バッテリなどの蓄電器から給電されるモータを有し、ペダルに加えられる踏力からなる人力駆動力をトルクセンサにより検出し、人力駆動力に対応したモータの補助駆動力(アシスト力)を加えることで、上り坂等でも楽に走行できる電動アシスト自転車は既に知られている。
この電動アシスト自転車において、モータなどが内蔵されたモータ駆動ユニットを、クランク軸の近傍に配設したものがある。このような配置構成の電動アシスト自転車は、重量が比較的大きいモータ駆動ユニットが、電動アシスト自転車の前後方向中央(すなわち、前輪と後輪との間の中間)の低い位置に配置される。したがって、この配置構成の電動アシスト自転車は、モータが前輪のハブや後輪のハブに内蔵されているものと比較して、前輪や後輪を持ち上げ易くて、走行路に段差があっても容易に乗り越えることができるなど、車体の取り回しがよく、また、走行安定性も良好である。
この種の電動アシスト自転車に設けられるモータ駆動ユニットとしては、大別して、図9に示すように、クランク軸101の一端部近傍箇所に配設された人力駆動力出力輪体としての駆動スプロケット(前スプロケットや大ギヤとも称せられる)102とは別に、モータからの補助駆動力を出力する補助駆動力出力スプロケット103を備えた、いわゆる二軸式とも称せられるモータ駆動ユニット200と、図10、図11に示すように、踏力による人力駆動力とモータによる補助駆動力とがモータ駆動ユニット200の内部で合成され、合成された合力が駆動スプロケット201から出力されるいわゆる一軸式とも称せられるモータ駆動ユニット200とがある。
前記二軸式のモータ駆動ユニット100は、例えば特許文献1等に開示されており、図9に示すように、補助駆動力出力スプロケット103が、モータ駆動ユニット100における駆動スプロケット102よりも後方の箇所から、モータ駆動ユニット100のユニットケース104より外側に突出された状態で配設されている。そして、人力駆動力が出力される駆動スプロケット102と補助駆動力が出力される補助駆動力出力スプロケット103とのそれぞれが、無端状駆動力伝達体としてのチェーン105に噛み合わされており、チェーン105によって人力駆動力と補助駆動力が合成されて後輪側に伝達される。
補助駆動力出力スプロケット103のさらに後方には、補助駆動力出力スプロケット103に噛み合った後のチェーン105に噛み合って下方に案内するテンショナ装置(ガイド装置とも称せられる)106が配設されている。そして、このテンショナ装置106に設けられたテンションスプロケット107により、補助駆動力出力スプロケット103に噛み合うチェーン105の巻き角度を増加させている。
一方、いわゆる一軸式のモータ駆動ユニット200は、例えば特許文献2等に開示されており、図10、図11に示すように、ペダルからの人力駆動力が伝達されるクランク軸202の外周に、セレーション結合などにより前記人力駆動力が伝達される筒状の人力伝達体203と、この人力伝達体203を介して伝達された人力駆動力とモータ204からの補助駆動力とが合成される合力体205とを配設している。そして、人力伝達体203からの人力駆動力が一方向クラッチ206を介して合力体205に伝達されるよう構成している。また、合力体205の一端部には、モータ204からの補助駆動力が減速機構207を介して伝達される大径歯車部205aが形成され、合力体205の他端部には、無端状駆動力伝達体としてのチェーン208に噛み合わされる駆動力出力輪体としての駆動スプロケット201が取り付けられている。そして、合力体205において合成された合力が駆動スプロケット201からチェーン208を介して後輪側に伝達される。
図10、図11に示すように、一軸式のモータ駆動ユニット200はチェーン208に駆動スプロケット201だけを噛み合わせて、人力駆動力と補助駆動力とを合成した合力をチェーン208に伝達する方式である。これに対して、二軸式のモータ駆動ユニット100は、図9に示すように、チェーン105に、人力駆動力を伝達する駆動スプロケット102と、補助駆動力を伝達する補助駆動力出力スプロケット103と、さらに、テンションスプロケット107とを噛み合わせる必要がある。
このため、一軸式のモータ駆動ユニット200は、モータ204や減速機構207などの配置を工夫することで、モータ駆動ユニット200の側面視した状態での面積(横方向からの投影面積)を、二軸式のモータ駆動ユニット100の面積よりも小さくできる(コンパクト化できる)利点がある。また、いわゆるフロント変速機を装着しようとした場合に、一軸式のモータ駆動ユニット200は、駆動スプロケット201を多段にすることで容易に装着することができる。一方、二軸式のモータ駆動ユニット100は、チェーン105に駆動スプロケット102と補助駆動力出力スプロケット103とテンションスプロケット107とを噛み合わせる必要があるので、フロント変速機を装着することは困難である。
さらに、一軸式のモータ駆動ユニット200は、テンションスプロケット107などのテンショナ装置106を設けなくて済む利点もある。また、電動アシスト自転車に用いられるブレーキ装置として、一般の自転車と同様に、ハンドルに取り付けたブレーキレバーを操作することで制動されるリムブレーキ、バンドブレーキ、またはローラブレーキなどが用いられる場合が多いが、地域によって、または運転者の要望などにより、ペダルを前進走行時の回転方向とは逆方向に回転することにより制動されるコースターブレーキを後輪に取り付けることが望まれる場合がある。しかし、この場合には、ペダルを逆方向に回転した際に、チェーンの下側部分を前方に引張るような張力が作用するので、二軸式のモータ駆動ユニット100では、テンショナ装置106として特別の工夫が必要となる。これに対して、一軸式のモータ駆動ユニット200では、そのような特別の工夫を必要としない利点もある。
このような利点を有する一軸式のモータ駆動ユニット200においては、クランク軸202からの人力駆動力が伝達される人力伝達体203の外周面とその対向部分に、人力駆動力を検出する磁歪式のトルクセンサ209が設けられる場合が多い。すなわち、人力伝達体203の外周面に磁歪発生部が形成されているとともに、この磁歪発生部に対向するように、磁歪発生部での磁気の変動を検出するコイル209aが配設されている。そして、左右のペダルを踏み込んだ際にクランク軸202が踏力(人力駆動力)により捩れるため、クランク軸202からの人力駆動力が伝達される人力伝達体203の捩れ状態を、前記トルクセンサ209により検出している。
このように人力伝達体203の外周にはトルクセンサ209の磁歪発生部が形成されている一方で、人力伝達体203の端部には、上記したように一方向クラッチ206が取り付けられている。この一方向クラッチ206は、以下の理由で設けられている。すなわち、従来のこの種の電動アシスト自転車では、搭乗者がペダルを漕ぐことを止めても、しばらくの間だけ、モータ204が回転し続けるように制御する場合(いわゆる遅れ制御を行う場合)があり、この場合には、一方向クラッチ206が設けられていないと、モータ204からの補助駆動力がクランク軸202に伝達されて、ペダルが勝手に回転し続けようとする。したがって、このような力が、クランク軸202やペダルに作用しないように、一方向クラッチ206により、モータ204からの補助駆動力を切断させている。
また、図11に示すように、この一軸式のモータ駆動ユニット200においては、モータ204における回転軸204aとロータ部204bとの間にも一方向クラッチ210が設けられている。この一方向クラッチ210は、モータ204を駆動するバッテリの残容量が無くなった場合においてペダルを漕ぐ際に、モータ204のロータ部204bを回転しなくても済むように設けられている。すなわち、一方向クラッチ210が設けられていないと、バッテリの残容量が無くなった際にペダルを漕ぐと、モータ204のロータ部204bをもペダルの踏力により回転することとなるため、モータ204のコギングトルクなどによって、ペダルを回転させるために大きな力が必要となる(いわゆる引きずり抵抗がある)。これに対して、前記一方向クラッチ210が設けられることで、モータ204のロータ部204bを回転しなくても済むので、モータ204のコギングトルクなどによる力を余分にかけなくて済む。
なお、一軸式のモータ駆動ユニットとして、例えば特許文献3等に開示されているものもある。図12に示すように、この一軸式のモータ駆動ユニット250では、ペダルからの人力駆動力が伝達されるクランク軸251の外周に筒状の合力体255が配設されており、この合力体255は、この一端部に取り付けられた一方向クラッチ252を介してクランク軸251から人力駆動力が伝達されるとともにモータ253からの補助駆動力が減速機構254などを介して伝達されるよう構成されている。また、合力体255の他端部寄り箇所にはもう一つの一方向クラッチ258を介して減速機構254の出力歯車254aに噛み合う大径歯車259が取り付けられている。そして、モータ253からの補助駆動力が減速機構254、大径歯車259、および一方向クラッチ258を介して合力体255に伝達され、合力体255において合成された合力が駆動スプロケット257からチェーン256を介して後輪側に伝達される。
この一軸式のモータ駆動ユニット250においては、クランク軸251からの人力駆動力とモータ253からの補助駆動力とが伝達される合力体255の外周面に磁歪発生部が形成されているとともに、この磁歪発生部に対向するように、磁歪発生部での磁気の変動を検出するコイルが配設されてなる磁歪式のトルクセンサ260が設けられている。そして、左右のペダルを踏み込んだ際にクランク軸251が捩れるため、クランク軸251からの人力駆動力が伝達される合力体255の捩れ状態を、トルクセンサ260により検出している。
図12に示す一軸式のモータ駆動ユニット250においては、合力体255の一端部に取り付けられている一方向クラッチ252により、ペダルを漕ぐことを止めたにもかかわらず、しばらくの間、モータ253が回転し続けていた場合でも、モータ253からの補助駆動力が一方向クラッチ252により切断されてクランク軸251やペダルに作用しないように図られている。
しかしながら、従来の一軸式のモータ駆動ユニット200では、図11に示すように、トルクセンサ209が設けられている人力伝達体203に一方向クラッチ206が取り付けられていたり、図12に示すように、トルクセンサ260が設けられている合力体255に一方向クラッチ252、258が取り付けられていたりする。したがって、これらの一方向クラッチ206、252、258の切替動作時の振動やカム部の噛み合い動作や乗越え動作時の振動が、トルクセンサ209が設けられている人力伝達体203や、トルクセンサ260が設けられている合力体255に直接伝達するため、トルク検出時のノイズとなって、トルクの検出能力が低下するおそれがある。
また、人力伝達体203や合力体255に一方向クラッチ206、252、258を取り付けた後も良好な組付け状態を維持するためには、人力伝達体203や合力体255として耐摩耗性に優れた材料を用いたり、熱処理を行ったりすることが望ましいが、人力伝達体203や合力体255の表面にはトルクセンサ209、260の磁歪発生部を形成しなければならないため、人力伝達体203や合力体255の材料が極めて限定されてしまい、場合によっては、トルクの検出能力が低いものを用いざるを得ない場合がある。
また、人力伝達体203や合力体255に一方向クラッチ206、252、258が取り付けられているので、コースターブレーキを後輪のハブに設けようとしても、ペダルを前進走行時と逆方向に回転させた際に、ペダルの回転が駆動スプロケット102、201、257やチェーン105、208、256に伝達できず、対応することができなかった。
本発明は上記課題を解決するもので、トルクの検出能力を良好に維持することができ、またコースターブレーキに対応することも可能な、いわゆる一軸式のモータ駆動ユニットを備えた電動アシスト自転車を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、ペダルからの踏力による人力駆動力に、モータにより発生する補助駆動力を加えて走行可能である電動アシスト自転車であって、ペダルからの人力駆動力が伝達されるクランク軸の外周に、前記人力駆動力が伝達されて、この人力駆動力を検出するためのトルクセンサの磁歪発生部が形成された筒状の人力伝達体が配設され、前記クランク軸の外周に、前記人力伝達体を介して伝達された人力駆動力とモータからの補助駆動力とが合成される合力体が配設され、前記合力体により人力駆動力と補助駆動力とが合成されてなる合力が、クランク軸と同軸心の駆動力出力輪体と、この人力駆動力出力輪体に掛け渡された無端状駆動力伝達体とを介して、後輪に伝達されるよう構成され、前記クランク軸と前記人力伝達体と前記合力体とにわたる駆動力の伝達経路に、一方向クラッチが配設されておらず、前記クランク軸と前記人力伝達体と前記合力体との相対的な回転方向にかかわらず、前記クランク軸の回転に伴って前記人力伝達体および前記合力体も回転されることを特徴とする。
この構成により、クランク軸と人力伝達体と合力体とにわたる駆動力の伝達経路に一方向クラッチが配設されていないので、人力伝達体にトルクセンサの磁歪発生部が設けられていても、人力伝達体に一方向クラッチに起因する振動が伝わることがなく、トルク(人力駆動力)を良好に検出することができる。また、人力伝達体に一方向クラッチを組付ける必要がないため、人力伝達体の材料をとして広い範囲のものから選択できて、トルクの検出能力が高くなる材料を用いることができる。
また、本発明は、ペダルが停止または逆方向に回転されたことを検出する回転検出器を設け、この回転検出器によりペダルが停止または逆方向に回転されたことが検出されると、制御部によりモータを停止または制動させるよう構成していることを特徴とする。この場合に、回転検出器として前記トルクセンサを用いることが好ましい。
この構成により、走行中にペダルを漕ぐことを停止したり、逆方向に回転したりした際には、この動作が回転検出器により検出されて、モータが停止または制動されるので、モータからの補助駆動力がペダルに作用することを防止できる。また、回転検出器として前記トルクセンサを用いることで、素早くかつ確実にペダルの停止または逆方向への回転を検出することができ、しかも、別途に回転検出器を設けなくても済む。
また、本発明は、ペダルを前進走行時の回転方向と逆方向に回転させた際に作動するコースターブレーキが後輪のハブに配設されていることを特徴とする。このように、コースターブレーキが後輪のハブに配設されている場合でも、前記クランク軸と前記人力伝達体と前記合力体とにわたる駆動力の伝達経路に、一方向クラッチが配設されておらず、クランク軸の回転が合力体に必ず伝達されるので、ペダルを前進走行時と逆方向に回転させた際にはこの回転がコースターブレーキに良好に伝達されて、コースターブレーキを良好に作動させることができる。
また、本発明は、モータと合力体とにわたる補助駆動力の伝達経路に、複数の減速用歯車部とこの減速用歯車部を支持する減速用歯車支持軸とを有する減速機構が配設され、何れかの減速用歯車部と前記減速用歯車支持軸との間に、前記合力体側からの人力駆動力をモータ側に伝達しない人力駆動力切断用の一方向クラッチが配設されていることを特徴とする。
この構成により、バッテリの残容量が無くなった際にペダルを漕いで回転させた場合でも、減速用歯車部と減速用歯車支持軸との間に配設された人力駆動力切断用の一方向クラッチによって、減速用歯車やモータを回転しなくても済み、ペダルに余分な力をかけなくて済む。
また、本発明の前記減速機構に、減速用大径歯車部と減速用歯車大径支持軸部と減速用小径歯車部と減速用歯車小径支持軸部とを有する減速用歯車が設けられ、前記減速用大径歯車部と前記減速用歯車大径支持軸部との間に一方向クラッチが配設され、前記減速用小径歯車部と前記速用歯車小径支持軸部とが別体とされて、前記減速用小径歯車部を前記速用歯車小径支持軸部に一体的になるよう組付けていることを特徴とする。
このように、減速用小径歯車部と減速用小径支持軸部とを別体で構成して、減速用小径歯車部を減速用歯車小径支持軸部に圧入するなどして、組立時に組み付けて一体化することにより、減速用小径歯車部のほぼ全幅にわたって合力体の歯車部と噛み合わせることができて、ひいては、減速用歯車の厚みを最小限に抑えることができる。
また、本発明は、モータと合力体と減速機構と制御部とがモータ駆動ユニット内に組み込まれ、モータと制御部とが側面視して重なり、かつ正面視して幅方向の互いに反対側に配設されていることを特徴とする。
この構成により、モータ駆動ユニットの側面視した状態での面積(横方向からの投影面積)を、一軸式のモータ駆動ユニットとして特に小さくできる(コンパクト化できる)。また、モータと制御部とはモータ駆動ユニットにおいて幅方向の反対側に配設したので、制御部がモータの熱の影響を受け難くなり、良好な信頼性を保持することができる。
本発明によれば、前記クランク軸と前記人力伝達体と前記合力体とにわたる駆動力の伝達経路に一方向クラッチが配設されていないので、人力伝達体にトルクセンサの磁歪発生部が設けられていても、人力伝達体に一方向クラッチに起因する振動が伝わることがなく、トルク(人力駆動力)を良好に検出することができる。また、人力伝達体に一方向クラッチを組付ける必要がないため、人力伝達体の材料をとして広い範囲のものから選択できて、トルクの検出能力が高くなる材料を用いることができる。これにより電動アシスト自転車の信頼性が向上する。
また、ペダルが停止または逆方向に回転されたことを検出する回転検出器を設け、ペダルが停止または逆方向に回転されたことが検出されると、制御部によりモータを停止または制動させるよう構成することにより、走行中にペダルを漕ぐことを停止したり、逆方向に回転したりした際には、モータが停止または制動されるので、モータからの補助駆動力がペダルに作用することを防止できて、ペダルに余分な力をかけなくて済む。
また、回転検出器として前記トルクセンサを用いることで、素早くかつ確実にペダルの停止または逆方向への回転を検出することができ、しかも、別途に回転検出器を設けなくても済むので、別途に回転検出器を設けた場合と比較して製造コストを低減できる。
また、ペダルを前進走行時の回転方向と逆方向に回転させた際に作動するコースターブレーキを後輪のハブに配設して良好に作動させることができる。
また、合力体とモータとにわたる補助駆動力の伝達経路に、複数の減速用歯車部とこの減速用歯車部を支持する減速用歯車支持軸とを有する減速機構を配設し、何れかの減速用歯車部と前記減速用歯車支持軸との間に、人力駆動力切断用の一方向クラッチを配設することにより、バッテリの残容量が無くなった際にペダルを漕いで回転させた場合でも、減速用歯車やモータを回転しなくても済んで、ペダルに余分な力をかけなくて済む(いわゆる引きずり抵抗を極めて減少させることができる)。
また、本発明の前記減速機構に、減速用大径歯車部と減速用歯車大径支持軸部と減速用小径歯車部と減速用歯車小径支持軸部とを有する減速用歯車を設け、前記減速用大径歯車部と前記減速用歯車大径支持軸部との間に一方向クラッチを配設し、前記減速用小径歯車部と前記速用歯車小径支持軸部とを別体として、前記減速用小径歯車部を前記速用歯車小径支持軸部に一体的になるよう組付けることにより、減速用小径歯車部のほぼ全幅にわたって合力体の歯車部と噛み合わせることができる。これにより、減速用歯車の厚みを最小限に抑えることができ、モータ駆動ユニットとして左右の幅として小さいものを実現できる。
また、モータと合力体と減速機構と制御部とがモータ駆動ユニット内に組み込まれ、モータと制御部とを側面視して重なり、かつ正面視して幅方向の互いに反対側に配設することで、モータ駆動ユニットの側面視した状態での面積(横方向からの投影面積)を、一軸式のモータ駆動ユニットとして特に小さくできる(コンパクト化できる)とともに、制御部がモータの熱の影響を受け難くなって、良好な信頼性を保持することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る電動アシスト自転車について図面に基づき説明する。
図1、図2における1は本発明の実施の形態に係る電動アシスト自転車である。図1、図2に示すように、この電動アシスト自転車1は、ヘッドパイプ2a、前フォーク2b、メインパイプ2c、立パイプ2d、チェーンステー2e、シートステー2fなどからなる金属製のフレーム2と、前フォーク2bの下端に回転自在に取り付けられた前輪3と、チェーンステー2eの後端に回転自在に取り付けられた後輪4と、前輪3の向きを変更するハンドル5と、サドル6と、踏力からなる人力駆動力がかけられるクランク7およびペダル8と、補助駆動力(アシスト力)を発生させる駆動源としての電動のモータ21(図4参照)およびこのモータ21を含めた各種の電気的制御を行う制御部24(図4参照)などが設けられたモータ駆動ユニット20と、モータ21に駆動用の電力を供給する二次電池からなるバッテリ12と、ハンドル5などに取り付けられて、搭乗者などが操作可能な手元操作部(図示せず)と、クランク7と同軸心で一体的に回転するように取り付けられ、人力駆動力および補助駆動力が合わされた合力を出力する駆動力出力輪体としての駆動スプロケット(前スプロケット、クランクスプロケットや前ギヤとも称せられることがある)13と、後輪4のハブ(後ハブとも称する)9に取り付けられた後部輪体としての後スプロケット(後ギヤとも称せられることがある)14と、駆動スプロケット13と後スプロケット14とにわたって回転可能な状態で無端状に巻回された無端状駆動力伝達体としてのチェーン15と、チェーン15などを側方から覆うチェーンカバー17となどを備えている。なお、バッテリ12は蓄電器の一例であり、二次電池が好適であるが、蓄電器の他の例としてはキャパシタなどであってもよい。
図1、図2に示すように、この電動アシスト自転車においても、モータ駆動ユニット20が、クランク軸7aの略後方など、前輪3と後輪4との間の中間位置(より詳しくは中間位置の下部)に配置されている。そして、このような配置構成にすることで、重量が比較的大きいモータ駆動ユニット20が、電動アシスト自転車1の前後方向中央に配置されるため、前輪3や後輪4を持ち上げ易くて、走行路に段差があっても容易に乗り越えることができるなど、電動アシスト自転車1の車体(フレーム2など)の取り回しがよく、また、走行安定性も良好となるよう図っている。
図3(a)および(b)はモータ駆動ユニット20の左側面図および右側面図(何れも駆動スプロケット13は省いている)、図4はモータ駆動ユニット20の平面断面図である。なお、以下の説明における左右方向および前後方向とは、図4に示すように、進行方向に向って当該電動アシスト自転車1に搭乗した状態での方向を言うが、この発明の構成が以下で述べる方向に限定されるものではない。
図3(a)、(b)、図4に示すように、モータ駆動ユニット20は、ユニットケース22により外殻部などが構成され、モータ駆動ユニット20の前部をクランク軸7aが左右に貫通している。また、クランク軸7aの外周に、クランク軸7aからの人力駆動力が伝達される人力伝達体28と、この人力伝達体28を介して伝達された人力駆動力とモータ21からの補助駆動力とを合成する合力体29とが配設されている。さらに、ユニットケース22の前後方向中央部に、減速用歯車36などを有する減速機構25が配設され、ユニットケース22内の後部左側にモータ21が配設され、ユニットケース11内の後部右側に、各種の電気的制御を行う電子部品が設けられた制御用プリント基板や各種情報の記憶部などを有する制御部24が配設されている。
詳しくは、図4に示すように、クランク軸7aが、モータ駆動ユニット20の前部を左右に貫通した状態で軸受26、27により回転自在に配設され、このクランク軸7aにおける左右方向中央部の外周に、セレーション部(またはスプライン部)7bを介して、筒状の人力伝達体28が一体的に回転する状態で嵌め込まれている。この人力伝達体28の外周表面には、磁気異方性を付与した磁歪発生部31bが形成されているとともに、その外周に一定の隙間(空間)を介してコイル31aが配設されて、これらの磁歪発生部31bおよびコイル31aにより磁歪式のトルクセンサ(人力検知部)31が構成されている。これにより、クランク軸7aからの人力駆動力が人力伝達体28に伝達されるとともに、トルクセンサ31により人力駆動力が検出される。また、この磁歪式のトルクセンサ31では、磁歪発生部31bが、人力伝達体28の軸心方向に対して例えば+45度と−45度とをなす螺旋形状に形成されており、人力伝達体28に人力駆動力が伝達されると人力伝達体28の表面の磁歪発生部31bに歪みが発生して透磁率の増加部分と減少部分とが発生するため、コイル31aのインダクタンス差を測定することでトルク(人力駆動力)の大きさだけでなく、その方向、すなわち、クランク軸7aが反対方向に回転されたことをも容易かつ迅速に検出できるよう構成されている。
また、人力駆動力と補助駆動力とを合成するための合力体29は、クランク軸7aの外周における人力伝達体28の右側に隣接した箇所で、クランク軸7aに対しては回転自在の状態で配設されているが、人力伝達体28の右端部外周に形成されたセレーション部(またはスプライン部)28aと、合力体29の左端部内周に形成されたセレーション部(またはスプライン部)29aとが嵌合されている。このように、クランク軸7aと人力伝達体28との間、および人力伝達体28と合力体29との間(すなわち、クランク軸7aと人力伝達体28と合力体29との間の力の伝達経路)には、一方向クラッチが設けられておらず、この結果、クランク軸7aに伝達された人力駆動力が人力伝達体28から合力体29に伝達されて、これらのクランク軸7aと人力伝達体28と合力体29とが常に一体的に回転するよう構成されている。
また、合力体29の左寄り箇所外周にはモータ21からの補助駆動力を入力するための大径歯車部29bが一体形成されており、合力体29の右端部外周には駆動スプロケット13が嵌め込まれて、合力体29と駆動スプロケット13とは一体的に回転する。なお、合力体29に外嵌された軸受27により、クランク軸7aが合力体29を介して回転自在に支持されている。なお、合力体29とクランク軸7aとの間に薄肉の軸受などを配設してもよい。
モータ21は軸受32、33によりその回転軸21aおよびロータ部21bが回転自在に支持されている。また、モータ21の回転軸21aが右側方に突出され、この突出部の外周に歯部21cが形成されている。減速機構25は、減速用歯車36を介することにより、モータ21の回転トルク(補助駆動力)が増幅されて合力体29の大径歯車部29bに伝達するよう構成されている。ここで、減速用歯車36の支持軸(減速用歯車支持軸)には、軸受34、35により回転自在に支持された減速用歯車小径支持軸部(減速用歯車支持軸の一例であり、以下、単に小径支持軸部と略す)36aと、これよりも大径の減速用歯車大径支持軸部(減速用歯車支持軸の他の例であり、以下、単に大径支持軸部と略す)36bとが一体形成されており、小径支持軸部36aの外周に、小径支持軸部36aとは別体の減速用小径歯車部(減速用歯車部の一例であり、以下、単に小径歯車部と略す)36cが、圧入またはセレーション部(あるいはスプライン部)などを介して、一体的に回転するように組みつけられている。そして、小径歯車部36cが合力体29の大径歯車部29bに噛み合わされている。一方、減速用歯車36の大径支持軸部36bの外周に減速用大径歯車部(減速用歯車部の他の例であり、以下、単に大径歯車部と略す)36dが配設されているととともに、この大径歯車部36dがモータ21の回転軸21aの歯部21cに噛み合わされているが、減速用歯車36における大径支持軸部36bと大径歯車部36dとの間には、合力体29からの回転駆動力をモータ21側に伝達しないための、人力駆動力切断用の一方向クラッチ37が配設されている。
この一方向クラッチ37は、走行中にある程度の補助駆動力が出力されるなど、モータ出力(補助駆動力)に基づく減速用歯車36の大径歯車部36dの内周部分が、これに対向する大径支持軸部36bの外周部分に対して、相対的に駆動スプロケット13を前進させる方向に回転する場合(減速用歯車36の大径歯車部36dの内周の前進方向への回転数が、これに対向する大径支持軸部36bの外周の前進方向への回転数よりも大きい場合)には、減速用歯車36の大径歯車部36dに伝達された補助駆動力を、そのまま大径支持軸部36bに伝達するように動作する。そして、補助駆動力が、小径支持軸部36aと小径歯部36cとを介して、合力体29の大径歯車部29bに伝達される。これにより、合力体29において、人力駆動力と補助駆動力とが合成され、これらの合成された合力が、駆動スプロケット13から、チェーン15を介して、後輪4に伝達される。
一方、バッテリ12の残容量が無くなって、モータ21から補助駆動力が出力されない状態でペダル8を漕いだ場合など、モータ出力(補助駆動力)に基づく減速用歯車36の大径歯車部36dの内周部分が、これに対向する大径支持軸部36bの外周部分に対して、相対的に駆動スプロケット13を前進させる方向とは逆方向に回転する場合(減速用歯車36の大径歯車部36dの内周の前進方向への回転数が、これに対向する大径支持軸部36bの外周の前進方向への回転数よりも小さい場合)には、減速用歯車36の大径歯車部36dに伝達された補助駆動力が一方向クラッチ37により切断されて、大径支持軸部36bに伝達されないよう構成されている。
これにより、バッテリ12の残容量が無くなって、モータ21から補助駆動力が出力されない様態でペダル8を漕いだ場合などには、人力駆動力によって小径歯車部36cおよび小径支持軸部36aや大径支持軸部36bは回転されるが、大径歯車部36dやモータ21の回転軸21aおよびロータ部21bは回転されないよう構成されている。
また、この電動自転車1では、後輪4のブレーキ装置として、ブレーキレバーを操作することにより作動するブレーキシューを前輪のリムに押し付けるリムブレーキや、後輪のバンドブレーキやローラブレーキなどは設けられていない。そして、これらのブレーキ装置の代わりに、後ハブ9(図2参照、但し、実際には、図2に示す後スプロケット14の向こう側に後ハブ9が設けられている)に、ペダル8を前進走行時の回転方向と逆方向に回転することにより後輪4が制動される、図5に示すようなコースターブレーキ60が設けられている。なお、前輪3のブレーキ装置としては、ブレーキレバーを操作することによりそれぞれ作動するキャリパーブレーキやリムブレーキを設けてもよいし、設けなくてもよい(図1においては前輪3のブレーキ装置を設けていない場合を示している)。
図5は、コースターブレーキ60が設けられている後輪4のハブ(後ハブ)9の分解斜視図、図6、図7は、それぞれ後ハブの断面図である。この実施の形態では、JIS(日本工業規格)D9419に規定する自転車用コースターハブ機構Bタイプの「ローラークラッチ駆動式」のコースターブレーキ60が用いられており、後ハブ9の外郭部をなして後輪4と一体的に回転するハブ本体の内部にコースターブレーキ60が配設されている。図5〜図7に示すように、コースターブレーキ60は、後輪4のハブ軸67に回転自在に外嵌され、その一端側(図5における右端側)外周に後スプロケット14が一体的に回転するように固定され、その他端側(図5における左端側)に図6、図7に示すような突部61a、大径カム面61bおよび小径カム面61cが周方向適当間隔ごとに形成された駆動体61と、外周寄り部分において周方向適当間隔ごとにローラ62が配設されているとともに軸方向に沿って図5における左側に突出するカム部63aを有するカム台63と、カム台63のカム部63aにその傾斜カム部64aが係合するとともにテーパ面64bを有するエキスパンダー64と、径方向に拡縮可能で後ハブ9の内周面に摺接可能なブレーキシュー65と、ブレーキシュー65を外側に移動可能なテーパ面66aを有するブレーキコーン66などから構成されている。
そして、ペダル8が通常の走行方向(前進走行時の回転方向、正方向とも称す)に回転されると、チェーン15および後スプロケット14などを介して、駆動体61が図6において示すg方向に回転され、これに伴い、ローラ62が駆動体61の大径部61bにより外側に押圧される。この結果、ローラ62が、駆動体61と、後ハブ9のハブ本体との間に強く圧接された状態で挟持され、これによって、駆動体61とともに前記ハブ本体が一体化されて、後輪4全体も回転される。なお、この際、カム台63のカム部63aはエキスパンダー64の傾斜カム部64aにおける軸方向に対して薄い厚み部分に当接している状態となり、エキスパンダー64は図7において右側寄りに位置するため、エキスパンダー64のテーパ面64bがブレーキシュー65に当接せず、ブレーキシュー65も拡径されずに後ハブ9の内周面から離反されている。
一方、ペダル8が前進走行時の回転方向と逆方向に回転されて、チェーン15を介して、後スプロケット14が逆方向に回転された場合には、図7に示すように、駆動体61が後スプロケット14と同方向であるh方向に回転され、これにより、ローラ62の箇所では、駆動体61の小径カム面61cに当接してハブ本体の内周面からは隙間を有する状態となる。しかしながら、駆動体61のh方向への回転により、ローラ62を介して、カム台63がh方向に回転されると、カム台63のカム部63aに傾斜カム部64aで当接しているエキスパンダー64が図5における左側に移動される。これにより、ブレーキシュー65が、エキスパンダー64のテーパ面64bとブレーキコーン66のテーパ面66aとにより両側から押圧されて拡径して、後ハブ9のハブ本体の内周面に強く押圧され、この結果、後ハブ9を介して後輪4が制動される。
なお、走行中にペダル8が停止されて、チェーン15を介して、後スプロケット14の回転が停止された場合には、駆動体61が図6に示すようなg方向に回転される力がなくなるため、図7に示すように、ローラ62は、駆動体61の小径カム面61c側に寄って後ハブ9の内周面から隙間を有する状態となる。また、駆動体61が回転されないため、カム台63も回転されず、これにより、エキスパンダー54は図7において右側寄りに位置した状態のままとなり、エキスパンダー64のテーパ面64bがブレーキシュー65に当接せず、ブレーキシュー65も拡径されずに後ハブ9の内周面から離反される。この結果、後ハブ9が回転している状態であっても、後ハブ9の回転力は、駆動体61や後スプロケット14には伝達されず、これらの間にフリーホイール(一方向クラッチ機構やラチェット機構)を配設した場合のように、空回り状態となって惰性走行状態が維持される。
なお、この実施の形態では、コースターブレーキ60として、「ローラークラッチ駆動式」のものを用いた場合を述べたが、これに限るものではなく、これに代えて、「テーパーコーン駆動式」のコースターブレーキや、「多板式」のコースターブレーキを用いてもよい。
上記構成において、前進走行時にペダル8を踏み込むと、このペダル8にかけられた踏力に基づく人力駆動力が、クランク軸7aから人力伝達体28を介して合力体29に伝達され、前記人力駆動力が、人力伝達体28に設けられたトルクセンサ31により検出される。そして、前記人力駆動力に対応する補助駆動力が減速機構25の減速用歯車36などを介して、合力体29に伝達され、合力体29で合わされた合力が、駆動スプロケット13から、チェーン15を介して、後輪4に伝達される。これにより、人力駆動力に対応したモータの補助駆動力(アシスト力)を加えることで、上り坂等でも楽に走行できる。
一方、走行中に搭乗者がペダル8を漕ぐことを止めると、これに伴ってクランク軸7aの回転も停止するため、この停止状態がトルクセンサ31におより検出され、モータ21が直ぐに停止または制動される。これにより、モータ21からの補助駆動力がペダル8に作用することを防止できて、ペダル8に余分な力をかけなくて済む。
また、走行中に搭乗者がペダル8を逆方向に回転させると、これに伴ってクランク軸7a、人力伝達体28および合力体29を介して駆動スプロケット13も逆方向に回転され、この動作がチェーン15を介して後ハブ9が設けられているコースターブレーキ60に伝達されて、コースターブレーキ60が作動する。
また、これらの動作において、従来の一軸式のモータ駆動ユニットでは、トルクセンサが取り付けられている人力伝達体や合力体の端部に一方向クラッチが設けられていたため、一方向クラッチの切替動作時の振動やカム部の噛み合い動作や乗越え動作時の振動が直接に人力伝達体や合力体の端部に伝達されて、トルク検出時のノイズとなって、トルクの検出能力が低下するおそれがあった。また、このように、トルクの検出能力が低下すると、トルク値に対する高度な制御を行い難くなったり、トルク値に対する素早い制御が行い難くなったりするおそれもある。また、コースターブレーキを後輪のハブに設けようとしても、ペダルを前進走行時と逆方向に回転させた際に、ペダルの回転が駆動スプロケットやチェーンに伝達できないため、コースターブレーキに対応することができなかった。
これに対して、本発明の実施の形態では、クランク軸7aと人力伝達体28と合力体29とにわたる駆動力の伝達経路に一方向クラッチが全く配設されていないので、人力伝達体28にトルクセンサ31の磁歪発生部31bが設けられていても、人力伝達体28に一方向クラッチに起因する振動が伝わることがない。これにより、トルク(人力駆動力)を良好に検出することができて、電動アシスト自転車1の信頼性が向上する。また、人力伝達体28に一方向クラッチを組付ける必要がないため、人力伝達体28の材料をとして広い範囲のものから選択できて、トルクの検出能力が高くなる材料を用いることができる。これにより、トルクをより良好に検出できるトルクセンサ31の磁歪発生部31bを用いることができる。
また、上記構成によれば、走行中にペダル8を漕ぐことを停止したり、逆方向に回転したりした際には、この動作が回転検出器としても機能するトルクセンサ31により検出されて、モータ21が直ぐに停止または制動されるので、モータ21からの補助駆動力がペダル8に作用することを防止できる。また、回転検出器としてトルクセンサ31を用いることで、素早くかつ確実にペダル8の停止または逆方向への回転を検出することができ、しかも、別途に回転検出器を設けなくても済むので、電動アシスト自転車1の製造コストを低減することもできる。
また、上記構成によれば、コースターブレーキ60が後輪4のハブ9に配設されている場合でも、クランク軸7aと人力伝達体28と合力体29とにわたる駆動力の伝達経路に一方向クラッチが全く配設されておらず、ペダル8およびクランク軸7aの回転が合力体29に必ず伝達されるので、ペダル8を前進走行時と逆方向に回転させた際にはこの回転がコースターブレーキ60に良好に伝達されて、コースターブレーキ60を良好に作動させることができる。
また、上記構成によれば、モータ21と合力体29とにわたる補助駆動力の伝達経路に、複数の減速用歯車部としての小径歯車部36cおよび大径歯車部36dと、これらの小径歯車部36cおよび大径歯車部36dを支持する減速用歯車支持軸としての小径支持軸部36aおよび大径支持軸部36bとを有する減速機構25の減速用歯車36を配設している。そして、この実施の形態では、大径歯車部36dと大径支持軸部36bとの間に、合力体29側からの人力駆動力をモータ21側に伝達しない人力駆動力切断用の一方向クラッチ37を配設している。
これにより、バッテリ12の残容量が無くなって、モータ21から補助駆動力が出力されない様態でペダル8を漕いだ場合などには、人力駆動力によって小径歯車部36cおよび小径支持軸部36aや大径支持軸部36bは回転されるが、大径歯車部36dやモータ21の回転軸21aおよびロータ部21bは回転されず、ペダル8に余分な力をかけなくて済む(いわゆる引きずり抵抗を極めて減少させることができる)。また、図11に示すような従来の一軸式のモータ駆動ユニットと比較しても、人力駆動力によって、大径歯車部36dやモータ21の回転軸21aも回転させないので、その分だけペダル8をより軽い力で回転できる。
また、本実施の形態では、小径歯車部36cと小径支持軸部36aとを別部品で構成して、小径歯車部36cを小径支持軸部36aに圧入するなどして、組立時に組み付けて一体化するよう構成したので、小径歯車部36cのほぼ全幅にわたって合力体29の大径歯車部29bと噛み合わせることができて、ひいては、減速用歯車36の厚みを最小限に抑えることができ、これにより、モータ駆動ユニット20として左右の幅として小さいものを実現できる利点もある。
また、本実施の形態では、図4に示すように、側面視して、モータ21と制御部24とがほぼ重なるように配置したので、モータ駆動ユニット20の側面視した状態での面積(横方向からの投影面積)を、一軸式のモータ駆動ユニット20として特に小さくできる(コンパクト化できる)利点がある。そして、モータ21と制御部24とはモータ駆動ユニット20において幅方向の反対側に配設した(モータ21を左側、制御部24を右側に配設した)ので、制御部24がモータ21の熱の影響を受け難くなり、良好な信頼性を保持することができる。
なお、上記実施の形態では、人力駆動力切断用の一方向クラッチ37を大径歯車部36dと大径支持軸部36bとの間に配設した場合を述べたが、これに代えて、人力駆動力切断用の一方向クラッチ37を小径歯車部36cと小径支持軸部36aとの間に配設してもよい。
また、上記実施の形態では、後ハブ9にコースターブレーキ60が設けられている場合を述べたが、これに限るものではない。すなわち、コースターブレーキ60に代えて、ブレーキ装置として、一般の自転車と同様に、ハンドル5に取り付けたブレーキレバー70(図8参照)を操作することで制動されるリムブレーキ、バンドブレーキ、またはローラブレーキなどを設けた場合にも、上記実施の形態のモータ駆動ユニット20を用いてもよい。なお、この場合には、後輪4の回転力をチェーン15に伝達しないペダル停止時用の一方向クラッチを後輪4のハブ9に配設して、下り坂などの前進走行時において、ペダル8が回転しないよう構成してもよい。
なお、上記実施の形態では、フロント変速機が装着されておらず、駆動スプロケット13が1つ(1段)である場合を述べたが、これに限るものではなく、大小の駆動スプロケットを備えたフロント変速機を装着してもよい。