JPH05278670A - 電気自転車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 重心が低くて走行時の安定性にすぐれた電気
自転車を提供する。 【構成】 電池部１は、立パイプ３と後車輪２との間で
立パイプ３に取り付けられている。コントロールボック
ス５は、後車輪２とキャリヤ８との間でキャリヤ８に取
り付けられている。駆動部４は、後車輪２のハブ軸の右
端に取り付けられている。そして、駆動部４は、ケーシ
ングの内部に、電池部１から供給される電気により回転
する後車輪駆動用モータと、モータの回転を減速する減
速部材としての減速プーリとを備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電気自転車に関するもの
であり、さらに詳しくは、電池を電源とする駆動用モー
タによって車輪に駆動力を与えるとペダルを踏むことな
く走行することができ、モータの駆動を停止させるとペ
ダルを踏んで走行することができる電気自転車に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の電気自転車としては、図
７および図８に示すように、電源となる電池をケース内
に収納してなる電池部５１が前車輪５２の上方に配設さ
れ、後車輪５３を駆動するためのモータを有してなる駆
動部５４が後車輪５３の車軸付近に配設されたものが知
られている。電池部５１は、電池ケースと、同ケースの
内部に収納された２０個の単一型充電式乾電池とから主
として構成され、ヘッドラッグ５５と前ホーク足５６と
で支持された取付カゴ５７に入れられている。

【０００３】駆動部５４は後車輪５３の左側方に配され
ている。その理由は、クランクスプロケット５８が右ク
ランク５９のある側に設けられており、クランクスプロ
ケット５８の回転がチェーン６０を介して後車軸の右端
部におけるフリーホイール６１に伝達され、一方、駆動
部５４におけるモータの回転がチェーン６２を介して後
車軸の左端部におけるスプロケット６３に伝達されるか
らである。なお、６４はフレームの立パイプに取り付け
られかつ電池部５１および駆動部５４に接続されたコン
トロールボックスである。このコントロールボックス６
４はハンドルバー６５の右端に設けられたグリップ６６
の握り操作に基づいて、モータの回転速度調節などを行
う。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような電気自転車
にあっては、重量が５キログラム前後になる電池部５１
が取付カゴ５７に入れられているため、その重みでハン
ドルバー６５の操作性が悪いばかりか、電気自転車の重
心が高くて走行時の安定性に欠けるという問題点があっ
た。また、駆動部５４の構成が上記のようであるため、
モータ走行時にペダルが回転し危険であるうえ、ペダル
走行時にモータが回転してしまうためペダルを踏む際に
余分な負荷がかかる。さらに、後車軸の左右両端にそれ
ぞれ、フリーホイール６１およびスプロケット６３が設
けられているため、ブレーキの配設位置が限られてしま
うという問題点があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の電気自転車は、
次の２つの形態をとる。第１の形態は、電源となる電池
部と、この電池部から供給される電気により回転する後
車輪駆動用モータを有してなる駆動部と、この駆動部お
よび電池部に接続されかつ同モータの制御を行うコント
ロールボックスとを備え、電池部がフレームの立パイプ
と後車輪との間に配設され、駆動部が後車輪の左右いず
れか一方の側方に配設され、コントロールボックスが後
車輪の上方に配設されてなる電気自転車である。

【０００６】すなわち、第１の電気自転車は、電池部を
フレームの立パイプと後車輪との間に配設し、駆動部を
後車輪の左右いずれか一方の側に配設し、コントロール
ボックスを後車輪の上方に配設したことを要旨とする。

【０００７】本発明の第２の形態は、電源となる電池部
と、この電池部から供給される電気により回転する後車
輪駆動用モータ、そのモータの回転軸に連結されかつモ
ータの回転を減速する減速部材およびその減速部材に設
けられかつ減速されたモータの回転を後車輪に伝達する
減速スプロケットを有してなる駆動部と、フレームの立
パイプの左右いずれか一方の側に配設されたクランクス
プロケットとを備え、減速スプロケットが、クランクス
プロケットの配設された側と同じ側に配設され、クラン
クスプロケットに、クランクの回転力をクランクスプロ
ケットおよびチェーンを介して後車輪の車軸に伝達する
が、後車輪からクランクへの回転力の伝達を解除する一
方向クラッチが設けられ、減速部材に、モータの回転力
を減速スプロケットおよびチェーンを介して後車輪の車
軸に伝達するが、後車輪からモータへの回転力の伝達を
解除する一方向クラッチが設けられてなる電気自転車で
ある。

【０００８】すなわち、第２の電気自転車は、駆動部の
減速スプロケットを、クランクスプロケットの配設され
た側と同じ側に配設し、クランクスプロケットに特有な
構成の一方向クラッチを設け、さらに、駆動部の減速部
材に特有な構成の一方向クラッチを設けたことを要旨と
する。そして、クランクスプロケットの一方向クラッチ
により、クランクの回転力を後車輪の車軸に伝達し、一
方、後車輪からクランクへの回転力の伝達を解除しよう
とするとともに、減速部材の一方向クラッチにより、モ
ータの回転力を後車輪の車軸に伝達し、一方、後車輪か
らモータへの回転力の伝達を解除しようとする。

【０００９】本発明において、電源となる電池部を構成
する電池としては、充電式乾電池、充電式蓄電池、非充
電式乾電池などが適宜、使用される。一方向クラッチと
しては、内径部にカム面が形成された外輪、コロ、保持
器およびスプリングから構成されたシェル型ローラクラ
ッチや、つめ車および送りつめなどから構成されたラチ
ェット型クラッチなどが適宜、用いられる。

【００１０】

【作用など】本発明に係る第１の電気自転車にあって
は、かなりの重量のある電池部がフレームの立パイプと
後車輪との間に配設される。したがって、この電気自転
車の重心は従来に比べて低くなる。また、電池部、駆動
部およびコントロールボックスがいずれも後車輪の近く
で互いに近接状に配設される。したがって、これら三者
を接続する接続コードの配線処理や電気自転車の組み立
て性が簡単になり、しかも接続コードに起因する電力損
失が少なくなる。

【００１１】本発明に係る第２の電気自転車にあって
は、駆動部の減速スプロケットが、クランクスプロケッ
トの配設された側と同じ側に配設される。したがって、
その減速スプロケットの反対側を後車輪用ブレーキの配
設位置として確保することができる。また、クランクス
プロケットの一方向クラッチは、クランクの回転力を後
車輪の車軸に伝達し、一方、後車輪からクランクへの回
転力の伝達を解除する。この一方向クラッチにより、モ
ータ走行時にクランクは回転しないため、ペダルは回転
しない。さらに、減速部材の一方向クラッチは、モータ
の回転力を後車輪の車軸に伝達し、一方、後車輪からモ
ータへの回転力の伝達を解除する。この一方向クラッチ
により、ペダル走行時に減速部材は回転しないため、モ
ータは回転しない。

【００１２】

【実施例】以下、図面に示す１つの実施例に基づいてこ
の発明を詳述する。なお、これによってこの発明が限定
されるものではない。

【００１３】図１および図２において、電気自転車Ｐ
は、フレームの立パイプ３と後車輪（後ろタイヤ）２と
の間で立パイプ３に取り付けられた電池部１と、後車輪
２とキャリヤ８との間でキャリヤ８に取り付けられたコ
ントロールボックス５とを備えてなる。電池部１は、電
池ケースと、同ケースの内部に収納された２０個の単一
型充電式乾電池（１．２Ｖ×２０＝２４Ｖ）とから主と
して構成されている。コントロールボックス５は、その
内部に制御基板などが収納されており、ハンドルバー９
の右端に設けられたグリップ１０の握り操作に基づい
て、電気自転車Ｐの速度調節などを行う。

【００１４】立パイプ１８の下端に設けられたクランク
軸７ｃの右端には、クランクスプロケット６を介して右
クランク７ａが設けられている。クランク軸７ｃの左端
には、左クランク７ｂが設けられている。また、後車輪
２の右側方には駆動部４が設けられている。

【００１５】駆動部４は、図３に示すように、後車輪２
のハブ軸２３の右端に取り付けられている。そして、ケ
ーシングの内部に、電池部１から供給される電気により
回転する後車輪駆動用モータ１１と、このモータ１１の
回転軸に連結されかつモータ１１の回転を減速する減速
部材としての減速プーリ２０とを備えてなる。モータ１
１の回転は、モータプーリ１４および伝動ベルト１２を
介して減速され、減速プーリ２０に伝達される。

【００１６】減速プーリ２０には、そのプーリ軸１３の
左端に、減速スプロケット１５が設けられている。後車
輪２の車軸としてのハブ体１６には、その右端に小スプ
ロケット１７が、右端寄り箇所に大スプロケット１８
が、いずれも一体に設けられている。小スプロケット１
７とクランクスプロケット６は、クランクチェーン２１
により連結されている。大スプロケット１８と減速スプ
ロケット１５とは、モータチェーン２２により連結され
ている。

【００１７】減速プーリ２０のプーリ軸１３には、一方
向クラッチとしてのシェル型ローラクラッチ１９が介在
されている。このローラクラッチ１９は、内径部にカム
面が形成された外輪、コロ、保持器およびスプリングか
ら構成されている。

【００１８】ローラクラッチ１９は、モータ１１が回転
した際にはプーリ軸１３と一体化される。これにより、
モータ１１の回転力は、モータプーリ１４、伝動ベルト
１２、減速プーリ２０、ローラクラッチ１９、プーリ軸
１３、減速スプロケット１５、モータチェーン２２およ
び大スプロケット１８を介して、ハブ体１６から後車輪
２に伝達される。一方、後車輪２からの回転力が、ハブ
体１６、大スプロケット１８、モータチェーン２２およ
び減速スプロケット１５を介してプーリ軸１３へ伝達さ
れた際には、ローラクラッチ１９とプーリ軸１３との一
体化が解除される。そして、後車輪２からの回転力は、
減速プーリ２０へ伝達されず、したがって、モータ軸へ
は伝達されない。

【００１９】クランク軸７ｃの中央部には、図４〜図６
に示すように、一方向クラッチとしてのラチェット型ク
ラッチ（フリーホイール）２４が取り付けられている。
これにより、クランクスプロケット６には、その中央部
にラチェット型クラッチ２４が嵌め込まれている。この
ラチェット型クラッチ２４は、つめ車２４ａおよび送り
つめ２４ｂなどから構成されている。

【００２０】クラッチ２４は、ペダル走行によりクラン
ク軸７ｃが図５の矢印Ａ方向へ回転した際には、クラン
クスプロケット６と一体化される。これにより、クラン
ク軸７ｃの回転力は、クラッチ２４、クランクスプロケ
ット６、クランクチェーン２１、小スプロケット１７お
よびハブ体１６を介して、後車輪２に伝達される。一
方、後車輪２からの回転力が、ハブ体１６、小スプロケ
ット１７およびクランクチェーン２１を介してクランク
スプロケット６へ伝達された際には、クラッチ２４によ
り、クランクスプロケット６とクランク軸７ｃとの一体
化が解除される。そして、後車輪２からの回転力は、ク
ランク軸７ｃへ伝達されず、したがって、ペダルへは伝
達されない。

【００２１】この電気自転車Ｐにあっては、上記のよう
に、かなりの重量のある電池部１が立パイプ３と後車輪
２との間に配設されている。したがって、この電気自転
車Ｐの重心は従来に比べて低くなっており、ハンドルバ
ー９の操作性にすぐれ、かつ走行時における安定性が高
い。また、電池部１、駆動部４およびコントロールボッ
クス５がいずれも後車輪２の近くで互いに近接状に配設
されている。したがって、これら三者を接続する接続コ
ードの配線処理や電気自転車Ｐの組み立て性が簡単にな
り、しかも接続コードに起因する電力損失が少なくな
る。

【００２２】また、この電気自転車Ｐにあっては、上記
のように、減速スプロケット１５が、クランクスプロケ
ット６の配設された側と同じ側（右側）に配設されてい
る。したがって、その減速スプロケット１５の反対側
（左側）を後車輪用ブレーキの配設位置として確保する
ことができる。さらに、クランクスプロケット６のラチ
ェット型クラッチ２４により、モータ走行時にペダルは
回転しない。したがって、モータ走行時にペダルの回転
を止めておくことができ、走行時における安全性が高
い。加えて、減速プーリ２０のローラクラッチ１９によ
り、ペダル走行時にモータ１１は回転しない。したがっ
て、ペダル走行時に減速プーリ２０およびモータ１１の
回転を止めておくことができ、走行時における余分な負
荷を回避することができる。

【００２３】

【発明の効果】本発明の請求項１に係る電気自転車によ
れば、重心が従来に比べて低く、ハンドルバーの操作性
にすぐれかつ走行時における安定性が高いうえ、電池
部、駆動部およびコントロールボックスを接続する接続
コードの配線処理や電気自転車の組み立て性が簡単であ
り、しかも接続コードに起因する電力損失が少ない。ま
た、本発明の請求項２に係る電気自転車によれば、減速
スプロケットの反対側を後車輪用ブレーキの配設位置と
して確保することができるうえ、クランクスプロケット
の一方向クラッチによりモータ走行時にペダルの回転を
止めておくことができ、走行時における安全性が高く、
加えて、減速部材の一方向クラッチによりペダル走行時
に減速部材およびモータの回転を止めておくことがで
き、走行時における余分な負荷を回避することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の１実施例に係る電気自転車を正面か
ら見た全体構成説明図。

【図２】その電気自転車を上方から見た全体構成説明
図。

【図３】その電気自転車の駆動部を上方から見た拡大構
成説明図。

【図４】その電気自転車のクランクスプロケットを前方
から見た拡大構成説明図。

【図５】そのクランクスプロケットを正面から見た拡大
構成説明図。

【図６】そのクランクスプロケットに取り付けられた一
方向クラッチを正面から見た要部拡大構成説明図。

【図７】従来の電気自転車を正面から見た全体構成説明
図。

【図８】その電気自転車を上方から見た全体構成説明
図。

【符号の説明】

１ 電池部 ２ 後車輪 ３ 立パイプ ４ 駆動部 ５ コントロールボックス ６ クランクスプロケット ７ａ 右クランク ７ｂ 左クランク ７ｃ クランク軸 １１ モータ １３ プーリ軸（減速部材） １５ 減速スプロケット １６ ハブ体（車軸） １９ ローラクラッチ（一方向クラッチ） ２０ 減速プーリ（減速部材） ２１ クランクチェーン ２２ モータチェーン ２４ ラチェット型クラッチ（一方向クラッチ）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電源となる電池部と、この電池部から供
   給される電気により回転する後車輪駆動用モータを有し
   てなる駆動部と、この駆動部および電池部に接続されか
   つ同モータの制御を行うコントロールボックスとを備
   え、 電池部がフレームの立パイプと後車輪との間に配設さ
   れ、駆動部が後車輪の左右いずれか一方の側方に配設さ
   れ、コントロールボックスが後車輪の上方に配設されて
   なる電気自転車。
2. 【請求項２】 電源となる電池部と、この電池部から供
   給される電気により回転する後車輪駆動用モータ、その
   モータの回転軸に連結されかつモータの回転を減速する
   減速部材およびその減速部材に設けられかつ減速された
   モータの回転を後車輪に伝達する減速スプロケットを有
   してなる駆動部と、フレームの立パイプの左右いずれか
   一方の側に配設されたクランクスプロケットとを備え、 減速スプロケットが、クランクスプロケットの配設され
   た側と同じ側に配設され、 クランクスプロケットに、クランクの回転力をクランク
   スプロケットおよびチェーンを介して後車輪の車軸に伝
   達するが、後車輪からクランクへの回転力の伝達を解除
   する一方向クラッチが設けられ、 減速部材に、モータの回転力を減速スプロケットおよび
   チェーンを介して後車輪の車軸に伝達するが、後車輪か
   らモータへの回転力の伝達を解除する一方向クラッチが
   設けられてなる電気自転車。