JP4548897B2 - 導電性ペーストおよび積層型電子部品並びにその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性ペーストおよび積層型電子部品並びにその製法に関し、特に、Niを主成分とする導電性ペースト、およびNiを主成分とする内部電極層を用いた積層型電子部品並びにその製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、積層型電子部品としては、積層セラミックコンデンサ、積層型圧電アクチュエータ、圧電トランス等が知られており、そのうち積層セラミックコンデンサについては、従来、誘電体層と内部電極層とが交互に積層され、各誘電体層が内部電極層によって各々挟持されたコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の両端部に形成された外部端子とから構成されている。
【0003】
近年、各種電子部品に対しては、軽量小型化の要求がより厳しくなり、その要求を満足するために積層セラミックコンデンサにあっては、比誘電率の高い誘電体材料を用いること、誘電体層および内部電極の厚みを薄くしてさらに多層化を進めること等が行われている。
【0004】
近年の積層セラミックコンデンサにおいては、Niなどの卑金属を内部電極として用いることが行われているが、Ni等の卑金属類は一般に低い平衡酸素分圧を有するため、大気中、高温にて焼成すると酸化物が形成され、導電性が低下するという問題がある。したがって焼成は卑金属が酸化されない非酸化性雰囲気で行わなければならない。
【0005】
そして、このような非酸化性雰囲気での焼成により誘電体層が還元されるが、この還元された誘電体層の誘電特性を向上させるため、酸化処理(再酸化処理)することが行われている。
【0006】
このような卑金属を内部電極とする従来の積層セラミックコンデンサの製法は、一般に、Ni粉末を含有する内部電極パターンと、有機バインダを含有する誘電体層成形体を複数交互に積層し、コンデンサ本体成形体を作製し、これを大気中300〜400℃程度で脱有機バインダ処理(以下、脱バイという。)した後、非酸化性雰囲気で焼結してコンデンサ本体を作製し、このコンデンサ本体を焼成温度よりも少々低い温度で酸化処理し、この後、コンデンサ本体の両端部に外部端子を形成することにより作製されていた。
【0007】
しかしながら、従来の製法では、Ni粉末を含有する内部電極パターンが形成されたコンデンサ本体成形体を、大気中300〜400℃程度で脱バイした後、還元雰囲気中で焼成を行うと脱脂が不十分となり易く、その結果、得られた積層セラミックコンデンサの焼結性が低下し、クラック等の構造欠陥が発生し易くなるという問題があった。
【0008】
また、還元雰囲気中で焼成を行うため、誘電体層成形体に耐還元性材料を用いても得られた積層セラミックコンデンサに構造欠陥が発生し易く、その結果、高温負荷試験において絶縁抵抗が劣化してしまうという問題があった。
【0009】
従来、このような問題を解決するために、特開平6−196352号公報では、脱脂工程、焼成工程、酸化処理工程(酸素欠陥補充ゾーン)での酸素分圧の範囲を規定することにより、クラックの発生や絶縁抵抗の劣化を抑制することが行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
近年においては、小型高容量化のため、誘電体層を薄層化することが行われており、誘電体層が3μm以下とした積層セラミックコンデンサも開発されている。しかしながら、誘電体層が同様な焼結状態であれば、誘電体層が薄くなればなる程、酸素空孔の誘電体層に占める割合は増加し、誘電体層の絶縁抵抗が劣化し、上記公報に開示された方法では対応できなくなっている。
【0011】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、誘電体層を薄層化した場合でも絶縁抵抗の劣化を抑制できる導電性ペーストおよび積層型電子部品並びにその製法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の導電性ペーストは、Ni粉末を主成分とし、Cr粉末を含有する導電性ペーストであって、前記Cr粉末を、全金属成分中0.0001〜0.01重量%含有することを特徴とする。さらにCo粉末を全金属成分中0.001〜0.05重量%含有することが望ましい。
【0013】
本発明の導電性ペーストではCr粉末を所定量含有したので、この導電性ペーストを用いて形成された内部電極パターンと、誘電体層成形体とを交互に積層してなる電子部品本体成形体を作製し、該電子部品本体成形体を還元雰囲気中で焼成して電子部品本体を作製し、この電子部品本体を酸化処理すると、内部電極パターン中の金属Crは、焼成段階では内部電極層中に金属Crとして存在しており、焼結には殆ど寄与しないが、焼成後の焼結体の酸化処理により内部電極中の金属Crが酸化され、酸化クロムとなって誘電体層中に拡散固溶し、酸化クロムの酸化数が減少し、これにより、誘電体層中の酸素空孔を補償し、絶縁抵抗の劣化を抑制できる。
【0014】
このような酸素空孔減少効果は、導電性ペースト中にCo粉末を全金属成分中0.001〜0.05重量%含有することにより、さらに向上できる。
【0015】
また、導電性ペースト中にCr粉末を所定量含有することにより、脱バイ時にCrが酸化され、その酸化クロムの酸素により有機物の分解、除去を促進でき、脱バイ性を向上し、積層セラミックコンデンサの焼結性を向上でき、これにより、クラック等の構造欠陥を抑制できる。
【0016】
上記のような製法の結果、本発明の積層型電子部品は、Niを主成分とする内部電極層と誘電体層とを交互に積層してなる電子部品本体と、前記内部電極層に電気的に接続する外部端子とを具備する積層型電子部品であって、前記誘電体層中にCrを金属換算で0.000025〜0.0025重量%含有するものとなる。
【0017】
また、積層型電子部品では、前記誘電体層の厚みが3μm以下であることが望ましい。特に、誘電体層が3μm以下と薄くなればなるほど、誘電体層中の酸素空孔濃度が高くなるため、本発明は、このような誘電体層厚みが3μm以下の積層型電子部品への適用が効果的である。
本発明の積層型電子部品の製法は、誘電体層成形体と内部電極パターンとを交互に積層してなる電子部品本体成形体を作製する工程と、該電子部品本体成形体を還元雰囲気中で焼成して、電子部品本体を作製する工程と、該電子部品本体を酸化処理する工程とを具備する積層型電子部品の製法であって、前記内部電極パターンを、前記導電性ペーストにより作製することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
積層型電子部品としては、積層セラミックコンデンサ、積層型圧電アクチュエータ、圧電トランス等があるが、本発明を積層セラミックコンデンサに適用した例について説明する。
【0019】
本発明の積層セラミックコンデンサからなる積層型電子部品は、図1に示すように、Niを主成分とする内部電極層1と誘電体層3とを交互に積層してなる電子部品本体5と、内部電極層1に電気的に交互に接続する外部端子7とから構成されている。そして、誘電体層3中にはCrを金属換算で0.000025〜0.0025重量%、特には0.0005〜0.00125重量%含有している。また、誘電体層3中には、さらにCoを金属換算で0.0125重量%以下、特には0.0025〜0.0125重量%含有することが望ましい。
【0020】
内部電極層1はNiを主成分とするもので、Niと、他の金属、例えばCuとの合金であっても良い。また、誘電体層3は、非還元性を有する誘電体であれば良いが、特に、BaTiO3を主成分とし、MgO、MnO2、Y2O3等の希土類元素酸化物を含有するものが望ましい。
【0021】
誘電体層3には、図2に示すようにCrが酸化クロムとして拡散しており、内部電極層1中には存在していない。尚、図2では、誘電体層3中の酸化クロムを点で表した。本発明の誘電体層3の厚みは3μm以下とされているが、このように誘電体層3が薄くなればなるほど、誘電体層3中の酸素空孔濃度が高くなるため、酸素空孔を補償する本発明が有効になる。
【0022】
このような積層セラミックコンデンサは、Ni粉末を主成分とし、Cr粉末を全金属成分中0.0001〜0.01重量%含有する導電性ペーストを用いて形成された内部電極パターンと、誘電体層成形体とを交互に積層した電子部品本体成形体を作製し、このコンデンサ本体成形体を還元雰囲気中で焼成してコンデンサ本体を作製し、該コンデンサ本体を酸化処理することにより得られる。
【0023】
即ち、本発明の導電性ペーストは、Ni粉末を主成分とし、Cr粉末を全金属成分中0.0001〜0.01重量%含有するものである。このようにCr粉末を全金属成分中0.0001〜0.01重量%含有するものとしたのは、0.01重量%よりも多いと、内部電極パターン中のCrが、焼結後の酸化処理によっても誘電体層中に拡散しきれず、内部電極層中に残存し、これにより内部電極層中のNi粒子間の接続が悪くなり、内部電極層の導通抵抗が増大し、容量が低下してしまうからである。また、導電性ペースト中の金属粉末同士の凝集が起こり易く、金属粉末の分散性が低下するからである。さらにNi粉末の分散に必要な有機バインダの量が多くなり、脱バイが困難となるからである。
【0024】
Cr粉末の全金属成分中に占める割合は、上記した点、および積層セラミックコンデンサの酸化処理工程において酸素空孔を十分補充し、高温負荷試験における絶縁抵抗の劣化を防止するという点から0.002〜0.005重量%含有することが望ましい。
【0025】
また、導電性ペースト中には、さらにCo粉末を全金属成分中0.001〜0.05重量%含有することが望ましい。このようなCo粉末についても、上記Cr粉末と同様の効果があり、このようなCo粉末を所定量含有せしめることにより、さらに誘電体層の酸素空孔減少効果を大きく発揮でき、絶縁抵抗の劣化を抑制できる。
【0026】
このようなCo粉末は、内部電極層の導通抵抗の増大を抑制し、金属粉末の分散性の悪化を防止し、脱バイを良好にするとともに、積層セラミックコンデンサの酸化処理工程において酸素空孔を十分補充するという点から、全金属成分中0.001〜0.03重量%含有することが望ましい。
【0027】
導電性ペースト中のNi粉末の形状には、球状、フレーク状、突起状あるいは不定形があり、特に限定するものでないが、内部電極層のNi充填性を高める点で球状であることが望ましい。Ni粉末の平均粒径は、内部電極層の薄層化と厚みバラツキを低減するという理由から、比表面積径として求めた値(BET値)で0.05〜0.8μmであることが望ましい。
【0028】
また、本発明の導電性ペースト中には、セラミックグリーンシートの表面に塗布し、同時焼成する場合において、共材としてセラミックグリーンシートと同じ材質の原料粉末を所定量添加しても良く、これによりグリーンシートとの密着性を向上するとともに、セラミックスと導体との焼成による収縮率および熱膨張係数を近似させることができる。
【0029】
このような導電性ペーストは、金属粉末40〜50重量%と、有機物成分50〜60重量%とを混合し、3本ロール等により混練することにより、導電性ペーストが得られる。有機物成分としては、ペースト化するための各種樹脂や溶剤あるいは粒子の凝集や分散不良を防止するための分散材等が種々含有される。
【0030】
溶剤は用いる有機バインダー樹脂と相溶するものであれば特に限定されるものではなく、例えば炭化水素類、アルコール類等が使用できる。
【0031】
次に、本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。まず、耐還元性を有する誘電体材料からなる誘電体粉末を用いて、ドクターブレード法、引き上げ法、リバースロールコータ法、グラビアコータ法、スクリーン印刷法、グラビア印刷等の成形法によりシート状の誘電体成形体を作製する。
【0032】
耐還元性を有する誘電体材料としては、具体的には、BaTiO3−MnO−MgO−Y2O3等が好適に使用できる。また、このシート状の誘電体成形体の厚みは、小型、大容量化という理由から0.5〜10μm、特に、厚み4μm以下であることが望ましい。
【0033】
次に、このシート状の誘電体成形体の表面に、上述した導電性ペーストを内部電極パターン状にスクリーン印刷法により塗布する。内部電極パターンの厚みは、コンデンサの小型、高信頼性化という点から2μm以下、特には1μm以下であることが望ましい。
【0034】
そして、導電性ペーストが塗布されたシート状の誘電体成形体を複数枚積層圧着し、この積層成形体を大気中250〜300℃または酸素分圧0.1〜1Paの低酸素雰囲気中500〜800℃で脱バイした後、非酸化性雰囲気で1100〜1200℃で2〜3時間焼成し、電子部品本体を作製する。
【0035】
さらに、所望の誘電特性を得るために、酸素分圧が0.1〜10-4Pa程度の低酸素分圧下、900〜1100℃で3〜10時間再酸化処理を施すことにより、還元された誘電体層が酸化され、良好な絶縁特性を有する誘電体層となる。
【0036】
焼成は非酸化性雰囲気中で行われるため、導電性ペースト中のCrは焼成段階では内部電極中に金属Crとして存在しており、焼結には殆ど寄与しないが、焼結後の酸化処理により内部電極中の金属Crが酸化され、酸化クロムとなって誘電体層中に均一に拡散固溶し、酸化クロムの酸化数が減少し、誘電体層中の酸素空孔を補償し、酸素空孔が減少するので絶縁抵抗の劣化を抑制できる。
【0037】
最後に、得られた焼結体(電子部品本体)の両端部に、端子ペーストを塗布し、内部電極と電気的に接続された外部端子を形成し、積層セラミックコンデンサが作製される。
【0038】
以上のような導電性ペーストを用いて形成された内部電極パターンと、誘電体成形体とを交互に積層して電子部品本体成形体を作製し、非酸化性雰囲気中において焼成し、この後、酸化処理すると、この酸化処理により内部電極中の金属Crが酸化され、酸化クロムとなって誘電体層中に均一に拡散固溶し、酸化クロムの酸化数が減少して誘電体層中の酸素空孔を減少し、絶縁抵抗の劣化を抑制できる。
【0039】
また、導電性ペースト中に含有されるCr粉末は全金属成分中0.0001〜0.01重量%であるため、積層セラミックコンデンサを作製した場合に、Crは酸化クロムとなって誘電体層中に完全に拡散し、内部電極層中には残存していないため、Ni粒子間の接続が良好である。また、導電性ペースト中の金属粉末同士の凝集が起こり難く、このためNi粉末の分散に必要な分散剤の量を少なくでき、脱バイを良好に行うことができ、積層セラミックコンデンサの焼結性を向上して、クラック等の構造欠陥を防止できる。
【0040】
【実施例】
まず、PETフィルム上に、BaTiO3、MgCO3、MnCO3およびY2O3粉末、ブチラール樹脂、およびトルエンからなるセラミックスラリーを作製し、これをドクターブレード法により塗布し、乾燥機内で60℃で15秒間乾燥後、これを剥離して厚み9μmのセラミックグリーンシートを形成し、これを10枚積層して端面セラミックグリーンシート層を形成した。そして、これらの端面セラミックグリーンシート層を、90℃で30分の条件で乾燥させた。
【0041】
この端面セラミックグリーンシート層を台板上に配置し、プレス機により圧着して台板上にはりつけた。
【0042】
一方、PETフィルム上に、上記と同一のセラミックスラリーをドクターブレード法により塗布し、60℃で15秒間乾燥後、厚み4μmのセラミックグリーンシートを多数作製した。
【0043】
次に、平均粒径0.2μmのNi粉末と、平均粒径0.05μmのCr粉末、平均粒径0.1μmのCo粉末の合量45重量%に対して、エチルセルロース5.5重量%とオクチルアルコール94.5重量%からなるビヒクル55重量%を3本ロールで混練して内部電極ペーストを作製した。
【0044】
この後、得られたセラミックグリーンシートの一方主面に、スクリーン印刷装置を用いて、上記した内部電極ペーストを内部電極パターン状に印刷し、グリーンシート上に長辺と短辺を有する長方形状の内部電極パターンを複数形成し、乾燥後、剥離した。
【0045】
この後、端面セラミックグリーンシート層の上に、内部電極パターンが形成されたグリーンシートを400枚積層し、この後、端面セラミックグリーンシートを積層し、コンデンサ本体成形体を作製した。
【0046】
次に、コンデンサ本体成形体を金型上に載置し、積層方向からプレス機の加圧板により圧力を段階的に増加して圧着し、この後さらにコンデンサ本体成形体の上部にゴム型を配置し、静水圧成形した。
【0047】
この後、このコンデンサ本体成形体を所定のチップ形状にカットし、大気中300℃または0.1Paの酸素/窒素雰囲気中500℃に加熱し、脱バイを行った。さらに、10-7Paの酸素/窒素雰囲気中、1300℃で2時間焼成し、さらに、10-2Paの酸素/窒素雰囲気中にて1000℃で再酸化処理を行い、電子部品本体を得た。焼成後、電子部品本体の端面にCuペーストを900℃で焼き付け、さらにNi/Snメッキを施し、内部電極と接続する外部端子を形成した。
【0048】
このようにして得られた積層セラミックコンデンサの外形寸法は、幅1.25mm、長さ2.0mm、厚さ1.25mmであり、内部電極間に介在する誘電体層の厚みは3μmであった。また誘電体層の有効積層数は400層であった。
【0049】
各サンプルに付いて、下記の測定を行った。結果を表1に示す。
【0050】
絶縁抵抗計を用いて10Vの直流電圧を1分間印可して、25℃での絶縁抵抗(IR)を測定した。
【0051】
高温負荷試験では各試料30個を準備し、温度125℃にて、16Vを負荷して、絶縁抵抗の経時変化を測定した。故障判定基準としては、絶縁抵抗が初期値より2桁低下した時点とし、その結果をもとに平均寿命(平均故障時間)を算出した。
【0052】
測定電圧1Vで初期容量C0を測定し、次いで1V/μmの直流電界を25℃にて1000時間印可した後、無負荷状態で室温にて24時間放置し、エージンク処理を行った。放置後に容量を測定し、初期容量C0から変化量ΔC1を求めて、容量変化率ΔC1/C0を算出した。
【0053】
【表1】
【0054】
この表1の結果から、本発明の範囲外の試料5、6では、絶縁抵抗の低下と高温負荷試験での初期故障はないが、容量のDCエージングにおいて20%以上の容量の低下がみられた。また、試料5、6についてICP発光分光分析により分析したところ、誘電体層中にCr、Coが酸化クロム、酸化コバルトとして存在するとともに、内部電極層中にも酸化クロム、酸化コバルトとして存在していた。これにより、内部電極層中の導通抵抗が大きくなり、容量が低下した。
【0055】
一方、本発明の試料では、内部電極層中にはCr、Coが存在せず、酸化クロム、酸化コバルトとして誘電体層中に存在していた。また、導電性ペースト中に添加されるCr量を増加するにつれて、絶縁抵抗が大きくなり、平均故障時間が延びることが判る。即ち、10Vでの絶縁抵抗は100MΩ以上あり、絶縁抵抗の劣化の発生がなく、高温負荷試験での初期故障もない信頼性の高い積層コンデンサを得ることができた。
【0056】
尚、比較例としてCrを添加しない導電ペーストを用いた試料を作製したところ、絶縁抵抗が30MΩ、平均故障時間が1時間未満となり、絶縁抵抗が大きく劣化した。
【0057】
また、グリーンシートの厚みを3μmとする以外は上記と同様にして、厚みが2μmの誘電体層を有する積層セラミックコンデンサを作製し、上記と同様にして特性を評価したところ、グリーンシートの厚みが4μmの場合と同様の効果が得られることを確認した。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、Ni粉末を主成分とし、Cr粉末を全金属成分中0.0001〜0.01重量%含有する導電性ペーストを用いて形成された内部電極パターンと、誘電体層成形体とを交互に積層して電子部品本体成形体を作製し、この電子部品本体成形体を還元雰囲気中で焼成して電子部品本体を作製し、この電子部品本体を酸化処理すると、内部電極パターン中の金属Crは、焼成段階では内部電極層中に金属Crとして存在しており、焼結には殆ど寄与しないが、焼成後の焼結体の酸化処理により内部電極中の金属Crが酸化され、酸化クロムとなって誘電体層中に拡散固溶し、酸化クロムの酸化数が減少し、これにより、誘電体層中の酸素空孔を補償し、絶縁抵抗の劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型電子部品を示す断面図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・内部電極層
3・・・誘電体層
5・・・電子部品本体
7・・・外部端子
Claims (5)
- Ni粉末を主成分とし、Cr粉末を含有する導電性ペーストであって、前記Cr粉末を、全金属成分中0.0001〜0.01重量%含有することを特徴とする導電性ペースト。
- Co粉末を全金属成分中0.001〜0.05重量%含有することを特徴とする請求項1記載の導電性ペースト。
- Niを主成分とする内部電極層と誘電体層とを交互に積層してなる電子部品本体と、前記内部電極層に電気的に接続する外部端子とを具備する積層型電子部品であって、前記誘電体層中にCrを金属換算で0.000025〜0.0025重量%含有することを特徴とする積層型電子部品。
- 前記誘電体層の厚みが3μm以下であることを特徴とする請求項3記載の積層型電子部品。
- 誘電体層成形体と内部電極パターンとを交互に積層してなる電子部品本体成形体を作製する工程と、該電子部品本体成形体を還元雰囲気中で焼成して、電子部品本体を作製する工程と、該電子部品本体を酸化処理する工程とを具備する積層型電子部品の製法であって、前記内部電極パターンを、請求項1または2記載の導電性ペーストにより作製することを特徴とする積層型電子部品の製法。
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