JP2009241341A - 感熱転写シート - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布から乾燥までの時間が短い場合に離型性が悪化するという問題を解決する感熱転写シートを提供する。
【解決手段】基材の一方の面に熱転写可能な染料、バインダーおよび離型剤を含む熱転写層を有し、他方の面に耐熱滑性層が形成された感熱転写シートであって、前記染料が下記一般式(1)で表される染料の少なくとも1種を含有し、該バインダーがポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、石油系樹脂、ロジン誘導体、クマロン−インデン樹脂、テルペン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂およびポリビニルアセトアセタール系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有し、該離型剤が、フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する分子量5000以上100000以下の高分子型離型剤の少なくとも1種である感熱転写シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、感熱転写シートに関するものであり、更に詳しくは塗布から乾燥までの時間が短い場合でも優れた離型性を有する感熱転写シートに関する。
従来、種々の熱転写記録方法が知られているが、中でも染料拡散転写記録方式は、銀塩写真の画質に最も近いカラーハードコピーが作製できるプロセスとして注目されている。しかも銀塩写真のように処理薬品を用いることなく、デジタルデータから直接可視像化できる、複製作りが簡単であるなどの利点を持っている。
このうち、昇華型熱転写記録方式では、染料を含有する感熱転写シート(以下、インクシートともいう。)と感熱転写受像シート(以下、受像シートともいう。)とを重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッド等によって感熱転写シートを加熱することで感熱転写シート中の染料を感熱転写受像シートに転写して画像情報の記録を行うものであり、シアン、マゼンタ、イエローの3色を重ねて記録することで色の濃淡に連続的な変化を有するカラー画像を記録することができる。
昇華型熱転写方式における技術課題の一つとして、感熱転写シートと感熱転写受像シートとの剥離不良に起因する画像故障が上げられる。昇華型熱転写方式では、感熱転写シートと感熱転写受像シートとを重ね合わせ、画像を形成する。画像は感熱転写受像シート上に形成されるので、不要になった感熱転写シートは感熱受像シート上に、不要物を残さずに剥がされる必要がある。ところが、プリント時間短縮の要求から、記録時に感熱転写シートに印加される温度は上昇する(それに伴い、加熱時間は短縮される)傾向にある。そのため、印画後に感熱転写シートとが融着するあるいは感熱転写シートと感熱転写受像シートが連続的に剥離せず剥離線が残るという問題を生じ易くなっている。
感熱転写シートと感熱転写受像シートとの融着防止に対して、シリコン化合物やフッ素化合物などの離型剤を用いる方法が提案されている。この方法の一つとして、これら離型剤を感熱転写受像シート側に導入する方法が提案されているが、近年の昇華型熱転写記録方式では、形成された画像の耐擦過性向上や光堅牢性向上の観点から、画像形成後の感熱転写受像シート上に透明な樹脂を積層させる場合が多い。この時に感熱転写受像シート側に離型剤が存在すると、透明樹脂の積層に不利になる場合がある。
別の方法として、離型剤の感熱転写シートへの導入も提案されている。フッ素系高分子化合物を離型剤として、感熱転写シートに導入する方法が提案されている(特許文献1、2、3)が、剥離線の問題に対しては必ずしも満足できるものではなかった。
特許第3150691号公報 特開平5−32072号公報 特開平1−146791号公報
前記のフッ素系高分子化合物を感熱転写シートの熱転写層に含有させることにより好ましく離型性を改良でき、上記剥離線の問題は解決できることがわかったが、予期せぬ新たな問題も発生した。
熱転写層の塗布はロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行われる。塗布から乾燥までの時間は短い方が、コストメリットが高いが、フッ素系高分子化合物を熱転写層に含有する場合、塗布から乾燥までの時間が短い場合、離型性が悪化し、剥離線の問題が解決できなくなることがわかった。
従って、本発明の目的は、塗布から乾燥までの時間が短い場合に離型性が悪化するという問題を解決する感熱転写シートを提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題は下記の手段により達成された。
(1)基材の一方の面に熱転写可能な染料、バインダーおよび離型剤を含む熱転写層を有し、他方の面に耐熱滑性層が形成された感熱転写シートであって、前記染料が下記一般式(1)で表される染料の少なくとも1種を含有し、該バインダーがポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、石油系樹脂、ロジン誘導体、クマロン−インデン樹脂、テルペン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂およびポリビニルアセトアセタール系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有し、該離型剤が、フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する分子量5000以上100000以下の高分子型離型剤の少なくとも1種であることを特徴とする感熱転写シート。
Figure 2009241341
一般式(1)中、Aは置換もしくは無置換のフェニレン基を表し、RおよびRは各々独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基または置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rは水素原子、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、Rは置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。
(2)前記バインダーがポリビニルアセトアセタール系樹脂であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写シート。
本発明により、塗布から乾燥までの時間が短い場合でも優れた離型性を可能にすることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
最初に、本発明で使用する感熱転写シートを詳細に説明する。
本発明で使用する感熱転写シートは、基材上に拡散転写染料を含む熱転写層(感熱転写層または染料層とも称す)を設けたものであり、熱転写された画像の上に透明樹脂からなる保護層を熱転写で形成し、画像を覆い保護するための転写性保護層積層体が同一基材上に形成される形態が好ましい。
本発明において、感熱転写シートは、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の熱転写層及び必要に応じてブラックの熱転写層が同一の基材上に面順次で繰り返し塗り分けられていることが好ましい。一例として、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色相の染料層が同一の基材の長軸方向に、感熱転写受像シートの記録面の面積に対応して面順次に塗り分けられた構成を挙げることができる。この3層に加えて、ブラックの熱転写層が設置されても良い。またプリンターの読み取りが可能な各色の開始点を示す目印が設置されていることが好ましい。
感熱転写シートにおいて、各色相の染料はそれぞれバインダーに分散された状態で支持体上に塗布される。
本発明の感熱転写シートに用いられるバインダーはポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、石油系樹脂、ロジン誘導体、クマロン−インデン樹脂、テルペン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂およびポリビニルアセトアセタール系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有する。これらを混合、または共重合して用いることも可能である。バインダー全量における上記樹脂の割合は50質量%以上、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、本発明の範囲内において各種公知の樹脂が使用できる。バインダー全量における上記樹脂の割合が50質量%以下の場合、本発明の効果が十分に得られない。上記バインダーの中でも、ポリビニルアセトアセタール系樹脂がより好ましい。本発明におけるポリビニルアセトアセタール系樹脂の好ましい組成は樹脂中のアセタール部が樹脂全量に対して50質量%以上、好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは80質量%であり、該アセタール部分の70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上がアセトアセタールである。アセタール部については、本発明の範囲内において他のアセタール(ブチラール、ベンザールなど)が混合していても良い。
このようなアセタール系樹脂は特許第3065111号公報や該明細書中に引用された文献による方法で合成できる他、積水化学工業株式会社製 エスレックKS−5(商品名)、電気化学工業株式会社製 デンカブチラール#5000−D(商品名)など、商業的に入手可能な製品がある。
本発明の感熱転写シートは熱転写層にフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子型離型剤を含有する。フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子型離型剤は、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフッ素原子が置換した脂肪族化合物から導くことができる。フッ素原子が置換した脂肪族化合物は、例えば、特開2002−90991号公報に記載された方法等によって容易に合成することができる。
ここで、フッ素原子が置換した脂肪族基は、少なくとも1個のフッ素原子が置換した脂肪族基(直鎖、分岐または環状の脂肪族基)であり、好ましくは炭素原子数が1〜36の、アルキル基、アルケニル基またはシクロアルキニル基である。より好ましくは炭素原子数が1〜36(好ましくは1〜18、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜10、最も好ましくは4〜8)のアルキル基で、該脂肪族基はフッ素原子以外に置換基を有してもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、フッ素原子以外のハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、スルホニル基、ウレイド基、ウレタン基等が挙げられる。
本発明においてフッ素原子が置換した脂肪族基として最も好ましくは、パーフルオロアルキル基である。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子型離型剤としては、フッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーの重合体もしくは共重合体が好ましく、このようなモノマーとしては、アクリル酸誘導体(例えばアクリル酸類、アクリル酸エステル類、アクリル酸アミド類で、アクリル酸エステル類、アクリル酸アミド類が好ましく、アクリル酸エステル類がより好ましい)、メタクリル酸誘導体(例えばメタクリル酸類、メタクリル酸エステル類、メタクリル酸アミド類で、メタクリル酸エステル類、メタクリル酸アミド類が好ましく、メタクリル酸エステル類がより好ましい)のアシル部またはアルコールもしくはアミド部(窒素原子に置換する基)にフッ素原子が置換した脂肪族基が置換したモノマーやアクリロニトリル誘導体にフッ素原子が置換した脂肪族基が置換したモノマーで得られる高分子化合物が好ましい。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子型離型剤としては、フッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーとの共重合体の場合、組み合わせるモノマーとしては、アクリレート類、メタアクリレート類、アクリロニトリル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、オレフィン類、スチレン類等が挙げられ、なかでもアクリレート類、メタアクリレート類、アクリロニトリル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類が好ましく、より好ましくはアクリレート類、メタアクリレート類であり、これらの中でも、アルコール部もしくはアミド部の窒素原子に置換する基中にポリオキシアルキレン(例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン)を有するものが好ましい。
本発明においては共重合体が好ましく、2元系でも3元系でもそれ以上であってもかまわない。
例えば、フッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフッ素原子が置換した脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物の質量平均分子量は5,000〜100,000であり、より好ましくは8,000〜50,000であり、さらに好ましくは10,000〜30,000である。
例えば、パーフルオロブチル基(−C)を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロブチル基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロヘキシル基(−C13)を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロヘキシル基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロオクチル基(−C17)を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、パーフルオロオクチル基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体などを挙げることができる。
また本発明のフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子型離型剤は、「パーフルオロアルキル含有オリゴマー」等の一般名称で商業的に入手可能であり、例えば下記の製品を使用することができる。
大日本インキ化学工業株式会社製 メガファックF−470、メガファックF−471、メガファックF−472SF、メガファックF−474、メガファックF−475、メガファックF−477、メガファックF−478、メガファックF−479、メガファックF−480SF、メガファックF−472、メガファックF−483、メガファックF−484、メガファックF−486、メガファックF−487、メガファックF−489、メガファックF−172D、メガファックF−178K、メガファックF−178RM(いずれも製品名)、住友スリーエム株式会社製 ノベックTM FC−4430、FC−4432(いずれも製品名)。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物添加量は染料とバインダーの種類や量に応じて適当に決めることができ、熱転写層の全固形分(質量)に対して、好ましくは0.01%〜20%であり、より好ましくは、0.1%〜10%であり、さらに好ましくは0.2%〜5%である。
本発明の感熱転写シートに用いられる一般式(1)で表される染料について詳細に説明する。
Figure 2009241341
一般式(1)中、Aは置換もしくは無置換のフェニレン基を表し、RおよびRは各々独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基または置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rは水素原子、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、Rは置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。
ここで、前記、A、R、R、RおよびRの各基が置換してもよい置換基をさらに詳しく説明する。
以下に、このような置換基を具体的基、好ましい基を挙げながら例示する。これらはいずれも上記各基が置換してもよい置換基である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。中でも塩素原子、臭素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
脂肪族基は、直鎖、分枝または環状の脂肪族基(環状の脂肪族基とは、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、ビシクロアルキル基等の環状の脂肪族基を意味する)であり、飽和脂肪族基には、アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基が含まれ、置換基を有してもよい。これらの炭素数は1〜30が好ましい。例としてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、ベンジルおよび2−エチルヘキシルを挙げることができる。ここで、シクロアルキル基としては置換もしくは無置換のシクロアルキル基が含まれる。置換もしくは無置換のシクロアルキル基は、炭素数3〜30のシクロアルキル基が好ましい。例としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルを挙げることができる。ビシクロアルキル基としては、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基を挙げることができる。例として、ビシクロ[1.2.2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イルを挙げることができる。さらに環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。
不飽和脂肪族基としては、直鎖、分枝または環状の不飽和脂肪族基であり、アルケニル基、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、アルキニル基が含まれる。アルケニル基としては直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。アルケニル基としては、炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基が好ましい。例としてはビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイルを挙げることができる。シクロアルケニル基としては、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基が好ましい。例としては、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルが挙げられる。ビシクロアルケニル基としては、置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基が含まれる。ビシクロアルケニル基としては炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基が好ましい。例として、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−4−イルを挙げることができる。アルキニル基は、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル、およびプロパルギルが挙げられる。
アリール基は、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニルが挙げられ、置換基を有してもよいフェニル基が好ましい。
ヘテロ環基は、置換もしくは無置換の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、それらはさらに縮環していてもよい。これらのヘテロ環基としては、好ましくは5または6員のヘテロ環基であり、また環構成のヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が好ましい。さらに好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。ヘテロ環基におけるヘテロ環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、シンノリン環、フタラジン環、キノキサリン環、ピロール環、インドール環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、ベンズオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イソチアゾール環、ベンズイソチアゾール環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環、ベンズイソオキサゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、イミダゾリジン環、チアゾリン環が挙げられる。
脂肪族オキシ基(代表としてアルコキシ基)は、置換もしくは無置換の脂肪族オキシ基(代表としてアルコキシ基)が含まれ、炭素数は1〜30が好ましい。例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシおよび3−カルボキシプロポキシなどを挙げることができる。
アリールオキシ基は、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基が好ましい。アリールオキシ基の例として、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシなどを挙げることができる。好ましくは、置換基を有してもよいフェニルオキシ基である。
アシルオキシ基は、ホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基が好ましい。アシルオキシ基の例には、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシなどを挙げることができる。
カルバモイルオキシ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基が好ましい。カルバモイルオキシ基の例には、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシなどを挙げることができる。
脂肪族オキシカルボニルオキシ基(代表としてアルコキシカルボニルオキシ基)は、炭素数2〜30が好ましく、置換基を有していてもよい。例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、tert−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシなどを挙げることができる。
アリールオキシカルボニルオキシ基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシなどを挙げることができる。好ましくは置換基を有してもよいフェノキシカルボニルオキシ基である。
アミノ基は、無置換のアミノ基、脂肪族アミノ基(代表としてアルキルアミノ基)、アリールアミノ基およびヘテロ環アミノ基を含む。アミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の脂肪族アミノ基(代表としてアルキルアミノ基)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基が好ましい。アミノ基の例には、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、スルフォエチルアミノ、3,5−ジカルボキシアニリノ、4−キノリルアミノなどを挙げることができる。
アシルアミノ基は、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましい。アシルアミノ基の例には、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノなどを挙げることができる。
アミノカルボニルアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が好ましい。アミノカルボニルアミノ基の例には、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノなどを挙げることができる。なお、この基における「アミノ」の用語は、前述のアミノ基における「アミノ」と同じ意味定義である。
脂肪族オキシカルボニルアミノ基(代表としてアルコキシカルボニルアミノ基)は、炭素数2〜30が好ましく、置換基を有してもよい。例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、tert−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノなどを挙げることができる。
アリールオキシカルボニルアミノ基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノなどを挙げることができる。置換基を有してもよいフェニルオキシカルボニルアミノ基が好ましい。
スルファモイルアミノ基は、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基が好ましい。スルファモイルアミノ基の例には、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノなどを挙げることができる。
脂肪族(代表としてアルキル)もしくはアリールスルホニルアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の脂肪族スルホニルアミノ基(代表としてアルキルスルホニルアミノ基)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基(好ましくは置換基を有してもよいフェニルスルホニルアミノ基)が好ましい。例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノなどを挙げることができる。
脂肪族チオ基(代表としてアルキルチオ基)は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基が好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオなどを挙げることができる。
スルファモイル基は、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基が好ましい。スルファモイル基の例には、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)などを挙げることができる。
脂肪族(代表としてアルキル)もしくはアリールスルフィニル基は、炭素数1〜30の置換または無置換の脂肪族スルフィニル基(代表としてアルキルスルフィニル基)、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基(好ましくは置換基を有してもよいフェニルスルフィニル基)が好ましい。例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニルなどを挙げることができる。
脂肪族(代表としてアルキル)もしくはアリールスルホニル基は、炭素数1〜30の置換または無置換の脂肪族スルホニル基(代表としてアルキルスルホニル基)、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基(好ましくは置換基を有してもよいフェニルスルホニル基)が好ましい。例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルなどを挙げることができる。
アシル基は、ホルミル基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換の脂肪族カルボニル基(代表としてアルキルカルボニル基)、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基(好ましくは置換基を有してもよいフェニルカルボニル基)、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が好ましい。例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニルなどを挙げることができる。
アリールオキシカルボニル基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基が好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−tert−ブチルフェノキシカルボニルなどを挙げることができる。好ましくは置換基を有してもよいフェニルオキシカルボニル基である。
脂肪族オキシカルボニル基(代表としてアルコキシカルボニル基)は、炭素数2〜30が好ましく、置換基を有してもよい。例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニルなどを挙げることができる。
カルバモイル基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基が好ましい。カルバモイル基の例には、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイルなどを挙げることができる。
アリールもしくはヘテロ環アゾ基として、例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾなどを挙げることができる。
イミド基として、例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミドなどを挙げることができる。
これらに加え、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基が挙げられる。
これらの各基はさらに置換基を有してもよく、このような置換基としては、上述の置換基が挙げられる。
Aは、置換もしくは無置換のフェニレン基であり、より好ましくはメチル基または塩素原子が置換したフェニレン基または無置換のフェニレン基であり、最も好ましくは無置換のフェニレン基である。
として、好ましくは置換もしくは無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリル基、置換もしくは無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜10)であり、より好ましくは置換または無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、アリル基であり、最も好ましくは無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)であり、なかでもエチル基が好ましい。
として、好ましくは置換もしくは無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリル基、置換もしくは無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜10)であり、より好ましくは置換または無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、アリル基であり、最も好ましくは無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)であり、なかでもエチル基が好ましい。
として、好ましくは置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基であり、より好ましくはジアルキルアミノ基(好ましくは炭素数2〜8)、無置換のアミノ基、無置換のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6)であり、さらに好ましくはジアルキルアミノ基(好ましくは炭素数2〜4)、無置換のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)であり、最も好ましくは無置換のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)であり、なかでもエトキシ基が好ましい。
として、好ましくは置換または無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜10)であり、より好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜10)であり、さらに好ましくは置換もしくは無置換のアリール基(好ましくは無置換のアリール基でさらに好ましくは炭素数6〜10)であり、なかでも置換もしくは無置換のフェニル基が好ましく、最も好ましくは無置換のフェニル基である。
一般式(1)で表される染料の好ましい置換基の組み合わせ(A、R、R、RおよびRの組み合わせ)については、これらの置換基の少なくとも1つが前記の好ましい置換基である染料が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい置換基である染料がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である染料が最も好ましい。
一般式(1)で表される染料の好ましい置換基の組み合わせは、Aは置換もしくは無置換のフェニレン基であり、Rが置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、アリル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基であり、Rが置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、アリル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基であり、Rは置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基であり、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10アリール基である組み合わせである。
より好ましい置換基の組み合わせは、Aは置換もしくは無置換のフェニレン基であり、Rが置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、置換もしくは無置換のフェニル基であり、Rが置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アリル基、置換もしくは無置換のフェニル基であり、Rは置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基であり、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基である組み合わせである。
最も好ましい置換基の組み合わせは、Aはメチル基または塩素原子で置換されたフェニレン基または無置換のフェニレン基であり、Rが置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、アリル基であり、Rが置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、アリル基であり、Rは置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基であり、Rは置換もしくは無置換のフェニル基である組み合わせである。
以下に、本発明の一般式(1)で表される染料の具体的化合物例を示すが、以下の具体例によって限定的に解釈されるものではない。
Figure 2009241341
一般式(1)で表される染料のうち、市販されていないものに関しては、一般的に行われているピラゾロン誘導体とアミノベンズアルデヒド誘導体との脱水縮合反応により合成することができる。
本発明に用いられる染料は、その他に色素を併用することも可能である。併用する色素としては熱により拡散し、感熱転写シートに組み込み可能かつ、加熱により感熱転写シートから受像シートに転写するものであれば特に限定されず、熱転写シート用の染料として従来から用いられてきている染料、あるいは公知の染料を用いることができる。
併用するのに好ましい染料としては、例えば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等が挙げられる。
併用する色素の具体例を挙げると、イエロー染料としては、ディスパースイエロー231、ディスパースイエロー201、ソルベントイエロー93等が好ましく、このうちソルベントイエロー93が特に好ましい、マゼンタ染料としては、ディスパースバイオレット26、ディスパースレッド60、ソルベントレッド19等が好ましく、このうちさらにディスパースバイオレット26、ディスパースレッド60が特に好ましい、シアン染料としては、ソルベントブルー63、ソルベントブルー36、ディスパースブルー354、ディスパースブルー35等が挙げられ、このうちさらにソルベントブルー63が特に好ましい。これらの例示された染料以外の適切な染料を用いることも、もちろん可能である。
また、上記の各色相の染料を任意に組み合わせることも可能である。例えばブラックの色相も染料の組み合わせで得ることができる。
一般式(1)で表される染料はイエロー熱転写層中には0.1〜80質量%含有されることが好ましく、0.5〜70質量%含有されることがより好ましい。マゼンタまたはシアン熱転写層中に含有する場合は0.1〜5質量%含有されることが好ましく、0.5〜2質量%含有されることがより好ましい。マゼンタまたはシアン熱転写層中に含有する場合は5質量%以上含有される場合には色再現性が低下してしまう。
染料は、熱転写層中に20〜80質量%含有されることが好ましく、30〜70質量%含有されることがより好ましい。染料/バインダー比は0.3〜2.5が好ましく、0.5〜2.0がより好ましい。
本発明の感熱転写シートは熱転写層に、染料、バインダー、 フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子型離型剤を含有する。さらに、必要に応じて、ワックス類、シリコーン類、ポリマー粒子、無機粒子を含有することができる。
基材上に熱転写層を設けるには、染料、バインダー、フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子型離型剤およびワックス類、シリコーン類、ポリマー粒子、無機粒子等を溶剤に分散または溶解して熱転写層形成用インキ組成物とし、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な塗布方法により基材上に設けられる。溶剤は従来公知のインキ溶剤が自由に使用できるが、溶解性、インキ組成物の安定性などからメチルエチルケトン、トルエンが好ましい。熱転写層形成用インキ組成物の固形分濃度は1〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がさらに好ましい。
基材上に熱転写層形成用インキ組成物を塗布してから乾燥するまでの時間は短いほど製造コストの観点から好ましく、60秒以下が好ましく、10秒以下がさらに好ましく、3秒以下が最も好ましい。本発明において、熱転写層中における溶剤量が1000ppm以下になった状態を乾燥状態にあるとする。
熱転写層の塗布量は0.1〜2.0g/m(固形分換算、以下本発明における塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である)が好ましく、更に好ましくは0.2〜1.2g/mである。熱転写層の膜厚は0.1〜2.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.2〜1.2μmである。
熱転写層は単層構成であっても複層構成であってもよく、複層構成の場合、熱転写層を構成する各層の組成は同一であっても異なっていてもよい。
本発明において、感熱転写シートに転写性保護層積層体を面順次で設けるのが好ましい。転写性保護層積層体は、熱転写された画像の上に透明樹脂からなる保護層を熱転写で形成し、画像を覆い保護するためのものであり、耐擦過性、耐光性、耐候性等の耐久性向上を目的とする。転写された染料が受像シート表面に曝されたままでは、耐光性、耐擦過性、耐薬品性等の画像耐久性が不十分な場合に有効である。
転写性保護層積層体は、基材上に、基材側から離型層、保護層、接着剤層の順に形成することができる。保護層を複数の層で形成することも可能である。保護層が他の層の機能を兼ね備えている場合には、離型層、接着剤層を省くことも可能である。支持体としては、易接着層の設けられたものを用いることも可能である。
本発明の転写性保護層を形成する樹脂としては、耐擦過性、耐薬品性、透明性、硬度に優れた樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これら各樹脂のシリコーン変性樹脂、紫外線遮断性樹脂、これら各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。なかでも、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。また、各種架橋剤によって架橋することも可能である。
本発明において、感熱転写シートは、基材に染料層を塗設した面の他方の面(裏面)、すなわちサーマルヘッド等に接する側に耐熱滑性層(背面層とも称す)を設ける。また、保護層転写シートの場合にも、転写性保護層を塗設した基材面の他方の面(裏面)、すなわちサーマルヘッド等に接する側に背面層を設けることが好ましい。
感熱転写シートの基材の裏面とサーマルヘッド等の加熱デバイスとが直接接触した状態で加熱されると、熱融着が起こりやすい。また、両者の間の摩擦が大きく、感熱転写シートを印画時に滑らかに搬送することが難しい。
耐熱滑性層は、感熱転写シートがサーマルヘッドからの熱エネルギーに耐え得るように設けられるものであって、熱融着を防止し、滑らかな走行を可能にする。近年、プリンターの高速化に伴いサーマルヘッドの熱エネルギーが増加しているため、必要性は大きくなっている。
耐熱滑性層は、バインダーに滑剤、離型剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加したものを塗布することによって形成される。また、耐熱滑性層と基材との間に中間層を設けてもよく、無機微粒子と水溶性樹脂またはエマルジョン化可能な親水性樹脂からなる層が開示されている。
次に本発明の画像形成に用いることができる感熱転写受像シートについて説明する。
該感熱転写受像シートは、染料を受容する熱可塑性の受容ポリマーを含有する少なくとも1層の受容層を支持体上に有する。受容層には、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、その他の添加物を含有させることができる。支持体と受容層との間に、例えば断熱層(多孔質層)、光沢制御層、白地調整層、帯電調節層、接着層、プライマー層などの中間層が形成されていてもよい。支持体と受容層との間に少なくとも1層の断熱層を有することが好ましい。
受容層およびこれらの中間層は同時重層塗布により形成されることが好ましく、中間層は、必要に応じて複数設けることができる。
支持体の裏面側にはカール調整層、筆記層、帯電調整層が形成されていてもよい。支持体裏面各層を塗布するためには、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法を用いることができる。
本発明において、感熱転写受像シートの受容層に用いられるポリマーラテックスとしては、ガラス転移温度(Tg)20℃以上60℃以下のポリマーラテックスが好ましく、25℃以上55℃以下がより好ましい。
なお、本発明においては、色素染着可能なポリマーラテックスを使用することが好ましく、またポリマーラテックスとしては複数のポリマーラテックスを使用してもよく、この場合、少なくとも1種のホリマーラテックスが上記ガラス転移温度(Tg)であることが必要であるが、含有する全てのホリマーラテックスが上記ガラス転移温度(Tg)であることが最も好ましい。
ポリマーラテックスとは一般に熱可塑性樹脂が微粒子として水溶性の分散媒中に分散されたものである。本発明のポリマーラテックスに用いられる熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、塩化ビニル共重合体、ポリウレタン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
このうちポリカーボネート、ポリエステル、塩化ビニル共重合体が好ましく、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、が特に好ましい。
ポリエステルはジカルボン酸誘導体とジオール化合物との縮合により得られ、芳香環や飽和炭化環を含有してもよく、分散性を付与するための水溶性基してもよい。
塩化ビニル共重合体としては、塩化ビニルと酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルとアクリルレートの共重合体、塩化ビニルとメタクリレートの共重合体、塩化ビニルと酢酸ビニルとアクリレートの共重合体、塩化ビニルとアクリレートとエチレンの共重合体等が挙げられる。このように2元共重合体でも3元以上の共重合体でもよく、モノマーが不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
該共重合体にはビニルアルコール誘導体やマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体などの補助的なモノマー成分を添加してもよい。共重合体において塩化ビニル成分は50質量%以上含有されていることが好ましく、またマレイン酸誘導体、ビニルエーテル誘導体等の補助的なモノマー成分は10質量%以下であることが好ましい。
ポリマーラテックスは単独でも混合物として使用してもよい。ポリマーラテックスは、均一構造であってもコア/シェル型であってもよく、このときコアとシェルをそれぞれ形成する樹脂のガラス転移温度が異なっても良い。
商業的に入手可能なアクリレートラテックスとしては、日本ゼオン株式会社製、NipolLX814(Tg25℃)、NipolLX857X2(Tg43℃)等(いずれも商品名)が挙げられる。
商業的に入手可能なポリエステルラテックスとしては、東洋紡株式会社製 バイロナールMD−1100(Tg40℃)、バイロナールMD−1400(Tg20℃)、バイロナールMD−1480(Tg20℃)、MD−1985(Tg20℃)等(いずれも製品名)が挙げられる。
商業的に入手可能な塩化ビニル共重合体としては、日信化学工業株式会社製 ビニブラン276(Tg33℃)、ビニブラン609(Tg48℃)、住化ケムテックス株式会社製スミエリート1320(Tg30℃)、スミエリート1210(Tg20℃)等(いずれも商品名)が挙げられる。
ポリマーラテックスの添加量は、ポリマーラテックスの固形分が受容層中の全ポリマーの50〜98質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。またポリマーラテックスの平均粒子サイズは、好ましくは1〜50000nmであり、より好ましくは5〜1000nmである。
本発明において、断熱層には中空ポリマーを含有することが好ましい。
本発明における中空ポリマーとは粒子内部に空隙を有するポリマー粒子であり、好ましくは水分散物であり、例えば、1)ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等により形成された隔壁内部に水などの分散媒が入っており、塗布乾燥後、粒子内の水が粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空ポリマー粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステルのいずれか又はそれらの混合物もしくは重合物よりなる樹脂で覆っており、塗工後、加熱により粒子内部の低沸点液体が膨張することにより内部が中空となる発泡型マイクロバルーン、3)上記の2)をあらかじめ加熱発泡させて中空ポリマーとしたマイクロバルーンなどが挙げられる。
これらの中でも、上記1)の非発泡型の中空ポリマー粒子が好ましく、必要に応じて2種以上混合して使用することができる。具体例としてはロームアンドハース社製 ローペイク HP−1055、JSR社製 SX866(B)、日本ゼオン社製 Nipol MH5055 (いずれも商品名)などが挙げられる。
これらの中空ポリマーの平均粒子径は0.1〜5.0μmであることが好ましく、0.2〜3.0μmであることがさらに好ましく、0.4〜1.4μmであることが特に好ましい。
また、中空ポリマーは、空隙率が20〜70%のものが好ましく、30〜60%のものがより好ましい。
本発明において、中空ポリマー粒子のサイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、その外径の円相当換算直径を測定し算出する。平均粒径は、中空ポリマー粒子を少なくとも300個透過電子顕微鏡を用いて観察し、その外形の円相当径を算出し、平均して求める。また中空ポリマーの空隙率とは、粒子体積に対する空隙部分の体積の割合から求める。
本発明の感熱転写受像シートに用いる中空ポリマーの樹脂特性として、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上200℃以下であることが好ましく、90℃以上180℃以下である中空ポリマーがさらに好ましい。中空ポリマーとしては、中空ポリマーラッテックスが特に好ましい。
本発明の画像形成方法に用いることができる感熱転写受像シートにおいて、受容層及び/または断熱層は水溶性ポリマーを含有させることができる。ここで水溶性ポリマーとは、20℃において水100gに対し0.05g以上の溶解度を有し、より好ましくは0.1g以上、さらに好ましくは0.5g以上の溶解度を有する。
本発明の感熱転写受像シートに用いることのできる水溶性ポリマーとして、カラギナン類、ペクチン、デキストリン、ゼラチン、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水溶性ポリエステル等を挙げることができる。このうちゼラチンとポリビニルアルコールが好ましい。
本発明においてゼラチンは分子量10,000から1,000,000までのものを用いることができる。本発明に用いられるゼラチンはCl、SO 2−等の陰イオンを含んでいてもよいし、Fe2+、Ca2+、Mg2+、Sn2+、Zn2+などの陽イオンを含んでいても良い。ゼラチンは水に溶かして添加することが好ましい。
またゼラチンには アルデヒド型架橋剤、N−メチロール型架橋剤、ビニルスルホン型架橋剤、クロロトリアジン型架橋剤等の公知の架橋剤を添加することができる。このうちビニルスルホン型架橋剤、クロロトリアジン型架橋剤が好ましく、具体的例としては、ビスビニルスルホニルメチルエーテル、N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン、4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンまたはそのナトリウム塩を挙げることができる。
ポリビニルアルコールとしては、完全けん化物、部分けん化物、変性ポリビニルアルコール等の各種ポリビニルアルコールを用いることができる。これらポリビニルアルコールについては、長野浩一ら共著,「ポバール」(高分子刊行会発行)に記載のものが用いられる。ポリビニルアルコールは、その水溶液に添加する微量の溶剤あるいは無機塩類によって粘度調整をしたり粘度安定化させたりすることが可能であって、詳しくは上記文献144〜154頁記載のものを使用することができる。その代表例としてホウ酸を含有させることで塗布面質を向上させることができ、好ましい。ホウ酸の添加量は、ポリビニルアルコールに対し0.01〜40質量%であることが好ましい。
ポリビニルアルコールの具体例として、完全けん化物としてはPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117Hなど、部分けん化物としてはPVA−203、PVA−205、PVA−210、PVA−220など、変性ポリビニルアルコールとしてはC−118、HL−12E、KL−118、MP−203が挙げられる。(いずれも商品名、株式会社クラレ製)
本発明において感熱転写受像シートの受容層は、前述のフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物を含有させることができる。この場合、感熱転写シートが含有するフッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物と同一の高分子化合物を含有しても同じ範疇の異なる高分子化合物を含有してもよく、本発明において好ましい態様である。また、離型剤として公知のポリエチレンワックス、アミドワックス等の固形ワックス類、シリコーンオイル、リン酸エステル系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を含有してもよい。
フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物の含有量は、受容層の全固形分(質量)に対して0.01%〜20%であり、好ましくは0.1%〜10%であり、さらに好ましくは1%〜5%である。
本発明の画像形成方法では、感熱転写受像シートの受容層と感熱転写シートの熱転写層とが接するように重ね合わせて、サーマルヘッドからの画像信号に応じた熱エネルギーを付与することにより画像を形成する。
具体的な画像形成は、例えば特開2005−88545号公報などに記載された方法と同様にして行うことができる。本発明では、消費者にプリント物を提供するまでの時間を短縮するという観点から、プリント時間は15秒未満が好ましく、3〜12秒がより好ましく、さらに好ましくは、3〜7秒である。
上記プリント時間を満たすために、プリント時のライン速度は0.73msec/line以下であることが好ましく、更に好ましくは0.65msec/line以下である。また、高速化条件における転写効率向上の観点から、プリント時のサーマルヘッド最高到達温度は、180℃以上450℃以下が好ましく、更に好ましくは200℃以上450℃以下である。更には350℃以上450℃以下が好ましい。
本発明は、感熱転写記録方式を利用したプリンター、複写機などに利用することができる。熱転写時の熱エネルギーの付与手段は、従来公知の付与手段のいずれも使用することができ、例えば、サーマルプリンター(例えば、日立製作所製、商品名、ビデオプリンターVY−100)等の記録装置によって記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm程度の熱エネルギーを付与することによって所期の目的を十分に達成することができる。また、本発明の感熱転写受像シートは、支持体を適宜選択することにより、熱転写記録可能な枚葉またはロール状の感熱転写受像シート、カード類、透過型原稿作成用シート等の各種用途に適用することもできる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例中で、部または%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
実施例1
(感熱転写シートの作製)
次のように試料101を作製した。
支持体として片面に易接着処理がされている厚さ4.5μmのポリエステルフィルム(ルミラー5A−F595、商品名、東レ(株)製)の易接着処理がされていない面に、乾燥後の固形分塗布量が1g/mとなるように背面層塗工液を塗布した。乾燥後、50℃で熱処理を行い硬化させた。
このようにして作製したポリエステルフィルムの易接着層塗布側に下記塗工液により、イエロー、マゼンタ、シアンの各感熱転写層および転写性保護層積層体を面順次となるように塗布した感熱転写シートを作製した。各染料層の固形分塗布量は、0.8g/mとした。各染料層を塗布してから乾燥するまでの時間は乾燥温度、乾燥風量を調節し、3秒と180秒の2種類の試料を調整した。
なお、転写性保護層積層体の形成は、離型層用塗工液を塗布し、乾燥した後に、その上に保護層用塗工液を塗布し、乾燥した後に、さらにその上に接着層塗工液を塗布した。
背面層塗工液
アクリル系ポリオール樹脂 14.9質量部
(アクリディックA−801、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
ステアリン酸亜鉛(SZ−2000、商品名、堺化学工業(株)製) 0.35質量部
リン酸エステル 0.26質量部
(Phoslex A18、商品名、堺化学工業(株)製)
リン酸エステル 3.75質量部
(プライサーフA217、商品名、第一工業製薬(株)製)
タルク(ミクロエースL−1、商品名、日本タルク(株)製)) 0.33質量部
酸化マグネシウム(スターマグPSF、商品名、神島化学(株)製) 0.10質量部
ポリイソシアネート 6.31質量部
(バーノックD−750、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 74質量部
イエロー染料層塗工液
Y染料 8.0質量部
樹脂 8.0質量部
離型剤 0.2質量部
マット剤(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製) 0.1質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/2) 83.7質量部
マゼンタ染料層塗工液
Y染料 0.1質量部
染料(M−1) 8.0質量部
樹脂 8.0質量部 離型剤 0.2質量部 マット剤(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製) 0.1質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 83.6質量部
Figure 2009241341
シアン染料層塗工液
Y染料 0.1質量部
染料(C−1) 8.0質量部
樹脂 8.0質量部
離型剤 0.2質量部
マット剤(フローセンUF、商品名、住友精工(株)製) 0.1質量部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 83.6質量部
Figure 2009241341
転写性保護層積層体
染料層の作製に使用したものと同じポリエステルフィルムに、以下に示す組成の離型層、保護層および接着層用塗工液を塗布し、転写性保護層積層体を形成した。乾膜時の塗布量は離型層0.3g/m、保護層0.5g/m、接着層2.4g/mとした。
離型層塗工液
変性セルロース樹脂(L−30、商品名、ダイセル化学(株)製) 4.0質量部
メチルエチルケトン 96.0質量部
保護層塗工液
アクリル樹脂 30質量部
(ダイアナールBR−100、商品名、三菱レイヨン(株)製)
イソプロパノール 70質量部接着層塗工液
アクリル樹脂 20質量部
(ダイアナールBR−77、商品名、三菱レイヨン(株)製)
紫外線吸収剤 UV−1 0.5質量部
紫外線吸収剤 UV−2 3.0質量部
紫外線吸収剤 UV−3 3.5質量部
紫外線吸収剤 UV−4 3.0質量部
シリコーン樹脂微粒 0.06質量部
(トスパール120、商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジ ャパン合同会社製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2/1) 70質量部
Figure 2009241341
ここで、感熱転写シート101〜109は、イエロー、マゼンタ、シアン染料層に含有するY染料、樹脂、離型剤を表2に示すように変更した。
Figure 2009241341
(感熱転写シート102で使用する樹脂の製造方法)
ポリビニルアセトアセタール樹脂を、次に示す方法で製造した。
まず、5リッターのセパラブルフラスコに純水2790gを入れ、これにポリビニルアルコール(重合度2400、数平均分子量は約13.5万、ケン化度98.2mol%)を220g加えて、完全に溶解させた。次に、この水溶液の液温を20℃に保持し、これに、35%塩酸650gを加えた後、液温を10℃まで下げ、アセトアルデヒド50gとブチルアルデヒド20gを適宜加えて無色粉末を析出させた。ついで、反応系を30℃に昇温し、3時間加熱恒温保持したのち、水洗中和して触媒及び未反応アルデヒドを除去し、ポリビニルアセトアセタール樹脂を得た。このポリビニルアセトアセタール樹脂は、アセタール化度51質量%、アセタール中のアセトアセタールは73質量%であった。
(感熱転写受像シート(Z−1)の作製)
ポリエチレンで両面ラミネートした紙支持体表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設けた。この上に、下記組成の下引き層、断熱層、受容層下層、受容層上層を支持体側からこの順に積層させた状態で、米国特許第2,761,791号明細書に記載の第9図に例示された方法により、同時重層塗布を行った。それぞれの乾燥時の塗布量が下引き層:5.0g/m、断熱層:9.5g/m、受容層下層:2.0g/m、受容層上層:3.4g/mとなるように塗布を行い乾燥後に、30℃で5日間熱処理を行い架橋剤とゼラチンの架橋反応を行った後にプリンターの設定に合った形状に加工して感熱転写受像シート(Z−1)を作製した。
受容層上層
塩化ビニル系ラテックス(Tg 73℃) 21.5質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製)
塩化ビニル系ラテックス(Tg 33℃) 1.1質量部
(ビニブラン276、商品名、日信化学工業(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 2.0質量部
下記エステル系ワックスEW−1 1.8質量部
下記界面活性剤F−1 0.6質量部
下記界面活性剤F−2 0.4質量部
受容層下層
塩化ビニル系ラテックス(Tg 46℃) 17.0質量部
(ビニブラン690、商品名、日信化学工業(株)製)
塩化ビニル系ラテックス(Tg 73℃) 8.5質量部
(ビニブラン900、商品名、日信化学工業(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 8.5質量部
下記界面活性剤F−1 0.03質量部
断熱層
アクリルスチレン系中空ポリマー 60.0質量部
(平均粒径0.5μm)(MH5055、商品名、日本ゼオン(株)製)
ゼラチン(10%水溶液) 24.0質量部
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンNa塩(架橋剤)
0.1質量部
中間層1
ポリビニルアルコール 7.0質量部
(ポバールPVA205、商品名、(株)クラレ製)
スチレンブタジエンゴムラテックス 52.0質量部
(SN−307、商品名、日本エイ アンド エル(株)製)
下記界面活性剤F−1 0.02質量部
Figure 2009241341
(乾燥状態の確認方法)
前記感熱転写シートの乾燥状態は感熱転写シートの残存溶剤量を測定することで判断した。残存溶剤量は、感熱転写シートをDMF中に浸漬し、2日間室温で溶剤を抽出した後に、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS−QP2010、商品名、(株)島津製作所製)で測定した。
(離型性の評価)
前記感熱転写シートと前記感熱転写受像シートZ−1を組み合わせ、下記保存/環境条件下における印画性能の評価を行った。画像形成方法の評価のためのプリンターには 富士フイルム(株)製 フジフイルムサーマルフォトプリンター ASK−2000L(商品名)を用いた。
印画は下記の環境条件においた試料に対し、下記印画環境下で127mm×89mmサイズの画像を連続30枚出力して、25枚目〜30枚目の出力画像上の剥離跡・融着を以下のランクで評価した。画像としては、人物(屋内)、人物(野外夜景)、黒ベタの3画像について上記出力を行った。
保存/印画環境条件
・前記感熱転写シート作製後、温度25℃、湿度55%の環境下で1日間保管。
・保管後の感熱転写シート、前記感熱受像シート、およびプリンターを、温度
30℃、湿度80%の環境下で24時間保管し、同条件下で印画を実施。
(剥離跡・融着の評価ランク)
5 剥離跡は目視で全く確認できない。
4 剥離跡は僅かに確認できるが画像を鑑賞する上で障害とならない程度である。
3 部分的に剥離跡が強く、画像鑑賞の妨げとなる。
2 画像全体に剥離跡が出ており、画像鑑賞の妨げとなる。
1 感熱転写シートと感熱転写受像シートが融着し、出力できない。
Figure 2009241341
上記表3より、本発明の感熱転写シートは比較例に対し、塗布から乾燥までの時間に拠らず、良好な離型性を有することが明らかである。

Claims (2)

  1. 基材の一方の面に熱転写可能な染料、バインダーおよび離型剤を含む熱転写層を有し、他方の面に耐熱滑性層が形成された感熱転写シートであって、前記染料が下記一般式(1)で表される染料の少なくとも1種を含有し、該バインダーがポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、石油系樹脂、ロジン誘導体、クマロン−インデン樹脂、テルペン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂およびポリビニルアセトアセタール系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有し、該離型剤が、フッ素原子が置換した脂肪族基を側鎖に有する分子量5000以上100000以下の高分子型離型剤の少なくとも1種であることを特徴とする感熱転写シート。
    Figure 2009241341
    一般式(1)中、Aは置換もしくは無置換のフェニレン基を表し、RおよびRは各々独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基または置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rは水素原子、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基または置換もしくは無置換のカルバモイル基を表し、Rは置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。
  2. 前記バインダーがポリビニルアセトアセタール系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写シート。
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