JP4670179B2 - 複数の強磁性相を有する永久磁石およびその製造方法 - Google Patents

複数の強磁性相を有する永久磁石およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種モータやアクチュエータに好適に使用される永久磁石の製造方法に関し、特に複数の強磁性相を有する鉄基希土類合金磁石の製造方法に関している。
【0002】
【従来の技術】
近年、家電用機器、OA機器、および電装品等において、より一層の高性能化と小型軽量化が要求されている。そのため、これらの機器に使用される永久磁石については、磁気回路全体としての性能対重量比を最大にすることが求められており、例えば残留磁束密度Brが0.5T(テスラ)以上の永久磁石を用いることが要求されている。しかし、従来の比較的安価なハードフェライト磁石によっては、残留磁束密度Brを0.5T以上にすることはできない。
【0003】
現在、0.5T以上の高い残留磁束密度Brを有する永久磁石としては、粉末冶金法によって作製されるSm−Co系磁石が知られている。Sm−Co系磁石以外では、粉末冶金法によって作製されるNd−Fe−B系磁石や、液体急冷法によって作製されるNd−Fe−B系急冷磁石が高い残留磁束密度Brを発揮することができる。前者のNd−Fe−B系磁石は、例えば特開昭59−46008号公報に開示されており、後者のNd−Fe−B系急冷磁石は例えば特開昭60−9852号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Sm−Co系磁石は、原料となるSmおよびCoのいずれもが高価であるため、磁石価格が高いという欠点を有している。
【0005】
Nd−Fe−B系磁石の場合は、安価なFeを主成分として(全体の60重量%〜70重量%程度)含むため、Sm−Co系磁石に比べて安価ではあるが、その製造工程に要する費用が高いという問題がある。製造工程費用が高い理由のひとつは、含有量が全体の10原子%〜15原子%程度を占めるNdの分離精製や還元反応に大規模な設備と多大な工程が必要になることである。また、粉末冶金法による場合は、どうしても製造工程数が多くなる。
【0006】
これに対し、液体急冷法によって製造されるNd−Fe−B系急冷磁石は、溶解工程→液体冷却工程→熱処理工程といった比較的簡単な工程で得られるため、粉末冶金法によるNd−Fe−B系磁石に比べて工程費用が安いという利点がある。しかし、液体急冷法による場合、バルク状の永久磁石を得るには、急冷合金から作製した磁石粉末を樹脂と混ぜ、ボンド磁石を形成する必要があるので、成形されたボンド磁石に占める磁石粉末の充填率(体積比率)は高々80%程度である。また、液体急冷法によって作製した急冷合金は、磁気的に等方性である。
【0007】
以上の理由から、液体急冷法を用いて製造したNd−Fe−B系急冷磁石は、粉末冶金法によって製造した異方性のNd−Fe−B系焼結磁石に比べてBrが低いという問題を有している。
【0008】
Nd−Fe−B系急冷磁石の特性を改善する手法としては、特開平1−7502号公報に記載されているように、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、およびWからなる群から選択された少なくとも一種の元素と、Ti、V、およびCrからなる群から選択された少なくとも一種の元素とを複合的に添加することが有効である。このような元素の添加によって、保磁力HcJと耐食性とが向上するが、残留磁束密度Brを改善する有効な方法は、ボンド磁石の密度を向上すること以外に知られていない。
【0009】
Nd−Fe−B系磁石の場合、希土類元素の濃度が比較的に低い組成、すなわち、Nd3.8Fe77.219(原子%)の近傍組成を持ち、Fe3B型化合物を主相とする磁石材料が提案されている(R. Coehoorn等、J. de Phys, C8,1998, 669〜670頁)。この永久磁石材料は、液体急冷法によって作製したアモルファス合金に対して結晶化熱処理を施すことにより、軟磁性であるFe3B相および硬磁性であるNd2Fe14B相が混在する微細結晶集合体から形成された準安定構造を有しており、「ナノコンポジット磁石」と称されている。ナノコンポジット磁石については、例えば、金清ら, 日本応用磁気学会誌, Vol. 24 (2000) 196、E. F. Kneller et. al., IEEE Transaction Magnetics, Vol. 27, (1991) 3588、Z. Chen, et. al. Journal of Alloys and Compound, Vol. 287 (1999) 227、R. Coehoorn et. al. Journal of Magnetism and Magnetics Materials, Vol. 80 (1989) 101、L. Withanawasam et. al. Journal of Applied Physics, Vol. 76 (1994) 7065などにも報告されている。
【0010】
このようなナノコンポジット磁石については、1T以上の高い残留磁束密度Brを有することが報告されているが、その保磁力HcJは160kA/m〜240kA/mと比較的低い。そのため、この永久磁石材料の使用は、磁石の動作点が1以上になる用途に限られている。
【0011】
また、ナノコンポジット磁石の原料合金に種々の金属元素を添加し、磁気特性を向上させる試みがなされているが(特開平3-261104号公報、米国特許4,836,868号、特開平7−122412号公報、国際出願の国際公開公報WO003/03403、W.C.Chan, et.al. "THE EFFECTS OF REFRACTORY METALS ON THE MAGNETIC PROPERTIES OF α-Fe/R2Fe14B-TYPE NANOCOMPOSITES", IEEE, Trans. Magn. No. 5, INTERMAG. 99, Kyongiu, Korea pp.3265-3267, 1999)、必ずしも充分な「コスト当りの特性値」は得られていない。
【0012】
更に、従来のナノコンポジット磁石を製造する場合は、急冷合金の結晶化工程で熱(自己発熱)が生じるため、この自己発熱を考慮に入れた熱処理の制御を行う必要がある。特に、連続炉を用いて結晶化熱処理を行う場合は、結晶化によって生じた熱が炉内の原料(被加熱物)を伝播していくため、炉内で熱処理条件が不均一になってしまうという問題がある。その結果、熱処理条件を所望の範囲に高い精度で制御することが非常に難しくなる。また、結晶化熱処理を高いスループットで実行することができないため、製造コストが上昇してしまう。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高い保磁力および残留磁束密度を有する鉄基合金磁石を安価に製造し得る永久磁石の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明による鉄基希土類合金磁石の製造方法は、組成式が(Fe1-mm100-x-y-zxyz(TはCoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選択された1種以上の元素、RはLaおよびCeを実質的に含まない1種以上の希土類金属元素、MはTi、Zr、およびHfからなる群から選択された金属元素であって、Tiを必ず含む少なくとも1種の金属元素)で表現され、組成比率x、y、zおよびmが、それぞれ、10<x≦20原子%、6≦y<10原子%、0.1≦z≦12原子%、および0≦m≦0.5を満足する合金の溶湯を作製する工程と、前記合金の溶湯を急冷することによって、R2Fe14B型結晶相とアモルファス相とが混在する急冷合金を作製する冷却工程と、20℃/分以上600℃/分以下の昇温速度で前記急冷合金を加熱し、500℃以上800℃以下の温度で1分以上60分以下の時間、前記急冷合金に対して熱処理を行う工程とを包含する。
【0015】
ある好ましい実施形態では、バッチ炉を用いて前記熱処理を行う。
【0016】
本発明による他の鉄基希土類合金磁石の製造方法は、組成式が(Fe1-mm100-x-y-zxyz(TはCoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選択された1種以上の元素、RはLaおよびCeを実質的に含まない1種以上の希土類金属元素、MはTi、Zr、およびHfからなる群から選択された金属元素であって、Tiを必ず含む少なくとも1種の金属元素)で表現され、組成比率x、y、zおよびmが、それぞれ、10<x≦20原子%、6≦y<10原子%、0.1≦z≦12原子%、および0≦m≦0.5を満足する合金の溶湯を作製する工程と、前記合金の溶湯を急冷することによって、R2Fe14B型結晶相とアモルファス相とが混在する急冷合金を作製する冷却工程と、500℃以上800℃以下の加熱領域を有する炉に100kg/時間以下のレートで前記急冷合金を投入し、前記炉内の過熱領域を1分以上60分以下の時間で通過させることにより、前記急冷合金に対する熱処理を行う工程と、
を包含する。
【0017】
ある好ましい実施形態において、前記炉は、前記急冷合金が所定速度で前記加熱領域内を通過するように前記急冷合金を搬送する手段を備えている。
【0018】
前記冷却工程において、体積比率で60%以上のR2Fe14B型結晶相を含む急冷合金を作製することが好ましい。
【0019】
ある好ましい実施形態において、前記冷却工程は、圧力30kPa以上の雰囲気ガス中で前記合金の溶湯を急冷し、平均粒径80nm以下のR2Fe14B型結晶相を含む急冷合金を作製することを含む。
【0020】
ある好ましい実施形態では、前記熱処理工程により、平均結晶粒径が10nm以上200nm以下のR2Fe14B型結晶相と、平均結晶粒径が1nm以上50nm以下の鉄基硼化物相とを含有する組織を形成する。
【0021】
前記硼化物相は、強磁性の鉄基硼化物を含んでいることが好ましい。
【0022】
前記鉄基硼化物は、Fe3Bおよび/またはFe236を含んでいることが好ましい。
【0023】
ある好ましい実施形態では、ストリップキャスト法を用いて前記合金の溶湯を冷却する。
【0024】
前記熱処理工程の前および/または後に、前記合金を粉末化する工程を更に包含する。この粉末化された前記合金には表面処理を施すことが好ましい。
【0025】
本発明によるボンド磁石の製造方法は、上記いずれかの鉄基希土類合金磁石の製造方法によって作製された鉄基希土類合金磁石の粉末を用意する工程と、前記鉄基希土類合金磁石の粉末を用いてボンド磁石を作製する工程とを包含する。
【0026】
前記ボンド磁石には表面処理を行うことが好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の鉄基希土類合金磁石は、Tiを含有する希土類−鉄−硼素系合金の溶湯を冷却し、それによって凝固した急冷合金から形成される。この急冷凝固合金は、結晶相およびアモルファス相を含むものであり、その後に加熱され、更に結晶化が進められる。なお、本明細書における「アモルファス相」とは、原子配列が完全に無秩序化した部分によってのみ構成される相だけではなく、結晶化の前駆体や微結晶(サイズ:数nm以下)、または原子クラスタを部分的に含んでいる相をも含むものとする。具体的には、X線回折や透過電子顕微鏡観察によって結晶構造を明確に同定できない相を広く「アモルファス相」と称することにする。
【0028】
本発明者は、特定範囲の組成を有する鉄基希土類合金へTiを添加することにより、合金溶湯の冷却過程で生じやすいα−Fe相の析出・成長を抑制するとともに、硬磁気特性を担うR2Fe14B型化合物相の結晶成長を優先的かつ均一に進行させ、これに遅れて鉄基硼化物相をR2Fe14B型結晶相の粒界または亜粒界に析出させれば、その後、結晶化熱処理の条件が大きくばらついても、磁石特性の劣化が生じにくいことを見出し、本発明を想到するに至った。
【0029】
Tiを添加しなかった場合、Nd2Fe14B相の析出・成長に先だってα−Fe相が析出し、成長しやすい。そのため、急冷合金に対する結晶熱処理が完了した段階では、軟磁性のα−Fe相が粗大化してしまい、磁石特性が劣化する。
【0030】
これに対し、Tiを添加した場合は、α−Fe相の析出・成長のキネティクス(kinetics)が遅くなり、析出・成長に時間を要するため、α−Fe相の析出・成長が完了する前にNd2Fe14B相の析出・成長が開始すると考えられる。このため、α−Fe相が粗大化する前にNd2Fe14B相が均一に分散した状態に大きく成長する。このように、合金溶湯の結晶化に際してR2Fe14B相が最初に晶出し、次いで鉄基硼化物相が晶出するため、アモルファス母相に分散して存在するR2Fe14B相の結晶粒表面を不均一核として鉄基硼化物相が生成する。R2Fe14B相結晶粒の表面に析出した鉄基硼化物相は、界面エネルギの増加を避けるため、R2Fe14B相結晶粒の表面を包むように成長し、その結果、一部の鉄基硼化物が互いに合体してフィルム状となり、R2Fe14B結晶粒の少なくとも一部を覆うことになると考えられる。
【0031】
本発明によれば、このように、軟磁性であるフィルム状の鉄基硼化物が硬磁性であるR2Fe14B相結晶粒を相互に隔離するように析出するため、結晶化熱処理の条件が変動しても、合金組織構造に大きな変化が生じにくく、優れた磁石特性が再現性よく発揮されるものと考えられる。
【0032】
比較的熱処理条件がばらついても、鉄基硼化物が粒界または亜粒界に安定して存在する理由は、TiのBに対する親和性が強いため、Tiが鉄基硼化物の中に濃縮され、Bと強い結合を形成するためであると考えられる。
【0033】
こうして本発明によれば、Tiの働きによって鉄基硼化物やα−Fe相などの軟磁性相の成長が抑制され、微細化されるとともに、Nd2Fe14B相が均一に分散し、しかもNd2Fe14B相の体積比率が増加する。保磁力および磁化(残留磁束密度)が増加し、減磁曲線の角形性が向上する。また、結晶化のための熱処理条件がばらついても、各構成相の粗大化が抑制されるため、最終的な磁気特性に劣化が生じにくい。
【0034】
以下、本発明の鉄基希土類合金磁石をより詳細に説明する。
【0035】
本発明の鉄基希土類合金磁石は、好適には、その組成式が(Fe1-mm100-x-y-zxyzで表現される。ここで、TはCoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素、QはB(硼素)およびC(炭素)からなる群から選択された1種以上の元素、RはLaおよびCeを実質的に含まない1種以上の希土類金属元素、MはTi、Zr、およびHfからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素であり、Tiを必ず含んでいる。
【0036】
組成比率を規定するx、y、z、およびmは、それぞれ、10<x≦20原子%、6≦y<10原子%、0.1≦z≦12原子%、および0≦m≦0.5の関係を満足することが好ましい。
【0037】
本発明の鉄基希土類合金磁石は、希土類元素の組成比率が全体の10原子%未満であるにもかかわらず、Tiの添加によって磁化(残留磁束密度)がTiを添加しない場合と同等のレベルを維持するか、または増加し、減磁曲線の角形性が向上するという予想外の効果が発揮される。
【0038】
本発明の鉄基希土類合金磁石では、軟磁性相のサイズが微細であるため、各構成相が交換相互作用によって結合し、硬磁性のR2Fe14B型結晶相以外に鉄基硼化物やα−Feのような軟磁性相が存在していても、合金全体としては優れた減磁曲線の角形性を示すことが可能になる。
【0039】
本発明の鉄基希土類合金磁石は、好適には、R2Fe14B型結晶相の飽和磁化と同等、または、それよりも高い飽和磁化を有する鉄基硼化物やα−Feを含有している。この鉄基硼化物は、例えば、Fe3B(飽和磁化1.5T)やFe236(飽和磁化1.6T)である。ここで、R2Fe14Bの飽和磁化は約1.6Tであり、α−Feの飽和磁化は2.1Tである。
【0040】
通常、Bの組成比率xが10原子%を超え、しかも希土類元素Rの組成比率yが6原子%以上8原子%以下の範囲にある場合、R2Fe233が生成されるが、このような組成範囲にある原料合金を用いる場合であっても、本発明のようにTiを添加することにより、R2Fe233の代わりに、R2Fe14B、および、Fe236やFe3Bなどの鉄基硼化物を生成することができる。これらの鉄基硼化物は磁化向上に寄与する。
【0041】
本発明者の実験によると、Tiを添加した場合だけ、V、Cr、Mn、Nb、Moなどの他の種類の金属を添加した場合と異なり、磁化の低下が生じず、むしろ磁化が向上することが初めてわかった。また、Tiを添加した場合には、前述の他の添加元素と比べ、減磁曲線の角形性が特に良好なものとなった。
【0042】
次に、本発明による鉄基希土類合金磁石の製造方法を説明する。
【0043】
本発明の製造方法によれば、前記の組成を有する鉄基合金の溶湯を不活性雰囲気中で冷却し、それによってR2Fe14B型結晶相を好ましくは全体の60体積%以上含む急冷合金を作製する。急冷合金中のR2Fe14B型結晶相の平均サイズは例えば80nm以下である。この急冷合金に対して熱処理を行なえば、急冷合金中に残存していた非晶質を結晶化させることができる。
【0044】
好ましい実施形態では、上記合金溶湯を圧力30kPa以上の雰囲気中で冷却する。それにより、合金溶湯は、冷却ロールとの接触によって急冷されるだけでなく、冷却ロールから離れた後も、雰囲気ガスによる二次冷却効果を受けて適切に冷却される。
【0045】
30kPaを下回るように雰囲気ガス圧力を低くすると、急冷合金中に生成されるR2Fe14B型結晶相の結晶粒径が粗大化するため、最終的に得られる磁石特性が劣化してしまうことになる。逆に、雰囲気ガスの圧力が常圧(大気圧)を超えて高くなり過ぎると、合金溶湯と冷却ロールとの間にまき込まれる雰囲気ガスの影響が大きくなり、冷却ロールによる充分な冷却が達成されなくなる。その結果、粗大なα−Feが析出し、良好な硬磁気特性が得られなくなる。
【0046】
本発明者の実験によれば、急冷時に雰囲気ガスの圧力は、30kPa以上でしかも常圧(101.3kPa)以下に制御することが好ましく、30kPa以上90kPa以下の範囲にすることが更に好ましい。より好ましい範囲は40kPa以上60kPa以下である。
【0047】
上記雰囲気ガス圧力のもとで、ロール表面周速度の好ましい範囲は4m/秒以上50m/秒以下である。ロール表面周速度が4m/秒より遅くなると、急冷合金中に含まれるR2Fe14B型結晶相の結晶粒が粗大化してしまうことになる。その結果、熱処理によってR2Fe14B型結晶相は更に大きくなり、磁気特性が劣化する可能性がある。
【0048】
一方、ロール表面周速度が50m/秒より速くなると、急冷合金がほぼ完全な非晶質となり、R2Fe14B型結晶相がほとんど析出しない状態になる。そのため、結晶化熱処理ではR2Fe14B型結晶相の粒成長が著しく、組織が不均一化してしまうため、磁気特性の向上が達成されない。
【0049】
実験によると、ロール表面周速度の更に好ましい範囲は5m/秒以上30m/秒以下であり、更に好ましい範囲は5m/秒以上20m/秒以下である。
【0050】
前述のように、本発明による磁石の保磁力増加は、Nd2Fe14B相を冷却工程で優先的に析出・成長させ、それによってNd2Fe14B相の体積比率を増加させながら、しかし軟磁性相の粗大化を抑制したことによって実現する。また、磁化の増加は、Tiの働きにより、急冷凝固合金中に存在する硼素リッチな非磁性アモルファス相から強磁性鉄基硼化物などの硼化物相を生成し、結晶化熱処理後に残存する非磁性アモルファス相の体積比率を減少させたために得られたものと考えられる。
【0051】
上述のようにして得られた急冷合金に対しては、結晶化熱処理を行ない、R2Fe14B型結晶相および硼化物相を含むナノコンポジット組織を形成する。この組織中、R2Fe14B型結晶相の平均結晶粒径は10nm以上200nm以下、硼化物相およびα−Fe相の平均結晶粒径は1nm以上50nm以下となるように熱処理温度および時間を調節する。R2Fe14B型結晶相の平均結晶粒径は通常20nm以上となるが、条件によっては50nm以上になる。硼化物相やα−Fe相などの軟磁性相の平均結晶粒径は30nm以下となることが多く、典型的には数nmの大きさにしかならない。鉄基硼化物がフィルム状になる場合は、その平均厚さは20nm以下にすることが望ましい。
【0052】
最終的な磁石におけるR2Fe14B型結晶相の平均結晶粒径は鉄基硼化物相の平均結晶粒径よりも大きい。本発明に係る製造方法によって作製された磁石中では、相対的に大きなR2Fe14B型結晶相の間(粒界または亜粒界)に微細な軟磁性相が分散またはフィルム状に存在している。そして、軟磁性相の平均サイズが充分に小さいため、各構成相が交換相互作用によって結合し、その結果、軟磁性相の磁化方向が硬磁性相によって拘束されるので、合金全体としては優れた減磁曲線の角形性を示すことが可能になる。
【0053】
本発明者の実験によれば、Tiを添加した場合だけ、V、Cr、Mn、Nb、Moなどの他の種類の金属を添加した場合と異なり、磁化の低下が生じず、むしろ磁化が向上することがわかった。また、M(特にTi)を添加した場合には、前述の他の添加元素と比べ、減磁曲線の角形性が特に良好なものとなった。これらのことから、磁化の低い硼化物の生成を抑制する上でTiが特に重要な働きをしていると考えられる。特に、本発明で用いる原料合金の組成範囲のうち、硼素およびTiが比較的に少ない場合は、熱処理によって強磁性を有する鉄基硼化物相が析出しやすい。この場合、非磁性のアモルファス相中に含まれる硼素が鉄基硼化物中に取り込まれる結果、結晶化熱処理後に残存する非磁性アモルファス相の体積比率が減少し、強磁性の結晶相が増加するため、残留磁束密度Brが向上すると考えられる。
【0054】
以下、図1を参照しながら、この点をより詳細に説明する。
【0055】
図1は、Tiを添加した場合、および、Tiに代えてNbなどを添加した場合における急冷凝固合金の結晶化過程における微細組織の変化を模式的に示す図である。Tiを添加した場合は、α−Feが析出する温度よりも高い温度領域において各構成相の粒成長が抑制されており、優れた硬磁気特性が維持される。これに対し、Nb、V、Crなどの金属元素を添加した場合は、α−Feが析出するような比較的高い温度領域で各構成相の粒成長が著しく進行し、各構成相の交換結合が弱まってしまう結果、減磁曲線の角形性が大きく低下する。
【0056】
まず、Nb、Mo、Wを添加した場合を説明する。この場合、α−Feが析出しない比較的低い温度領域で熱処理を行なえば、減磁曲線の角形性に優れた良好な硬磁気特性を得ることが可能である。しかし、このような温度で熱処理を行なった合金では、R2Fe14B型微細結晶相が非磁性のアモルファス相中に分散して存在していると推定され、ナノコンポジット磁石の構成は形成されていない。また、更に高い温度で熱処理を行なうと、アモルファス相中からα−Fe相が析出する。このα−Fe相は、Tiを添加した場合と異なり、析出後、急激に成長し、粗大化する。このため、各構成相間の交換結合が弱くなり、減磁曲線の角形性が大きく劣化してしまうことになる。
【0057】
一方、Tiを添加した場合は、α−Fe相などの軟磁性相の析出・成長が抑制され、相対的に大きなR2Fe14B型結晶相の粒界または亜粒界に(Fe、Ti)−B相が微細(または薄く)存在する組織が得られる。
【0058】
VやCrを添加した場合は、これらの添加金属がFeに固溶し、Feと反強磁性的に結合するため、磁化が大きく低下してしまう。また、VやCrを添加した場合、熱処理に伴う粒成長が充分に抑制されず、減磁曲線の角形性が劣化する。
【0059】
このようにTiを添加した場合のみ、α−Fe相の粗大化を適切に抑制し、強磁性の鉄基硼化物を形成することが可能になる。更に、Tiは、液体急冷時にFe初晶(後にα−Feに変態するγ−Fe)の晶出を遅らせ、過冷却液体の生成を容易にする元素として硼素や炭素とともに重要な働きをするため、合金溶湯を急冷する際の冷却速度を102℃/秒〜105℃/秒程度の比較的低い値にしても、α−Feを大きく析出させることなく、R2Fe14B型結晶相とアモルファス相とが混在する急冷合金を作製することが可能になる。このことは、種々の液体急冷法の中から、特に量産に適したストリップキャスト法の採用を可能にするため、低コスト化にとって重要である。
【0060】
合金溶湯を急冷して原料合金を得る方法として、ノズルオリフィスによる溶湯の流量制御を行なわずに溶湯をタンディッシュから直接に冷却ロール上に注ぐストリップキャスト法は生産性が高く、製造コストの低い方法である。R−Fe−B系希土類合金の溶湯をストリップキャスト法によっても達成可能な冷却速度範囲でアモルファス化するには、通常、B(硼素)を10原子%以上添加する必要がある。このようにBを多く添加した場合は、急冷合金に対して結晶化熱処理を行った後、非性磁性のアモルファス相の他、粗大なα−Feや軟磁性相であるNd2Fe233相が析出するため、均質な微細結晶組織が得られない。その結果、強磁性相の体積比率が低下し、磁化の低下およびNd2Fe14B相の存在比率の低下により、保磁力の大幅な低下を招来する。しかしながら、本発明のようにTiを添加すると、上述した現象が観察されるため、予想外に磁化が向上する。
【0061】
なお、急冷合金がアモルファス相を多く含む場合よりも、Nd2Fe14B相を多く含む状態にある方が、最終的な磁石特性は高いものが得やすい。急冷凝固合金中に占めるNd2Fe14B相の体積比率は、全体の半分以上、具体的には60体積%以上になることが好ましい。この60体積%という値は、メスバゥアースペクトル分光法で測定されたものである。
【0062】
[組成の限定理由]
Qは、その全量がB(硼素)から構成されるか、または、BおよびC(炭素)の組み合わせから構成される。Qの総量に対するCの原子比率割合は0.25以下であることが好ましい。
【0063】
Qの組成比率xが10原子%以下になると、急冷時の冷却速度が102℃/秒〜105℃/秒程度と比較的低い場合、R2Fe14B型結晶相とアモルファス相とが混在する急冷合金を作製することが困難になり、その後に熱処理を施しても480kA/m未満のHcJしか得られない。また、液体急冷法の中でも工程費用が比較的安いストリップ・キャスト法を採用できなくなり、永久磁石の価格が上昇してしまうことになる。一方、Qの組成比率xが20原子%を超えると、結晶化熱処理後も残存するアモルファス相の体積比率が増し、同時に、構成相中で最も高い飽和磁化を有するα−Feの存在比率が減少するため、残留磁束密度Brが低下してしまう。以上のことから、Qの組成比率xは10原子%を超え、20原子%以下となるように設定することが好ましい。より好ましい組成比率xの範囲は10原子%以上17原子%以下である。
【0064】
Rは、希土類元素(Yを含む)の群から選択された1種以上の元素である。LaまたはCeが存在すると、保磁力および角形性が劣化するため、LaおよびCeを実質的に含まないことが好ましい。ただし、微量のLaやCe(0.5原子%以下)が不可避的に混入する不純物として存在する場合は、磁気特性上、問題ない。したがって、0.5原子%以下のLaやCeを含有する場合は、LaやCeを実質的に含まないといえる。
【0065】
Rは、より具体的には、PrまたはNdを必須元素として含むことが好ましく、その必須元素の一部をDyおよび/またはTbで置換してもよい。Rの組成比率yが全体の6原子%未満になると、保磁力の発現に必要なR2Fe14B型結晶構造を有する化合物相が充分に析出せず、480kA/m以上の保磁力HcJを得ることができなくなる。また、Rの組成比率yが10原子%以上になると、強磁性を有する鉄基硼化物やα−Feの存在量が低下する。故に、希土類元素Rの組成比率yは6原子%以上10原子%未満の範囲、例えば、6原子%以上9.5原子%以下に調節することが好ましい。より好ましいRの範囲は8原子%以上9.3原子%以下であり、最も好ましいRの範囲は8.3原子%以上9.0原子%以下である。
【0066】
添加金属元素Mは、Tiを必須としており、更にZrおよび/またはHfを含んでいても良い。Tiは、前述した効果を得るためには必須の元素であり、保磁力HcJおよび残留磁束密度Brの向上および減磁曲線の角形性の改善に寄与し、最大エネルギー積(BH)maxを向上させる。
【0067】
金属元素Mの組成比率zが全体の0.5原子%未満になると、Ti添加の効果が充分に発現しない。一方、金属元素Mの組成比率zが全体の12原子%を超えると、結晶化熱処理後も残存するアモルファス相の体積比率が増すため、残留磁束密度Brの低下を招来しやすい。以上のことから、金属元素Mの組成比率zは0.5原子%以上12原子%以下の範囲とすることが好ましい。より好ましいzの範囲の下限は1.0原子%であり、より好ましいzの範囲の上限は8.0原子%である。更に好ましいzの範囲の上限は6.0原子%である。
【0068】
また、Qの組成比率xが高いほど、Q(例えば硼素)を過剰に含むアモルファス相が形成されやすいので、金属元素Mの組成比率zを高くすることが好ましい。具体的には、z/x≧0.1を満足させるように組成比率を調節することが好ましく、z/x≧0.15を満足させることがより好ましい。
【0069】
なお、Tiは特に好ましい働きをするため、金属元素MはTiを必ず含むことが好ましい。この場合、金属元素M全体に対するTiの割合(原子比率)は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
【0070】
Feは、上述の元素の含有残余を占めるが、Feの一部をCoおよびNiの一種または二種の遷移金属元素(T)で置換しても所望の硬磁気特性を得ることができる。Feに対するTの置換量が50%を超えると、0.7T以上の高い残留磁束密度Brが得られない。このため、置換量は0%以上50%以下の範囲に限定することが好ましい。なお、Feの一部をCoで置換することによって、減磁曲線の角形性が向上するとともに、R2Fe14B相のキュリー温度が上昇するため、耐熱性が向上する。CoによるFe置換量の好ましい範囲は0.5%以上40%以下である。
【0071】
次に、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0072】
[液体急冷装置]
本実施形態では、例えば、図2に示す急冷装置を用いて原料合金を製造する。酸化しやすい希土類元素RやFeを含む原料合金の酸化を防ぐため、不活性ガス雰囲気中で合金製造工程を実行する。不活性ガスとしては、ヘリウムまたはアルゴン等の希ガスや窒素を用いることができる。なお、窒素は希土類元素Rと比較的に反応しやすいため、ヘリウムまたはアルゴンなどの希ガスを用いることが好ましい。
【0073】
図2の装置は、真空または不活性ガス雰囲気を保持し、その圧力を調整することが可能な原料合金の溶解室1および急冷室2を備えている。図2(a)は全体構成図であり、図2(b)は、一部の拡大図である。
【0074】
図2(a)に示されるように、溶解室1は、所望の磁石合金組成になるように配合された原料20を高温にて溶解する溶解炉3と、底部に出湯ノズル5を有する貯湯容器4と、大気の進入を抑制しつつ配合原料を溶解炉3内に供給するための配合原料供給装置8とを備えている。貯湯容器4は原料合金の溶湯21を貯え、その出湯温度を所定のレベルに維持できる加熱装置(不図示)を有している。
【0075】
急冷室2は、出湯ノズル5から出た溶湯21を急冷凝固するための回転冷却ロール7を備えている。
【0076】
この装置においては、溶解室1および急冷室2内の雰囲気およびその圧力が所定の範囲に制御される。そのために、雰囲気ガス供給口1b、2b、および8bとガス排気口1a、2a、および8aとが装置の適切な箇所に設けられている。特にガス排気口2aは、急冷室2内の絶対圧を30kPa〜常圧(大気圧)の範囲内に制御するため、ポンプに接続されている。
【0077】
溶解炉3は傾動可能であり、ロート6を介して溶湯21を貯湯容器4内に適宜注ぎ込む。溶湯21は貯湯容器4内において不図示の加熱装置によって加熱される。
【0078】
貯湯容器4の出湯ノズル5は、溶解室1と急冷室2との隔壁に配置され、貯湯容器4内の溶湯21を下方に位置する冷却ロール7の表面に流下させる。出湯ノズル5のオリフィス径は、例えば0.5〜2.0mmである。溶湯21の粘性が大きい場合、溶湯21は出湯ノズル5内を流れにくくなるが、本実施形態では急冷室2を溶解室1よりも低い圧力状態に保持するため、溶解室1と急冷室2との間に圧力差が形成され、溶湯21の出湯がスムーズに実行される。
【0079】
冷却ロール7は、熱伝導度の点からAl合金、銅合金、炭素鋼、真鍮、W、Mo、青銅から形成され得るが、機械的強度および経済性の観点から、Cu、Fe、またはCuやFeを含む合金から形成することが好ましい。CuやFe以外の材料で冷却ロールを作製すると、急冷合金の冷却ロールに対する剥離性が悪くなるため、急冷合金がロールに巻き付くおそれがあり好ましくない。冷却ロール7の直径は例えば300〜500mmである。冷却ロール7内に設けた水冷装置の水冷能力は、単位時間あたりの凝固潜熱と出湯量とに応じて算出し、調節される。
【0080】
図2に示す装置によれば、例えば合計10kgの原料合金を10〜20分間で急冷凝固させることができる。こうして形成した急冷合金は、例えば、厚さ:10〜300μm、幅:2mm〜3mmの合金薄帯(合金リボン)22となる。
【0081】
[液体急冷法]
まず、前述の組成式で表現される原料合金の溶湯21を作製し、図2の溶解室1の貯湯容器4に貯える。次に、この溶湯21は出湯ノズル5から減圧Ar雰囲気中の水冷ロール7上に出湯され、冷却ロール7との接触によって急冷され、凝固する。急冷凝固方法としては、冷却速度を高精度に制御できる方法を用いる必要がある。
【0082】
本実施形態の場合、溶湯21の冷却凝固に際して、冷却速度を1×102〜1×108℃/秒とすることが好ましく、1×104〜1×106℃/秒とすることが更に好ましい。
【0083】
合金の溶湯21が冷却ロール7によって冷却される時間は、回転する冷却ロール7の外周表面に合金が接触してから離れるまでの時間に相当し、その間に、合金の温度は低下し、過冷却液体状態になる。その後、過冷却状態の合金は冷却ロール7から離れ、不活性雰囲気中を飛行する。合金は薄帯状で飛行している間に雰囲気ガスに熱を奪われる結果、その温度は更に低下する。本発明では、雰囲気ガスの圧力を30kPa〜常圧の範囲内に設定しているため、雰囲気ガスによる抜熱効果が強まり、合金中にNd2Fe14B型結晶を均一微細に析出・成長させることができる。なお、適切な量のTiなどの元素Mを原料合金中に添加していない場合には、上述したような冷却過程を経た急冷合金中には、α−Feが優先的に析出・成長するため、最終的な磁石特性が劣化してしまうことになる。
【0084】
本実施形態では、ロール表面速度を10m/秒以上30m/秒以下の範囲内に調節し、かつ、雰囲気ガスによる二次冷却効果を高めるために雰囲気ガス圧力を30kPa以上にすることによって、平均粒径80nm以下の微細なR2Fe14B型結晶相を60体積%以上含む急冷合金を作製している。
【0085】
なお、本発明で用いる合金溶湯の急冷法は、上述の片ロール法に限定されず、双ロール法、ガスアトマイズ法、ノズルやオリフィスによる流量制御を行なわない方法であるストリップキャスト法、更には、ロール法とガスアトマイズ法とを組み合わせた冷却法などであってもよい。
【0086】
上記急冷法の中でも、ストリップキャスト法の冷却速度は比較的低く、102〜105℃/秒である。本実施形態では、適切な量のTiを合金に添加することにより、ストリップキャスト法による場合でもFe初晶を含まない組織が大半を占める急冷合金を形成することができる。ストリップキャスト法は、工程費用が他の液体急冷法の半分程度以下であるため、メルトスピニング法に比べて大量の急冷合金を作製する場合に有効であり、量産化に適した技術である。原料合金に対して元素Mを添加しない場合や、元素Tiの代わりにCr、V、Mn、Mo、Ta、および/またはWを添加した場合には、ストリップキャスト法を用いて急冷合金を形成しても、Fe初晶を多く含む金属組織が生成するため、所望の金属組織を形成することができない。
【0087】
[熱処理]
本実施形態では、熱処理をアルゴン雰囲気中で実行する。熱処理条件は、バッチ炉の場合、昇温速度を20℃/分〜600℃/分として、550℃以上850℃以下の温度で30秒以上20分以下の時間保持した後、室温まで冷却する。
【0088】
図3(a)は、一定量毎に所定容器などに収められた状態の急冷合金に対して一括的な熱処理を行うことができるバッチ炉の一例を示している。図示されているバッチ炉40は、本体41aの内部に急冷合金を挿入し、密閉蓋41bを閉じた状態で熱処理を実行することができる。
【0089】
このようなバッチ炉を用いて結晶化熱処理を行う場合、20℃/分以上600℃/分以下の昇温速度で上記の急冷合金を加熱し、500℃以上800℃以下の温度で1分以上60分以下の時間保持すればよい。昇温速度の好ましい範囲は、50℃/分以上600℃/分以下である。
【0090】
図3(b)は、所定速度で加熱領域内を通過する急冷合金に対して熱処理を行うことができる連続炉42を示している。図示されている連続炉42は、本体43によって回転可能に支持された回転ロール44および45と、それらの回転ロール44および45の回転によって一方向に所定速度で駆動されるフープベルト46とを備えている。粉末化された急冷合金はフープベルト46上の原料フィード位置Aに供給され、図中左方に運搬される。フープベルト46上に供給された合金粉末は、摺切板47によって均され、それによって合金粉末の高さが一定レベル以下に調整される。その後、合金粉末は金属チューブに囲まれた加熱ゾーンに入り、そこで結晶化のための熱処理を受ける。加熱ゾーン内には、不図示のヒータが配置され、不活性雰囲気で満たされている。合金粉末は加熱ゾーン内を移動しながら、熱処理を受けることになる。このような熱処理装置によれば、与えられた加熱ゾーンの長さに対して、フープベルト46の移動速度を調整することによって熱処理工程を制御することができる。
【0091】
このような連続炉を用いて熱処理を行う場合は、500℃以上800℃以下の加熱領域を有する炉に100kg/時間以下のレート(原料送り速度)で急冷合金を投入し、炉内の過熱領域を1分以上60分以下の時間で通過させることにより、急冷合金に対する熱処理を行えばよい。原料送り速度の好ましい範囲は、10kg/時間以上60kg/時間以下である。
【0092】
上述のような結晶化熱処理により、アモルファス相中に準安定相の微細結晶が析出・成長し、ナノコンポジット組織構造が形成される。本発明によれば、熱処理の開始時点で既に微細なNd2Fe14B型結晶相が全体の60体積%以上存在しているため、α−Fe相や他の結晶相の粗大化が抑制され、Nd2Fe14B型結晶相以外の各構成相(軟磁性相)がNd2Fe14B型結晶相の粒界または亜粒界に均一かつ微細に析出する。
【0093】
なお、熱処理温度が500℃を下回ると、熱処理後もアモルファス相が多く残存し、急冷条件によっては、保磁力が充分なレベルに達しない場合がある。また、熱処理温度が800℃を超えると、各構成相の粒成長が著しく、残留磁束密度Brが低下し、減磁曲線の角形性が劣化する場合がある。このため、熱処理温度は500℃以上800℃以下であることが好ましいが、より好ましい熱処理温度の範囲は550℃以上700℃以下である。
【0094】
熱処理雰囲気は、合金の酸化を防止するため、不活性ガスが好ましい。0.1kPa以下の真空中で熱処理を行っても良い。
【0095】
熱処理前の急冷合金中には、R2Fe14B型結晶相およびアモルファス相以外に、Fe3B相、Fe236、およびR2Fe233相等の準安定相が含まれていても良い。その場合、熱処理によって、R2Fe233相は消失し、R2Fe14B相の飽和磁化と同等、または、それよりも高い飽和磁化を示す鉄基硼化物(例えばFe236)やα−Feを析出させることができる。
【0096】
本発明の場合、最終的に鉄基硼化物のような軟磁性相が存在していても、軟磁性相と硬磁性相とが交換相互作用によって磁気的に結合するため、優れた磁気特性が発揮される。
【0097】
熱処理後におけるR2Fe14B型結晶相の平均結晶粒径は、単軸結晶粒径である300nm以下となる必要があり、10nm以上200nm以下であることが好ましく、20nm以上100nm以下であることが更に好ましい。これに対し、鉄基硼化物相やα−Fe相の平均結晶粒径が50nmを超えると、各構成相間に働く交換相互作用が弱まり、減磁曲線の角形性が劣化するため、(BH)maxが低下してしまう。これらの平均結晶粒径が1nmを下回ると、高い保磁力を得られなくなるため、鉄基硼化物相やα−Fe相などの軟磁性相の平均結晶粒径は1nm以上50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることが更に好ましい。
【0098】
なお、熱処理前に急冷合金の薄帯を粗く切断または粉砕しておいてもよい。
【0099】
熱処理後、得られた磁石を微粉砕し、磁石粉末(磁粉)を作製すれば、その磁粉から公知の工程によって種々のボンド磁石を製造することができる。ボンド磁石を作製する場合、鉄基希土類合金磁粉はエポキシ樹脂やナイロン樹脂と混合され、所望の形状に成形される。このとき、ナノコンポジット磁粉に他の種類の磁粉、例えばSm−Fe−N系磁粉やハードフェライト磁粉を混合してもよい。
【0100】
上述のボンド磁石を用いて回転機やアクチュエータなどの各種のモータを製造することができる。
【0101】
本発明の磁石磁末を射出成形ボンド磁石用に用いる場合は、平均粒度が200μm以下になるように粉砕することが好ましく、より好ましい粉末の平均粒径は30μm以上150μm以下である。また、圧縮成形ボンド磁石用に用いる場合は、粒度が300μm以下になるように粉砕することが好ましく、より好ましい粉末の平均粒径は30μm以上250μm以下である。さらに好ましくは、粒径分布に2つのピークを持ち、平均粒径が50μm以上200μm以下にある。
【0102】
なお、粉末の表面にカップリング処理や化成処理、鍍金などの表面処理を施すことにより、成形方法を問わずボンド磁石成形時の成形性や得られるボンド磁石の耐食性および耐熱性を改善できる。また、成形後のボンド磁石表面に樹脂塗装や化成処理、鍍金などの表面処理を施した場合も、粉末の表面処理と同様にボンド磁石の耐食性および耐熱性を改善できる。
【0103】
【実施例】
まず、Nd9Febal12Ti3の組成を有する試料(No.1〜No.12)の各々について、純度99.5%以上のNd、Fe、B、およびTiの材料を用いて総量が30グラムとなるように秤量し、石英るつぼ内に投入した。
【0104】
溶湯作製に用いた石英るつぼは、底部に直径0.8mmのオリフィスを有しているため、上記原料は石英るつぼ内で溶解された後、合金溶湯となってオリフィスから下方に滴下することになる。原料の溶解は、圧力が1.33kPaのアルゴン雰囲気下において高周波加熱法を用いて行った。本実施例では、溶湯温度を1500℃に設定した。
【0105】
合金溶湯の湯面を26.7kPaのArガスで加圧することによって、オリフィスの下方0.7mmの位置にある銅製ロールの外周面に対して溶湯を噴出させた。ロールは、その外周面の温度が室温程度に維持されるように内部が冷却されながら高速で回転する。このため、オリフィスから滴下した合金溶湯はロール周面に接触して熱を奪われつつ、周速度方向に飛ばされることになる。合金溶湯はオリフィスを介して連続的にロール周面上に滴下されるため、急冷によって凝固した合金は薄帯状に長く延びたリボン(幅:2〜3mm、厚さ:20〜50μm)の形態を持つことになる。
【0106】
本実施例で採用する回転ロール法(単ロール法)の場合、冷却速度はロール周速度および単位時間当たりの溶湯流下量によって規定される。この溶湯流下量は、オリフィス径(断面積)と溶湯圧力とに依存する。本実施例では、オリフィスを直径0.8mm、溶湯圧力を26.7kPa、流下レートを約0.5〜1kg/分とした。
【0107】
ロール周速度は表1の通りとした。
【0108】
次に、上記急冷合金をArガス中で熱処理した。具体的には、表1および表2に示す条件で熱処理を行った。表1は「バッチ炉」を用いた熱処理条件を示し、表2は「連続炉」を用いた熱処理条件を示す。これらの熱処理を行った後、振動型磁力計を用いて各試料の最大磁気エネルギー積を測定した。測定結果を表1および表2の最右欄に示す。
【0109】
【表1】
Figure 0004670179
【0110】
【表2】
Figure 0004670179
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、Tiを添加することにより、希土類−鉄−硼素系磁石に必要な希土類元素の量を低減しても、合金溶湯の急冷合金中に硬磁性のR2Fe14Bを優先的に析出・成長させることができる。そして、軟磁性の鉄基硼化物をR2Fe14Bの粒界に細かく分散、または薄いフィルム状に析出・成長させることができるため、従来よりも緩和した熱処理条件のもとで、保磁力および磁化が充分に高い永久磁石を再現性良く製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Tiを添加した場合、および、Tiに代えてNbなどを添加した場合における急冷凝固合金の結晶化過程における微細組織の変化を模式的に示す図である。
【図2】(a)は、本発明で使用する急冷装置の全体構成例を示す断面図であり、(b)は合金溶湯の急冷凝固が行われる部分の拡大図である。
【図3】(a)は、急冷合金の結晶化のために本発明で好適に使用することができるバッチ炉を示す図面であり、(b)は、連続炉を示す図面である。
【符号の説明】
1b、2b、8b、および9b 雰囲気ガス供給口
1a、2a、8a、および9a ガス排気口
1 溶解室
2 急冷室
3 溶解炉
4 貯湯容器
5 出湯ノズル
6 ロート
7 回転冷却ロール
21 溶湯
22 合金薄帯
40 バッチ炉
41 密閉蓋
42 連続炉
43 本体
44、45 回転ロール
46 フープベルト
47 仕切り板

Claims (12)

  1. 組成式が(Fe1-mm100-x-y-zxyz(TはCoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選択された1種以上の元素、RはLaおよびCeを実質的に含まない1種以上の希土類金属元素、MはTi、Zr、およびHfからなる群から選択された金属元素であって、Tiを必ず含む少なくとも1種の金属元素)で表現され、組成比率x、y、zおよびmが、それぞれ、
    10<x≦20原子%、
    6≦y<10原子%、
    0.1≦z≦12原子%、および
    0≦m≦0.5
    を満足する合金の溶湯を作製する工程と、
    前記合金の溶湯を急冷することによって、体積比率で60%以上のR2Fe14B型結晶相を含有する急冷合金を作製する冷却工程と、
    20℃/分以上600℃/分以下の昇温速度で前記急冷合金を加熱し、500℃以上800℃以下の温度で1分以上60分以下の時間、前記急冷合金に対して熱処理を行う工程と、
    を包含し、
    前記熱処理工程により、平均結晶粒径が10nm以上200nm以下のR2Fe14B型結晶相と、平均結晶粒径が1nm以上50nm以下であり、かつ、前記R2Fe14B型結晶相の平均結晶粒径よりも小さい鉄基硼化物相とを含有し、前記R 2 Fe 14 B型結晶相と前記鉄基硼化物相とが磁気的に結合しているナノコンポジット磁石組織を形成する、鉄基希土類ナノコンポジット磁石の製造方法。
  2. バッチ炉を用いて前記熱処理を行う、請求項1に記載の鉄基希土類ナノコンポジット磁石の製造方法。
  3. 組成式が(Fe1-mm100-x-y-zxyz(TはCoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選択された1種以上の元素、RはLaおよびCeを実質的に含まない1種以上の希土類金属元素、MはTi、Zr、およびHfからなる群から選択された金属元素であって、Tiを必ず含む少なくとも1種の金属元素)で表現され、組成比率x、y、zおよびmが、それぞれ、
    10<x≦20原子%、
    6≦y<10原子%、
    0.1≦z≦12原子%、および
    0≦m≦0.5
    を満足する合金の溶湯を作製する工程と、
    前記合金の溶湯を急冷することによって、体積比率で60%以上のR2Fe14B型結晶相を含有する急冷合金を作製する冷却工程と、
    500℃以上800℃以下の加熱領域を有する炉に100kg/時間以下のレートで前記急冷合金を投入し、前記炉内の過熱領域を1分以上60分以下の時間で通過させることにより、前記急冷合金に対する熱処理を行う工程と、
    を包含し、
    前記熱処理工程により、平均結晶粒径が10nm以上200nm以下のR2Fe14B型結晶相と、平均結晶粒径が1nm以上50nm以下であり、かつ、前記R2Fe14B型結晶相の平均結晶粒径よりも小さい鉄基硼化物相とを含有し、前記R 2 Fe 14 B型結晶相と前記鉄基硼化物相とが磁気的に結合しているナノコンポジット磁石組織を形成する、鉄基希土類ナノコンポジット磁石の製造方法。
  4. 前記炉は、前記急冷合金が所定速度で前記加熱領域内を通過するように前記急冷合金を搬送する手段を備えている、請求項1に記載の鉄基希土類ナノコンポジット磁石の製造方法。
  5. 前記冷却工程は、圧力30kPa以上の雰囲気ガス中で前記合金の溶湯を急冷し、平均粒径80nm以下のR2Fe14B型結晶相を含む急冷合金を作製することを含む、請求項1から4のいずれかに記載の鉄基希土類ナノコンポジット磁石の製造方法。
  6. 前記硼化物相は、強磁性の鉄基硼化物を含んでいる請求項1に記載の鉄基希土類ナノコンポジット磁石の製造方法。
  7. 前記鉄基硼化物は、Fe3Bおよび/またはFe236を含んでいる請求項6に記載の鉄基希土類ナノコンポジット磁石の製造方法。
  8. ストリップキャスト法を用いて前記合金の溶湯を冷却する請求項1から7のいずれかに記載の鉄基希土類ナノコンポジット磁石の製造方法。
  9. 前記熱処理工程の前および/または後に、前記合金を粉末化する工程を更に包含する請求項1から8のいずれかに記載の鉄基希土類ナノコンポジット磁石の製造方法。
  10. 粉末化された前記合金に表面処理を施す工程を更に包含する請求項9に記載の鉄基希土類ナノコンポジット磁石の製造方法。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の鉄基希土類ナノコンポジット磁石の製造方法によって作製された鉄基希土類ナノコンポジット磁石の粉末を用意する工程と、
    前記鉄基希土類ナノコンポジット磁石の粉末を用いてボンド磁石を作製する工程と
    を包含するボンド磁石の製造方法。
  12. 前記ボンド磁石に表面処理を行う工程を更に包含する請求項11に記載のボンド磁石の製造方法。
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