JP3838266B2 - 感熱孔版印刷原紙用フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、サーマルヘッドやレーザー照射等により穿孔されるデジタル製版やハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプなどによる閃光照射により穿孔製版される感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルムに関し、特に穿孔特性(穿孔感度、独立穿孔性)、印刷鮮明性(文字印刷、ベタ印刷、階調性)に優れ、かつ耐刷性と搬送性(耐カール性)に優れた高感度感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルムに関するものである。
従来より感熱孔版印刷用原紙としては、塩化ビニリデンフィルム、ポリエステル、ポリプロピレンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムに天然繊維、化学繊維または合成繊維あるいはこれらを混抄した薄葉紙、不織布、紗等によって構成された多孔性支持体を接着剤で貼り合わせた構造のものが知られている(例えば、特開昭51−2512号公報、特開昭57−182495号公報など)。これらの感熱孔版印刷原紙用フィルムは、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプなどによる閃光照射や赤外線照射、レーザー光線等のパルス的照射、あるいはサーマルヘッド等によって穿孔され、上記した多孔性支持体を通してインキが通過する印刷用の版となる。
しかしながら、昨今では、印刷物に対して高い解像度(階調性)が要求されており、特にカラーで階調性を出すためには、ヘッドに与えるエネルギー、すなわちヘッドにより加熱される部位のフィルムの温度分布を変えることによってフィルムの穿孔径が変化できることが必要となってきている。そのためには、上記した熱可塑性フィルムに対して、与えるエネルギー範囲を幅広く変化させる必要があり、低エネルギーでは小さく穿孔し、高エネルギーでは大きく穿孔し、かつ孔が連結せずに独立状態を保持すること(独立穿孔性)が重要となる。
またサーマルヘッド等を使用した印刷方式では、高い解像度を得るために個々のヘッドを小さくし、単位面積当たりのヘッドの数を増やす試みがなされている。しかしながら、ヘッドを小さくする分、ヘッド1個当たりに供給されるエネルギーを低減させ、単位面積当たりにヘッドに供給するエネルギーを従来のヘッドと同じにしたとしても、個々のヘッドの寿命がヘッドの緻密化により低下してしまう。ヘッドの寿命を従来と同程度とするためには、個々のヘッドに供給するエネルギーをさらに低減させる必要があり、上記した熱可塑性フィルムには低エネルギーで十分な穿孔が得られることが必要となる。
さらに孔版印刷方式の特徴として、サーマルヘッド等によって製版された原画を一度作成すると、多数部数の印刷を高速かつ低コストで行えることにあるが、この特徴を最大限活かすためには製版した原画が多数部数の印刷を行うことにより破れや伸び等が起こらないこと(耐刷性)が必要とされている。この耐刷性の要求については感熱孔版印刷の印刷機のコストダウン等による低価格化に伴って、更に汎用性が増し、従来の1000枚以上の耐刷性に対し、更に5000枚以上の耐刷性が要求される分野も増加しているのが現状である。
一方、孔版印刷原紙を印刷機で使用するにあたり、用いる支持体の性状にもよるが、機内で原紙がカールにより搬送不良を引き起こすことを抑制すること(耐カール性)も重要である。
従来、かかる用途に用いられるフィルムとして、二軸延伸ポリエステルフィルムの熱的特性を規制することによって印刷特性と耐刷性を改善したフィルム(特開昭62−282984号公報)や熱収縮特性を規定したフィルム(特開昭62−282983号公報、特開昭63−160895号公報、特開平1−97691号公報、特開平1−168494号公報、特開平2−307788号公報、特開平3−30996号公報、特開平3−99890号公報、特開平3−288695号公報、特開平3−182395号公報、特開平4−125190号公報、特開平4−185489号公報、特開平4−224952号公報、特開平5−77572号公報、特開平6−305015号公報、特開平7−52572号公報、特開平7−68964号公報)等が提案されている。
しかしながら、上記の従来技術では低エネルギー領域において穿孔感度が十分ではなく、また高エネルギー領域では独立穿孔性に劣るなどの問題で文字印刷およびベタ印刷の印刷鮮明性が低下するなどの欠点がある。すなわち、温度の違いに敏感に反応して穿孔することが要求されているにも関わらず、従来のフィルムは、温度に対する反応が鈍いという問題があった。さらには耐刷性や耐カール性においても同時に満足するものではなかった。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決し、低エネルギーでも穿孔性が良好で、かつエネルギーレベルの変化に応じた穿孔径をあけることで優れた階調性を出し、しかも耐刷性や耐カール性に優れた感熱孔版印刷原紙用フィルムを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、主たるジカルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸あるいはテレフタル酸、主たるグリコール成分がエチレングリコールであり、融点(Tm)が200℃以下、ガラス転移点(Tg)が50℃以上、昇温結晶化温度(Tcc)とガラス転移点(Tg)との温度差(ΔTcg:Tcc−Tg)が100℃以下であるポリエステルを主成分とする樹脂組成物を二軸延伸したことを特徴とする感熱孔版原紙用フィルムとするものである。
但し、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)、昇温結晶化温度(Tcc)は、示差走査熱量計を用い、試料を280℃まで昇温し、280℃で5分間保持した後、液体窒素で急冷し、次いで一旦室温にしてから再度−50℃より昇温速度20℃/分で昇温しDSC曲線を得ることにより求める。
本発明は、低エネルギーでも穿孔性が良好で、かつエネルギーレベルの変化に応じた穿孔径をあけることで優れた階調性を出し、しかも耐刷性と搬送性に優れた感熱孔版印刷用原紙用フィルムを提供することができたものである。
本発明のフィルムに用いられるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とするポリエステルである。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルスルホンジカルボン酸を挙げることができるが、本発明の目的を達成するには該芳香族ジカルボン酸の主成分をテレフタル酸あるいは2,6−ナフタレンジカルボン酸にする必要がある。また、ジオール成分としては例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2´−ビス(4´−β−ヒドロキシフェニル)プロパン等を用いることができる。中でもエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく用いられる。
本発明に用いられるポリエステルには、本発明の効果を阻害しない範囲において、本発明を構成するジカルボン酸成分、ジオール成分以外の他の成分が共重合されていてもよい。このような成分としては、トリメリト酸、トリメシン酸、ピロメリト酸、トリカルバリル酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリット等の多官能化合物、p−オキシ安息香酸、乳酸、3−ヒドロキシブタン酸等のオキシカルボン酸等を用いることができる。
本発明のフィルムに用いられるポリエステルとして好ましくは、エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体、ブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体、ブチレンテレフタレート/ブチレン−2、6−ナフタレート共重合体、ヘキサメチレンテレフタレート/ヘキサメチレン−2、6−ナフタレート共重合体、ヘキサメチレンテレフタレート/エチレンテレフタレート共重合体、シクロヘキサンジメチレンテレフタレート/エチレンテレフタレート共重合体、エチレンイソフタレート、エチレン−2、6−ナフタレート/エチレンテレフタレート共重合体、エチレンテレフタレート/ジエチレンテレフタレート共重合体、またはこれらホモポリエステルや2元ポリエステル共重合体の他に3元以上の共重合体等を用いることができる。ホモポリエステルの具体例としてポリ乳酸に代表されるのオキシカルボン酸重合体等を用いることができる。またこれらの共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体でもかまわない。さらに、これら異なった組成のポリエステルを2種以上ブレンドしたブレンド体であってもかまわない。
本発明のフィルムに用いられるポリエステルは融点(Tm)が200℃以下、ガラス転移点(Tg)が50℃以上、昇温結晶化温度(Tcc)とガラス転移点(Tg)との温度差(△Tcg:Tcc−Tg)が100℃以下である必要がある。
ポリエステルの融点(Tm)が200℃を超えるフィルムでは穿孔に必要なエネルギーが多量となるため、低エネルギーでの穿孔特性が悪くなり、この穿孔特性を改良するためにフィルムの厚みを更に薄くすると耐刷性が悪化し、穿孔特性と耐刷性の両立ができなくなる。ポリエステルの融点を190℃以下、さらに180℃以下とすることにより厚いフィルムにおいても穿孔特性が良好となり、耐刷性もさらに良好となるので好ましい。
本発明において主成分となるポリエステルがブレンド体である等の理由から、融点、ガラス転移点、△Tcgが2つ以上存在する場合については、融点はDSCの測定によるそれぞれの融点での結晶融解エネルギー(△Hu)が大きい方の融点が200℃以下であることが必要であり、好ましくは200℃を超える温度で融点が観測されないものがさらに好ましい。ガラス転移点については50℃未満にガラス転移点が観測されないことが必要である。また△Tcgは昇温結晶化温度とガラス転移点との差の組み合わせで最小の値が上述した範囲内にあることが必要になる。
ポリエステルのガラス転移点(Tg)が50℃未満のフィルムでは、室温付近の低温領域での寸法安定性が十分ではないためにカールし、搬送不良を引き起こす。ポリエステルのガラス転移点を55℃以上、さらに60℃以上とすることによりいっそう耐カール性、穿孔特性およびコスト面において両立が容易となるので好ましい。
ポリエステルの昇温結晶化温度(Tcc)とガラス転移点(Tg)との温度差(△Tcg:Tcc−Tg)は該ポリエステルの結晶化のしやすさを示唆する値であり、この値が小さければ結晶化しやすいポリマーであると言える。△Tcgが100℃を越えるとフィルムの融点が不明瞭となり、穿孔時にフィルムの溶融斑によって穿孔径に斑が生じ、目的とする階調性が得られない。ポリエステルの△Tcgの好ましい範囲としては80℃以下であり、更に好ましくは70℃以下である。一方、△Tcgが小さくなりすぎ、結晶化がしやすくなりすぎると、ポリマーがフィルム製造時、押し出し後の溶融ポリマーの冷却段階で結晶化が進行し、延伸斑による厚み斑を生じさせる結果、穿孔径に斑が生じ、目的とする階調性が得られなかったり、延伸性が低下するためフィルム製造時に破れが頻発し、生産性が低下する場合がある。この観点から、△Tcgの値は30℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは35℃以上である。
本発明のポリエステルの△Tcgを100℃以下とする手法は特に限定されないが、上述したポリエステルの組成を最適化する手法、ポリエステルに結晶増核剤を添加する手法や可塑剤を添加する手法が好ましい。結晶増核剤とは、添加によりポリエステルの△Tcgを小さくする作用をもたらすものの総称であり、結晶増核剤は、後述するフィルムに易滑性を付与する粒子としての添加や内部粒子とすると、適度な△Tcgと易滑性を同時に付与できるため好ましい。
本発明におけるポリエステルは例えば、下記の方法で製造することができる。すなわち、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、ジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法等がある。この際、必要に応じて、反応触媒を適宣用いることができる。
本発明のフィルムに用いる樹脂組成物は上述した特性を有するポリエステルを主成分とすることが本発明の目的を達成するために必要である。ここで主成分とは50重量%以上のものをいい、50重量%以下の範囲で上述したポリエステルの条件を満たさないポリエステルやポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテル等がブレンドされていてもよい。要はブレンドにより、本発明に用いられる樹脂組成物として上述した主成分のポリエステルの条件から大幅に逸脱しないのが好ましい。すなわち主成分となるポリエステル以外のものを添加することにより樹脂組成物の融点、ガラス転移点、昇温結晶化温度が2つ以上存在する場合、融点はDSCの測定によるそれぞれの融点での結晶融解エネルギー(△Hu)が大きい方の融点が200℃以下であることが好ましく、200℃を超える温度で融点が観測されないものがさらに好ましい。ガラス転移点はフィルムで測定したときに50℃未満にガラス転移点が観測されないことが好ましい。例えばポリプロピレンのようにポリエステルと非相溶でガラス転移点は低い(約10℃)が高結晶性のもののブレンドであれば室温付近で良好な寸法安定性を維持できる。さらに好ましいのはフィルムを一度溶融させ樹脂組成物として測定したときにガラス転移点が50℃未満で観測されないものである。昇温結晶化温度については、主成分が上述するポリエステルであることから特に限定されないが、ガラス転移点または/および昇温結晶化温度が複数存在する場合、最も高いガラス転移点を示す温度と最も低い昇温結晶化温度を示す温度との差が30〜100℃であることが生産性の観点から好ましい。このことは主成分が50重量%であっても同様である。また、上述した主成分となるポリエステルの条件を満たさないポリエステルを添加した樹脂組成物の場合、添加後の溶融時に一部エステル交換反応が進行し、樹脂組成物の融点やガラス転移点、昇温結晶化温度が変化することがあるので特に相溶性の場合は注意を要する。
本発明のフィルムに用いられる樹脂組成物の主成分となるポリエステルの構成量の好ましい範囲は70重量%以上であり、更に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上であり、さらに該ポリエステルを単独で用いてもよい。
本発明のフィルムに用いられる樹脂組成物をブレンド体として得る方法は、特に限定されないが、主成分となるポリエステルの重合反応釜中で混合した後、重合を継続して行う方法やドライブレンドし、溶融押し出しする方法等を用いることができる。
また、本発明のフィルムに用いる樹脂組成物には、必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤等を配合してもよく、これら二種以上を併用してもよい。
さらに本発明のフィルムに用いられる樹脂組成物には必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与方法としては特に制限はないが、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカなどの無機粒子、アクリル酸系ポリマ類、ポリスチレン等を構成成分とする有機粒子等を配合する方法、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等が失活して形成される、いわゆる内部粒子による方法、界面活性剤を塗布する方法等がある。
本発明のフィルムは、上述したポリマーを用い、二軸延伸することによって得られる。未延伸のフィルムでは穿孔時に溶融はするものの孔は形成されないため穿孔特性が悪く、フィルムの強度が低いために耐刷性も悪い。延伸方法としては、インフレーション同時二軸延伸法、ステンター同時二軸延伸法、ステンター逐次二軸延伸法のいずれかの処方によって二軸延伸されたフィルムとするものであるが、その中でも、製膜安定性、厚み均一性の点でステンター逐次二軸延伸法により製膜されたものが好ましく用いられる。
本発明のフィルムは、上記樹脂組成物を用いて、以下の方法によって製造することができる。すなわち、Tダイ押し出し法によって樹脂組成物をキャストドラム上に押し出すことによって未延伸フィルムを製造できる。キャストドラムへの密着方法としては静電印加法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、平面性が良好でかつ表面欠点の少ないフィルムを得る手法として水の表面張力を利用した密着キャスト法、または静電印加法とするのが特に有効である。このときポリブチレンテレフタレートやポリヘキサメチレンテレフタレートおよびそれらの共重合体に代表される樹脂組成物ではキャストフィルムの段階での結晶化を抑制し、その後の延伸性を低下させないように水の表面張力を利用した密着キャスト法と静電印加法とを併用し溶融樹脂組成物を急冷することが好ましい。所望の厚さの未延伸フィルムは口金のスリット幅、樹脂組成物の吐出量、キャストドラムの回転数を調整することによって作ることができる。
延伸方法は特に限定されないが、ステンター逐次二軸延伸法の場合、長手方向の延伸を樹脂組成物のガラス転移点以上の温度で、延伸倍率は用いる樹脂組成物の種類によって適宜決定されるが、2〜5倍程度が適当である。
幅方向の延伸倍率と延伸温度は特に限定されるものではなく、用いる樹脂組成物の種類によって適宜決定されるが、延伸倍率が2〜5倍程度が適当であり、延伸温度は長手方向の延伸温度以上であると延伸性が良好となり好ましい。
また、二軸延伸後、フィルムの長手方向または幅方向、あるいはそれら両方を再延伸してもかまわない。
さらに、本発明のポリエステルフィルムは二軸延伸後、定長下および/または幅方向にフィルムの全幅に対して10%以下の微延伸をしながら熱処理を施すことが室温付近の低温領域でのフィルムの寸法安定性、フィルムの平面性の観点から好ましい。熱処理温度は、下記式(1)の範囲とすると低温領域の寸法安定性とフィルムの平面性を同時に満足するため、好ましい。
Ttd≦Ths≦Ttd+30 (1)
(ここでTtdは幅方向の延伸温度(℃)、Thsは熱処理温度(℃))
熱処理温度のより好ましい温度はTtd≦Ths≦Ttd+20である。
熱処理の時間は0.5〜60秒間行なうのが好ましい。
本発明のフィルムの厚さは、好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは0.8μm以上である。フィルム厚みが0.5μm未満では低エネルギー領域において穿孔感度は向上するが、耐刷性が劣り、多数部数の印刷時に版となるフィルムが破損したり、フィルムの製造においても製膜安定性、巻取性が悪化し、また得られたフィルムと薄葉紙等の多孔性支持体とのラミネート工程においても歩止まりが悪くなることがある。フィルム厚みの上限は、特に限定されないが、4μm以下が適当である。
また、本発明において得られたフィルムの固有粘度や表面特性、すなわち中心線平均粗さ、最大粗さが後述の範囲としたとき本発明の効果がより顕著に発現するので好ましい。
本発明のフィルムの固有粘度は0.6以上とするのが好ましく、0.65以上であると更に好ましい。フィルムの固有粘度が0.6未満ではフィルム破れによる生産性の低下や穿孔時に溶融した樹脂組成物の残渣がサーマルヘッド等に付着し、穿孔斑を引き起こすことがある。
本発明のフィルムの中心線平均粗さ(Ra)は、0.01〜0.5μmの範囲が好ましく、製膜から原紙作成工程の安定生産性および穿孔特性、印刷鮮明性の点でより好ましくは0.05〜0.4μmである。Raが0.01μm未満では、巻取性や取扱性が困難となり、折れジワが入り生産性が低下する場合がある。一方、Raが0.5μmを超えると、表面の粗面化が大きすぎて穿孔感度が大幅に低下したり、穿孔径が不均一になる場合がある。
本発明のフィルムの最大粗さ(Rt)は、0.3〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは、0.5〜4μmである。Rtが0.3μm未満では、滑り性が悪化し、空気抜けが悪く縦ジワ等が入り、巻取性や取扱性が低下する場合がある。一方、Rtが5μmを超えると、表面の粗面化が大きすぎて穿孔感度が低下するのみならず、フィルム破れが生じ、生産性が低下する場合がある。
本発明のフィルムにおいて、多孔性支持体を熱圧着した状態で共延伸して印刷用原紙を一挙に製造することもできる。熱圧着した状態でフィルムと支持体とが一体となって延伸することにより、多孔性支持体が補強体の役目をなし、フィルムが破れたりすることがなく、極めて製膜安定性に優れ、結果として低コストの原紙を得ることができるので好ましい。多孔性支持体としてポリエステル系不織布が延伸性の観点から好ましい。
さらに製膜安定性を良好にするために他の熱可塑性ポリマーとの積層フィルムから剥離分離して二軸延伸フィルムを得る方法をとることができる。
他の熱可塑性ポリマーとは、特に限定されないが、好ましくは本発明のフィルム層と剥離するときの剥離力が10g/cm以下、さらには0.1〜2g/cm、さらには0.2〜0.8g/cmであることが好ましい。さらに具体的には、本発明のフィルムを構成している樹脂組成物と異なるものであればよく、具体的にはポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、ポリエーテルおよびこれらの共重合体、フッ素系ポリマー等を用いることができる。なかでもポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、フッ素系ポリマー等が好ましい。ポリオレフィンの代表例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、あるいはこれらの共重合体や混合物を用いることができるが、プロピレンを80〜97モル%とプロピレン以外のオレフィンを3〜20モル%の共重合体がさらに好ましい。また、これらのポリオレフィン中には、各種離型剤、例えば、シリコン、石油樹脂、テルペン樹脂、高級脂肪酸ワックス類等を添加してもよい。さらには、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、着色用顔料、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤などが添加されていてもよい。
具体的に剥離分離して二軸延伸フィルムを得る方法としては、本発明にポリエステルフィルムに用いるポリエステルと他の熱可塑性ポリマーを各々別々の押し出し機に供給し、溶融後口金内で合流せしめ、シート状に成形し、キャストドラム状に押し出し、未延伸フィルムを製造する。この際、口金のスリット幅、ポリマーの吐出量、キャストドラムの回転数を調整することによって、所望の厚さの未延伸フィルムを作ることができる。なお、この際に、本発明のフィルムを構成する樹脂組成物(Aとする)と他の熱可塑性ポリマー(Bとする)がA/Bの二層構造や、A/B/Aの三層構造のいずれをとっても構わない。このようにして得られた未延伸フィルムは、前記したような単層製膜と同様の方法で二軸延伸フィルムを得ることができる。その後、(A)層と(B)層を剥離することで目的とする(A)層のフィルムを得ることができる。なお、この際に多孔質支持体と張り合わせた後剥離しても構わない。
本発明のフィルムにおいてはサーマルヘッド等との融着防止のため、フィルムの延伸前または延伸後、あるいはその途中の工程において、ポリエステルフィルムの片面に離型剤を塗布することができる。塗布方法は特に限定されないが、ロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコーター等を用いて塗布するのが好ましい。
また、塗布する前に必要に応じて、塗布面に空気中あるいは、その他種々の雰囲気中でコロナ放電処理を施してもよい。
また、本発明のポリエステルフィルムにおいて離型剤層に用いる離型剤としては、シリコーンオイル、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、界面活性剤等からなる例えば、下記のものを用いることができるが、以下に示す離型剤が特に好ましい。すなわち、水に溶解、乳化または懸濁する石油系ワックス(a)、植物系ワックス(b)およびオイル状物質(c)の混合物を主成分とする離型剤が特に好適である。ここで、主成分とは上記(a)、(b)および(c)の混合物の占める重量比率が50%以上、好ましくは60%以上であることを言う。ワックス系組成物とは市販の各種のワックス、例えば石油系ワックス、植物系ワックス、鉱物系ワックス、動物系ワックス低分子量ポリオレフィン類などを使用することができ、特に制限されるものではないが、石油系ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ワックスなどを用いることができる。また植物性ワックスとしてはキャンデリラワックス、カルナウバワックス、木ロウ、オリキューリーワックス、さとうきびロウ、ロジン変成ワックスなどを用いることができる。石油系ワックス/植物性ワックスの混合重量比率は10/90〜90/10、好ましくは20/80〜80/20、更に好ましくは30/70〜70/30とするのが好ましい。植物性ワックスを10重量%以上とするのは高温時における易滑性、および離形性の付与、および水に乳化あるいは懸濁させる場合の均一分散性が良好で均一な塗布膜を得るのに好適であることによる。また、上記ワックス系組成物に更にオイル状物質を加えた混合物とした時には印字走行性が特に優れたものとすることができる。ここでオイル状物質とは常温で液体あるいはペースト状のオイルであり、植物油、油脂、鉱物油、合成潤滑油などを用いることができる。植物油としてはアマニ油、カヤ油、サフラー油、大豆油、シナギリ油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヌカ油、綿実油、オリーブ油、サザンカ油、つばき油、ヒマシ油、落花生油、バーム油、椰子油などを用いることができる。油脂としては牛脂、豚油、羊油、カカオ油などであり、鉱物油としてマシン油、絶縁油、タービン油、モーター油、ギヤ油、切削油、流動パラフィンなどを用いることができる。合成潤滑油としては化学大辞典(共立出版社)に記載の要件を満たすものを任意に使用することが出来、例えばオレフィン重合油、ジエステル油、ポリアルキレングリコール油、シリコーン油などを用いることができる。これらの中でも高パルス幅領域での走行性の良好な鉱物油、合成潤滑油が好適である。またこれらの混合系であってよい。
上記オイル状物質は前期ワックス系組成物100重量部に対し1〜100重量部添加するのが好ましく、特に好ましくは3〜50重量部である。オイル状物質が1重量部未満の場合には昇華型プリンターのような高パルス幅領域での走行性が低下する傾向にあり、100重量部を超える場合には逆に低パルス幅領域での走行性が低下する傾向にある。上記範囲とした場合には広範囲のパルス幅のプリンターでスティックが起こらず走行性が良好となり特に好ましい。
上記組成物中には本発明の効果を阻害しない範囲内で各種添加剤を併用することができる。例えば帯電防止剤、耐熱剤、酸化防止剤、有機、無機の粒子、顔料などを用いることができる。
離型剤層の厚みは好ましくは0.005μm以上0.4μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.4μm以下である。離型剤層の厚みが0.4μm以下であれば穿孔時の走行性が良好で、ヘッドの汚染も少ない。
[物性および効果の評価方法]
本発明で用いている各特性は次の方法により測定、評価した。
(1)融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)、昇温結晶化温度(Tcc)の測定
セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計RDC220型を用い、試料を前処理として280℃まで昇温し、280℃で5分間保持した後、液体窒素で急冷した。次いで一旦室温にしてから再度−50℃より昇温速度20℃/分で昇温しDSC曲線を得た。このときのDSC曲線からガラス転移点、発熱曲線のピークの温度として昇温結晶化温度、吸熱曲線のピークの温度として融点を求めた。なお、△Tcgの算出として昇温結晶化温度が観測されない試料については一律に△Tcgは100℃を越えるものと判断した。ここで、樹脂組成物としてではなくフィルムとしての融点を測定する場合、前記した前処理なしでDSC曲線を求め、吸熱曲線のピークを融点とした。
(3)結晶融解エネルギー(△Hu)
DSC曲線の吸熱曲線のピーク面積から求めた。この面積は、昇温することによりベースラインから吸収側にずれ、さらに昇温を続けるとベースラインの位置まで戻るまでの面積であり、溶融開始温度位置から終了位置までを直線で結び、この面積(a)を求める。同じDSCの条件でIn(インジウム)を測定し、この面積(b)を28.5J/gとして次式により求めた。
△Hu=28.5×a/b(J/g)。
(4)中心線平均粗さ(Ra)、最大粗さ(Rt)
JIS−B0601に従って、触針式表面粗さ計を用いて測定した。なお、小坂研究所(株)製、高精度薄膜段差測定器(型式:ET−10)を使用し、触針径円錐型0.5μmR、荷重5mg、カットオフは0.08mmとした。
(5)固有粘度
試料を105℃×20分乾燥した後、0.8±0.005gを秤量し、o−クロロフェノール中で160℃×15分間撹拌して溶解した。冷却後、ヤマトラボティックAVM−10S型自動粘度測定器により25℃における粘度を測定した。
(6)フィルムの厚み(μm)
サンプルの任意の10箇所を断面方向に切り出し電子顕微鏡で倍率2000倍で10枚の写真撮影を行い、フィルムの厚みを測定した。これを10枚の写真について行い、その平均値で表わした。
(7)穿孔特性
作成した原紙を理想科学工業(株)製“RISOGRAPH”GR275に供給して、サーマルヘッド式製版方式(400dpi)により、JIS第1水準の●(丸で中が黒く塗りつぶされたもの)で10mmφのものを原稿として製版した。この際、サーマルヘッドに投入するエネルギーを1ドット当たり50μJと30μJの2通りとした。この状態で穿孔し、走査型顕微鏡で100倍の倍率でフィルムの穿孔部分200個を観察し、穿孔特性を以下の項目で評価した。
A.穿孔感度
◎:穿孔が確実に行われ良好であった
○:ごく一部に穿孔が得られない部分があったが、実用上問題ない
△:所々に穿孔が得られない部分があった×:所定の穿孔が全く得られない
B.独立穿孔性
◎:ドットごとに独立して穿孔されており、良好であった
○:ごく一部にドットごとに独立して穿孔されていない部分があったが、実用上は問題ない
△:所々にドットごとに独立して穿孔されていない部分があった×:隣どうしでドットが連結しているところが多い
(8)印刷鮮明性
理想科学工業(株)製テストチャートNO.8を原稿とし、400dpiのサーマルヘッドを用いて作成した原紙を製版し、黒インキで印刷サンプルを作成し、文字、画像(ベタ印刷)について下記の特性を目視で観察し判定した。
A.文字印刷の鮮明性
○:文字の欠落、太さムラが全くない
△:文字の欠落、太さムラがあるものの実用上問題ない
×:文字の欠落、太さムラがあり、使用不可能
B.ベタ印刷の鮮明性
○:濃淡ムラや白抜けが全くない
△:濃淡ムラや白抜けがあるものの実用上問題ない
×:濃淡ムラや白抜けがあり使用不可能
(9)耐刷性の評価
印刷機でフィルムが破損するまでに刷れる枚数で表した。5000枚以上を◎、1000枚以上を○で実用上問題なく、1000枚未満を×とした。
(10)搬送性(カール)の評価
作製した孔版原紙を50℃で湿度90%RHの恒温恒湿槽中で1週間処理した後、印刷機を用いて原紙の搬送試験を行い、下記の基準で評価した。
○:ややカールがあるものの、良好に搬送できる
△:カールがあるものの、実用上問題なく搬送できる
×:カールが大きく、搬送トラブルが頻発に発生する。
実施例1
主成分となるポリエステルとしてジカルボン酸成分が2、6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、グリコール成分がエチレングリコール/1、6−ヘキサンジオール(モル比:60/40)のものを用いて常法により重合し、含有シリカ粒子として平均粒径1.5μmの粒子を0.5重量%含有させ、固有粘度0.75のポリエステルを得た。
得られたポリエステルを煮沸水中で3時間処理して表面を結晶化させた後、125℃で24時間真空乾燥した。その後、押出機に供給して240℃で溶融し、T型口金よりシート状に静電印加法により25℃のキャスティングドラム上に密着冷却固化せしめ、未延伸フィルムを得た。次いで、未延伸フィルムを85℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸した。次いで90℃に加熱して幅方向に3.7倍に延伸後、100℃で5秒間熱処理を施し、冷却して2.5μmの二軸延伸フィルムを得た。該フィルムの固有粘度は0.70であった。また該フィルムの片面には、ステンター入口部においてワックス系離型剤をバーコーターを用いて乾燥の後の重さで0.1g/m2 塗布した。
得られたフィルムの離型剤未塗布面側に酢酸ビニルを接着剤としてマニラ麻を原料とする天然繊維100%の繊維目付量10g/m2 の和紙と貼り合わせて感熱孔版印刷用原紙を作製した。なお接着剤塗布量は1g/m2 とした。前記した方法に基づき穿孔テスト、印刷テスト、耐刷性および搬送性の評価を実施し、結果を得られたフィルムの特性と共に表1に示した。
比較例1
主成分となるポリエステルとして、ジカルボン酸成分がテレフタル酸ジメチル/イソフタル酸ジメチル(モル比:70/30)、グリコール成分がエチレングリコールのものを用いて常法により重合し、含有シリカ粒子として平均粒径1.5μmの粒子を0.5重量%含有させ、固有粘度0.76のポリエステルを得た。
得られたポリエステルを煮沸水中で3時間処理して表面を結晶化させた後、125℃で24時間真空乾燥した。その後、押出機に供給して280℃で溶融し、T型口金よりシート状に静電印加法により25℃のキャスティングドラム上に密着冷却固化せしめ、未延伸フィルムを得た。次いで、未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸した。次いで95℃に加熱して幅方向に4.0倍に延伸後、100℃で5秒間熱処理を施し、冷却して2.5μmの二軸延伸フィルムを得た。該フィルムの固有粘度は0.72であった。また該フィルムの片面には、ステンター入口部においてワックス系離型剤をバーコーターを用いて乾燥の後の重さで0.1g/m2 塗布した。
得られたフィルムの離型剤未塗布面側に酢酸ビニルを接着剤としてマニラ麻を原料とする天然繊維100%の繊維目付量10g/m2 の和紙と貼り合わせて感熱孔版印刷用原紙を作製した。なお接着剤塗布量は1g/m2 とした。前記した方法に基づき穿孔テスト、印刷テスト、耐刷性および搬送性の評価を実施し、結果を得られたフィルムの特性と共に表1に示した。
実施例2
主成分となるポリエステルとしてジカルボン酸成分が2、6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、グリコール成分がエチレングリコール/ジエチレングリコール(モル比:60/40)のものを用いて常法により重合し、含有シリカ粒子として平均粒径1.5μmの粒子を0.5重量%含有させ、固有粘度0.75のポリエステルを得た。
得られたポリエステルを煮沸水中で3時間処理して表面を結晶化させた後、125℃で24時間真空乾燥した。その後、押出機に供給して240℃で溶融し、T型口金よりシート状に静電印加法により25℃のキャスティングドラム上に密着冷却固化せしめ、未延伸フィルムを得た。次いで、未延伸フィルムを85℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸した。次いで90℃に加熱して幅方向に3.7倍に延伸後、100℃で5秒間熱処理を施し、冷却して2.5μmの二軸延伸フィルムを得た。該フィルムの固有粘度は0.70であった。その他は実施例1と同様にして感熱孔版印刷用原紙を得た。前記した方法に基づき穿孔テスト、印刷テスト、耐刷性および搬送性の評価を実施し、結果を得られたフィルムの特性と共に表1に示した。
実施例3
主成分となるポリエステルとしてジカルボン酸成分がテレフタル酸ジメチル、グリコール成分がエチレングリコール/1、6−ヘキサンジオール(モル比:65/35)のものを用いて常法により重合し、含有シリカ粒子として平均粒径1.5μmの粒子を0.5重量%含有させ、固有粘度0.78のポリエステルを得た。
得られたポリエステルを煮沸水中で3時間処理して表面を結晶化させた後、125℃で24時間真空乾燥した。その後、押出機に供給して240℃で溶融し、T型口金よりシート状に静電印加法により25℃のキャスティングドラム上に密着冷却固化せしめ、未延伸フィルムを得た。次いで、未延伸フィルムを60℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸した。次いで70℃に加熱して幅方向に3.7倍に延伸後、100℃で5秒間熱処理を施し、冷却して2.5μmの二軸延伸フィルムを得た。該フィルムの固有粘度は0.71であった。その他は実施例1と同様にして感熱孔版印刷用原紙を得た。前記した方法に基づき穿孔テスト、印刷テスト、耐刷性および搬送性の評価を実施し、結果を得られたフィルムの特性と共に表1に示した。
比較例6
主成分となるポリエステルとしてジカルボン酸成分が2、6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル/イソフタル酸ジメチル(モル比:60/40)、グリコール成分が1、6−ヘキサンジオールのものを用いて常法により重合し、含有シリカ粒子として平均粒径1.5μmの粒子を0.5重量%含有させ、固有粘度0.84のポリエステルを得た。
得られたポリエステルを煮沸水中で3時間処理して表面を結晶化させた後、125℃で24時間真空乾燥した。その後、押出機に供給して240℃で溶融し、T型口金よりシート状に水の表面張力を利用した密着方法と静電印加法を併用することにより25℃のキャスティングドラム上に密着冷却固化せしめ、未延伸フィルムを得た。次いで、未延伸フィルムを75℃に加熱して長手方向に2.5倍延伸した。次いで90℃に加熱して幅方向に3.0倍に延伸後、100℃で5秒間熱処理を施し、冷却して2.5μmの二軸延伸フィルムを得た。このフィルムはフィルム製造時に破れが多く、生産収率が低下した。該フィルムの固有粘度は0.75であった。その他は実施例1と同様にして感熱孔版印刷用原紙を得た。前記した方法に基づき穿孔テスト、印刷テスト、耐刷性および搬送性の評価を実施し、結果を得られたフィルムの特性と共に表1に示した。
比較例2
主成分となるポリエステルとしてジカルボン酸成分がテレフタル酸ジメチル、グリコール成分が1、6−ヘキサンジオールのものを用いて常法により重合し、含有シリカ粒子として平均粒径1.5μmの粒子を0.5重量%含有させ、固有粘度0.88のポリエステルを得た。
得られたポリエステルを125℃で24時間真空乾燥した。その後、押出機に供給して200℃で溶融し、T型口金よりシート状に水の表面張力を利用した密着方法と静電印加法の併用により25℃のキャスティングドラム上に密着冷却固化せしめ、未延伸フィルムを得た。次いで、未延伸フィルムを60℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸した。次いで80℃に加熱して幅方向に3.7倍に延伸後、100℃で5秒間熱処理を施し、冷却して2.5μmの二軸延伸フィルムを得た。該フィルムの固有粘度は0.80であった。その他は実施例1と同様にして感熱孔版印刷用原紙を得た。前記した方法に基づき穿孔テスト、印刷テスト、耐刷性および搬送性の評価を実施し、結果を得られたフィルムの特性と共に表1に示した。
比較例3
主成分となるポリエステルとしてジカルボン酸成分がテレフタル酸ジメチル/アジピン酸ジメチル(モル比:70/30)、グリコール成分がエチレングリコールのものを用いて常法により重合し、含有シリカ粒子として平均粒径1.5μmの粒子を0.5重量%含有させ、固有粘度0.75のポリエステルを得た。
得られたポリエステルを煮沸水中で3時間処理して表面を結晶化させた後、125℃で24時間真空乾燥した。その後、押出機に供給して240℃で溶融し、T型口金よりシート状に静電印加法により25℃のキャスティングドラム上に密着冷却固化せしめ、未延伸フィルムを得た。次いで、未延伸フィルムを70℃に加熱して長手方向に3.5倍延伸した。次いで75℃に加熱して幅方向に3.7倍に延伸後、100℃で5秒間熱処理を施し、冷却して2.5μmの二軸延伸フィルムを得た。該フィルムの固有粘度は0.72であった。その他は実施例1と同様にして感熱孔版印刷用原紙を得た。前記した方法に基づき穿孔テスト、印刷テスト、耐刷性および搬送性の評価を実施し、結果を得られたフィルムの特性と共に表1に示した。
実施例4、5
フィルムの厚みをそれぞれ0.4μm(実施例4)、4.2μm(実施例5)にした以外は実施例1と同様にして感熱孔版印刷用原紙を得た。前記した方法に基づき穿孔テスト、印刷テストおよび耐刷性の評価を実施し、結果を得られたフィルムの特性と共に表2に示した。また、実施例4のフィルムはフィルム製造時に破れが多く、生産収率が低下した。
比較例7
主成分となるポリエステルとして比較例6のポリエステルを75重量部に対し、比較例1のポリエステル25重量部を125℃で24時間真空乾燥した後ドライブレンドし、押出機に供給して280℃で溶融し、T型口金よりシート状に静電印加法により25℃のキャスティングドラム上に密着冷却固化せしめ、未延伸フィルムを得た。次いで、未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.2倍延伸した。次いで95℃に加熱して幅方向に3.5倍に延伸後、100℃で5秒間熱処理を施し、冷却して2.5μmの二軸延伸フィルムを得た。該フィルムの固有粘度は0.73であった。その他は実施例1と同様にして感熱孔版印刷用原紙を得た。前記した方法に基づき穿孔テスト、印刷テストおよび耐刷性の評価を実施し、結果を得られたフィルムの特性と共に表2に示した。
比較例8
比較例6のポリエステルを60重量%に対し、比較例1のポリエステルを40重量%添加した以外は比較例7と同様にして感熱孔版印刷原紙を得た。前記した方法に基づき穿孔テスト、印刷テストおよび耐刷性の評価を実施した結果を得られたフィルムの特性と共に表2に示した。
実施例6
主成分のポリエステルとして実施例1のポリエステルを125℃で24時間真空乾燥後、75重量部に対し、メルトインデックスが6g/10分であるエチレン含有量が5重量%のエチレン−プロピレン共重合体を25重量部をドライブレンドし、押出機に供給して270℃で溶融し、T型口金よりシート状に静電印加法により25℃のキャスティングドラム上に密着冷却固化せしめ、未延伸フィルムを得た。次いで、未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.2倍延伸した。次いで95℃に加熱して幅方向に4.0倍に延伸後、100℃で5秒間熱処理を施し、冷却して2.5μmの二軸延伸フィルムを得た。その他は実施例1と同様にして感熱孔版印刷用原紙を得た。前記した方法に基づき穿孔テスト、印刷テストおよび耐刷性の評価を実施し、結果を得られたフィルムの特性と共に表2に示した。
比較例4
主成分となるポリエステルとして比較例2のポリエステルを用い、比較例1のポリエステルと重量比で60:40でドライブレンドした以外は、実施例1と同様にして感熱孔版印刷原紙を得た。前記した方法に基づき穿孔テスト、印刷テストおよび耐刷性の評価を実施し、結果を得られたフィルムの特性と共に表2に示した。
比較例5
主成分となるポリエステルとして比較例6のポリエステルを40重量部に対し、比較例1のポリエステルを60重量部を125℃で24時間真空乾燥した後ドライブレンドし、押出機に供給して280℃で溶融し、T型口金よりシート状に静電印加法により25℃のキャスティングドラム上に密着冷却固化せしめ、未延伸フィルムを得た。次いで、未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.2倍延伸した。次いで95℃に加熱して幅方向に3.5倍に延伸後、100℃で5秒間熱処理を施し、冷却して2.5μmの二軸延伸フィルムを得た。その他は実施例1と同様にして感熱孔版印刷用原紙を得た。前記した方法に基づき穿孔テスト、印刷テストおよび耐刷性の評価を実施し、結果を得られたフィルムの特性と共に表2に示した。
Figure 0003838266
Figure 0003838266

Claims (4)

  1. 主たるジカルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸あるいはテレフタル酸、主たるグリコール成分がエチレングリコールであり、融点(Tm)が200℃以下、ガラス転移点(Tg)が50℃以上、昇温結晶化温度(Tcc)とガラス転移点(Tg)との温度差(ΔTcg:Tcc−Tg)が100℃以下であるポリエステルを主成分とする樹脂組成物を二軸延伸したことを特徴とする感熱孔版原紙用フィルム。
    但し、融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)、昇温結晶化温度(Tcc)は、示差走査熱量計を用い、試料を280℃まで昇温し、280℃で5分間保持した後、液体窒素で急冷し、次いで一旦室温にしてから再度−50℃より昇温速度20℃/分で昇温しDSC曲線を得ることにより求める。
  2. エチレングリコールの含有比率がグリコール成分の60モル%以上であることを特徴とする請求項1に記載の感熱孔版印刷原紙用フィルム。
  3. 主成分となるポリエステルが70重量%以上である樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感熱孔版印刷原紙用フィルム。
  4. 樹脂組成物の融点(Tm)が200℃以下、ガラス転移点(Tg)が50℃以上、昇温結晶化温度(Tcc)とガラス転移点(Tg)との温度差(ΔTcg:Tcc−Tg)が100℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱孔版原紙用フィルム。
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