JP2023135481A - 車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも簡易な構成で、傾斜地において停車状態を維持可能な車両を提供すること【解決手段】鞍乗型車両は、その前後方向に並んで配置される第1の車輪及び第2の車輪と、第1の車輪に対する制動力を発生する制動装置と、鞍乗型車両の後退側への第1の車輪の回転のみをロックするロック機構と、ロック機構によるロックを解除する解除手段と、を備える。【選択図】図4
Description
本発明は、車両に関する。
乗用自動車や自動二輪車等の車両において、坂道等での停車時に、運転者のブレーキ操作が行われなくなっても車両の停車状態を維持する技術が提案されている(特許文献1)。
上記従来技術では、坂道等の傾斜地で運転者のブレーキ操作が行われなくなった場合において、システム内のブレーキ圧が車両の停車維持に必要なブレーキ圧に満たないときは、液圧ポンプを駆動してブレーキ圧を増圧させる。しかしながら、液圧ポンプやこれを駆動するモータがシステム構成上必要となるため、システムが複雑化し、製造コストの増加等につながる恐れがある。
本発明は、従来よりも簡易な構成で、傾斜地において停車状態を維持可能な車両を提供する。
本発明によれば、
鞍乗型車両であって、
前記鞍乗型車両の前後方向に並んで配置される第1の車輪及び第2の車輪と、
前記第1の車輪に対する制動力を発生する制動装置と、
前記鞍乗型車両の後退側への前記第1の車輪の回転のみをロックするロック機構と、
前記ロック機構によるロックを解除する解除手段と、を備える、
ことを特徴とする車両が提供される。
鞍乗型車両であって、
前記鞍乗型車両の前後方向に並んで配置される第1の車輪及び第2の車輪と、
前記第1の車輪に対する制動力を発生する制動装置と、
前記鞍乗型車両の後退側への前記第1の車輪の回転のみをロックするロック機構と、
前記ロック機構によるロックを解除する解除手段と、を備える、
ことを特徴とする車両が提供される。
本発明によれば、従来よりも簡易な構成で、傾斜地において停車状態を維持可能な車両が提供される。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
また、各図において、X方向は車両Vの前後方向、Y方向は車両Vの車幅方向、Z方向は上下方向を示す。また、本明細書において、前/後、左/右(側方)、上/下等の表現は、車体を基準とした相対的な位置関係を示し、例えば、前、前方等の表現は+X方向に対応し、後、後方等の表現は-X方向に対応する。また例えば、左、左側等の表現は+Y方向に対応し、右、右側等の表現は-Y方向に対応する。同様に、車体内側/車体外側(車内外)等の表現についても車体を基準とする相対的な位置関係を示す。また、各図において、複数示される要素の一部については符号が省略されることがある。
<第1実施形態>
<鞍乗型車両の概略(図1)>
図1は本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両V(以下、単に車両Vと呼ぶ)の側面図である。車両Vは、前後方向に並んで配置される前輪9と後輪10とを備え、内燃機関を駆動源とした自動二輪車である。
<鞍乗型車両の概略(図1)>
図1は本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両V(以下、単に車両Vと呼ぶ)の側面図である。車両Vは、前後方向に並んで配置される前輪9と後輪10とを備え、内燃機関を駆動源とした自動二輪車である。
車両Vは、その骨格をなす車体フレーム101を備える。車体フレーム101の前端には前輪操向部102が支持され、後端にはスイングアーム115が揺動自在に支持されている。前輪操向部102は、前輪9を支持する左右一対のフロントフォーク103と、一対のフロントフォーク103の上部に取り付けられる操向ハンドル104とを含む。操向ハンドル104の右グリップは車両Vの加速をライダが指示可能なアクセル操作子105(アクセルグリップ)である。右グリップに隣接して、前輪9に対するライダの制動操作を受け付けるブレーキレバー106が回動自在に設けられている。また、操向ハンドル104の左グリップ131に隣接して、エンジン107から後輪10への動力伝達を解除するためのクラッチレバー130(図5参照)が回動自在に設けられる。スイングアーム115は、その前端が車体フレーム101に揺動自在に支持されるとともに、その後端において後輪10を回転自在に支持している。後輪10のホイールには、後述する遠心式ブレーキ20が設けられている。
前輪9と後輪10との間の領域において、車体フレーム101にはエンジン107と変速機108とが支持されている。エンジン107は、本実施形態の場合、直列四気筒の4サイクルエンジンである。エンジン107の出力は変速機108及び不図示のチェーン伝動機構を介して後輪10に伝達される。エンジン107の上方には、燃料タンク109が配置されており、燃料タンク109の後方にはライダが着座するシート110が配置されている。燃料タンク109には車両Vの駆動エネルギとして、エンジン107の燃料(本実施形態の場合ガソリン)が収容される。なお、車両Vは駆動源として電動モータを有してもよく、その場合燃料タンク109に替えて電動モータに電力を供給するバッテリが設けられてもよい。
制動装置111は前輪9に制動力を与える装置であり、本実施形態の場合、ディスクブレーキである。制動装置111は、前輪9と同軸で一体的に回転するブレーキロータ112と、フロントフォーク103に支持され、ブレーキロータ112をブレーキパッド(不図示)で挟んでその回転に摩擦力で抵抗するブレーキキャリパ113とを備える。ブレーキキャリパ113の挟持力はブレーキレバー106に対する操作量に応じて発生し、つまり、ブレーキレバー106に対する操作量に応じて前輪9に対する制動力が発生することになる。
制動装置116は後輪10に制動力を与える装置であり、本実施形態の場合、ディスクブレーキである。制動装置116は、後輪10と同軸で一体的に回転するブレーキロータ117と、スイングアーム115に支持され、ブレーキロータ117を挟んでその回転に抵抗するブレーキキャリパ118とを備える。ブレーキキャリパ118の挟持力はブレーキペダル119に対する操作量に応じて発生し、つまり、ブレーキペダル119に対する操作量に応じて後輪10に対する制動力が発生することになる。
車両Vは、制動装置116とは別に、車両Vの前進側への後輪10の回転は許容しつつ、車両Vの後退側への後輪10の回転のみをロックするロック機構20を含む。また、ロック機構20によるロックを解除する解除部30と、解除部30を操作するための操作レバー40とを含む。
<ロック機構(図2~3)>
図2は、図1のII-II線断面図である。まず、ロック機構20によるロックの対象である後輪10について説明する。
図2は、図1のII-II線断面図である。まず、ロック機構20によるロックの対象である後輪10について説明する。
後輪10は、左右のスイングアーム115にまたがって設けられる車軸120に回転自在に支持される。後輪10は、ホイール11とタイヤ12とを含む。ホイール11は、ハブ11aと、リム11bと、スポーク11cとを含む。ハブ11aはホイール11の中心部を構成する円筒状の部分であり、ベアリング125及び126を介して車軸120に支持される。ハブ11aには、エンジン107の駆動力を後輪10に伝達するためのドリブンスプロケット121及び制動装置116を構成するブレーキロータ117が取り付けられている。リム11bは、タイヤ12を取り付ける部分であり、複数のスポーク11cを介してハブ11aと接続する。
ベアリング125及び126の間には車軸120の外周を覆うセンタカラー122が設けられる。ベアリング125と左側のスイングアーム115の間には、左カラー123が設けられる。ベアリング126と右側のスイングアーム115の間には、右カラー124が設けられる。センタカラー122、左カラー123及び右カラー124により、ベアリング125及び126の車幅方向の位置が位置決めされる。
次に、図2及び図3を参照して、ロック機構20について説明する。図3は、図2のIII-III線断面図である。なお、図面を見易くするため、インナプレート23についてはハッチングを省略して破線で示している。
車両Vは、車両Vの後退側への後輪10の回転のみをロックするロック機構20を有している。すなわち、車両Vは、前進方向へはロック機構20による制限なく移動可能である一方で、後退方向への移動はロック機構20により規制される。これにより、上り坂等において車両の停車状態を維持することができる。具体的には、上り坂での停車状態からの発進の際に、ライダがブレーキレバー106を離したタイミングで車両Vが後退してしまうことを抑制することができる。また、制動装置116と別にロック機構20を設けることで、制動装置111又は116のブレーキ液圧の制御等によって、車両Vの後退を規制するような場合よりも簡易な構成で、上り坂等での停車状態を維持することができる。
また、ロック機構20は、後輪10の車軸120に設けられている。これにより、より容易にロック機構20を車両Vに搭載可能であるとともに、車両Vの大型化も抑制される。さらにいえば、ロック機構20はドリブンスプロケット121の半径方向内側に配置される。これにより、車両Vの大型化がより抑制される。また、ロック機構20は、車幅方向においてドリブンスプロケット121と重複する部分を有するように配置されている。これにより、車幅方向にコンパクトにロック機構20を配置可能となる。
また、車幅方向において、後輪10の一方側に制動装置116が配置され、制動装置116が設けられる側と反対側にロック機構20が配置される。さらにいえば、制動装置116は後輪10より進行方向右側に配置され、ロック機構20は後輪10より進行方向左側に配置される。これにより、車両Vの左右の重量バランスの偏りを抑制することができる。
ロック機構20は、ホイール11のハブ11aに固定され、車軸120に対して回転可能なアウタリング21と、左カラー123に固定され、車軸120に対して回転不能なインナプレート23とを含む。
アウタリング21は、中心部に車軸120及び左カラー123が通過可能な開口を有するプレート状の部分21aと、そのプレート状の部分21aの縁から車幅方向に延びたリング状の部分21bを含む。そして、このリング状の部分21bの内側に噛合部22が形成されている。換言すれば、アウタリング21は、内歯車のような形状を有する。本実施形態では、アウタリング21には複数(12個)の噛合部22が設けられおり、それぞれの噛合部22が係止溝22aと傾斜部22bとを有する。詳しくは後述するが、アウタリング21は、車両Vが前進する場合には図3で示す方向で左回りにアウタリング21が回転し、車両Vが後退する場合には右回りにアウタリング21が回転する。
インナプレート23は、左カラー123に固定される板状の部材である。インナプレート23は、アウタリング21のプレート状の部分21aと対向するように配置されている。インナプレート23には、噛合部22と噛み合う爪部24が回動可能に支持されている。
爪部24は、回動軸24aを中心に、図3で示す位置POS1から位置POS2へ回動可能に設けられている。また、爪部24は、一端が爪部24に接続するとともに他端がインナプレート23に接続する付勢部材25によって矢印Ar31の方向に付勢されている。付勢部材25は例えばバネである。また、爪部24は、後述する解除部30のレバー31によって、付勢部材25の付勢力に抗い矢印Ar32の方向に回動可能である。詳しくは後述するが、この回動により、噛合部22と爪部24との間の係合が解除される。すなわち、噛合部22と爪部24とが係脱可能に設けられている。なお、ここでは一つの爪部24が示されているが、複数の爪部24が設けられてもよい。この場合、レバー31によって、すべての爪部24が同期して回動する。
<解除部30>
図2~図4を参照する。図4は、図2のA方向矢視図であって、解除部30の構成を模式的に示している。解除部30は、ロック機構20による後輪10のロックを解除する。解除部30は、レバー31と、スプリング32と、ブラケット33とを含む。
図2~図4を参照する。図4は、図2のA方向矢視図であって、解除部30の構成を模式的に示している。解除部30は、ロック機構20による後輪10のロックを解除する。解除部30は、レバー31と、スプリング32と、ブラケット33とを含む。
レバー31は、その本体31aがインナプレート23に固定された回動軸31bを中心に位置POS10と位置POS11との間で回動可能に設けられる。レバー31は、本体31a及び回動軸31bに加え、爪部24に直接又は間接的に接続して爪部24に対して回動するための力を付与する付与部31cと、スプリング32と接続する接続部31dと、ワイヤ128と接続する接続部31eとを含む。本体31aが回動軸31bを回動中心として位置POS10から位置POS11へと回動すると、付与部31cから受けた力により爪部24が図3の矢印Ar32の方向に回動する。
スプリング32は、レバー31に対して付勢力を付与する。詳細には、スプリング32は、後述する操作レバー40による操作が行われていない場合にレバー31が位置POS11に位置するように、レバー31に対して付勢力を付与する。スプリング32は、一端がレバー31に接続されるとともに、他端がスイングアーム115に設けられたブラケット33に接続する。
<操作レバー40>
図5は、操作レバー40の一例を示す図である。操作レバー40は、解除部30を操作するためのものであり、操向ハンドル104に近接して配置される。ここでは、操作レバー40は、操向ハンドル104の左グリップ131に近接して設けられている。例えば、操作レバー40は、ライダが操向ハンドル104の左グリップ131を握った状態でライダの指の届く範囲に配置されてもよい。また例えば、操作レバー40は、操向ハンドル104の左グリップ131とクラッチレバー130との間に設けられてもよい。なお、操作レバー40は、操向ハンドル104の右グリップに近接して設けられてもよい。この場合、操作レバー40は、操向ハンドル104の右グリップとブレーキレバー106の間に設けられてもよい。これらのような配置により、車両Vの取りまわしの際にライダが操作しやすい位置に操作レバー40が配置されることになる。
図5は、操作レバー40の一例を示す図である。操作レバー40は、解除部30を操作するためのものであり、操向ハンドル104に近接して配置される。ここでは、操作レバー40は、操向ハンドル104の左グリップ131に近接して設けられている。例えば、操作レバー40は、ライダが操向ハンドル104の左グリップ131を握った状態でライダの指の届く範囲に配置されてもよい。また例えば、操作レバー40は、操向ハンドル104の左グリップ131とクラッチレバー130との間に設けられてもよい。なお、操作レバー40は、操向ハンドル104の右グリップに近接して設けられてもよい。この場合、操作レバー40は、操向ハンドル104の右グリップとブレーキレバー106の間に設けられてもよい。これらのような配置により、車両Vの取りまわしの際にライダが操作しやすい位置に操作レバー40が配置されることになる。
操作レバー40は、本体41が回動軸42を中心に回動自在に設けられている。ライダの操作により本体41が回動軸42を中心に回動すると、本体41に接続されたワイヤ128が矢印Ar51の方向に引っ張られる。
<動作例>
鞍乗型車両においては坂道発進時にライダがブレーキレバー106の操作を緩めることで車両が後退することが発生しうるため、車両Vはロック機構20によりその後退を抑制している。一方、取りまわしの際には鞍乗型車両を後退させる必要も生じうる。そこで、車両Vは、以下で説明する動作により、傾斜地等で車両Vの後退を抑制しつつ取りまわし等の場面では必要に応じて車両Vの後退を許容する。
鞍乗型車両においては坂道発進時にライダがブレーキレバー106の操作を緩めることで車両が後退することが発生しうるため、車両Vはロック機構20によりその後退を抑制している。一方、取りまわしの際には鞍乗型車両を後退させる必要も生じうる。そこで、車両Vは、以下で説明する動作により、傾斜地等で車両Vの後退を抑制しつつ取りまわし等の場面では必要に応じて車両Vの後退を許容する。
まず、車両Vが前進する場合、図3の状態から図示の方向で左回りにアウタリング21が回転することになる。このとき、爪部24は、付勢部材25の付勢力に抗いながらアウタリング21の噛合部22の傾斜部22bを滑ることでアウタリング21の回転を許容する。すなわちロック機構20は、車両Vが前進する方向への後輪10の回転を許容する。
一方、車両Vが後退しようとする場合、図3の状態から図示の方向で右回りにアウタリング21が回転しようとする。このとき、爪部24は、位置POS1において噛合部22の係止溝22aと係合することによってアウタリング21の回転を阻止する。すなわちロック機構20は後輪10の回転をロックする。
このように、ロック機構20は、車両Vが前進する際には後輪10の回転を許容し、車両Vが後退しようとする際には後輪10の回転をロックする。これにより、上り坂等の傾斜地においてブレーキレバー106やブレーキペダル119の操作が行われていなくても車両Vの停車状態を維持することができる。
次に、ロック機構20によるロックの解除について説明する。ライダが操作レバー40を操作すると、本体41がワイヤ128を矢印Ar51の方向に引っ張る。本体41に引っ張られたワイヤ128は、解除部30のレバー31を図4の位置POS11から位置POS12へと回動させる。ワイヤ128によって回動したレバー31は、ロック機構20の爪部24を、付勢部材25の付勢力に抗い図3の矢印Ar32の方向に回動させる。すなわち、レバー31は、爪部24を噛合部22から離間させる方向に変位させる。これにより、アウタリング21が回転しても噛合部22が爪部24と接触しなくなる。よって、爪部24と噛合部22の係合が解除されるので、ロック機構20による後輪10のロックが解除される。
以上説明した車両Vにおいては、制動装置116と別に設けたロック機構20により車両Vの後退を機械的に規制する。よって、例えばブレーキ液圧の制御等によって鞍乗型車両の後退を規制するような場合よりも簡易な構成で、傾斜地において停車状態を維持することができる。また、車両Vの取りまわしの際には操作レバー40により容易にロック機構20のロックを解除することができる。
<第2実施形態>
図6(A)及び図6(B)は、操作レバーとしてのアクセル操作子250の一例を示す図であり、図6(B)は図6(A)のVI-VI線断面図である。アクセル操作子250は、操向ハンドル104の右グリップであり、操向ハンドル104に対して回転可能に設けられる。ライダは、アクセル操作子250を中立位置から手前(車両後方側)に回転することでエンジン107の出力を操作可能であり、アクセル操作子250を中立位置から奥側(車両前方側)に回転することで解除部30を操作可能である。
図6(A)及び図6(B)は、操作レバーとしてのアクセル操作子250の一例を示す図であり、図6(B)は図6(A)のVI-VI線断面図である。アクセル操作子250は、操向ハンドル104の右グリップであり、操向ハンドル104に対して回転可能に設けられる。ライダは、アクセル操作子250を中立位置から手前(車両後方側)に回転することでエンジン107の出力を操作可能であり、アクセル操作子250を中立位置から奥側(車両前方側)に回転することで解除部30を操作可能である。
アクセル操作子250に隣接して、ケース252が操向ハンドル104の一部を覆うように設けられる。ケース252には、アクセル操作子250の回転に応じてエンジン107の出力及び解除部30を操作するための機構が収容されている。
ホルダ253は、アクセル操作子250とともに回転する部材である。ホルダ253は、一部がアクセル操作子250と操向ハンドル104との間に設けられており、残部がケース252の内部において操向ハンドル104の外周を覆うように設けられている。ホルダ253のケース252側の端部にはスプール254が設けられ、このスプール254もアクセル操作子250とともに回転する。
スプール254には、二つの溝254a及び254bが設けられている。溝254aには、エンジン107のスロットルバルブを開閉するためのスロットルワイヤ255が接続されたピン256が係合している。溝254bには、ロック機構20のロックを解除する解除部30のレバー31を回動させるためのロックワイヤ257が接続されたピン258が係合している。スロットルワイヤ255及びロックワイヤ257はそれぞれ、ガイド259を介してケース252の外部へと延びている。
アクセル操作子250が矢印Ar61の方向に回転すると、スロットルワイヤ255が引っ張られることによって、エンジン107のスロットルバルブの回動が調整される。一方、アクセル操作子250が矢印Ar62方向に回転すると、ロックワイヤ257が引っ張られることによって、レバー31が回動してロック機構20のロックが解除される。
本実施形態によれば、アクセル操作子250をロック機構20の解除にも用いるので、操作子の数を増やすことなくロック機構20のロックを解除でき、部品点数の削減にも寄与することができる。
<変形例>
上記実施形態のロック機構20は後輪10の回転をロックするが、ロック機構20が前輪9の回転をロックする構成も採用可能である。或いは、前輪9及び後輪10のそれぞれに対してロック機構20が設けられてもよい。
上記実施形態のロック機構20は後輪10の回転をロックするが、ロック機構20が前輪9の回転をロックする構成も採用可能である。或いは、前輪9及び後輪10のそれぞれに対してロック機構20が設けられてもよい。
また、上記実施形態のロック機構20では、回転側部材が内歯車のような形状を有するアウタリング21であり、その内側に固定側部材として爪部24が設けられている。しかし、外歯車の形状を有する回転側部材と、これに隣接する爪部とにより前輪9又は後輪10の回転がロックされてもよい。或いは、ロック機構20として、回転側部材及び固定側部材が互いに対向する板状の部材であり、それぞれの対向面に溝が切られたランニングフェースラチェット等も採用可能である。或いは、車両Vの後退時にのみ回転側部材と固定側部材との摩擦係合が発生することによって車輪の回転がロックされてもよい。すなわち、ロック機構20が回転側部材と固定側部材の機械的な係合によって車輪の回転をロックすることで、ロック機構20の構成を簡素化することができる構成を適宜採用可能である。
また、上記実施形態では解除部30はワイヤ128によって回動するレバー31によりロック機構20のロックを解除するが、解除部30は電動のアクチュエータ等を用いてロック機構20のロックを解除してもよい。例えば、車両Vに操作レバー(例えば、操作レバー40又はアクセル操作子250)の操作を検出するためのセンサが設けられ、そのセンサが操作レバーの操作を検出した場合にアクチュエータによってロック機構20のロックが解除されてもよい。しかしながら、上記実施形態のようにメカニカルな構成のみでロック機構20のロックを解除可能とすることで、車両Vの構成をより簡素化することができる。
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は、以下の鞍乗型車両を少なくとも開示する。
上記実施形態は、以下の鞍乗型車両を少なくとも開示する。
態様1.鞍乗型車両(V)であって、
前記鞍乗型車両の前後方向に並んで配置される第1の車輪(10)及び第2の車輪(9)と、
前記第1の車輪に対する制動力を発生する制動装置(116)と、
前記鞍乗型車両の後退側への前記第1の車輪の回転のみをロックするロック機構(20)と、
前記ロック機構によるロックを解除する解除手段(30)と、を備える、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
前記鞍乗型車両の前後方向に並んで配置される第1の車輪(10)及び第2の車輪(9)と、
前記第1の車輪に対する制動力を発生する制動装置(116)と、
前記鞍乗型車両の後退側への前記第1の車輪の回転のみをロックするロック機構(20)と、
前記ロック機構によるロックを解除する解除手段(30)と、を備える、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、制動装置と別に設けられ、一方向にのみ回転を許容する機構を用いて鞍乗型車両の後退を規制する。したがって、例えばブレーキ液圧の制御等によって鞍乗型車両の後退を規制するような場合よりも簡易な構成で、上り坂等の傾斜地において停車状態を維持することができる。また、鞍乗型車両の取りまわしの際には解除手段によりロック機構のロックを解除することができる。
態様2.鞍乗型車両であって、
前記ロック機構は、前記第1の車輪の車軸(120)に設けられる、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
前記ロック機構は、前記第1の車輪の車軸(120)に設けられる、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、より容易にロック機構を車両に搭載することができる。また、車両の大型化を抑制することができる。
態様3.鞍乗型車両であって、
前記第1の車輪を駆動する駆動源(107)をさらに備え、
前記第1の車輪は一輪の後輪(10)であり、
前記後輪の車幅方向の一方側に、前記制動装置が配置され、
前記ロック機構は、車幅方向において前記後輪に対して前記制動装置の反対側に配置される、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
前記第1の車輪を駆動する駆動源(107)をさらに備え、
前記第1の車輪は一輪の後輪(10)であり、
前記後輪の車幅方向の一方側に、前記制動装置が配置され、
前記ロック機構は、車幅方向において前記後輪に対して前記制動装置の反対側に配置される、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、左右の重量バランスの偏りを抑制することができる。
態様4.鞍乗型車両であって、
前記制動装置は、前記後輪より進行方向右側に配置され、
前記ロック機構は前記後輪より進行方向左側に配置される、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
前記制動装置は、前記後輪より進行方向右側に配置され、
前記ロック機構は前記後輪より進行方向左側に配置される、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、左右の重量バランスの偏りを抑制することができる。
態様5.鞍乗型車両であって、
前記第1の車輪を駆動する駆動源(107)をさらに備え、
前記第1の車輪は一輪の後輪であり、
前記後輪には、前記駆動源からの駆動力を前記後輪に伝達するためのスプロケット(121)が設けられ、
前記ロック機構は、前記スプロケットの半径方向内側に配置される、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
前記第1の車輪を駆動する駆動源(107)をさらに備え、
前記第1の車輪は一輪の後輪であり、
前記後輪には、前記駆動源からの駆動力を前記後輪に伝達するためのスプロケット(121)が設けられ、
前記ロック機構は、前記スプロケットの半径方向内側に配置される、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、車両の大型化をより抑制することができる。
態様6.鞍乗型車両であって、
前記第2の車輪は前輪(9)であり、
前記鞍乗型車両は、
前記前輪を操舵するためのハンドル(104)と、
前記ハンドルに近接して配置され、前記解除手段を操作するための操作レバー(40)と、をさらに備える、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
前記第2の車輪は前輪(9)であり、
前記鞍乗型車両は、
前記前輪を操舵するためのハンドル(104)と、
前記ハンドルに近接して配置され、前記解除手段を操作するための操作レバー(40)と、をさらに備える、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、鞍乗型車両の取りまわしの際に運転者が操作しやすい位置に操作レバーを配置することができる。
態様7.鞍乗型車両であって、
前記第2の車輪は前輪(9)であり、
前記鞍乗型車両は、
前記前輪を操舵するためのハンドル(104)と、
前記駆動源の出力を操作するためのアクセル操作子(105)と、をさらに備え、
前記アクセル操作子を中立位置から第1の方向に回転させることで前記駆動源の出力を操作可能であり、
前記アクセル操作子を前記中立位置から前記第1の方向と逆の第2の方向に回転させることで前記解除手段を操作可能である、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
前記第2の車輪は前輪(9)であり、
前記鞍乗型車両は、
前記前輪を操舵するためのハンドル(104)と、
前記駆動源の出力を操作するためのアクセル操作子(105)と、をさらに備え、
前記アクセル操作子を中立位置から第1の方向に回転させることで前記駆動源の出力を操作可能であり、
前記アクセル操作子を前記中立位置から前記第1の方向と逆の第2の方向に回転させることで前記解除手段を操作可能である、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、アクセル操作子をロック機構の解除に用いるので、操作子の数を増やすことなくロック機構のロックを解除でき、部品点数の削減にも寄与することができる。
態様8.鞍乗型車両であって、
前記ロック機構は、前記第1の車輪とともに回転する回転側部材(21,22)と、車体側に固定される固定側部材(23,24)との係合により前記第1の車輪の回転をロックする、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
前記ロック機構は、前記第1の車輪とともに回転する回転側部材(21,22)と、車体側に固定される固定側部材(23,24)との係合により前記第1の車輪の回転をロックする、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、回転側部材と固定側部材の係合により第1の車輪の回転をロックするので、より簡易な構成で傾斜地において停車状態を維持することができる。
態様9.鞍乗型車両であって、
前記ロック機構は、
前記解除手段によって変位する爪部(24)と、
前記第1の車輪とともに回転し、前記爪部と係脱可能な噛合部(22)と、
前記爪部を前記噛合部に対して付勢する付勢部(25)と、を含み、
前記解除手段は、前記爪部を前記噛合部から離間させる方向に変位させる、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
前記ロック機構は、
前記解除手段によって変位する爪部(24)と、
前記第1の車輪とともに回転し、前記爪部と係脱可能な噛合部(22)と、
前記爪部を前記噛合部に対して付勢する付勢部(25)と、を含み、
前記解除手段は、前記爪部を前記噛合部から離間させる方向に変位させる、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
この実施形態によれば、簡易な構成で、ロック機構のロックを解除することができる。
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
10:後輪、20:ロック機構、30:解除部、V:車両
Claims (9)
- 鞍乗型車両であって、
前記鞍乗型車両の前後方向に並んで配置される第1の車輪及び第2の車輪と、
前記第1の車輪に対する制動力を発生する制動装置と、
前記鞍乗型車両の後退側への前記第1の車輪の回転のみをロックするロック機構と、
前記ロック機構によるロックを解除する解除手段と、を備える、
ことを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項1に記載の鞍乗型車両であって、
前記ロック機構は、前記第1の車輪の車軸に設けられる、
ことを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項2に記載の鞍乗型車両であって、
前記第1の車輪を駆動する駆動源をさらに備え、
前記第1の車輪は一輪の後輪であり、
前記後輪の車幅方向の一方側に、前記制動装置が配置され、
前記ロック機構は、車幅方向において前記後輪に対して前記制動装置の反対側に配置される、
ことを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項3に記載の鞍乗型車両であって、
前記制動装置は、前記後輪より進行方向右側に配置され、
前記ロック機構は前記後輪より進行方向左側に配置される、
ことを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項2に記載の鞍乗型車両であって、
前記第1の車輪を駆動する駆動源をさらに備え、
前記第1の車輪は一輪の後輪であり、
前記後輪には、前記駆動源からの駆動力を前記後輪に伝達するためのスプロケットが設けられ、
前記ロック機構は、前記スプロケットの半径方向内側に配置される、
ことを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項3から5までのいずれか一項に記載の鞍乗型車両であって、
前記第2の車輪は前輪であり、
前記鞍乗型車両は、
前記前輪を操舵するためのハンドルと、
前記ハンドルに近接して配置され、前記解除手段を操作するための操作レバーと、をさらに備える、
ことを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項3から5までのいずれか一項に記載の鞍乗型車両であって、
前記第2の車輪は前輪であり、
前記鞍乗型車両は、
前記前輪を操舵するためのハンドルと、
前記駆動源の出力を操作するためのアクセル操作子と、をさらに備え、
前記アクセル操作子を中立位置から第1の方向に回転させることで前記駆動源の出力を操作可能であり、
前記アクセル操作子を前記中立位置から前記第1の方向と逆の第2の方向に回転させることで前記解除手段を操作可能である、
ことを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項2に記載の鞍乗型車両であって、
前記ロック機構は、前記第1の車輪とともに回転する回転側部材と、車体側に固定される固定側部材との係合により前記第1の車輪の回転をロックする、
ことを特徴とする鞍乗型車両。 - 請求項2に記載の鞍乗型車両であって、
前記ロック機構は、
前記解除手段によって変位する爪部と、
前記第1の車輪とともに回転し、前記爪部と係脱可能な噛合部と、
前記爪部を前記噛合部に対して付勢する付勢部と、を含み、
前記解除手段は、前記爪部を前記噛合部から離間させる方向に変位させる、
ことを特徴とする鞍乗型車両。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022040722A JP2023135481A (ja) | 2022-03-15 | 2022-03-15 | 車両 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022040722A JP2023135481A (ja) | 2022-03-15 | 2022-03-15 | 車両 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023135481A true JP2023135481A (ja) | 2023-09-28 |
Family
ID=88144335
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022040722A Pending JP2023135481A (ja) | 2022-03-15 | 2022-03-15 | 車両 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023135481A (ja) |
-
2022
- 2022-03-15 JP JP2022040722A patent/JP2023135481A/ja active Pending
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