JP4668228B2 - 感熱転写記録用インクシートおよび感熱転写記録方法 - Google Patents

感熱転写記録用インクシートおよび感熱転写記録方法 Download PDF

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Description

本発明は感熱熱転写記録用インクシートに関し、さらに詳しくは発色濃度、鮮明性及び諸堅牢性、特に耐光性に優れた記録画像を形成することができる感熱熱転写用インクシートの提供を目的とする。
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式の記録材料、感熱転写方式の記録材料、電子写真方式の記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されている。従来、種々の感熱転写記録が公知である。感熱転写記録には、支持体(ベースフィルム)上に熱溶融性インク層を形成させた感熱転写材料をサーマルヘッドにより加熱し該インクを溶融して受像材料上に記録する方式と、支持体上に熱移行性色素を含有する色素供与層を形成させた感熱転写材料をサーマルヘッドにより加熱して色素を受像材料上に熱拡散転写させる方式とがある。後者の感熱転写方式は、サーマルヘッドに加えるエネルギーを変えることにより色素の転写量を変化させることができるために階調記録が容易であり、高画質のフルカラー記録には特に有利である。しかしこの方式に用いる熱移行性色素には種々の制約があり、必要とされる性能を全て満たすものは極めて少ない。
しかしながら、上記感熱転写記録におけるフルカラー画像の再現は減色混合であり、かかる減色混合においては、一般にマゼンタの彩度が色再現域を大きく左右する。前記一般式(5)で表されるマゼンタ色のアゾ系色素はそれ自体公知であり、モル吸光係数が高く、吸収カーブがシャープであり、複吸収が少ないという優れた分光特性を有している(特許文献1)。しかしながら、このマゼンタ色素を用いて形成される画像は、極めて鮮明性であり、色再現性に優れ且つ高い発色濃度を持つが、形成される画像の堅牢性、とりわけ耐光性が低いという問題があった。
米国特許第5,789,560号明細書
したがって、本発明の目的は、昇華性色素を使用する感熱転写記録において、マゼンタ色の彩度が高いにもかかわらず、発色濃度、鮮明性及び諸堅牢性、特に耐光性に優れたフルカラー画像を与える感熱転写用インクシートおよび感熱転写記録方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下の構成によって上記課題が達成されることを見出した。
(1) 基材シート及び該基材シートの一方の面に形成された色素担持層からなり、該色素担持層に包含されるマゼンタ色素が、下記一般式(1)〜(4)で示されるアントラキノン系色素の少なくとも1種と、下記一般式(5)で示されるアゾ系色素の少なくとも1種との混合物であることを特徴とする感熱転写記録用インクシート。
Figure 0004668228
(式中XおよびYは−S−、−O−または−SO2−を表し、R1、R2およびR3は各々独立に、置換または無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリル基を表し、R4はハロゲン原子またはシアノ基を表す。)
Figure 0004668228
(式中、R5は、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、あるいは置換または無置換のヘテロ環基を表し、R6はtert−ブチル基またはtert−ペンチル基を表し、R7およびR8は各々独立に、置換または無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換または無置換の炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数3または4のアルケニル基、あるいは置換または無置換のフェニル基を表す。ここで、R7とR8は互いに結合して5または6員環を形成してもよい。)
(2) 支持体上にポリマーを含有するインク受容層を有する受像材料上に前記(1)に記載の感熱転写記録用インクシートを用いて画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
本発明により特定の色素を混合して使用することによって、マゼンタ色の彩度が高いにもかかわらず、発色濃度、鮮明性及び諸堅牢性、特に耐光性に優れたフルカラー画像を与える感熱転写記録用インクシートおよび感熱転写記録方法を提供することができる。
以下に、好ましい実施様態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明で使用するアントラキノン系色素としては、前記一般式(1)〜(4)で示される色素が挙げられ、これらの色素は単独でも混合物としても使用することができる。特にアントラキノン色素を2種以上混合して使用することにより、より適切なマゼンタ色を出すことができる。
一方、本発明で使用するアゾ系色素としては、前記一般式(5)で示される色素が挙げられ、これらの色素は単独でも混合物としても使用することができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
以下に本発明に使用されるアントラキノン系色素およびアゾ系色素について詳細に説明する。
一般式(1)〜(4)において、XおよびYは−S−、−O−または−SO2−を表し、R1、R2およびR3は各々独立に、置換または無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリル基を表し、R4はハロゲン原子またはシアノ基を表す。
一般式(5)において、R5は、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、あるいは置換または無置換のヘテロ環基を表し、R6はtert−ブチル基またはtert−ペンチル基を表し、R7およびR8は各々独立に、置換または無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換または無置換の炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数3または4のアルケニル基、あるいは置換または無置換のフェニル基を表す。ここで、R7とR8は互いに結合して5または6員環を形成してもよい。
以下に、上記R1、R2、R3、R5、R6およびR7の各基が置換してもよい置換基をさらに詳しく説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。中でも塩素原子、臭素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
脂肪族基は、直鎖、分枝または環状の脂肪族基であり、前述のように、飽和脂肪族基には、アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基が含まれ、置換基を有してもよい。これらの炭素数は1〜30が好ましい。例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基および2−エチルヘキシル基を挙げることができる。ここで、シクロアルキル基としては置換もしくは無置換のシクロアルキル基が含まれる。置換もしくは無置換のシクロアルキル基は、炭素数3〜30のシクロアルキル基が好ましい。例としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基を挙げることができる。ビシクロアルキル基としては、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基を挙げることができる。例として、ビシクロ[1.2.2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル基を挙げることができる。さらに環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。
不飽和脂肪族基としては、直鎖、分枝または環状の不飽和脂肪族基であり、アルケニル基、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、アルキニル基が含まれる。アルケニル基としては直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。アルケニル基としては、炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基が好ましい。例としてはビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基を挙げることができる。シクロアルケニル基としては、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基が好ましい。例としては、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基が挙げられる。ビシクロアルケニル基としては、置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基が含まれる。ビシクロアルケニル基としては炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基が好ましい。例として、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−4−イル基を挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、およびプロパルギル基が挙げられる。
アリール基は、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基が挙げられ、置換基を有してもよいフェニル基が好ましい。
ヘテロ環基は、置換もしくは無置換の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、それらはさらに縮環していてもよい。これらのヘテロ環基としては、好ましくは5または6員のヘテロ環基であり、また環構成のヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が好ましい。さらに好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。ヘテロ環基におけるヘテロ環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、シンノリン環、フタラジン環、キノキサリン環、ピロール環、インドール環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、ベンズオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イソチアゾール環、ベンズイソチアゾール環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環、ベンズイソオキサゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、イミダゾリジン環、チアゾリン環が挙げられる。
脂肪族オキシ基(代表としてアルコキシ基)は、置換もしくは無置換の脂肪族オキシ基(代表としてアルコキシ基)が含まれ、炭素数は1〜30が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−オクチルオキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基などを挙げることができる。
アリールオキシ基は、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基が好ましい。アリールオキシ基の例として、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基などを挙げることができる。好ましくは、置換基を有してもよいフェニルオキシ基である。
アシルオキシ基は、ホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基が好ましい。アシルオキシ基の例には、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基などを挙げることができる。
カルバモイルオキシ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基が好ましい。カルバモイルオキシ基の例には、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基などを挙げることができる。
脂肪族オキシカルボニルオキシ基(代表としてアルコキシカルボニルオキシ基)は、炭素数2〜30が好ましく、置換基を有していてもよい。例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基などを挙げることができる。
アリールオキシカルボニルオキシ基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基などを挙げることができる。好ましくは置換基を有してもよいフェノキシカルボニルオキシ基である。
アミノ基は、アミノ基、脂肪族アミノ基(代表としてアルキルアミノ基)、アリールアミノ基およびヘテロ環アミノ基を含む。アミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の脂肪族アミノ基(代表としてアルキルアミノ基)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基が好ましい。アミノ基の例には、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N-メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基、カルボキシエチルアミノ基、スルフォエチルアミノ基、3,5−ジカルボキシアニリノ基、4−キノリルアミノ基などを挙げることができる。
アシルアミノ基は、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましい。アシルアミノ基の例には、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基などを挙げることができる。
アミノカルボニルアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が好ましい。アミノカルボニルアミノ基の例には、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基などを挙げることができる。なお、この基における「アミノ」の用語は、前述のアミノ基における「アミノ」と同じ意味である。
脂肪族オキシカルボニルアミノ基(代表としてアルコキシカルボニルアミノ基)は、炭素数2〜30が好ましく、置換基を有してもよい。例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基などを挙げることができる。
アリールオキシカルボニルアミノ基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基などを挙げることができる。置換基を有してもよいフェニルオキシカルボニルアミノ基が好ましい。
スルファモイルアミノ基は、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基が好ましい。スルファモイルアミノ基の例には、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基などを挙げることができる。
脂肪族(代表としてアルキル)もしくはアリールスルホニルアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の脂肪族スルホニルアミノ基(代表としてアルキルスルホニルアミノ基)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基(好ましくは置換基を有してもよいフェニルスルホニルアミノ基)が好ましい。例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基などを挙げることができる。
脂肪族チオ基(代表としてアルキルチオ基)は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基が好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基などを挙げることができる。
スルファモイル基は、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基が好ましい。スルファモイル基の例には、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)基などを挙げることができる。
脂肪族(代表としてアルキル)もしくはアリールスルフィニル基は、炭素数1〜30の置換または無置換の脂肪族スルフィニル基(代表としてアルキルスルフィニル基)、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基(好ましくは置換基を有してもよいフェニルスルフィニル基)が好ましい。例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基などを挙げることができる。
脂肪族(代表としてアルキル)もしくはアリールスルホニル基は、炭素数1〜30の置換または無置換の脂肪族スルホニル基(代表としてアルキルスルホニル基)、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基(好ましくは置換基を有してもよいフェニルスルホニル基)が好ましい。例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル基などを挙げることができる。
アシル基は、ホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換の脂肪族カルボニル基(代表としてアルキルカルボニル基)、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基(好ましくは置換基を有してもよいフェニルカルボニル基)、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が好ましい。例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル基などを挙げることができる。
アリールオキシカルボニル基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基が好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基などを挙げることができる。好ましくは置換基を有してもよいフェニルオキシカルボニル基である。
脂肪族オキシカルボニル基(代表としてアルコキシカルボニル基)は、炭素数2〜30が好ましく、置換基を有してもよい。例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル基などを挙げることができる。
カルバモイル基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基が好ましい。カルバモイル基の例には、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基などを挙げることができる。
アリールもしくはヘテロ環アゾ基として、例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ基などを挙げることができる。
イミド基として、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基などを挙げることができる。
これらに加え、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基が挙げられる。
これらの各基はさらに置換基を有してもよく、このような置換基としては、上述の置換基が挙げられる。
以下に、本発明の一般式(1)〜(5)で表されるアントラキノン系色素およびアゾ系色素の具体例を示すが、本発明で用いることができる一般式(1)〜(5)のアントラキノン系色素およびアゾ系色素は以下の具体例によって限定的に解釈されるものではない。
また、この表に示した各々の基の例示基はこれらの各々において好ましい基である。
Figure 0004668228
Figure 0004668228
Figure 0004668228
Figure 0004668228
Figure 0004668228
これらのアントラキノン系色素自体は分散染料等として公知の色素であり、市場から入手して本発明で使用することができる。またアゾ系色素に関しては、米国特許第5,789,560号明細書記載の方法で製造することができる。
〔感熱転写記録用インクシート〕
本発明の感熱転写記録用インクシートは、前記一般式(1)〜(4)で表されるアントラキノン系色素と前記一般式(5)で表されるアゾ系色素を含有するものである。感熱転写記録用インクシートは、一般に支持体上に色素供与層が形成された構造を有しており、その色素供与層中に色素を含有させる。本発明の感熱転写記録用インクシートは、色素をバインダーとともに溶剤中に溶解するか、あるいは溶媒中に微粒子状に分散させることによってインク液を調製し、該インク液を支持体上に塗設し、適宜乾燥して色素供与層を形成することにより製造することができる。
本発明の感熱転写記録用インクシートの支持体には、インクシート用支持体として従来から用いられているものを適宜選択して用いることができる。例えば特開平7−137466号公報の段落番号0050に記載される材料を好ましく用いることができる。支持体の厚みは、2〜30μmが好ましい。
本発明の感熱転写記録用インクシートの色素供与層に用いることができるバインダー樹脂は、耐熱性が高くて、加熱されたときに色素が受像材料へ移行するのを妨げないものであれば特にその種類は制限されない。例えば、特開平7−137466号公報の段落番号0049に記載されるものを好ましい例として挙げることができる。また、色素供与層形成用の溶剤についても、従来公知の溶剤を適宜選択して用いることができ、特開平7−137466号公報の実施例に記載されるものを好ましく用いることができる。
色素供与層中における一般式(1)〜(4)で表されるアントラキノン系色素と一般式(5)で表されるアゾ系色素とは、選択された各々の特定の色素によって異なるが、一般的には重量比で5〜95:95〜5の比率で使用することが好ましい。アントラキノン系色素の割合が大きすぎると発色濃度が低下したり、色再現性が悪化する等の点で不満足であり、一方、少なすぎると耐光性が低下する等の点で不満足である。
色素供与層中における色素混合物の含有量は、0.03〜1.0g/m2が好ましく、0.1〜0.6g/m2がより好ましい。また、色素供与層の厚みは、0.2〜5μmが好ましく、0.4〜2μmがより好ましい。
本発明の感熱転写記録用インクシートは、本発明の効果を過度に阻害しない範囲内であれば、色素供与層以外の層を有するものであってもよい。例えば、支持体と色素供与層との間に中間層を有するものであってもよいし、色素供与層とは反対側の支持体面(以下において「背面」ともいう)にバック層を有するものであってもよい。中間層としては、例えば下塗り層や、色素の支持体方向への拡散を防止するための拡散防止層(親水性バリアー層)を挙げることができる。また、バック層としては、例えば耐熱スリップ層を挙げることができ、サーマルヘッドのインクシートへの粘着防止を図ることができる。
本発明をフルカラー画像記録が可能な感熱転写記録材料に適用するには、シアン画像を形成することができる熱拡散性シアン色素を含有するシアンインクシート、マゼンタ画像を形成することができる熱拡散性マゼンタ色素を含有するマゼンタインクシート、イエロー画像を形成することができる熱拡散性イエロー色素を含有するイエローインクシートを支持体上に順次塗設して形成することが好ましい。また、必要に応じて他に黒色画像形成物質を含むインクシートがさらに形成されていてもよい。
シアン画像を形成することができる熱拡散性シアン色素を含有するシアンインクシートとしては、例えば、特開平3−103477号公報や特開平3−150194号公報などに記載されるものを好ましく用いることができる。イエロー画像を形成することができる熱拡散性イエロー色素を含有するイエローインクシートとしては、例えば、特開平1−225592号公報などに記載されるものを好ましく用いることができる。
〔感熱転写記録〕
本発明の感熱転写記録用インクシートを用いて感熱転写記録を行う際には、サーマルヘッド等の加熱手段と受像材料を組み合わせて用いる。すなわち、画像記録信号に従ってサーマルヘッドから熱エネルギーがインクシートに加えられ、該熱エネルギーが加えられた部分の色素が受像材料に移行し固定されることによって画像記録がなされる。受像材料は、通常は支持体上にポリマーを含有するインク受容層を設けた構成を有している。受像材料の構成や使用材料については、例えば特開平7−137466号公報の段落番号0056〜0074に記載されたものを好ましく用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<感熱転写記録用インクシートの作製>
裏面に熱硬化アクリル樹脂(厚み1μm)により耐熱滑性処理が施された厚み6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、(株)東レ製)を支持体として使用し、フィルムの表面側に下記の色素供与層形成用塗料組成物をワイヤーバーコーティングにより乾燥時の厚みが1μmとなるように塗布形成し、インクシート1を作製した。
(色素供与層形成用塗料組成物)
例示化合物(1−1) 2.0質量部
例示化合物(5−1) 2.0質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
次に、上記例示化合物(1−1)および例示化合物(5−1)を下記表6に記載の色素にそれぞれ変更したこと以外はインクシート1の作製と同様にして、本発明のインクシート2〜36および比較用インクシート37〜50をそれぞれ作製した。
<受像材料の作製>
支持体として合成紙(ユポFPG200、商品名、ユポコーポレーション社製、厚み200μm)を用い、この一方の面に下記組成の白色中間層形成用塗料組成物、受容層形成用塗料組成物の順にバーコーターにより塗布を行った。それぞれの塗布量は、乾燥時に白色中間層1.0g/m2、受容層4.0g/m2となる量とし、乾燥は各層110℃で30秒間行った。
(白色中間層形成用塗料組成物)
ポリエステル樹脂(バイロン200、商品名、東洋紡積(株)製) 10質量部
蛍光増白剤(Uvitex OB、商品名、チバガイギー社製) 1質量部
酸化チタン 30質量部
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
(受容層形成用塗料組成物)
塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂 100質量部
(ソルバインA、商品名、日信化学工業(株)製)
アミノ変性シリコーン 5質量部
(X22−3050C、商品名、信越化学工業(株)製)
エポキシ変性シリコーン 5質量部
(X22−300E、商品名、信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(=1/1) 400質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 5質量部
(Tinuvin900、商品名、チバスペシャリティーケミカルズ社製)
<画像記録および評価>
上記のようにして得られたインクシート1と受像材料とを、色素供与層と受像層とが接するようにして重ね合わせ、色素供与材料の背面側からサーマルヘッドを使用し、サーマルヘッドの出力0.25W/ドット、パルス巾0.15〜15ミリ秒、ドット密度6ドット/mmの条件で印字を行い、受像材料の受像層にマゼンタ色の色素を像状に染着させたところ、転写むらのない鮮明な画像記録が得られた。インクシート1をインクシート2〜50にそれぞれ変更したこと以外は同様にして画像記録を行った。
得られた各画像のマゼンタ画像を目視にて、A(非常に鮮明)、B(鮮明)、C(やや不鮮明)、D(不鮮明)の4段階で評価した。結果を下記表6に示す。
得られた各画像のベタ濃度(100%網点濃度)におけるステータスA反射濃度を測定し、反射濃度が1.8以上をA(非常に良い)、1.6以上1.8未満をB(良い)、1.0以上1.6未満をC(一応許容できる)の3段階で転写性を評価した。結果を下記表6に示す。
次に、得られた記録済の各熱転写受像材料を7日間、Xeライト(17000ルクス)で照射し、色像の光安定性(光堅牢性)を調べた。ステータスA反射濃度1.0を示す部分の照射後のステータスA反射濃度を測定し、照射前の反射濃度1.0に対する残存率(百分率)でその安定度をA(90%以上100%未満)、B(80%以上90%未満)、C(80%未満)の3段階で評価した。結果を下記表6に示す。
Figure 0004668228
Figure 0004668228
Figure 0004668228
上記の画像記録試験の結果、特定の色素を混合して使用することによってマゼンタ色の彩度の高いにもかかわらず、発色濃度、鮮明性、および諸堅牢性、特に耐光性に優れた画像を与える感熱転写用インクシートおよび感熱転写記録方法を提供することができる。また予想外にも、インクの経時安定性に優れ、長期保存性が高いことが分かった。

Claims (2)

  1. 基材シート及び該基材シートの一方の面に形成された色素担持層からなり、該色素担持層に包含されるマゼンタ色素が、下記一般式(1)〜(4)で示されるアントラキノン系色素の少なくとも1種と、下記一般式(5)で示されるアゾ系色素の少なくとも1種との混合物であることを特徴とする感熱転写記録用インクシート。
    Figure 0004668228
    (式中、XおよびYは各々独立に−S−、−O−または−SO2−を表し、R1、R2およびR3は各々独立に、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のシクロアルキル基、置換または無置換のアリール基、あるいは置換または無置換のアリル基を表し、R4はハロゲン原子またはシアノ基を表す。)
    Figure 0004668228
    (式中、R5は、置換または無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換または無置換のフェニル基、あるいは置換または無置換のヘテロ環基を表し、R6はtert−ブチル基またはtert−ペンチル基を表し、R7およびR8は各々独立に、置換または無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換または無置換の炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数3または4のアルケニル基、あるいは置換または無置換のフェニル基を表す。ここで、R7とR8は互いに結合して5または6員環を形成してもよい。)
  2. 支持体上にポリマーを含有するインク受容層を有する受像材料上に請求項1に記載の感熱転写記録用インクシートを用いて画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
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