JP4666707B2 - 版胴における刷版クイックくわえ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば輪転機用の版胴における刷版クイックくわえ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の刷版クイックくわえ装置では、図1に示すようになっていて、版胴aの溝bを有する溝穴cに挿入するくわえ棒dに、板ばねにて鉤状に形成した引掛け部材eを固着し、溝bから挿入した刷版fのくわえ尻gをこの引掛け部材eに引掛けてからくわえ棒dをトグル機構にてくわえ方向(図中左回転方向)に回転することによりクイックくわえができるようになっている。
【0003】
そして上記したような構成のため、刷版fのくわえ尻の形状は、図1に示すように、版胴aの周面から溝b内に入る部分と、上記引掛け部材eに引掛ける部分とに2段に折り曲げられた形状になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
刷版fのくわえ尻が2段に折り曲げられていること、特に、先端側の折り曲げ角度は引掛け部材eにはずれることなく引掛けるように略90度に折り曲げられているため、版胴aの溝bの開口幅は少なくとも上記くわえ尻gの先端側の折り曲げ幅より大きくしなければならず、どうしてもこの溝bの幅はある程度大きくしなければならなかった。このため、版胴aの回転時に伴う圧胴やブランケット胴との転接による溝部での衝撃振動が発生し、印刷障害を発生しやすかった。
【0005】
また、くわえ尻gの先端側の曲げ部をくわえ棒dの引掛け部材eで引掛けるようにした構造であるため、くわえ棒dの停止角度を正確に引掛け位置に合わせないと、運転中にくわえ尻gが引掛け部材eからはずれてしまい、刷版fが版胴aから脱落する等の危険性があった。
【0006】
本発明は上記のことに鑑みなされたもので、刷版のくわえ尻を1段折り曲げ形状にして、その折り曲げ先端部だけを溝穴の溝から挿入してこのくわえ尻をくわえることができるようにすることにより、溝穴の溝の開口幅を狭くでき、またくわえ棒の停止角度を確認しなくとも、くわえ尻部のゆるみによる刷版の脱落を防止できるようにした版胴における刷版クイックくわえ装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る版胴における刷版クイックくわえ装置は、胴の表面近くで軸方向に、版胴の表面に開口する溝を設けた溝穴を設け、上記溝の版胴の回転方向上流側の側端を、溝の内面と版胴の接線との角度を鋭角にした上流側のくわえエッジとし、溝の版胴の回転方向下流側の側端を、溝の内面と版胴の接線との角度を90度及び90度に近い角度にした下流側のくわえエッジとし、刷版のくわえ側を上記上流側のくわえエッジに係合し、刷版のくわえ尻を、折り曲げ先端側が溝内でくわえエッジの内面に当接する形状となるようにした1段折り曲げ形状として下流側のくわえエッジに係合し、溝穴に挿入されるくわえ棒に、このくわえ棒をくわえ方向に回動した状態で下流側のくわえエッジの内面に対向している上記刷版のくわえ尻をくわえエッジの内面に押圧する押圧部材を固着し、くわえ棒に、このくわえ棒を上記押圧部材による刷版のくわえ尻側を押圧するくわえ方向に回動させるようにして版胴側に設けたくわえ作動装置を連結し、このくわえ作動装置は、くわえ棒に固着したくわえアームと、このくわえアームの先端部に回転自在に一端を連結したトグルロッドと、版胴側に固着されたブラケットに回転自在に支持され、かつ上記トグルロッドが摺動自在に嵌合する支持部材と、トグルロッドの段部と支持部材との間に介装されてトグルロッドをくわえアーム側へ付勢するトグルばねとからなり、くわえアームとトグルロッドとの連結点がくわえアームの回転中心と支持部材の回転中心を結ぶ直線を一方側へ越えてくわえアームがトグルばねによる付勢力にて回動することにより押圧部材が刷版のくわえ尻側に当接する方向に回動するようにし、このくわえアームの一端部に、このくわえ棒をくわえ方向へ回動したときに版胴側に当接するねじにて構成したストッパを設け、このストッパの突出長さを調整することによりくわえ棒のくわえ方向への回動角を変えて、このくわえ棒に固着した押圧部材の上記当接力を調整可能にした構成になっている。
【0008】
【作用】
刷版は、これのくわえ側は版胴の溝穴の版胴の回転方向上流側のくわえエッジに係合し、くわえ尻は下流側のくわえエッジに係合し、このくわえ尻の内面、くわえ棒に固着した押圧部材にて押圧されることにより版胴に装着される。刷版のくわえ尻は1段折り曲げ形状になっていて、これの折り曲げ先端部が溝穴の溝から下流側のくわえエッジの内面に沿って挿入する。このため、溝穴の溝の開口幅は刷版のくわえ側及びくわえ尻の折り曲げ先端部が挿入することができる幅でよく、これを十分狭くできる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図2以下に基づいて説明する。図中1は版胴であり、2はこの版胴1の表面近くに軸方向に設けた溝穴で、この溝穴2の断面形状は、版胴1の表面に開口する溝3と、この溝3と対向する底部を円形にしたくわえ棒挿入部4と、このくわえ棒挿入部4から上記溝3の両側端に至る斜面状に形成したくわえエッジ5a,5bを有する形状になっている。そしてこの両くわえエッジ5a,5bの一方、すなわち版胴1の回転方向流側のくわえエッジ5aの版胴周面とくわえエッジの内面とのなす角度は刷版6のくわえ6aを係合するように鋭角になっている。一方版胴1の回転方向流側のくわえエッジ5bの版胴周面とくわえエッジの内面とのなす角度は版胴1の接線に対して90度に近い角度(90度でもよい)になっている。
【0010】
7は上記溝穴2内に挿入されるくわえ棒であり、このくわえ棒7は図3、図4にて示す版胴1の両端に固着されるベアラ8に回転自在に支持されている。そしてこのくわえ棒7の断面形状は図2に示すように、一側部を切除して切欠面9を有する切欠円形状となっており、この切欠面9に、先端が上記くわえ尻側のくわえエッジ5bの内面に対向するくわえ板10の基端がボルト11にて固着されている。くわえ板10は板ばねにて構成されていて、くわえ棒7をくわえ板10の先端が回転方向下流側のくわえエッジ5bの内面に当接する方向に回転したときに、このくわえエッジ5bの内面に弾性変形して当接するようになっている。
【0011】
版胴1に装着する刷版6のくわえ側6aは溝穴2の流側のくわえエッジ5aに係合するように鋭角に1段折り曲げ状になっており、またくわえ尻6bは折り曲げ先端部が下流側のくわえエッジ5b内面に当接するように1段折り曲げ状になっている。
【0012】
上記くわえ棒7の両端部はベアラ8,8より突出しており、このくわえ棒7の各端部にクイックくわえ作動装置12が連結してある。
【0013】
クイックくわえ作動装置12は、図3、図4に示すように、くわえ棒7の先端部に固着されたくわえアーム13と、くわえアーム13の先端部に回転自在に一端を連結したトグルロッド14と、ベアラ8に固着されたブラケット15に回転自在に支持され、かつ上記トグルロッド14が摺動自在に嵌合する支持部材16と、トグルロッド14の段部と支持部材16との間に介装されてトグルロッド14をくわえアーム13側へ付勢するトグルばね17とからなっている。
【0014】
そして、くわえアーム13の回転中心を0、トグルロッド14の連結点を0、支持部材16の回転中心を0としたときに、0が0と0を結ぶ直線を越えてベアラ8の外径側と内径側へ移動するように、それぞれトグルばね17の付勢力に抗してくわえアーム13が回動するようになっている。そしてくわえアーム13が一方側(ベアラ8の外径側)へ回動したときにくわえ棒7のくわえ板10の先端が溝穴2の流側のくわえエッジ5bの内面に付勢当接されるようになっている。くわえアーム13にはこのくわえ板10の当接力を調整するための六角穴付きのねじにて構成したストッパ18が版胴1の軸1aに先端が当接するようにして設けてある。このストッパ18はくわえアーム13の他側部のすり割部にねじ込まれていて、ボルト19により固着されており、このボルト19をゆるめると共にストッパ18を回転することにより、これの突出長さが調整できるようになっている。上記くわえ板10はくわえ棒7の全長にわたって一体状のものを用いてもよいが、図4に示すように短いものを複数用いてもよい。くわえアーム13には、これを上記トグルばね17に抗して回動するための治具を係合するための穴20が設けてある。
【0015】
上記構成において、くわえアーム13が、トグルロッド14の連結点0が他方側(ベアラ8の内径側)回動した状態でくわえ板10がくわえエッジ5bの内面から離間される。この状態でくわえ側6aを刷版1の溝穴2の溝3の回転方向下流側のくわえエッジ5aに引掛けて刷版1に巻き掛け、これのくわえ尻6bを溝3に挿入して下流側のくわえエッジ5bに係合する。ついでくわえアーム13を、逆方向に回動することにより、くわえ板10の先端でくわえ尻6bがくわえエッジ5bの内面に押さえ付けられて固定される。
【0016】
このとき、刷版6のくわえ側6aとくわえ6bのそれぞれの形状が、1段だけ折り曲げた形状であり、かつその折り曲げ先端側が溝穴2の溝3に、それぞれくわえエッジ6a,6bの内面に沿わせて挿入するようになっていることにより、溝3の幅は刷版6の厚さより少し大きければよく、これを十分狭くすることができる。
【0017】
なおこの実施の形態において、版胴1への刷版6の着脱は、版胴1転接するコロを設け、くわえ板10を版胴1の回転に連動して作動させるカムレバーなどをくわえ棒7の端部に設けることにより、刷版6の自動装着が可能である。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、刷版のくわえ尻は1段折り曲げ形状にして、このくわえ尻の折り曲げ先端部だけを溝穴の溝から挿入してこのくわえ尻をくわえることができることにより、溝穴の溝の開口幅を、刷版のくわえ側及びくわえ尻の折り曲げ先端部が挿入することができる幅でよく、これを十分狭くすることができる。
【0019】
これにより、版胴の回転時に伴う圧胴やブランケット胴との転接による溝部での衝撃振動を軽減することができる。
【0020】
また、くわえ尻は押圧部材にてくわえエッジの内面に押圧することにより版胴にくわえられることにより、くわえ棒のくわえ方向の停止角度を刷版ごとに確認しなくともよく、刷版を確実に、かつワンタッチ動作にて装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の要部を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるクイックくわえ作動部を示す正面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるクイックくわえ作動部を示す断面図である。
【符号の説明】
1…版胴、2…溝穴、3…溝、4…くわえ棒挿入部、5a,5b…くわえエッジ、6…刷版、7…くわえ棒、8…ベアラ、9…切欠面、10…くわえ板、11…ボルト、12…クイックくわえ作動装置、13…くわえアーム、14…トグルロッド、15…ブラケット、16…支持部材、17…トグルばね、18…ストッパ、19…ボルト。

Claims (1)

  1. 版胴の表面近くで軸方向に、版胴の表面に開口する溝を設けた溝穴を設け、
    上記溝の版胴の回転方向上流側の側端を、溝の内面と版胴の接線との角度を鋭角にした上流側のくわえエッジとし、溝の版胴の回転方向下流側の側端を、溝の内面と版胴の接線との角度を90度及び90度に近い角度にした下流側のくわえエッジとし、
    刷版のくわえ側を上記上流側のくわえエッジに係合し、
    刷版のくわえ尻を、折り曲げ先端側が溝内でくわえエッジの内面に当接する形状となるようにした1段折り曲げ形状として下流側のくわえエッジに係合し、
    溝穴に挿入されるくわえ棒に、このくわえ棒をくわえ方向に回動した状態で下流側のくわえエッジの内面に対向している上記刷版のくわえ尻をくわえエッジの内面に押圧する押圧部材を固着し、
    くわえ棒に、このくわえ棒を上記押圧部材による刷版のくわえ尻側を押圧するくわえ方向に回動させるようにして版胴側に設けたくわえ作動装置を連結し、
    このくわえ作動装置は、くわえ棒に固着したくわえアームと、このくわえアームの先端部に回転自在に一端を連結したトグルロッドと、版胴側に固着されたブラケットに回転自在に支持され、かつ上記トグルロッドが摺動自在に嵌合する支持部材と、トグルロッドの段部と支持部材との間に介装されてトグルロッドをくわえアーム側へ付勢するトグルばねとからなり、くわえアームとトグルロッドとの連結点がくわえアームの回転中心と支持部材の回転中心を結ぶ直線を一方側へ越えてくわえアームがトグルばねによる付勢力にて回動することにより押圧部材が刷版のくわえ尻側に当接する方向に回動するようにし、このくわえアームの一端部に、このくわえ棒をくわえ方向へ回動したときに版胴側に当接するねじにて構成したストッパを設け、このストッパの突出長さを調整することによりくわえ棒のくわえ方向への回動角を変えて、このくわえ棒に固着した押圧部材の上記当接力を調整可能にした
    ことを特徴とする版胴における刷版クイックくわえ装置。
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