JP2002029894A - 積層薄膜その製造方法および電子デバイス - Google Patents

積層薄膜その製造方法および電子デバイス

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JP2002029894A JP2001131858A JP2001131858A JP2002029894A JP 2002029894 A JP2002029894 A JP 2002029894A JP 2001131858 A JP2001131858 A JP 2001131858A JP 2001131858 A JP2001131858 A JP 2001131858A JP 2002029894 A JP2002029894 A JP 2002029894A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Si基板上で、優先的に(001)配向させ
た任意の厚さの強誘電体薄膜を含む積層薄膜、その製造
方法、および電子デバイスを提供する。 【解決手段】 基板上にエピタキシャル成長した積層薄
膜で、酸化物からなるバッファ層と強誘電体薄膜を有
し、前記バッファ層と強誘電体薄膜との間に金属薄膜と
酸化物薄膜がこの順で形成された層を有する構成の積層
薄膜、その製造方法、および電子デバイスとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強誘電体薄膜を含
む積層薄膜と、この積層薄膜を備えた電子デバイスに関
する。前記積層薄膜は、半導体記憶装置、赤外線センサ
等の薄膜強誘電体素子、あるいはAFM(原子間力顕微
鏡)プローブ等により強誘電体を分極反転させて情報を
記録する記録媒体、移動体通信機等に利用される薄膜振
動子、薄膜VCO、薄膜フィルタ、液体噴射装置等に利
用される薄膜圧電体素子、などに適用されるものであ
る。
【0002】
【従来の技術】半導体結晶基板であるSi基板上に、誘
電体膜、強誘電体膜、圧電体膜等を形成、集積化した電
子デバイスが考案され、盛んに研究されている。例え
ば、半導体と誘電体との組み合わせでは、集積度のさら
に高いLSI、SOI技術による誘電体分離LSI、半
導体と強誘電体との組み合わせでは、不揮発性メモリー
等の半導体記憶装置、半導体基板と圧電体膜の組み合わ
せでは、薄膜バルク波共振子(Film Bulk Acoustic Res
onator : FBAR)、薄膜VCO、薄膜フィルタ等が考案
されている。
【0003】これらの電子デバイスにおいて、最適なデ
バイス特性およびその再現性を確保するためには、誘電
体材料、強誘電体材料、圧電体材料として単結晶を用い
ることが望まれる。このことは薄膜材料についても同様
であり、多結晶体では粒界による物理量の撹乱のため、
良好なデバイス特性を得ることが難しく、できるだけ完
全な単結晶に近いエピタキシャル膜が望まれる。また、
FBAR素子の場合、基板の高精度な加工が必要なた
め、Si単結晶基板上に形成しなければならない。しか
も、PZT等の強誘電体をFBAR用の材料として用い
る場合、強誘電体の自発分極が1方向に揃っているとき
最も大きい出力が得られると考えられる。そのため、理
想的には、Si単結晶基板上にエピタキシャル成長し、
(001)単一配向した強誘電体薄膜を形成することが
望まれる。
【0004】強誘電体薄膜の代表的なものとして、Pb
TiO3 、PZT、BaTiO3 等が挙げられる。これ
らのペロブスカイト型酸化物薄膜を実際のデバイスに応
用するためには、これらの薄膜を半導体基板上に形成す
る必要があるが、例えばSi(100)基板上に結晶性
の良好なBaTiO3 (001)単一配向膜を形成する
など、半導体基板上に単一配向の強誘電体薄膜を形成す
ることは極めて難しい。これに対し本発明者は、特開平
9−110592号公報等においてSi単結晶基板上に
強誘電体のエピタキシャル薄膜を容易に形成できる方法
を提案している。
【0005】しかし、例えば強誘電体薄膜の場合、Si
基板上に形成された強誘電体薄膜の特性は、通常、強誘
電体本来の特性から算出される特性より大きく劣る。強
誘電体の特性、例えば、誘電率、キュリー温度、抗電
界、残留分極は、強誘電体が有する応力により変化す
る。そして、薄膜化した強誘電体では、成膜にともなっ
て応力が発生しやすいので、優れた特性を有する強誘電
体薄膜を形成するには、応力の制御が重要である。Si
基板上において薄膜化した強誘電体の特性劣化について
は、特に応力の影響が大きい。
【0006】例えば、J.A.P.76(12),15,7833(1994)やA.
P.L.59(20),11,2524(1991)では、Si単結晶基板ではな
くMgO単結晶基板を用いた場合についてではあるが、
膜面内の二次元応力が強誘電体特性に強く影響を及ぼす
ことが指摘されている。応力発生の主要な原因は、下地
である基板と強誘電体との物性の違い、例えば、熱膨張
係数差や格子定数差などである。このため、強誘電体薄
膜をデバイスに応用するためには、上述した応力を低減
しなくては、望ましい強誘電性を安定に得ることはでき
ない。
【0007】ところで、強誘電体として好ましい特性を
もつものに、PbTiO3 、PLT(La添加PbTi
3 )、PZT(PbZrO3 −PbTiO3 固溶
体)、PLZT(La添加PbZrO3 −PbTiO3
固溶体)等のPb系強誘電体がある。Pb系強誘電体の
多くは分極軸が[001]方向なので、強誘電特性の点
では(001)単一配向膜であることが好ましい。しか
し、Si単結晶基板上にPb系強誘電体薄膜を形成する
と、(001)配向結晶と(100)配向結晶とが混在
したドメイン構造が形成されやすい。
【0008】Si単結晶基板上にPb系強誘電体のドメ
イン構造が形成されやすいのは、以下に説明する理由に
よると考えられる。以下の説明では、Pb系強誘電体と
してPZTを例に挙げる。
【0009】SiはPZTよりも熱膨張係数が著しく小
さい。したがって、例えばPZT薄膜の形成温度を60
0℃とすると、形成後に室温まで冷却する過程でPZT
薄膜の収縮をSi基板が阻害することになり、PZT薄
膜にはその面内に比較的大きな二次元の引っ張り応力が
生じてしまう。この引っ張り応力を緩和しようとして、
PZTは(001)配向結晶と(100)配向結晶とが
混在する90度ドメイン構造の膜となると考えられる。
さらに、ドメイン形成後も、冷却されるにともなってP
ZT薄膜内には引っ張り応力が生じることになるため、
強誘電体特性が低くなってしまう。
【0010】このことは、PZT薄膜を圧電体として利
用する場合にもあてはまる。PZT薄膜の圧電性を高め
るためには、(001)配向結晶の割合を少しでも大き
くすること、PZT薄膜へかかる引っ張り応力を少しで
も小さくすることが重要となる。
【0011】これに対して、本発明者らは特開平10−
223476号公報、および特開平11−26296号
公報に記載されているように、ミスフィットと呼ばれる
両者の格子定数差から発生する弾性歪みを利用して正方
晶(001)配向をもつ強誘電体薄膜を得る方法を、導
電性酸化物薄膜上にペロブスカイト型酸化物薄膜を形成
することにより提案している。この方法を用いれば、数
十ナノメートルの膜厚の(001)単一配向の強誘電体
薄膜をSi(100)基板上に作製することができる。
【0012】IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS, Vol 18
(1997) pp.529-531、Jpn.J.Appl.Phys.Vol37(1998) pp.
5108-5111、および特開平11−274419号公報に
も、上記の方法と同様にして、SrRuO3 等の導電性
酸化物の上にBSTO等のペロブスカイト型酸化物を形
成することで、ミスフィットによる弾性歪みを利用して
誘電体膜をc軸方向に伸長させることが記述されてお
り、数十ナノメートルの膜厚の(001)配向の強誘電
体膜を得ている。
【0013】ところで、ミスフィットによる弾性歪みの
効果は、膜厚が厚くなるとともに転位によって吸収さ
れ、小さくなる。薄膜をキャパシタ等に利用する場合に
は、リークを減らすという目的を除いて特に膜厚を厚く
する必要はないが、例えば、強誘電体薄膜を薄膜バルク
振動子等の圧電体膜として利用するためには、薄膜の厚
さ方向での共振を利用しなければならず、使用する周波
数にもよって異なるが、薄膜バルク振動子の特徴を十分
に発揮できる1GHz〜5GHz帯の周波数を得るには、少
なくとも数百ナノメートル程度の厚さが必要となる。こ
のような厚さではミスフィットによる弾性歪みの効果は
ほとんど無くなり、良好な圧電特性は得られない。本出
願人による特開平10−287494号公報に示されて
いるように、強誘電体薄膜と導電性酸化物薄膜とを、強
誘電体薄膜中の弾性歪みが緩和されない厚さで繰り返し
積層する方法を用いれば、実効的に強誘電体層の厚さを
厚くすることが可能であるが、製造方法が複雑になるこ
と、強誘電体膜内に多数の層界面が存在することによる
共振特性の悪化等の問題が生じる。したがって、強誘電
体結晶を単層に近い積層数で、強誘電体膜内の90度ド
メイン構造を改善し、(001)単一配向に近づける必
要がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、Si
単結晶基板上に形成した現状の強誘電体薄膜では、膜面
内に二次元の大きな引っ張り応力が残留し、特に膜厚が
数百ナノメートルにおよぶ強誘電体薄膜では十分な自発
分極値または圧電特性を得ることができない。
【0015】そこで本発明では、Si基板上で、優先的
に(001)配向させた任意の厚さの強誘電体薄膜を含
む積層薄膜およびその製造方法を提供することを目的と
する。半導体であるSi単結晶基板上に優先的に(00
1)配向した任意の厚さの強誘電体薄膜を形成できれ
ば、移動体通信機等に利用される薄膜振動子、薄膜VC
O、薄膜フィルタ、液体噴射装置等に利用される薄膜圧
電体素子、半導体記憶装置、赤外線センサ等の薄膜強誘
電体素子、あるいはAFM(原子間力顕微鏡)プローブ
等により強誘電体を分極反転させて情報を記録する記録
媒体などの各種分野の電子デバイスに適用する際に極め
て有用である。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(12)の本発明により達成される。 (1) 基板上にエピタキシャル成長した積層薄膜で、
酸化物からなるバッファ層と強誘電体薄膜を有し、前記
バッファ層と強誘電体薄膜との間に金属薄膜と酸化物薄
膜がこの順で形成された層を有する積層薄膜。 (2) 前記酸化物薄膜は、導電性を有する上記(1)
の積層薄膜。 (3) 前記強誘電体薄膜上に酸化物薄膜が形成されて
いる上記(1)または(2)の積層薄膜。 (4) 前記酸化物薄膜は、ペロブスカイト型酸化物で
ある上記(1)〜(3)のいずれかの積層薄膜。 (5) 前記酸化物薄膜に用いる材料のa軸の格子定数
が、前記強誘電体薄膜に用いる材料のa軸の格子定数よ
り小さい上記(1)〜(4)のいずれかの積層薄膜。 (6) 前記金属薄膜がPt、Ir、Pd、Rhおよび
Auの少なくとも1種を含有する上記(1)〜(5)の
いずれかの積層薄膜。 (7) 前記金属薄膜の膜厚が、50〜500nmである
上記(1)〜(6)のいずれかの積層薄膜。 (8) 前記強誘電体薄膜がPbおよびTiを含む上記
(1)〜(7)のいずれかの積層薄膜。 (9) 前記バッファ薄膜が酸化ジルコニウム、希土類
元素酸化物、またはZrの一部を希土類元素もしくはア
ルカリ土類元素で置換した酸化ジルコニウムを含有する
上記(1)〜(8)のいずれかの積層薄膜。 (10) 前記基板がSi(100)単結晶基板である
上記(1)〜(9)のいずれかの積層薄膜。 (11) 上記(1)〜(10)のいずれかの積層薄膜
を有する電子デバイス。 (12) 基板上に酸化物からなるバッファ層をエピタ
キシャル成長させて形成し、さらに白金の金属薄膜を形
成した後、導電性ペロブスカイト型酸化物薄膜をエピタ
キシャル成長させて形成し、その後、強誘電体薄膜をエ
ピタキシャル成長させて形成する積層薄膜の製造方法。
【0017】
【作用】Si基板と強誘電体薄膜の間に、金属薄膜と酸
化物薄膜をこの順で形成することで、強誘電体薄膜にか
かる応力を緩和し、優先的に(001)配向した膜を得
ることができる。
【0018】以下、本発明の作用について説明する。S
i基板上に形成したPZTは、成膜温度から室温への冷
却中にSi基板による引っ張り応力のため、(001)
配向と(100)配向の混在するドメイン構造を形成し
やすい。さらに、ドメインを形成した後も、冷却中に引
っ張り応力は連続的に増加し、膜を二次元的に弾性変形
させ、膜面に対して垂直方向の格子定数を減少させるた
め(001)配向部の特性をさらに悪化させる。このよ
うな引っ張り応力によるドメイン形成や変形を避けるた
め、本出願人による特開平10−223476号公報、
および特開平11−26296号公報では、ミスフィッ
トを利用して成膜中に膜を圧縮し、冷却中の引っ張り応
力を相殺する方法が示されている。しかしながら、この
方法は、ミスフィットによる弾性歪みが消失しない数十
ナノメートルの厚さまででしか適用することができな
い。そこで、それ以上の膜厚に対しても、引っ張り応力
を減少させるためには、強誘電体膜にかかる引っ張り応
力をその下地構造で吸収するのが効果的と考えられる。
【0019】Pt等の金属薄膜上に正方晶の強誘電体を
直接形成すると、金属薄膜は塑性変形しやすいために、
Si基板と強誘電体膜の熱膨張差による応力を緩和する
ことができる。しかし、応力は完全には緩和されないた
め、強誘電体に引っ張り応力が働き、ドメイン形成や垂
直方向の格子定数の減少は避けられない。また、Ptと
PZTの組み合わせの場合のような、金属薄膜の膜面内
方向の格子定数が強誘電体のそれに比べて小さいとき
は、金属薄膜と強誘電体薄膜との間のミスフィットによ
って強誘電体が弾性歪みを受け、強誘電体の膜面垂直方
向の格子定数が伸ばされたり、(100)ドメインに対
する(001)ドメインの割合が増加する効果が期待さ
れるが、金属は強誘電体に比べ一般に変形しやすいた
め、弾性歪みのほとんどは金属薄膜内の変形や転位によ
り吸収されてしまい、十分な効果は得られない。
【0020】一方、Si基板上に直接または酸化物のバ
ッファ層を介して導電性ペロブスカイト型酸化物等の酸
化物薄膜を形成し、その上に強誘電体薄膜を形成した場
合、上述したように、強誘電体薄膜の膜厚が小さいうち
はミスフィットによる歪みの効果で強誘電体薄膜のドメ
イン形成や変形を防ぐことができるが、膜厚が数百ナノ
メートルと厚くなるとこの効果は消失し、強誘電体薄膜
の材料本来の格子定数で膜が成長することになる。この
積層薄膜を室温に冷却すると、強誘電体薄膜と基板の間
には金属等の柔らかい材料からなる層が存在していない
ために、基板からの引っ張り応力がほとんど緩和されず
に強誘電体薄膜に伝わり、かえってドメイン形成や変形
が大きくなる。また、クラックが発生するなどの新たな
問題が生じる可能性がある。
【0021】そこで、本発明では、強誘電体薄膜と基板
との間に、金属薄膜からなる層と、前記強誘電体膜に近
いかそれ以上の熱膨張率を持つ酸化物層を設ける。熱膨
張率がSiより大きいことで、酸化物層は冷却中にSi
基板に比べ大きく収縮しようとする。さらに、この層が
立方晶であればドメインを形成できないため、膜内部で
のドメイン形成による応力緩和ができず、これにより収
縮の度合いは一層大きくなる。また、酸化物であるため
変形しにくく、収縮しようとする力は膜内部での変形に
吸収されずに効率よく下地の金属層に伝わる。これらの
結果、Si基板と酸化物層との間の応力は、その間に設
けられた金属層内部での転位や界面近傍でのすべりによ
って吸収される。その結果、強誘電体膜に作用する基板
からの引っ張り応力は、下地が金属薄膜のみの場合に比
べて弱められ、強誘電体膜のドメイン形成や垂直方向の
格子定数の減少を抑えることが可能となる。さらに、強
誘電体の上部にも酸化物薄膜を形成すれば、強誘電体は
この上部の膜からの圧縮応力を受けることが可能となる
ため、一層の効果が得られる。
【0022】さらに、酸化物薄膜に用いる材料のa軸の
格子定数が、その上に作製する強誘電体薄膜に用いる材
料のa軸の格子定数より小さい場合には、ミスフィット
による弾性歪みの効果が付加されることになり、この効
果を利用して強誘電体膜をc軸方向に伸長させることが
でき、効率よく(001)配向した強誘電体膜を得るこ
とができる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の積層薄膜は、Si単結晶
等からなる基板上にエピタキシャル成長した酸化物から
なるバッファ層と強誘電体薄膜を有する積層薄膜であ
り、前記バッファ層と前記強誘電体薄膜の間に少なくと
も一層の金属薄膜と少なくとも一層の酸化物薄膜を有す
る。
【0024】なお、本明細書において薄膜が例えば(0
01)配向であるとは、膜面とほぼ平行に(001)面
が存在していることを意味する。
【0025】本明細書における単一配向膜とは、基板表
面と平行に目的とする結晶面が揃っている結晶化膜のこ
とを意味する。具体的には、X線回折(XRD)による
測定を行ったとき、目的とする面以外のものの反射ピー
ク強度が目的とする面の最大ピーク強度の10%以下、
好ましくは5%以下である膜である。例えば、(00
L)単一配向膜、すなわちc面単一配向膜は、膜の2θ
−θX線回折で(00L)面以外の反射強度が、(00
L)面反射の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは
5%以下のものである。なお、本明細書において(00
L)は、(001)系列の面、すなわち(001)や
(002)などの等価な面を総称する表示である。
【0026】また、本明細書においてエピタキシャル膜
とは、第一に、上述した単一配向膜である必要がある。
本明細書におけるエピタキシャル膜の第二の条件は、膜
面内をx−y面とし、膜厚方向をz軸としたとき、結晶
がx軸方向、y軸方向およびz軸方向に共に揃って配向
していることである。このような配向は、RHEED評
価でスポット状またはストリーク状のシャープなパター
ンを示すことで確認できる。例えば、表面に凹凸が存在
するバッファ層において結晶配向に乱れがある場合、R
HEED像はシャープなスポット状とはならず、リング
状に伸びる傾向を示す。上記した二つの条件を満足すれ
ば、エピタキシャル膜といえる。
【0027】また、本明細書において、エピタキシャル
成長した膜とは、エピタキシャル膜を含むが、その他に
成長時にエピタキシャル膜であって、室温でドメイン構
造膜である薄膜も含む。PZT薄膜等の正方晶ペロブス
カイト型酸化物薄膜の場合、成長温度で立方晶の(10
0)エピタキシャル膜として成長し、成長後、冷却する
間に正方晶に相転移して、(100)配向と(001)
配向とが混在する90度ドメイン構造膜も含まれる。
【0028】以下、本発明の実施の形態について詳細に
説明する。
【0029】〔バッファ層〕本発明で用いられるバッフ
ァ層は酸化物の単層あるいは複数の酸化物を積層したも
のである。バッファ層は、金属薄膜と基板との間に設け
られ、金属膜をSi基板上に高品質にエピタキシャル成
長させる役割とともに、絶縁体としての機能、およびF
BAR素子等のビアホールエッチング加工時のエッチン
グストッパ層としても機能する。また、バッファ層は金
属薄膜と基板との間に形成することで、金属薄膜と基板
との反応、特に、基板にSiを用いる場合には、シリサ
イドの形成を阻止する効果を持つ。
【0030】結晶性の良好な強誘電体薄膜を得るために
は、電極膜を単結晶に近いエピタキシャル膜として形成
することが必要となる。このような要求に対し、本発明
者らの特開平9−110592号公報に示される方法、
すなわち、Si単結晶基板上に(001)配向のZrO
2 薄膜、安定化ジルコニア薄膜、希土類元素酸化物薄膜
等を含む層を設け、この上にBaTiO3 等からなる
(001)配向のペロブスカイト層を形成し、このペロ
ブスカイト層上にPt等からなる金属薄膜を電極膜とし
て形成する方法を用いることが好ましい。ペロブスカイ
ト層を設けるのは、ZrO2 (001)薄膜上にPt薄
膜を直接形成すると、Ptは(111)配向または多結
晶となり、Pt(100)単一配向膜を形成することが
できないからである。これは、ZrO2 (001)面と
Pt(100)面の格子不整合が大きいために、Ptは
エピタキシャル成長するよりも、すなわち(100)面
を成長面として成長するよりも、エネルギー的に安定な
(111)面を成長面として成長するからである。
【0031】バッファ層、および金属薄膜には、特開平
11−312801号公報に記載された積層薄膜を用い
ても良い。同公報に記載された積層薄膜は、ファセット
を有するバッファ層上に金属薄膜を形成しているため、
BaTiO3 薄膜等の多元組成のペロブスカイト型薄膜
を形成する必要がない。そのため、より容易に良好な結
晶性のエピタキシャル金属薄膜を作製することができ
る。同公報に記載されたバッファ層は、金属薄膜との界
面が{111}ファセット面を含むことが特徴である。
このバッファ層は、立方晶(100)配向、正方晶(0
01)配向または単斜晶(001)配向のエピタキシャ
ル膜なので、そのファセット面は、{111}ファセッ
ト面である。金属薄膜は、バッファ層の{111}ファ
セット面上に{111}配向膜としてエピタキシャル成
長する。金属薄膜の成長に伴って、ファセット面により
構成される凹部は埋められ、最終的に、金属薄膜の表面
は平坦となり、かつ、この表面は基板表面に平行とな
る。この表面は、立方晶(100)面となるが、結晶格
子の歪み等により正方晶(001)面となることもあ
る。
【0032】なお、バッファ層とSi基板との間に、バ
ッファ層の形成過程においてSiO 2 層が生じる場合が
あるが、このSiO2 層はバッファ層がエピタキシャル
成長し始めた後にSi表面が酸化されることにより形成
されるものと見られ、バッファ層のエピタキシャル成長
を阻害するものでは無い。したがって、このSiO2
は存在していても良い。
【0033】〔金属薄膜〕金属薄膜はSi基板によって
強誘電体膜に作用する引っ張り応力を吸収するための構
造の一部として機能する。また、本発明の積層薄膜を電
子デバイスの構成要素として利用する場合、金属薄膜は
電極としても機能する。金属薄膜上に、エピタキシャル
の立方晶酸化物を介して圧電薄膜等を形成すれば、特性
の良好な薄膜バルク共振器等の各種電子デバイスが実現
する。
【0034】バッファ層のファセット面が存在する表面
に設けられる金属薄膜は、前述したように、ファセット
面により構成される凹部を埋めながら成長し、最終的に
金属薄膜表面は平坦となり、かつ、基板表面に平行とな
る。
【0035】金属薄膜は、通常、膜面と平行に(10
0)面が配向した立方晶エピタキシャル膜となっている
が、応力によって結晶が変形して、例えば正方晶(00
1)配向のエピタキシャル膜となることもある。
【0036】金属薄膜は、強誘電体の成膜温度での耐熱
性に優れたものであるとともに、応力を吸収するための
可塑性に優れたものであることが好ましい。具体的に
は、Pt、Ir、Pd、Rh、およびAuの少なくとも
1種を主成分とすることが好ましく、PtおよびAuの
いずれか1種を主成分とすることがさらに好ましい。こ
れらの金属の単体またはこれらの金属を含む合金から構
成されることが好ましい。また、金属薄膜は、組成の異
なる2種以上の薄膜から構成されていてもよい。
【0037】金属薄膜の厚さは、好ましくは50〜50
0nm、より好ましくは50〜200nmである。薄すぎる
と、変形による応力の吸収が不十分となり、また、結晶
性、表面性が損なわれる。厚すぎると、FBAR等の圧
電体素子に用いた場合に共振特性が損なわれる。表面が
ファセット面により構成されるバッファ層を用いた場合
には、バッファ層の凹凸を埋めるために厚さを50nm以
上とすれば、十分な表面平坦性が得られる。また、電極
として十分に機能させるためには、厚さを50〜500
nmとすることが好ましい。
【0038】なお、金属薄膜の比抵抗は、好ましくは1
-7 〜103 Ωcm、より好ましくは10-7 〜10-2
Ωcmである。
【0039】〔酸化物薄膜〕酸化物薄膜は、金属薄膜に
接して形成されており、金属薄膜とともに基板からの引
っ張り応力を緩和、制御する働きを持つ。また、酸化物
薄膜を強誘電体薄膜上にさらに形成することにより、強
誘電体薄膜に2次元的な圧縮応力を加えることが可能と
なり、強誘電体薄膜の特性を向上させる効果がある。
【0040】酸化物薄膜は、その上に形成される強誘電
体膜の結晶性を良好なものとするために、金属薄膜に対
してエピタキシャルに形成されていることが必要とな
る。この薄膜は、立方晶(100)単一配向、あるいは
正方晶(001)単一配向していることが好ましい。酸
化物薄膜が、Si基板上に形成されている場合には、応
力による歪みを受け結晶が変形したり、ドメインを形成
したりすることもあるため、立方晶(100)配向膜が
変形した正方晶(001)配向膜となっていたり、正方
晶の(001)配向と(100)配向からなる90度ド
メイン構造となっていても良い。
【0041】酸化物薄膜の材料としては、例えば、Ca
2 構造、希土類c型構造、パイロクロア構造、NaC
l構造、ペロブスカイト型構造を有するものが好ましい
が、強誘電体の多くがペロブスカイト構造を有すること
から、強誘電体との結晶整合性に適した、ペロブスカイ
ト型酸化物がさらに好ましく、導電性ペロブスカイト型
酸化物薄膜がさらに好ましい。導電性ペロブスカイト型
酸化物薄膜を用いれば、金属薄膜(Pt)とともに下部
電極としても機能させることができ、その上に形成され
る強誘電体薄膜に効率よく電圧を印加することができ
る。ペロブスカイト型酸化物薄膜としては、例えば、S
rTiO3 、希土類元素含有チタン酸鉛、およびSrR
uO等の導電性ペロブスカイト型酸化物が好ましい。
【0042】酸化物薄膜は、導電性を有することが好ま
しい。酸化物薄膜の比抵抗は、好ましくは103 Ωcm以
下、より好ましくは10-6 〜10-2 Ωcm程度である。
【0043】酸化物薄膜に用いる材料のa軸の格子定数
が、その上に作製する強誘電体薄膜に用いる材料のa軸
の格子定数より小さい場合には、ミスフィットによる弾
性歪みを利用して強誘電体膜をc軸方向に伸長させるこ
とができ、酸化物薄膜と強誘電体薄膜の界面から数十ナ
ノメートルの厚さまで(001)配向した強誘電体膜を
得ることができる。
【0044】酸化物薄膜の厚さは、好ましくは30〜5
00nm、より好ましくは50〜200nmである。薄すぎ
ると、収縮の効果が十分に得られず、基板の引っ張り応
力の吸収が不十分となる。厚すぎると、金属薄膜と同様
に、FBAR等の圧電体素子に用いた場合に共振特性が
損なわれる。
【0045】酸化物薄膜は単層膜であっても多層膜であ
っても良い。例えば、酸化物薄膜の製造過程、または形
成後にその下地の金属薄膜の一部が酸化されて、酸化物
層が形成されていても良い。また、酸化物薄膜と金属薄
膜の間に正方晶等からなる薄膜が形成されていても良
い。例えば、Pt上にBaTiO3 を形成し、その上に
SrRuO3 を積層した構造でも良い。
【0046】酸化物薄膜上にはさらに金属薄膜が形成さ
れていても良い。また、金属薄膜と酸化物薄膜との積層
を数回重ねても良い。これらにより、さらに応力の緩和
効果が得られる。積層を重ねる場合、強誘電体薄膜に接
している層は酸化物薄膜と金属薄膜とのいずれでも良
い。
【0047】強誘電体薄膜上に形成される酸化物薄膜
は、強誘電体薄膜の後に形成されるため、強誘電体薄膜
の結晶性に影響を及ぼさない。したがって、この酸化物
薄膜は必ずしもエピタキシャル膜である必要はない。し
かし、強誘電体薄膜と酸化物薄膜との界面に生じる欠陥
等が強誘電特性等の悪化を引き起こすことになるので、
エピタキシャル膜であることが好ましい。
【0048】ところで、強誘電体薄膜と金属薄膜の間に
他の酸化物薄膜を有する構造としては、例えば以下のも
のが知られている。
【0049】特開平11−274419号公報には、実
施例1としてSi(100)基板上にV1−xAlx
N、Pt、SrRuO3 、BSTO、Ptを順に積層し
た構造を持つ薄膜キャパシタが記載されている。同公報
では、SrRuO3 の下地のPtは酸化防止層として機
能することのみが記載されているだけで、PtとSrR
uO3 の組み合わせによる応力緩和および制御に関して
は記述されていない。また、Ptは必ずしも必要でない
と記されており、その膜厚についての記述も無い。さら
に、同公報では、窒化物を下部電極と基板の間に設けて
いるが、金属薄膜と基板との間に酸化物からなるバッフ
ァ層を形成した本発明の構造とは異なる。上記と同様の
構造は、IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS Vol 18 (1997)
pp.529-531にも記載されているが、SrRuO3 の下
地のPtは、さらにその下地の窒化物層の表面酸化を抑
えるために導入しているもので、膜厚は30nmである。
我々の検討の結果、30nmの膜厚のPt薄膜では、応力
緩和の効果はほとんど得られないことが判明した。した
がって、このような構造では、本発明が目的とする効果
は得られない。
【0050】特開平10−93036号公報には、導電
性ペロブスカイト型酸化物からなる下部電極と、前記下
部電極上に形成されたペロブスカイト型酸化物からなる
誘電体薄膜とを具備する誘電体薄膜素子において、前記
下部電極の下地層として、その酸化物が導電性を有する
金属、および導電性を有する前記金属の窒化物、珪化
物、酸化物から選ばれる少なくとも1種からなる層が設
けられていることを特徴とする誘電体薄膜素子が記載さ
れているが、同公報での下部電極の下地層は、下部電極
の下側に存在するSiプラグやWプラグ等の導電層表面
の表面性状や電気的特性等に悪影響を及ぼすような酸化
を防止するためのもので、本発明の目的とは異なる。ま
た、同公報には、積層膜がエピタキシャル膜であるよう
な記述は一切無く、ポリシリコンやSiO2 上に形成さ
れているためエピタキシャル膜とすることは不可能で、
多結晶または非晶質膜である可能性が高い。このような
膜では、良好な強誘電特性、あるいは共振特性は得られ
ない。
【0051】特開平11−195768号公報には、S
i基板上に順にSiO2 、Ti、Pt、SRO、PZ
T、SRO、Ptで積層した、電子装置が記載されてい
るが、エピタキシャル膜との記載は無く、SiO2 上に
形成されていることから多結晶膜または非晶質膜である
可能性が高い。このような膜では良好な強誘電特性は得
られない。また、同公報記載のPt膜は拡散防止層とし
て作用させるために設けており、本発明の作用とは異な
る。
【0052】特開平11−322424号公報には、強
誘電性ペロブスカイト型酸化物と導電性ペロブスカイト
型酸化物とを積層した圧電材料が記載されており、さら
に、導電性ペロブスカイト型酸化物の外側に金属電極を
積層した構造が記載されているが、同公報では強誘電性
酸化物を焼結体あるいは、単結晶としているため、Si
等の基板上に形成されたエピタキシャル積層薄膜ではな
い。また、導電性酸化物と金属電極を積層する理由につ
いては、記述されていない。
【0053】特開平6−224068号公報には、基板
上に、導電層、ペロブスカイト型酸化物誘電体および上
部電極を順次積層してなる薄膜キャパシタにおいて、導
電層を白金その他の高融点金属からなる第1の導電層と
三酸化レニウム型の結晶構造を有する金属酸化物を有す
る第2の導電層の積層構造とした薄膜キャパシタが記載
されているが、第1の導電層は基板の酸化を防止するた
めに設けられており、本発明の作用とは異なる。また、
基板としてはチタンしか記載されておらず、このような
基板上に強誘電体をエピタキシャル形成することは不可
能であり、良好な強誘電特性は得られない。
【0054】このように、従来、金属薄膜と強誘電体薄
膜の間に他の酸化物薄膜を形成する積層薄膜は知られて
いるが、本発明の積層薄膜とは膜の結晶性あるいは構造
が異なる。また、従来の積層薄膜では、金属薄膜は拡散
防止や酸化防止のために設けられているものがほとんど
で、本発明のように、酸化物薄膜と金属薄膜との組み合
わせによって基板からの応力の緩和および制御を行って
いるものは、報告されていない。
【0055】〔強誘電体薄膜〕強誘電体薄膜は、ペロブ
スカイト型酸化物薄膜上に設けられる。強誘電性、圧電
性など、要求される機能に応じて適宜選択すればよい
が、例えば以下の材料が好適である。
【0056】(A)ペロブスカイト型材料:希土類元素
含有チタン酸鉛、PZT(ジルコンチタン酸鉛)、PL
ZT(ジルコンチタン酸ランタン鉛)等のPb系ペロブ
スカイト化合物;Bi系ペロブスカイト化合物など。以
上のような単純、複合、層状の各種ペロブスカイト化合
物。
【0057】なお、本明細書では、PbTiO3 などの
ようにABOxにおけるOの比率xをすべて3として表
示してあるが、xは3に限定されるものではない。ペロ
ブスカイト材料によっては、酸素欠陥または酸素過剰で
安定したペロブスカイト構造を組むものがあるので、A
BOxにおいて、xの値は、通常、2.7〜3.3程度
である。また、A/Bは1に限定されるものではない。
A/Bを変えることにより、強誘電特性や圧電特性など
の電気的特性、および表面平坦性や結晶性を変化させる
ことができる。従って、A/Bは必要とされる強誘電体
薄膜の特性に応じて変化させてもよい。通常、A/Bは
0.8〜1.3程度である。なお、A/Bは、蛍光X線
分析法から求めることができる。
【0058】なお、上記PZTは、PbZrO3 −Pb
TiO3 系の固溶体である。また、上記PLZTは、P
ZTにLaがドープされた化合物であり、ABO3 の表
記に従えば、例えば(Pb:0.89〜0.91、La:0.11〜
0.09)(Zr:0.65、Ti:0.35)O3 のように表され
る。
【0059】ペロブスカイト型強誘電体の中では、PZ
Tが、強誘電特性の他に圧電特性にも優れるため、好ま
しい。PZT薄膜の組成は、Ti/(Ti+Zr)原子
比として、0.60から0.90の範囲が好ましく、
0.70から0.85の範囲がさらに好ましい。0.6
0よりTiの割合の少ない組成域では強誘電特性、ある
いは共振特性が悪化する。一方、Tiの割合が多すぎる
と、絶縁性が悪化する。
【0060】希土類元素含有チタン酸鉛としては、原子
比率が (Pb+R)/Ti=0.8〜1.3、 Pb/(Pb+R)=0.5〜0.99 の範囲、特に、 (Pb+R)/Ti=0.9〜1.2、 Pb/(Pb+R)=0.7〜0.97 の範囲にある組成のものを用いることが好ましい。この
組成の希土類元素含有チタン酸鉛は、特開平10−17
394号公報に開示されている。
【0061】(B)タングステンブロンズ型材料:SBN
(ニオブ酸ストロンチウムバリウム)、PBN(ニオブ酸
鉛バリウム)等のタングステンブロンズ型酸化物など。
【0062】タングステンブロンズ型材料としては、強
誘電体材料集のLandoit-Borenstein.Vol.16記載のタン
グステンブロンズ型材料が好ましい。具体的には、(B
a,Sr)Nb26 、(Ba,Pb)Nb26 、Pb
Nb26 、PbTa26 、BaTa26 、PbNb4
11 、PbNb26 、SrNb26 、BaNb2 6
等やこれらの固溶体が好ましく、特に、SBN[(B
a,Sr)Nb26 ]やPBN[(Ba,Pb)Nb2
6 ]が好ましい。
【0063】強誘電体薄膜は、下地のペロブスカイト型
酸化物薄膜上にエピタキシャル成長していることが必要
である。強誘電体薄膜が正方晶である場合には(00
1)単一配向膜であることが好ましいが、Si基板から
の応力によって(100)配向結晶と(001)配向結
晶からなる90度ドメイン構造となっていても良い。
【0064】〔結晶性〕バッファ層、金属薄膜、酸化物
薄膜、および強誘電体薄膜の結晶性は、XRD(X線回
折)における反射ピークのロッキングカーブの半値幅
や、RHEED像のパターンで評価することができる。
なお、RHEEDとは、反射高速電子線回折(Reflecti
on High Energy Electron Diffraction)である。
【0065】具体的には、X線回折において、(10
0)面または(001)面の反射のロッキングカーブの
半値幅がいずれも1.50°以下となる程度の結晶性を
有していることが好ましい。なお、ロッキングカーブの
半値幅の下限値は特になく、小さいほど好ましいが、現
在のところ、前記下限値は一般に0.7°程度、特に
0.4°程度である。また、RHEEDにおいては、像
がスポット状である場合、表面に凹凸が存在しているこ
とになり、ストリーク状である場合、表面が平坦である
ことになる。そして、いずれの場合でも、RHEED像
がシャープであれば、結晶性に優れていることになる。
【0066】本発明の積層薄膜において、バッファ層、
金属薄膜、酸化物薄膜、および強誘電体薄膜は、エピタ
キシャル成長した膜である。
【0067】〔基板〕本発明で用いる基板は、Si、M
gO、SrTiO3 等の各種単結晶から選択することが
できるが、Si(100)単結晶表面を有する基板が最
も好ましい。Si単結晶基板を用いる場合、基板と積層
薄膜とは、それぞれの面内に存在する軸同士も平行であ
ることが好ましい。
【0068】〔製造方法〕バッファ層、金属薄膜、酸化
物薄膜、および強誘電体薄膜の形成方法は特に限定され
ず、基板上、特にSi単結晶基板上に、これらをエピタ
キシャル成長させることのできる方法から適宜選択すれ
ばよいが、蒸着法、MBE法、RFマグネトロンスパッ
タ法などを用いることが好ましく、特に、前記特開平9
−110592号公報や、本出願人による特開平10−
287494号公報等に開示されている蒸着法を用いる
ことが好ましい。
【0069】以下、製造方法の具体例として、ジルコニ
ア薄膜およびY23 薄膜からなるバッファ層、Pt薄
膜からなる金属薄膜、SrRuO3 からなる酸化物薄
膜、PZTからなる強誘電体薄膜を用いた積層薄膜の形
成について説明する。
【0070】この製造方法を実施するにあたっては、例
えば図1に示すような構成の蒸着装置1を用いることが
望ましい。
【0071】この蒸着装置1は、真空ポンプPが設けら
れた真空槽1aを有し、この真空槽1a内には、下部に
基板2を保持するホルダ3が配置されている。このホル
ダ3は、回転軸4を介してモータ等の回転手段5に接続
されており、この回転手段5によって回転され、基板2
をその面内で回転させることができるようになってい
る。上記ホルダ3は、基板2を加熱するヒータ等の加熱
手段6を内蔵している。
【0072】蒸着装置1は、酸化性ガス供給装置7を備
えており、この酸化性ガス供給装置7の酸化性ガス供給
口8は、上記ホルダ3の直ぐ下方に配置されている。こ
れによって、酸化性ガスは、基板2近傍でその分圧が高
くされるようになっている。ホルダ3のさらに下方に
は、Zr等を供給する第1蒸発部9、TiOx(x=
1.67)等を供給する第2蒸発部10、およびPbO
等を供給する第3蒸発部11が配置されている。これら
各蒸発部には、それぞれの蒸発源の他に、蒸発のための
エネルギーを供給するエネルギー供給装置(電子線発生
装置、抵抗加熱装置等)が配置されている。
【0073】まず、上記ホルダに基板をセットする。こ
の製造方法では、均質な薄膜を大面積基板、例えば10
cm2 以上の面積を持つ基板上に形成することができる。
これにより、本発明の積層薄膜を有する電子デバイス
を、従来に比べて極めて安価なものとすることができ
る。なお、基板の面積の上限は特にないが、現状では4
00cm2 程度である。また、ウエハ全面ではなく、部分
的にマスク等で選択して積層薄膜を形成することも可能
である。
【0074】バッファ層の形成前に、Si基板に表面処
理を施すことが好ましい。基板の表面処理は、例えば前
記特開平9−110592号公報や、特開平10−28
7494号公報などに記載された処理方法を利用するこ
とが好ましい。
【0075】このような表面処理後、基板表面のSi結
晶はSi酸化物層により被覆されて保護された状態とな
っている。そして、このSi酸化物層は、バッファ層形
成の際に基板表面に供給されるZr等の金属によって還
元され、除去される。
【0076】次にバッファ層を形成し、その上に金属薄
膜を形成する。バッファ層および金属薄膜の形成には、
特開平11−312801号公報、特開平9−1105
92号公報等に記載された製造方法を用いるのが好まし
い。
【0077】形成された金属薄膜上に、続いて酸化物薄
膜を形成する。酸化物薄膜として、SrRuO3 薄膜を
形成する場合について説明する。蒸着装置1を用いて、
真空ポンプで継続的に排気されている真空槽内で、酸化
性ガスを導入しながら、SrおよびRuをそれぞれの蒸
発源から供給して形成するのが好ましい。
【0078】酸化性ガスには、酸素、オゾン、原子状酸
素、NO2 、ラジカル酸素等を用いることができるが、
酸素を用いるのが好ましい。酸化性ガスは、継続的に排
気されている真空槽内に、継続的に供給される。このと
き、酸化性ガスは基板近傍から供給するのが好ましい。
これにより、基板近傍に酸素分圧の高い領域を局所的に
作り出すことができるので、少ないガス導入量で反応を
促進することができる。酸素ガスの導入量は、5〜50
cc/分が好ましく、15〜35cc/分がさらに好まし
い。酸素ガスの導入量の最適値は、真空槽の容積、真空
ポンプの排気速度、ガス供給口と基板との距離等によっ
て変化するので、予め適当な供給量を求めておく。
【0079】各蒸発源は、電子ビームや抵抗加熱等によ
って加熱して蒸発させ、基板に供給する。成膜速度は、
好ましくは0.02〜1.00nm/s、より好ましくは
0.05〜0.30nm/sである。成膜速度が小さすぎ
ると、各蒸発源からの供給量の制御性が悪化するため、
膜が不均一となりやすい。一方、成膜速度が大きすぎる
と、結晶性が悪化する。
【0080】SrRuO3 形成時の基板温度は、550
〜850℃とするのが好ましく、650〜750℃とす
るのがさらに好ましい。基板温度が低すぎると、結晶性
の良好なエピタキシャル膜が得られなくなる。一方、基
板温度が高すぎると、酸化物薄膜の表面性が悪化した
り、下地の金属薄膜が基板と反応してしまい酸化物薄膜
をエピタキシャル成長させることが不可能となる。
【0081】以上、SrRuO3 薄膜を形成する方法に
ついて説明したが、同様の方法を用いることにより、他
の酸化物薄膜もエピタキシャル成長させることができ
る。
【0082】次に強誘電体薄膜を形成する。強誘電体薄
膜としてPZTを形成する場合には、酸化性ガスを導入
しながら、PbO、TiOx(x=1.67)、Zrを
それぞれの蒸発源から供給して形成するのが好ましい。
酸化性ガスには、酸素、オゾン、原子状酸素、NO
ラジカル酸素等を用いることができるが、酸化性ガスの
一部もしくは大部分をラジカル化した酸素を用いること
が好ましい。これにより、PZT薄膜の形成時におい
て、PbまたはPbOの再蒸発を抑えることができる。
鉛の蒸発源としてPbOを用いる理由は、PbOがPb
に比べて高温の基板上で再蒸発しにくく、付着率が高い
ためである。また、チタンの蒸発源としてTiOxを用
いる理由も、同様に付着率が高いからである。TiOx
のかわりにTiを用いると、PbOがTiに酸素を奪わ
れPbとなり再蒸発してしまうので、好ましくない。な
お、TiOxにおけるxは、好ましくは1≦x<1.
9、より好ましくは1≦x<1.8、さらに好ましくは
1.5≦x≦1.75、特に好ましくは1.66≦x≦
1.1.75である。このようなTiOxは、熱エネル
ギーを加えると真空槽内で溶融し、安定した蒸発速度が
得られる。
【0083】PZT形成時の基板温度は500〜750
℃とするのが好ましく、550〜650℃とするのがさ
らに好ましい。成膜速度は、好ましくは0.030〜
1.000nm/s、より好ましくは0.100〜0.3
00nm/sである。成膜速度が遅すぎると成膜速度を一
定に保つのが難しく、膜が不均質になりやすい。一方、
成膜速度が速すぎると、膜の結晶性が悪化する。
【0084】TiOxおよびZrは、供給したほぼ全量
が基板上に成長するPZT結晶に取り込まれるので、目
的とする組成比に対応した比率の蒸発速度で基板上に供
給すればよい。しかし、PbOは蒸気圧が高いので組成
ずれを起こしやすく、制御が難しい。この形成方法で
は、このPbOの特性を逆に利用し、PbO蒸発源から
の基板への供給量比を、形成されるPZT膜結晶におけ
る比率に対し過剰とする。過剰供給の度合いは、蒸発源
から供給されるPbと(Ti+Zr)との原子比Pb/
(Ti+Zr)をE[Pb/(Ti+Zr)]とし、そのとき形成さ
れる強誘電体薄膜中のPbと(Ti+Zr)との原子比
Pb/(Ti+Zr)をF[Pb/(Ti+Zr)]としたとき、こ
れらの関係が、E[Pb/(Ti+Zr)]/F[Pb/(Ti+Zr)]=1.
5〜3.5、好ましくはE[Pb/(Ti+Zr)]/F[Pb/(Ti+Z
r)]=1.7〜2.5、より好ましくはE[Pb/(Ti+Zr)]
/F[Pb/(Ti+Zr)]=1.9〜2.3となるものである。
過剰なPbOあるいはペロブスカイト構造に組み込まれ
ないPbOは基板表面で再蒸発し、基板上にはペロブス
カイト構造のPZT膜だけが成長することになる。E[P
b/(Ti+Zr)]/F[Pb/(Ti+Zr)]が小さすぎると、膜中にP
bを十分に供給することが困難となり、膜中のPb/
(Ti+Zr)の比率が低くなりすぎて結晶性の高いペ
ロブスカイト構造とならない。一方、E[Pb/(Ti+Zr)]/
F[Pb/(Ti+Zr)]が大きすぎると、膜中のPb/(Ti+
Zr)の比率が大きくなりすぎて、ペロブスカイト相の
他に他のPbリッチ相が出現し、ペロブスカイト単相構
造が得られなくなる。
【0085】以上説明したように、PbOおよびTiO
xを蒸発源として用いて付着率を高め、ラジカル酸素に
より強力に酸化し、かつ基板温度を所定範囲に設定する
ことにより、Pbの過不足のないほぼストイキオメトリ
のPZT結晶が基板上に自己整合的に成長する。この方
法は、ストイキオメトリの鉛系ペロブスカイト結晶薄膜
を製造する画期的な方法であり、結晶性の極めて高い強
誘電体薄膜が得られる方法である。
【0086】この方法は、他のPb系強誘電体材料から
なる薄膜の形成にも適用でき、これらの場合でも同様な
効果が得られる。また、Bi系酸化物薄膜にも適用でき
る。Bi系酸化物薄膜においても、真空中でBiの蒸気
圧が高いために、これまで組成制御が不十分であった
が、この方法においてPbO蒸発源をBi23 蒸発源
に替えることで同様に形成できることを確認している。
Bi系の場合も、Biが過不足無く自己整合的に結晶に
取り込まれ、ストイキオメトリの強誘電体薄膜結晶が得
られる。
【0087】こうして作製した強誘電体薄膜上に、さら
に酸化物薄膜を形成する場合には、上述の酸化物薄膜の
形成方法と同じ方法を用いることが好ましい。この方法
を用いれば、強誘電体薄膜上に酸化物薄膜を安定にエピ
タキシャル成長させることができる。基板温度は、強誘
電体薄膜形成時の基板温度にほぼ等しい温度とすること
が好ましい。それにより、酸化物薄膜の圧縮応力を効果
的に強誘電体薄膜に作用させることが可能となる。
【0088】成膜面積が10cm2 程度以上である場合、
例えば直径2インチの基板の表面に成膜するときには、
図1に示すように基板を回転させ、酸化性ガスを基板表
面の全域に万遍なく供給することにより、成膜領域全域
で酸化反応を促進させることができる。これにより、大
面積でしかも均質な膜の形成が可能となる。このとき、
基板の回転数は10rpm以上であることが望ましい。回
転数が低いと、基板面内で膜厚の分布が生じやすい。基
板の回転数の上限は特にないが、通常は真空装置の機構
上120rpm程度となる。
【0089】以上、本発明の積層薄膜の形成方法の詳細
を説明したが、この方法は、従来の真空蒸着法、スパッ
タリング法、レーザーアブレージョン法などとの比較に
おいて特に明確なように、不純物の介在の余地のない、
しかも制御しやすい操作条件下で実施しうるため、再現
性よく完全性が高い目的物を大面積で得るのに好適であ
る。
【0090】さらに、この方法においてMBE装置を用
いても、全く同様にして目的とする積層薄膜を得ること
ができる。
【0091】〔電子デバイス〕本発明の積層薄膜は、半
導体プロセスにより加工して、キャパシタおよびFET
のゲートとして構成した半導体記憶装置、赤外線センサ
等の薄膜強誘電体素子、AFM(原子間力顕微鏡)プロ
ーブ等により強誘電体を分極反転させて情報を記録する
記録媒体、あるいは、移動体通信機等に利用される、F
BAR等の薄膜振動子、薄膜VCO、薄膜フィルタ、液
体噴射装置等に利用される薄膜圧電体素子、などに適用
することができる。半導体プロセスによる加工は、積層
薄膜の形成後、あるいは形成の途中の過程のいずれで行
っても良く、例えば、金属薄膜まで形成した後にその金
属薄膜をエッチング等によりパターンニングし、基板表
面に金属薄膜部とバッファ薄膜部とが現れている基板上
に、酸化物薄膜、および強誘電体薄膜を形成し、電子デ
バイスとしても良い。この場合、金属薄膜上に形成され
た酸化物薄膜および強誘電体薄膜は金属薄膜の結晶に対
してcube on cubeでエピタキシャル成長するが、金属薄
膜が除去された部分に形成される酸化物薄膜および強誘
電体薄膜は、金属薄膜上に形成されたものに対し45°
面内回転した状態でエピタキシャル成長することもあ
る。
【0092】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 〔実施例1、比較例1,2〕Si(100)単結晶基板
上に、ZrO2 薄膜、Y23 薄膜、Pt薄膜、BaT
iO3 薄膜、SrRuO3 薄膜、PZT薄膜がこの順で
積層された積層薄膜を、以下の手順で形成した。
【0093】まず、表面が(100)面となるように切
断して鏡面研磨したSi単結晶ウエハ(直径2インチ、
厚さ250μmの円板状)を用意した。このウエハ表面
を40%フッ化アンモニウム水溶液により、エッチング
洗浄した。
【0094】次に、図1に示す蒸着装置1を用い、真空
槽1a内に設置された回転および加熱機構を備えた基板
ホルダ3に上記単結晶基板2を固定し、真空槽を10-6
Torrまで油拡散ポンプにより排気した後、基板洗浄面
をSi酸化物を用いて保護するため、基板を20rpmで
回転させ、酸素を基板付近にノズル8から25cc/分の
割合で導入しつつ、600℃に加熱した。これにより基
板表面が熱酸化され、基板表面に厚さ約1nmのSi酸化
物膜が形成された。
【0095】次いで、基板を900℃に加熱し、回転さ
せた。回転数は20rpmとした。このとき、ノズルから
酸素ガスを25cc/分の割合で導入すると共に、金属Z
rを蒸発源から蒸発させて前記基板表面に供給し、前工
程で形成したSi酸化物の還元と薄膜形成とを行った。
なお、金属Zrの供給量は、ZrO2 の膜厚に換算して
10nmとした。この薄膜は、X線回折においてZrO2
の(002)ピークが明瞭に観察され、(001)単一
配向で高結晶性のZrO2 薄膜であることが確認され
た。また、このZrO2 薄膜は、図2に示すように、R
HEEDにおいて完全なストリークパターンを示し、表
面が分子レベルで平坦であって、かつ高結晶性のエピタ
キシャル膜であることが確認された。
【0096】次に、このZrO2 薄膜を形成した単結晶
基板を基板とし、基板温度900℃、基板回転数20rp
m、酸素ガス導入量15cc/分の条件で、基板表面に金
属Yを供給することにより、Y23 薄膜を形成した。
金属Yの供給量は、Y2O3に換算して40nmとした。
このY23 薄膜のRHEED像は、図3に示されるよ
うにシャープなスポット状であった。このことから、こ
のY23 薄膜は、結晶性が良好なエピタキシャル膜で
あり、かつ、表面に凹凸が存在することがわかる。この
23 薄膜の断面を、透過型電子顕微鏡により観察し
たところ、高さ10nmのファセット面が存在し、ファセ
ット面の比率は95%以上であった。
【0097】次に、Y23 薄膜上に、金属薄膜とし
て、厚さ100nmのPt薄膜を形成した。基板温度は7
00℃、基板回転数は20rpmとした。このPt薄膜の
RHEED像は、図4に示されるようにシャープなスト
リーク状であった。このことから、このPt薄膜は、結
晶性が良好なエピタキシャル膜であり、かつ、表面が分
子レベルで平坦であることがわかる。
【0098】また、Pt薄膜表面について、JIS B 0610
による十点平均粗さRz(基準長さ1000nm)を測定
したところ、1.1〜1.8nmであり、平坦性に優れて
いることが直接確認できた。
【0099】次に、Pt薄膜上に、酸化物薄膜として厚
さ5nmのBaTiO3 薄膜を介して厚さ50nmのSrR
uO3 薄膜を形成した。基板温度は750℃、基板回転
数は20rpm、酸素ガス導入量は25cc/分とした。基
板上にSrおよびRuをそれぞれの蒸発源から蒸発させ
た。形成されたSrRuO3 薄膜のRHEED像は、図
5に示されるようにシャープなストリーク状を示し、表
面が分子レベルで平坦であって、かつ高結晶性のエピタ
キシャル成長した膜であることが確認された。また、S
rRuO3 薄膜の比抵抗は4×10-4 Ωcmであった。
【0100】次に、SrRuO3 薄膜上に、強誘電体薄
膜として、厚さ500nmのPZT膜を蒸着法により形成
した。具体的には、基板を600℃に加熱し、20rpm
で回転させた。そして、ECR酸素源からラジカル酸素
ガスを10cc/分の割合で導入し、基板上にPbO、T
iOx(x=1.67)およびZrをそれぞれの蒸発源
から供給することによりPZT膜を形成した。蒸発源か
らの供給量はPbO:ZrO2 :TiO2 のモル比が
2:0.25:0.75になるように制御しながら行っ
た。
【0101】このPZT膜の組成(原子比)を蛍光X線
分光法より調べたところ、 Pb/(Ti+Zr)=1.00 Zr/Ti=0.330 であった。この組成のPZTバルク材の600℃におけ
る格子定数は0.4018nmであり、一方、PZT膜の
下に存在するSrRuO3 膜の600℃における格子定
数は0.3966nmなので、この実施例の積層薄膜で
は、立方晶酸化物薄膜に用いる材料のa軸の格子定数
が、強誘電体薄膜に用いる材料のa軸の格子定数より小
さい場合に相当する。
【0102】形成されたPZT膜のRHEED像は、図
6に示されるようにシャープなストリーク状のパターン
を示した。また、上記の方法で作成した、PZT/Sr
RuO3 /Pt/Y23 /ZrO2 /Si(100)
構造の積層薄膜のX線回折を測定した結果、(001)
または(100)と等価なピークのみが観測された。こ
れらのことから、この積層薄膜は、面内での結晶軸の関
係がPZT[100]//Si[010]またはPZT
[001]//Si[010]の、高結晶性のエピタキシ
ャル成長した膜であることが確認された。
【0103】一方、比較例1として、PZT/Pt/Y
23 /ZrO2 /Si(100)構造の積層薄膜を挙
げる。実施例1の構造のうち、酸化物薄膜の層、すなわ
ちSrRuO3 薄膜層を持たない積層薄膜で、各層は実
施例1と同じ膜厚、組成、方法で形成した。各層とも、
RHEEDで実施例1と同様のストリークまたはスポッ
トパターンが観測され、結晶性の高いエピタキシャル成
長した膜であることが確認された。
【0104】さらに、比較例2として、PZT/SrR
uO3 /BaTiO3 /ZrO2 /Si(100)構造
の積層薄膜を挙げる。酸化物薄膜とSi基板との間に金
属薄膜を待たない構造である。PZT薄膜は、実施例1
と同じ組成、膜厚、形成方法で形成した。SrRuO3
薄膜、BaTiO3 薄膜の厚さは、ともに50nmとし
た。RHEEDパターンより各層がエピタキシャル成長
していることが確認された。
【0105】実施例1、比較例1および2のPZT膜の
(001)および(100)ピーク付近のX線回折の結
果を、それぞれ、図7、8、および9に示す。これらの
ピークには、PZT膜の下地層である、SrRuO3
やBaTiO3 膜からの回折が重なるが、下地層のみの
X線回折測定を行うことにより、PZT薄膜の(00
1)および(100)ピークへの下地層からの回折の影
響はほぼ無視できることが予め確認された。PZT膜の
(001)ドメインと(100)ドメインの割合を調べ
るため、(001)ピークの強度をIc、(100)ピ
ークの強度をIaとして、それぞれのPZT膜のIc/
(Ia+Ic)を求めた。Ic/(Ia+Ic)の値
は、PZT/SrRuO3 /Pt/Y23 /ZrO2
/Si(100)構造で0.540、PZT/Pt/Y
23 /ZrO2 /Si(100)構造で0.158、
PZT/SrRuO3 /BaTiO3 /ZrO2 /Si
(100)構造で0.267となった。このことから、
実施例1の構造とすることにより、PZT膜のドメイン
構造が著しく改善され、優先的に(001)配向したP
ZT膜が得られることが明らかとなった。
【0106】〔実施例2、比較例3〕実施例1の積層薄
膜を用い、図10に示した構造のFBAR素子を作製し
た。図示するFBAR素子は、ビアホール21が形成さ
れたSi(100)単結晶基板(以下、単にSi基板と
いう)22を有し、Si基板22上に、酸化物薄膜等か
らなるバッファ層23、Pt等の導電性薄膜からなる下
地電極24、BaTiO3 、およびSrRuO3 等のペ
ロブスカイト型酸化物薄膜25、PZT等の強誘電体薄
膜26およびAu等の導電薄膜からなる上部電極27を
この順で設けたものである。ビアホール21は、図中下
面側からSiを異方性エッチングすることにより形成し
たものであり、このビアホール21により、その上に積
層された薄膜がダイヤフラムを構成している。Si基板
22の下面は、ダイボンド剤30によりパッケージ31
の底面に接着され、パッケージ31の上部は蓋33によ
り封止されている。
【0107】先ず、Si(100)基板22上に、Zr
2 、およびY23 のバッファ層23、Ptの下部電
極24、BaTiO3 、およびSrRuO3 の酸化物薄
膜25をこの順で形成した後、SrRuO3 /BaTi
3 /Pt層をエッチングにより部分的に除去して下部
電極をパターンニングし、その上にPZT強誘電体層2
6を蒸着により形成した。ここで、下部電極面積は20
μm×20μm角である。このとき、PZT膜の一部は
23 上に形成されることになるが、SrRuO3
上、Y23 上ともにPZT膜はエピタキシャル成長し
ていることが、RHEEDにより確認された。PZT薄
膜の組成はZr:Ti原子比で0.25:0.75と
し、膜厚は500nmとした。続いて、電極面積20μm
×20μm角のAlからなる上部電極27を形成、パタ
ーンニング加工し、Si基板22をエッチングすること
によりビアホール21を形成した。最後に、ダイシング
装置でチップに分割し、ダイボンド剤30を用いてパッ
ケージ31に搭載した後、ワイヤー32により配線し、
封止して素子を完成させた。
【0108】また、比較例3として、比較例1のPZT
/Pt/Y23 /ZrO2 /Si(100)構造の積
層薄膜を用いたFBAR素子を作製した。積層薄膜の作
製、および素子の作成方法は、それぞれ比較例1、およ
び実施例3と同じである。
【0109】実施例3のFBAR素子を測定した。最初
に、PZT膜に直流電圧を印加しない状態で測定した。
共振周波数、反共振周波数は、それぞれ2.2GHz、
2.49GHzであった。共振・反共振周波数でのインピ
ーダンス差は29dBであった。また、電気機械結合係
数を求めるとk2 =28%と、極めて優れた特性が得ら
れた。これらの特性は、PZT膜に印加する直流電圧を
変化させても、ほとんど変わらなかった。
【0110】一方、比較例3のFBAR素子を測定した
ところ、PZT膜に直流電圧を印加しない場合にはほと
んど共振および反共振が見られなかった。
【0111】このことから、本発明の積層薄膜を用いた
FBAR素子は極めて優れた特性を持つことが分かっ
た。
【0112】
【発明の効果】本発明では、Si基板と強誘電体薄膜の
間に、金属薄膜と酸化物薄膜を形成することで、強誘電
体薄膜にかかる応力を緩和し、優先的に(001)配向
した任意の厚さの強誘電体膜およびその製造方法を得る
ことができる。
【0113】さらに、立方晶酸化物薄膜に用いる材料の
a軸の格子定数が、その上に作製する強誘電体薄膜に用
いる材料のa軸の格子定数より小さい場合には、ミスフ
ィットによる弾性歪みの効果が付加されることになり、
この効果を利用して強誘電体膜をc軸方向に伸長させる
ことができ、優先的に(001)配向した強誘電体膜お
よびその製造方法を得ることができる。
【0114】本発明の積層薄膜は、各種電子デバイス、
例えば半導体プロセスにより加工して、キャパシタおよ
びFETのゲートとして構成した半導体記憶装置、赤外
線センサ等の薄膜強誘電体素子、AFM(原子間力顕微
鏡)プローブ等により強誘電体を分極反転させて情報を
記録する記録媒体、あるいは、移動体通信機等に利用さ
れる、FBAR等の薄膜振動子、薄膜VCO、薄膜フィ
ルタ、液体噴射装置等に利用される薄膜圧電体素子、な
どに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層薄膜の形成に用いられる蒸着装置
の一例を示す説明図である。
【図2】結晶構造を示す図面代用写真であって、Si単
結晶基板上に形成されたZrO 2 薄膜のRHEED像で
ある。
【図3】結晶構造を示す図面代用写真であって、図2に
RHEED像を示すZrO2 薄膜上に形成されたY23
薄膜のRHEED像である。
【図4】結晶構造を示す図面代用写真であって、図3に
RHEED像を示すY23 薄膜上に形成されたPt薄
膜のRHEED像である。
【図5】結晶構造を示す図面代用写真であって、図4に
RHEED像を示すPt薄膜上にBaTiO3 薄膜を介
して形成されたSrRuO3 薄膜のRHEED像であ
る。
【図6】結晶構造を示す図面代用写真であって、図5に
RHEED像を示すSrRuO3薄膜上に形成されたP
ZT薄膜のRHEED像である。
【図7】SrRuO3 /Pt/Y23 /ZrO2 /S
i(100)上に形成されたPZT膜のX線回折チャー
トである。
【図8】Pt/Y23 /ZrO2 /Si(100)上
に形成されたPZT膜のX線回折チャートである。
【図9】SrRuO3 /BaTiO3 /ZrO2 /Si
(100)上に形成されたPZT膜のX線回折チャート
である。
【図10】本発明の積層薄膜を用いて作製したFBAR
素子の構造図である。
【符号の説明】
1 蒸着装置 1a 真空槽 2 基板 3 ホルダ 4 回転軸 5 モータ 6 ヒータ 7 酸化性ガス供給装置 8 酸化性ガス供給口 9 第1蒸発部 10 第2蒸発部 11 第3蒸発部 21 ビアホール 22 Si 23 ZrO2 薄膜 23 Y23 薄膜 24 Pt薄膜 25 PbTiO3 薄膜 26 PZT薄膜 27 Al電極 30 ダイボンド剤 31 パッケージ 32 ワイヤー 33 蓋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 久俊 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 阿部 秀典 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 4G077 AA03 BC43 DA01 ED05 ED06 EF02 EF03 5F058 BA20 BD01 BD05 BF17 BH03 BJ01 5F083 JA14 JA15 JA38 JA43 PR25

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にエピタキシャル成長した積層薄
    膜で、酸化物からなるバッファ層と強誘電体薄膜を有
    し、前記バッファ層と強誘電体薄膜との間に金属薄膜と
    酸化物薄膜がこの順で形成された層を有する積層薄膜。
  2. 【請求項2】 前記酸化物薄膜は、導電性を有する請求
    項1の積層薄膜。
  3. 【請求項3】 前記強誘電体薄膜上に酸化物薄膜が形成
    されている請求項1または2の積層薄膜。
  4. 【請求項4】 前記酸化物薄膜は、ペロブスカイト型酸
    化物である請求項1〜3のいずれかの積層薄膜。
  5. 【請求項5】 前記酸化物薄膜に用いる材料のa軸の格
    子定数が、前記強誘電体薄膜に用いる材料のa軸の格子
    定数より小さい請求項1〜4のいずれかの積層薄膜。
  6. 【請求項6】 前記金属薄膜がPt、Ir、Pd、Rh
    およびAuの少なくとも1種を含有する請求項1〜5の
    いずれかの積層薄膜。
  7. 【請求項7】 前記金属薄膜の膜厚が、50〜500nm
    である請求項1〜6のいずれかの積層薄膜。
  8. 【請求項8】 前記強誘電体薄膜がPbおよびTiを含
    む請求項1〜7のいずれかの積層薄膜。
  9. 【請求項9】 前記バッファ薄膜が酸化ジルコニウム、
    希土類元素酸化物、またはZrの一部を希土類元素もし
    くはアルカリ土類元素で置換した酸化ジルコニウムを含
    有する請求項1〜8のいずれかの積層薄膜。
  10. 【請求項10】 前記基板がSi(100)単結晶基板
    である請求項1〜9のいずれかの積層薄膜。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかの積層薄膜
    を有する電子デバイス。
  12. 【請求項12】 基板上に酸化物からなるバッファ層を
    エピタキシャル成長させて形成し、 さらに白金の金属薄膜を形成した後、導電性ペロブスカ
    イト型酸化物薄膜をエピタキシャル成長させて形成し、 その後、強誘電体薄膜をエピタキシャル成長させて形成
    する積層薄膜の製造方法。
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