JP2000234137A - ナノコンポジット磁石用原料合金、その粉末および製造方法、ならびにナノコンポジット磁石粉末および磁石の製造方法 - Google Patents

ナノコンポジット磁石用原料合金、その粉末および製造方法、ならびにナノコンポジット磁石粉末および磁石の製造方法

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JP2000234137A JP11291439A JP29143999A JP2000234137A JP 2000234137 A JP2000234137 A JP 2000234137A JP 11291439 A JP11291439 A JP 11291439A JP 29143999 A JP29143999 A JP 29143999A JP 2000234137 A JP2000234137 A JP 2000234137A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 結晶化反応熱を少なくし、それによって微細
かつ均質な金属組織を持った磁石粉末を再現性良く効率
的に製造するのに適したナノコンポジット磁石用原料合
金(粉末)およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 一般式がFe100−x−y
Fe100−x−y−zCo、Fe
100−x−y−u、またはFe
100−x−y−z−uCoで表される
ナノコンポジット磁石用原料合金である。RはPrおよ
びNdの一方または両方の元素を90原子%以上含有
し、残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の
元素を0%以上10%未満含有する希土類元素であり、
MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、
Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、P
b、AuおよびAgからなる群から選択された一種以上
の元素である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、FeB化合物の
微結晶およびFe−R−B系化合物の微結晶が混在した
ナノコンポジット磁石の製造方法に関する。特に、ナノ
コンポジット磁石を製造するための原料合金およびその
粉末、原料合金の製造方法、ならびにナノコンポジット
磁石粉末やナノコンポジット磁石の製造方法に関する。
また、本発明はナノコンポジット磁石を備えたモータに
も関する。
【0002】
【従来の技術】FeB/NdFe14B系ナノコン
ポジット磁石は、ソフト磁性相であるFeB微結晶と
ハード磁性相であるNdFe14B微結晶が均一に分
布し、交換相互作用によって両者が磁気的に結合した磁
石である。これらの微結晶はナノメートル(nm)オー
ダーのサイズを持ち、両微結晶相が複合化した組織(ナ
ノコンポジット組織)を構成していることから、「ナノ
コンポジット磁石」と呼ばれている。
【0003】ナノコンポジット磁石は、ソフト磁性相を
含みながらも、ハード磁性相との磁気的結合によって優
れた磁石特性を発揮することができる。また、Nd等の
希土類元素を含まないソフト磁性相が存在する結果、全
体として希土類元素の含有量が低く抑えられる。このこ
とは、磁石の製造コストを低減し、磁石を安定に供給す
るうえでも好都合である。
【0004】このようなナノコンポジット磁石は、溶融
した原料合金を急冷し、それによっていったん非晶質化
した後、熱処理によって微結晶を析出させるという方法
を用いて製造される。
【0005】非晶質状態の合金は片ロール法などのメル
トスピニング技術を用いて作製されれるのが一般的であ
る。メルトスピニング技術は、回転する冷却ロールの外
周表面上に溶湯状原料合金を流下し、溶湯原料合金を冷
却ロールと短時間だけ接触させることによって原料合金
を急冷・凝固させるものである。この方法による場合、
冷却速度の制御は冷却ロールの回転周速度を調節するこ
とによって行われる。
【0006】凝固し、冷却ロールから離れた合金は、周
速度方向に薄く且つ長く延びたリボン(薄帯)形状にな
る。この合金薄帯は破断機によって破砕され薄片化した
のち、粉砕機によってより細かいサイズに粉砕されて粉
末化される。
【0007】その後、結晶化のための熱処理が行われ
る。この熱処理によって、FeB微結晶およびNd
Fe14B微結晶が生成され、両者は交換相互作用によ
って磁気的に結合することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】熱処理によってどのよ
うな金属組織を形成するかが磁石特性を向上させる上で
重要である。しかし、この熱処理は制御性および再現性
の観点で幾つかの問題点を有していた。すなわち、非晶
質原料合金の結晶化反応で短時間に大きな熱が発生する
結果、熱処理装置による合金温度の制御が困難であると
いう問題があった。特に、大量の原料合金粉末に対して
熱処理を施そうとする場合、その温度制御が不能状態に
陥りやすかったため、少量ずつの原料合金粉末に対して
しか熱処理を施せなくなり、処理レート(単位時間あた
りの粉末処理量)が低下してしまうという問題があっ
た。このことは、磁石粉末の量産化にとって大きな支障
となっていた。
【0009】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、結晶化反応熱を少なくし、そ
れによって微細かつ均質な金属組織を持った磁石粉末を
再現性良く効率的に製造するのに適したナノコンポジッ
ト磁石用原料合金(粉末)およびその製造方法を提供す
ることにある。
【0010】また、本発明の他の目的は、磁石性能に優
れたナノコンポジット磁石粉末の製造方法およびナノコ
ンポジット磁石の製造方法を提供することにある。
【0011】本発明の更に他の目的は、このように優れ
た特性を持つナノコンポジット磁石を備えたモータを提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によるナノコンポ
ジット磁石用原料合金は、一般式がFe100−x−y
、Fe100−x−y−zCo、F
100−x−y−u、またはFe
100−x−y−z−uCoで表される
ナノコンポジット磁石用原料合金であって、RはPrお
よびNdの一方または両方の元素を90原子%以上含有
し、残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の
元素を0%以上10%未満含有する希土類元素であり、
MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、
Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、P
b、AuおよびAgからなる群から選択された一種以上
の元素であり、組成比x、y、zおよびuが、2≦x≦
6、16≦y≦20、0.2≦z≦7、0.01≦u≦
7を満足し、しかも、X線回折におけるブラッグ反射ピ
ークが0.179nm±0.005nmの結晶面間隔に
相当する位置にある準安定相Zを含有し、前記ブラッグ
反射ピークの強度がハローパターンの最高強度の5%以
上200%未満であり、かつ、体心立方型Feの(11
0)ブラッグ散乱ピークの強度が前記ハローパターンの
最高強度の5%未満である。
【0013】本発明によるナノコンポジット磁石用原料
合金粉末は、一般式がFe100−x−y、F
100−x−y−zCo、Fe
100−x−y−z−u、またはFe
100−x−y−z−uCoで表される
ナノコンポジット磁石用原料合金粉末であって、 Rは
PrおよびNdの一方または両方の元素を90原子%以
上含有し、残部が他のランタン系列元素またはYの一種
以上の元素を0%以上10%未満含有する希土類元素で
あり、MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、
Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、P
t、Pb、AuおよびAgからなる群から選択された一
種以上の元素であり、組成比x、y、zおよびuが、2
≦x≦6、16≦y≦20、0.2≦z≦7、0.01
≦u≦7を満足し、しかも、X線回折におけるブラッグ
反射ピークが0.179nm±0.005nmの結晶面
間隔に相当する位置にある準安定相Zを含有し、前記ブ
ラッグ反射ピークの強度がハローパターンの最高強度の
5%以上200%未満であり、かつ、体心立方型Feの
(110)ブラッグ散乱ピークの強度が前記ハローパタ
ーンの最高強度の5%未満である。
【0014】ナノコンポジット磁石用原料合金の製造方
法は、一般式がFe100−x−y、Fe
100−x−y−zCo、Fe
100−x−y−u、またはFe
100−x−y−z−uCoで表される
ナノコンポジット磁石用原料合金であって、RはPrお
よびNdの一方または両方の元素を90原子%以上含有
し、残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の
元素を0%以上10%未満含有する希土類元素であり、
MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、
Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、P
b、AuおよびAgからなる群から選択された一種以上
の元素であり、組成比x、y、zおよびuが、2≦x≦
6、16≦y≦20、0.2≦z≦7、および0.01
≦u≦7を満足するナノコンポジット磁石用原料合金を
製造する方法において、前記原料合金の溶湯を形成する
工程と、前記溶湯を急冷凝固させる工程とを包含し、前
記急冷凝固工程に際して前記合金の冷却速度を調整する
ことによって、X線回折におけるブラッグ反射ピークが
0.179nm±0.005nmの結晶面間隔に相当す
る位置にある準安定相Zを凝固後の原料合金が含有し、
しかも、前記ブラッグ反射ピークの強度がハローパター
ンの最高強度の5%以上200%未満であり、かつ、体
心立方型Feの(110)ブラッグ散乱ピークの強度が
前記ハローパターンの最高強度の5%未満にする。
【0015】前記急冷凝固された原料合金から粉末を作
製する工程を更に包含していてもよい。
【0016】前記急冷凝固工程において、前記合金の冷
却速度を5×10〜5×10K/秒とし、急冷前の
合金の温度Tmから400〜800℃だけ低い温度に合
金の温度を低下させることが好ましい。
【0017】本発明によるナノコンポジット磁石粉末の
製造方法は、一般式がFe100−x−y、F
100−x−y−zCo、Fe
100−x−y−u、またはFe
100−x−y−z−uCoで表される
ナノコンポジット磁石用合金であって、RはPrおよび
Ndの一方または両方の元素を90原子%以上含有し、
残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の元素
を0%以上10%未満含有する希土類元素であり、Mは
Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、G
a、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、
AuおよびAgからなる群から選択された一種以上の元
素であり、組成比x、y、zおよびuが、2≦x≦6、
16≦y≦20、0.2≦z≦7、および0.01≦u
≦7を満足し、しかも、X線回折におけるブラッグ反射
ピークが0.179nm±0.005nmの結晶面間隔
に相当する位置にある準安定相Zを含有し、前記ブラッ
グ反射ピークの強度がハローパターンの最高強度の5%
以上200%未満であり、かつ、体心立方型Feの(1
10)ブラッグ散乱ピークの強度が前記ハローパターン
の最高強度の5%未満であるナノコンポジット磁石用原
料合金の粉末を用意する工程と、前記ナノコンポジット
磁石用原料合金の粉末に対して熱処理を施し、それによ
って、FeB化合物およびFe−R−B系化合物の結
晶化を実行する工程とを包含する。
【0018】前記ナノコンポジット磁石用原料合金の粉
末を用意する工程は、前記原料合金の溶湯を形成する工
程と、前記溶湯を急冷凝固させる工程と、前記急冷凝固
された原料合金を破砕する工程と、前記原料合金を粉砕
する工程とを包含し、前記急冷凝固工程において、前記
合金の冷却速度を5×10〜5×10K/秒とし、
急冷前の合金の温度Tmから400〜800℃だけ低い
温度に合金の温度を低下させることが好ましい。
【0019】本発明によるナノコンポジット磁石の製造
方法は、一般式がFe100−x−y、Fe
100−x−y−zCo、Fe
100−x−y−u、またはFe
100−x−y−z−uCoで表される
ナノコンポジット磁石用合金であって、RはPrおよび
Ndの一方または両方の元素を90原子%以上含有し、
残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の元素
を0%以上10%未満含有する希土類元素であり、Mは
Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、G
a、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、
AuおよびAgからなる群から選択された一種以上の元
素であり、組成比x、y、zおよびuが、2≦x≦6、
16≦y≦20、0.2≦z≦7.0、0.01≦u≦
7を満足し、しかも、X線回折におけるブラッグ反射ピ
ークが0.179nm±0.005nmの結晶面間隔に
相当する位置にある準安定相Zを含有し、前記ブラッグ
反射ピークの強度がハローパターンの最高強度の5%以
上200%未満であり、かつ、体心立方型Feの(11
0)ブラッグ散乱ピークの強度が前記ハローパターンの
最高強度の5%未満であるナノコンポジット磁石用原料
合金の粉末を用意する工程と、前記ナノコンポジット磁
石用原料合金の粉末に対して熱処理を施し、それによっ
て、FeB化合物およびFe−R−B系化合物の結晶
化を実行する工程と、前記熱処理後の原料合金の粉末を
用いて成形体を形成する工程とを包含する。
【0020】前記ナノコンポジット磁石用原料合金の粉
末を用意する工程は、前記原料合金の溶湯を形成する工
程と、前記溶湯を急冷凝固させる工程と、前記急冷凝固
された原料合金を破砕する工程と、前記原料合金を粉砕
する工程とを包含し、前記急冷凝固工程において、前記
合金の冷却速度を5×10〜5×10K/秒とし、
急冷前の合金の温度Tmから400〜800℃だけ低い
温度に合金の温度を低下させることが好ましい。
【0021】好ましい実施形態では、前記成形体を形成
する工程は、前記熱処理後の原料合金の粉末を用いてボ
ンド磁石を作製する工程を含む。
【0022】本発明によるモータは、上記ナノコンポジ
ット磁石の製造方法によって製造されたナノコンポジッ
ト磁石を備えている。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明では、一般式がFe
100−x−y、Fe100−x−y−z
Co、Fe100−x−y−u、ま
たはFe100−x−y−z−uCo
何れかで表されるナノコンポジット磁石用合金の溶湯を
作製した後、その合金溶湯を急冷して凝固する。
【0024】ここで、RはPrおよびNdの一方または
両方の元素を90原子%以上含有し、残部が他のランタ
ン系列元素またはYの一種以上の元素を0%以上10%
未満含有する希土類元素であり、MはAl、Si、T
i、V、Cr、Mn、Ni、CU、Ga、Zr、Nb、
Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、AuおよびAgか
らなる群から選択された一種以上の元素である。組成比
x、y、zおよびuは、2≦x≦6、16≦y≦20、
0.2≦z≦7、および0.01≦u≦7を満足する。
これらの組成限定理由については後述する。
【0025】本発明者は、合金溶湯の冷却凝固に際し
て、その冷却速度を5×10〜5×10K/秒とす
ることが好ましいことを見いだした。また、このような
冷却速度にて冷却凝固した合金およびその粉末は、次に
述べるような金属ガラス状態にあることがわかった。す
なわち、粉末X線回折におけるブラッグ散乱ピークが
0.179nm±0.005nmの結晶面間隔に相当す
る位置にある準安定相Zを含有し、ブラッグ反射ピーク
の強度がハローパターンの最高強度の5%以上200%
未満であり、かつ、体心立方型Feの(110)ブラッ
グ散乱ピークの強度が前記ハローパターンの最高強度の
5%未満である。
【0026】このような原料合金またはその粉末に対し
て熱処理を施すと、それによって、FeB微結晶およ
びR−Fe−B系微結晶の結晶化が生じ、優れた磁石特
性を持ったナノコンポジット磁石構造が発現することに
なる。
【0027】本発明の原料合金は、結晶化のための熱処
理を受ける前において金属ガラス構造を有しており、長
距離の周期的秩序性を示していないことが粉末X線回折
から確認されている。本願発明者の実験によれば、合金
溶湯の冷却速度を前述のようにして調節することによっ
て、上記準安定相Zを含む金属ガラス状合金を形成する
ことができ、その後の熱処理によって極めて優れた磁気
特性が発揮されることになる。
【0028】本発明の金属ガラス合金を用いて製造した
磁石が磁石特性に優れる第1の理由は、上述の金属ガラ
ス状態にある合金中において、FeB等の結晶成長に
必要な微小前駆体(エンブリオ)が高密度で分散してい
るためと考えられる。そのため、熱処理を行うと、合金
中に存在する多数の前駆体が示す短距離秩序を核として
結晶成長が進行し、その結果、微細かつ均質な結晶組織
が形成されることになる。またFeBの結晶化が極短
範囲の原子拡散によって進行するため、その結晶化を比
較的低い温度で達成することが可能になるという利点も
ある。
【0029】FeBの結晶化は590〜600℃の温
度で生じる。この結晶化の進展に伴って、Nd等の希土
類元素がFeBの周囲の非晶質領域にはき出され、そ
の部分の組成がNdFe14Bに近づく。その結果、
NdFe14Bは複雑な構造を持つ三元化合物である
にもかかわらず、長距離の原子拡散を必要とすることな
く、結晶化する。NdFe14Bが結晶化する温度
は、FeBの結晶化が完了する温度よりも約20〜9
0℃だけ高く、約610〜690℃である。
【0030】このように本発明による原料合金では、F
Bの結晶化とNdFe14Bの結晶化とを異なる
温度範囲で別々に実行できるため、結晶化に伴う大きな
反応熱が短時間に生じることがなく、20nm程度の微
細な金属組織を再現性良く生成することができる。この
ことは、合金結晶化のための熱処理工程を制御する上で
重要である。すなわち、大きな反応熱を伴い結晶化が一
挙に進展してしまうと、合金の温度を所定範囲内に制御
することができなくなるからである。
【0031】準安定相Zは、その実際の構造がまだ確認
されていないが、X線回折で特定位置に急峻な回折線ピ
ークを持つため、その存在を定量的に把握することがで
きる。準安定相Zは、0.179nm±0.005nm
の結晶面間隔に相当する位置に鋭いブラッグ散乱ピーク
を示し、また、0.417nm±0.005nmの結晶
面間隔および0.267nm±0.005nmの結晶面
間隔に相当する位置にも、ほぼ同レベルのブラッグ散乱
ピークを示す。また、これらに加えて0.134nm±
0.005nmにもブラッグピークを示すことがある。
【0032】急冷凝固後に合金中に存在した準安定相Z
は、磁石化のための熱処理によって熱分解して最終的に
は準安定相FeBを生成するものと考えられる。この
過程は、FeBの不均一核の生成が最も頻繁に生じる
温度よりも低い温度であって、比較的に広い範囲の温度
で進行すると考えられる。
【0033】準安定相Zは急冷凝固時の冷却速度が比較
的に小さい場合に凝固薄帯の表面付近に形成され、冷却
速度が従来の急冷凝固方法の場合のように大きい場合に
は生成されない特徴を有している。本発明では、準安定
相Zを適切な量だけ生成するように冷却速度を調整して
いる。すなわち、本発明では、適切な冷却速度を決定す
る場合の指標として、準安定相Zの存在を利用してい
る。合金の組成を変更したり、冷却装置を変更した場合
でも、準安定相Zの生成量を基に冷却速度を設定しなお
せば、本発明の原料合金として最適な状態のものが簡単
に得られる。なお、準安定相Z自体が微結晶化にとって
大きな役割を果たしているか否かは不明である。ただ、
準安定相Zがある割合で形成されるように急冷条件を制
御すれば、その後の熱処理で高い磁気特性が得られるこ
とがわかっている。
【0034】以下、冷却速度が所定範囲から外れた場合
に何が生じるかを説明する。
【0035】まず、冷却速度が速すぎる場合を説明す
る。
【0036】冷却速度が速すぎると、合金はほぼ完全な
非晶質状態になる。その場合、FeBの不均一核が生
成するサイトの数が極めて少ないため、あとの熱処理で
FeBの結晶粒が大きく成長することになる。その結
果、微細な結晶組織を形成できず、保磁力などが低下
し、優れた磁気特性が発揮されなくなる。
【0037】このように冷却速度が速すぎる場合、準安
定相Zの生成が抑制される。その存在比率をX線回折に
おけるブラッグ散乱ピークの強度で評価すると、準安定
相Zによるブラッグ散乱ピーク強度はハローパターンの
最高強度の5%未満になり、ほとんど観察されないレベ
ルにある。この場合、FeB結晶化のための核を発生
するために大きな駆動力が必要となり、結晶化反応温度
が高温側に移動する。しかも、その場合いったん結晶化
反応が開始すると、結晶化反応が爆発的に進行するた
め、短時間に大量の熱が発生して原料合金温度が高くな
る。その結果、原子拡散が高速で生じるレベルにまで原
料合金温度が上昇して反応工程の制御性を失い、粗大な
金属組織しか得られなくなってしまう。
【0038】上記結晶化のための熱処理を連続熱処理法
を用いて行う場合、単位時間あたりの原料合金粉末供給
量を低く抑え、結晶化反応熱が熱拡散によって周囲に逸
散できるようにする必要がある。連続熱処理法に代えて
バッチ処理法による場合も、同様の理由から、原料合金
粉末の処理量を大きく制限する必要がある。
【0039】次に、冷却速度が遅すぎる場合を説明す
る。
【0040】冷却速度が遅すぎると、周期的規則性が長
範囲にわたって形成される。多くの場合、安定相である
Feが結晶化してしまう。このように冷却速度が遅すぎ
ると、結晶相のブラッグ反射ピークの強度がハローパタ
ーンの上に重なって観察されるようになる。体心立方型
Feの最強線である(110)ブラッグ散乱ピークが面
間隔0.203nmの位置に観測され、その強度がハロ
ーパターンの最高強度の5%以上となった場合、「冷却
速度は遅すぎる」と判断できる。Feは生成時点では高
温相のガンマ鉄である可能性があるが、室温では体心立
方鉄に変態している。
【0041】最後に、Feの結晶核が生成する程には冷
却速度が遅くないが、好ましい冷却速度には達していな
い場合を説明する。この場合、結晶核エンブリオが既に
大きな組織に成長してしまっているため、あとの熱処理
工程で微細な結晶組織を形成することができなくなる。
この場合の合金は準安定相Zを多く含んでおり、粉末X
線回折によると、準安定相Zのブラッグ反射ピークの強
度が極めて高くなり、ハローパターンの最高強度の20
0%を超える。
【0042】このように準安定相Zの比率が非常に大き
な状態の原料合金は、あとの熱処理によって粗大な金属
組織しか生成することができなくなる。その理由は、F
Bの核発生サイトが減少するとともに、平衡相であ
るFeの結晶粒成長が優先的に生じるからである。熱処
理後の金属組織が粗大化すると、FeBやFeの磁化
方向とNdFe14Bの磁化方向との間の交換相互作
用を介した磁気的結合が不充分となる。その結果、本来
のナノコンポジット磁石が持つ高い磁気特性を発現させ
られなくなる。
【0043】本発明によるナノコンポジット磁石用原料
合金の特質を整理すると、下記の通りになる。
【0044】1.FeBの結晶化が極短範囲の原子拡
散で進行するため、FeBの結晶化が比較的低温で開
始する。その結果、結晶化反応速度が過度に速くなるこ
とはない。
【0045】2.FeBの結晶化核が高密度で分散
し、かつ熱平衡相が粗大に結晶化しないため、微細な結
晶化金属組織を形成することができる。
【0046】3.大きな結晶化反応熱を伴うことなく、
結晶化を制御性良く実行させることができるようにな
る。その結果、磁石特性を劣化させることなく、熱処理
工程での原料粉末処理量を増大させることができる。
【0047】4.FeBの結晶化に必要な結晶核が原
料合金中に高密度で存在するため、磁石化熱処理によっ
て微細かつ均一な金属組織を形成することができる。こ
のことは、高い磁石特性の発現を可能にする。
【0048】冷却速度を5×10〜5×10K/秒
にするには、回転する冷却ロールの外周表面に溶湯を接
触させて急速に抜熱し、溶湯の一部を高速凝固させると
ともに、高速凝固によってできた合金薄帯を速やかに溶
湯から引き離すことが必要である。そうすることによっ
て溶湯から合金薄帯への熱の流入を遮断し、さらに抜熱
することができる。これにより、合金薄帯中で結晶化相
変態あるいは過度の構造緩和が起こることを阻止でき
る。なお、適度の構造緩和は準安定相の生成のために必
要である。
【0049】このような高速凝固を工業的かつ定常的に
安定した状態で行うには、回転しているロールに対して
一定量の溶湯を供給することが必要である。そのために
は、溶湯の供給源とロール表面との間に溶湯の溜まり
(リザーバーとして働く)を安定的に形成させることが
好ましい。このような溶湯の溜まりは、例えば融点以上
に加熱したノズルオリフィスを通して一定範囲内の圧力
で溶湯を整流化して噴射すれば形成できる(第1の急冷
凝固方法)。こうして形成した溶湯の溜まりは、通常、
「パドル」または「フット」と称される。
【0050】溶湯の溜まりを形成する方法は他にもあ
る。例えば、回転する冷却ロールの外周近傍に耐火物を
配置し、耐火物とロール表面との間に上方(ロール表面
の移動方向)に開放された空間を形成する。この空間内
に溶湯を注いで湯だまりを生成することによってロール
外周面に溶湯を接触させ、回転するロール外周面上に溶
湯の急冷凝固物を生成せしめる。この凝固物をロール外
周面と共に上方に移動させて湯だまりから引き上げる方
法によっても達成される(第2の急冷凝固方法)。
【0051】次に、第3の急冷凝固方法を説明する。ま
ず、一対のロールを外周面が対抗するようにして設置
し、両ロール間に狭い隙間を設定する。この隙間をロー
ル側面から挟み込むようにして耐火物壁を配置し、これ
らによって上方に解放された空間を形成する。この隙間
空間内に定常的に溶湯を注ぎ、回転するロール表面に溶
湯を接触させることによって急冷凝固物を生成する。こ
のとき、ロール間の隙間部分でロール表面が下方に向か
うようにロールを回転させ、ロール間の隙間から下方に
向けて急冷凝固物を排出する。第3の急冷凝固方法で
は、数対の回転ロールを更に下方に設け、多段で抜熱す
ることも可能である。
【0052】上記の各急冷方法に対し、溶湯溜まりの生
成を必要としない方法もある。それは、回転するロール
に向かって溶湯の噴霧流をぶつけ、急速に凝固させる方
法(第4の急冷凝固方法)である。しかしながら、この
ような方法では、ロール表面にたたきつけられる溶湯液
滴の体積及び速度に依存して急冷凝固速度が変化してし
まう。しかも、溶湯液滴の体積及び速度は数倍〜数十倍
の範囲で分布するため、前述した第1〜第3の急冷凝固
方法に比べて急冷速度の分布範囲が広くなる傾向があ
る。その結果、操業条件の設定を経験的に決める必要が
ある。
【0053】なお、上記の急冷凝固方法では、何れの場
合でもロール内部に水などを流すことによってロール自
体を冷却し、ロール外周面の温度を一定値に保持するこ
とが好ましい。
【0054】本発明では、急冷前の合金温度(溶湯温
度)Tmから400〜800℃だけ低い温度に合金の温
度を低下させる。上述の回転ロールを用いる何れの方法
においても、溶湯の溜まりとロール外周面との接触長さ
は工学的観点からある一定値以上にすることが困難であ
る。すなわち、第1の急冷凝固方法の場合、溶湯溜まり
の大きさを成る一定範囲以上にすると、溶湯溜まりの生
成状態が不安定となり、定常状態を維持できなくなる。
第2の急冷凝固方法では、溶湯溜まりのための空間を設
けているため、この上限値は幾らか緩和されるが、ロー
ルと溶湯との接触長さが長くなると、凝固物に溶湯から
の熱の流入が継続されるため、凝固物の構造に変化が生
じるようになる。これらの観点から、工業的操業におい
ては接触長さを約5mm以上50mm以下にすることが
好ましい。
【0055】ロール表面の移動速度は、上記接触長さを
規定する接触領域内において所望の冷却速度を達成する
ように調整される。好ましいロール表面の移動速度は、
第1の急冷凝固方法の場合6〜20m/秒程度であり、
第2の急冷凝固方法の場合2〜8m/秒程度である。し
たがって、接触長さが10mm、表面速度が6m/秒の
場合、1200℃から800℃まで冷却すれば、2.4
×10K/秒の冷却速度が得られることになる。
【0056】冷却条件及び溶湯とロールとの接触長さか
ら要求される最低のロール表面速度は、例えば接触長さ
5mmの場合、1200℃から800℃までの幅400
Kの温度区間を最低冷却速度5×10K/秒で冷却す
る条件に相当する。接触時間は400K÷5×10
/秒から8m/秒であることが要求されるので、最低ロ
ール表面速度は5mm÷8m/秒から約0.63m/秒
となる。一方、最高のロール周速度は、例えば接触長さ
50mmで1200℃から400℃までの幅800Kの
温度区間を5×10K/秒で冷却することに相当し、
同様にして、312.5m/秒となる。
【0057】ロール表面速度が遅いと、溶湯供給レート
変動の影響を受けやすくなるため望ましくない。また、
ロール表面速度が速すぎると、溶湯溜まりを攪乱して定
常状態の維持が困難になるうえ、ロールが高速回転によ
る遠心力に耐えるように機械強度を高める必要が生じる
ため、好ましくない。従って、上述のように、安定した
工業的操業を実現するためには、第1の急冷方法では通
常6〜20m/秒程度、第2の急冷方法では2〜8m/
秒程度が好ましい。
【0058】冷却速度5×10〜5×10K/秒で
上述の方法により得られた合金の厚さは、通常70〜3
00μm程度の範囲内にある。急冷凝固における凝固界
面の移動速度は溶湯とロール表面との伝熱係数により変
化するが、本合金系では50mm/秒〜100mm/秒
の程度である。従って、合金薄帯の厚さは、例えば接触
長が10mmで表面速度6m/秒で1200℃から80
0℃まで冷却すれば、接触時間が0.167m/秒であ
るから、約80μm〜170μmである。
【0059】以下、図面を参照しながら、本発明の実施
形態を説明する。
【0060】[原料合金およびその粉末の製造方法]本
実施形態では、図1(a)および(b)に示す装置を用
いて原料合金を製造する。酸化しやすい希土類元素を含
む原料合金の酸化を防ぐため、不活性ガス雰囲気中で合
金製造工程を実行する。不活性ガスとしては、ヘリウム
またはアルゴン等の希ガスを用いることが好ましい。窒
素は希土類元素と反応しやすいため、不活性ガスとして
用いることは好ましくない。
【0061】図1の装置は、真空または不活性ガス雰囲
気を保持し、その圧力を調整することが可能な原料合金
の溶解室1および急冷室2を備えている。
【0062】溶解室1は、所望の磁石合金組成になるよ
うに配合された原料20を高温にて溶解する溶解炉3
と、底部に出湯ノズル5を有する貯湯容器4と、大気の
進入を抑制しつつ配合原料を溶解炉3内に供給するため
の配合原料供給装置8とを備えている。貯湯容器4は原
料合金の溶湯21を貯え、その出湯温度を所定のレベル
に維持できる加熱装置(不図示)を有している。
【0063】急冷室2は、出湯ノズル5から出た溶湯2
1を急冷凝固するための回転冷却ロール7と、これによ
って急冷凝固された原料合金を急冷室2内で破砕する破
断機10とを備えている。この装置によれば、溶解、出
湯、急冷凝固、破断等を連続かつ平行して実行すること
ができる。このような装置は、例えば特開平8−277
403号公報に詳しく記載されている。
【0064】この装置においては、溶解室1および急冷
室2内の雰囲気およびその圧力が所定の範囲に制御され
る。そのために、雰囲気ガス供給口1b、2b、8b、
および9bとガス排気口1a、2a、8a、および9a
とが装置の適切な箇所に設けられている。
【0065】溶解炉3は傾動可能であり、ロート6を介
して溶湯21を貯湯容器4内に適宜注ぎ込む。溶湯21
は貯湯容器4内において不図示の加熱装置によって加熱
される。
【0066】貯湯容器4の出湯ノズル5は、溶解室1と
急冷室2との隔壁に配置され、貯湯容器4内の溶湯21
を下方に位置する冷却ロール7の表面に流下させる。出
湯ノズル5のオリフィス径は、例えば0.5〜2.0m
mである。溶湯21の粘性が大きい場合、溶湯21は出
湯ノズル5内を流れにくくなるが、溶解室1と急冷室2
との間に適当な大きさの圧力差を形成することによっ
て、溶湯21の出湯をスムーズに実行するこができる。
【0067】冷却ロール7の表面は例えばクロムめっき
層で覆われており、冷却ロール7の直径は例えば300
〜500mmである。冷却ロール7内に設けた水冷装置
の水冷能力は、単位時間あたりの凝固潜熱と出湯量とに
応じて算出し、調節される。
【0068】本装置によれば、例えば合計20kgの原
料合金を20〜40分間で急冷凝固させることができ
る。こうして形成した合金は、破断前においては、厚
さ:70〜150μm、幅:1.5〜6mmの合金薄帯
(合金リボン)22であるが、破断装置10によって長
さ2〜150mm程度の合金薄片23に破砕されたの
ち、回収機構部9によって回収される。図示している装
置例では、回収機構部9に圧縮機11を備え付けてお
り、それによって薄片23を圧縮することができる。
【0069】次に、図1の装置を用いた原料合金の製造
方法を説明する。
【0070】まず、一般式がFe100−x−y
、Fe100−x−y−zCo、Fe
100−x−y−u、またはFe
100−x−y−z−uCoの何れかで
表されるナノコンポジット磁石用合金の溶湯21を作製
し、溶解室1の貯湯容器4に貯える。ここで、R、M、
組成比x、y、zおよびuの範囲などは、前述した通り
である。
【0071】次に、この溶湯21は出湯ノズル5から水
冷ロール7上に出湯され、水冷ロール7との接触によっ
て急冷され、凝固する。急冷凝固方法としては、冷却速
度の高精度の制御が可能な方法を用いる必要があり、本
実施形態では液体急冷法の一つである片ロール法を用い
ている。急冷凝固のためには、この他にガスアトマイズ
法を用いることも可能であるが、この方法によれば冷却
速度が粉末粒径に大きく依存して変化し、適切な冷却速
度を経た粉末粒子の収率を高められないため、本発明に
は不適当である。
【0072】本実施形態では、溶湯21の冷却凝固に際
して、冷却速度を5×10〜5×10K/秒とす
る。この冷却速度で合金の温度を△T1だけ低い温度に
低下させる。急冷前の合金溶湯21の温度は融点Tmに
近い温度(例えば1200〜1300℃)にあるため、
合金の温度は冷却ロール7上でTmから(Tm−△T
1)にまで低下する。本願発明者の実験によれば、最終
的な磁石特性を向上させるという観点から△T1は40
0〜800℃の範囲内にあることが好ましい。
【0073】合金の溶湯21が冷却ロール7によって冷
却される時間は、回転する冷却ロール7の外周表面ら合
金が接触してから離れるまでの時間に相当し、本実施形
態の場合は0.5〜2ミリ秒である。その間に、合金の
温度は更に△T2だけ低下し、凝固する。その後、凝固
した合金は冷却ロール7から離れ、不活性雰囲気中を飛
行する。合金は薄帯状で飛行している間に雰囲気ガスに
熱を奪われる結果、その温度は(Tm−△T1−△T
2)に低下する。△T2は、装置のサイズや雰囲気ガス
の圧力によって変化するが、約100℃またはそれ以上
である。
【0074】本実施形態では、合金薄帯22の温度が
(Tm−△T1−△T2)になった段階で装置内で速や
かに破砕工程を実行し、その場で合金薄片23を作製す
る。そのため、(Tm−△T1−△T2)が合金のガラ
ス化温度Tgよりも低くなるように(△T1+△T2)
の大きさを調整することが好ましい。もし、(Tm−△
T1−△T2)≧Tgであれば、合金が軟化した状態に
あり、その破断が困難になるからである。凝固合金の破
断・粉砕工程を他の装置で別途実行する場合は、合金温
度が室温程度に低下するため、(△T1+△T2)の大
きさを考慮する必要はない。
【0075】なお、急冷室2内の絶対圧力は、2〜30
kPaの範囲内に設定することが好ましく、3〜10k
Paの範囲内に設定することが更に好ましい。このよう
な減圧状態で溶湯21を冷却ローラ7上に流下すれば、
溶湯21とローラ7の表面との間に雰囲気ガスがまき込
まれるおそれがなくなり、溶湯21の冷却速度を従来よ
り低くしても、冷却状態が均一化され、表面形状の優れ
た合金薄帯22が得られるからである。これに対して、
常圧雰囲気中において、本実施形態のように遅い周速度
で回転する冷却ローラ上に溶湯21を流下すると、合金
薄帯22の表面形状が劣化してしまうおそれがある。
【0076】また、本実施形態のように、急冷凝固工程
に引き続いて破砕装置による凝固合金の破砕工程を速や
かに実行すれば、長い合金リボンとして冷却ロールから
吐き出された急冷合金を比較的に狭い空間内でコンパク
トに回収することができる。急冷凝固装置と破砕装置と
を別構成にすると、いったん急冷合金を長い薄帯とし
て、かさばった状態で収納する必要が生じる。
【0077】破断装置によって破砕された合金薄片を公
知の機械的粉砕装置によって更に粉砕すれば、熱処理工
程やその後の成形工程に適した大きさの合金粉末を作製
することができる。本実施形態では、パワーミル装置で
約850μm以下となるまで合金の粗粉砕を行った後、
ピンディスクミル装置によって粒度が約150μm以下
となるまで粉砕する。
【0078】[ナノコンポジット磁石粉末の製造方法]
以下に、図2を参照しながら、上記原料合金粉末に対し
て行う熱処理方法を説明する。
【0079】図2は、フープベルトを用いた粉末焼成炉
装置を示している。この装置は、本体28によって回転
可能に支持された回転ロール24および25と、それら
の回転ロール24および25の回転によって一方向に所
定速度で駆動されるフープベルト26とを備えている。
原料合金の粉末はフープベルト26上の原料フィード位
置Aに供給され、図中左方に運搬される。フープベルト
26上に供給された粉末は、摺切板27によって均さ
れ、それによって粉末の高さが一定レベル以下(例えば
高さ2〜4mm)に調整される。その後、粉末は金属チ
ューブに囲まれた加熱ゾーンに入り、そこで微結晶化の
ための熱処理を受ける。加熱ゾーン(例えば長さ110
0mm)内には、例えば3ゾーンにわけて不図示のヒー
タが配置されている(1ゾーンの長さは例えば300m
m)。粉末は加熱ゾーン内を移動しながら、熱処理を受
けることになる。加熱ゾーンの後段には、例えば長さ8
00mmの冷却ゾーンCが存在し、粉末は水冷された金
属筒内を通過することによって冷却される。冷却された
粉末は、回転ローラ25の左下方で不図示の回収装置に
よって回収される。
【0080】この熱処理装置によれば、与えられた加熱
ゾーンの長さに対して、フープベルト26の移動速度を
調整することによって熱処理工程を制御することができ
る。
【0081】熱処理工程としては、例えば、昇温レート
100〜150℃/分にて熱処理温度590〜700℃
にまで上昇させ、その状態を5〜15分程度のあいだ保
持すればよい。その後、合金温度を降温レート100〜
150℃/分にて室温レベルまで低下させる。
【0082】なお、熱処理の処理粉末量を増大させるに
は、フープベルト26の幅を広くし、フープベルト26
の単位長さ当たりの粉末供給量を大きくする一方、加熱
ゾーンの長さを長くし、回転ローラ24および25の回
転周速度を早くすればよい。本発明による合金粉末によ
れば、熱処理に際して急激に大きな結晶化反応熱が生成
されないため、熱処理工程における合金粉末の温度制御
が容易である。その結果、粉末供給量を増加しても、安
定した磁気特性を持つ磁石粉末を作製できる。
【0083】上記熱処理装置による熱処理を受けた原料
粉末は、前述したように微結晶化し、ナノコンポジット
磁石としての特性を発揮できるようになる。こうして、
熱処理前においては金属ガラス状態にあり、硬質磁性材
料としての特性を示さなかった原料合金粉末が、熱処理
によって磁気特性に優れたナノコンポジット磁石合金粉
末に変化する。
【0084】[磁石の製造方法]以下に、上記ナノコン
ポジット磁石合金粉末から磁石を製造する方法を説明す
る。
【0085】まず、前述のようにして得られたナノコン
ポジット磁石合金粉末にエポキシ樹脂からなるバインダ
ーと添加剤とを加え、混練することによってコンパウン
ドを作製する。次に、コンパウドの所望形状の成形空間
を持つ成形装置によってプレス成形した後、加熱硬化工
程、洗浄工程、コーティング工程、検査工程、着磁工程
を経て、最終的なボンド磁石を得ることができる。
【0086】成形加工は、上述の圧縮成形に限定される
わけではなく、公知の押出成形、射出成形、または圧延
成形によってもよい。磁石粉末は、採用する成形法の種
類に応じてブラスチック樹脂やゴムと混練されることに
なる。
【0087】なお、射出成形による場合、樹脂として広
く使用されているポリイミド(ナイロン)の他、PPS
のように高軟化点樹脂を使用することができる。これ
は、本発明の磁石粉末が低希土類合金から形成されてい
るため、酸化されにくく、比較的に高い温度で射出成形
を行っても磁石特性が劣化しないからである。
【0088】また、本発明の磁石は酸化されにくいた
め、最終的な磁石表面を樹脂膜でコートする必要もな
い。従って、例えば、複雑な形状のスロットを持つ部品
のスロット内に射出成形によって本発明の磁石粉末およ
び溶融樹脂を圧入し、それによって複雑な形状の磁石を
一体的に備えた部品を製造することも可能である。
【0089】[モータ]次に、このようにして製造した
磁石を備えたモータの実施形態を説明する。
【0090】本実施形態のモータは、IPM(Inne
r Permanent Magnet)型モータであ
り、前述の製造方法によって作製したボンド磁石を一体
型ロータのスプリング磁石として用いる。
【0091】なお、本発明の磁石は、この種のモータ以
外にも、他の種類のモータやアクチュエータに好適に用
いられることは言うまでもない。
【0092】以下に、本発明の実施例および比較例を説
明する。
【0093】[第1の実施例]本実施例では、絶対圧力
が30kPa以下のアルゴン雰囲気中で前述の急冷凝固
工程を行った。冷却ロールとしては、厚さ5〜15μm
のクロムめっき層で覆われた銅合金製ロール(直径:3
50mm)を用いた。その銅合金製ロールを10m/秒
の周速度で回転しながら、その外周表面上に原料合金の
溶湯を流下し、急冷凝固させた。溶湯の温度は輻射温度
計で測定したところ、1300℃であった。溶湯は、オ
リフィスから毎秒10〜20gのレートで直径1.3〜
1.5mmにして落下させた。
【0094】表1に各実施例についての溶湯の組成、お
よびハローパターンの最高強度に対する準安定相Zのブ
ラッグ反射強度の比(%)を示す。表1からわかるよう
に、何れの実施例についても「ブラッグ反射強度の比」
が5〜200%の範囲内にあった。なお、表1におい
て、例えば「R」の欄に記載されている「Nd2.5+
Pr1」という表記は、希土類元素RとしてNdとPr
とを含み、それぞれの組成比が2.5原子%および1原
子%であることを意味している。
【0095】図3(a)は、番号2の実施例に関する粉
末X線回折パターンを示している。図3(a)からわか
るように、背景をなすハローパターンが2θ=約43°
において最高強度を示す一方、20=51.4°におい
て急峻な強度ピークが観察される。この急峻な強度ピー
クは、0.179nm±0.005nmの結晶面間隔に
相当する位置に現れたブラッグ散乱ピークである。この
ブラッグ散乱ピークは、準安定相Zによるものである。
他に、0.417nm±0.005nmの結晶面間隔、
および0.267nm±0.005nmの結晶面間隔に
相当する位置にも、準安定相Zによる回折線が観測され
る。
【0096】なお、上記の粉末X線回折パターンの観測
は、測定装置としてリガクRINT2000を用い、試
料とCuターゲットとの間にモノクロメータを設置して
実行した。
【0097】本実施例の原料合金を850μm以下の粒
径を持つ粉末に粉砕した後、図2の粉体焼成炉(試験
用:長さ2m)で原料合金粉末に熱処理を施した。原料
合金粉末は加熱ゾーンを10分間で通過した後、冷却ゾ
ーンCを10分間で通過した。熱処理雰囲気はアルゴン
ガスであり、単位面積あたり0.6g/cmの搭載密
度で原料合金粉末を供給した。単位時間あたりの処理量
を3kgとした場合の磁気特性と最適熱処理温度とを表
2に示す。
【0098】[比較例1]表3に示す組成を有する溶湯
を用いて、実施例と同様のプロセスを実行した。
【0099】実施例との相違点は溶湯の冷却速度にあ
り、この比較例では、ロール周速度を20m/秒とし
た。他の条件は、実施例の条件と実質的に同一である。
表3から、ハローパターンの最高強度に対する準安定相
Zのブラッグ反射強度の比(%)が5%未満であること
がわかる。
【0100】図3(b)は、番号2の実施例に関する粉
末X線回折パターンを示している。図3(b)からわか
るように、準安定相Zによるブラッグ散乱ピークが明瞭
には観測されなかった。
【0101】本比較例に関する最適熱処理温度および熱
処理後の磁気特性を表4に示す。熱処理装置および方法
は実施例の場合と同一である。表4から、保磁力が実施
例に比較して低く、磁石特性が劣っていることがわか
る。この原因は、熱処理の制御性がわるく、望ましい結
晶成長が実現していないためである。
【0102】実施例の磁石特性と同等の磁石特性を発現
させるには、熱処理時の粉末処理量を1時間あたり0.
7kgに低下させる必要があった。比較例の場合、熱処
理の制御性が低下しているため、合金粉末の量を少なく
して処理しない限り、所望の金属組織を持った磁石合金
を得ることができない。このことは、比較例は磁石化の
ための熱処理工程でスループットが劣っており、量産に
向いていないことを示している。
【0103】[比較例2]表5に示す組成を有する溶湯
を用いて、実施例と同様のプロセスを実行した。
【0104】実施例との相違点は冷却速度および溶湯の
流下量にある。この比較例では、ロール周速度を5m/
秒とし、毎秒20〜30gのレートで溶湯を落下させ
た。熱処理時の粉末処理量は、1時間あたり3kgとし
た。他の条件は、実施例の条件と実質的に同一である。
【0105】表5には、ハローパターンの最高強度に対
する準安定相Zのブラッグ反射強度の比(%)と、体心
立方型Feの(110)ブラッグ散乱ピークの強度の比
(%)が示されている。表5からわかるように、冷却速
度が遅すぎると、ハローパターンの最高強度に対する準
安定相Zのブラッグ反射強度の比(%)は200%を超
えている。
【0106】図4は、番号2の実施例に関する粉末X線
回折パターンを示している。図4からわかるように、準
安定相Zによるブラッグ散乱ピークは顕著に観測される
が、ハローパターンの強度が著しく低下している。
【0107】本比較例について、熱処理後の磁気特性と
最適熱処理温度とを表5に示す。熱処理装置および方法
は実施例の場合と同一である。表6から、保磁力が実施
例に比較して低く、磁石特性が劣っていることがわか
る。
【0108】熱処理時の粉末処理量を変化させても、実
施例の磁石特性と同等の磁石特性を発現させることはで
きなかった。このことから、冷却速度が遅すぎると、好
ましいナノコンポジット組成を得ることはできなくなる
ことがわかる。
【0109】[第2の実施例]以下、前述した第2の方
法による実施例を説明する。
【0110】本実施例では、図1の装置において、ノズ
ルオリフィスと回転ロールの相対位置を変更した。より
詳細には、冷却ロール7の中心を基準にして斜め45度
上方から樋を介して溶湯を傾注し、樋とロール外周面と
で囲まれる上方解放の空間(幅10mm)内で溶湯の深
さが5mm〜8mmとなるように制御しながら溶湯を急
冷凝固した。なお、本実施例で使用した原料合金の組成
は、表1および表3に記載されたものと同一である。
【0111】ロール表面と接触して凝固した合金薄帯
は、ロール7の回転に伴って上方に引き出され、ロール
7の頂上を過ぎた付近でロール7から剥がれて下方に落
下した。その後、合金薄帯は滑り台を介して粉砕機に導
入され、粉砕された。このときのロール周速度は5m/
秒であった。溶湯温度は湯だまりの位置で1200℃〜
1280℃であり、冷却時の雰囲気圧力は40kPa〜
50kPaであった。合金薄帯の温度は、波長帯域3〜
5μmの赤外線強度を測定し、鉄の黒体輻射を仮定して
ステファン・ボルツマン分布から推定した。こうして得
た合金薄帯の推定温度は、湯だまりから引き出された直
後に既に約800℃〜900℃まで低下していた。ま
た、得られた合金薄帯の厚さは100μm〜170μm
であった。凝固時の急冷速度は、溶湯とロールの接触長
さが湯の深さの1.4倍(1/cos45度)として、
1.3×10K/秒〜3.4×10K/秒と見積も
られた。
【0112】溶湯は湯だまりから引き上げられた後、さ
らに速やかに抜熱されるため、ロール7から剥離する時
点での合金薄帯温度は400〜500℃に低下してい
た。本実施例で使用した装置のロール径は350mmで
あったため、溶湯がロールに接触してから離れるまでの
時間はロールが1/8回転する時間に相当し、約20m
/秒であった。従って、溶湯のロール上での平均の冷却
速度は3.6×10K/秒〜4.5×10K/秒で
あったと見積もられる。
【0113】これらの合金のガラス化遷移温度は、非晶
質合金を20℃/分で加熱する条件で熱分析を行い、F
Bの結晶化温度(約590〜600℃)以下でガラ
ス遷移が観察される場合でもせいぜい約550℃〜58
0℃である。一方、そのような熱分析でガラス遷移が観
測されない場合は、ガラス化遷移温度は結晶化温度以上
であることになる。本実施例の場合、合金薄帯がロール
7から離れる時点における合金薄帯温度が400〜50
0℃であったため、合金薄帯はガラス化遷移温度以下に
急冷されてからロール7を離れたことがわかる。
【0114】このようにして得られた合金薄帯をX線回
折装置によりCu−Kα線を用いて測定した結果、図5
に示す回折パターンが得られた。この回折パターンにあ
る回折線は、図中に示したようにFe23相として
指数付けできるものであることが分かった。
【0115】この原料を図2に示した評価用熱処理炉を
用いて3kg/hの供給量で熱処理したところ、それぞ
れ表7に示す熱処理温度(炉の設定温度)において表7
に示す磁石特性が得られた。同一組成の合金について、
0.7kg/hの供給量で熱処理した比較例1と本実施
例とを比べると、本実施例の磁気特性が相対的に高いこ
とがわかる。言いかえると、本実施例の熱処理工程はス
ループットが高い。なお、表7の最左欄の番号は、表1
および表3に示されている番号に対応しており、同じ番
号は同一組成の原料合金を示している。
【0116】[第3の実施例]以下、前述した第3の方
法による実施例を説明する。
【0117】ロール径150mmの一対の炭素鋼製急冷
ロールをロール間距離が160μmとなるようにして相
対配置し、ロール間の隙間位置においてロール表面が下
方に移動するようにロールを同一速度で互いに逆方向に
回転させた。本実施例でも、ロール表面速度を5m/秒
とした。ロール側面に耐火物フェルトを介して耐火物の
堰を作り、溶湯が側面方向へ漏れないようにした。この
ようにして上方から石英ノズルオリフィスを通して溶湯
をロール間隙間に向かって流下させ、ロール間の隙間空
間内に湯だまりを形成した。湯だまりの幅(ロール間隔
と平行方向)に基づいて推定した湯だまり深さは約10
mmであった。溶湯はロール間の隙間から下方に引き出
され、連続した急冷合金薄帯が形成された。急冷前の溶
湯温度は1300℃、合金薄帯温度はロール直下で約8
00℃であった。従って、平均冷却速度は約2.5×1
K/秒と見積もられた。本実施例では、薄帯をさら
に冷却アルゴンガス流により抜熱し、薄帯温度を500
℃以下にまで低下させた。
【0118】この合金を図2に示した評価用熱処理炉を
用いて3kg/時間の供給量で熱処理したところ、それ
ぞれ表8に示す最適熱処理温度(炉の設定温度)におい
て表8に示す磁石特性が得られた。同一組成の合金につ
いて、0.7kg/時間の供給量で熱処理した比較例1
と本実施例とを比べると、本実施例の磁気特性が相対的
に高いことがわかる。言いかえると、本実施例の熱処理
工程はスループットが高い。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】
【表5】
【0124】
【表6】
【0125】
【表7】
【0126】
【表8】
【0127】[組成限定理由]最後に、合金組成の限定
理由を説明する。
【0128】希土類元素Rは、ハード磁性相であるR
Fe14Bに必須の元素である。本発明でのRは、Pr
およびNdの一方または両方の元素を90原子%以上含
有し、残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上
の元素を0%以上10%未満含有する。PrおよびNd
の何れか一方の元素は、一軸結晶磁気異方性を持つR
Fe14Bを生成するために不可欠である。Prおよび
Nd以外の希土類元素は、適宜任意に選択される。Rの
組成比は、2原子%を下回ると保磁力発生の効果が少な
すぎるので好ましくない。一方、Rの組成比が6原子%
を超えると、FeB相およびNdFe14B相が生
成されず、α−Fe相が主相となってしまうため、保磁
力が著しく低下してしまうことになる。以上のことか
ら、Rの組成比xについては、2≦x≦6であることが
好ましい。
【0129】Bは、ソフト磁性相であるFeBおよび
ハード磁性相であるRFe14Bの両方にとって必須
の元素である。Bの組成比yが16〜20原子%の範囲
から外れると所要の保磁力が発揮されないため、Bの組
成比yについては16≦y≦20であることが好まし
い。更に、Bがこの組成範囲を外れると、融点が上昇
し、溶解温度および貯湯容器の保温温度を高める必要が
生じ、また、非晶質生成能も低下するので所望の急冷合
金組織が得られにくくなる。
【0130】Coは、キュリー温度を向上させることに
よって磁気特性の温度変化依存性を減少させ、その結
果、磁気特性を安定化させるという機能を持つ。また、
合金溶湯の粘性を改善するという機能もあり、溶湯流下
レートの安定化にも寄与する。Coの添加割合が0.0
2原子%を下回ると上記機能が充分に発揮されず、7原
子%を超えると磁化特性が低下し始める。Coの添加
は、これらの機能を発揮させたい場合に行えば良く、本
発明の効果を得る上でCoの添加が不可欠であるわけで
はない。Coを添加する場合は、上述の理由から、その
組成比zについて0.2≦z≦7が成立することが好ま
しい。
【0131】Mは、保磁力をできるだけ増加させたい場
合などに添加する。Mの添加割合が0.01原子%を下
回ると、保磁力増加が充分に観察されず、Mの添加割合
が7原子%を超えると、磁化が低下する。従って、Mを
添加する場合は、その組成比uについて、0.1≦z≦
7が成立することが好ましい。Mの中で、Crは保磁力
増加の他に耐食性向上の効果も発揮する。また、Cu、
Au、Agは結晶化熱処理工程での適正温度範囲を拡大
する効果がある。
【0132】
【発明の効果】本発明によるナノコンポジット磁石用原
料合金によれば、FeBの結晶化が極短範囲の原子拡
散で進行するため、FeBの結晶化が比較的低温で可
能となる。また、FeBの結晶化が進行する温度範囲
がNdFe14Bの結晶化が進行する温度範囲からず
れるため、熱処理時にそれぞれの結晶化が時間的に別々
に起こる。このため、結晶化反応熱が広い温度範囲に分
散し、大きな結晶化反応熱が一度に放出されることな
く、微結晶化を制御性良く実行させることができるよう
になる。その結果、磁石特性を劣化させることなく、熱
処理工程での原料粉末処理量を向上させることができ
る。
【0133】また、FeBの結晶化に必要な結晶核が
原料合金中に高密度で存在するため、磁石化熱処理によ
って微細かつ均一な金属組織を形成することができ、高
い磁石特性の発現を可能にする。
【0134】本発明のナノコンポジット磁石用原料合金
の製造方法によれば、合金のX線回折におけるブラッグ
反射ピークを指標として用いて、合金形成のための冷却
過程を制御することが可能になる。このため、冷却速度
を最適化することや、管理することが容易になり、磁石
特性に優れたナノコンポジット磁石のための原料合金を
安定して製造することができるようになる。
【0135】本発明のナノコンポジット磁石粉末の製造
方法によれば、磁石化熱処理によって微細かつ均一な金
属組織を制御性よく形成することができるので、磁石特
性に優れた磁石を高いスループットで提供することが可
能になる。
【0136】本発明のナノコンポジット磁石によれば、
優れた磁石特性が発揮されるので、モータやアクチュエ
ータなどの特性を低いコストで向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明によるナノコンポジット磁石
用原料合金を製造する方法に用いる装置の全体構成例を
示す断面図であり、(b)は急冷凝固が行われる部分の
拡大図である。
【図2】本発明によるナノコンポジット磁石を製造する
方法に用いる熱処理装置の例を示す断面図である。
【図3】(a)は第1の実施例のX線回折パターンを示
すグラフであり、(b)は比較例1のX線回折パターン
を示すグラフである。
【図4】比較例2のX線回折パターンを示すグラフであ
る。
【図5】第2の実施例のX線回折パターンを示すグラフ
である。
【符号の説明】
1b、2b、8b、および9b 雰囲気ガス供給口 1a、2a、8a、および9a ガス排気口 1 溶解室 2 急冷室 3 溶解炉 4 貯湯容器 5 出湯ノズル 6 ロート 7 回転冷却ロール 10 破断機10 11 圧縮機 21 溶湯 22 合金薄帯 23 合金薄片 28 本体 24 回転ロール 25 回転ロール 26 フープベルト 27 摺切板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 1/06 H01F 1/06 A (72)発明者 重本 恭孝 大阪府三島郡島本町江川2丁目15番17号 住友特殊金属株式会社山崎製作所内 Fターム(参考) 4K018 AA27 BA18 BB01 BB06 BC01 BC08 BD01 GA04 KA46 5E040 AA04 AA19 BD01 CA01 HB11 HB15 HB17 NN01 NN06 NN17 NN18

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式がFe100−x−y
    Fe100−x−y−zCo、Fe
    100−x−y−u、またはFe
    100−x−y−z−uCoで表される
    ナノコンポジット磁石用原料合金であって、 RはPrおよびNdの一方または両方の元素を90原子
    %以上含有し、残部が他のランタン系列元素またはYの
    一種以上の元素を0%以上10%未満含有する希土類元
    素であり、 MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、
    Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、P
    b、AuおよびAgからなる群から選択された一種以上
    の元素であり、 組成比x、y、zおよびuが、 2≦x≦6、 16≦y≦20、 0.2≦z≦7、 0.01≦u≦7 を満足し、しかも、 X線回折におけるブラッグ反射ピークが0.179nm
    ±0.005nmの結晶面間隔に相当する位置にある準
    安定相Zを含有し、前記ブラッグ反射ピークの強度がハ
    ローパターンの最高強度の5%以上200%未満であ
    り、かつ、 体心立方型Feの(110)ブラッグ散乱ピークの強度
    が前記ハローパターンの最高強度の5%未満であるナノ
    コンポジット磁石用原料合金。
  2. 【請求項2】 一般式がFe100−x−y
    Fe100−x−y−zCo、Fe
    100−x−y−u、またはFe
    100−x−y−z−uCoで表される
    ナノコンポジット磁石用原料合金粉末であって、 RはPrおよびNdの一方または両方の元素を90原子
    %以上含有し、残部が他のランタン系列元素またはYの
    一種以上の元素を0%以上10%未満含有する希土類元
    素であり、 MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、
    Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、P
    b、AuおよびAgからなる群から選択された一種以上
    の元素であり、 組成比x、y、zおよびuが、 2≦x≦6、 16≦y≦20、 0.2≦z≦7、 0.01≦u≦7 を満足し、しかも、 X線回折におけるブラッグ反射ピークが0.179nm
    ±0.005nmの結晶面間隔に相当する位置にある準
    安定相Zを含有し、前記ブラッグ反射ピークの強度がハ
    ローパターンの最高強度の5%以上200%未満であ
    り、かつ、 体心立方型Feの(110)ブラッグ散乱ピークの強度
    が前記ハローパターンの最高強度の5%未満であるナノ
    コンポジット磁石用原料合金粉末。
  3. 【請求項3】 一般式がFe100−x−y
    Fe100−x−y−zCo、Fe
    100−x−y−u、またはFe
    100−x−y−z−uCoで表される
    ナノコンポジット磁石用原料合金であって、RはPrお
    よびNdの一方または両方の元素を90原子%以上含有
    し、残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の
    元素を0%以上10%未満含有する希土類元素であり、
    MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、
    Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、P
    b、AuおよびAgからなる群から選択された一種以上
    の元素であり、組成比x、y、zおよびuが、2≦x≦
    6、16≦y≦20、0.2≦z≦7、および0.01
    ≦u≦7を満足するナノコンポジット磁石用原料合金を
    製造する方法において、 前記原料合金の溶湯を形成する工程と、 前記溶湯を急冷凝固させる工程と、 を包含し、 前記急冷凝固工程に際して前記合金の冷却速度を調整す
    ることによって、X線回折におけるブラッグ反射ピーク
    が0.179nm±0.005nmの結晶面間隔に相当
    する位置にある準安定相Zを凝固後の原料合金が含有
    し、しかも、前記ブラッグ反射ピークの強度がハローパ
    ターンの最高強度の5%以上200%未満であり、か
    つ、体心立方型Feの(110)ブラッグ散乱ピークの
    強度が前記ハローパターンの最高強度の5%未満にする
    ことを特徴とするナノコンポジット磁石用原料合金の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記急冷凝固された原料合金から粉末を
    作製する工程を更に包含する請求項3に記載のナノコン
    ポジット磁石用原料合金の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記急冷凝固工程において、前記合金の
    冷却速度を5×10〜5×10K/秒とし、急冷前
    の合金の温度Tmから400〜800℃だけ低い温度に
    合金の温度を低下させる請求項3に記載のナノコンポジ
    ット磁石用原料合金の製造方法。
  6. 【請求項6】 一般式がFe100−x−y
    Fe100−x−y−zCo、Fe
    100−x−y−u、またはFe
    100−x−y−z−uCoで表される
    ナノコンポジット磁石用合金であって、RはPrおよび
    Ndの一方または両方の元素を90原子%以上含有し、
    残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の元素
    を0%以上10%未満含有する希土類元素であり、Mは
    Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、G
    a、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、
    AuおよびAgからなる群から選択された一種以上の元
    素であり、組成比x、y、zおよびuが、2≦x≦6、
    16≦y≦20、0.2≦z≦7、および0.01≦u
    ≦7を満足し、しかも、X線回折におけるブラッグ反射
    ピークが0.179nm±0.005nmの結晶面間隔
    に相当する位置にある準安定相Zを含有し、前記ブラッ
    グ反射ピークの強度がハローパターンの最高強度の5%
    以上200%未満であり、かつ、体心立方型Feの(1
    10)ブラッグ散乱ピークの強度が前記ハローパターン
    の最高強度の5%未満であるナノコンポジット磁石用原
    料合金の粉末を用意する工程と、 前記ナノコンポジット磁石用原料合金の粉末に対して熱
    処理を施し、それによって、FeB化合物およびFe
    −R−B系化合物の結晶化を実行する工程と、 を包含するナノコンポジット磁石粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ナノコンポジット磁石用原料合金の
    粉末を用意する工程は、 前記原料合金の溶湯を形成する工程と、 前記溶湯を急冷凝固させる工程と、 前記急冷凝固された原料合金を破砕する工程と、 前記原料合金を粉砕する工程と、を包含し、 前記急冷凝固工程において、前記合金の冷却速度を5×
    10〜5×10K/秒とし、急冷前の合金の温度T
    mから400〜800℃だけ低い温度に合金の温度を低
    下させることを特徴とする請求項6に記載のナノコンポ
    ジット磁石粉末の製造方法。
  8. 【請求項8】 一般式がFe100−x−y
    Fe100−x−y−zCo、Fe
    100−x−y−u、またはFe
    100−x−y−z−uCoで表される
    ナノコンポジット磁石用合金であって、RはPrおよび
    Ndの一方または両方の元素を90原子%以上含有し、
    残部が他のランタン系列元素またはYの一種以上の元素
    を0%以上10%未満含有する希土類元素であり、Mは
    Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、G
    a、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Pt、Pb、
    AuおよびAgからなる群から選択された一種以上の元
    素であり、組成比x、y、zおよびuが、2≦x≦6、
    16≦y≦20、0.2≦z≦7.0、0.01≦u≦
    7を満足し、しかも、X線回折におけるブラッグ反射ピ
    ークが0.179nm±0.005nmの結晶面間隔に
    相当する位置にある準安定相Zを含有し、前記ブラッグ
    反射ピークの強度がハローパターンの最高強度の5%以
    上200%未満であり、かつ、体心立方型Feの(11
    0)ブラッグ散乱ピークの強度が前記ハローパターンの
    最高強度の5%未満であるナノコンポジット磁石用原料
    合金の粉末を用意する工程と、 前記ナノコンポジット磁石用原料合金の粉末に対して熱
    処理を施し、それによって、FeB化合物およびFe
    −R−B系化合物の結晶化を実行する工程と、 前記熱処理後の原料合金の粉末を用いて成形体を形成す
    る工程と、 を包含するナノコンポジット磁石の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ナノコンポジット磁石用原料合金の
    粉末を用意する工程は、 前記原料合金の溶湯を形成する工程と、 前記溶湯を急冷凝固させる工程と、 前記急冷凝固された原料合金を破砕する工程と、 前記原料合金を粉砕する工程と、を包含し、 前記急冷凝固工程において、前記合金の冷却速度を5×
    10〜5×10K/秒とし、急冷前の合金の温度T
    mから400〜800℃だけ低い温度に合金の温度を低
    下させることを特徴とする請求項8に記載のナノコンポ
    ジット磁石の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記成形体を形成する工程は、前記熱
    処理後の原料合金の粉末を用いてボンド磁石を作製する
    工程を含む請求項8または9に記載のナノコンポジット
    磁石の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項8、9または10に記載のナノ
    コンポジット磁石の製造方法によって製造されたナノコ
    ンポジット磁石を備えたモータ。
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