JP4666562B2 - 立体画像表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、場面/対象物を立体的に表示する方法であって、列iと行jからなる1個の格子内にある複数の個々の画素αijを同時に見えるようにし、しかも画素αijが場面/対象物の若干の影像A(k=1...n)からなる部分情報を再生し、さらに隣接する画素αijが異なる波長もしくは波長範囲Δλの光を放射するようにした方法に関する。さらに、本発明はこの方法を実施するための装置に関する。
【0002】
従来技術
対象物、風景、物体の内部の様子及びその他の事物を写像に基づき観測者にとって立体的に知覚可能に表示できるように努力した結果、開発の過程で多数の自動立体視法が生まれた。それらは大雑把にレンズ走査法、プリズマ走査法及び衝立法に区別できる。
【0003】
これらの方法の基礎をなす原理は、種々異なる幾つかの透視影像を同時に視覚的に再生するが、適当な方策により観測者の各々の眼にはこれら1個以上の透視影像が別々に見えるようにし、それによって視差効果が生じて観測者は立体的に知覚できるようになるというものである。
【0004】
周知のようにこれらの方法において、又はこれらの方法で作動する装置を利用する際に、好ましくない随伴減少として反影鏡的効果が生じ、その結果として観測者は奥行き方向で逆の画像、したがって非現実的な画像を見る。またこれに関する装置の形成に応じて、一般にモアレ縞と呼ばれる障害が多少とも知覚されるようになる。上述の現象は少なくしたり、さらにはなくすこともできるが、それは原則として追加的な方策を必要とし、それによって装置が高価になり、あるいはその利用可能性が不利な影響を受ける。
【0005】
ある対象物の透視影像を視覚的に再生するために、自動立体視表示の目的で電子的に励起でき、慣用的に励起すれば影像の二次元表示にも適しているディスプレイを使用することが知られている。これに関して考えられる応用例にとって、同一の場面もしくは対象物の三次元的な自動立体視表示から二次元表示(及びその逆)に切り替えできることが望ましい。しかし、この種の公知の装置においては切り替えによって画質が変化して、たとえば表示された文はある運転モードでは読みやすいが、別の運転モードではかろうじて読める程度である。これは衝立法による装置において、特に衝立が、垂直に並置された不透明と透明が交互する縞からなる場合に生じる。さらにここでもモアレ効果が生じて、視覚的知覚を不快にする。
【0006】
EP0791847に記載されている装置は、慣用的なRGB−LCディスプレイに傾けたレンズを組み合わせて自動立体視表示を形成するが、原理的にモアレパターンが生じる。この公報ではモアレパターンを低減するために、サブピクセルに付属しているカラーフィルターを別の構成で配置することが提案される。この提案を実現するに当たって不利なのは、確立された実施形態及び製造工程を変更することが必要な点であるが、これは通常のRGB−LCディスプレイが工業的に大量生産されることに鑑みて極めて高いコストを伴うであろう。さらに、ここで提案された方策の効果は、二次元表示の場合における不利を除去するには至らないので、自動立体視表示から二次元表示に切り替える際に一定して高い画質は保証されていない。上記の刊行物に記載されているのは、自動立体視表示を形成するためにレンズを使用する装置である。
【0007】
WO97/02709でも、モアレ効果の低減を達成するために画像表示装置の面構造の変更が提案される。この場合、RGBピクセル面構造を変更して、モアレが低減した自動立体視効果が生じるようにする。その際に衝立法を用いて、不透明な面で囲まれた透過スリットを応用する。
【0008】
US5936774においては、自動立体視表示の基礎として構造化された光源が使用されるが、これらの光源は分光性質に関しても構造化できる。これらの光源は、各々の透視影像に対して所定の間隔で形成される光濃度のグループを光変調体、たとえばLDディスプレイの所定の領域に写像するレンズ状の光学素子と協働する。これらの装置においても、上述した不利な効果が生じる。
【0009】
JP10333090では、透視影像から出る光の方向を選択するために有色照明及びカラーフィルターを使用することが提案される。このほかに、所定の波長範囲の光量を減らす光学フィルターが提案される。ここに記載されている方法は、単に2個の透視影像を基礎とし、それぞれ1個の透視影像が観測者の一方の眼に提供される2経路法である。この出願公開によると、フィルターエレメントの幅もしくは照明要素の幅はLCディスプレイにおけるサブピクセルの幅のほぼ2倍に相当する。ここから強制的に、慣用的なLCディスプレイは構造化された照明の形成には利用できないことになる。なぜならば、これらのディスプレイではサブピクセルのRGBRGBRGB...色構造が設けられているからである。そのうえ、周期的に配置される条片状に形成されたカラーフィルターは、ここでもまた強制的にモアレ縞の発生を招く。さらに、観測者と画面との間隔が、記載の方程式もしくは関数に基づき固定されていることが不利である。
【0010】
JP10186272及びJP8194190においても、自動立体視表示のために、カラーLCディスプレイと憂色照明もしくはカラーフィルターを組み合わせて使用する。ここで提案されている装置では、自動立体視表示を若干の透視影像に基づいて実現できる。フィルターにはもっぱら赤、緑、青の三原色が設けられている。光源と前置されたフィルターは、厳密に周期的に付属のカラーマスク上に三原色と同じ順序又は反対の順序で構成されている。この場合、カラーフィルターは条片状に形成されており、フィルターエレメントの幅はサブピクセルの幅と表示された影像の数との積にほぼ等しい。
【0011】
ここから、フィルターエレメントの幅は、LCディスプレイにおけるサブピクセルの幅のほぼ2倍でなければならない。これにより、(JP10333090による装置と同じく)所定のRGBRGBRGB...サブピクセル構造に基づいて、構造化された照明に市販のLCディスプレイを使用することはできない。さらに、場面もしくは対象物の自動立体視表示を、たとえば8個の透視影像に基づいて行うとすれば、強いモアレ縞が形成される。この場合、LCディスプレイ上におけるフィルターの条片状RGBシーケンスの幅は、現在サブピクセルに慣用的な面積70μmを仮定すると、3×8×70μm=1.68mmとなるであろう。このような構造ではモアレ縞が発生し、表示品質は劣化する。
【0012】
JP8163605に記載されている装置でも、2個の透視影像を使用する。この場合、影像を表示するピクセルは、観測者の両眼のそれぞれ一方のみに明瞭に見える。ピクセルから出る光の方向選択のために、条片状のカラーフィルターがディスプレイもしくは条片状のRGB照明要素の前に配置されている。この場合にも、先述した短所が生じる。
【0013】
JP8146347の明細書によると方向選択の目的のために、分離した透過不透明衝立がカラーフィルターと対応している。この場合、衝立の透過範囲もしくはカラーフィルターの半透明範囲は、それぞれスリット状又は円形に形成されている。ここでは、両透視影像の方向割当てに条片状の垂直カラーフィルターを用いた2経路法を使用するJP8146346による装置と同様、上述の短所が生じる。
EP−A−0744872には、ある対象物または場面の2個の透視影像に基づいて立体視表示するための2経路法が記載されている。この場合、両透視影像の画像情報はそれぞれ別々に、唯一の観測者のもっぱら右眼もしくは左眼に見えるようにされる。種々の観測位置から対象物もしくは場面を表示する1対以上の透視影像が得られるならば、これらの透視影像は常に対になって時間的に相前後して観測に提供されて、対の交替に伴い常に立体視的ではあるが、種々異なる対応する観測位置から観測することが可能である。この場合、EP−A−0744872によれば、画像再生と、それぞれ2個の立体視影像を形成するために作られた構造化された衝立との間に同期化が設けられている。
EP−A−864728に記載されている自動立体視ディスプレイも同様に2経路表示法に使用するのに適している。ここでも同時に常に2個の透視影像からなる画像情報のみが見えるようにされ、一方の透視影像は観測者の右眼に割り当てられ、他方の透視影像は左眼に割り当てられている。さらにそこで詳細に記述されている技術的解決手段は、錯視的知覚が可能な可視範囲に観測者の注意を向けさせる働きをする。
【0014】
発明の詳細な説明
本発明の課題は、上記の従来技術から出発して、少数の、好ましくは市販されている光学アセンブリを使用して、知覚可能性が改善された自動立体視表示を実現することである。本発明に従い、冒頭に記載した種類の方法において、画素αijから放射される光に対して当該光の波長λもしくは波長範囲Δλに依存する拡散方向を指定し、観測者が滞在している観測空間の内部で、拡散方向がそれぞれ観測位置に対応する複数の交点で交差するようにした。そうすることによって各観測位置から観測者が、一方の眼では主として影像A(k=1...n)からの第1の選択の画素αijを知覚し、他方の眼では主として影像A(k=1...n)からの第2の選択の画素αijを知覚する。
【0015】
この関連において、画素αijは、面積約10,000μmないし数mmの小さい自己発光面又は照明された面であって、その上に影像A(k=1...n)の最小断片(以下にそのような影像A(k=1...n)の部分情報と呼ぶ)を位置ijに再生できるものを言う。影像A(k=1...n)も列iと行jからなる格子に分節化されている限り、画素αij上に再生される部分情報が由来する影像Aにおける位置も指数対ijで表せることが有利である。
【0016】
影像A(k=1...n)からの選択とは、画素αijが主として一方の眼か、又は他方の眼に見えるようになるところの影像Aを意味する。たとえば、(第1の選択に対応する)影像A(k=1...4)の部分情報を表示する画素αijから出る光の拡散方向は、この光もしくはこれらの部分情報が主として観測空間に滞在している観測者の左目に到達するように指定でき、(第2の選択に対応する)残りの影像A(k=5...n)の部分情報を表示する画素αijから出る光の拡散方向は、この光もしくはこれらの部分情報が主として観測空間に滞在している同じ観測者の右目に到達するように指定できる。したがってこの場合において、左眼用の第1の選択は影像A、A、A及びAを包含している。右眼用の第2の選択は影像A、A...Aを包含している。
【0017】
画素αijから出る光は完全にではなく、一部のみが観測者の当該眼に到達する場合も本発明に含まれることを明言しておく。これは、たとえば装置部分で画素αijの一部を覆う場合に考えられる。
【0018】
一方の眼が「主として」画素αijもしくは当該画素αij上に再生された部分情報を知覚するという条件は、この眼が、影像Aの部分情報を再生する画素αijの、たとえば80%を見て、他方の眼も影像A1の部分情報を再生する画素αijを見るが、それが80%未満である場合も満たされる。
【0019】
拡散方向を複数の波長フィルターβpqによって指定することが好ましい。この場合、それぞれ1個の画素αijが付属している若干の波長フィルターβpqと対応し、又は波長フィルターβpqが付属している若干の画素αijと対応していて、画素αijの可視部分の面中心と波長フィルターβpqの可視部分の面中心との間の結合線がそれぞれ拡散方向に対応するようになっている。
【0020】
この場合、波長フィルターβpqが列pと行qからなる配列に配置されており、1個以上の当該配列が画素αijを有する格子の、観測者の注視方向を基準にして所定の間隔zだけ前及び/又は後ろに配置されていると有利である。
【0021】
拡散方向を指定する目的で、影像A(k=1...n)に付属している部分情報を再生する画素αijに、正確に定義された格子上の位置ijを割り当てる。これらの画素αijと対応する波長フィルターβpqには、格子上の定義された位置p、qを割り当てる。そうすると格子上の画素αijの位置と、配列上の対応する波長フィルターβpqの位置とから、格子と配列との間隔zを組み合わせて拡散方向が生じる。
【0022】
本発明に従い、影像A(k=1...n)の部分情報を位置ijの画素αijに割り当て、またこれらの画素αijを格子上に位置決めするることは、次の関数によって行われる。
【0023】
【数6】
Figure 0004666562
ここに、iは格子の行における画素αijの指数であり、jは、格子の列における画素αijの指数であり、kは、特定の画素αij上に再生されるべき部分情報が由来する影像A(k=1...n)の連続番号であり、nは、その都度使用した影像A(k=1...n)の総数であり、cijは、影像A(k=1...n)に由来する種々の部分情報を格子上で組み合わせ、もしくは混合するための選択可能な係数行列であり、IntegerPartは、大括弧内の引数を越えない最大の整数を形成するための関数である。
【0024】
換言すれば、指数ijは表示すべき部分情報を関連づけるべき影像A(k=1...n)を指定するための画素αijの位置を表す。この場合、iは水平方向の指数(値は1から水平画素解像度の値まで。部分情報をRGBサブピクセルに表示する場合はピクセル解像度の3倍の値)、jは垂直方向の指数(値は1から垂直画素解像度の値まで)を表す。いずれも等しい解像度もしくは等しいフォーマットを有する、任意の固定数nの影像A(k=1...n)に対して、格子上に表示される、影像A(k=1...n)の部分情報を組み合わせた全体画像を求めようとするならば、組み合わせの規則に関して次の点を考慮しなければならない。
【0025】
係数行列cijは、入力値として実数に相当する値を持つことができる。この場合、i及びjに対して上記の値範囲で「ゼロ」より大きい自然数が可能である。
【0026】
これらのパラメーターを指定すると、可能なすべての指数対ijを通過することによって、格子上に表示された、影像A(k=1...n)の種々の部分情報を組み合わせた全体画像が上記の関数に従って形成される。
【0027】
立体表示を形成するための別の前提として、本発明において、画素αijと協働して拡散方向を指定する波長フィルターβpqを、どのような構造で列pと行qからなる配列内部に位置決めすべきかが規定される。
【0028】
波長フィルターβpqは、好ましくは対応する画素αijから放出される光の透過波長λa又は透過波長範囲λbに等しい透過波長λa又は透過波長範囲λbを有している。以下に詳しく説明する本発明の特別の構成において、波長フィルターβpqは、たとえば可視光のスペクトルの外部にある透過波長/透過波長範囲λbを有することもできるので、可視光は波長フィルターβpqによって遮断される。
【0029】
透過波長/透過波長範囲λbは、種々の波長範囲の組み合わせに対しても働くことができる(たとえば青と赤を透過し、緑は透過しない)。したがって指数bは、1から規定の透過波長/透過波長範囲λbの最大数までの値を有することができる。指数対p、qによって定義された所定の位置で三原色R、G、Bを通すが、他の位置では全可視スペクトルを遮断するようにした波長フィルター配列の場合はbmax=4である。この場合、たとえば透過波長/透過波長範囲λ1、λ2及びλ3が赤(R)、緑(G)又は青(B)の光に対応しており、透過波長/透過波長範囲λ4は完全に全可視光のスペクトル範囲の外にある。このような透過波長/透過波長範囲λ4は、不透明フィルター(S)を形成する。
【0030】
この限りで、配列上の波長フィルターβpqはマスク画像の半透明部又は透明部と見なすことができる。各波長フィルターβpqの位置は指数p、qにより一義的に規定されている。各波長フィルターβpqには特定の透過波長もしくは透過波長範囲λbが割り当てられる。この場合、波長フィルターβpqをマスク画像に構成するのは、種々の影像A(k=1...n)の部分情報を全体画像に組み合わせることに類似して、次の規則によって行われる。
【0031】
【数7】
Figure 0004666562
ここに、pは、配列の行における波長フィルターβpqの指数であり、qは、配列の列における波長フィルターβpqの指数であり、bは、位置p、qにおける波長フィルターβpqに対して所定の透過波長/透過波長範囲λbを規定し、かつ1〜bmaxの値を有し得る整数であり、nは、好ましくは組み合わせ画像に表示された映像Aの総数nに等しく「ゼロ」より大きい整数の値であり、dpqは、マスク画像の形成を変化させるための選択可能なマスク係数行列であり、IntegerPartは、大括弧で囲んだ引数を越えない最大の整数を形成するための関数である。
【0032】
選択可能な係数行列dpqは、入力値として実数に相当する値を持つことができる。この場合、(上述のように)波長フィルター配列内部の位置を表すp及びdに対して「ゼロ」より大きい自然数が可能である。
【0033】
したがって、影像A(k=1...n)の部分情報を組み合わせて全体画像を形成するのは、同様の規則又は少なくとも類似の規則に基づいて行われる。マスク画像の要素としての波長フィルターβpqは、画素αijと等しい面積を有している。
【0034】
最後に挙げた事実は、モアレ効果の低減との関連で特に有利に使用できる。このようにすることによって、画像再生のための画素αijからなる格子と、マスク画像としての波長フィルターβpqからなる配列との可視の周期的重畳は顕著に低減することができ、その結果、モアレ効果も減少する。
【0035】
各マスク画像が明確に波長選択的に構成されているという事実さえも、適当に構造化されたマスク画像によってモアレ効果を著しく低減するために利用できる。これが行われるのは、たとえば三原色R、G、Bに対する波長フィルターβpqがそれぞれほぼ不透明の背景パターン上で二等辺三角形の形で配置する場合である。この場合、各々の原色R、G、Bに対して、配列平面におけるそれぞれ同じ原色のすぐ下もしくは上に位置する画素αijとの重畳の優先方向が主として生じることはなく、多数の異なる方向が生じ、それによってモアレの知覚可能性が明確に抑制されるのである。
【0036】
種々のbに対して同じ内容の透過波長/透過波長範囲λbを指定することもできる。たとえばbmax=8とすると、R、G、Bに対するλ1〜λ3はこの順序で成り立ち、λ4〜λ8は可視光の外部の波長に対して成り立ち、しかもλ1〜λ3は色R、G、Bを透過し、λ4〜λ8は可視スペクトルを遮断する。この場合、パラメーターdpq=−1=一定及びn=8に対する組み合わせ規則は、不透明な背景でRGB色に周期的に傾斜縞を形成するマスク画像を生じる。これらの色縞の間には、各行にそれぞれ5個の画素αijが不透明なままである。これらの色縞の傾斜位置の角度は、画素αijの寸法に依存している。bmaxとnの大きさが等しい本発明の構成が優先される。
【0037】
別の構成例では、再び複数の透過波長/透過波長範囲λbが等しいフィルター効果を有することができる。λ1...λ7が全可視スペクトルを遮断する波長範囲であり、λ8が可視スペクトルを透過するフィルター範囲であり、さらにn=8及びdpq=−1=一定とすると、マスク画像を形成するための規則に従い、ほぼ不透明なマスク画像が生じる。このマスク画像は、面上に均一に分布した透明の傾斜縞を含んでおり、これらは面全体の8分の1を占める。
【0038】
波長フィルターβpqと画素αijとは、波長もしくは波長範囲により互いに割り当てられている。すなわち、特定の波長/波長範囲λbの波長フィルターβpqは、それぞれこの透過波長に対応する光を放射するか、もしくは透過波長範囲λbの内部に位置している画素αijの光を通す。しかしまた、上述したように、波長フィルターβpqが割り当てられた画素αijから出る光を遮断するようにしてもよい。
【0039】
波長フィルターβpqからなる配列と画素αijからなる配列との、注視方向で測定された間隔zは、画素αijの幅、波長フィルターβpqの幅及び観測空間の大きさを考慮して決められるパラメーターであり、しかも影像A(k=1...n)の個々の部分情報を観測空間内部の格子上で所定通りに組み合わせると、表示された場面/対象物が三次元的に知覚できるようになっている。
【0040】
波長フィルターβpqからなる配列と画素αijからなる格子との注視方向で測定した間隔zは、次式によって規定される。
【数8】
Figure 0004666562
ここに、spは、波長フィルターβpqを有する配列が観測者の注視方向で画素αijからなる格子の後ろに配置されているときに、2個の波長フィルターβpqの平均水平間隔であり、又は画素αijからなる格子が観測者の注視方向で波長フィルターβpqを有する配列の後ろに配置されているときに、2個の画素ijの平均水平間隔であり、pqは、観測者における平均瞳孔距離であり、daは、全観測空間で画素αijからなる格子と観測者もしくは観測位置との間の可能なすべての平均間隔にほぼ等しい選択可能な観測間隔である。
【0041】
たとえばbmax=4のマスク画像を形成するために、R、G、Bに対して3個の透過波長/透過波長範囲λ1、λ2、λ3を指定し、さらに可視光を完全に遮断できる透過波長範囲λ4を指定すると、関数
【0042】
【数9】
Figure 0004666562
によって形成可能な係数行列dpqを使用すると、n=8個の影像A(k=1...n)を基に対象物/場面の立体的表示に良く適したマスク画像が生じる。ここでn=8であり、「mod」は除数を基準とした剰余加群を表す。関数δは「ゼロ」に等しくないすべての引数に対して値「ゼロ」を与える。引数「ゼロ」に対して関数値1が生じる。なぜならばδ(0)=1及びδ(x≠0)=0が当てはまるからである。p、qは、マスク画像の内部にあるすべての可能な値を通過する。カラーLCディスプレイ上に表示する場合は、たとえばpは1〜640*3の値、qは1〜480の値である。
【0043】
個々の画素αijから放射される光が本発明で指定されたように拡散するならば、画素αijを有する格子の前にある観測空間の内部で複数の観測位置が生じ、この観測空間の内部にいる観測者はこれらの観測位置から、一方の眼で主として影像A(k=1...n)からの第1の選択の画素αijを見、他方の眼で主として第2の選択の画素αijを見る。そうすることによって、場面もしくは対象物はその都度の観測者によって立体的に知覚される。
【0044】
このような複数の観測位置は大きく、互いに密接しているので、観測者は眼をほぼ常にそれらの観測位置に置きながら、観測空間内部で動くことができる。なぜならば、観測位置はそれぞれ明確に規定された拡散方向の交点に対応し、眼に見える光は小さいけれども現存する断面積を有しているからである。
【0045】
本発明との関連において、観測空間とはその中で観測者が滞在し、もしくは動き、格子の方向に注視する限り、場面もしくは対象物を立体的に知覚できる領域を意味する。マスク画像の構造と、使用する影像A(k=1...n)の数nに応じて、格子に対する視角は45°以上可能である。すなわち、観測空間は格子の中心垂線を起点とする45°以上の開放角を有することができる。
【0046】
この自動立体視表示のための新しい方法は、従来技術により公知の関連する方法とは本質的に異なる。公知の方法では影像の部分情報が、もっぱら観測者の一方の眼か、又は他方の眼にしか見えないのに対し、この新しい方法は意図的に1個以上の影像の部分情報が観測者の両眼に見えるようにする。
【0047】
この立体的知覚の前提として、同じ影像についてそれぞれ一方の眼が他方の眼より多くの部分情報を見るという条件を満たさなければならない。しかし、本発明において指定された拡散方向を守れば、...。なぜならば、本来他方の眼に割り当てられた部分情報は立体的知覚がもはや十分な品質で可能ではなくなる限界値を越えないからである。しかしこの場合、場面/対象物の影像として透視影像を使用することは必ずしも必要ない点が有利である。
【0048】
たとえばある対象物を8個の影像A(k=1...n)に基づいて表示しようとする場合、本発明で指定された拡散方向において複数の観測位置から高品質の立体的知覚が保証されている。なぜならば、観測者の右眼は、たとえば影像A1〜A4の部分情報を有する画素αijのみではないが、これを主として知覚し、観測者の左眼は、影像A5〜A8の部分情報を有する画素αijのみではないが、これを主として知覚するからである。この場合、左眼には影像A1〜A4の部分情報を有する画素αij又はその一部も限られた数だけ見え、右眼には影像A5〜A8の部分情報を有する画素αij又はその一部も限られた数だけ見える。
【0049】
この場合、両眼に見える「偽」画素αijは、原理的に三次元的印象のわずかな変造を招くが、観測空間内部で奥行きの正確な三次元印象を破壊することはない。
【0050】
これに基づき、本発明による方法の本質的な利点も生じるが、それはこの方法の実施及び利用が、部分情報を画素αijに再生するためにも、また波長フィルターβpqを有するマスク画像を形成するためにも、少数の市販の量産品、たとえばカラーLCディスプレイを用いて廉価に製造できる装置によって可能であることである。カラーLCディスプレイのサブピクセルR、G、Bが画素αijとして働き、これらが影像A(k=1...n)の部分情報を再生する場合は、驚くべき色の忠実度及び鮮明度を達成できる。
【0051】
さらに本発明による方法が提供する利点は、画像再生に使用する格子の解像度に応じて、三次元表示は、場面もしくは対象物の、ほぼ任意の数の、ただし少なくとも2個以上の影像に基づいて実現できることである。
【0052】
さらに、表示されたテキストの読みやすさは、公知の白黒衝立法にくらべて大幅に改善することが可能である。すなわち、本発明の枠内に含まれる装置で、不透明な面の全くない、波長に依存したマスク画像構造を使用し、普通のテキストを基礎にするならば、白黒衝立法では4個の影像に対して平均1部分、すなわち表示されたテキスト面の4分の1しか見えないのとは異なり、テキストは各波長フィルターβpqのもとで可視である。これによりテキストは非常に読みやすくなる。
【0053】
しかもこの場合、三次元的に表示された画像(たとえば透過率100%の帯域フィルターを使用した場合)で平均面輝度を基準にして、白黒衝立によって形成された同じ三次元画像よりも約3分の1だけ明るくなる。
【0054】
本発明による方法の応用は、可視スペクトル範囲の光に限られるものではなく、相応に修正された波長フィルター配列により電磁スペクトルの不可視成分も遮断したり透過したりすることができ、またこのようにすることにより、もし観測者の位置にこのスペクトル範囲に対して設計された立体視カメラがあれば、三次元撮影を行い、周波数変換後に視角的解析の目的で可視化することができる。これにより医療分野のみならず、たとえば所定の波長の線量を物体の特定の立体的な深度に送入する場合など、多数の応用可能性が生まれる。
【0055】
各波長フィルターβpqは、割り当てられた、もしくは対応する画素αijから出る光の波長を包含している固定した所定の透過波長/透過波長範囲λbを有することができる。しかしまたこれに対して択一的に、透過波長/透過波長範囲λbが励起に応じて可変である波長フィルターβpqを設けることもできる。
【0056】
この場合、励起回路を相応にプログラムすると、運転中に波長フィルターβpqのフィルター効果を変化させることも可能であるが、これは表示された対象物を自動立体視知覚の可能性を観測者の個人的な印象に適合させる目的に利用できるので有利である。これは、マスク画像を変更することによって行われる。たとえば波長フィルターβpqは励起後に、特定の原色、たとえばRを最適に透過するか、又は全然透過しないか、又は明度に応じた中間段階で透過する。
【0057】
このように構成することによって、配列の所定の範囲に属する選択された波長フィルターβpqを、できるだけ完全に透過するように切り替えることができる。それによって、この範囲は場面もしくは対象物の二次元的表示を形成するが、依然として波長フィルターで濾過された残りの範囲は三次元的表示を再生する。もちろんこのようにして、すべての波長フィルターβpqを相応に励起することによって全場面/全対象物を選択的に二次元的また三次元的に表示することも可能である。
【0058】
このうち三次元的表示は、波長フィルター配列として透過性カラーLCディスプレイを利用する場合に実現される。これは、画像再生のために設けられたカラーLCディスプレイと同様に別々に励起可能なサブピクセルR′、G′、B′(区別するためにアポストロフィを付ける)を有しており、ディスプレイの全面にわたって延びる面状照明が割り当てられる。照明を投入すると、各サブピクセルR′、G′、B′から相応の基本波長もしくは相応の波長/波長範囲の光が出る。
【0059】
たとえば、画素αijを再生するために設けられた、サブピクセルR、G、Bを有するカラーLCディスプレイの前段に、波長フィルター配列として働く、サブピクセルR′、G′、B′を有するカラーLCディスプレイを配置すると、サブピクセルRから出る光が前段に配置されたカラーLCディスプレイのサブピクセルR′のみを常に通過し得るようにすることができる。この場合、サブピクセルRに影像A(k=1...n)の部分情報を割り当てると、サブピクセルR′とサブピクセルRの面中心を通する直線によって、この画素αijの情報の拡散方向が指定されている。これはサブピクセルG及びG′もしくはB及びB′にも同様に当てはまる。
【0060】
このようにして画像を再生するカラーLCディスプレイのサブピクセルR、G、Bに種々の影像A(k=1...n)の部分情報を割り当てることにより、画像情報のその都度所望の拡散方向を規定できる。したがって、以下に実施例に基づいて説明する単純な構成によって、意図されたこと、すなわちいずれか1個の影像A(k=1...n)の画素aijを波長に応じて観測者の主として一方の眼又は他方の眼に割り当てることが実現される。
【0061】
その限りにおいて本発明は場面/対象物を立体的に表示するための装置にも関する。この装置では、画素αijを再生するために、別々に励起可能なサブピクセルR、G、Bを有するカラーLCディスプレイが設けられており、このカラーLCディスプレイはサブピクセルR、G、B上に影像A(k=1...n)の画素を生成する励起回路と接続されている。さらに、複数の波長フィルターβpqからなる少なくとも1個の配列が存在しており、この配列は観測者の注視方向を基準にして、カラーLCディスプレイから所定の間隔zだけ前及び/又は後ろに配置されており、それぞれ若干の波長フィルターβpqがサブピクセルR、G、Bと対応していて、これらの波長フィルターβpqは対応しているサブピクセルR、G、Bから出る光を透過するようになっており、しかもこのサブピクセルR、G、Bから出る光の拡散方向は波長フィルターβpqの位置によって規定されている。
【0062】
この場合、観測者の注視方向で測定されたカラーLCディスプレイ上のサブピクセルR、G、B相互の間隔、配列内部の波長フィルターβpq相互の間隔及び波長フィルターβpqからなる配列とカラーLCディスプレイとの間隔zは互いに調整されていて、サブピクセルR、G、Bから出る光は相応の波長フィルターβpqを通って特定の方向に拡散し、上述のように三次元的に知覚可能な表示を生じるようになっている。
【0063】
波長フィルター配列としてカラーLCディスプレイが設けられていて、パラメーターdpq、n及びλbに応じてサブピクセルR′、G′、B′を励起する励起回路と接続されている。この場合、波長フィルターβpqに割り当てられた波長λbは、それぞれサブピクセルR′、G′、B′もしくは相応のサブピクセルR、G、Bの原色に対応している。追加的な波長範囲λbとしてR、G、Bのほかに、可視光に対して完全に不透明の波長範囲λbを設けることができる。以下にこれをSで表す。
【0064】
ここで明言しておくと、本発明は、波長フィルター配列が観測者の注視方向を基準にして画素を再生する働きをするカラーLCディスプレイの後段又は前段に配置されている装置を包含し、また画素を再生するためのカラーLCディスプレイの前段にも後段にも波長フィルター配列が配置された装置も考えられる。
【0065】
波長フィルターβpqはそれらの透過特性に関して経時的に可変に設計することもできる。本発明にとって決定的で本質的なのは、画素αijを再生するためのサブピクセルR、G、Bが波長フィルターβpqもしくはサブピクセルR′、G′、B′と対応していて、上記の方法に従い複数の拡散方向が生じるようになっていることである。
【0066】
別の好ましい構成において、画素αijを表示するためのカラーLCディスプレイか、又は波長フィルター配列として働くカラーディスプレイに、面状光源が付置されている。この面状光源はほぼ白色光を放射し、その面積はそれぞれカラーLCディスプレイの面積にほぼ等しい。この場合、カラーLCディスプレイと面状光源とは、面状光源から出る光がディスプレイのサブピクセルR、G、BもしくはR′、G′、B′を通って放射され、その際に基本波長R、G、Bに従って濾過されるように、互いに結合され、もしくは位置決めされいる。
【0067】
この装置により、各々のサブピクセルR、G、Bからほぼ等しい強さの光が付属のサブピクセルR′、G′、B′の方向に、もしくはその逆に放射されることが有利にも達成される。
【0068】
別の特別の構成において、面状光源はその光の強さを変えることができ、そうすることによって対象物を立体的に表示する間に強さを変え、それによって観察者に個別に適合させて立体知覚の可能性を最適化することができる。
【0069】
本発明の具体的な構成において、光源とこれに付属している配列とからなる構成ユニットは、エレクトロルミネサンス式ディスプレイ、陰極線管、プラズマディスプレイ、レーザー照明ディスプレイ、LEDディスプレイ、電界放出ディスプレイ又はポリマーベース表示装置によって形成され得る。たとえばパイオニアPDP−501MX又はフィリップSFTV1.5−E、モデル42PW9982/12のプラズマディスプレイを使用できる。スタジオ表示用の大型ディスプレイなども可能である。
【0070】
さらに場合によっては、上述した本発明による装置の、観測者の注視方向で前段に拡大レンズ又は縮小レンズ、好ましくはフレネルレンズが配置されていると有利である。そうすることによって、観測者にとって場面もしくは対象物の立体的画像の実写像又は仮想写像が生じる。
【0071】
さらに本発明は、場面/対象物を選択により立体的又は二次元的に表示するための装置にも関し、この装置は波長フィルターβpqの透過性質を変えるための手段が装備されている。この場合、波長フィルターβpqは選択的に三次元的表示を目的としてマスク画像を形成するための上記の規則に従い所定の透過波長/波長範囲λbを透過するか、又は二次元的表示を目的としてできるだけ透過的に、すなわち可視光をできるだけ通すように制御できる。
【0072】
これは、カラーLCディスプレイを波長フィルター配列として使用する具体的な場合において、二次元表示装置として使用される画像部分ですべてのRGBサブピクセルが最適に透過するように制御され、完全な二次元的印象を提供する白色光部分が生じることを意味する。
【0073】
前記の場合において励起回路は、選択的に透過性質に関して選択された波長フィルターβpqか、又はすべての波長フィルターβpqに切り替えることができるように形成されており、そうすることによって選択的に場面/対象物の全表示を立体的表示から二次元的表示に変更するか、又は単に選択された影像範囲を立体的表示から二次元的表示に変更できる。
【0074】
図面の詳細な説明
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下に本発明の説明に用いる実施例は、画素αij上で影像A(k=1...n)の部分情報の組み合わせを再生するためにも、また波長フィルターβpqのマスク画像を形成するためにも、それぞれ現在市販されているカラーLCディスプレイ、たとえばサンヨーLMU−TK12Aを設けている。こうすることによって、本発明による装置は簡単かつ廉価に実現できる。しかしこれは、画像再生と波長濾過のいずれについても、本発明の基本条件が満たされる限り、それぞれ別の考え得る構成が可能であることを排除するものではない。
【0075】
画素αijからなる画像表示格子、波長フィルターβpq及び面状光源の配置に関して種々ある可能性のうち、図1には、観測者1の注視方向Bで最初に画像表示格子としてのカラーLCディスプレイ2と、その後ろに所定の間隔zを置いて波長フィルター配列としてカラーLCディスプレイ3とが配置されている変化が示されている。カラーLCディスプレイ3は面状光源4と結合して構成ユニットを形成している。
【0076】
さらに、画像再生カラーLCディスプレイ2は励起回路5と接続され、波長選択的カラーLCディスプレイ3は励起回路6と接続されている。両カラーLCディスプレイ2、3の各々は、原色赤(R)、緑(G)及び青(B)の別々に励起可能なサブピクセルを有している。区別しやすくするために、以下にカラーLCディスプレイ2のサブピクセルはR、G、Bで表し、それぞれの透過波長/透過波長範囲λijに対応するカラーLCディスプレイ3のサブピクセルはR′、G′、B′で表す。
【0077】
励起回路5は、上述のように、個々のサブピクセルR、G、B上に影像A(k=1...n)の部分情報を生成できるように構成されている。
励起回路6は、赤、緑及び青のそれぞれの基本波長に対する個々のサブピクセルR′、G′、B′の透過率0%〜100%の間で切り替えられるように設計されている。この場合、透過率0%は不透明波長フィルターβijに相当するであろう。
【0078】
カラーLCディスプレイ2とカラーLCディスプレイ3との間隔zは3.8mmである。この場合、カラーLCディスプレイ3のサブピクセルR′、G′、B′はカラーLCディスプレイ2のサブピクセルR、G、Bと対応していて、これによって規定される、サブピクセルR′、G′、B′から出てサブピクセルR、G、Bを通過する光の拡散方向は、1人以上の観測者1がいる観測空間7の内部で多数の交点で交差するようになっている。拡散方向のこれらの交点は、場面/対象物を両眼で立体的に知覚できる観測位置と対応している。この場合、図1に示した構成例における間隔zは
【0079】
【数10】
Figure 0004666562
によって求めた。
spは、注視方向で後段に配置されているカラーLCディスプレイ3上のサブピクセルR′、G′、B′の平均水平間隔であり、100μmと仮定した。平均瞳孔距離Pdは65mmとした。平均観測間隔daとして2.5mを選択した。その結果、実現すべき間隔zは3.8mmとなる。
【0080】
波長フィルターβpqを有する配列は、観測者の注視方向で画素αijからなる格子の前に配置されている場合は、できるだけ薄く形成すると有利である。逆に、画素αijからなる格子が前に配置されている場合は、これをできるだけ薄く形成することが有利である。それゆえ、図1、図8及び図10では配列もしくは格子の互いに向き合う面の間隔zが記入されており、それぞれ前段に追加的に配置されるアセンブリの厚さは含んでいない。このように薄いアセンブリは、たとえば印刷したフォイルや薄いカラーLCディスプレイなどで応用される。
【0081】
拡散方向は、それぞれサブピクセルR′、G′、B′とRGBの可視部分の面中心によって規定され、光線経路は唯一の平面上ではなく、非常に立体的に分布して拡散する。
【0082】
図2には、マスク画像の例がカラーLCディスプレイ3の個々のサブピクセルR′、G′、B′により、ディスプレイ面の平面図で示されているが、見やすくするために縮尺を無視して著しく拡大されている。表示された部分面は、透過制御により個々の原色、すなわち赤(R′)、緑(C′)及び青(B′)の光を通すサブピクセルにそれぞれ対応している。Sは、不透明に制御されたサブピクセルを表す。ここでは部分面は単純化して正方形で示されている。サブピクセルR′、G′、B′の形状を正確に示すことは、ここでは意識的に放棄した。
【0083】
たとえばbmax=4のマスク画像を形成するために、R、G、Bに対して3個の透過波長/透過波長範囲λ1、λ2、λ3を指定し、さらに可視光を完全に遮断できる透過波長範囲λ4を指定する場合、式
【0084】
【数11】
Figure 0004666562
によって形成できる係数行列dpqを用いると、n=8の影像A(k=1...n)に基づきの対象物/場面の立体的表示に良く適したマスク画像が得られる。
【0085】
図2に表示された配列の後ろ、この場合は図2の図示平面の下方に面状光源4がある。光源4を投入すると、個々のサブピクセルR′、G′、B′から三原色、すなわち赤、緑及び青の光が出る。この場合、Sで示したサブピクセルは暗いままである。
【0086】
図3は、種々の影像A(k=1...8)の部分情報を組み合わせた例を、カラーLCディスプレイ2の格子の平面図で示す。この組み合わせは、上述した関数
【0087】
【数12】
Figure 0004666562
によって形成されたものであり、cij=一定及びn=8とした。
ここでも各々の正方形部分面はサブピクセルR、G、Bに対応している。正方形部分面の内部に記載されている数字1...8=kは、サブピクセルもしくは画素αij上に表示された部分情報に属するそれぞれの影像A(k=1...n)を表している。たとえば、k=1で表したサブピクセル上に表示された部分情報は影像A1に属し、k=2で表したサブピクセル上に表示された部分情報は影像A2に属している等々。したがってこの選択された実施例では、立体的表示のために8個の影像A1〜A8、好ましくは透視影像が設けられている。
【0088】
見やすさのために、しばしば技術的な原因でカラーLCディスプレイに混入する「ブラックマトリクス」を表示することは断念した。
図8に見られるように、図3に示す格子が図2に示す配列の注視方向で前に配置されていると想定すると、それぞれ原色赤のサブピクセルR′から出る光(図2)は、格子の対応するすべてのサブピクセルR(図3)を通って観測空間7(図示平面の上に位置する)内に向けられて、サブピクセルR上に示され、かつ影像A(k=1...n)の部分情報に対応する部分情報を担っている。
【0089】
以下に、立体的な印象が成立するための基礎となる作用方式を、図4〜図7に基づいて詳細に説明する。この際に、図10に示す装置を基礎とする。
簡単にするために、ここでは赤の画素αijもしくは赤の波長フィルターβpqについてのみ考察する。つまり、図4には図2から赤の波長フィルターβpqのみが示されている。したがって図4は、サブピクセルR′を有するマスク画像の構造を示す。同様に、図5は図3から赤の画像αijのみ示す。図5に示した列に記入されている数字は、影像A(k=1...8)の連続番号kに対応しており、そこからこの画素αijもしくはサブピクセルR上に表示される部分情報を読み取って、影像A(k=1...8)の組み合わせ画像を形成する。この例の説明は青及び緑にも同様に当てはまる。
【0090】
図4及び図5の表現は縮尺を無視しており、マスク画像はやや拡大して示されている。これは、たとえば図2に示すマスク画像を使用する場合に、波長フィルターβpqは実際に図3の画素αijと同じ寸法を有していて、マスク画像は注視方向でより近いために観測者にとって画素αijを有する格子より少し大きく現れるという事情を反映している。
【0091】
図4に示すやや拡大したマスク画像を、図5に示す組み合わせ画像の上に(想像上で)直接置くとすると、種々異なる眼の位置に見える画素αij又はその部分が見える。
【0092】
これは図6及び図7に、それぞれ異なる眼の位置について想定された2個のマスク画像について例として示されている。ここから分かるように、たとえば図6に対応している眼の位置からは、特に影像A7及びA8の画素αij(又はその部分)が知覚できる。これに対し図7によると、同じ観測者の他方の眼がある位置からは、特に影像A4及びA5からの画素αij(又はその部分)が見える。
【0093】
これは本発明による方法の原理を明らかにするものにすぎない。この場合、画素αijを面状に配置したことに基づく多様性により三次元知覚が生じる。両眼は観測位置から主として種々の影像A(k=1...n)の画素αijもしくは部分情報を見る。その際に、各々の眼に知覚可能な部分情報の割合が三次元知覚にとって決定的である。
【0094】
図1に示す基本構成と異なり、本発明の別の構成例が可能である。たとえば図8に示すように、カラーLCディスプレイ3(図1)の代わりに波長フィルター配列8が配置されている。波長フィルター配列8は、カラーLCディスプレイ3と類似の仕方で構造的に配置された波長フィルターβpqを有しているが、これはたとえば波長選択性に関して変えることができない。各々の波長フィルターβpqには、赤、緑もしくは青の原色又は不透明又はその他の透過波長/透過波長範囲λbに応じて選択性が不変に割り当てられているので、ここでも励起回路は不要である。
【0095】
図9は図8に示されたそのような装置の断面図を示している。この場合、図3及び図4に示す要件が基礎に置かれている。この表現も縮尺は正確でないが、説明には役立つ。図9では、たとえば右眼rは影像A3(この場合はR)と影像A8(この場合はB)からそれぞれほぼ半分ずつ部分情報を有する画素αij、及び影像A6(この場合はG)から部分情報を有する画素αijの非常に小さい部分を見る。これに対して左眼は、影像A4(この場合はR)と影像A7(この場合はG)からそれぞれほぼ半分ずつ部分情報を有する画素αij、及び影像A1及びA2(この場合はB)からそれぞれ部分情報を有する画素αijの非常に小さい部分を見る。
【0096】
図1及び図2と異なる別の構成例では、図10に示すように、観測者1の位置から注視方向で最初に波長フィルター配列8と、その後ろに間隔zを置いて画像再生カラーLCディスプレイ2が位置決めされており、画像再生カラーLCディスプレイ2は面状光源4と接続されて構成ユニットを形成している。これにより基本的に同じ効果が達成される。すなわち、カラーLCディスプレイ2のサブピクセルR、G、Bから出る光の拡散方向が波長フィルター配列8の対応するサブピクセルR′、G′、B′を通り、観測空間7内において複数の観測位置で交差し、これらの観測位置から表示された対象物が立体的に知覚できる。
【0097】
本発明の対象物はここに例示した装置に限られるものではなく、上記の規則によって形成される波長選択的構造により拡散方向が、画素αijからなる(好ましくは有色の)格子と協働して規定されるすべての装置が本発明によって包含されていることを再度明言する。
【0098】
以下に、モアレ効果を低減もしくは回避することが本発明の本質的な利点として成立する過程を、図10に示す装置の例で説明する。この場合、図3に示す組み合わせ画像と図2に示すマスク画像を基礎に置く。モアレ縞は縞状の類似のパターンが、上記の種々のパターンの2個の優先方向によって包囲された角の二等分線に対して直角の方向で重なるときに発生する、ということを公知のこととして前提とする。
【0099】
市販のカラーLCディスプレイの場合、サブピクセルは列に配置されており、それぞれ正確に3番目の列は赤いサブピクセルのみを含んでいる。選択された実施例では、影像A(k=1...n)の再生に対しても、マスク画像の形成に対しても市販のカラーLCディスプレイが使用されるので、角の二等分線を求めるために考慮される方向は常に垂直方向である。マスク画像上で選択された赤いサブピクセルを他のサブピクセルと直線で結べばそれぞれ第2の方向が生じる。(常にサブピクセルの左下角を基準点とする。)
【0100】
図11には、これはそのような直線の例が示されている。合成された角の二等分線は破線で示され、角の二等分線上の垂直中線は対応するモアレ縞の拡散方向を示している。図11に示されている、マスク画像の2個の赤い波長フィルターβpqのその他のすべての結合直線もしくは結合方向についても同様に、モアレ縞の対応する拡散方向を求めることができる。さらに、別の複数の関連する方向が存在するが、ここではマスク画像を断片的に表示しているので見えない。
【0101】
モアレ縞の知覚可能性は、結合直線上の赤い波長フィルターβpqの空間周波数と直接関連している。直線上の赤い波長フィルターβpqの間隔が小さければ小さいほど、すなわち赤い波長フィルターβpqの空間周波数が高ければ高いほど、相応のモアレ縞は明瞭に知覚できる。
【0102】
しかし、図2もしくは図11に示す装置では同時に非常に多数のモアレ縞が発生するので、観測者に支配的なモアレ優先方向は知覚されない。
以上行ったすべての考察は、緑と青の画素αijもしくは波長フィルターβpqにも同様に当てはまり、この場合にもモアレ効果の低減が達成される。
【0103】
以下に、公知の白黒衝立法と比較して、テキストの読みやすさが改善される理由を、図12及び図13に基づいて説明する。図12は、たとえば可視光を透過する列Tに3個の不透明な列Sが続く場合に、従来技術で公知の白黒衝立のおける状況を示すが、これは4個の影像を有する系に対する衝立に相応する。
【0104】
たとえば図13に示すように、不透明な面を全く有していない、波長に依存したマスク画像構造を使用し、かつ図12及び図13に示す両マスク画像構造の下に通常のテキストを置くいた場合、白黒衝立の下では平均して一部分、すなわち表示されたテキスト面の4分の1しか見えない。これに対して図13に示すRGB衝立では、各々のフィルターの下でテキストが見える。これによりテキストの読みやすさが著しく容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 観測者の注視方向で最初に画像表示格子として第1のカラーLCディスプレイと、その後ろに所定の間隔zを置いて波長フィルター配列として第2のカラーLCディスプレイとが配置されている構成例を示す説明図。
【図2】 波長フィルターβpqとして利用される第2のカラーLCディスプレイのサブピクセルR′G′B′によって形成されたマスク画像の例を示す拡大図。
【図3】 画素αijとして利用される第1のカラーLCディスプレイのサブピクセルRGBによって形成された影像A(k=1...n)の部分情報からなる全体画像の例を示す拡大図。
【図4】もっぱら赤いサブピクセルR′から形成された図2に示すマスク画像の構造を示す説明図。
【図5】図3に示す全体画像で赤いサブピクセルRによって再生される影像A(k=1...8)からなる部分情報の位置を示す説明図。
【図6】図4に示すマスク画像を通していずれかの観測位置から注視したとき観測者の一方の眼に可視の部分情報もしくはそれらの部分を示す説明図。
【図7】図4に示すマスク画像を通していずれかの観測位置から注視したとき観測者の他方の眼に可視の部分情報もしくはそれらの部分を示す説明図。
【図8】第2のカラーLCディスプレイの代わりに、透過波長/透過波長範囲λbが固定した波長フィルターβpqからなる配列が設けられている、図1に示す構成例とは異なる構成を示す説明図。
【図9】図2及び図3の要件を有する図8に示す装置の断面図。
【図10】観測者の注視方向で最初に透過波長/透過波長範囲λbが固定した波長フィルターβpqからなる配列と、その後ろに所定の間隔zを置いて画像再生カラーLCディスプレイが位置決めされている、図1に示す構成例とは異なる構成を示す説明図。
【図11】モアレ効果が成立するための例を示す説明図。
【図12】従来技術により公知の白黒衝立におけるマスク画像構造の例を示す説明図。
【図13】RGBマスク画像構造の例を示す説明図。

Claims (15)

  1. 場面/対象物を立体的に表示する方法であって、列iと行jに配置された複数の画素からなる1個の格子(2)内において複数の個々の画素αij から放射される光をその光の波長λもしくは波長範囲Δλに応じて特定の方向に選択的に拡散することにより複数の個々の画素α ij 同時に見えるようにし、
    しかも画素αijが場面/対象物の2つ以上の影像A (k=1...n)からなる部分情報を再生し、
    隣接する画素αijが異なる波長λもしくは波長範囲Δλの光を放射するようにした方法において、
    列pと行qに配置された複数の個々の波長フィルターβ pq からなる1個以上の波長フィルター配列(3、8)を配置することであって、当該1個以上の波長フィルター配列が画素α ij を有する格子(2)の、注視方向で前及び/又は後ろに配置されている、前記1個以上の波長フィルター配列(3、8)を配置すること、
    画素αijから放射される光に対して当該光の波長λもしくは波長範囲Δλに依存する拡散方向を前記1個以上の波長フィルター配列を用いて指定することであって、
    観測者(1)が滞在している観測空間(7)の内部で、拡散方向がそれぞれ観測位置に対応する複数の交点で交差し、
    そうすることによって各観測位置から観測者(1)が、一方の眼では主として影像A(k=1...n)からの第1の選択の部分情報を視覚的に知覚し、他方の眼では主として影像A(k=1...n)からの第2の選択の部分情報を知覚するように前記拡散方向を指定することを備えることを特徴とする方法。
  2. れぞれ1個の画素αijが付属している若干の波長フィルターβpqと対応し、又はそれぞれ1個の波長フィルターβpqが付属している若干の画素αijと対応していて、画素αijの可視部分の面中心と波長フィルターβpqの可視部分の面中心との間の結合線がそれぞれ拡散方向に対応するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 影像A(k=1...n)からなる部分情報を位置ijの画素αijに割り当てることを関数
    Figure 0004666562
    によって行うことを備え、
    ここに、
    iは格子の行における画素αijの指数であり、
    jは、格子の列における画素αijの指数であり、
    kは、特定の画素αij上に再生されるべき部分情報が由来する影像A(k=1...n)の連続番号であり、
    nは、その都度使用した影像A(k=1...n)の総数であり、
    ijは、影像A(k=1...n)が由来する種々の部分情報を格子上で組み合わせ、もしくは混合するための選択可能な係数行列であり、
    IntegerPartは、大括弧内の引数を越えない最大の整数を形成するための関数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 波長フィルターβpqをそれらの透過波長/透過波長範囲λbに依存して関数
    Figure 0004666562
    によってマスク画像に組み合わせることを備え、
    ここに、
    pは配列の行における波長フィルターβpqの指数であり、
    qは、配列の列における波長フィルターβpqの指数であり、
    bは、位置p、qにおける波長フィルターβpqに対して所定の透過波長/透過波長範囲λを規定し、かつ1〜bmaxの値を有し得る整数であり、
    は、好ましくは組み合わせ画像に表示された映像Aの総数kに等しく「ゼロ」より大きい整数の値であり、
    pqは、マスク画像の形成を変化させるための選択可能なマスク係数行列であり、
    IntegerPartは、大括弧で囲まれた引数を越えない最大の整数を形成するための関数であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記波長フィルターβpqからなる前記波長フィルター配列と画素αijからなる格子との注視方向で測定した間隔zを
    Figure 0004666562
    によって規定することを備え、
    ここに、
    は、前記波長フィルターβqpを有する前記波長フィルター配列が観測者の注視方向で画素αijからなる格子の後ろに配置されているときに、2個の波長フィルターβpqの平均水平間隔であり、又は画素αijからなる格子が観測者の注視方向で波長フィルターβpqを有する前記波長フィルター配列の後ろに配置されているときに、2個の画素αijの平均水平間隔であり、
    は、観測者における平均瞳孔距離であり、
    は、全観測空間で画素αijからなる格子と観測者もしくは観測位置との間の可能なすべての平均間隔にほぼ等しい選択可能な観測間隔であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載した方法を実施するための装置であって、場面/対象物の若干の影像A(k=1...n)からなる画素αijを再生するための前記格子としてのカラーLCディスプレイ(2)と、観測者の注視方向を基準にして、カラーLCディスプレイ(2)から所定の間隔zだけ前および/または後ろに配置されている、前記複数の波長フィルターβpqからなる前記波長フィルター配列(3、8)とを有している装置において、
    当該カラーLCディスプレイ(2)が、列iと行jに配置されて別々に制御可能なサブピクセルR、G、Bを有しており、それぞれ1個のサブピクセルR、G、Bが列iと行j内で画素αijに対応しており、各々の画素αijが2個以上の影像A(k=1...n)からなる部分情報に対応しており、カラーLCディスプレイ(2)が制御回路と接続されていて、当該制御回路がサブピクセルR、G、B上に部分情報を関数
    Figure 0004666562
    によって生成し、
    ここに、iは格子の行における画素αijの指数であり、jは格子の列における画素αijの指数であり、kは特定の画素αij上に再生されるべき部分情報が由来する影像A(k=1...n)の連続番号であり、nはその都度使用した影像A(k=1...n)の総数であり、cijは、影像A(k=1...n)が由来する種々の部分情報を格子上で組み合わせ、もしくは混ぜ合わせるための選択可能な係数行列であり、
    しかも、サブピクセルR、G、Bから出る光に対して拡散方向が指定されていて、当該拡散方向は、第1の選択の影像A(k=1...n)の部分情報の大多数が1人以上の観測者(1)の一方の眼で知覚可能であり、かつ第2の選択の影像A(k=1...n)の部分情報の大多数が他方の眼で知覚可能であるような観測位置で交差するように、前記波長フィルターβpq前記波長フィルター配列内部で位置決めされていることを特徴とする装置。
  7. 前記波長フィルターβpqからなる前記波長フィルター配列として、サブピクセルR′、G′、B′を有するカラーLCディスプレイ(3)が設けられており、当該カラーLCディスプレイ(3)が列p及び行qにおいて関数
    Figure 0004666562
    によって制御されるようになっており、
    ここに、
    pは配列の行における波長フィルターβpqの指数であり、
    qは、配列の列における波長フィルターβpqの指数であり、
    bは、位置p、qにおける波長フィルターβpqに対して所定の透過波長/透過波長範囲λを規定し、かつ1〜bmaxの値を有し得る整数であり、
    は、好ましくは組み合わせ画像に表示された映像Aの総数kに等しく「ゼロ」より大きい整数の値であり、
    pqは、マスク画像の形成を変化させるための選択可能なマスク係数行列であり、
    IntegerPartは、大括弧で囲まれた引数を越えない最大の整数を形成するための関数であることを特徴とする請求項6に記載の装置。
  8. カラーLCディスプレイ(3)がサブピクセルR′、G′、B′の透過率を変化させるための制御回路(6)と接続されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  9. 観測者(1)の注視方向で見て、サブピクセルR、G、Bを有するカラーLCディスプレイ(2)とサブピクセルR′、G′、B′を有するカラーLCディスプレイ(2)の後ろに、白色光を放射する面状光源(4)が配置されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の装置。
  10. 前記波長フィルターβpqからなる前記波長フィルター配列と、該波長フィルター配列に付属している面状光源(4)が構成ユニット、好ましくはエレクトロルミネサンス式ディスプレイ、陰極線管、プラズマディスプレイ、レーザー照明ディスプレイ、LEDディスプレイ、電界放出ディスプレイ又はポリマーベース表示装置の部分であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の装置。
  11. 前記波長フィルター配列内で個々の波長フィルターβpqが占める部分面が、多角形輪郭、好ましくは正方形輪郭、特に好ましくは方形輪郭を有していることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の装置。
  12. サブピクセルR、G、Bを有するカラーLCディスプレイ(2)と波長フィルターβpqとを組み合わせて構成ユニットを形成し、カラーLCディスプレイ(2)と前記波長フィルターβpqからなる前記波長フィルター配列との、注視方向で測定した間隔zが1mm〜10mmであることを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1項に記載の装置。
  13. 観測者(1)の注視方向でカラーLCディスプレイ(2)と波長フィルターβpqとからなる構成ユニットの前にレンズ、好ましくはフレネルレンズが配置されており、それによりレンズの構成に応じて観測者にとって場面/対象物の立体的画像の実写像又は仮想写像が生じることを特徴とする請求項12に記載の装置。
  14. 選択的に立体的又は二次元的に表示するための、請求項6乃至13のいずれか1項に記載の装置で、波長フィルターβpqの透過性質を変更するための手段が装備されていて、波長フィルターβpq制御に応じて請求項7による三次元的表示を目的として構成されているか、又は二次元的表示を目的として全体で可能な限り透過的に、すなわち可視光をできるだけ透過させるようにした装置。
  15. 選択的に透過性質に関して選択された波長フィルターβpqか、又はすべての波長フィルターβpqに切り替えることのできる制御回路が設けられており、そうすることによって選択的に場面/対象物の全表示を立体的表示から二次元的表示に変更するか、又は単に選択された影像範囲を立体的表示から二次元的表示に変更できるようにしたことを特徴とする請求項14に記載の装置。
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