JP4673205B2 - 容器の熱成形シート積層用フイルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、食品を詰めるトレー、カップ等の成形に使用する熱成形シートに積層する熱成形シート積層用フイルムに関し、さらに詳しくは、熱成形シートから剥がれないようにした二軸延伸ポリプロピレンフイルムと印刷層とからなる熱成形シート積層用フイルムに関するものである。
コンビニエンスストアー、デパート、スーパー等の食品売り場では、トレー、カップ、丼容器等の食品容器に、惣菜、麺類等の食品が詰められて売られている場合が多い。これらの食品容器は、一般に、ポリプロピレンシート、発泡ポリプロピレンシート、フィラー入りポリプロピレンシート、耐熱ポリスチレンシート、耐熱発泡ポリスチレンシート等の熱成形シートを真空又は真空・圧空成形して製造されている。
これらの熱成形シートは単独で用いられることは少なく、耐熱ポリスチレンシート、耐熱発泡ポリスチレンシートの場合には、ポリスチレンが油に弱く、油分を含む食品に用いると電子レンジで加熱した時に容器に穴が開く等の問題があるため、未延伸のポリプロピレンフイルムを積層している。
また、ポリプロピレンシートの場合には、成形時の加熱によってシートの中央部が垂れ下がる、いわゆるドローダウンを改善することと、表面光沢を与えることのために、二軸延伸ポリプロピレンフイルムを積層することが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
一方、これらポリプロピレンフイルムには食品容器の商品価値を高めるため裏印刷が施されている。印刷は油性グラビア印刷と水性グラビア印刷があるが、近年、油性インキの溶剤の持つ印刷作業時の悪臭、健康に対する作業環境、爆発の危険性、印刷物の残留溶剤臭、工場周辺の環境汚染、CO削減の問題や、溶剤を全て揮散させるので溶剤資源の無駄使いの問題、さらに、下記の法規制に対応するために、水性グラビア印刷に移行しつつある。(例えば、特許文献3〜5参照)
消防法改正(1990年)
グラビアインキの指定数量変更
第2石油類(500L)→第1石油類(200L)
大気汚染、悪臭防止法改正(1994年)
キシレン、トルエン、酢酸エチルイソブタノール等が追加
労働安全衛生法(1995年)
トルエンの作業環境濃度の変更100ppm→50ppm
製造物責任法(1995年)
印刷物残留溶剤量の低減要望
PRTR法(2001年)
トルエン、キシレン等特定化学物質の排出量と廃棄物に含まれる移動量届けの
義務化
炭化水素類排出規制(2001年、埼玉県生活環境保全条例)
炭化水素類500kg/日又は揮発性物質5000kg/月使用の製造所→除
去率80%以上の処理設備
特許第3438958号公報 特開2003−41017号公報 特許第3249223号公報 特開2001−30611号公報 特開2002−96448号公報
しかしながら、特許文献1、2で提案されている二軸延伸ポリプロピレンフイルムは、光沢があり熱成形時のドローダウンを防止することができるが、熱成形シートから剥がれ、成形の安定性、成形品の寸法安定性に欠けるという問題があった。
なお、未延伸ポリプロピレンフイルムは、耐油性があり、油分の多い食品でも電子レンジで加熱した際、穴が開くことはないので、耐熱ポリスチレンシートや耐熱発泡ポリスチレンシートの容器内面側に積層して用いることができるが、表面光沢がなく、食品容器としての美粧性に欠けるものであった。
本発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意検討し、従来の二軸延伸ポリプロピレンフイルムが剥がれ易い原因が延伸倍率にあることを見出した。すなわち、特許文献1、2においては、MD方向の延伸倍率が3〜4倍、TD方向の延伸倍率が8〜12倍であり、また、面積延伸倍率が20〜45倍であるので、分子配向度が大きく熱成形時の収縮力が大きくなり、熱成形シートから剥がれるものであった。そこで、さらに鋭意検討し、MD方向の延伸倍率が3〜6倍、TD方向の延伸倍率が3〜6倍で、面積倍率が9〜36倍で延伸し、120℃のグリセリン浴の収縮率がMD方向及びTD方向ともに夫々0.5〜15%であれば、剥がれることが無いことを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、請求項1に係る容器の熱成型シート積層用フイルムは、熱成形シートに熱貼合されるものであって、MD方向及びTD方向の延伸倍率が3〜6倍、面積倍率が9〜36倍となるように二軸延伸した後、MD方向及びTD方向ともに弛緩させて熱処理を行い、120℃グリセリン浴の収縮率がMD方向及びTD方向ともに0.5〜15%である二軸延伸ポリプロピレンフイルムと、該二軸延伸ポリプロピレンフイルムに水性グラビアインキで印刷が施された印刷層とを有し、該印刷層が顔料濃度10〜50%の水性グラビアインキを用い、ヘリオ彫刻(スタイラス角度130度)によるスクリーン線数が200線未満、版深が35μm以上の版胴により印刷され、その後80℃以上の熱風で乾燥されたものであることを特徴として構成されている。
請求項2に係る容器の熱成形シート積層用フイルムは、請求項1記載において、印刷層に用いた水性グラビアインキのビヒクルが、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートとを熱貼合する接着成分からなることを特徴として構成されている。
請求項3に係る容器の熱成形シート積層用フイルムは、請求項1又は2記載において、印刷層面に、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートとを熱貼合する接着成分からなるコート層が形成されていることを特徴として構成されている。
請求項4に係る容器の熱成形シート積層用フイルムは、請求項1、2又は3記載において、印刷層が、印刷工程−乾燥工程−冷却工程からなる印刷ユニットを複数設けたグラビア印刷装置で多色グラビア印刷されたものであって、前記二軸延伸ポリプロピレンフイルムは、各印刷ユニットにおいて乾燥工程で付与した熱量を冷却工程で冷却して消去し、各印刷ユニットにおける印刷工程での温度を略同一となるようにしたことを特徴として構成されている。
請求項5に係る容器の熱成形シート積層用フイルムは、請求項4記載において、冷却工程における二軸延伸ポリプロピレンフイルムの冷却が、印刷層側の面は冷風と冷却ロールにより冷却し、反印刷層側の面は水、低級アルコール類、及びエステル類の1種類又は2種以上の冷却用液体を塗布後、冷風を吹き付けて冷却用液体を気化させ、その蒸発潜熱によって冷却することを特徴として構成されている。
請求項6に係る容器の熱成形シート積層用フイルムの製造方法は、MD方向及びTD方向それぞれの延伸倍率が3〜6倍、面積倍率が9〜36倍でチューブラー法により同時二軸延伸した後、MD方向及びTD方向ともに弛緩させて熱処理を行い、120℃グリセリン浴で収縮率がMD方向及びTD方向ともに0.5〜15%である二軸延伸ポリプロピレンフイルムを形成し、該二軸延伸ポリプロピレンフイルムに、顔料濃度が10〜50%で、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートの両方に接着する接着成分からなるビヒクルを含有する水性グラビアインキと、スクリーン線数が200線未満、版深が35μm以上
の版胴とを用い、複数の印刷ユニットの各印刷ユニットにおいて80℃以上の熱風で乾燥し、次いで印刷層面は冷風と冷却ロールで冷却し、反印刷層側の面は水、低級アルコール類、及びエステル類の1種類又は2種以上の冷却用液体を塗布するとともに冷風を吹き付けて急速に冷却し、各印刷ユニットの印刷時の二軸延伸ポリプロピレンフイルムを略同一温度として印刷することを特徴として構成されている。
請求項1に係る熱成形シート積層用フイルムにおいては、MD方向及びTD方向の延伸倍率が3〜6倍、面積倍率が9〜36倍となるように二軸延伸した後、MD方向及びTD方向ともに弛緩させて熱処理を行い、120℃グリセリン浴の収縮率がMD方向及びTD方向ともに0.5〜15%である二軸延伸ポリプロピレンフイルムを用いることにより、熱成形時の収縮力が大きくなるのを抑制することができるので、二軸延伸ポリプロピレンフイルムが熱成形シートから剥がれるのを防止することができる。
また、印刷層を水性グラビアインキで印刷しているので、環境他各種法規制に対応することができ、食品にとって最も重要な残留溶剤臭もない。
また、印刷層を、顔料濃度10〜50%の水性グラビアインキを用い、ヘリオ彫刻(スタイラス角度130度)によるスクリーン線数が200線未満、版深が35μm以上の版胴により印刷し、その後80℃以上の熱風で乾燥することにより、容器を成形した際のコーナー部分において印刷が薄くなるのを防止することができる。
すなわち、印刷が施された二軸延伸ポリプロピレンフイルムを熱成形シートに積層した容器成形用積層材は、容器に成形された際、熱成形シートの伸びに追従して二軸延伸ポリプロピレンフイルムも伸びることになり、二軸延伸ポリプロピレンフイルムの伸びた部分は、インキの量が少なく色が薄くなる。特に、容器のコーナーの部分は、色が薄くなって色調が変わるものであり、油性グラビア印刷でも満足するものではなく、水性グラビア印刷においては、さらにインキの量が少なくなるので、色調の変化が極めて顕著となるものであった。
ところで、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートとを貼合した容器成形用積層材を容器に成形した際、伸ばされた部分の印刷の色が薄くならないようにするためには、インキ中の顔料濃度を高くして多くの顔料を転移させて濃く印刷すれば防げる。しかし、油性グラビアインキは顔料を溶剤に溶解させる方式であるので、顔料濃度が高くなると油性グラビアインキの粘度が高くなり、印刷時の適正粘度からはずれることとなる。したがって、油性グラビアインキの顔料濃度を高くすることは困難であった。
これに対し、水性グラビアインキは顔料を水に分散させる方式であるので、顔料濃度を高くしても粘度は高くならず、顔料濃度を高くすることができる。
表1に油性グラビアインキと水性グラビアインキの顔料濃度と粘度との関係を示す。
Figure 0004673205
粘度はザーンカップNo.3の秒数
カラーは赤、黄、青色
ところで、水性グラビアインキの溶剤の持つ蒸発潜熱は、油性グラビアインキの溶剤の持つ蒸発潜熱の4.3倍〜4.6倍であるため、その乾燥効率が問題となり、この対応策として、メッシュ線数が200〜400線、版深が10〜17μmの版胴で印刷し、インキの転移量を少なくして印刷スピードを落さずに乾燥する方法が提案されている。
したがって、水性グラビアインキの顔料濃度を上げたとしても、水性グラビアインキの転移量が少ないため顔料の絶対量も少なく、その結果、充分に濃い印刷をすることはできなかった。
表2にヘリオ彫刻(スタイラス角度130度)によるスクリーン線数と版深とインキの転移量との関係を示す。
Figure 0004673205
今、通常の油性グラビア版であるスクリーン線数175線、版深42μmの版胴を用い、油性グラビアインキの顔料濃度10%、水性グラビアインキの顔料濃度15%で夫々印刷したとすると、印刷物への顔料の転移量は、油性グラビアインキにおいて、6.5g×10/100=0.65g/m2、水性グラビアインキにおいて、6.5g×15/100=0.975g/m2となる。したがって、0.975/0.65=1.5と、水性グラビアインキは油性グラビアインキの1.5倍の顔料の転移量となり、その結果、水性グラビア印刷は油性グラビア印刷の1.5倍濃く印刷することができる。
また、水性グラビアインキの乾燥を効率良くするために、スクリーン線数300線、版深25μmの版胴を用いて水性グラビア印刷をしたとすると、顔料の転移量は2.7g×15/100=0.405g/m2となり、通常の油性グラビア印刷における顔料の転移量0.65g/m2より少なくなり、油性グラビア印刷よりも更に薄くなる。
以上のように、水性グラビア印刷の濃さと印刷スピードとは合矛盾し、両立させることが困難であったが、スクリーン線数200線未満、版深35μm以上の版胴を用いて印刷され、その後80℃以上の熱風で乾燥することにより達成出来ることを見出したものである。
請求項2に係る容器の熱成形シート積層用フイルムにおいて、印刷層に用いた水性グラビアインキのビヒクルを、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートとを熱貼合する接着成分からなるようにすることにより、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートとを簡単に熱貼合することができる。
すなわち、熱成形シートは厚く形成されているので剛性が大きく、特に、発泡耐熱ポリスチレンシートや発泡ポリプロピレンシートは剛性が大きいので、ロールの多いドライラミネート装置にかからず、また、ドライラミネートは強いニップ圧が必要なため、発泡したセルをつぶしてしまうことになるものであった。したがって、従来、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートとを熱貼合するために、まず、二軸延伸ポリプロピレンフイルムに、熱成形シートと同じ樹脂からなる接着用フイルムをドライラミネートで貼合し、この接着用フイルムと熱成形シートとを熱貼合することにより行なっていた。
しかしながら、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートの両方に熱接着する接着成分を水性グラビアインキのビヒクルとしてインキ中に含有させることにより、印刷すると同時に接着成分をコートすればそのまま熱成形シートと直接熱貼合することができ、接着フイルムを省いてドライラミネート工程を省略することができるものである。
また、従来、油性のドライラミネートで貼り合わせているため、溶剤の持つ各種法規制への対応、残留溶剤臭、作業環境の問題や40〜60℃で3〜4日間エージングする場所の問題、エネルギー費等ドライラミネートに係る問題やシートと同種のフイルムの費用等コスト高となる問題があったが、これらも解決することができる。
請求項3に係る容器の熱成形シート積層用フイルムにおいては、印刷層面に、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートとを熱貼合する接着成分からなるコート層を形成することにより、請求項2の場合と同様に、ドライラミネート工程を省略して、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートとを簡単に熱貼合することができ、特に、ベタ印刷ではなく未印刷部の残る図柄の場合に有効である。
請求項4に係る容器の熱成形シート積層用フイルムにおいては、印刷層を、印刷工程−乾燥工程−冷却工程からなる印刷ユニットを複数設けたグラビア印刷装置で多色グラビア印刷し、二軸延伸ポリプロピレンフイルムを、各印刷ユニットにおいて乾燥工程で付与した熱量を冷却工程で冷却して消去し、各ユニットにおける印刷工程での温度を略同一となるようにすることにより、印刷ズレを防止することができる。
すなわち、水性グラビア印刷に用いる水性グラビアインキは、溶剤として水(70%)―エタノール(30%)を用いているため、油性グラビアインキの蒸発潜熱より大きいものであった。例えば、油性グラビアインキにおいては、トルエン(40%)―酢酸エチルエステル(40%)―イソプロピルアルコール(20%)溶剤の蒸発潜熱(86.9cal/g×0.4)+(88.2×0.4)+(159.2×0.2)=101.9cal/g、メチルエチルケトン(40%)−酢酸エチルエステル(40%)−イソプロピルアルコール(20%)溶剤の蒸発潜熱(105.0×0.4)+(88.2×0.4)+(159.2×0.2)=109.1cal/gであり、水性グラビアインキの溶剤;水(70%)−エタノール(30%)の蒸発潜熱は、(586.9cal/g×0.7)+(199.2×0.3)=470.7cal/gと高いものである。
したがって、水性グラビア印刷においては、水性グラビアインキを乾燥させるために、油性グラビアインキに比べて4.3(470.7/109.1)〜4.6(470.7/101.9)倍の熱量が必要であった。
表3にグラビアインキに用いられる主要溶剤の性質を示す。
Figure 0004673205
このような水性グラビアインキの乾燥に大きな熱量が必要なことの対応策として、乾燥工程での滞留時間を長くすることや、熱風の風量を増加することや、熱風の温度を高くすることが考えられるが、滞留時間を長くすることは印刷スピードが遅くなって好ましくなく、風量を増加することは設備の改造や、また風によってフイルムがバタつくことにもなる。効率的に熱量を与えるには、熱風温度を上げることが最とも適しているが、フイルムの温度も上がることになり、フイルムの温度が上がるとフイルムに伸びが生じ、各色の印刷ピッチのズレにつながるものであった。
すなわち、効率的に熱量を与えて乾燥させるために熱風の温度を上げて乾燥させると、水性多色グラビア印刷の各色の印刷ユニットにおける印刷−乾燥―冷却工程中の乾燥工程で与えられた熱量によって二軸延伸ポリプロピレンフイルムの温度が上がり、冷却工程で冷却不足となり2色目、3色目と段々に熱が蓄積されて温度も段々に上昇する。その結果、二軸延伸ポリプロピレンフイルムの伸びも段々に大きくなり、すでに印刷した図柄が伸び(1色目が一番大きくなる)、その上に重ねて印刷するとズレて許容できない印刷ズレ(色ズレ)を起こすものである。図5に汎用延伸ポリプロピレン(20μm)の伸長度の温度依存性を示す。
そこで、乾燥工程でいくら熱風温度を上げて伸びが生じても、各印刷ユニットにおいて乾燥工程で付与した熱量を冷却工程で冷却して消去し、各ユニットにおける印刷工程での温度を略同一となるようにすると、各色の印刷時の伸びはほぼ同じとなり、図柄の伸びもほぼ同じとなって印刷ズレを起こさないものである。
すなわち、市販の汎用延伸ポリプロピレンフイルム(20μm)では、図柄の大きさを5cmとすると、図柄は0.2mm以上ズレると色ズレと判るので、各色の印刷時の伸びの差が0.2/50×100=0.4%の伸びの差まで許容できる。1色目の印刷温度(印刷時のフイルム温度)を25℃とすれば、図5に示す(OPP−20μm)の実線から25℃の伸び約0.3%に、伸びの差0.4%をプラスした0.7%の伸びた時の温度、約43℃まで各印刷時のフイルム温度を冷却すれば許容範囲内となって印刷ズレは起こさないものである。
請求項5に係る容器の熱成形シート積層用フイルムにおいては、冷却工程における二軸延伸ポリプロピレンフイルムの冷却を、印刷層側の面は冷風と冷却ロールにより冷却し、反印刷層側の面は水、低級アルコール類、及びエステル類の1種類又は2種以上の冷却用液体を塗布後、冷風を吹き付けて冷却用液体を気化させ、その蒸発潜熱によって冷却することにより、二軸延伸ポリプロピレンフイルムを効率良く冷却することができる。
すなわち、従来、冷風と冷却ロールで二軸延伸ポリプロピレンフイルムの印刷層面からのみの瞬間的な冷却であったため、反印刷層側の面に残る余熱が冷却ロールを離れてから伝熱で全体に伝わり、充分に冷却できなかった。そこで、印刷層面を従来の冷風と冷却ロールで冷却すると同時に、反印刷層側の面に冷却用液体を塗布し、その後冷風を吹き付けて気化させ、その蒸発潜熱で冷却することにより効果的に冷却することができる。
請求項6に係る容器の熱成形シート積層用フイルムの製造方法においては、MD方向及びTD方向それぞれの延伸倍率が3〜6倍、面積倍率が9〜36倍でチューブラー法により同時二軸延伸した後、MD方向及びTD方向ともに弛緩させて熱処理を行い、120℃グリセリン浴で収縮率がMD方向及びTD方向ともに0.5〜15%である二軸延伸ポリプロピレンフイルムを形成し、該二軸延伸ポリプロピレンフイルムに、顔料濃度が10〜50%で、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートの両方に接着する接着成分からなるビヒクルを含有する水性グラビアインキと、スクリーン線数が200線未満、版深が35μm以上の版胴とを用い、複数の印刷ユニットの各印刷ユニットにおいて80℃以上の熱風で乾燥し、次いで印刷層面は冷風と冷却ロールで冷却し、反印刷層側の面は水、低級アルコール類、及びエステル類の1種類又は2種以上の冷却用液体を塗布するとともに冷風を吹き付けて急速に冷却し、各印刷ユニットの印刷時の二軸延伸ポリプロピレンフイルムを略同一温度として印刷することにより、二軸延伸ポリプロピレンフイルムが熱成形シートから剥がれるのを防止できるとともに、成形した容器のコーナー部において印刷が薄くなるのを防止でき、さらに印刷ズレも防止できる熱成形シート積層用フイルムを製造することができる。
本発明の熱成形シート積層用フイルムは、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと、この二軸延伸ポリプロピレンフイルムに水性グラビアインキで印刷が施された印刷層を有している。二軸延伸ポリプロピレンフイルムは、MD方向(フイルムの流れ方向)及びTD方向(フイルムの流れ方向と直角方向)の延伸倍率が3〜6倍で二軸延伸したものである。延伸倍率が3倍未満であると、フイルムの光沢が劣り、また配向による熱収縮率も小さくなってドローダウン防止に適さないものになる。延伸倍率が6倍を超えると、光沢に優れ、ドローダウン防止にも適しているが、配向による熱収縮率が大きくなり、熱成形した時にシートからのフイルムの剥がれや、熱成形の安定性、金型再現性に劣るものとなる。また、MD方向、TD方向の延伸倍率は、ほぼ同じ倍率であることが好ましい。ほぼ同じ倍率にすることにより、熱成形時のドローダウン防止も成形品の金型再現性も好適に行われる。
以上のように延伸倍率で延伸された二軸延伸ポリプロピレンフイルムは、MD方向及びTD方向ともに弛緩させて熱処理を行なうものである。この熱処理は、特に限定されないがテンター(恒温室)内や熱ロールが用いられる。
二軸延伸ポリプロピレンフイルムは、120℃グリセリン浴の収縮率がMD方向及びTD方向ともに0.5〜15%であり、好ましくは0.5〜10%である。収縮率が0.5%未満であると、ドローダウンを防止できず、収縮率が15%を超えると、熱成形時のドローダウン防止はできるが、シートからの剥がれや熱成形の安定性、金型再現性が劣ることになる。
120℃グリセリン浴は、容器にグリセリンを入れ、加熱して120℃に保ったグリセリンに二軸延伸ポリプロピレンフイルムを5秒間浸漬したものである。
本願発明の二軸延伸ポリプロピレンフイルムに用いるポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン単独重合樹脂、エチレン・プロピレンランダム共重合樹脂、プロピレン単独重合樹脂とエチレン・プロピレンランダム共重合樹脂の混合樹脂を好ましく用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、0.3〜15.0g/10分が好ましく、1.0〜10.0g/10分がより好ましい。MFRが0.3g/10分未満であると、チューブラー法でフイルムを成形した際表面肌が悪くなり、また成形性も悪いものである。また、MFRが15.0g/10分を超えると、偏肉が起こり易くなり厚み精度の良いフイルムが得られない。
エチレン・プロピレンランダム共重合樹脂、プロピレン単独重合樹脂とエチレン・プロピレンランダム共重合樹脂の混合樹脂の場合は、エチレン含有量が2.0重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以下がより好ましい。エチレン含有量が2.0重量%を超えると、光沢は向上するが熱処理温度を低くしなければならず、成形時の収縮率が大きくなり、熱成形した際、シートからの剥がれや、成形の安定性、金型再現性に劣ることになる。
さらに、これらのポリプロピレン系樹脂には、本来の目的に支障をきたさない範囲で他の樹脂や滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤等の添加剤を適宜使用することができる。
二軸延伸ポリプロピレンフイルムを作製するには、チューブラー法により同時二軸延伸を行なうことが好ましい。チューブラー法で同時二軸延伸するためには、まず、押し出し機にポリプロピレン系樹脂を投入し、丸ダイスより下方にチューブ状に押し出し、チューブの内側は冷却水で冷却されたマンドレルに滑らせながら外側は水槽中の水で冷却しながら引取り、チューブ状の未延伸フイルムを作製する。そして、このチューブ状未延伸フイルムをチューブラー二軸延伸装置で同時二軸延伸する。
チューブラー二軸延伸装置の例を図1に示す。図1のチューブラー二軸延伸装置において、未延伸フイルム1は低速のニップロール2でニップされながら赤外線ヒーターからなる予備加熱機3で予備加熱された後、赤外線ヒーターからなる本加熱機4で本加熱される。本加熱機4での加熱温度は、配向可能な温度範囲で、ポリプロピレン系樹脂の融点より10〜40℃以下、好ましくは15〜35℃以下である。10℃より差が小さければ得られるフイルムの配向による熱収縮率が小さくなり、ドローダウンを防止できなくなる。また、40℃より差が大きいと延伸し難くなり得られるフイルムの厚薄差が生じ易くなる。
TD方向の延伸はチューブ内の空気圧で行い、MD方向の延伸はニップロール2とニップロール7との速度差で行なう。
チューブ状の未延伸フイルム1は、本加熱機4で本加熱され、TD方向はチューブ内の空気圧で、MD方向はニップロール2とニップロール7の速度差によって夫々同時二軸延伸されるとともに、リング状のエアーノズル5によって冷風が吹き付けられ冷却される。次いで、折りたたみロール6によって折りたたまれ、ニップロール7を通って二軸延伸ポリプロピレンフイルム8が得られる。そして、この二軸延伸ポリプロピレンフイルム8は、テンター内で延伸温度より約10℃高めの温度でMD方向、TD方向とも弛緩熱処理される。
二軸延伸ポリプロピレンフイルムの厚みは、10〜100μmが好ましく、15〜50μmがより好ましい。厚みが10μmより薄いと熱成形の際、伸ばされた部分に極端に薄い部分ができたり、切れたりする恐れがあり、100μmより厚いとコスト的に割高になり、また全体的な熱収縮力が大きくなるため成形の安定性や金型再現性が劣るようになる。
二軸延伸ポリプロピレンフイルムは、水性グラビアインキで印刷が施された印刷層が積層されている。水性グラビア印刷であれば、各種法規制、作業時の悪臭対健康、爆発の危険性、工場周辺の環境汚染、CO削減、資源の無駄使い等に対応するだけでなく、食品容器として最も重要な残留溶剤にする溶剤臭がない。
水性グラビアインキは、水(70〜80%)と有機溶剤(エタノールやイソプロピルアルコールやプロピルアルコール20〜30%)とを混合した混合溶剤(20〜80%)に、顔料(10〜50%)とビヒクル(10〜30%)とを分散させたものである。
顔料の濃度が10%未満であると、所定印刷濃度が得られず熱成形によって成形された際容器底部コーナーの色が薄くなる。また、50%を超えると、粘度が高くなり印刷不可となる。
ビヒクルは、二軸延伸ポリプロピレンフイルムとシートとを熱貼合する接着成分からなることが好ましい。この接着成分としては、主としてウレタン系ビヒクルとアクリル系ビヒクルが一般的に用いられるが、これに限らずこの両者混合したり、他の第3成分(例えば、ウレタン系にPP系のビヒクル)を混合したり、さらには二軸延伸ポリプロピレンフイルムと積層フイルムの両方に熱接着する全く別の接着成分をビヒクルとして用いても良い。
また、印刷がベタ印刷ではなく未印刷部の残る図柄の場合には、図柄の印刷層の面に、二軸延伸ポリプロピレンフイルムとシートとを熱貼合する接着成分からなるコート層を積層することが好ましい。この接着成分は、上述した水性グラビアインキのビヒクルと同様である。
水性グラビアインキにおけるビヒクルの含有量は、分散系なので濃度を高くしても粘度は上がらず高くできるが10〜30%が好ましい。ビヒクルの含有量が10%未満であると、接着に必要なビヒクルの厚み0.5μm以上を確保することが難しくなる。また、30%を超えると、二軸延伸ポリプロピレンフイルムをロール状に巻いた時にブロッキングを起こす場合がある。そして、これらの範囲において、スクリーン線数200線未満、版深35μm以上の版胴で印刷した時に、後述するビヒクルの厚みとなるように含有量を調製する。
印刷後のビヒクルの厚みは0.5μm以上の厚みが必要であり、また、凸凹のある熱成形シートの場合は更に厚みが必要である。今、通常の油性グラビア版であるスクリーン線数175線、版深42μmの版胴を用いて、ビヒクル含有量15%の水性グラビアインキで印刷したとすると、前記表2のスクリーン線数と版深とインキの転移量の関係から、6.5g×15/100=0.975g/mとなり、厚みにすると比重が約1として0.975g/10,000cm=0.98μmの厚みとなり0.5μm以上なので充分な接着力が得られる。
しかしながら、特許文献4で提案されたように、水性グラビアインキの乾燥を効率良くするために、スクリーン線数300線、版深25μmの版胴を用いて水性グラビア印刷をしたとすると、ビヒクルの厚みは、2.7g×15/1000=0.41gとなる。厚みにすると0.41μmとなり、0.5μm以下なので充分な接着力は得られない。
水性グラビア印刷に用いる版胴は、ヘリオ彫刻(スタイラス角度130度)によるスクリーン線数が200線未満、版深が35μm以上であることが好ましく、スクリーン線数175線、版深42μmであることがより好ましい。以上のような版胴を用いることにより、接着に必要な量のビヒクルを転移することができ、熱成形で伸ばされた部分でも色が薄くならないように濃く印刷することができる。
乾燥工程における風量は、油性グラビア印刷の乾燥の風量と同様に40〜70m3/minとし、効率的に熱量を加えるため80℃〜100℃の熱風で乾燥させる。熱風の温度は高ければ高い程熱量を与えられ印刷スピードも上げることができるが、温度が高くなるにつれて装置等に奪われて損失する量も多くなり、またあまり温度が高いと二軸延伸ポリプロピレンフイルムが収縮したりするので印刷スピードに合った適正な熱風温度が必要である。
油性グラビア印刷と略同様の120m/minの印刷スピードであれば、熱風温度は100℃位が好適である。乾燥された二軸延伸ポリプロピレンフイルムは熱風の熱で温度が上昇して伸びており、そのまま次の色の印刷工程で印刷すると印刷ズレが起るので、略その印刷ユニット内の印刷時の温度まで冷却工程で冷却する。
冷却工程においては、乾燥工程で二軸延伸ポリプロピレンフイルムに付与された熱量を消去し、各ユニットにおける印刷工程での二軸延伸ポリプロピレンフイルム温度を略同一となるようにする。冷却は二軸延伸ポリプロピレンフイルムの印刷層側の面のみ冷却することもできるが、印刷層側の面と同時に反印刷層側の面も冷却することが好ましい。二軸延伸ポリプロピレンフイルムの両面を冷却することにより、効率よく冷却することができ、印刷速度を落すことなく次の印刷工程において二軸延伸ポリプロピレンフイルムの温度を所定の温度まで低下させることができる。
二軸延伸ポリプロピレンフイルムの印刷層側の面と反印刷層側の面とを冷却するには、例えば、印刷層側の面は冷風と冷却ロールにより冷却し、反印刷層側の面は冷却用液体を塗布後、冷風を吹き付けて冷却用液体を気化させ、その蒸発潜熱によって冷却することができる。このように冷却用液体を用いて冷却することにより、簡単な構造で効率良く冷却することができる。
冷却用液体は、蒸発潜熱で熱を奪うものであるから、蒸発潜熱が大きいこと、沸点が低く蒸気圧が高くて気化しやすいこと、ムラなく塗布するために表面張力が小さいことが求められ、このような冷却用液体は、1種類又は2種類以上の液体を混合した混合液体で調製することができる。例えば、低級アルコールのメタノールやエタノール単独でも良いが、蒸発潜熱を大きくしたい場合には、蒸発潜熱の最も大きい水を主体とし、水とどのような割合でも溶け合い、水に不足している気化し易さと表面張力とを補う補助液体との混合液体を用いることができる。
このような補助液体としては、低級アルコール類、エステル類があるが蒸発潜熱、蒸気圧の大きな低級アルコールが好ましく、エタノールでも良いがコストの点からメタノールが最も好ましい。表4にエステル類と低級アルコールの沸点、気化(蒸発)潜熱、蒸気圧、表面張力のデータを示す。
Figure 0004673205
混合液体の上記物性値は、蒸気圧を除いては、水とメタノール、エタノール、酢酸エチルエステルとの間の値となる。蒸気圧はその場の気相に夫々単独で蒸発するので、両方の合算した値となる。混合液体の割合は、水が多くなれば蒸発潜熱は大きいが気化しにくくなり、メタノール、エタノール、酢酸エチルエステルの割合が多くなれば気化しやすくなるが気化熱は小さくなる。例えば、水とメタノールの割合は、水(10〜90%):メタノール(10〜90%)の中から気化速度、蒸発潜熱の程度を考慮して設定することができる。
冷却用液体の塗布は、略均一に塗布できる手段であれば特に限定されず、例えば、霧吹き状に吹き付けても、ロールを介して塗布してもよいが、モルトンロール(金属ロールの全面に布を巻いたもの)の布に冷却用液体を浸み込ませて、冷却ロール上の二軸延伸ポリプロピレンフイルムにモルトンロールを接触させることにより塗布することが、簡単な装置で均一に塗布できるので好ましい。
冷却用液体を塗布した面には、冷風を吹き付けて冷却用液体の気化を促進させる。冷風を吹き付けることにより、冷却用液体を塗布した面の周囲の気相から冷却用液体の蒸気を取り除かれるので、気化が促進されるものである。この段階で、多少の塗布した冷却用液体が残っていても、その後の搬送ライン上で気化し、同時にフイルムを冷却しながら次の色の印刷時までには完全に気化が終了し、二軸延伸ポリプロピレンフイルムの温度は前の印刷工程における印刷時の温度まで下がっている。
冷却は、冷却すればする程伸びは小さくなるので、冷却する程効果的であるが、第1色目から最終色までの各色の印刷時の二軸延伸ポリプロピレンフイルム温度が略一定であることが重要である。
以上のような水性グラビア印刷を行なう水性グラビア印刷装置としては、各冷却部に、二軸延伸ポリプロピレンフイルムの印刷層側の面が巻き掛けられる冷却ロールと、印刷層側の面に冷風を吹き付ける印刷層側の面用冷風吹付け手段と、反印刷層側の面に冷却用液体を塗布する冷却用液体塗布手段と、この冷却用液体塗布手段で冷却用液体が塗布された面に冷風を吹き付ける気化促進用冷風吹付け手段とを設けたものを用いることができる。
冷却用液体塗布手段としては、モルトンロール、スプレー等、冷却用液体を塗布できるものであれば特に限定されない。気化促進用冷風吹付け手段は、塗布面の周囲の気体を取り除けるものであれば特に限定されない。前記冷却ロールと印刷層面用冷風吹付け手段とは、従来用いられているものを用いることができる。
本発明による熱成形シート積層用フイルムにおいて、二軸延伸ポリプロピレンフイルムに水性グラビア印刷を施すグラビア印刷装置の一実施形態を図面を参照して説明する。
図2は水性グラビア印刷装置の全体の概略図、図3は水性グラビア印刷装置の第1印刷ユニット部分の拡大図である。
図2及び図3において、100は給紙部で、二軸延伸ポリプロピレンフイルム8を後続の印刷ユニットへ繰り出すものである。200は第1色目の第1印刷ユニット、300は第2色目の第2印刷ユニット、400は第3色目の第3印刷ユニット、500は第4色目の第4印刷ユニット、600は第5色目の第5印刷ユニットとである。
第1色目の第1印刷ユニット200は、二軸延伸ポリプロピレンフイルム8に印刷を施す印刷部210と、印刷された二軸延伸ポリプロピレンフイルム8を乾燥させる乾燥部220と、二軸延伸ポリプロピレンフイルム8を冷却する冷却部230とが設けられている。印刷部210には、版胴211、圧胴212、ファニッシャーロール213が設けられており、乾燥部220には、多数のコロロール221…221が設けられている。
冷却部230には、二軸延伸ポリプロピレンフイルム8の印刷層面に当接して冷却する冷却ロール231が設けられ、この冷却ロール231の上流側(二軸延伸ポリプロピレンフイルム8が搬送されてくる側)の近傍に、二軸延伸ポリプロピレンフイルム8の印刷層面に冷風を吹き付ける冷風機232が設けられている。また、冷却ロール231に当接してモルトンロール233が設けられており、このモルトンロール233の表面に設けられた布材には、冷却用液体が含まされている。さらに、冷却ロール231の出口側(フイルムが出て行く側)には、気化促進用の冷風ノズル234が設けられている。この冷風ノズル234と冷風機232は冷風の供給源(図示せず)に連結されており、二軸延伸ポリプロピレンフイルム8の印刷層面と塗布面に冷風を吹き付けるようになっている。
なお、第2色目の第2印刷ユニット300、第3色目の第3印刷ユニット400、第4色目の第4印刷ユニット500、第5色目の第5印刷ユニット600も、第1色目の第1印刷ユニット200と同様に、版胴311、411、511、611、圧胴312、412、512、612、ファニッシャーロール313、413、513、613、コロロール321、421、521、621、冷却ロール331、431、531、631、冷風機332、432、532、632、モルトンロール333、433、533、633、冷風ノズル334、434、534、634が設けられている。
以上のような水性グラビア印刷装置でグラビア印刷するには、給紙部100から二軸延伸ポリプロピレンフイルム8を繰り出して第1色目の第1印刷ユニット200に送り込む。印刷ユニット200に送られて来た二軸延伸ポリプロピレンフイルム8は、まず、印刷部210において版胴211と圧胴212に圧着されて第1色(例えば、黄色)が印刷される。この二軸延伸ポリプロピレンフイルム8は乾燥部220において熱風で乾燥させられた後、冷却部230へ送られる。
二軸延伸ポリプロピレンフイルム8は、冷却部230において、まず、冷風機232により印刷層面11に冷風が吹き付けられた後、続いて冷却ロール231に巻回されて印刷層面11側から冷却される。また、冷却ロール231への巻回された状態において、モルトンロール233が圧接しているので、モルトンロール233に蓄えられた冷却用液体が印刷層面の反対側の面に塗布される。さらに、冷却ロール231の出口側において、冷風ノズル234から二軸延伸ポリプロピレンフイルム8の液体塗布面12に冷風が吹き付けられる。冷却用液体は気化し易いので、気化により二軸延伸ポリプロピレンフイルム8から熱を奪い冷却する。また、冷風ノズル234からの冷風により、気化した冷却用液体を二軸延伸ポリプロピレンフイルム8の周囲から除去するので、冷却用液体の気化が促進されている。
したがって、二軸延伸ポリプロピレンフイルム8の印刷層面11側は、主として、冷風機232からの冷風と、冷却ロール231とにより冷却され、また、二軸延伸ポリプロピレンフイルム8の液体塗布面12側は、主として、冷却用液体の蒸発潜熱により冷却され、全体として効果的に冷却されている。そして、この冷却により、印刷部210において印刷された際の二軸延伸ポリプロピレンフイルム8の温度に略同一となるようにしている。
そして、第2色目以降の印刷ユニットにおいても、同様な動作を繰り返し、5色からなる水性グラビア印刷を二軸延伸ポリプロピレンフイルム8に施し、グラビア印刷が完成する。
このようにして水性グラビア印刷された二軸延伸ポリプロピレンフイルムからなる熱成形シート積層用フイルムと、熱成形シートとを熱貼合するには、図4に示すような熱貼合装置を用いる。
図4において21は熱成形シートロール、22は二軸延伸ポリプロピレンフイルムロール、23はヒーター、24は加熱ロール、25はニップロール、26は熱成形シート積層材ロールである。このような熱貼合装置において、熱成形シートロール21より熱成形シート27を繰り出すとともに、二軸延伸ポリプロピレンフイルムロール22より二軸延伸ポリプロピレンフイルム28を繰り出し、熱成形シート27はヒーター23で加熱後、加熱ロール24に送られ二軸延伸ポリプロピレンフイルム28と重ねられ熱貼合され、熱成形シート積層材29が形成される。形成された熱成形シート積層材29は熱成形シート積層材ロール26に巻き取られる。
<実施例1>
MFRが7.0g/10分のポリプロピレン単独重合樹脂を押出し機に投入し、連結された下向きの丸ダイス(径90mmφ)から240℃で下向きに押出した。押出されたチューブ状のフイルムをダイス直下に設けられた内部に冷却水が循環しているマンドレルに滑らせるようにしてチューブの内側を冷却し、チューブの外側は水槽を通すことによって水槽中の水で冷却して引取り、直径90mmφ、厚さ400μmのチューブ状未延伸ポリプロピレンフイルムを得た。
このチューブ状未延伸ポリプロピレンフイルムを図1に示すようなチューブラー二軸延伸装置によって膨張延伸を行った。チューブ状未延伸ポリプロピレンフイルム1を、予備加熱機3の赤外線ヒーターの電流を調節しながら予備加熱を行なった後、5ゾーンに分けられた本加熱機4の赤外線ヒーターの電流を調節しながら加熱し、本加熱機4下方よりチューブに沿って流れる空気圧とニップロール2とニップロール7との速度差によってMD方向4.0倍、TD方向4.0倍(面積延伸倍率16倍)に膨張延伸した。この時、放射温度計で測定したチューブ状未延伸ポリプロピレンフイルムの表面温度は130℃であった。
次いで、このように延伸した二軸延伸ポリプロピレンフイルムをテンター(恒温室)内に導き、MD方向に8%、TD方向に5%弛緩させ150℃で熱処理を行った。そして、このチューブ状二軸延伸ポリプロピレンフイルムを2枚に開いて紙管に巻き取った。厚さは19μmであった。この得られた二軸延伸ポリプロピレンフイルムの120℃グリセリン浴に5秒間浸漬させた時の収縮率はMD方向1.5%、TD方向3%であった。
以上のようにして作製した二軸延伸ポリプロピレンフイルムに図2及び図3に示すグラビア印刷装置を用いて印刷を行った。
版胴にヘリオの彫刻で彫られた(スタイラス角度130度、スクリーン線数175線、版深42μm)のグラビアロールを、富士機械(株)製5色のグラビア印刷機(FM−5Sタイプ)にセットし、サカタインクス(株)製水性インキPP1(ウレタン系ビヒクル)を用いて、サカタインクス(株)製希釈剤で希釈して白色(顔料濃度30%、粘度ザーンカップNO3で25秒)、黄色(顔料濃度12%、粘度ザーンカップNO3で18秒)、赤色(顔料濃度12%、粘度ザーンカップNO3で18秒)、青色(顔料濃度12%、粘度ザーンカップNO3で18秒)、黒色(顔料濃度12%、粘度ザーンカップNO3で33秒)のインキを調製した。
作製したフイルムの片面にコロナ処理を施した後、5色印刷機の給紙部100にセットし、コロナ処理面に印刷しながら印刷スピード120m/min、テンション8.0kg/1000mm巾、黒色(第1印刷ユニット200)、黄色(第2印刷ユニット300)、赤色(第3印刷ユニット400)、青色(第4印刷ユニット500)、白ベタ(第5印刷ユニット600)の順で百合の花柄模様の重ね印刷を行った。乾燥部220、320、420、520、620の熱風は100℃、60m/minとした。
冷却部230、330、430、530、630は既存の冷風機232、332、432、532、632から30℃の冷風を印刷層面11側に吹き付け、次いで既存の冷却ロール231、331、431、531、631に30℃の冷却水を通して印刷層面11を冷却した。
また、同時に水(70%)とメタノール(30%)の混合液体からなる冷却用液体を布に浸み込ませたモルトンロール233、333、433、533、633を冷却ロールに接触させ、二軸延伸ポリプロピレンフイルム8の印刷層面11と液体塗布面12に冷却用液体を塗布した。次いで、塗布直後に冷風ノズル234、334、434、534、634から30℃の冷風を0.8m/minの風量で液体塗布面12に吹き付けて、冷却用液体を気化させて冷却を行った。
このようにして印刷を行い、各所の濃度を測定(印刷開始10分後)してその温度の挙動を把握するとともに、1色目から5色目までの各色の印刷時のフイルム温度が略同一の温度になっているかをチェックした。温度の測定は、放射温度計を用いて測定した。また、印刷物を肉眼で観察し、百合の花柄模様における色のはみ出しの有無を調べた(印刷ズレが起きれば色のはみ出しが起る。)
測定結果を表5に示す。
Figure 0004673205
表5中の測定温度は以下の通りである。また、対応箇所を図2に示す。
a:前印刷ユニットの冷却工程を終了し、当該印刷ユニットへ進入した時のフイルム印刷層面の温度(当該ユニットでの印刷時の原反温度)
b:乾燥直後のフイルム印刷層面11の温度
c:冷風機通過後のフイルム印刷層面11の温度
d:冷却ロールの表面温度
e:モルトンロールの表面温度
f:冷却ノズルの通過直後におけるフイルムの液体塗布面12の温度
g:冷却ノズル通過後のフイルム印刷層面11の温度(fよりは少し進んだ個所におけるフイルム印刷層面11の温度)。
※:使用前フイルムの保管温度(室温)
次に、第2印刷ユニット300を例にとって説明する。
第1印刷ユニット200の冷却工程を終了して、第2印刷ユニット300へ進入した二軸延伸ポリプロピレンフイルム8の温度aは33℃まで冷却されており、この温度で印刷される。乾燥工程直後のフイルム温度bは47℃まで上昇しており、次いで印刷層面11に冷風(30℃)を吹き付けると印刷層面11の温度cは42℃まで下がる。次いで、34℃の冷却ロール331で印刷層面11を冷却し、液体塗布面12にモルトンロール333で冷却用液体を塗布し、冷却ノズル334から30℃の冷風0.8m/minを吹き付けると、蒸発潜熱で熱を奪われフイルムの液体塗布面12の温度fは35℃まで下がる。この時、印刷層面11の温度gは42℃であり、温度勾配のあることが判る。しかし、冷却工程を終了して第3印刷ユニットへ進入した時の二軸延伸ポリプロピレンフイルム8の印刷層面11の温度aは34℃まで下がっており、この間も塗布した混合液体の蒸発潜熱で冷却が進んで全体を冷却していると考えられる。このように、印刷層面11は冷風と冷却ロール、液体塗布面12は混合液体の蒸発潜熱で冷却すると効果的であり、特に冷却用液体は二軸延伸ポリプロピレンフイルム8の搬送中にも気化を続けて冷却する効果がある。
[印刷時のフイルム温度]
印刷時の二軸延伸ポリプロピレンフイルム温度は表5のaに示されるように1色目から5色目まで略同一である。なお、1色目のaはフイルムの保管温度である。
[印刷物の肉眼観察]
黒色―黄色―赤色―青色―白ベタの順で花柄模様の重ね印刷を行った印刷物2000mを肉眼で観察したところ、最初から最後まで花柄模様がきれいに印刷されており、色のはみ出しは見られなかった。したがって印刷ズレは発生していなかった。
このようにして印刷された二軸延伸ポリプロピレンフイルムを、ブタンガスで7倍に発泡させた耐熱発泡ポリスチレンシート(厚み1.0mm)に熱貼合によって積層させた。
熱貼合には図4に示す熱貼合装置を用い、耐熱発泡ポリスチレンシートロール21より耐熱発泡ポリスチレンシート27を繰り出すとともに、二軸延伸ポリプロピレンフイルムロール22より二軸延伸ポリプロピレンフイルム28を繰り出し、耐熱発泡ポリスチレンシート27はヒーター23で加熱後、加熱ロール24に送られ二軸延伸ポリプロピレンフイルム28と重ねられ熱貼合され、熱成形シート積層材29が形成される。形成された熱成形シート積層材29は熱成形シート積層材ロール26に巻き取られる。なお、熱貼合条件は、以下の通りである。
加工速度:40m/min
耐熱発泡ポリスチレンシートの予備加熱:90℃(表面温度)
加熱ロールの温度:110℃
熱成形シート積層材の加熱ロール接触距離:50cm(0.75秒接触)
ニップ圧:6kg−cm
[ラミネート強度]
熱成形シート積層材を15mm巾に切断し、接着部分を手で剥離し、剥離した部分の双方を定速引張試験機の上下のチャックに固定、初期チャック間を50mmとして、300mm/minの引張速度で未剥離部分を水平に保ちながらT型剥離を行った。ラミネート強度は、180g/15mm巾であった。
得られた熱成形シート積層材を用い、口径12cm角、深さ4.5cmの角型容器を成形した。成形にはスピーマー(株)製真空成形機「1600D型」を用いて下記の条件で行った。
ヒーター温度(片面):270℃
シート表面温度:140℃
加熱時間:8秒
金型温度:80℃
<実施例2>
MFRが7.5g/10分のプロピレン単独重合樹脂と、MFRが1.0g/10分でエチレン含有量が3.0重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合樹脂とを1対1の割合でブレンドした混合樹脂を用い、延伸倍率をMD方向4.0倍、TD方向3.0倍(面積延伸倍率12倍)、また、テンター内での弛緩熱処理をMD方向12%、TD方向12%とした他は、実施例1と全く同様に行って厚さ43μmの二軸延伸ポリプロピレンフイルムを得た。この二軸延伸ポリプロピレンフイルムの120℃グリセリン浴の収縮率はMD方向5%、TD方向%であった。
この二軸延伸ポリプロピレンフイルムに実施例1と全く同様に印刷層を施して熱成形シート用フイルムを得た。そして、実施例1と同様に耐熱発泡ポリスチレンシートに積層して熱成形シート積層材を得た。さらに、この熱成形シート積層材を用い、実施例1と同様に角型容器を成形した。
<実施例3>
MFRが2.0g/10分でエチレン含有量が0.5重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合樹脂を用い、延伸倍率をMD方向5.7倍、TD方向5.7倍(面積延伸倍率32.5倍)、また、テンター内での弛緩熱処理をMD方向20%、TD方向20%とした他は、実施例1と全く同様に行って厚さ19μmの二軸延伸ポリプロピレンフイルムを得た。この二軸延伸ポリプロピレンフイルムの120℃グリセリン浴の収縮率はMD方向6%、TD方向8%であった。
この二軸延伸ポリプロピレンフイルムに実施例1と全く同様に印刷層を施して熱成形シート用フイルムを得た。そして、実施例1と同様に耐熱発泡ポリスチレンシートに積層して熱成形シート積層材を得た。さらに、この熱成形シート積層材を用い、実施例1と同様に角型容器を成形した。
<比較例1>
MFRが7.0g/10分のポリプロピレン単独重合樹脂を用い延伸倍率をMD方向2.7倍、TD方向2.7倍(面積延伸倍率7.3倍)にした他は、実施例1と全く同様に行なったが、チューブラーの膨張延伸時にバブルが不安定でパンクが起こり、ニ軸延伸ポリプロピレンフイルムを作製することができなかった。
<比較例2>
MFRが7.5g/10分のプロピレン単独重合樹脂とMFRが1.0g/10分でエチレン含有量が3.0重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合樹脂を1対1の割合でブレンドした混合樹脂を用い、延伸倍率をMD方向6倍、TD方向7.5倍(面積延伸倍率45倍)、また、テンター内での弛緩熱処理をMD方向10%、TD方向10%とした他は、実施例1と全く同様に行って、厚さ11μmの二軸延伸ポリプロピレンフイルムを得た。この二軸延伸ポリプロピレフイルムの120℃グリセリン浴の収縮率はMD方向5%、TD方向3%であった。
この二軸延伸ポリプロピレンフイルムに実施例1と全く同様に印刷層を施して熱成形シート用フイルムを得た。そして、実施例1と同様に耐熱発泡ポリスチレンシートに積層して熱成形シート積層材を得た。さらに、この熱成形シート積層材を用い実施例1と同様に角型容器を成形したが、容器にゆがみや曲がり等の変形を生じ、正常な容器は得られなかった。
<比較例3>
MFRが2.0g/10分でエチレン含有量が0.5重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合樹脂を用い延伸倍率をMD方向4倍、TD方向4倍(面積延伸倍率16倍)、また、テンター内での弛緩熱処理を、温度を110℃としMD方向3%、TD方向3%とした他は、実施例1と全く同様に行って、厚さ27μmの二軸延伸ポリプロピレンフイルムを得た。この二軸延伸ポリプロピレンフイルムの120℃グリセリン浴の収縮率はMD方向30%、TD方向30%であった。
この二軸延伸ポリプロピレンフイルムに実施例1と全く同様に印刷層を施して熱成形シート用フイルムを得た。そして、実施例1と同様に耐熱発泡ポリスチレンシートに積層して熱成形シート積層材を得た。さらに、この熱成形シート積層材を用い実施例1と同様に角型容器を成形したが、熱成形シート積層材の加熱時に収縮が起こり、しわや薄肉部分、ゆがみ等の変形が生じ、正常な容器は得られなかった。
[評価]
前記実施例1〜3及び比較例1〜3において、チューブラー法による二軸延伸時の成膜性、得られた角型容器の目視観察から二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シート(耐熱発泡ポリスチレンシート)との密着度、容器の変形度、フイルム面の光沢、底部コーナー部における印刷色の濃度を評価した。結果を表6に示す。
Figure 0004673205
<成膜性>
二軸延伸時のバブルの安定性及び得られたフイルムの厚薄差から以下の評価とした。
◎;バブルが安定しており、±3%以内の厚薄差
○;バブルが安定しており、±3〜5%の厚薄差
×;バブルが不安定でパンクし、厚薄差も5%を越える
<密着度>
二軸延伸ポリプロピレンフイルムの容器からの剥がれや浮きの有無により以下の評価とした。
◎;剥がれや浮きがなく良好
○;小さな浮きが発生気味でやや良
×;剥がれや浮きが見られ悪い
<変形度>
容器のゆがみ等の変形がなく、コーナー部も丸み等がなく金型通りに再現されているのかにより以下の評価とした。
◎;容器の変形がなくコーナー部も丸みがなく金型通りに再現されている。
○;容器の変形はないがコーナー部が丸みを帯びている。
×;容器がゆがんでおり金型再現性も悪い。
<光沢>
二軸延伸ポリプロピレンフイルムを貼合してある容器の内面を観察し、その光沢の有無により以下の判定とした。
◎;非常に光沢がある。
○;やや光沢がある。
×;光沢がない。
<底部コーナー部の印刷色濃度>
熱成形で一番延ばされる底部コーナーの印刷色の濃さと、比較的延ばされない胴部上部の印刷色の濃さとを比べて以下の評価とした。
◎;差がなく容器としての商品価値が高い。
○;わずかの差が見られるが容器としての商品価値はある。
×;差が大きく容器としての商品価値はない。
本発明による熱成形シート積層用フイルムの二軸延伸ポリプロピレンフイルムを作製するチューブラー二軸延伸装置の概略図 本発明による熱成形シート積層用フイルムの印刷を施す水性グラビア印刷装置の全体概略図 本発明による熱成形シート積層用フイルムの印刷を施す水性グラビア印刷装置の第1印刷ユニットの部分拡大図 本発明による熱成形シート積層用フイルムを熱成形シートに熱貼合する熱貼合装置の概略図 延伸ポリプロピレンの伸長度の温度依存性を示す図
符号の説明
1 未延伸ポリプロピレンフイルム
2 ニップロール
3 予備加熱機
4 本加熱機
5 エアーノズル
7 ニップロール
8 二軸延伸ポリプロピレンフイルム
23 ヒーター
24 加熱ロール
25 ニップロール
27 耐熱発泡ポリスチレンシート
210 印刷部
220 乾燥部
230 冷却部

Claims (6)

  1. 熱成形シートに熱貼合されるものであって、MD方向及びTD方向の延伸倍率が3〜6倍、面積倍率が9〜36倍となるように二軸延伸した後、MD方向及びTD方向ともに弛緩させて熱処理を行い、120℃グリセリン浴の収縮率がMD方向及びTD方向ともに0.5〜15%である二軸延伸ポリプロピレンフイルムと、該二軸延伸ポリプロピレンフイルムに水性グラビアインキで印刷が施された印刷層とを有し、該印刷層が顔料濃度10〜50%の水性グラビアインキを用い、ヘリオ彫刻(スタイラス角度130度)によるスクリーン線数が200線未満、版深が35μm以上の版胴により印刷され、その後80℃以上の熱風で乾燥されたものであることを特徴とする容器の熱成形シート積層用フイルム。
  2. 前記印刷層に用いた水性グラビアインキのビヒクルが、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートとを熱貼合する接着成分からなることを特徴とする請求項1記載の容器の熱成形シート積層用フイルム。
  3. 前記印刷層面に、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートとを熱貼合する接着成分からなるコート層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の容器の熱成形シート積層用フイルム。
  4. 前記印刷層が、印刷工程−乾燥工程−冷却工程からなる印刷ユニットを複数設けたグラビア印刷装置で多色グラビア印刷されたものであって、前記二軸延伸ポリプロピレンフイルムは、各印刷ユニットにおいて乾燥工程で付与した熱量を冷却工程で冷却して消去し、各印刷ユニットにおける印刷工程での温度を略同一となるようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の容器の熱成形シート積層用フイルム。
  5. 前記冷却工程における二軸延伸ポリプロピレンフイルムの冷却が、印刷層側の面は冷風と冷却ロールにより冷却し、反印刷層側の面は水、低級アルコール類及びエステル類の1種類又は2種以上の冷却用液体を塗布後、冷風を吹き付けて冷却用液体を気化させ、その蒸発潜熱によって冷却することを特徴とする請求項4記載の容器の熱成形シート積層用フイルム。
  6. MD方向及びTD方向それぞれの延伸倍率が3〜6倍、面積倍率が9〜36倍でチューブラー法により同時二軸延伸した後、MD方向及びTD方向ともに弛緩させて熱処理を行い、120℃グリセリン浴で収縮率がMD方向及びTD方向ともに0.5〜15%である二軸延伸ポリプロピレンフイルムを形成し、該二軸延伸ポリプロピレンフイルムに、顔料濃度が10〜50%で、二軸延伸ポリプロピレンフイルムと熱成形シートの両方に接着する接着成分からなるビヒクルを含有する水性グラビアインキと、スクリーン線数が200線未満、版深が35μm以上の版胴とを用い、複数の印刷ユニットの各印刷ユニットにおいて80℃以上の熱風で乾燥し、次いで印刷層面は冷風と冷却ロールで冷却し、反印刷層側の面は水、低級アルコール類及びエステル類の1種又は2種以上の冷却用液体を塗布するとともに冷風を吹き付けて急速に冷却し、各印刷ユニットの印刷時の二軸延伸ポリプロピレンフイルムを略同一温度として印刷することを特徴とする容器の熱成形シート積層用フイルムの製造方法。
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