JP4294897B2 - 自動二輪車のブレーキ部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リヤアームの後端部に軸支されたリヤホイールにドラムブレーキを組み込んで成る自動二輪車のブレーキ部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばスクータ型自動二輪車等においては、走行中に動作せしめる通常のブレーキ以外にパーキングブレーキとしてのドラムブレーキをリヤホイールに組み込む場合がある。ここで、その例を図3に示す。
【0003】
即ち、図3は自動二輪車のリヤホイール部に組み込まれたパーキングブレーキの従来例を示す部分断面図であり、同図において、108はリヤアーム112の後端部にベアリング111を介して回転自在に軸支された駆動軸(後車軸)であり、この駆動軸108にはリヤホイール109がセレーション結合によって直結されている。
【0004】
そして、上記リヤホイール109のリヤアーム112側の一端部(右端部)にはパーキングブレーキとして使用されるドラムブレーキ114が組み込まれている。ここで、ドラムブレーキ114は、リヤホイール109のハブに一体に形成されたブレーキドラム109aと、該ブレーキドラム109aの内側に配された半月状の2つのブレーキシュー115と、これらのブレーキシュー115を支持するシュープレート126等を含んで構成されている。尚、ブレーキドラム109aの内周にはブレーキライナー116が鋳込まれている。
【0005】
ところで、上記シュープレート126は、駆動軸108上のリヤアーム112の内側にカラー127によって位置決めされて前記ブレーキドラム109aの開口部を側方から覆うように固定されており、これはリヤアーム112との凹凸嵌合によって回り止めされ、ベアリング128を介して駆動軸108を回転自在に支承している。そして、このシュープレート127のブレーキドラム109a内に臨む内端面にはアンカピン117が植設されており、前記2つのブレーキシュー115はアンカピン117によって回動可能に軸支され、これらは2本のリターンスプリング118によって縮径方向(ブレーキ非作動方向)に付勢されている。
【0006】
又、シュープレート126の前記アンカピン117に対向する位置にはカム軸119が回動可能に挿通支持されており、このカム軸119のブレーキドラム109a内に臨む一端には前記ブレーキシュー115を押し開くカム120が一体に形成され、カム軸119の他端にはカムレバー121が取り付けられている。尚、図示しないが、前記カムレバー121はブレーキワイヤーを介してパーキングブレーキレバーに接続されている。
【0007】
他方、リヤホイール109のハブの端面にはブレーキディスク122が複数(図3には1本のみ図示)のボルト123によって取り付けられており、このブレーキディスク122とリヤアーム112にボルト124によって固定されたキャリパ125及び不図示のマスタシリンダ等によって油圧式ディスクブレーキが構成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来例においては、シュープレート126とリヤアーム112が別部品を構成していたため、部品点数が増えて構造の複雑化と高重量化及びコストアップを招くという問題があった。
【0009】
又、ラインでの組立前にシュープレート126とリヤアーム112のサブ組が必要になり、組立工数が増えるという問題もあった。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、部品点数を削減して構造単純化、軽量化、コストダウン、組立工数の削減等を図ることができる自動二輪車のブレーキ部構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、ピボット軸によって上下に揺動自在に軸支されたユニットスイング式エンジンと、リヤホイールのハブに一体に形成されたブレーキドラムと、前記ブレーキドラムの内側に配されるブレーキシューと、前記ブレーキシューを回動自在に軸支するアンカピンと前記ブレーキシューを拡開せしめるカム軸とを支持するシュープレートとを含んで構成されるドラムブレーキを備える自動二輪車において、前記ユニットスイング式エンジンの伝動ケース後部から側方へ延出する駆動軸の延出端を回転自在に支持するリヤアームを備え、前記シュープレートを単独の部品として構成せずに前記リヤアームと一体化し、前記リヤアームに前記アンカピンと前記カム軸とを設けた自動二輪車のブレーキ部構造であることを特徴とする。
【0012】
従って、本発明によれば、ドラムブレーキのシュープレートとリヤアームとを一体化し、シュープレートを廃してその機能をリヤアームに兼ねさせる構成を採用したため、部品点数を削減して構造単純化と軽量化及びコストダウンを図ることができる
又、独立の部品としてのシュープレートが不要になるため、ラインでの組立前のシュープレートとリヤアームのサブ組が不要となり、その分だけ組立工数を削減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明に係るブレーキ部構造を備えるスクータ型自動二輪車1の側面図であり、図示のスクータ型自動二輪車1の車体前方上部に位置する不図示のヘッドパイプには不図示のステアリング軸が回動可能に挿通支持され、該ステアリング軸の上端にはハンドル2が取り付けられている。そして、ステアリング軸の下端にはフロントフォーク3が取り付けられており、該フロントフォーク3の下端部にはフロントホイール4が回転自在に軸支されている。
【0015】
又、前記ハンドル2の後下方にはシート5が配され、その下方の車体後部には、ユニットスイング式エンジン6がその前端部を不図示のピボット軸によって上下に揺動自在に軸支されて配されている。
【0016】
上記ユニットスイング式エンジン6は、駆動源としてのエンジンとVベルト式自動変速機や減速ギヤ等の伝動機構を伝動ケース7に組み込んで一体化したものであって、その後部から内側方へ延出する駆動軸(出力軸)8(図2参照)にはリヤホイール9が支持されている。そして、リヤホイール9とこれを支持するユニットスイング式エンジン6の後部は、リヤクッション10を介して車体側に懸架されている。
【0017】
次に、本発明に係るブレーキ部構造を図2に基づいて説明する。尚、図2はリヤホイールのドラムブレーキ部分の断面図である。
【0018】
図1に示す前記ユニットスイング式エンジン6の伝動ケース7の後部からは図2に示すように前記駆動軸8が側方へ延出しており、該駆動軸8の延出端はボールベアリング11を介してリヤアーム12に回転自在に支持されている。ここで、リヤアーム12は、その前端が不図示のピボット軸によって軸支されており、これはユニットスイング式エンジン6と共に共通のピボット軸を中心として上下に揺動する。
【0019】
又、駆動軸8には前記リヤホイール9がセレーション結合によって直結されており、該リヤホイール9は、駆動軸8に外嵌されたカラー13によってリヤアーム12に対して位置決めされている。そして、このリヤアーム12のハブ内にはパーキングブレーキとして使用されるドラムブレーキ14が組み込まれている。
【0020】
上記ドラムブレーキ14は、リヤホイール9のハブに一体に形成されたブレーキドラム9aと、該ブレーキドラム9aの内側に配された半月状の2つのブレーキシュー15等を含んで構成されているが、本実施の形態では、ブレーキシュー15を支持するシュープレートを単独の部品として構成せず、該シュープレートとリヤアーム12を一体化してブレーキシュー15をリヤアーム12に支持せしめる構成を採用している。つまり、本実施の形態では、シュープレートを廃してリヤアーム12にこのシュープレートの機能を兼ねさせている。尚、ブレーキドラム9aの内周にはブレーキライナー16が鋳込まれている。
【0021】
ところで、シュープレートとしても機能するリヤアーム12のブレーキドラム9a内に臨む内端面にはアンカピン17が植設されており、前記2つのブレーキシュー15はアンカピン17によって回動可能に軸支され、これらは2本のリターンスプリング18によって縮径方向(ブレーキ非作動方向)に付勢されている。
【0022】
又、リヤアーム12の前記アンカピン17に対向する位置にはカム軸19が回動可能に挿通支持されており、このカム軸19のブレーキドラム9a内に臨む一端には前記ブレーキシュー15を押し開くカム20が一体に形成され、カム軸19の他端にはカムレバー21が取り付けられている。尚、図示しないが、前記カムレバー21はブレーキワイヤーを介してパーキングブレーキレバーに接続されている。
【0023】
他方、リヤホイール9のハブの端面にはブレーキディスク22が複数(図2には1本のみ図示)のボルト23によって取り付けられており、このブレーキディスク22とリヤアーム12にボルト24によって固定されたキャリパ25及び不図示のマスタシリンダ等によって油圧式ディスクブレーキが構成されている。
【0024】
而して、スクータ型自動二輪車1のパーキング時にライダーが不図示のパーキングレバーを操作すると、その操作力が不図示のブレーキワイヤーを経てカムレバー21に伝達され、該カムレバー21がドラムブレーキ14のカム軸19と共に回動する。このようにカム軸19が回動すると、これに一体に形成されたカム20が回動して2つのブレーキシュー15をリターンスプリング18の付勢力に抗して押し開いてこれらをブレーキライナー16の内周面に押圧するため、両者間に摩擦力が発生し、この摩擦力によってリヤホイール9の回転がロックされる。
【0025】
以上の構成を有するスクータ型自動二輪車1において、ユニットスイング式エンジン6が始動されて不図示のエンジンが回転駆動されると、その回転は不図示のVベルト式自動変速機、減速ギヤ等の伝動機構を経て駆動軸8に伝達され、該駆動軸8が回転駆動される。そして、この駆動軸8の回転は直接リヤホイール9に伝達されるため、該リヤホイール9が所定の速度で回転駆動されてスクータ型自動二輪車1が走行せしめられる。
【0026】
そして、スクータ型自動二輪車1の走行中にライダーがブレーキ操作すると、不図示のマスタシリンダから油圧式ディスクブレーキの前記キャリパ25に油圧が伝達され、該キャリパ25によってブレーキディスク22の両面が挟み込まれて所要の制動力が発生するため、この制動力によってスクータ型自動二輪車1が減速され或は停止せしめられる。
【0027】
以上において、本実施の形態では、シュープレートを廃してリヤアーム12にこのシュープレートの機能を兼ねさせたため、従来は独立の部品として構成されていたシュープレートが不要となり、この結果、部品点数を削減して構造単純化と軽量化及びコストダウンを図ることができる
又、上述のように独立の部品としてのシュープレートが不要になるため、従来要していたラインでの組立前のシュープレートとリヤアームのサブ組が不要となり、その分だけ組立工数を削減することができる。
【0028】
尚、以上は本発明を特にスクータ型自動二輪車に対して適用した形態について述べたが、本発明は他の任意の自動二輪車に対しても同様に適用可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、前端が車体に上下揺動自在に枢着されたリヤアームの後端部にリヤホイールを回転自在に軸支し、前記リヤホイールのハブに一体に形成されたブレーキドラムと、該ブレーキドラムの内側に配されるブレーキシューと、該ブレーキシューを回動自在に軸支するアンカピンと同ブレーキシューを拡開せしめるカム軸を支持するシュープレートを含んで構成されるドラムブレーキを備える自動二輪車において、前記ドラムブレーキのシュープレートと前記リヤアームとを一体化し、リヤアームに前記アンカピンと前記カム軸を設けたため、部品点数を削減して構造単純化、軽量化、コストダウン、組立工数の削減等を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブレーキ部構造を備えるスクータ型自動二輪車の側面図である。
【図2】本発明に係るブレーキ部構造を示すリヤホイール要部の断面図である。
【図3】従来のブレーキ部構造を示すリヤホイール要部の断面図である。
【符号の説明】
1 スクータ型自動二輪車(自動二輪車)
9 リヤホイール
9a ブレーキドラム
12 リヤアーム
14 ドラムブレーキ
15 ブレーキシュー
17 アンカピン
19 カム軸
Claims (3)
- ピボット軸によって上下に揺動自在に軸支されたユニットスイング式エンジンと、
リヤホイールのハブに一体に形成されたブレーキドラムと、
前記ブレーキドラムの内側に配されるブレーキシューと、
前記ブレーキシューを回動自在に軸支するアンカピンと前記ブレーキシューを拡開せしめるカム軸とを支持するシュープレートと
を含んで構成されるドラムブレーキを備える自動二輪車において、
前記ユニットスイング式エンジンの伝動ケース後部から側方へ延出する駆動軸の延出端を回転自在に支持するリヤアームを備え、
前記シュープレートを単独の部品として構成せずに前記リヤアームと一体化し、前記リヤアームに前記アンカピンと前記カム軸とを設けたことを特徴とする自動二輪車のブレーキ部構造。 - 前記ドラムブレーキは、パーキングブレーキとして使用されることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車のブレーキ部構造。
- 前記自動二輪車は、キャリパを含む後輪用ディスクブレーキを備え、
前記キャリパは、前記リヤアームに固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動二輪車のブレーキ部構造。
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