JP4056142B2 - 駆動力補助装置付自転車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動モータなどの駆動源からの駆動力を車輪に伝達する駆動力補助装置が設けられた自転車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人力により駆動する人力駆動手段に加えて、モータからの駆動力を車輪に伝達する駆動力補助装置が設けられた自転車は既に知られている。
【0003】
この種の駆動力補助装置付自転車としては、特開平8−34383号公報において、クランク部近傍に電動モータや減速機を配設するとともに、人力伝達用のチェーンが掛けられる前スプロケットと同軸にギヤを配置し、電動モータの駆動力を減速機およびギアを介して前スプロケットに伝達する駆動力補助装置を設けたものが開示されている。
【0004】
また、特開昭56−149277号公報や実開昭56−46494号公報には、人力伝達用のチェーンやこのチェーンが掛けられる人力伝達用の後スプロケットの反対側に駆動力補助装置の電動モータやチェーン、補助駆動力伝達用の後スプロケットを設けて、電動モータの駆動力をチェーンおよび補助駆動力伝達用の後スプロケットを介して後輪に伝達する駆動力補助装置を設けたものが開示されている。
【0005】
しかし、特開平8−34383号公報に開示されているようなクランク部近傍に電動モータや減速機を配設した駆動力補助装置付自転車では、電動モータや減速機などの重量もクランク部の近傍に集中するため、この箇所のフレーム部分や駆動部分の強度アップが必要となり、特殊なフレーム構造などを必要として製造コストの増加を招く問題があった。
【0006】
また、特開昭56−149277号公報や実開昭56−46494号公報に開示されているような、人力伝達用のチェーンや後スプロケットの反対側に駆動力補助装置の電動モータやチェーン、補助駆動力伝達用の後スプロケットを設けているものでは、これらのチェーンや後スプロケットが邪魔になって、一般の自転車に用いられているような、後ろ車輪のハブに取り付けるドラム式ブレーキや内拡式ブレーキを装着できないという問題があった。
【0007】
このような問題が比較的少ないものとして、特開平7−172377号公報には、人力伝達用のチェーンの上側配設位置と下側配設位置との間に電動モータや減速機を配設するとともに、人力伝達用の後スプロケットの外側に同軸で補助駆動力伝達用のギアを取付け、電動モータの駆動力を減速機および補助駆動力伝達用ギアを介して後輪に伝達する駆動力補助装置を設けたものが開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平7−172377号公報に開示されているような駆動力補助装置付自転車においては、人力伝達用の後スプロケットの外側に補助駆動力伝達用のギアを取付け、このギアの位置に対応させて電動モータや減速機を配置しているため、補助駆動力伝達用のギア、減速機、電動モータなどが側方に突出し、ペダルに載せた足と干渉するおそれがあった。また、これらの減速機、電動モータのために、これらを支持するチェーンステーを特殊な形状に構成しなければならなかったり、減速機、電動モータなどが人力伝達用のチェーンに干渉することを防止するために、人力伝達用の前スプロケットおよび後スプロケットも特殊なものを用いなければならず、その結果、製造コストの増加を招いてしまう課題があった。
【0009】
本発明は上記課題を解決するもので、一般の自転車と同じフレームを使用でき、かつ補助駆動力伝達用の減速機や電動モータなどが、ペダルに載せた足と干渉することのない駆動力補助装置付自転車を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、人力により駆動する人力駆動手段に加えて、駆動源からの駆動力を車輪に伝達する駆動力補助装置が設けられた駆動力補助装置付自転車であって、車輪に設けられて制動手段の一部を構成し車輪とともに一体的に回転する制動用ドラムを介して、駆動力補助装置の駆動力を伝達するように構成し、制動用ドラムの外周面に歯車部を形成し、制動用ドラムの外周面に形成された歯車部と噛合うように、ワンウェイクラッチを内装した伝達歯車を設け、この伝達歯車の側面にもギヤ部を形成し、駆動源である電動モータの回転軸に形成したピニオン部を前記ギヤ部に噛み合わせ、制動用ドラムの配設面に沿うようにワンウェイクラッチ内装伝達歯車および電動モータを配設したものである。
【0011】
この本発明によれば、一般の自転車と同じフレームを使用でき、かつ補助駆動力伝達用の減速機や電動モータなどが、ペダルに載せた足と干渉することのない駆動力補助装置付自転車が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の本発明は、人力により駆動する人力駆動手段に加えて、駆動源からの駆動力を車輪に伝達する駆動力補助装置が設けられた駆動力補助装置付自転車であって、車輪に設けられて制動手段の一部を構成し車輪とともに一体的に回転する制動用ドラムを介して、駆動力補助装置の駆動力を伝達するように構成し、制動用ドラムの外周面に歯車部を形成し、制動用ドラムの外周面に形成された歯車部と噛合うように、ワンウェイクラッチを内装した伝達歯車を設け、この伝達歯車の側面にもギヤ部を形成し、駆動源である電動モータの回転軸に形成したピニオン部を前記ギヤ部に噛み合わせ、制動用ドラムの配設面に沿うようにワンウェイクラッチ内装伝達歯車および電動モータを配設したものである。
【0013】
この構成により、制動手段の一部を構成する制動用ドラムを、駆動力補助装置の駆動力伝達用部品として兼用しているため、駆動力補助装置の駆動力を伝達するためのチェーンや車輪と一体的に回転する駆動力伝達用のギヤやスプロケットを設けなくて済み、一般の自転車と同じフレームを使用することが可能となる。また、車輪に駆動力補助装置の駆動力を伝達する制動用ドラムは従来より制動手段の一部を構成する部品として設けられているものであるため、この制動用ドラムに並べて駆動力補助装置を配設することで駆動力補助装置を車体よりあまり突出することなく配置でき、ペダルに載せた足と干渉することを防止できる。
【0018】
また、この構成により、制動用ドラムの配設面に沿うようにワンウェイクラッチ内装伝達歯車および電動モータを配設できるため、ワンウェイクラッチ内装伝達歯車および電動モータなどの駆動力補助装置を車体からあまり突出させることなく配置できて、駆動力補助装置がペダルに載せた足と干渉することを防止できる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態にかかる駆動力補助装置付自転車について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、この駆動力補助装置付自転車のフレーム1は、一般の自転車と同様な、立てパイプ2、上パイプ3、シートステー4、チェーンステー5およびヘッドパイプ6などで構成されている。
【0020】
また、図1〜図4における20は、駆動源としての電動モータ21からの駆動力を後ろ車輪7に伝達する駆動力補助装置で、後ろ車輪7に設けられた回転部材としての制動用ドラム8の前方に配設されている。
【0021】
制動用ドラム8は、その内周面に一対のシュー9が押し付けられる内拡式ブレーキ装置10の一部として用いられているものであり、後ろ車輪7のハブ16に溝嵌合して、ハブ16とともに一体的に回転する。そして、ハンドル11近傍に設けられたブレーキレバー12を握ることにより、後ろブレーキワイヤ13ないしブレーキ用クランク14を介してカム15が回転され(図3参照)、シュー9が押し広げられて制動用ドラム8の内周面に当接されてブレーキ動作が行われるようになっている。
【0022】
制動用ドラム8の外周には歯車部8aが一体形成されているとともに、制動用ドラム8にはベアリング23を介して駆動力補助装置20の第1カバー24が取り付けられている。駆動力補助装置20は、後ろ車輪7寄りに配置された前記第1カバー24と、第1カバー24と対となってねじで取り付けられる第2カバー25と、これらの第1カバー24および第2カバー25により覆われるとともにベアリング26でその回転駆動軸が支持された電動モータ21と、第1カバー24および第2カバー25で支持された支持軸28にベアリング29を介して回転自在に取り付けられ、ワンウェイクラッチ30aが内装された伝達歯車30とから構成されている。
【0023】
伝達歯車30には、制動用ドラム8の歯車部8aに噛合う歯車部30bが形成されているだけでなく、一側面にハイポイドギア30cが形成されており、このハイポイドギア30cは、電動モータ21の回転駆動軸に形成されたピニオン21aに噛合わされている。そして、電動モータ21の駆動力が伝達歯車30および制動用ドラム8を介して後ろ車輪7に伝達されるようになっている。なお、後ろ車輪7が逆回転された際には、ワンウェイクラッチ30aが空回りして回転力は電動モータ21には伝達されない。
【0024】
図2〜図4に示すように、上方から見て制動用ドラム8の周方向配設面に沿うように、ワンウェイクラッチ30aを内装した伝達歯車30と電動モータ21とが制動用ドラム8の前方に配設されている。また、第1カバー24と第2カバー25とにそれぞれ形成された半円筒部24a,25aが2分割装着の弾性体31、32を介してチェーンステー5に係合され、これにより、駆動力補助装置20が、制動用ドラム8の外周面に取り付けられたベアリング23回りに回転することが防止されている。
【0025】
なお、33〜35は第1カバー24と第2カバー25とをねじで固定するための固定用ボス、36は第1カバー24と第2カバー25とをねじで固定してチェーンステー5に係合させる固定用板部である。また、図2において、17はハブ16に取り付けられているスポーク、18はブレーキカバーで、図2に示すように、ナット19でハブ16に固定されている。
【0026】
また、図1に示すように、ハンドルバー41の後方には、駆動力補助装置20を制御する制御箱42が配設されており、この制御箱42はハンドル11とともに連動して回転するようになっている。制御箱42には操作キー43を挿入するキー挿入部と表示部とが設けられているとともに、バッテリ44も装着されている。さらに、立てパイプ2の後方に予備バッテリ45も装着されている。
【0027】
また、図1において、46はペダル、47はクランク、48は人力を後ろ車輪7に伝えるチェーンである。
上記構成により、内拡式ブレーキ装置10の一部を構成する制動用ドラム8を、駆動力補助装置20の駆動力伝達用部品として兼用しているため、従来のような駆動力補助装置の駆動力を伝達するためのチェーンや車輪と一体的に回転する駆動力伝達用のギヤやスプロケットを設けなくて済むとともに、一般の自転車と同じフレームを使用することが可能となり、製造コストを低減できる。
【0028】
また、内拡式ブレーキ装置10の一部を従来より構成している制動用ドラム8に並べて駆動力補助装置20を配設することで車体よりあまり突出することなく配置でき、ペダル46に載せた足と干渉することを防止できる。さらに、ハイポイドギア30cを組み合わせて前後方向に長い筒状の電動モータ21を設けることによっても、駆動力補助装置20の横方向への突出量を最小限に抑えることが可能となるとともに、駆動力補助装置20をコンパクトに構成できて側面より見ても目立ち難くすることができ、さらに、電動モータ21を後ろ車輪7のハブ16より比較的遠い位置に配置できるため、チェーンステー5にかかる応力を小さめに抑えることができる。
【0029】
また、制動用ドラム8の外周に歯車部8aを形成することで、直径の大きな歯車部8aを採用することができて電動モータ21の回転に対して大きな減速比を実現することができる。さらに、内周面にシュー9が押し付けられる内拡式ブレーキ装置10の制動用ドラム8が用いられているため、駆動力補助装置20の駆動力伝達機構部分と内拡式ブレーキ装置10とを干渉することなく配置できる。
【0030】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、制動手段の一部を構成し車輪とともに一体的に回転する制動用ドラムを介して、駆動力補助装置の駆動力を伝達するように構成したことにより、駆動力補助装置の駆動力を伝達するためのチェーンや車輪と一体的に回転する駆動力伝達用のギヤやスプロケットを設けなくて済み、一般の自転車と同じフレームを使用することが可能となって製造コストを低減することができ、また、駆動力補助装置を車体よりあまり突出することなく配置できて、ペダルに載せた足と干渉することを防止でき、使い勝手も良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる駆動力補助装置付自転車の全体側面図である。
【図2】同駆動力補助装置付自転車の駆動力補助装置の横断平面図である。
【図3】同駆動力補助装置付自転車の駆動力補助装置および内拡式ブレーキ装置の部分切欠側面図である。
【図4】同駆動力補助装置付自転車の駆動力補助装置の斜視図である。
【図5】同駆動力補助装置付自転車の第2カバーとブレーキカバーの斜視図である。
【符号の説明】
1 フレーム
5 チェーンステー
8 制動用ドラム(回転部材)
8a、30b 歯車部
7 後ろ車輪
10 内拡式ブレーキ装置
16 ハブ
20 駆動力補助装置
21 電動モータ(駆動源)
21a ピニオン
23 ベアリング
24 第1カバー
25 第2カバー
30 伝達歯車
30a ワンウェイクラッチ
30c ハイポイドギア
31、32 弾性体
Claims (1)
- 人力により駆動する人力駆動手段に加えて、駆動源からの駆動力を車輪に伝達する駆動力補助装置が設けられた駆動力補助装置付自転車であって、車輪に設けられて制動手段の一部を構成し車輪とともに一体的に回転する制動用ドラムを介して、駆動力補助装置の駆動力を伝達するように構成し、制動用ドラムの外周面に歯車部を形成し、制動用ドラムの外周面に形成された歯車部と噛合うように、ワンウェイクラッチを内装した伝達歯車を設け、この伝達歯車の側面にもギヤ部を形成し、駆動源である電動モータの回転軸に形成したピニオン部を前記ギヤ部に噛み合わせ、制動用ドラムの配設面に沿うようにワンウェイクラッチ内装伝達歯車および電動モータを配設した駆動力補助装置付自転車。
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JP24765398A JP4056142B2 (ja) | 1998-09-02 | 1998-09-02 | 駆動力補助装置付自転車 |
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JP24765398A Expired - Fee Related JP4056142B2 (ja) | 1998-09-02 | 1998-09-02 | 駆動力補助装置付自転車 |
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1998
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