JP4676109B2 - 折畳み可能な車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は折畳み可能な車両の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
折畳み可能な軽車両は各種の形式の物が提案されており、例えば特開昭52−137835号公報「折りたたみ自転車」の第1図に走行可能状態の自転車、そして第2図に折畳み状態の自転車が示されている。
【0003】
すなわち、第3図において、前方ケース1へハンドル4及びホーク5(前輪6付き)を矢印の如く折畳み、後方ケース2に係合部材9並びにサドル10を矢印の如く折畳む。次に、前方ケース1を矢印の如く下へ揺動させて後方ケース2に折畳むことで、第2図の形態が完成するというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電池及びモータを備えた電動二輪車に上記公報の構造を適用しようとすると、電池若しくはモータを備えた前方ケースを下へ揺動させて後方ケースに合せる、又は後方ケースを下へ揺動させて前方ケースに合せる、ことの何れかを実施しなければならない。
【0005】
しかし、前方ケースを揺動させる場合は後方ケースを、後方ケースを揺動させる場合は前方ケースを、揺動の間支えていなければならず、何れにしても下方へ揺動させることは支持と揺動を同時に行わなければならない。しかも、電池やモータは重量物であるため、前記支持作業及び揺動作業は容易でない。
【0006】
そこで、本発明の目的は容易に折畳むことのできる車両を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、前輪を支える前部フレームに、シート及びこのシートを支えるシート支持部材からなるシート部材を着脱可能に取付けると共にドライバーが膝で挟むニーグリップ部材も着脱可能に取付け、前部フレームに後輪を支える後部フレームを上方へ揺動可能に連結し、シート部材及びニーグリップ部材を外した後の前部フレームへ後部フレームを折畳めるようにし、後部フレームはスイングアームであり、このスイングアームのピボット軸を中心に前部フレームへ折畳むことができると共に、後輪は、そのホイール内に駆動モータを備えていることを特徴とする。
【0008】
後部フレームを上方へ揺動させることで、前部フレームへ折畳む。この際、前部フレームは床等に置いたままで作業を行うことができるので、折畳み作業が容易になる。
【0010】
スイングアームは文字通り揺動部材であるため、スイングアームを後部フレームに代用することにより、後部フレームの構造簡略化が達成できる。
【0012】
請求項1では、車両は原動機付き車両とし、原動機を後輪に内蔵可能なホイールインモータとした。これにより、前部フレームに原動機を備える必要が無く、後輪が収納されるスペースを前部フレームに確保し易くなる。
【0013】
請求項2では、スイングアームは1本の部材で構成し、これに片持ち形式で車軸を取付け、この車軸に後輪を取付け、前部フレームはヘッドパイプから後方へ延びる左右のメインフレームを備え、これらのうちでスイングアーム側のメインフレームを下方へ湾曲形成することにより、スイングアームの収納スペースを確保したことを特徴とする。
【0014】
前部フレーム側の一対のメインフレームのうちの、一方を下方へ湾曲させ、折畳み時のスイングアームの収納スペースを確保した。この結果、折畳み寸法のコンパクト、特に薄型化が達成できる。
【0015】
請求項3ではニーグリップ部材は、前部フレームに後部フレームを折畳んだ後に、前部フレームに元通りに取付けることができ、後部フレームを覆うカバーの役割を果す部材でもあることを特徴とする。
【0016】
前部フレームに後部フレームを折畳んだ後に、前部フレームに二ーグリップ部材を元通りに取付ける。二ーグリップ部材が化粧カバーの役割を果すため、折畳み姿が見栄え良くなる。加えて、二ーグリップ部材を別置きする場合に比べて、全体的なコンパクト化が図れる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る走行可能状態の車両の側面図であり、車両10は、ヘッドパイプ11から後方へ左右一対のメインフレーム12L,12R(Lは運転者から見て左、Rは同右を示す。以下同じ)を延ばし、これらのメインフレーム12L,12Rの後端にピボットフレーム13を渡してなる前部フレーム14を、カウリング16で囲い、このカウリング16の底にバッテリ17を載せ、カウリング16にニーグリップ部材18を上から取付け、このニーグリップ部材18にシート19及びこのシート19を支えるシート支持部材21からなるシート部材22を取付け、前記ヘッドパイプ11に操向可能にフロントフォーク24を取付け、このフロントフォーク24に前輪25を設けると共に上端にハンドルグリップ26を備えたハンドルを設け、前記ピボットフレーム13にピボット軸27を介して後部フレームとしてのスイングアーム28を上下揺動可能に取付け、このスイングアーム28にホイールインモータ29(図10参照)を介して後輪31を取付けてなる電動二輪車である。
【0018】
図中、32は制御箱、33は前ブレーキキャリパー、34は同油圧チューブ、35は後ブレーキキャリパー、36は同油圧チューブ、37L,37R(37Rは奥で見えず。)はステップブラケットである。
【0019】
図2は本発明に係る車両の一部分解図であり、図1と同一部分は符号を流用して説明を省略す、特徴部分を説明する(図3以降も同一)。
クイックファスナ若しくはワンタッチビスと称する簡便な止め具38,38を外すことで、カウリング16からニーグリップ部材18を外すことができる。シート部材22はボルト若しくはビス39を緩めることによりニーグリップ部材18から外すことができる。
【0020】
なお、シート部材22はシート受け板41及びステー42を芯材として有する。
また、本例ではシート部材22はニーグリップ部材18を介して前部フレーム14に取付けたが、シート部材22は直接的に前部フレーム14に取外し可能に取付けることもできる。
【0021】
図3は本発明に係る車両の要部説明図であり、カウリング16を想像線で示すことでフレーム構造を明瞭化した図である。
まず、ヘッドパイプ11から延びる右のメインフレーム12Rは、ピボットフレーム13の図面奥側の側面に結合させる。一方、左のメインフレーム12Lは下方へ湾曲させた後にピボットフレーム13の図手前側の面に結合させる。
【0022】
このようなピボットフレーム13の底に門型ブラケット43を連結し、この門型ブラケット43の底をカウリング16の底16aにボルト44,44にて連結する。そして門型ブラケット43の前面に凸部45を有する受け部材46を取付ける。この受け部材46は車両の折畳み時に使用する。
【0023】
今まで説明しなかったが、スイングアーム28に必須のリヤクッション47は、ピボットフレーム13の上部に設けたクロスパイプ48とリヤクッション47の上面との間に介在させる。クロスパイプ48については次図で説明する。
【0024】
図4は図3の要部斜視図であり、ピボットフレーム13は、底部49とこの底部49の右端から立上げた縦部51とからなる後面視L字形を呈する部材であり、縦部51の右側面に右のメインフレーム12Rを結合し、底部49の左側面に左のメインフレーム12Lを結合したことを示す。
そして、スイングアーム28は一本の部材であり、これに後輪31を片持ち支持構造にて取付けたことを示す。
【0025】
さらに、ピボットフレーム13の縦部51には、長いボルト52にてクロスパイプ48を取外し可能に取付け、このクロスパイプ48をリヤクッション47の凹部53に合せることができる(図3のリヤクッション47参照)。
【0026】
ボルト52を外し、クロスパイプ48を外すと、後輪31を含めてスイングアーム28を上へ揺動させることができ、矢印に従って想像線の位置まで折返すことができる。このときに、想像線で示す後輪31は左右のメインフレーム12L,12Rの間に進入し、想像線で示すスイングアーム28は左のメインフレーム12Lに接近する。
すなわち、左のメインフレーム12Lを下へ湾曲させることでスイングアーム28の収納スペースを確保できたといえる。
【0027】
図5は本発明に係る車両の折畳み途中図であり、ニーグリップ部材18及びシート部材22を取外し(図2参照)、更にシート部材22からテール部54を外し、左右のステップブラケット37L,37Rを外し、ボルト52及びクロスパイプ48を外した後に、ピボット軸27を中心にしてスイングアーム28を上へ揺動させ、図4に示す通りにスイングアーム28及び後輪31を前部フレーム14へ折畳んだ状態を示す。加えて、ハンドルグリップ26も外す。
【0028】
図6は図5の補足図であり、スイングアーム28を一杯に揺動させたときに、スイングアーム28に付属させたリヤクッション47の凹部53が、受け部材46の凸部45に嵌合することを示す。以降、受け部材46が後輪31及びスイングアーム28の支持部材となる。
なお、リヤクッション47はゴムなどの弾性体であるから、スイングアーム28を折畳みのために早い速度で揺動させても、柔らかく停止させることができる。このため、折畳み操作に余り注意を払う必要はなく、折畳み作業が容易になる。
【0029】
図7は本発明に係る車両の折畳み途中図であり、カウリング16にニーグリップ部材18を被せ、止め具38,38で止める。これで、後輪31は実質的にニーグリップ部材18でカバーできるために、外観性が高まる。併せて、一旦、取外したニーグリップ部材18の置き場所を心配する必要が無くなる。
【0030】
図8は本発明に係る車両の折畳み状態を示す図であり、例えば簡便な枠体56に、前輪25、カウリング16、ニーグリップ部材18、スイングアーム28及び後輪31を折畳み状態にしたもの(図7参照)を収納し、外したハンドルグリップ26にシート部材22を被せ、その脇にテール部54を置き、カウリング16下方のスペースに、左右のステップブラケット37L,37R及びボルト52、クロスパイプ48などの小物を適宜、収納する。ハンドルグリップ26やステップブラケット37L,37Rを外したので、枠体56の幅Wは、概ねナンバープレートの幅に抑えることができる。
【0031】
図9は本発明に係る車両を四輪車両に搭載した状態を示す斜視図であり、四輪車両70の車体を構成するサイドボデー71に取付けたドア72内に車両10を収納した状態を示す。
車両10は、前述したように、ナンバープレートの幅内に車幅が収まるように各部を折り畳んだものであるから、収納するスペースの幅を小さくすることができ、ドア72を薄くすることができるから、四輪車両70の車室スペースを十分に確保することができる。75は車両70の後壁である。
【0032】
四輪車両70は、車体構成部材としてのパイプ材にて外形のみを構成したドア72及び車体構成部材としての側壁73,74に、内部を透視可能な透明又は半透明な外パネル材(ガラス等)としてのアウタパネル76,77,78を備えたものであるため、四輪車両70に搭載した車両10が外部から目視可能になり、折り畳んだ車両10を搭載していることが一見してわかる四輪車両70が特徴のあるデザインとなり、商品魅力を向上させることができる上、積みおろし忘れなどの心配もない。
【0033】
図10は本発明に係る後輪の構造を示す断面図(分解図)であり、後輪31は、車軸117を受けるハブ部121と、このハブ部121から径外方に広がるディスク部122と、このディスク部122の外周に設けたリム部123とからなり、このリム部123にタイヤ124を装着した部材である。
【0034】
ディスク部122は、リヤスイングアーム28に面する側にドラムブレーキ126を構成するドラム127を一体成形した部分である。なお、128は後述するブレーキシューが当接する耐摩耗性を高めるためにドラム127の内側にインサート成形した鋳鉄製ライナ、131は回転磁石体112を嵌めるためにリム部123の内面に設けた磁石体嵌合部、132は固定用リング113を嵌める環状溝、133・・・は回転磁石体112の回転方向の位置決めを行うための120゜ごと3本の位置決めピンである。
【0035】
後部フレーム14は、車軸117の周囲に凸部135を設け、この凸部135にステータ115をボルト137・・・で取付け、また、凸部135でブレーキパネル(ドラムブレーキ126の構成品である。)を兼ねる部材である。
即ち、凸部135は、ドラム127の鋳鉄製ライナ128の内周面に当てるブレーキシュー(不図示)のスイング軸となるブレーキシュー軸138,138(一方のブレーキシュー軸138は不図示)と、ブレーキシューをドラム側に移動させるカム141を一端に形成するとともに他端にブレーキ操作に伴ってスイングするアーム部材142を一体的に取付けたカム軸143とを取付けた部分である。
【0036】
すなわち、回転磁石体112及びステータ115を要部として、図1で述べたホイールインモータ29を構成した。
【0039】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1によれば、後部フレームを上方へ揺動させることで、前部フレームへ折畳むことができる。この際、前部フレームは床等に置いたままで作業を行うことができるので、折畳み作業が容易になる。
【0040】
さらに、請求項1では、後部フレームはスイングアームとした。スイングアームは文字通り揺動部材であるため、スイングアームを後部フレームに代用することにより、後部フレームの構造簡略化が達成できる。
【0041】
加えて、請求項1では、後輪は、そのホイール内に駆動モータを備えることを特徴とし、後輪に内蔵するホイールインモータを採用した。これにより、前部フレームに原動機を備える必要が無く、後輪が収納されるスペースを前部フレームに確保し易くなる。
【0042】
請求項2では、前部フレーム側の一対のメインフレームのうちの、一方を下方へ湾曲させ、折畳み時のスイングアームの収納スペースを確保した。この結果、折畳み寸法のコンパクト、特に薄型化が達成できる。
【0043】
請求項3では、前部フレームに後部フレームを折畳んだ後に、前部フレームに二ーグリップ部材を元通りに取付けるようにした。二ーグリップ部材が化粧カバーの役割を果すため、折畳み姿が見栄え良くなる。加えて、二ーグリップ部材を別置きする場合に比べて、全体的なコンパクト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る走行可能状態の車両の側面図
【図2】本発明に係る車両の一部分解図
【図3】本発明に係る車両の要部説明図
【図4】図3の要部斜視図
【図5】本発明に係る車両の折畳み途中図
【図6】図5の補足図
【図7】本発明に係る車両の折畳み途中図
【図8】本発明に係る車両の折畳み状態を示す図
【図9】本発明に係る車両を四輪車両に搭載した状態を示す斜視図
【図10】本発明に係る後輪の構造を示す断面図(分解図)
【符号の説明】
10…車両、11…ヘッドパイプ、12L,12R…左右一対のメインフレーム、13…ピボットフレーム、14…前部フレーム、18…ニーグリップ部材、19…シート、21…シート支持部材、22…シート部材、24…フロントフォーク、25…前輪、26…ハンドルグリップ、27…ピボット軸、28…後部フレームとしてのスイングアーム、29…ホイールインモータ、31…後輪。
Claims (3)
- 前輪(25)を支える前部フレーム(14)に、シート(19)及びこのシート(19)を支えるシート支持部材(21)からなるシート部材(22)を着脱可能に取付けると共にドライバーが膝で挟むニーグリップ部材(18)も着脱可能に取付け、前記前部フレーム(14)に後輪(31)を支える後部フレーム(28)を上方へ揺動可能に連結し、前記シート部材(22)及び前記ニーグリップ部材(18)を外した後の前記前部フレーム(14)へ前記後部フレーム(28)を折畳めるようにし、
前記後部フレーム(28)はスイングアーム(28)であり、このスイングアーム(28)のピボット軸(27)を中心に前記前部フレーム(14)へ折畳むことができると共に、
前記後輪(31)は、そのホイール内に駆動モータ(29)を備えていることを特徴とする折畳み可能な車両。 - 前記スイングアーム(28)は1本の部材で構成し、これに片持ち形式で車軸を取付け、この車軸に前記後輪(31)を取付け、前記前部フレーム(14)はヘッドパイプ(11)から後方へ延びる左右のメインフレーム(12L、12R)を備え、これらのうちで前記スイングアーム側のメインフレーム(12L)を下方へ湾曲形成することにより、前記スイングアーム(28)の収納スペースを確保したことを特徴とする請求項1記載の折畳み可能な車両。
- 前記ニーグリップ部材(18)は、前記前部フレーム(14)に前記後部フレーム(28)を折畳んだ後に、前記前部フレーム(14)に元通りに取付けることができ、前記後部フレーム(28)を覆うカバーの役割を果す部材でもあることを特徴とする請求項1記載の折畳み可能な車両。
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