板200側のアモルファス
状態の物質で構成されたストッパ層30と、圧電素子400側のSi単結晶で構
成されたSi単結晶層60とで構成されている。
このストッパ層30を構成するアモルファス状態の物質は、前述した通りであ
るが、これらのアモルファス状態の物質は、絶縁材料または半導体材料でもある
。このため、これらの材料を用いてストッパ層30を構成することにより、ヘッ
ドHでは、(1)Si単結晶層60上に設けられた各部(各圧電素子400)間での
絶縁分離を良好なものとすること、(2)圧電素子400の電解歪み特性等の各種特
性の向上を図ることができるという効果もある。このようなヘッドHは、その性
能が向上する。
これらの中でも、アモルファス状態の物質としては、SiO2が最適である。
SiO2を用いてストッパ層30を構成することにより、前記効果が特に顕著と
なる。
各圧電素子400は、それぞれ各インク室210のほぼ中央部に対応して配設
されている。各圧電素子400は、後述する圧電素子駆動回路に電気的に接続さ
れ、圧電素子駆動回路からの信号に基づいて作動するよう構成されている。
なお、各圧電素子400の平面視での寸法は、特に限定されないが、例えば、
1〜3mm×10〜50μm程度とすることができる。
基体500は、例えば各種樹脂材料、各種金属材料等で構成されており、この
基体500にインク室基板200が固定、支持されている。
以下、下地層700および圧電素子400の構成について、図5を参照しつつ
、さらに詳細に説明する。
図5に示す圧電素子400は、上部電極410と下部電極420とで、圧電体
層(強誘電体層)430を挟持した構成とされている。換言すれば、圧電素子4
00は、下部電極420、圧電体層430および上部電極410が、この順で積
層されて構成されている。
この圧電素子400は、振動源として機能するものであり、振動板300は、
圧電素子(振動源)400の振動により振動し、インク室210の内部圧力を瞬
間的に高める機能を有するものである。
振動板300上には、薄膜よりなる下地層(バッファ層)700が形成され(
設けられ)ている。すなわち、圧電素子400(下部電極420)と振動板30
0(Si単結晶層60)との間に、下地層700が設けられている。
この下地層700は、圧電素子400(下部電極420)と振動板300(S
i単結晶層60)との接合性(密着性)を向上させる機能を有するものである。
下地層700を設けることにより、圧電素子400の振動板300からの剥離等
によるヘッドHの経時的劣化が好適に防止されるとともに、圧電素子400の振
動をより確実に振動板300に伝達することができる。
なお、この下地層700は、振動板300上の少なくとも圧電素子400を形
成する領域に設けるようにすればよい。
下地層700の構成材料としては、例えば、NaCl構造の金属酸化物、蛍石
型構造の金属酸化物、フルオライト構造の金属酸化物等が挙げられ、これらの1
種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、下地層
700の構成材料としては、NaCl構造の金属酸化物を含むものが好ましく、
NaCl構造の金属酸化物を主材料とするものがより好ましい。
後述するように、下部電極420の構成材料としては、ペロブスカイト構造を
有する金属酸化物を含むもの(特に、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物を
主材料とするもの)が好適に使用されるが、NaCl構造の金属酸化物は、この
ペロブスカイト構造を有する金属酸化物との格子不整合が小さく、さらに、Si
との格子不整合も小さい。このため、NaCl構造の金属酸化物を用いて下地層
700を構成することにより、振動板300(Si単結晶層60)と下部電極4
20との接合性(密着性)がより向上する。
また、NaCl構造の金属酸化物としては、例えば、MgO、CaO、SrO
、BaO、MnO、FeO、CoO、NiO、または、これらを含む固溶体等が
挙げられるが、これらの中でも、特に、MgO、CaO、SrO、BaO、また
は、これらを含む固溶体の少なくとも1種を用いるのが好ましい。このようなN
aCl構造の金属酸化物は、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物およびSi
の双方との格子不整合が特に小さい。
このような下地層700は、例えば、立方晶(100)配向、立方晶(110
)配向、立方晶(111)配向等したもののいずれであってもよいが、これらの
中でも、特に、立方晶(100)配向または立方晶(111)配向したものであ
るのが好ましい。下地層700を立方晶(100)配向または立方晶(111)
配向したものとすることにより、下地層700の平均厚さを比較的小さくするこ
とができる。このため、例えばMgO、CaO、SrO、BaOのような潮解性
を示すNaCl構造の金属酸化物で下地層700を構成する場合であっても、製
造時および使用時に空気中の水分で劣化するという不都合を好適に防止すること
ができる。
このような観点からは、下地層700は、できるだけ薄く形成するのが好まし
く、具体的には、その平均厚さが10nm以下であるのが好ましく、5nm以下
であるのがより好ましい。これにより、前記効果がより向上する。
下地層700上には、圧電体層430に電圧を印加するための一方の電極であ
る下部電極420が形成され(設けられ)ている。
この下部電極420は、複数の圧電素子400の個別電極として、それぞれ設
けられている。すなわち、下部電極420の平面視形状が、圧電体層430の平
面視形状とほぼ等しくなるよう形成されている。
下部電極420の構成材料としては、例えば、ペロブスカイト構造を有する金
属酸化物等の各種導電性酸化物が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み
合わせて用いることができる。これらの中でも、下部電極420の構成材料とし
ては、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物を含むものが好ましく、ペロブス
カイト構造を有する金属酸化物を主材料とするものがより好ましい。
このペロブスカイト構造を有する金属酸化物としては、例えば、ルテニウム酸
ストロンチウム(SRO)、NbドープしたSrTiO3、または、これらを含
む固溶体等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いること
ができる。これらのペロブスカイト構造の金属酸化物は、導電性および化学的安
定性に優れているので、下部電極420も、導電性および化学的安定性に優れた
ものとすることができる。その結果、圧電素子400は、電界歪み特性等の各種
特性が向上する。
これらの中でも、下部電極420に用いるペロブスカイト構造を有する金属酸
化物としては、ルテニウム酸ストロンチウム(SRO)が最適である。SROは
、特に導電性および化学的安定性に優れているので、SROを用いて下部電極4
20を構成することにより、圧電素子400は、前記効果がより向上する。
ここで、SROは、一般式Srn+1Run3n+1(nは1以上の整数)
で表される。n=1のときSr2RuO4となり、n=2のときSr3Ru2
7となり、n=∞のときSrRuO3となる。SROを用いて下部電極420を
構成する場合は、SrRuO3が最適である。これにより、下部電極420の導
電性および化学的安定性を極めて優れたものとすることができるとともに、下部
電極420上に形成する圧電体層430の結晶性を高めることもできる。
なお、下部電極420は、その厚さ方向の途中に、イリジウムまたは白金等で
構成される部分(中間層)を有する構成、すなわち、SRO/Pt/SRO、S
RO/Ir/SROの積層構造とすることもできる。この場合、下部電極420
の圧電体層430側の部分を、SrRuO3を含む材料で(特に、SrRuO3
を主材料として)構成するようにすればよい。
このような下部電極420は、例えば、擬立方晶(001)配向、擬立方晶(
111)配向、擬立方晶(110)配向、擬立方晶(100)配向等したものの
いずれであってもよいが、これらの中でも、特に、擬立方晶(001)配向また
は擬立方晶(111)配向したものであるのが好ましい。このような下部電極4
20を用いて圧電素子400を構成することにより、圧電素子400は、前記効
果がより顕著となる。
このような下部電極420の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000
nm程度とするのが好ましく、100〜700nm程度とするのがより好ましい
下部電極420上には、電圧の印加により変形する圧電体層430が、所定の
形状で形成されている。
圧電体層430の構成材料としては、各種強誘電体材料が挙げられるが、特に
、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料を含むものが好ましく、ペロブスカ
イト構造を有する強誘電体材料を主材料とするものがより好ましい。
このペロブスカイト構造を有する強誘電体材料としては、例えば、Pb(Zr
,Ti)O3(PZT)、(Pb,La)(Zr,Ti)O3(PLZT)、B
aTiO3、KNbO3、PbZnO3のようなペロブスカイト構造の金属酸化
物、(Sr,Bi)(Ta,Nb)29、(Bi,La)4Ti312のよ
うなBi層状化合物、または、これらを含む固溶体等が挙げられ、これらのうち
の1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのペロブスカ
イト構造を有する金属酸化物を用いて圧電体層430を構成することにより、圧
電素子400は、電界歪み特性等の各種特性が向上する。
これらの中でも、圧電体層430に用いるペロブスカイト構造を有する金属酸
化物としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が最適である。PZTを用いる
ことにより、圧電素子400は、前記効果がより向上する。
また、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料としてPZTを用いる場合、
このPZTとしては、テトラゴナル組成、ロンボヘドラル組成のいずれのものを
用いてもよい。
このような圧電体層430は、例えば、正方晶(001)配向、正方晶(11
1)配向、菱面体晶(001)配向、菱面体晶(111)配向等したもののいず
れであってもよいが、これらの中でも、特に、正方晶(001)配向、正方晶(
111)配向、菱面体晶(001)配向、または、菱面体晶(111)配向した
ものであるのが好ましい。これにより、圧電素子400は、電界歪み特性等の各
種特性が特に優れたものとなる。
このような圧電体層430の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜50
μm程度とするのが好ましく、0.3〜10μm程度とするのがより好ましい。
圧電体層430の平均厚さを、前記範囲とすることにより、圧電素子400(延
いては、ヘッドH)の大型化を防止しつつ、各種特性を好適に発揮し得る圧電素
子400を得ることができる。
圧電体層430上には、圧電体層430に電圧を印加するための他方の電極と
なる上部電極410が形成され(設けられ)ている。
この上部電極410は、複数の圧電素子400の個別電極として、それぞれ設
けられている。すなわち、上部電極410の平面視形状は、圧電体層430の平
面視形状とほぼ等しくなるよう形成されている。
上部電極410の構成材料としては、前記の下部電極420で挙げた材料と同
様のものを用いることができる他、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)
、アルミニウム(Al)、または、これらを含む合金等の各種導電性材料が挙げ
られ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、上部電極410をアルミニウムで構成する場合、イリジウム等で構成さ
れる層を積層するようにするのが好ましい。これにより、上部電極410の電蝕
による劣化を防止または抑制することができる。
このような上部電極410の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000
nm程度とするのが好ましく、10〜500nm程度とするのがより好ましい。
このようなヘッドHは、後述する圧電素子駆動回路から所定の吐出信号が入力
されていない状態、すなわち、圧電素子400の下部電極420と上部電極41
0との間に電圧が印加されていない状態では、圧電体層430に変形が生じない
。このため、振動板300にも変形が生じず、インク室210には容積変化が生
じない。したがって、ノズル孔110からインク滴は吐出されない。
一方、圧電素子駆動回路から所定の吐出信号が入力された状態、すなわち、圧
電素子400の下部電極420と上部電極410との間に一定電圧(例えば、1
0〜50V程度)が印加された状態では、圧電体層430に変形が生じる。これ
により、振動板300が大きくたわみ(図5中下方にたわみ)、インク室210
の容積の減少(変化)が生じる。このとき、インク室210内の圧力が瞬間的に
高まり、ノズル孔110からインク滴が吐出される。
1回のインクの吐出が終了すると、圧電素子駆動回路は、下部電極420と上
部電極410との間への電圧の印加を停止する。これにより、圧電素子400は
、ほぼ元の形状に戻り、インク室210の容積が増大する。なお、このとき、イ
ンクには、インクカートリッジ31からノズル孔110へ向かう圧力(正方向へ
の圧力)が作用している。このため、空気がノズル孔110からインク室210
へ入り込むことが防止され、インクの吐出量に見合った量のインクがインクカー
トリッジ31(リザーバ室230)からインク室210へ供給される。
このようにして、ヘッドHにおいて、印刷させたい位置の圧電素子400に、
圧電素子駆動回路から吐出信号を順次入力することにより、任意の(所望の)文
字や図形等を印刷することができる。
以上のように、本発明のインクジェット式記録ヘッドHは、電界歪み特性等の
各種特性に優れる圧電素子400を備える。このため、より少ない電圧で圧電素
子400を作動させることができるので、圧電素子駆動回路を簡略化することが
できるとともに、消費電力を低減することができる。
また、圧電素子400を小型化することもできる。この場合、圧電素子400
の幅(短軸方向の長さ)を短くすると、インク室210の幅も小さくすることが
でき、その結果、ノズル孔110のピッチも小さくすることができるので、より
高精度の印刷が可能となる。また、圧電素子400の長さ(長軸方向の長さ)を
短くすると、ヘッドHのさらなる小型化を図ることができる。
次に、ヘッドHの製造方法について、図6および図7を参照しつつ説明する。
前述したヘッドHは、例えば、次のようにして製造することができる。
[0] 基板の用意
まず、前述のようにして、例えばSi単結晶基板20とSi単結晶層60との
配向方位が異なる基板10を製造する。ここでは、Si単結晶基板20を(11
0)配向のもの、Si単結晶層60を(100)配向のものとした場合について
説明する。
[1] 下地層700の形成(図6のS1)
次に、Si単結晶層60上に、例えばSrOからなる下地層700を形成する
下地層700は、Si単結晶層60の結晶構造の影響を受けて結晶成長する。
Si単結晶層60は、(100)配向のものであるので、Si単結晶層60上に
下地層700を成膜すると、下地層700は、立方晶(100)配向でエピタキ
シャル成長する。
下地層700の形成方法(成膜方法)としては、レーザーアブレーション法が
好適に用いられる。かかる方法によれば、レーザー光の入射窓を備えた簡易な構
成の真空装置を用いて、容易かつ確実に、下地層700を形成することができる
具体的には、まず、基板10(サンプル)を、例えば、室温での背圧が133
×10-9〜133×10-6Pa(1×10-9〜1×10-6Torr)程
度に減圧された真空装置内に設置する。
なお、真空装置内には、基板10に対向して、下地層700の構成元素を含む
ターゲットが所定距離、離間して配置されている。このターゲットとしては、目
的とする下地層700の組成と同一の組成または近似組成のものが好適に使用さ
れる。
次いで、例えば赤外線ランプ(加熱手段)等を用いて、基板10を加熱して昇
温する。
この昇温速度は、特に限定されないが、1〜20℃/分程度とするのが好まし
く、5〜15℃/分程度とするのがより好ましい。
また、サンプルの温度(到達温度)も、特に限定されず、300〜800℃程
度とするのが好ましく、400〜700℃程度とするのがより好ましい。
なお、昇温速度、サンプルの温度、真空装置内の圧力等の各条件は、基板10
の表面に、熱酸化膜が形成されないものであれば、前記範囲に限定されるもので
はない。
次いで、レーザー光をターゲットに照射すると、ターゲットから酸素原子およ
び金属原子を含む原子が叩き出され、プルームが発生する。換言すれば、プルー
ムが基板10に向かって照射される。そして、このプルームは、基板10(Si
単結晶層60)上に接触して、下地層700が形成される。
このレーザー光は、好ましくは波長が150〜300nm程度、パルス長が1
〜100ns程度のパルス光とされる。具体的には、レーザー光としては、例え
ば、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、XeClエキシマレー
ザーのようなエキシマレーザー、YAGレーザー、YVO4レーザー、CO2
ーザー等が挙げられる。これらの中でも、レーザー光としては、特に、ArFエ
キシマレーザーまたはKrFエキシマレーザーが好適である。ArFエキシマレ
ーザーおよびKrFエキシマレーザーは、いずれも、取り扱いが容易であり、ま
た、より効率よく原子をターゲットから叩き出すことができる。
下地層700の形成(成膜)における各条件は、下地層700がエピタキシャ
ル成長し得るものであればよく、例えば、次のようにすることができる。
レーザー光の周波数は、30Hz以下とするのが好ましく、15Hz以下とす
るのがより好ましい。
レーザー光のエネルギー密度は、0.5J/cm2以上とするのが好ましく、
2J/cm2以上とするのがより好ましい。
サンプルとターゲットとの距離は、60mm以下とするのが好ましく、45m
m以下とするのがより好ましい。
また、真空装置内の圧力は、1気圧以下が好ましく、そのうち、酸素分圧は、
例えば、酸素ガス供給下で133×10-3Pa(1×10-3Torr)以上
とするのが好ましく、原子状酸素ラジカル供給下で133×10-5Pa(1×
10-5Torr)以上とするのが好ましい。
下地層700の形成における各条件を、それぞれ、前記範囲とすると、より効
率よく、下地層700をエピタキシャル成長により形成することができる。
また、このとき、レーザー光の照射時間を適宜設定することにより、下地層7
00の平均厚さを前述したような範囲に調整することができる。この場合、レー
ザー光の照射時間は、前記各条件によっても異なるが、通常、2時間以下とする
のが好ましく、1時間以下とするのがより好ましい。
なお、下地層700の形成方法としては、これに限定されず、例えば、真空蒸
着法、スパッタリング法、MOCVD法、ゾル・ゲル法、MOD法等の各種薄膜
作製法を用いることもできる。
[2] 導電性酸化物層420’の形成(図6のS2)
次に、下地層700上に、例えばSrRuO3からなる導電性酸化物層420
’を形成する。なお、この導電性酸化物層420’は、後述する工程[5]によ
り分割され、下部電極420となる。
導電性酸化物層420’は、下地層700の結晶構造の影響を受けて結晶成長
する。下地層700は、立方晶(100)配向したものであるので、下地層70
0上に導電性酸化物層420’を成膜すると、導電性酸化物層420’は、擬立
方晶(001)配向でエピタキシャル成長する。
導電性酸化物層420’の形成は、前記工程[1]と同様にして行うことがで
きる。すなわち、導電性酸化物層420’の形成方法(成膜方法)としては、レ
ーザーアブレーション法が好適であるが、これに限定されず、例えば、真空蒸着
法、スパッタリング法、MOCVD法、ゾル・ゲル法、MOD法等の各種薄膜作
製法を用いることもできる。
[3] 強誘電体材料層430’の形成(図6のS3)
次に、導電性酸化物層420’上に、例えば、組成比Pb(Zr0.56Ti
0.44)O3のPZTからなる強誘電体材料層430’を形成する。なお、こ
の強誘電体材料層430’は、後述する工程[5]により分割され、圧電体層4
30となる。
強誘電体材料層430’は、導電性酸化物層420’の結晶構造の影響を受け
て結晶成長する。導電性酸化物層420’は、擬立方晶(001)配向したもの
であるので、導電性酸化物層420’上に強誘電体材料層430’を成膜すると
、強誘電体材料層430’は、菱面体晶(001)配向でエピタキシャル成長す
る。
強誘電体材料層430’の形成は、前記工程[1]と同様にして行うことがで
きる。すなわち、強誘電体材料層430’の形成方法(成膜方法)としては、レ
ーザーアブレーション法が好適であるが、これに限定されず、例えば、真空蒸着
法、スパッタリング法、MOCVD法、ゾル・ゲル法、MOD法等の各種薄膜作
製法を用いることもできる。
[4] 導電性酸化物層410’の形成(図6のS4)
次に、強誘電体材料層430’上に、例えばSrRuO3からなる導電性酸化
物層410’を形成する。なお、この導電性酸化物層410’は、後述する工程
[5]により分割され、上部電極410となる。
導電性酸化物層410’の形成は、前記工程[1]と同様にして行うことがで
きる。すなわち、導電性酸化物層410’の形成方法(成膜方法)としては、レ
ーザーアブレーション法が好適であるが、これに限定されず、例えば、真空蒸着
法、スパッタリング法、MOCVD法、ゾル・ゲル法、MOD法等の各種薄膜作
製法を用いることもできる。
[5] 圧電素子400の形成(図7のS5)
次に、導電性酸化物層420’、強誘電体材料層430’および導電性酸化物
層410’を所定形状に加工(分割)して、複数の圧電素子(圧電アクチュエー
タ)400を形成する。
具体的には、まず、導電性酸化物層410’上に、例えばスピンコートにより
レジストを形成した後、インク室210を形成すべき位置に合わせて、露光・現
像してパターニングする。次いで、残ったレジストをマスクとして、例えばイオ
ンミリング等でエッチングする。これにより、導電性酸化物層410’、強誘電
体材料層430’および導電性酸化物層420’の不要な部分が除去され、複数
の圧電素子400が得られる。
[6] インク室基板200の形成(図7のS6)
次に、Si単結晶基板20の圧電素子400に対応した位置に、それぞれイン
ク室210となる凹部210’を、また、所定位置にリザーバ室230および供
給口240となる凹部を形成する。
具体的には、インク室210、リザーバ室230および供給口240を形成す
べき位置に合せて、Si単結晶基板20の圧電素子400と反対側の面に、マス
クを形成した後、エッチングを行う。これにより、Si単結晶基板20の不要な
部分が除去され、インク室基板200が得られる。
なお、前述したように、基板10は、ストッパ層30を有しているので、エッ
チングによる浸食は、このストッパ層30に到達すると停止する。このため、エ
ッチングによる浸食が過度(必要以上)に進行し、圧電素子400が浸食される
のを好適に防止することができる。
また、このとき、エッチングされずに残った部分が、側壁220となり、また
、露出したストッパ層30は、その上に接合されたSi単結晶層60とともに、
振動板として機能し得る状態となる。
このエッチングには、例えば、平行平板型反応性イオンエッチング、誘導結合
型方式、エレクトロンサイクロトロン共鳴方式、ヘリコン波励起方式、マグネト
ロン方式、プラズマエッチング方式、イオンビームエッチング方式等のドライエ
ッチング、5重量%〜40重量%程度の水酸化カリウム、テトラメチルアンモニ
ウムハイドロオキサイド等の高濃度アルカリ水溶液によるウエットエッチングが
挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。こ
れらの中でも、エッチングには、特に、水酸化カリウム等によるウエットエッチ
ングを用いるのが好ましい。かかるウエットエッチングによれば、Si単結晶基
板20は、異方性エッチングされるので、凹部210’、リザーバ室230およ
び供給口240となる凹部を、容易かつ精度よく形成することができる。このた
め、より寸法精度の高いインク室基板200を得ることができる。
また、本実施形態では、Si単結晶基板20として、(110)配向のものを
用いるので、異方性エッチングによる浸食は、Si単結晶基板20の面方向に対
して、ほぼ垂直な方向に効率よく進行する。
[7] ヘッドHの完成(図7のS7)
次に、例えばステンレス製のノズル板100を、各ノズル孔110が各凹部2
10’に対応するように位置合わせして接合する。これにより、複数のインク室
210、リザーバ室230および複数の供給口240が、それぞれ区画形成され
る。
この接合には、例えば、接着剤による各種接着方法、各種融着方法等を用いる
ことができる。
最後に、インク室基板200を基体500に取り付けて、インクジェット式記
録ヘッドHが完成する。
なお、本実施形態のヘッドHでは、ストッパ層30およびSi単結晶層60で
振動板300が構成されていたが、振動板300は、その全体がストッパ層30
のみで構成されていてもよく、ストッパ層30とSi単結晶層60との間に、任
意の目的の中間層を有する構成であってもよい。
また、本実施形態では、下部電極420および上部電極410は、各圧電素子
400毎に設けられた個別電極であったが、下部電極420および上部電極41
0のいずれか一方を、各圧電素子400の共通電極として設けるようにしてもよ
い。
<インクジェットプリンタ>
次に、インクジェット式記録ヘッドを備えるインクジェットプリンタについて
説明する。
図8は、本発明のインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。な
お、以下の説明では、図8中、上側を「上部」、下側を「下部」と言う。
図8に示すインクジェットプリンタ1は、装置本体2を備えており、上部後方
に記録用紙(記録媒体)Pを設置するトレイ21と、下部前方に記録用紙Pを排
出する排紙口22と、上部面に操作パネル7とが設けられている。
操作パネル7は、例えば、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、LED
ランプ等で構成され、エラーメッセージ等を表示する表示部(図示せず)と、各
種スイッチ等で構成される操作部(図示せず)とを備えている。
また、装置本体2の内部には、主に、往復動するヘッドユニット3を備える印
刷装置(印刷手段)4と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置4に送り込む給紙装置
(給紙手段)5と、印刷装置4および給紙装置5を制御する制御部(制御手段)
6と、各部に電力を供給する電源部(図示せず)とを有している。
制御部6の制御により、給紙装置5は、記録用紙Pを一枚ずつ間欠送りする。
この記録用紙Pは、ヘッドユニット3の下部近傍を通過する。このとき、ヘッド
ユニット3が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動して、記録用
紙Pへの印刷が行なわれる。すなわち、ヘッドユニット3の往復動と記録用紙P
の間欠送りとが、印刷における主走査および副走査となって、インクジェット方
式の印刷が行なわれる。
印刷装置4は、ヘッドユニット3と、ヘッドユニット3の駆動源となるキャリ
ッジモータ41と、キャリッジモータ41の回転を受けて、ヘッドユニット3を
往復動させる往復動機構42とを備えている。
ヘッドユニット3は、その下部に、多数のノズル孔110を備える本発明のヘ
ッドHと、ヘッドHにインクを供給するインクカートリッジ31と、ヘッドHお
よびインクカートリッジ31を搭載したキャリッジ32とを有している。
なお、インクカートリッジ31として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラッ
ク(黒)の4色のインクを充填したものを用いることにより、フルカラー印刷が
可能となる。この場合、ヘッドユニット3には、各色にそれぞれ対応したヘッド
Hが設けられることになる。
往復動機構42は、その両端をフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジ
ガイド軸421と、キャリッジガイド軸421と平行に延在するタイミングベル
ト422とを有している。
キャリッジ32は、キャリッジガイド軸421に往復動自在に支持されるとと
もに、タイミングベルト422の一部に固定されている。
キャリッジモータ41の動作により、プーリを介してタイミングベルト422
を正逆走行させると、キャリッジガイド軸421に案内されて、ヘッドユニット
3が往復動する。そして、この往復動の際に、ヘッドHから適宜インクが吐出さ
れ、記録用紙Pへの印刷が行われる。
給紙装置5は、その駆動源となる給紙モータ51と、給紙モータ51の作動に
より回転する給紙ローラ52とを有している。
給紙ローラ52は、記録用紙Pの送り経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向
する従動ローラ52aと駆動ローラ52bとで構成され、駆動ローラ52bは給
紙モータ51に連結されている。これにより、給紙ローラ52は、トレイ21に
設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置4に向かって1枚ずつ送り込めるよう
になっている。なお、トレイ21に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセット
を着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
制御部6は、例えばパーソナルコンピュータやディジタルカメラ等のホストコ
ンピュータから入力された印刷データに基づいて、印刷装置4や給紙装置5等を
制御することにより印刷を行うものである。
制御部6は、いずれも図示しないが、主に、各部を制御する制御プログラム等
を記憶するメモリ、圧電素子(振動源)400を駆動して、インクの吐出タイミ
ングを制御する圧電素子駆動回路、印刷装置4(キャリッジモータ41)を駆動
する駆動回路、給紙装置5(給紙モータ51)を駆動する駆動回路、ホストコン
ピュータからの印刷データを入手する通信回路、および、印刷データを処理する
データ処理回路と、これらに電気的に接続され、各部での各種制御を行うCPU
とを備えている。
また、CPUには、例えば、ヘッドHの周囲の環境条件(例えば、温度、湿度
等)、インクの吐出状況、記録用紙(記録媒体)P上の印刷状況、記録用紙Pの
供給状態、記録用紙Pの印刷部位付近の雰囲気のインク溶媒濃度等を検出可能な
各種センサが、それぞれ電気的に接続されている。
このようなインクジェットプリンタ1では、まず、CPUが、通信回路を介し
て、印刷データを入手してメモリに格納する。次いで、データ処理回路は、この
印刷データを処理する。次いで、CPUは、この処理データおよび各種センサの
検出データに基づいて、各駆動回路にそれぞれ駆動信号を出力する。この駆動信
号により圧電素子400、印刷装置4および給紙装置5は、それぞれ作動する。
これにより、記録用紙Pに印刷が行われる。
以上、本発明の基板、インクジェット式記録ヘッドおよびインクジェットプリ
ンタについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定
されるものではない。
例えば、本発明の基板、インクジェット式記録ヘッドおよびインクジェットプ
リンタを構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、そ
の他の構成を追加することもできる。
また、例えば、基板およびインクジェット式記録ヘッドの製造方法では、任意
の工程を追加することもできる。
また、前記実施形態のインクジェット式記録ヘッドの構成は、例えば、各種工
業用液体吐出装置の液体吐出機構に適用することもできる。この場合、液体吐出
装置では、前述したようなインク(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック等の
カラー染料インク)の他、例えば、液体吐出機構のノズル(液体吐出口)からの
吐出に適当な粘度を有する溶液や液状物質等が使用可能である。
以上述べたように、本発明の基板は、ストッパ層を介してSi単結晶基板とS
i単結晶層とを有しているので、Si単結晶基板に対してエッチングを施す際に
、このエッチングにより必要としない部分まで浸食されてしまうという不都合が
防止される。また、Si単結晶基板として、エッチングに適した配向のものを選
択し、Si単結晶として、この上に形成する(設ける)振動源の特性を向上させ
得る配向のものを選択することができる。
よって、本発明の基板を用いれば、容易、確実かつ精度よくインクジェット式
記録ヘッドを製造することができ、得られるインクジェット式記録ヘッドを小型
でかつ性能に優れるものとすることができる。
本発明の基板の実施形態を示す断面図である。 図1に示す基板の製造工程を説明するための図(断面図)である。 図1に示す基板の製造工程を説明するための図(断面図)である。 本発明のインクジェット式記録ヘッドの実施形態を示す分解斜視図(一部切り欠いて示す)である。 図4に示すインクジェット式記録ヘッドの主要部の構成を示す断面図である。 図5に示すインクジェット式記録ヘッドの主要部の製造工程を説明するための図(断面図)である。 図5に示すインクジェット式記録ヘッドの主要部の製造工程を説明するための図(断面図)である。 本発明のインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。
符号の説明
1‥‥インクジェットプリンタ 2‥‥装置本体 21‥‥トレイ 22‥‥
排紙口 3‥‥ヘッドユニット 31‥‥インクカートリッジ 32‥‥キャリ
ッジ 4‥‥印刷装置 41‥‥キャリッジモータ 42‥‥往復動機構 42
1‥‥キャリッジガイド軸 422‥‥タイミングベルト 5‥‥給紙装置 5
1‥‥給紙モータ 52‥‥給紙ローラ 52a‥‥従動ローラ 52b‥‥駆
動ローラ 6‥‥制御部 7‥‥操作パネル 10‥‥基板 10b‥‥Si単
結晶板 20‥‥Si単結晶基板 20a‥‥Si単結晶板 20b‥‥Si単
結晶板 30‥‥ストッパ層 60‥‥Si単結晶層 60a‥‥Si単結晶板
60b‥‥Si単結晶板 90‥‥熱酸化膜 100‥‥ノズル板 110‥
‥ノズル孔 200‥‥インク室基板 210‥‥インク室 210’ ‥‥凹
部 220‥‥側壁 230‥‥リザーバ室 240‥‥供給口 300‥‥振
動板 310‥‥連通孔 400‥‥圧電素子 410‥‥上部電極 410’
‥‥導電性酸化物層 420‥‥下部電極 420’ ‥‥導電性酸化物層 4
30‥‥圧電体層 430’‥‥強誘電体材料層 500‥‥基体 700‥‥
下地層 H‥‥インクジェット式記録ヘッド P‥‥記録用紙

Claims (22)

  1. 第1珪素層と、該第1珪素層の表面に形成されたエッチングストッパ層と、該エッチングストッパ層の表面に形成された第2珪素層とを有する基板を用意する工程と、
    前記第2珪素層の上方に、下部電極、圧電体層及び上部電極を有する圧電素子を形成する工程と、
    前記第1珪素層の一部をエッチングして凹部を形成する工程と、
    を含
    前記基板を用意する工程は、
    前記第1珪素層からなる第1珪素基板を用意する工程と、
    第2珪素基板を用意する工程と、
    前記第1珪素基板の表面に前記エッチングストッパ層を形成する工程と、
    前記エッチングストッパ層と前記第2珪素基板とを接合する工程と、
    前記第2珪素基板を研磨することにより、前記第2珪素層を形成する工程と、
    を含み、
    前記第2珪素層の上方に、下部電極、圧電体層及び上部電極を有する圧電素子を形成する工程は、前記第2珪素層と前記下部電極との間に前記第2珪素層と前記下部電極との接合性を向上させるバッファ層を形成する工程を含み、
    前記バッファ層は、NaCl構造の金属酸化物又はフルオライト構造の金属酸化物を含む、ヘッドの製造方法。
  2. 請求項において、
    前記第1珪素層の配向と、前記第2珪素層の配向とは、異なる、ヘッドの製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記第1珪素層の配向は、(110)配向である、ヘッドの製造方法。
  4. 請求項1乃至のいずれかにおいて
    前記第2珪素層の配向は、(100)配向である、ヘッドの製造方法。
  5. 請求項1乃至のいずれかにおいて
    前記第2珪素層の配向は、(111)配向である、ヘッドの製造方法。
  6. 請求項において、
    前記第1珪素層の配向と、前記第2珪素層の配向とは、同じである、ヘッドの製造方法。
  7. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記エッチングストッパ層は、酸化物又は窒化物である、ヘッドの製造方法。
  8. 請求項において、
    前記エッチングストッパ層は、SiO2、Si23、Al23、ZrO2、TiO2、Y2
    3、TiN、BN又はAlNを含む、ヘッドの製造方法。
  9. 請求項において、
    前記バッファ層は、MgO、CaO、SrO、BaO、MgOを含む固溶体、CaOを含む固溶体、SrOを含む固溶体又はBaOを含む固溶体を含む、ヘッドの製造方法。
  10. 請求項1または9において、
    前記バッファ層は、立方晶(100)配向、立方晶(110)配向又は立方晶(111)配向を有する、ヘッドの製造方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれかにおいて、
    前記下部電極は、ペロブスカイト構造を有する第1金属酸化物を含む、ヘッドの製造方法。
  12. 請求項11において、
    前記ペロブスカイト構造を有する前記第1金属酸化物は、ルテニウム酸ストロンチウム、NbがドープされたSrTiO3、ルテニウム酸ストロンチウムを含む固溶体、又はNbがドープされたSrTiO3の固溶体を含む、ヘッドの製造方法。
  13. 請求項1乃至12のいずれかにおいて、
    前記下部電極は、擬立方晶(001)配向、擬立方晶(111)配向、擬立方晶(110)配向又は擬立方晶(100)配向している、ヘッドの製造方法。
  14. 請求項1乃至13のいずれかにおいて、
    前記圧電体層は、Pb(Zr,Ti)O3、(Pb,La)(Zr,Ti)O3、BaTiO3、KNbO3、PbZnO3、(Sr,Bi)(Ta,Nb)29、又は(Bi,La)4Ti312を含む、ヘッドの製造方法。
  15. 請求項1乃至14のいずれかにおいて、
    前記圧電体層は、正方晶(001)配向、正方晶(111)配向、菱面体晶(001)
    配向、又は菱面体晶(111)配向を有する、ヘッドの製造方法。
  16. 請求項1乃至15のいずれかにおいて、
    前記上部電極は、ペロブスカイト構造を有する第2金属酸化物を含む、ヘッドの製造方法。
  17. 請求項16において、
    前記ペロブスカイト構造を有する前記第2金属酸化物は、ルテニウム酸ストロンチウム、NbがドープされたSrTiO3、ルテニウム酸ストロンチウムを含む固溶体、NbがドープされたSrTiO3の固溶体、白金、イリジウム、アルミニウム、白金を含む合金、イリジウムを含む合金又はアルミニウムを含む合金を含む、ヘッドの製造方法。
  18. 請求項1乃至17において、
    前記凹部は、インク室である、ヘッドの製造方法。
  19. 請求項1乃至18のいずれかにおいて、
    さらに、前記凹部が形成された前記第1珪素層にノズル板を接合する工程を含む、ヘッドの製造方法。
  20. 請求項1乃至19のいずれかにおいて、
    前記第1珪素層は、Si単結晶基板である、ヘッドの製造方法。
  21. 請求項1乃至20のいずれかにおいて、
    前記第2珪素層は、Si単結晶層である、ヘッドの製造方法。
  22. 請求項1乃至21に記載のヘッドの製造方法を備えるプリンタの製造方法。
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