JP2001319821A - 鉄基合金磁石の製造方法および製造装置 - Google Patents

鉄基合金磁石の製造方法および製造装置

Info

Publication number
JP2001319821A
JP2001319821A JP2000137210A JP2000137210A JP2001319821A JP 2001319821 A JP2001319821 A JP 2001319821A JP 2000137210 A JP2000137210 A JP 2000137210A JP 2000137210 A JP2000137210 A JP 2000137210A JP 2001319821 A JP2001319821 A JP 2001319821A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
quenching
iron
temperature
roll
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000137210A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Hirozawa
哲 広沢
Hirokazu Kanekiyo
裕和 金清
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Special Metals Co Ltd filed Critical Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority to JP2000137210A priority Critical patent/JP2001319821A/ja
Publication of JP2001319821A publication Critical patent/JP2001319821A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
    • H01F1/04Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/047Alloys characterised by their composition
    • H01F1/053Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
    • H01F1/055Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
    • H01F1/057Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B
    • H01F1/0571Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の液体急冷法によっては得られなかった
結晶相構成を備えた鉄基合金磁石を提供する。 【解決手段】 本発明による鉄基合金磁石の製造方法
は、鉄基合金磁石用原料合金の溶湯を急冷することによ
って原料合金の過冷却液体を形成する急冷工程(1次ロ
ール期間)と、この過冷却液体の温度がガラス転移点T
g以下に低下する前に過冷却液体を一時的に加熱する温
度調節工程(2次ロール期間)とを包含している。この
ため、合金は冷却経路P6に従って冷却され、結晶相B
およびCを含有する急冷合金が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細結晶組織を有
する鉄基合金磁石の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ナノコンポジット磁石は2種類以上の微
細結晶相を含み、それらの相が磁気的に結合した鉄基合
金磁石である。ナノコンポジット磁石は、Nd2Fe14
B相を主相とする単相型磁石を凌駕する高性能を発揮す
ることが理論的に予測されているが、現在のところ、そ
のように優れた性能を持つナノコンポジット磁石は実用
化されていない。
【0003】ナノコンポジット磁石を製造する従来の方
法では、まず、メルトスピニング法などの液体超急冷法
によって合金溶湯から非晶質状態の急冷合金、または、
非晶質相および微細結晶相の両方を含む急冷合金を作製
する。その後、これらの急冷合金を再加熱することによ
って結晶化を引き起こす工程が行われる。
【0004】急冷用のロールを用いて行うメルトスピニ
ング法による場合、回転するロールの表面に合金溶湯を
接触させ、それによって合金の熱を奪い、急冷を実行す
る。この急冷時における冷却速度は、合金溶湯の供給レ
ートや急冷ロールの表面速度を制御することによって調
節される。
【0005】合金が急冷ロールに接触している時間は極
めて短い。このため、まだ高温状態(例えば700〜9
00℃)にある合金が急冷ロールとの接触領域から連続
的に吐き出されることになる。高温状態の合金は、帯状
に長く延びた状態にあり、周囲の雰囲気に熱を奪われな
がら室温程度まで更に冷えてゆく。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図1は、従来の超急冷
法を用いて合金溶湯から急冷合金を形成する場合におけ
る合金温度の時間変化を示すグラフである。グラフの縦
軸は合金の温度を示し、横軸は合金溶湯と急冷ロールと
の接触からの経過時間を対数表示で示している。図1か
らわかるように、超急冷を開始すると、最初融点TM
超える温度にあった合金(溶湯状態)は、急冷ロールと
の接触を開始した後、急冷ロールとの接触期間中に急速
に冷却される。この期間の温度変化(冷却経路)を図1
のグラフ中において点aと点bとを結ぶ実線P0で示
す。点aは合金の溶湯が急冷ロールの表面と接触する時
点、および、そのときの合金温度を示している。他方、
点bは、合金が急冷ロールの表面から離れる時点、およ
び、そのときの合金温度を示している。点aから点bま
での期間は、0.2〜2ミリ秒程度であり、その期間に
おける温度の変化は400〜900℃程度である。実線
0のプロファイルは、前述のように、急冷ロールのロ
ール表面速度や溶湯供給レートなどを調節することによ
って或る程度は再現性良く制御することが可能である。
【0007】これに対し、ロールから離れた後における
合金の冷却速度は、合金が接触する雰囲気ガスの温度、
圧力、種類などによって支配される。また、ロール剥離
後の合金帯がロール急冷装置の内壁や底部と接触するか
否かによっても合金帯の冷却速度は大きく変動する。
【0008】このように従来技術によれば、急冷ロール
から剥離した後の合金温度は充分に制御または最適化さ
れておらず、再現性の低い自由放冷(自然放熱)に委ね
られていた。そのため、合金は、或る場合には比較的速
いレートで冷却され、他の場合には比較的遅いレートで
冷却されることもあった。図1のグラフにおいて、実線
1およびP2は、それぞれ、自由放冷期間における異な
る冷却経路の例を示している。実線P1で示される冷却
経路は、相対的に冷却速度が速い場合に対応し、実線P
2で示される冷却経路は、相対的に冷却速度が遅い場合
に対応している。
【0009】合金が急冷ロールと接触している期間にお
ける冷却経路P0を高い精度で制御したとしても、急冷
ロールから剥離した後の合金の冷却経路を自由放冷に委
ねてしまうと、自由放冷中の冷却経路の変動に応じて全
く異なる結晶相が合金中に生成されてしまうことにな
る。図1のグラフには、或る結晶相Aが生成される温度
−時間領域Aが図示されている。この領域Aを実線P2
は横切っているが、実線P1は横切っていない。この場
合、実線P2に沿って冷却された合金には結晶相Aが生
成されるが、実線P1に沿って冷却された合金には結晶
相Aは生成されず、非晶質状態となる。
【0010】ナノコンポジット磁石を構成する結晶相
は、超急冷時、またはその後の熱処理時において結晶化
した非平衡相であり、常温において合金中に準安定的に
存在する。この非平衡相の種類や量は、合金を構成する
元素の拡散速度と変態界面の進行速度との兼ね合いによ
って速度論的に決定される。従って、図1に示すような
温度−時間平面において、急冷時に様々な冷却経路(パ
ス)を通過した合金は、異なる構成相を含むことにな
る。
【0011】図2は、図1のグラフと類似するグラフを
示している。図1からの相違点は、結晶相A以外に結晶
相Bおよび結晶相Cの生成領域が図示されている点にあ
る。図2に示す例の場合、実線P3に沿って冷却された
合金には、実質的に結晶相Bのみが生成されており、結
晶相AおよびCはほとんど生成されない。これに対し
て、実線P4に沿って冷却された合金の場合、結晶相A
が大部分を占めることになる。
【0012】このように、従来の方法によれば、急冷ロ
ールの回転速度や溶湯供給量などの冷却パラメータが同
一であっても、異なる合金組織が得られる場合があっ
た。そして、このことは安定した品質の製品を得る上で
極めて不都合であった。
【0013】また、従来の方法によれば、複数の非平衡
結晶相のうち、目的とする相を選択的に形成することが
できない。例えば、図2の結晶相Cを生成したい場合を
想定する。この場合、自由放冷によって実現可能な如何
なる冷却経路を辿ったとしても、結晶相Cを主相として
含む急冷合金を得ることができない。そのため、結晶相
Cを主相として含む合金を得るには、極めて早い冷却速
度で非晶質合金を形成した後、この非晶質合金を急速に
加熱し、更に等温保持して結晶相Cを生成する必要があ
った。しかし、このような熱処理方法を行うには、昇温
レートの制御などが難しく、目的とする非平衡金属組織
を経済的かつ安定的に形成することが極めて困難であっ
た。
【0014】本発明はかかる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、目的とする非平衡金属組織を
経済的かつ安定的に形成することができる鉄基合金磁石
の製造方法を提供することにある。
【0015】本発明の他の目的は、上記鉄基合金磁石の
製造方法を実施するのに好適な鉄基合金磁石の製造装置
を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明による鉄基合金磁
石の製造方法は、鉄基合金磁石用原料合金の溶湯を急冷
することによって、前記原料合金の過冷却液体を形成す
る急冷工程と、前記合金の温度がガラス転移点よりも低
くなる前に前記合金に対して一時的な加熱および/また
は急冷を行う温度調節工程とを包含する。
【0017】好ましい実施形態において、前記急冷工程
は、回転する急冷ロールの表面に前記鉄基合金磁石用原
料合金の溶湯を接触させ、それによって前記合金を帯状
化することを包含する。
【0018】好ましい実施形態において、前記温度調節
工程は、前記帯状化された合金が前記急冷ロールの回転
に伴って空間を移動している過程において、移動しつつ
ある前記合金に対する加熱および/または急冷を行うこ
とを包含する。
【0019】好ましい実施形態において、前記温度調節
工程は、回転する2次ロールの表面に前記帯状化された
合金を接触させ、それによって、前記合金に対する加熱
および/または急冷を実行することを包含する。
【0020】好ましい実施形態において、前記温度調節
工程は、回転する少なくとも1対の2次ロールの表面に
前記帯状化された合金を接触させ、それによって前記合
金を圧延することを包含する。
【0021】好ましい実施形態において、前記温度調節
工程の後、ガラス転移点よりも低い温度に低下した前記
合金を加熱し、それによって結晶化および/または結晶
成長を進行させる工程を更に包含する。
【0022】好ましい実施形態において、前記温度調節
工程の後、ガラス転移点よりも低い温度に低下した前記
合金を粉砕する工程を更に包含する。
【0023】好ましい実施形態において、前記合金は、
R−TM−X(Rは希土類元素、TMはFeを70%以
上含む鉄族遷移金属元素、Xはボロンおよび/または炭
素)型の希土類合金であり、Rは5原子%以上15原子
%以下、Xは5原子%以上30原子%以下、TMは残部
である。
【0024】好ましい実施形態においては、前記温度調
節工程の後、Nd2Fe14B型のR2TM14X化合物を含
有し、前記R2TM14X化合物の平均粒径が1nm以上
50nm以下である。
【0025】本発明による鉄基合金磁石の製造方法は、
鉄基合金磁石用原料合金の溶湯を急冷することによっ
て、前記原料合金の過冷却液体を形成する急冷工程と、
前記急冷工程の後、前記合金が自由放熱によって冷える
過程で、前記合金の温度が室温レベルに低下する前に、
前記合金に対して加熱および/または急冷を行い、それ
によって平均結晶粒径が1nm以上50nm以下の微細
結晶相を生成する温度調節工程とを包含する。
【0026】本発明によるボンド磁石の製造方法は、上
記何れかの鉄基合金磁石の製造方法によって作製された
鉄基合金磁石の粉末を用意する工程と、前記粉末を成形
する工程とを包含する。
【0027】本発明による鉄基合金磁石の製造装置は、
鉄基合金の溶湯を冷却し、過冷却液体状態にある合金薄
帯を生成する急冷ロールと、前記合金薄帯が前記急冷ロ
ールの回転に伴って空間を移動している過程において前
記合金薄帯に対して加熱および/または急冷を行う温度
調節装置とを備えている。
【0028】好ましい実施形態において、前記温度調節
装置は、表面温度がガラス転移点以上に加熱された2次
ロールを有している。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明による鉄基合金磁石の製造
方法は、鉄基合金磁石用原料合金の溶湯を急冷すること
によって原料合金の過冷却液体を形成する急冷工程と、
この過冷却液体の温度がガラス転移点(Tg)よりも低
くなる前に過冷却液体を一時的に加熱または急冷する温
度調節工程とを包含する。ここでの「急冷」とは、自由
放冷によって雰囲気が合金から熱を奪うレートよりも速
いレートで合金の熱を奪い、自由放冷による冷却速度よ
りも速い冷却速度で合金温度を低下させることを意味す
るものとする。
【0030】なお、本明細書で使用する「合金の過冷却
液体(過冷却溶体)」とは、「ガラス転移点(ガラス転
移温度またはガラス化遷移温度)Tgを持つ合金であっ
て、合金温度がガラス転移点Tgよりも高く、融点Tm
りも低い非晶質の状態にある合金」を意味するものとす
る。また、本明細書では、「過冷却液体(過冷却融
体)」や「過冷却状態にある合金」の文言を何れも「合
金の過冷却液体」と同様の意味を持つものとして用いる
ことにする。
【0031】本発明では、上述のように急冷工程で作製
した過冷却液体の温度がガラス転移点Tgよりも低くな
る前に過冷却液体状態にある合金に対して特別な温度調
節処理を実行するため、雰囲気ガスを媒介した自然な放
熱によっては得られない所望の結晶相構成を確実に得る
ことができる。
【0032】以下、図3を参照しながら、本発明の基本
的な概念を説明する。
【0033】図3は、液体超急冷法を用いて合金溶湯か
ら急冷合金を形成する場合における合金温度の時間変化
を示すグラフである。グラフの縦軸は合金の温度を示
し、横軸は合金溶湯と急冷ロールとの接触からの経過時
間(対数表示)を示している。
【0034】図3において、「1次ロール」とは、単ロ
ールまたは双ロールなどの急冷手段によって合金溶湯を
急冷し、それによって過冷却液体状態の帯(リボン)を
形成する期間を指している。また、「自由放冷」とは、
急冷ロールの表面から離れた合金帯が雰囲気を介して熱
を奪われ、それによって自然に冷却される期間を指して
いる。更に、「2次ロール」は、合金帯の温度がガラス
転移点Tg以下に低下する前に、合金薄帯と2次ロール
とを接触させるなどして合金薄帯の温度調節を行う期間
を指している。
【0035】図3中の実線P5は従来の冷却経路を示
し、実線P6は本発明による場合の冷却経路を示してい
る。冷却経路P6は、途中で結晶相Bの生成領域を通過
した後、結晶相Cの生成領域を通過し、室温レベルに到
達している。この冷却経路を辿ることによって、急冷合
金中に結晶相Bを生成することが可能になる。
【0036】図3からわかるように、本発明によれば、
冷却期間中の合金帯に対して特別な熱処理(この場合、
加熱処理)を施すことによって、自由放冷による場合の
温度変化プロファイルとは異なる温度変化プロファイル
を実現し、それによって金属組織を制御することが可能
になる。
【0037】過冷却液体は塑性変形しやすいため、過冷
却液体状態にある合金薄帯の温度がガラス転移点Tg
り低くなる前であれば、合金薄帯と2次ロールとを密着
させて均一な温度調節処理を行うことが可能である。こ
れに対し、ガラス転移点Tgよりも低い温度まで冷却さ
れた急冷凝固合金の場合、合金に塑性変形能がなく、加
圧によって破断するため、2次ロールと均一に密着でき
ず、求める温度調節を再現性良く実行することが困難に
なる。
【0038】本発明のように、2次ロールと接触させる
合金が過冷却液体状態にあれば、塑性変形しやすいた
め、2次ロールを用いて合金を加圧し、変形させ(圧延
し)、均質な厚さを有する合金薄帯を成形することが容
易である。この場合は、2次ロールの回転数を1次ロー
ルよりも速くし、1次ロール(急冷ロール)から供給さ
れる合金薄帯が2次ロールの手前に堆積しないようにす
ることが好ましい。なお、2次ロールの位置より後段に
他のロールやヒータを配することによって、任意の温度
プロファイルを持つ複雑な温度調節処理を実行しても良
い。
【0039】以下、本発明による鉄基合金磁石の好まし
い実施形態を説明する。
【0040】[組成]本発明の製造方法で作製される鉄
基合金磁石は、R−TM−X型の希土類磁石である。こ
こで、Rは希土類元素、TMはFeを70%以上含む鉄
族遷移金属元素、Xはボロンおよび/または炭素であ
る。また、Rの組成比率は5原子%以上15原子%以
下、Xの組成比率は5原子%以上30原子%以下、TM
の組成比率は残部を占める。
【0041】希土類元素Rの組成比率が5原子%未満で
はNd2Fe14B型のR2TM14X化合物が十分析出しな
いため、硬磁気特性が得られない。また、希土類元素R
の組成比率が15原子%を超えると、鉄および鉄基硼化
物が析出しないため、ナノコンポジット組織とならず、
高い磁化が得られない。このため、Rの組成比率の好ま
しい範囲は5原子%以上15原子%以下である。
【0042】Xの組成比率が5原子%未満の場合は、液
体急冷法を用いても、過冷却液体状態を生成することが
できない。逆に、Xの組成比率が30原子%を越える
と、R 2Fe14B型化合物相が析出せず、硬磁気特性が
得られない。このため、Bの組成比率の好ましい範囲は
5原子%以上30原子%以下である。Xの組成比率のよ
り好ましい範囲は6原子%以上20原子%以下である。
【0043】TMは、上述の元素の含有残余を占める。
なお、CoでFeの一部を置換することによって保磁力
cjおよびR2Fe14B相のキュリー温度の両方が増加
するので、磁石の耐熱性が向上する。CoのFeに対す
る置換割合は、好ましくは0.5%以上15%以下であ
る。
【0044】磁気特性の向上や最適熱処理温度域の拡大
を目的として、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、C
u、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、T
a、W、Pt、Au、Pbの1種又は2種以上の元素M
を添加しても良い。添加元素Mの組成比率が10原子%
を超えると、磁化が低下するため、添加元素Mの組成比
率の好ましい範囲は0原子%以上10原子%以下であ
る。この組成比率のより好ましい範囲は0.1原子%以
上5原子%以下である。
【0045】なお、上記の鉄基合金からFe3B/Nd2
Fe14B系ナノコンポジット磁石を形成する場合は、希
土類元素RおよびXの組成範囲を以下のように制限する
ことが好ましい。
【0046】希土類元素R:5〜7原子%、好ましくは
5〜6原子% X:15〜30原子%、好ましくは15〜22原子% また、α−Fe/Fe3B/Nd2Fe14B系ナノコンポ
ジット磁石を形成する場合は、希土類元素RおよびXの
組成範囲を以下のように制限することが好ましい。
【0047】希土類元素R:5〜13原子%、好ましく
は6〜12原子% X:7〜15原子%、好ましくは8〜12原子% 更に、α−Fe/Nd2Fe14B系ナノコンポジット磁
石を形成する場合は、希土類元素RおよびBの組成範囲
を以下のように制限することが好ましい。
【0048】希土類元素R:7〜15原子%、好ましく
は8〜14原子% X:5〜10原子%、好ましくは5〜8原子% [製造装置]図4は、本発明による鉄基合金磁石の製造
装置の実施形態を示す図である。図示されている装置
は、合金溶湯1をヒータ2によって加熱しながら放出す
るノズル3と、合金溶湯1を冷却するための1対の急冷
ロール4と、急冷ロール4によって冷却された合金の過
冷却液体5に対して温度調節処理を行う2次ロール6
と、2次ロール6の表面を所定範囲の温度に保持するヒ
ータ7とを備えている。1対の急冷ロール4の間には、
合金溶湯1の湯溜まり9が形成される。
【0049】なお、図4には、合金の過冷却液体5の温
度変化を測定するための赤外線熱画像計測装置10が示
されている。この装置10によれば、合金各部の温度を
測定することができ、それによって合金温度の時間変化
を求めることが可能になる。
【0050】図4の構成例では、2次ロール4によって
過冷却液体状態にある合金を加熱しているが、他のヒー
タ手段、例えば赤外線ランプアニーラなどを合金薄帯の
移動経路近傍に配置し、流れるように移動(飛行)する
合金帯に対して、非接触で熱処理を施すようにしても良
い。また、複数対の2次ロールおよび/またはランプア
ニーラなどの加熱/冷却装置を複合的に配置し、複雑な
温度プロファイルを実現できる構成を採用しても良い。
【0051】[製造方法]以下、本発明による鉄基合金
磁石の製造方法の実施形態を説明する。
【0052】本実施形態では、まず、前述した組成を有
する合金溶湯を作製し、図4に示す装置を用いて急冷
し、合金の過冷却液体状態を形成する。その後、過冷却
状態の合金(温度はガラス転移点以上)に対して温度調
節処理を施すことによって、R 2Fe14B型化合物相を
合金中に生成させる。この処理は、表面温度が100℃
以上800℃以下の範囲に保持された2次ロール(双ロ
ール)6を用いて行う。この温度調節処理を行うことに
より、自由放冷によっては生成され得ない結晶相を急冷
合金中に生成することが可能になる。
【0053】本実施形態では、双ロール6による温度調
節処理を、双ロール6によって合金に圧力を与えながら
実行する。上記合金の過冷却液体は大きな塑性変形能を
有しており、「金属ガラス融体」と表現することも可能
な状態にあるため、双ロール6によって熱間圧延が実行
されることになる。本実施形態の場合、双ロール6と接
触する時点における合金が過冷却液体状態にあり、非常
に柔らかいため、双ロール6による加圧前の合金の厚さ
をtとし、加圧(圧延)後の合金の厚さをt’とした場
合、圧下率(t’/t)を0.9以下にすることが可能
である。このような圧延によって、双ロール6と合金と
の均一な接触が再現性良く実現するため、過冷却液体に
対する熱処理の再現性が向上する。
【0054】上述のような過冷却液体を得るためには、
回転ロールを用いた単ロール急冷法および双ロール急冷
法を好適に採用することができる。このような液体急冷
法によって合金溶湯を103K/秒〜105K/秒の冷却
速度で急冷すると、800℃から500℃までに冷却す
る過程で過冷却液体が生成される。
【0055】単ロール急冷法を用いて上記の冷却を実行
するには、回転ロールのロール表面速度を2m/秒以上
20m/秒以下にすれば良い。ロール表面速度が2m/
秒を下回る場合、冷却速度が103K/秒未満となるた
め、急冷合金は過冷却液体にならずに結晶質となる。ま
た、ロール表面速度が20m/秒を超えると、冷却用の
ロールと同期して圧延を行うことが困難となるため、過
冷却液体の圧延を実行することができなくなる。ロール
表面速度の好ましい範囲は3m/秒以上15m/秒以下
である。
【0056】双ロール急冷法を用いて上記の冷却を実行
するには、ロール表面速度を2m/秒以上18m/秒以
下にすれば良い。ロール表面速度が2m/秒を下回る
と、冷却速度が103K/秒未満となるため、急冷合金
は過冷却液体にならずに結晶質となる。また、ロール表
面速度が18m/秒を超えると、合金が急冷ロールから
剥離した直後に急冷凝固合金となるため、過冷却液体状
態のまま2次ロールへ供給することができなくなる。
【0057】過冷却液体を得る際の双ロール間距離は、
100μm以上1000μm以下にすることが好まし
い。双ロール間距離が100μmを下回る場合、合金は
急冷ロールそのものによっても圧延を受けるため、過冷
却液体になりにくい。双ロール間距離が1000μmを
超える場合は、急冷しにくくなるため好ましくない。双
ロール間距離の好ましい範囲は120μm以上300μ
m以下である。
【0058】液体急冷法によって合金の過冷却液体を作
製するには、急冷雰囲気を50kPa以下の不活性ガス
雰囲気にすることが好ましい。雰囲気圧力が50kPa
を超える場合、回転ロールの表面と合金溶湯との間に雰
囲気ガスが巻き込まれやすくなる。そのような雰囲気ガ
スの巻き込みが発生すると、合金帯の表面にガスポケッ
トが生じ、均一な急冷が達成されず、急冷組織が不均一
化するため、安定的に過冷却液体を形成することが困難
になる。雰囲気ガスの圧力の好ましい範囲は、30kP
a以下、特に10kPa程度である。
【0059】双ロールを用いて過冷却液体状態の急冷合
金を加熱する際、5MPa以上の圧力があれば、急冷合
金を塑性変形することが可能である。合金に加える圧力
を増大させると、2次ロールの軸受けおよび架台部を強
固にする必要が生じる。このため、圧延に用いる圧力の
好ましい範囲は5MPa以上500MPa以下である。
加熱用双ロールの表面速度は圧下率に応じて調整され、
入側の素材速度よりも5〜20%速く設定することが好
ましい。2次ロールの表面速度が急冷ロールの表面速度
よりも遅いと、急冷ロールと2次ロールとの間に合金帯
がたまるため、2次ロールの表面速度は急冷ロールの表
面速度よりも速いことが好ましい。
【0060】過冷却状態を維持しながら合金に対する温
度調節処理を開始するためには、2次ロールの表面を1
00℃以上800℃以下の温度範囲に加熱することが好
ましい。2次ロールの表面温度が100℃を下回る場
合、合金の過冷却液体が2次ロールの表面に到達した時
点ですぐに合金が結晶化し、硬化するために好ましくな
い。また、2次ロールの表面温度が800℃を超える場
合、合金温度が急激に上昇して結晶核生成速度が速くな
りすぎるので好ましくない。
【0061】2次ロールに接触し始めるときの合金の温
度と、2次ロールの表面温度との関係によって、2次ロ
ールと合金との間に生じる熱の流れが異なったものとな
る。2次ロールの温度が相対的に高い場合、熱は2次ロ
ールから合金に流れ、2次ロールによる合金の加熱が行
われる。これに対し、2次ロールの温度が相対的に低い
場合、熱は合金から2次ロールに流れ、2次ロールによ
る合金の冷却が行われる。本発明では、雰囲気による自
由放冷とは異なる温度プロファイル(温度変化速度パタ
ーン)を実現することを目的とするため、2次ロールで
合金の加熱や急冷を行うことにより、自由放冷では実現
できないような充分に制御された温度変化を合金に対し
て施すことができる。
【0062】急冷に用いる回転ロールの材質としては、
熱伝導性の観点から、純銅、銅合金、鉄、真鍮、タング
ステン、および青銅を採用することが好ましい。これら
の中でも、銅、鉄、または銅および鉄を主成分とする合
金を用いることが、機械的強度および経済性の点から好
ましい。
【0063】2次ロールのロール材質としては、熱膨張
係数が小さく、加熱時の硬度が高い材料が好ましい。例
えば、炭素鋼、ダイス鋼、ハイスピード鋼、W−C、モ
リブデン、セラミック等を採用することができる。これ
らの中でも、炭素鋼およびダイス鋼を用いることが、加
熱時における高い硬度と優れた経済性を持つ点で好まし
い。
【0064】本実施形態では、2次ロールを用いて温度
調節処理を行う例を説明しているが、前述のように、本
発明における温度調節処理は他のタイプの加熱/冷却装
置を用いて実行しても良い。一般に、2次ロールを用い
る場合、合金帯と2次ロール表面との接触期間が比較的
に短い(0.2〜2ミリ秒)が、合金帯の通過する領域
に長い加熱ゾーンや冷却ゾーンを設ければ、比較的長い
時間(50〜1500ミリ秒)、温度調節処理を続ける
ことが可能になる。
【0065】上記の温度調節処理を終えた後の合金に対
しては、結晶相を非晶質マトリクス中で成長させたり、
規則度を高めたりすることによって磁気特性を向上させ
ることを目的に、公知の熱処理装置を用いた熱処理を更
に付加的に行ってもよい。また、この付加的な熱処理を
行う前に合金帯を粗く粉砕しても良い。
【0066】以上の方法で作製された鉄基合金磁石は、
種々の態様で各種の装置に応用され得る。以下、本発明
の製造方法によって作製した鉄基合金磁石を粉砕した
後、その粉末を用いてボンド磁石を製造する方法を簡単
に説明する。
【0067】まず、上記の鉄基合金磁石の粉末にエポキ
シ樹脂からなるバインダーと添加剤とを加え、混練する
ことによってコンパウンドを作製する。次に、コンパウ
ンドを成形装置によって配向磁場中でプレス成形した
後、加熱硬化工程、洗浄工程、コーティング工程、検査
工程、着磁工程を経て、最終的なボンド磁石を得ること
ができる。このボンド磁石は、種々のモータやアクチュ
エータに好適に用いられる。
【0068】[結晶構造]本発明の製造方法によって作
製した鉄基礎合金磁石の金属組織は、鉄や鉄基硼化物の
軟磁性相と、R2Fe14B型結晶構造を有する硬磁性化
合物相とが混在するナノコンポジット構造を有してい
る。
【0069】上記の軟磁性相および硬磁性化合物相の平
均結晶粒径は、何れも、1nm以上50nm以下であ
る。各構成相の平均結晶粒径が50nmを超えると、各
結晶粒子間の交換結合が弱まり、硬磁性相と軟磁性相が
磁気的に分離する。そのため、減磁曲線が二段になる特
性しか発揮されず、優れた硬磁気特性を得ることができ
なくなる。上記結晶粒の平均粒径は小さい方が好ましい
が、平均結晶粒径が1nm未満の粉末を工業的に生産す
ることが困難であるため、平均結晶粒径の下限は1nm
とする。
【0070】合金磁石の組織全体が結晶質である必要は
なく、非晶質相が存在していても良い。体積比で約20
%以下の非晶質相が残存している場合、各結晶粒子間に
働く交換相互作用が適度に弱められるため、かえって磁
気的に最適な結合状態が得られ、硬磁気特性が向上する
場合がある。非晶質相の体積比率が20%を超えて増加
すると、磁化が低下する。このため、このような場合に
は、非晶質相の存在比率を20体積%以下とすることが
好ましい。
【0071】
【実施例】以下の各実施例では、図4に示す装置を用い
た液体急冷法によって合金溶湯を急冷し、それによって
過冷却液体状態を形成した後、下段に配した双ロールに
よって熱処理を施し、ナノコンポジット磁石を製造し
た。
【0072】(実施例1)まず、直径が1mmのオリフ
ィスを底部に有する坩堝を用いて、組成式がNd 4.5
76.518.5Nb0.5の表現される原料合金を溶解し
た。溶解雰囲気は30kPaのアルゴンガスであった。
原料合金溶湯の温度が約1350℃になった時、周速度
2m/秒で回転する急冷ロールの表面に溶湯を滴下し、
急冷工程を実行した。
【0073】このようにして急冷した合金の温度を赤外
線画像撮像法によって測定した。結果を図5に示す。合
金が急冷ロールとの接触によって冷却される期間の冷却
経路を図5において点aから点bを結ぶ線で示す。合金
は、急冷ロールから剥がれた後、一時的に自然放冷され
た。本実施例では、図5の点bから破線で示される経路
をたどって合金の冷却が進行した。
【0074】本実施例では、2次ロールを周速度2.2
m/秒で回転させ、その表面温度を850℃に設定し
た。合金は、図5のc点において2次ロールと接触し、
約0.5ミリ秒間、2次ロールによる変形を受けなが
ら、加熱された。その後、合金帯は2次ロールを離脱
し、長さ45cmの加熱区間に入った。加熱区間を通る
約0.2秒の間、合金帯は図5の点dの温度まで加熱さ
れ、その後、不活性ガス雰囲気中を飛行し、放冷されつ
つ製品回収容器に到達した。
【0075】このような冷却経路を経て生成された合金
は、Fe3B相、Nd2Fe14B相、および、僅かのFe
236相がアモルファス母相中に存在するナノコンポジ
ット合金であった。この合金は永久磁石特性を示し、B
r=0.8T、 HcJ=220kA/mであった。
【0076】この合金を熱処理することによってアモル
ファス相を完全に結晶化させると、上記の各結晶相が成
長し、平均結晶粒径がおよそ20ナノメートルのナノコ
ンポジット磁石となった。そのときの磁気特性は、Br
=0.9T、 HcJ=280kA/mであった。
【0077】(比較例1)実施例1と同じ合金を実施例
1と同様にして溶解し、周速度6m/秒で回転するロー
ルによって急冷した。ロール離脱後、合金帯は自然放冷
されるに任せた。合金温度は、図5の点bから点cを通
る破線に沿って単調に低下し、そのまま室温付近の温度
に達した。
【0078】この急冷凝固合金は、実質的に結晶相を含
まないアモルファス合金であった。磁気特性を測定する
と、その保磁力HcJは4kA/mであり、軟磁性体であ
った。
【0079】(実施例2)まず、直径が1mmのオリフ
ィスを底部に有する坩堝を用いて、組成式がNd 4.5
7718.5の表現される原料合金を溶解した。溶解雰囲
気は30kPaのアルゴンガスであった。原料合金溶湯
の温度が約1280℃になった時、周速度2m/秒で回
転する急冷ロールの表面に溶湯を滴下し、急冷した。
【0080】このようにして急冷した合金の温度を赤外
線画像撮像法によって測定した。結果を図6に示す。合
金が急冷ロールとの接触によって冷却されている期間の
冷却経路は、図6において、点aから点bを結ぶ線で示
される。合金は、ロールから離脱した後、一時的に自然
放冷された。図6において、点bから破線で示される経
路をたどって合金の冷却が進行した。
【0081】本実施例では、2次ロールを周速度6.6
m/秒で回転させ、その表面温度を600℃に設定し
た。合金帯は、図6のc点において、2次ロールと接触
し、約0.1ミリ秒間、2次ロールによる変形を受けな
がら、急冷された。その後、合金帯は図6の点dにて2
次ロールから離れ、不活性ガス雰囲気中を飛行し、放冷
されつつ製品回収容器に到達した。
【0082】回収された合金は、アモルファス相とFe
236相とにより構成されていた。この合金を680℃
で50分間加熱すると、Fe236相、Fe3B相、Nd
2Fe14B相が結晶化し、ナノコンポジット磁石となっ
た。磁気特性は、Br=1.1T、 HcJ=240kA/
mであった。
【0083】(比較例2)実施例2と同じ合金を同一の
条件で溶解し、周速度6m/秒で回転する急冷ロールに
より、図6ま点aから点bまで急冷した。その後、自然
放冷により、室温近傍まで冷却した。
【0084】回収した合金はアモルファス相とFe3
相とによって構成されていた。この合金を680℃で5
0分間加熱すると、Fe3B相およびNd2Fe14B相が
結晶化し、Br=1.0T、 HcJ=220kA/mの磁
石特性を示した。
【0085】なお、図5および図6のグラフ中に示した
結晶化反応の温度−時間線図は、冷却過程の異なる合金
の結晶相を詳細に調べることによって構成したものであ
り、現象の説明のために補足的にグラフ中に書き込んだ
ものである。グラフの短時間側における線図は必ずしも
正確ではない可能性がある。将来、より詳細な研究によ
って線図に誤りが含まれることが明らかになったとして
も、本発明の本質が損なわれるものではない。
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、超急冷法によって合金
溶湯から急冷合金を作製する過程で冷却経路を制御し、
目的とする非平衡金属組織を経済的かつ安定的に形成す
ることができる。このため、高性能のナノコンポジット
磁石を再現性良く生産することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メルトスピニング法によって冷却される合金の
温度と経過時間との関係を示すグラフである。グラフの
縦軸が合金の温度を示し、横軸が合金溶湯と急冷ロール
との接触からの経過時間を示す。
【図2】メルトスピニング法によって冷却される合金の
温度と経過時間との関係を示す他のグラフである。グラ
フの縦軸が合金の温度を示し、横軸が合金溶湯と急冷ロ
ールとの接触からの経過時間を示す。
【図3】本発明による鉄基合金磁石の製造方法によって
冷却される合金の温度と経過時間との関係を示すグラフ
である。グラフの縦軸が合金の温度を示し、横軸が合金
溶湯と急冷ロールとの接触からの経過時間を示す。
【図4】本発明による鉄基合金磁石の製造装置の実施形
態を示す構成図である。
【図5】本発明による鉄基合金磁石の製造方法の実施例
1および比較例2に関する合金温度と経過時間との関係
を示すグラフである。グラフの縦軸が合金の温度を示
し、横軸が合金溶湯と急冷ロールとの接触からの経過時
間を示す。
【図6】本発明による鉄基合金磁石の製造方法の実施例
2および比較例2に関する合金温度と経過時間との関係
を示すグラフである。グラフの縦軸が合金の温度を示
し、横軸が合金溶湯と急冷ロールとの接触からの経過時
間を示す。
【符号の説明】
1 合金溶湯 2 ヒータ 3 ノズル 4 急冷ロール 5 合金の過冷却液体 6 2次ロール 8 急冷合金 9 合金溶湯の湯溜まり
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22F 9/04 B22F 9/04 E C21D 6/00 C21D 6/00 B C22C 38/00 303 C22C 38/00 303D H01F 1/053 H01F 1/04 H Fターム(参考) 4E004 DB03 TA03 TB02 TB04 4K017 AA04 BA06 BB12 BB18 DA04 DA05 EA03 4K018 AA27 BA18 BB07 BD01 KA46 5E040 AA03 AA04 AA19 BD00 CA01 HB00 HB05 HB07 HB11 HB17 HB19 NN01 NN06 5E062 CC04 CC05 CD04 CE01 CE05 CG01 CG02 CG03

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄基合金磁石用原料合金の溶湯を急冷す
    ることによって、前記原料合金の過冷却液体を形成する
    急冷工程と、 前記合金の温度がガラス転移点よりも低くなる前に前記
    合金に対して一時的な加熱および/または急冷を行う温
    度調節工程とを包含する鉄基合金磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記急冷工程は、回転する急冷ロールの
    表面に前記鉄基合金磁石用原料合金の溶湯を接触させ、
    それによって前記合金を帯状化することを包含する請求
    項1に記載の鉄基合金磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記温度調節工程は、前記帯状化された
    合金が前記急冷ロールの回転に伴って空間を移動してい
    る過程において、移動しつつある前記合金に対する加熱
    および/または急冷を行うことを包含する請求項2に記
    載の鉄基合金磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記温度調節工程は、回転する2次ロー
    ルの表面に前記帯状化された合金を接触させ、それによ
    って、前記合金に対する加熱および/または急冷を実行
    することを包含する請求項3に記載の鉄基合金磁石の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記温度調節工程は、回転する少なくと
    も1対の2次ロールの表面に前記帯状化された合金を接
    触させ、それによって前記合金を圧延することを包含す
    る請求項3に記載の鉄基合金磁石の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記温度調節工程の後、ガラス転移点よ
    りも低い温度に低下した前記合金を加熱し、それによっ
    て結晶化および/または結晶成長を進行させる工程を更
    に包含する請求項1から5の何れかに記載の鉄基合金磁
    石の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記温度調節工程の後、ガラス転移点よ
    りも低い温度に低下した前記合金を粉砕する工程を更に
    包含する請求項1から5の何れかに記載の鉄基合金磁石
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記合金は、R−TM−X(Rは希土類
    元素、TMはFeを70%以上含む鉄族遷移金属元素、
    Xはボロンおよび/または炭素)型の希土類合金であ
    り、 Rは5原子%以上15原子%以下、 Xは5原子%以上30原子%以下、 TMは残部である請求項1から7に記載の鉄基合金磁石
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記温度調節工程の後、前記合金がNd
    2Fe14B型のR2TM 14X化合物を含有し、前記R2
    14X化合物の平均粒径が1nm以上50nm以下であ
    る請求項8に記載の鉄基合金磁石の製造方法。
  10. 【請求項10】 鉄基合金磁石用原料合金の溶湯を急冷
    することによって、前記原料合金の過冷却液体を形成す
    る急冷工程と、 前記急冷工程の後、前記合金が自由放熱によって冷える
    過程で、前記合金の温度が室温レベルに低下する前に、
    前記合金に対して加熱および/または急冷を行い、それ
    によって平均結晶粒径が1nm以上50nm以下の微細
    結晶相を生成する温度調節工程とを包含する鉄基合金磁
    石の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から10の何れかに記載の鉄
    基合金磁石の製造方法によって作製された鉄基合金磁石
    の粉末を用意する工程と、 前記粉末を成形する工程と、 を包含するボンド磁石の製造方法。
  12. 【請求項12】 鉄基合金の溶湯を冷却し、過冷却液体
    状態にある合金薄帯を生成する急冷ロールと、 前記合金薄帯が前記急冷ロールの回転に伴って空間を移
    動している過程において前記合金薄帯に対して加熱およ
    び/または急冷を行う温度調節装置とを備えている鉄基
    合金磁石の製造装置。
  13. 【請求項13】 前記温度調節装置は、表面温度がガラ
    ス転移点以上に加熱された2次ロールを有している請求
    項12に記載の鉄基合金磁石の製造装置。
JP2000137210A 2000-05-10 2000-05-10 鉄基合金磁石の製造方法および製造装置 Pending JP2001319821A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000137210A JP2001319821A (ja) 2000-05-10 2000-05-10 鉄基合金磁石の製造方法および製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000137210A JP2001319821A (ja) 2000-05-10 2000-05-10 鉄基合金磁石の製造方法および製造装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001319821A true JP2001319821A (ja) 2001-11-16

Family

ID=18645019

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000137210A Pending JP2001319821A (ja) 2000-05-10 2000-05-10 鉄基合金磁石の製造方法および製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001319821A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003224010A (ja) * 2001-11-20 2003-08-08 Sumitomo Special Metals Co Ltd 希土類系ボンド磁石用コンパウンドおよびそれを用いたボンド磁石
JP2005064096A (ja) * 2003-08-08 2005-03-10 Neomax Co Ltd 希土類急冷磁石合金の製造方法および急冷装置
JP2008000783A (ja) * 2006-06-21 2008-01-10 Kobe Steel Ltd 金属ガラス素形材の製造方法
JP2009013498A (ja) * 2004-12-16 2009-01-22 Hitachi Metals Ltd 鉄基希土類系ナノコンポジット磁石粉末の製造方法
JP2011143455A (ja) * 2010-01-15 2011-07-28 Toyota Motor Corp 磁石材料の製造方法および製造装置
JP2012502178A (ja) * 2008-09-05 2012-01-26 エクスメット アクティエ ボラーグ ナノ金属又は複合金属を含有する物体を製造する方法
JP2013518728A (ja) * 2010-02-02 2013-05-23 ザ・ナノスティール・カンパニー・インコーポレーテッド ガラス状金属組成物の処理における二酸化炭素及び/又は一酸化炭素の気体の利用
CN103875044A (zh) * 2011-10-11 2014-06-18 丰田自动车株式会社 作为稀土类磁铁前驱体的烧结体和形成该烧结体的磁性粉末的制造方法
WO2016025794A1 (en) * 2014-08-15 2016-02-18 Miha Zakotnik Grain boundary engineering
WO2018041775A1 (de) * 2016-08-30 2018-03-08 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Verfahren zum Recycling von Permanentmagneten durch Schmelzen und Rascherstarren
CN112309665A (zh) * 2020-10-21 2021-02-02 江苏大磁纳米材料有限公司 一种提升铁基纳米晶合金磁性的工艺

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003224010A (ja) * 2001-11-20 2003-08-08 Sumitomo Special Metals Co Ltd 希土類系ボンド磁石用コンパウンドおよびそれを用いたボンド磁石
JP2005064096A (ja) * 2003-08-08 2005-03-10 Neomax Co Ltd 希土類急冷磁石合金の製造方法および急冷装置
JP4506123B2 (ja) * 2003-08-08 2010-07-21 日立金属株式会社 希土類急冷磁石合金の製造方法および急冷装置
JP2009013498A (ja) * 2004-12-16 2009-01-22 Hitachi Metals Ltd 鉄基希土類系ナノコンポジット磁石粉末の製造方法
US7842140B2 (en) 2004-12-16 2010-11-30 Hitachi Metals, Ltd. Iron-based rare-earth nanocomposite magnet and method for producing the magnet
JP2008000783A (ja) * 2006-06-21 2008-01-10 Kobe Steel Ltd 金属ガラス素形材の製造方法
JP2012502178A (ja) * 2008-09-05 2012-01-26 エクスメット アクティエ ボラーグ ナノ金属又は複合金属を含有する物体を製造する方法
JP2011143455A (ja) * 2010-01-15 2011-07-28 Toyota Motor Corp 磁石材料の製造方法および製造装置
JP2013518728A (ja) * 2010-02-02 2013-05-23 ザ・ナノスティール・カンパニー・インコーポレーテッド ガラス状金属組成物の処理における二酸化炭素及び/又は一酸化炭素の気体の利用
CN103875044A (zh) * 2011-10-11 2014-06-18 丰田自动车株式会社 作为稀土类磁铁前驱体的烧结体和形成该烧结体的磁性粉末的制造方法
EP2767987A4 (en) * 2011-10-11 2015-06-03 Toyota Motor Co Ltd SINTERING BODY FROM A RARE MOLDING PROCESSOR AND METHOD FOR PRODUCING A FINE MAGNETIC POWDER FOR PRODUCING THE SINTERED BODY
WO2016025794A1 (en) * 2014-08-15 2016-02-18 Miha Zakotnik Grain boundary engineering
US9336932B1 (en) 2014-08-15 2016-05-10 Urban Mining Company Grain boundary engineering
US10395823B2 (en) 2014-08-15 2019-08-27 Urban Mining Company Grain boundary engineering
US11270841B2 (en) 2014-08-15 2022-03-08 Urban Mining Company Grain boundary engineering
WO2018041775A1 (de) * 2016-08-30 2018-03-08 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Verfahren zum Recycling von Permanentmagneten durch Schmelzen und Rascherstarren
CN112309665A (zh) * 2020-10-21 2021-02-02 江苏大磁纳米材料有限公司 一种提升铁基纳米晶合金磁性的工艺

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4692485B2 (ja) 希土類磁石用原料合金および粉末ならびに焼結磁石の製造方法
KR100642328B1 (ko) 나노콤포지트자석용 원료 합금, 그 분말 및 제조방법,그리고 나노콤포지트자석분말 및 자석의 제조방법.
JP4591633B2 (ja) ナノコンポジットバルク磁石およびその製造方法
CN109844873B (zh) 软磁材料的制造方法
JP3365625B2 (ja) ナノコンポジット磁石粉末および磁石の製造方法
JP2001319821A (ja) 鉄基合金磁石の製造方法および製造装置
JP2002030378A (ja) 結晶化発熱温度制御による鉄基永久磁石合金の製造方法
JP3604308B2 (ja) ナノコンポジット磁石用原料合金、その粉末および製造方法、ならびにナノコンポジット磁石粉末および磁石の製造方法
JP6221978B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
JP2000348919A (ja) ナノコンポジット結晶質焼結磁石およびその製造方法
CN110556224B (zh) 软磁材料及其制造方法
JP3264664B1 (ja) 複数の強磁性相を有する永久磁石およびその製造方法
JP4644986B2 (ja) 異方性鉄基永久磁石およびその製造方法
CN1716465B (zh) 铁基稀土类系各向同性纳米复合磁铁的制造方法
JP4670179B2 (ja) 複数の強磁性相を有する永久磁石およびその製造方法
JP3534218B2 (ja) Fe基軟磁性金属ガラス焼結体の製造方法
JP4374633B2 (ja) ナノコンポジット磁石用原料合金の製造方法、ならびにナノコンポジット磁石粉末および磁石の製造方法
JP2001244107A (ja) 鉄基合金永久磁石粉末およびその製造方法
US4966633A (en) Coercivity in hot worked iron-neodymium boron type permanent magnets
JP4506123B2 (ja) 希土類急冷磁石合金の製造方法および急冷装置
JPH1171645A (ja) 硬磁性合金焼結体とその製造方法
JP2001307913A (ja) 異方性鉄基合金磁石およびその製造方法
JP2580067B2 (ja) 希土類永久磁石の製造方法
JP2003059708A (ja) ナノコンポジット磁石粉末および磁石の製造方法
JP2003320442A (ja) 急冷合金の製造方法