JP4671530B2 - 積層型電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型電子部品に関し、特に、内部電極層を薄層化しても内部電極層と誘電体層との界面接合を改善できる積層型電子部品に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、電子機器の小型化、高密度化に伴い、積層型電子部品、例えば、積層セラミックコンデンサは小型高容量化が求められており、このため誘電体層の薄層化と誘電体層の積層数の増加が図られている。
【0003】
このような積層セラミックコンデンサとしては、内部電極層に関し、例えば、特開2000−243650号公報に開示されるようなものが知られている。この公報に開示された積層セラミックコンデンサでは、内部電極パターンが、平均粒径0.4μm以下の卑金属(Ni)粉末を含む導電性ペーストを用いて、スクリーン印刷法あるいはグラビア印刷法により形成され、焼成後の平均厚みが0.5〜1.5μmの内部電極層、または薄膜形成法あるいは無電解メッキ法により形成され、焼成後の厚みが0.3〜1.0μmの内部電極層と、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体層が交互に所望の層数積層されてなる電子部品本体成形体を作製し、その電子部品本体成形体を大気中200℃以下の温度で乾燥硬化させ、その端面に外部電極ペーストを塗布、乾燥させた後、同時焼成することにより、誘電体層を薄層高積層化した小型高容量の積層セラミックコンデンサを作製することが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示された積層セラミックコンデンサのように、導電性ペーストを用いて薄層の内部電極層を形成した場合には、導電性ペースト中に含まれる有機樹脂の蒸発および金属粉末の焼成収縮により、内部電極層が網目状に形成され、誘電体層上の内部電極層を形成すべき領域を完全には被覆することが困難となり、このため内部電極層の有効面積が低下し、所望の静電容量が得られないという問題があった。
【0005】
また、無電解メッキ膜のみにより内部電極層を形成した場合には、誘電体層上の内部電極層を形成すべき領域をほぼ完全に被覆できることから内部電極層の有効面積を高めることができるものの、内部電極層として形成されている金属膜の表面が高い平滑性を有しているため、誘電体グリーンシートと内部電極パターンとを交互に複数積層し、加圧加熱によって積層成形体を作製した場合に、誘電体グリーンシートと内部電極パターンとの界面が剥離しやすく、焼成後に、内部電極層と誘電体層との接合が弱くなり、デラミネーションが発生しやすいという問題があった。
【0006】
従って、本発明は、内部電極層の有効面積を大きくできるとともに、内部電極層と誘電体層との間の接合性を改善できる積層型電子部品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型電子部品は、誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなる電子部品本体の端面に、前記内部電極層が交互に接続される一対の外部電極をそれぞれ形成してなる積層型電子部品において、前記内部電極層が、厚み0.3〜0.5μmのめっき膜の両表面に凸部を有するとともに、前記誘電体層厚みに対する前記凸部の最大高さが1/12.5〜1/4.2であり、かつ前記凸部の1600μm 2 当たりの密度が200個〜1500個であることを特徴とする積層型電子部品。
【0008】
このような構成によれば、内部電極層がメッキで形成されていることから薄層化した平滑膜が得られ、誘電体層上をほぼ完全に被覆でき、内部電極層の有効面積を大きくできる。また、この平滑なめっき膜の両表面に凸部が単位体積当たりに上記の密度で形成されていることから、この内部電極層に対向して積層される誘電体層に対して、アンカー効果を高めることができ、内部電極層と誘電体層との間の接合性を向上できる。なお、以下、平滑なめっき膜を平滑膜とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(構造)
本発明の積層型電子部品の代表例である積層セラミックコンデンサについて、図1の概略断面図をもとに詳細に説明する。
【0015】
本発明の積層型電子部品は、直方体状の電子部品本体1の両端部に外部電極3を形成して構成されている。
【0016】
外部電極3は、例えば、卑金属であるCuもしくはCuとNiの合金ペーストを焼き付けて形成され、この例では、Cuが使用されている。また、その表面には、図示しないが、例えば、順にNiメッキ層、Snメッキ層もしくはSn−Pb合金メッキ層が形成されている。これらは外部電極3のはんだ食われ防止やはんだ濡れ性を補うものである。
【0017】
電子部品本体1は、内部電極層9と誘電体層11を交互に積層し、さらに、誘電体層11と同一材料からなる絶縁層13を積層して構成されている。
【0018】
内部電極層9は、図2に示すように、誘電体層11のほぼ全面に形成された平滑膜15と、この平滑膜15の両表面に形成された凸部17により構成され、平滑膜15と凸部とは焼結して接合されている。例えば、平滑膜15と凸部17の金属が同じ成分であれば、ほぼ一体化して形成される。
【0019】
内部電極層9を構成している平滑なめっき膜15の厚みは、穴等の内部欠陥を低減するとともに、有効面積を大きくできるという理由から0.3〜0.5μmがよい。
【0020】
また、この内部電極層9の厚みばらつきは、0.1μm以下が望ましく、さらに、例えば、積層セラミックコンデンサの寸法および静電容量を安定化させるという理由から0.05μm以下が望ましい。
【0021】
また、平滑膜15の表面に形成される凸部の形状は、概ね半球状であり、平滑膜の表面から半球状の頂点までの高さhは、誘電体層11厚みの1/12.5〜1/4.2である。これにより、内部電極層同士の接触を無くし、ショートを防止するとともに、誘電体層11中のアンカー効果を高めることができる。
【0022】
また、凸部の1600μm 2 当たりの密度(数)は、内部電極層9の平滑性とアンカー効果を両立させるという理由から、200個〜1500個であるのがよい。
また、本発明の積層型電子部品では、平滑膜の表面粗さ(Ra)が80nm以下であることが望ましい。内部電極層のベース膜となる平滑膜の平滑性を高めることにより、内部電極層の厚みばらつきを低減できるとともに、薄層化しても穴等の内部欠陥が低減され、内部電極層の有効面積を大きくできる。
【0023】
本発明の積層型電子部品に用いる誘電体層11はシート状のセラミック焼結体からなり、例えば、BaTiO3を主成分とする誘電体グリーンシートを焼成して形成した誘電体磁器からなる。
【0024】
誘電体層11の厚みは、凸部が形成された内部電極層9同士の接触を防止するという理由から1.5〜3μmであることが望ましい。
【0025】
(製法)
次に、本発明の積層セラミックコンデンサを製造するための方法について説明する。
本発明の積層型電子部品は、誘電体グリーンシートと内部電極パターンとを交互に積層してなる積層体を作製する工程と、該積層体を切断して電子部品本体成形体を作製する工程と、該電子部品本体成形体を非酸化性雰囲気中で焼成して電子部品本体を作製する工程とを経て得られるものであり、この場合、前記内部電極パターンは、電解メッキにより形成された内部電極膜パターンの表面に、有機樹脂と金属粉末を含有する内部電極凸パターンを形成することにより得ることができる。
【0026】
誘電体材料としては、具体的には、BaTiO3−MnO−MgO−Y2O3等の誘電体粉末と焼結助剤が好適に使用できる。これらの誘電体材料のうち、主原料のBaTiO3粉は、固相法、液相法(シュウ酸塩を経過する方法等)、水熱合成法等により合成されるが、そのうち粒度分布が狭く、結晶性が高いという理由から水熱合成法が好適に用いられる。そして、BaTiO3粉の比表面積は1.7〜6.6(m2/g)が好ましい。
【0027】
このように、大きな比表面積を有する原料粉末を用いて誘電体グリーンシートを形成する方法として、ドクターブレード法、引き上げ法、リバースロールコータ法、グラビアコータ法、スクリーン印刷法が好適に用いられる。薄層化した誘電体グリーンシートを形成するために、特に、ドクターブレード法が用いられている。
【0028】
具体的には、これらの誘電体材料の粉末、有機粘結剤および有機溶媒を含有するセラミックスラリをキャリアフィルム上に塗布し、高速でキャスティングし、乾燥することによって形成される。
【0029】
このような工法で形成された誘電体グリーンシートの厚みは12μm以下であり、特に、積層型電子部品の小型高容量化という理由から1.5〜5μmの範囲に形成されることが望ましい。
【0030】
次に、図3に示すように、この誘電体グリーンシート21の一方主面に内部電極層9と同じパターンの内部電極凸パターン23を形成する。
【0031】
この内部電極凸パターン23は、金属粉末24a、セラミック粉末24bおよび有機樹脂を含む導電性ペーストを用いてスクリーン印刷により形成される。この他に、ドクターブレード法、リバースロールコータ法、グラビアコータ法等も用いることができる。
【0032】
内部電極凸パターン23を形成する導電性ペーストの組成は、金属粉末24aが、35〜45重量%、セラミック粉末24bが4〜7重量%の範囲であり、これらの金属粉末24aとセラミック粉末24bとの固形分100重量部に対し、有機樹脂を4〜10重量部混合することが、金属粉末24aを均一に分散し、アンカー効果を高めるという理由から望ましい。
【0033】
また、この内部電極凸パターン23は、例えば、積層コンデンサのデラミネーション防止や低背化による小型化のために薄くすることが望ましく、その厚みは0.8μm以下が望ましい。特に、内部電極凸パターン23を薄くするとともにアンカー効果によるデラミネーション等を抑制するという理由から0.3〜0.5μmの範囲が望ましい。
【0034】
この内部電極凸パターン23を形成する導体ペーストに用いる金属粉末の平均粒径は、上記のように薄層化した内部電極凸パターン23を形成するために0.4μm以下が望ましく、金属粉末の凝集を抑え且つアンカー効果を高めるという理由から0.1〜0.2μmが望ましい。
【0035】
また、内部電極凸パターン23の高さは金属粉末の粒子径により制御できる。
【0036】
内部電極凸パターン23の金属材料としては、例えば、Ni、Co、Cu等の卑金属が使用され、電子部品本体1を構成する誘電体材料の焼成温度とのマッチング、金属の導電性、および価格の面からNi金属が用いられる。そして、内部電極凸パターン23の金属材料は誘電体材料の焼成温度とのマッチングという理由から平滑膜15となる金属材料と同一の材料を用いることが望ましい。
【0037】
また、この内部電極凸パターン23を形成する導体ペーストに含まれる有機粘結剤は、誘電体グリーンシート21に含まれる有機樹脂との溶解性が高く、誘電体グリーンシート21や内部電極膜パターンとの密着性が高いものが好ましい。
【0038】
また、誘電体層9との接合性を高め、且つ、内部電極凸パターン23の焼成収縮率を制御するために、導体ペースト中には、誘電体層9と同じ組成のセラミック粉末を含有することもできる。
【0039】
次に、内部電極層9を構成する平滑膜15となる内部電極膜パターン39を形成する。先ず、図4(a)に示すように、表面粗さ(Ra)が10nm以下に加工されたステンレス板あるいはチタン板等からなる成膜用の基板プレート27の表面全面に感光性レジスト樹脂を塗布し、内部電極膜パターン39を形成する部分を感光させないようにマスクを当て、露光、現像を行う。その後、未硬化のレジストを洗浄除去することにより、内部電極膜パターン39が形成される部分のレジストが除かれた電解メッキ用のレジストパターン37を形成する。
【0040】
次に、図4(b)に示すように、このレジストパターン37が形成された基板プレート27をNiメッキ液に浸漬し電解メッキを行い、その後、アルカリ洗浄によりマスク部分のレジストパターン37を除去することによって、基板プレート27上にNi金属からなる内部電極膜パターン39が形成される。
【0041】
この内部電極膜パターン39の厚みは、積層型電子部品の小型、高信頼性化という点から1.5μm以下、特には0.3〜0.8μmの範囲であることが望ましい。
【0042】
このように、内部電極膜パターン39を電解メッキを用いて形成することにより、平滑膜15を、例えば、1μm以下に極めて薄くしても穴などの欠陥が殆ど無い均一な厚みを有する内部電極膜パターン39を形成でき、このため平滑膜15の有効面積を大きくでき、静電容量を高く且つ安定化できる。
【0043】
このような電解メッキによるNi金属膜の形成においては、基板プレート27の表面粗さを10nm以下に形成することにより、従来の電解メッキ膜に比較して表面粗さ80nm以下の平滑膜15を形成することが可能となる。
【0044】
この他に、内部電極膜パターン39として圧延金属膜を用いることもでき、こうして空隙の少ない内部電極膜パターン39を直接形成することができる。
【0045】
また、内部電極膜パターン39では、誘電体グリーンシート21や内部電極凸パターン23との密着性を高め、積層圧着後に誘電体グリーンシート21と内部電極膜パターン39と一体化できるようにするために、基板プレート27上に形成された内部電極膜パターン39の表面が粗化されていることが望ましい。その表面粗さは80nm以下であることが好ましい。
【0046】
また、基板プレート27上の内部電極膜パターン39の表面に、誘電体グリーンシート21に含まれる有機粘結剤を溶解する溶媒や有機樹脂からなる密着液を塗布することにより、内部電極膜パターン39と、誘電体グリーンシート21およびこの誘電体グリーンシート21の表面に形成された内部電極凸パターン23との密着性を高めることもできる。
【0047】
次に、図5に示すように、この内部電極膜パターン39が形成された基板プレート27を内部電極凸パターン23が形成された誘電体グリーンシート21の表面に熱圧着転写することにより、誘電体グリーンシート21の主面上に内部電極凸パターン23と内部電極膜パターン39からなる内部電極パターン41が形成される。このとき、内部電極凸パターン23を構成している金属粉末の表面には有機樹脂が被覆され、また、転写する内部電極膜パターン39の表面にも有機樹脂が塗布されていることにより、この内部電極膜パターン39と、内部電極凸パターン23および誘電体グリーンシート21との密着性を高めることができる。
【0048】
他方、基板プレート27上に形成された内部電極膜パターン39の表面に、金属粉末を含有する導体ペーストを塗布して内部電極凸パターン23を形成し、このようにして形成された内部電極パターン41を誘電体グリーンシート21の主面に熱圧着し転写して形成することもできる。
【0049】
このような内部電極パターン41は、上記のように、一旦基板プレート27上に形成した後に誘電体グリーンシート21上に転写する方法の他に、誘電体グリーンシート21上に直接形成することもできる。
【0050】
次に、図6に示すように、内部電極パターン41が形成された誘電体グリーンシート21を複数枚積層し、この上下面に、さらに内部電極パターン41が形成されていない複数の誘電体グリーンシート21を積層し、加熱加圧によって積層体43を作製する。
【0051】
この加熱加圧によって、誘電体グリーンシート21上に塗布された導体ペースト中の金属粉末24aやセラミック粉末24bが内部電極膜パターン39を押圧し、金属粉末24aやセラミック粉末24bが接している側の内部電極膜パターン39が凹状に変形するとともに、その対向する面が凸状に変形することにより内部電極膜パターン39の両面に凸部が形成される。
【0052】
次に、この積層体43を所定の寸法毎に切断して電子部品本体成形体を作製する。
【0053】
次にこの電子部品本体成形体を大気中250〜300℃または酸素分圧0.1〜1Paの低酸素雰囲気中500〜800℃で脱バイした後、非酸化性雰囲気で1250〜1350℃で2〜3時間焼成し、電子部品本体1を作製する。
【0054】
この焼成により、内部電極凸パターン23のセラミック粉末24bが誘電体層11と焼結し一体化するとともに、金属粉末24aが内部電極膜パターン39と接合し、内部電極層9の表面に凸部17を形成できる。
【0055】
さらに、所望の誘電特性を得るために、酸素分圧が0.1〜10-4Pa程度の低酸素分圧下、900〜1100℃で5〜15時間熱処理を施すこともある。
【0056】
次に、この電子部品本体1に外部電極ペーストを塗布、乾燥後、700〜900℃で焼き付けを行い外部電極3を形成する。外部電極3を構成する金属粉末として、卑金属元素から選ばれる少なくとも1種と、焼結助剤として外部電極ペースト中にガラス成分を10〜20重量%含む導電性ペーストを用いることによって、電子部品本体1と外部電極3との接着接合性を高めることができる。
【0057】
ここで外部電極ペーストに用いられるガラスとしては、融点が800℃以上であることが望ましく、例えば、BaO−B2O3−SiO2−ZnO−CaO−Al2O3系からなる耐酸性のガラスフリットであり、粒径は10μm以下で、融点は800℃以上とされている。
【0058】
また、この外部電極3の表面には、例えば、順にNiメッキ層、Snメッキ層もしくはSn−Pb合金メッキ層が形成される。これらのメッキ層は外部電極3のハンダ食われ防止やハンダ濡れ性を補うものである。
【0059】
尚、内部電極層9と外部電極3は必ずしも同一材料から構成される必要はなく、特に、内部電極層9がNi、また、外部電極3がCuからなることが望ましい。
【0060】
(作用)
以上のように構成された積層型電子部品として、例えば、誘電体層11および内部電極層9を薄層化して形成された積層セラミックコンデンサでは、内部電極層9を電解メッキを用いて形成することにより、薄層化しても穴等が無く、有効面積を高めることができ、さらに、この平滑膜15の表面に金属粉末による凸部17を形成することにより、誘電体層11に対するアンカー効果が高まり、内部電極層9と誘電体層11との接合が強くなり、デラミネーションやクラックを抑制し、積層セラミックコンデンサの静電容量を高めることができる。
【0061】
【実施例】
積層型電子部品の一つである積層セラミックコンデンサを以下のようにして作製した。先ず、BaTiO399.5モル%とMnO0.5モル%とからなる組成物100モル%に対して、Y、Mgの各酸化物を所定量配合し、ZrO2ボールを用いたボールミルにて湿式粉砕した。次に、ポリビニルブチラール系の有機粘結剤、フタル酸エステル系の可塑剤、分散剤、およびトルエン溶媒を所定量混合し、振動ミルを用いて、粉砕、混練し、スラリーを調製した後、ダイコーターにより、ポリエステルよりなるキャリアフィルム上に厚み2.4μmの誘電体グリーンシートを作製した。
【0062】
次に、表面粗さ(Ra)を10nm以下に調整されたステンレス製の基板プレートの表面に感光性レジスト樹脂を塗布し、内部電極膜パターンを形成する部分を感光させないようにマスクを当て、露光、現像を行い、その後、未硬化のレジストを洗浄除去することにより、内部電極層が形成される部分のレジストが除かれた電解メッキ用のレジストパターンを形成した。
【0063】
次に、このレジストパターンが形成された基板プレートをNiメッキ液に浸漬した状態で電解メッキを行い、厚み0.3〜0.8μmのNi金属膜を形成し、その後、アルカリ洗浄によりマスク部分の感光性樹脂の除去を行うことによって、基板プレート上に内部電極層となる内部電極膜パターンを形成した。
【0064】
次に、平均粒径が約0.2μm、0.4μm、および0.6μmのNi粉末をそれぞれ所望の凸部高さに応じて適用し、このNi粉末に対して、誘電体粉末、エチルセルロース、および有機ビヒクルを加えて、3本ロールで混練して導体ペーストを作製し、誘電体グリーンシートの一方主面に、スクリーン印刷装置を用いて、上記した導体ペーストを印刷し、表1に示す最大高さを有するような内部電極凸パターンを形成した。そして、内部電極層9に形成される凸部17の面密度はNi金属粉末の混合量によって制御し、この場合、表1に示す数密度になるように調整した。
【0065】
比較例として、内部電極パターンを、0.6μmのNi粉末を用いて調製した導体ペーストの印刷のみを用いて形成した試料と、電解メッキ膜のみで形成した試料を作製した。
【0066】
この後、基板プレート上に形成したNi金属膜からなる内部電極膜パターンを80℃、80kg/cm2の条件で内部電極凸パターンが形成された誘電体グリーンシート上に熱圧着転写し、誘電体グリーンシート上に内部電極膜パターンを形成した。
【0067】
次に、この内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを400枚積層し、さらにこの上下層に内部電極パターンを形成していない誘電体グリーンシートをそれぞれ10枚積層した後、温度100℃、圧力200kgf/cm2の条件での積層プレスにより積層体を作製した。
【0068】
この後、この積層体を格子状に切断して、電子部品本体成形体を得た。
【0069】
次に、この電子部品本体成形体を大気中300℃または酸素分圧0.1〜1Paの低酸素雰囲気中500℃で脱バイした後、酸素分圧10-7Paの非酸化性雰囲気中1300℃で2時間焼成し、さらに、酸素分圧が0.01Paの低酸素分圧下1000℃で10時間の再酸化処理を施し、電子部品本体1を得た。
【0070】
最後に、このようにして得られた電子部品本体1に対し、内部電極層9が露出した各端面にガラス粉末を含んだCuペーストを塗布した後、窒素雰囲気中、900℃で焼き付けを行った。その後、Niメッキ層およびSnメッキ層を形成し、内部電極層と電解的に接続された外部電極を形成して積層セラミックコンデンサを作製した。
【0071】
このようにして得られた積層セラミックコンデンサの外形寸法は、おおよそ幅1.25mm、長さ2.0mm、厚さ1.25mmであり、内部電極層9間に介在する誘電体層の厚みは2〜2.5μmであった。
【0072】
次に、焼成して得られた積層セラミックコンデンサについて、各100個の試料について、静電容量、ショート率、耐電圧の測定を行った。静電容量値は1Vrms、1kHzの条件で測定した。この静電容量を測定の際ショートした個数によりショート率を算出した。耐電圧はKIKUSUIDSM8103を用いて測定した。その測定結果を表1に示す。
【0073】
次に、この積層セラミックコンデンサを断面研磨して電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影した写真からデラミネーション、誘電体層の厚み、内部電極層を構成している平滑膜の厚み、凸部の最大高さ、ならびに内部電極層1層の単位面積あたりの凸部数を評価した。この内部電極層1層の単位面積当たりの凸部数は、予め、断面観察により単位長さ当たりの凸部数を測定し、この数値を自乗して求めた。また、平滑膜の表面粗さは電解メッキ直後のメッキ膜の表面を原子間力顕微鏡を用いて測定した。
【0074】
【表1】
【0075】
表1の結果から明らかなように、本発明の試料No.4〜10では、ショート率が無く、静電容量が9.4μF以上、静電容量のばらつきが0.573μF以下、耐電圧が100V以上でデラミネーションが無かった。
【0076】
この場合、内部電極層の凸部の高さを増加させた試料No.6〜8では、凸部の高さの増加に伴い静電容量のばらつきが低下した。また、凸部高さを一定とし、凸部の単位面積当たりの数密度を増加させた試料No.7、9〜11においては、静電容量のばらつきがさらに低下した。
【0078】
一方、内部電極層が、導電性ペーストのスクリーン印刷により内部電極層の厚みを0.7μmに形成した試料No.1では、内部電極パターンの焼成収縮により内部電極層の有効面積が著しく減少し、静電容量が得られなかった。
また、誘電体層の厚みを2μmとした試料No.12においては耐電圧が98Vと低かった。
【0079】
また、内部電極層が電解メッキで形成された平滑膜のみで形成された試料No.13では、内部電極層と誘電体層との接合が弱く、このため積層セラミックコンデンサにデラミネーションが多発し、静電容量のばらつきが大きかった。
【0080】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、内部電極層の有効面積を大きくできるとともに、極めて薄くした内部電極層であっても誘電体層に対するアンカー効果が高まり、内部電極層と誘電体層との接合を向上でき、デラミネーションおよびクラックならびにショートを無くすことができるとともに、静電容量の低下とそのばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型電子部品の概略断面図である。
【図2】本発明の内部電極層の凸部構造を示す斜視図である。
【図3】誘電体グリーンシート上に形成された内部電極凸パターンの概略断面図である。
【図4】(a)は基板プレート上に形成されたレジストパターンを示す概略断面図、(b)は基板プレート上に形成された内部電極膜パターンを示す概略断面図である。
【図5】誘電体グリーンシート上に内部電極凸パターンとともに転写積層された内部電極膜パターンを示す概略断面図である。
【図6】内部に内部電極パターンが形成された積層体を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 電子部品本体
3 外部電極
9 内部電極層
11 誘電体層
15 平滑膜
17 凸部
21 誘電体グリーンシート
41 内部電極パターン
43 積層体
Claims (1)
- 誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなる電子部品本体の端面に、前記内部電極層が交互に接続される一対の外部電極をそれぞれ形成してなる積層型電子部品において、前記内部電極層が、厚み0.3〜0.5μmのめっき膜の両表面に凸部を有するとともに、前記誘電体層厚みに対する前記凸部の最大高さが1/12.5〜1/4.2であり、かつ前記凸部の1600μm 2 当たりの密度が200個〜1500個であることを特徴とする積層型電子部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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