以下、添付図面を参照して、好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1〜図4及び図11に基づいて、第1実施形態に係る積層コンデンサC1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。図2は、本実施形態に係る積層コンデンサに含まれる素体の分解斜視図である。図3は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。図4は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。図11は、本実施形態に係る積層コンデンサ断面構成を説明するための図である。なお、図3及び図4において、断面のハッチングは省略している。
積層コンデンサC1は、図1に示すように、直方体状をしたコンデンサ素体L1と、コンデンサ素体L1の外表面に配置された第1の端子電極1及び第2の端子電極2とを備える。コンデンサ素体L1は、相対向する長方形状の第1の主面L1a及び第2の主面L1bと、相対する第1の側面(第1の面)L1c及び第2の側面(第2の面)L1dと、相対向する第3の側面L1e及び第4の側面L1fとを含んでいる。第1及び第2の側面L1c、L1dは、第1及び第2の主面L1a、L1b間を連結するように第1及び第2の主面L1a、L1bの長辺方向に伸びている。第3及び第4の側面L1e、L1fは、第1及び第2の主面L1a、L1b間を連結するように第1及び第2の主面L1a、L1bの短辺方向に伸びている。
コンデンサ素体L1の第1の側面L1cには、第1の端子電極1が配置されている。コンデンサ素体L1の第2の側面L1dには、第2の端子電極2が配置されている。第1及び第2の端子電極1、2は、例えば、導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストをコンデンサ素体L1の対応する外表面の付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた電極の上にめっき層が形成されることもある。
コンデンサ素体L1は、図2に示されるように、複数(本実施形態では5層)の誘電体層10と、複数(本実施形態では2層)の第1の内部電極20と、複数(本実施形態では2層)の第2の内部電極30とを有している。したがって、コンデンサ素体L1は、誘電特性を有する。
各誘電体層10は、第1及び第2の主面L1a、L1bに平行な方向に伸びており、第1及び第2の主面L1a、L1bの対向方向に積層されている。各誘電体層10は、例えば誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の積層コンデンサC1では、各誘電体層10は、誘電体層10の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
第1の内部電極20と第2の内部電極30とは、コンデンサ素体L1の一部である一つの誘電体層10を挟んで第1の方向に対向するように配置されている。すなわち、第1の内部電極20と第2の内部電極30とは、コンデンサ素体L1において、誘電体層10の積層方向、すなわち第1及び第2の主面L1a、L1bの対向方向に誘電体層10を間に挟んで交互に配置されている。
したがって、第1の端子電極1が配置された第1の側面L1c、及び第2の端子電極2が配置された第2の側面L1dは、第1の内部電極20と第2の内部電極30とが対向する方向、すなわち第1の方向に平行である。
第1の内部電極20は、主電極部分22と、引き出し電極部分24とを含んでいる。主電極部分22は、容量形成領域26a、26bと非容量形成領域28とを含む。第1の内部電極20は、導電性ペーストの焼結体から構成される。
容量形成領域26a、26bは、それぞれ長方形状を呈しており、第1及び第2の主面L1a、L1bの長辺方向に沿って並んで配列されている。
非容量形成領域28は、主電極部分22において第2の側面L1d側から第1の側面L1c側に向かって伸び、容量形成領域26aと容量形成領域26bとを二分するスリット状に形成されている。非容量形成領域28は、主電極部分22の第1及び第2の主面L1a、L1bの長辺方向における中央付近に位置している。また、スリット状に形成された非容量形成領域28には導電性ペーストの焼結体は存在せず、非容量形成領域28は静電容量の形成に寄与しない。
引き出し電極部分24は、主電極部分22から第1の側面L1cに向けて伸びており、第1の側面L1cまで引き出されている。引き出し電極部分24は、第1の端子電極1に電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分22は、そして第1の内部電極20は、第1の端子電極1に電気的に接続されることとなる。
引き出し電極部分24は、主電極部分22の容量形成領域26a、26b及び非容量形成領域28のすべてと接している。非容量形成領域28は、主電極部分22の容量形成領域26a、26bと引き出し電極部分24との境界部に接するように配置されている。
第2の内部電極30は、主電極部分32と、引き出し電極部分34とを含んでいる。主電極部分32は、容量形成領域36a、36bと非容量形成領域38とを含む。第2の内部電極30は、導電性ペーストの焼結体から構成される。
容量形成領域36a、36bは、それぞれ長方形状を呈しており、第1及び第2の主面L1a、L1bの長辺方向に沿って並んで配列されている。
非容量形成領域38は、主電極部分32において第1の側面L1c側から第2の側面L1d側に向かって伸び、容量形成領域36aと容量形成領域36bとを二分するスリット状に形成されている。非容量形成領域38は、主電極部分32の第1及び第2の主面L1a、L1bの長辺方向における中央付近に位置している。また、スリット状に形成された非容量形成領域38には導電性ペーストの焼結体は存在せず、非容量形成領域38は静電容量の形成に寄与しない。
引き出し電極部分34は、主電極部分32から第2の側面L1dに向けて伸びており、第2の側面L1dまで引き出されている。引き出し電極部分34は、第2の端子電極2に電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分32は、そして第2の内部電極30は、第2の端子電極2に電気的に接続されることとなる。
引き出し電極部分34は、主電極部分32の容量形成領域36a、36b及び非容量形成領域38のすべてと接している。非容量形成領域38は、主電極部分32の容量形成領域36a、36bと引き出し電極部分34との境界部に接するように配置されている。
第1及び第2の内部電極20、30は、第1の内部電極20の容量形成領域26aと第2の内部電極30の容量形成領域36aとが、さらに第1の内部電極20の容量形成領域26bと第2の内部電極30の容量形成領域36bとが何れも、コンデンサ素体L1の少なくとも一部である1つの誘電体層10を挟んで対向するように配置されている。したがって、第1の内部電極20の容量形成領域26a、26bと第2の内部電極30の容量形成領域36a、36bとは協働して静電容量を形成する。
さらに、第1及び第2の内部電極20、30は、第1の内部電極20の非容量形成領域28と第2の内部電極30の非容量形成領域38とがコンデンサ素体L1の少なくとも一部である1つの誘電体層10を挟んで対向するように配置されている。
ここで、第1の側面L1cに平行で且つ第1の方向に直交する方向を第2の方向とする。図3では、第2の方向をx方向として表す。図3は、図1の積層コンデンサのIII−III矢印断面を模式的に表す図であり、第1の内部電極20の上面と誘電体層10とが積層されている箇所で切断した図である。
図3に示すように、第2の方向における第1の端子電極1の長さd11は、第2の方向における第1の側面L1cの長さd12に比して小さく設定されている。すなわち、d11<d12が成立する。さらに、図3に示すように、第2の方向における第1の内部電極20の引き出し電極部分24の長さd13は、第2の方向における第1の内部電極20の主電極部分22の長さd14に比して小さく設定されている。すなわち、d13<d14が成立する。また、本実施形態では、d13<d11<d14<d12が成立している。
また、第1の内部電極20において、非容量形成領域28と引き出し電極部分24との位置は、第1の方向から見たときに、すなわち図3の断面図において、非容量形成領域28と引き出し電極部分24とが第2の方向(x方向)で重なりを有するように設定されている
第2の側面L1dに平行で且つ第1の方向に直交する方向を第3の方向とする。図4では、第3の方向をy方向として表す。図4は、図1の積層コンデンサのIV−IV矢印断面図であり、第1の内部電極20の上面と誘電体層10とが積層されている箇所で切断した図である。
図4に示すように、第3の方向における第2の端子電極2の長さd21は、第3の方向における第2の側面L1dの長さd22に比して小さく設定されている。すなわち、d21<d22が成立する。さらに、図4に示すように、第3の方向における第2の内部電極30の引き出し電極部分34の長さd23は、第3の方向における第2の内部電極30の主電極部分32の長さd24に比して小さく設定されている。すなわち、d23<d24が成立する。また、本実施形態では、d23<d21<d24<d22が成立している。
また、第2の内部電極30において、非容量形成領域38と引き出し電極部分34との位置は、第1の方向から見たときに、すなわち図4の断面図において、非容量形成領域38と引き出し電極部分34とが第3の方向(y方向)で重なりを有するように設定されている。
図11は、図1の積層コンデンサのXI−XI矢印断面図である。コンデンサ素体L1は、第1の方向において、複数の第1及び第2の内部電極20、30の外側に第1及び第2の外層部11、12を有する。第1の外層部11は、第1の方向のうち第2の主面L1b側に位置する。第2の外層部12は、第1の方向のうち第1の主面L1a側に位置する。
具体的には、第1の外層部11は、コンデンサ素体L1において、複数の第1及び第2の内部電極20、30のうち最も第2の主面L1b側に位置する第2の内部電極30の第1の方向での位置から第2の主面L1bに至るまでの領域に相当する。したがって、第1の外層部11の第1の方向における長さは、複数の第1及び第2の内部電極20、30のうち第1の方向の第2の主面L1b側で最も外側に配置された内部電極である第2の内部電極30と、該第2の内部電極30に対向するコンデンサ素体L1の外表面である第2の主面L1bとの間隔d15に相当する。
積層コンデンサC1では、第1の外層部11の第1の方向での長さd15に対する第2の方向(図11におけるx方向)における第1の端子電極1の長さd11の比は、0.4より大きく且つ8.0より小さい。すなわち、以下の式(1)で表される関係が成り立つ。
0.4<d11/d15<8.0 …(1)
また、第2の外層部12は、コンデンサ素体L1において、複数の第1及び第2の内部電極20、30のうち最も第1の主面L1a側に位置する第1の内部電極20の第1の方向での位置から第1の主面L1aに至るまでの領域に相当する。したがって、第2の外層部12の第1の方向における長さは、複数の第1及び第2の内部電極20、30のうち第1の方向の第1の主面L1a側で最も外側に配置された内部電極である第1の内部電極20と、該第1の内部電極20に対向するコンデンサ素体L1の外表面である第1の主面L1aとの間隔d16に相当する。
積層コンデンサC1では、第2の外層部12の第1の方向での長さd16に対する第2の方向(図11におけるx方向)における第1の端子電極1の長さd11の比は、0.4より大きく且つ8.0より小さい。すなわち、以下の式(2)で表される関係が成り立つ。
0.4<d11/d16<8.0 …(2)
積層コンデンサC1では、第1の内部電極20の主電極部分22が非容量形成領域28を含む。電歪効果は電圧が加えられた誘電体領域において発生する。したがって、端子電極1、2を基板のランド電極等に接続して積層コンデンサに電圧をかけ、第1及び第2の内部電極20、30間に電圧が加わる場合であっても、主電極部分22にスリット状に形成された非容量形成領域28に加わる電圧は抑制される。その上、この非容量形成領域28は、第1の方向から見たときに、引き出し電極部分24と第2の方向(図3のx方向)で重なりを有するような位置に配置されている。以上のことから理解されるように、引き出し電極部分24に影響するコンデンサ素体L1の電歪の効果は非容量形成領域28の分だけ小さくなる。その結果、コンデンサ素体L1の電歪効果によって第1の端子電極1が受ける影響が低減され、積層コンデンサC1では第1の端子電極1付近での電歪効果による機械的歪みを抑制することが可能となる。
さらに、積層コンデンサC1では、第2の内部電極30の主電極部分32も非容量形成領域38を含み、この非容量形成領域38は、第1の方向から見たときに、引き出し電極部分34と第3の方向(図4のy方向)で重なりを有するような位置に配置されている。そのため、コンデンサ素体L1の電歪効果によって第2の端子電極2が受ける影響も低減され、積層コンデンサC1では第2の端子電極2付近での電歪効果による機械的歪みを抑制することも可能となる。
したがって、積層コンデンサC1を基板等に実装し、電圧を加えた場合であっても、基板等において発生する音鳴りは抑制される。
非容量形成領域が引き出し電極部分に近いほど、コンデンサ素体の電歪効果によって端子電極が受ける影響は低減される。これに対し、積層コンデンサC1では、第1の内部電極20において、主電極部分22と引き出し電極部分24とが接しており、非容量形成領域28は、主電極部分22と引き出し電極部分24との境界部に接するように配置されている。そのため、積層コンデンサC1では第1の端子電極1付近での電歪効果による機械的歪みをより一層抑制することが可能となる。
さらに、積層コンデンサC1では、第2の内部電極30においても、主電極部分32と引き出し電極部分34とが接しており、非容量形成領域38は、主電極部分32と引き出し電極部分34との境界部に接するように配置されている。そのため、積層コンデンサC1では第2の端子電極2付近での電歪効果による機械的歪みをも、より一層抑制することが可能である。
また、積層コンデンサC1では、第1及び第2の内部電極20、30が、第1の内部電極20の非容量形成領域28と第2の内部電極30の非容量形成領域38とが誘電体層10を挟んで対向するように配置されている。非容量形成領域が容量形成領域と対向してしまうと、容量形成領域のうち非容量形成領域と対向する部分において静電容量の形成に寄与できなくなってしまう。したがって、積層コンデンサC1のように、各内部電極20、30の非容量形成領域28、38同士が対向することで、積層コンデンサC1の静電容量の低減を効率良く抑制することができる。
加えて、誘電体層10がセラミックグリーンシートの焼結体からなり、内部電極20、30が導電性ペーストの焼結体からなる場合、誘電体層10と内部電極20、30とが積層された箇所より、誘電体層10同士が積層された箇所の方が密着度が高くなる。そのため、誘電体層10が露出するように非容量形成領域28、38が形成されている積層コンデンサC1では、非容量形成領域28、38同士が対向するように積層されていることによって、第1及び第2の内部電極20、30と誘電体層10との層間の密着性が良好になる。
また、コンデンサ素体L1における層間の密着性が高まると、コンデンサ素体L1内での機械的歪みの伝達が抑制される。そのため、積層コンデンサC1では、コンデンサ素体L1全体の機械的歪みを抑制するとともに、第1及び第2の端子電極1、2付近での機械的歪みをより一層抑制することが可能である。
また、積層コンデンサC1では、第2の方向において、第1の端子電極1の長さd11が第1の側面L1cの長さd12に比して小さく設定されている。このため、電歪効果によって歪んだコンデンサ素体L1に第1の端子電極1が引っ張られたとしても、積層コンデンサC1を実装する基板等に影響を与える面積を小さくすることができる。
また、積層コンデンサC1では、第2の方向において、第1の端子電極1に接続する引き出し電極部分24の長さd13が主電極部分22の長さd14に比して小さく設定されている。これにより、第1の端子電極1の第2の方向における長さd11を小さくすることが可能となる。
さらに、積層コンデンサC1では、第3の方向において、第2の端子電極2の長さd21が第2の側面L1dの長さd22に比して小さく設定されている。このため、電歪効果によって歪んだコンデンサ素体L1に第2の端子電極2が引っ張られたとしても、積層コンデンサC1を実装する基板等に影響を与える面積を小さくすることができる。
また、積層コンデンサC1では、第3の方向において、第2の端子電極2に接続する引き出し電極部分34の長さd23が主電極部分32の長さd24に比して小さく設定されている。これにより、第2の端子電極2の第3の方向における長さd21を小さくすることが可能となる。
積層コンデンサC1では、第1の外層部11が、第1の方向で、コンデンサ素体L1に含まれる複数の第1及び第2の内部電極20、30の外側に位置する。したがって、第1の外層部11には、第1及び第2の内部電極20、30によって電圧が加えられない。そのため、第1の外層部11では、第1及び第2の内部電極によって加えられる電圧に起因した電歪効果が発生しない。そして、積層コンデンサC1では、式(1)を満たすような(すなわち、d11/d15が8.0より小さくなるような)第1の外層部11の長さd15が確保される。このように、積層コンデンサC1は、電歪効果によって発生するコンデンサ素体の第1の外層部11と第2の外層部12との間での振動を吸収するのに十分な長さの第1の外層部11を有している。そのため、例えば第2の主面L1bが基板等に接するように積層コンデンサC1を基板等に実装する場合であっても、第1及び第2の内部電極20、30によって加えられる電圧に起因するコンデンサ素体L1の電歪効果の影響が、実装基板等に伝搬することが好適に抑制される。したがって、積層コンデンサC1を基板等に実装し、電圧を加えた場合であっても、基板等において発生する音鳴りは好適に抑制される。
さらに、積層コンデンサC1では、d11/d15が8.0より小さくなるように、第1の端子電極1の第2の方向での長さd11が規定されている。そのため、電歪効果によって歪んだコンデンサ素体L1に第1の端子電極1が引っ張られたとしても、積層コンデンサC1を実装する基板等に影響を与える面積を小さくすることができる。その結果、積層コンデンサC1では、電歪効果の影響で振動等する場合であっても、実装基板等にその振動が伝わることが好適に抑制されている。
加えて、積層コンデンサC1では、d11/d15が0.4より大きくなるように、第1の端子電極1の第2の方向での長さd11が規定されている。そのため、積層コンデンサC1では、積層コンデンサC1で発生する電歪効果の影響が実装基板等に伝搬することを抑制しつつ、第1の端子電極1と基板等との好適な接続を実現することが可能である。これにより、積層コンデンサC1では、第1の端子電極1と実装基板等との間で接続不良が発生することが抑制される。
また、積層コンデンサは一般にその大きさが規格によって規定されているため、内部電極を含まない外層部の大きさが大きくなるとその分だけ静電容量が低減してしまう。これに対し、積層コンデンサC1では、d11/d15が0.4より大きくなるように、第1の外層部11の第1の方向における長さd15が規定されている。そのため、積層コンデンサC1では、第1の外層部11の大きさによる静電容量の低減が好適に抑制されている。
また、積層コンデンサC1では、第2の外層部12が、コンデンサ素体L1に含まれる複数の第1及び第2の内部電極20、30の外側に位置する。したがって、第2の外層部12には、第1及び第2の内部電極20、30によって電圧が加えられない。そのため、第2の外層部12では、電歪効果の発生が抑制される。積層コンデンサC1では、式(2)を満たすような(すなわち、d11/d16が8.0より小さくなるような)第2の外層部12の長さd16が確保される。このように、積層コンデンサC1は、電歪効果によって発生するコンデンサ素体の第1の外層部11と第2の外層部12との間での振動を吸収するのに十分な長さの第2の外層部12を有している。そのため、例えば第1の主面L1aが基板等に接するように積層コンデンサC1を実装する場合であっても、第1及び第2の内部電極20、30によって加えられる電圧に起因するコンデンサ素体L1の電歪効果の影響が、実装基板等に伝搬することを好適に抑制することができる。したがって、積層コンデンサC1を基板等に実装し、電圧を加えた場合であっても、基板等において発生する音鳴りは好適に抑制される。
さらに、積層コンデンサC1では、d11/d16が8.0より小さくなるように、第1の端子電極1の第2の方向での長さd11が規定されている。そのため、電歪効果によって歪んだコンデンサ素体L1に第1の端子電極1が引っ張られたとしても、積層コンデンサC1を実装する基板等に影響を与える面積を小さくすることができる。その結果、積層コンデンサC1では、電歪効果の影響で振動等する場合であっても、実装基板等にその振動が伝わることが好適に抑制されている。
加えて、積層コンデンサC1では、d11/d16が0.4より大きくなるように、第1の端子電極1の第2の方向での長さd11が規定されている。そのため、積層コンデンサC1では、積層コンデンサC1で発生する電歪効果の影響が実装基板等に伝搬することを抑制しつつ、第1の端子電極1と基板等との好適な接続を実現することが可能である。これにより、積層コンデンサC1では、第1の端子電極1と実装基板等との間で接続不良が発生することが抑制される。
また、積層コンデンサは一般にその大きさが規格によって規定されているため、内部電極を含まない外層部の大きさが大きくなるとその分だけ静電容量が低減してしまう。これに対し、積層コンデンサC1では、d11/d16が0.4より大きくなるように、第2の外層部12の第1の方向における長さd16が規定されている。そのため、積層コンデンサC1では、第2の外層部12の大きさによる静電容量の低減が好適に抑制されている。
なお、本実施形態では、第1の外層部11が式(1)を、第2の外層部12が式(2)を満たしているが、式(1)又は式(2)の何れか一方のみが満たされていても、あるいは双方ともが満たされていなくてもよい。
また、複数の第1及び第2の内部電極20、30のうち第1の方向の第2の主面L1b側で最も外側に配置された内部電極である第2の内部電極30と該第2の内部電極30に対向するコンデンサ素体L1の外表面である第2の主面L1bとの間隔に対する、第2の方向における第2の端子電極2の長さの比が、0.4より大きく且つ8.0より小さいことがより好ましい。また、複数の第1及び第2の内部電極20、30のうち第1の方向の第1の主面L1a側で最も外側に配置された内部電極である第1の内部電極20と該第1の内部電極20に対向するコンデンサ素体L1の外表面である第1の主面L1aとの間隔に対する、第2の方向における第2の端子電極2の長さの比が、0.4より大きく且つ8.0より小さいことがより好ましい。この場合、コンデンサ素体L1の電歪効果による機械的歪みが第2の端子電極2を介して実装基板等に伝搬することを好適に抑制することが可能となる。
(第2実施形態)
図5を参照して、第2実施形態に係る積層コンデンサについて説明する。第2実施形態に係る積層コンデンサは、第1及び第2の内部電極の主電極部分に含まれる非容量形成領域の形状の点で第1実施形態に係る積層コンデンサC1と相違する。図5は、第2実施形態に係る積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
第2実施形態に係る積層コンデンサは、その図示を省略するが、第1実施形態に係る積層コンデンサC1と同じく、コンデンサ素体L1と、第1の端子電極1と、第2の端子電極2とを備える。コンデンサ素体L1は、図5に示されるように、複数(本実施形態では、5層)の誘電体層10と、複数(本実施形態では2層)の第1の内部電極20と、複数(本実施形態では2層)の第2の内部電極30とを有している。
第1の内部電極20は、主電極部分22と、引き出し電極部分24とを含んでいる。主電極部分22は、容量形成領域26と複数(本実施形態では、2つ)の非容量形成領域28a、28bとを含む。2つの非容量形成領域28a、28bは、第1の側面L1cと第2の側面L1dとの対向方向に沿って、並んで配置されている。
容量形成領域26は、略長方形状を呈している。非容量形成領域28aは、第1の内部電極20の主電極部分22に長方形状の開口部として形成されている。非容量形成領域28aは、主電極部分22の引き出し電極部分24との境界部から、第1及び第2の主面L1a、L1bの短辺方向における容量形成領域26の中央付近にまで伸びるように形成されている。
非容量形成領域28bは、スリット状に形成されている。非容量形成領域28bは、主電極部分22において第2の側面L1d側から第1の側面L1c側に向かって伸びるように形成されている。ただし、非容量形成領域28bのスリットは、非容量形成領域28aにまでは達しない。非容量形成領域28a、28bは何れも、主電極部分22の第1及び第2の主面L1a、L1bの長辺方向における中央付近に位置している。
引き出し電極部分24は、主電極部分22から第1の側面L1cに向けて伸びており、第1の側面L1cまで引き出されている。引き出し電極部分24は、第1の端子電極1に電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分22は、そして第1の内部電極20は、第1の端子電極1に電気的に接続されることとなる。引き出し電極部分24は、主電極部分22の容量形成領域26及び非容量形成領域28aの双方と接している。
第2の内部電極30は、主電極部分32と、引き出し電極部分34とを含んでいる。主電極部分32は、容量形成領域36と複数(本実施形態では、2つ)の非容量形成領域38a、38bとを含む。
容量形成領域36は、略長方形状を呈している。非容量形成領域38aは、第2の内部電極30の主電極部分32に長方形状の開口部として形成されている。非容量形成領域38aは、主電極部分32の引き出し電極部分34との境界部から、第1及び第2の主面L1a、L1bの短辺方向における容量形成領域36の中央付近にまで伸びるように形成されている。
非容量形成領域38bは、スリット状に形成されている。非容量形成領域38bは、主電極部分32において第1の側面L1c側から第2の側面L1d側に向かって伸びるように形成されている。ただし、非容量形成領域38bのスリットは、非容量形成領域38aにまでは達しない。非容量形成領域38a、38bは何れも、主電極部分32の第1及び第2の主面L1a、L1bの長辺方向における中央付近に位置している。
引き出し電極部分34は、主電極部分32から第2の側面L1dに向けて伸びており、第2の側面L1dまで引き出されている。引き出し電極部分34は、第2の端子電極2に電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分32は、そして第2の内部電極30は、第2の端子電極2に電気的に接続されることとなる。引き出し電極部分34は、主電極部分32の容量形成領域36及び非容量形成領域38aの双方と接している。
第1及び第2の内部電極20、30は、第1の内部電極20の容量形成領域26と第2の内部電極30の容量形成領域36とが、コンデンサ素体L1の少なくとも一部である1つの誘電体層10を挟んで対向するように配置されている。したがって、第1の内部電極20の容量形成領域26と第2の内部電極30の容量形成領域36とは協働して静電容量を形成する。
さらに、第1及び第2の内部電極20、30は、第1の内部電極20の非容量形成領域28aと第2の内部電極30の非容量形成領域38bとが、さらに第1の内部電極20の非容量形成領域28bと第2の内部電極30の非容量形成領域38aとが、それぞれコンデンサ素体L1の少なくとも一部である1つの誘電体層10を挟んで対向するように配置されている。
第2実施形態に係る積層コンデンサでは、第1の側面L1cに平行で且つ第1の方向に直交する第2の方向において、第1の端子電極1の長さは第2の方向における第1の側面L1cの長さに比して小さく設定されている。さらに、第2の方向における第1の内部電極20の引き出し電極部分24の長さは、第2の方向における第1の内部電極20の主電極部分22の長さに比して小さく設定されている。
また、第1の内部電極20において、非容量形成領域28a、28bと引き出し電極部分24との位置は、第1の方向から見たときに、非容量形成領域28a、28bと引き出し電極部分24とが第2の方向で重なりを有するように設定されている。
第2実施形態に係る積層コンデンサでは、第2の側面L1dに平行で且つ第1の方向に直交する第3の方向において、第2の端子電極2の長さは、第3の方向における第2側面L1dの長さに比して小さく設定されている。さらに、第3の方向における第2の内部電極30の引き出し電極部分34の長さは、第3の方向における第2の内部電極30の主電極部分32の長さに比して小さく設定されている。
また、第2の内部電極30において、非容量形成領域38a、38bと引き出し電極部分34との位置は、第1の方向から見たときに、非容量形成領域38a、38bと引き出し電極部分34とが第3の方向で重なりを有するように設定されている。
第2実施形態に係る積層コンデンサでは、第1の内部電極20の主電極部分22が非容量形成領域28a、28bを含み、この非容量形成領域28a、28bは、第1の方向から見たときに、引き出し電極部分24と第2の方向で重なりを有するような位置に配置されている。そのため、コンデンサ素体L1の電歪効果によって第1の端子電極1が受ける影響が低減され、第2実施形態に係る積層コンデンサでは第1の端子電極1付近での電歪効果による機械的歪みを抑制することも可能となる。
さらに、第2実施形態に係る積層コンデンサでは、第2の内部電極30の主電極部分32も非容量形成領域38a、38bを含み、この非容量形成領域38a、38bは、第1の方向から見たときに、引き出し電極部分34と第3の方向で重なりを有するような位置に配置されている。そのため、コンデンサ素体L1の電歪効果によって第2の端子電極2が受ける影響も低減され、第2実施形態に係る積層コンデンサでは第2の端子電極2付近での電歪効果による機械的歪みを抑制することも可能となる。
したがって、第2実施形態に係る積層コンデンサを基板等に実装し、電圧を加えた場合であっても、基板等において発生する音鳴りは抑制される。
第2実施形態に係る積層コンデンサでは、第1の内部電極20において、主電極部分22と引き出し電極部分24とが接しており、非容量形成領域28aは、主電極部分22と引き出し電極部分24との境界部に接するように配置されている。そのため、第2実施形態に係る積層コンデンサでは第1の端子電極1付近での電歪効果による機械的歪みをより一層抑制することが可能となる。
さらに、第2実施形態に係る積層コンデンサでは、第2の内部電極30においても、主電極部分32と引き出し電極部分34とが接しており、非容量形成領域38aは、主電極部分32と引き出し電極部分34との境界部に接するように配置されている。そのため、第2実施形態に係る積層コンデンサでは第2の端子電極2付近での電歪効果による機械的歪みをも、より一層抑制することが可能である。
また、第2実施形態に係る積層コンデンサでは、第1及び第2の内部電極20、30が、第1の内部電極20の非容量形成領域28aと第2の内部電極30の非容量形成領域38bとが、さらに第1の内部電極20の非容量形成領域28bと第2の内部電極30の非容量形成領域38aとが、誘電体層10を挟んで対向するように配置されている。したがって、第2実施形態に係る積層コンデンサでは、静電容量の低減を効率良く抑制することができる。
加えて、誘電体層10が露出するように非容量形成領域28a、28b、38a、38bが形成されている第2実施形態に係る積層コンデンサでは、非容量形成領域28a、38b同士及び非容量形成領域28b、38a同士が対向するように積層されている。そのため、第2実施形態に係る積層コンデンサでは、第1及び第2の内部電極20、30と誘電体層10との層間の密着性が良好になる。
また、コンデンサ素体L1における層間の密着性が高まることにより、第2実施形態に係る積層コンデンサでは、コンデンサ素体L1全体の機械的歪みを抑制するとともに、第1及び第2の端子電極1、2付近での機械的歪みをより一層抑制することが可能となる。
また、第2実施形態に係る積層コンデンサでは、第2の方向において、第1の端子電極1の長さが第1の側面L1cの長さに比して小さく設定されている。このため、電歪効果によって歪んだコンデンサ素体L1に第1の端子電極1が引っ張られたとしても、第2実施形態に係る積層コンデンサを実装する基板等に影響を与える面積を小さくすることができる。
また、第2実施形態に係る積層コンデンサでは、第2の方向において、第1の端子電極1に接続する引き出し電極部分24の長さが主電極部分22の長さに比して小さく設定されている。これにより、第1の端子電極1の第2の方向における長さを小さくすることが可能となる。
さらに、第2実施形態に係る積層コンデンサでは、第3の方向において、第2の端子電極2の長さが第2の側面L1dの長さに比して小さく設定されている。このため、電歪効果によって歪んだコンデンサ素体L1に第2の端子電極2が引っ張られたとしても、第2実施形態に係る積層コンデンサを実装する基板等に影響を与える面積を小さくすることができる。
また、第2実施形態に係る積層コンデンサでは、第3の方向において、第2の端子電極2に接続する引き出し電極部分34の長さが主電極部分32の長さに比して小さく設定されている。これにより、第2の端子電極2の第3の方向における長さを小さくすることが可能となる。
続いて、図6に基づいて、本実施形態の変形例について説明する。第2実施形態の変形例においては、第1及び第2の内部電極の主電極部分に含まれる非容量形成領域の数の点で、第2実施形態に係る積層コンデンサと相違する。図6は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサに含まれるコンデンサ素体の分解斜視図である。
本実施形態の変形例に係る積層コンデンサは、その図示を省略するが、上述した第1実施形態に係る積層コンデンサC1と同じく、コンデンサ素体L1と、第1の端子電極1と、第2の端子電極2とを備える。コンデンサ素体1は、図6に示されるように、複数の誘電体層10と、複数の第1の内部電極20と、複数の第2の内部電極30とを有している。
第2実施形態の変形例に係る積層コンデンサの第1の内部電極20の主電極部分22は、容量形成領域26と4つの非容量形成領域28a、28b、28c、28dとを含む。4つの非容量形成領域28a、28b、28c、28dは、第1の側面L1cと第2の側面L1dとの対向方向に沿って、この順に第1の側面L1c側から並んで配置されている。非容量形成領域28a、28b、28c、28dは何れも、主電極部分22の第1及び第2の主面L1a、L1bの長辺方向における中央付近に位置している。
非容量形成領域28aは、第1の内部電極20の主電極部分22に四角形状の開口部として形成されている。非容量形成領域28aは、主電極部分22の引き出し電極部分24との境界部から第2の側面L1d側に向かって伸びている。
非容量形成領域28bは、第1の内部電極20の主電極部分22に四角形状の開口部として形成されている。非容量形成領域28bは、非容量形成領域28aより第2の側面L1d側に形成されている。
非容量形成領域28cは、第1の内部電極20の主電極部分22に四角形状の開口部として形成されている。非容量形成領域28cは、非容量形成領域28a、28bより第2の側面L1d側に形成されている。
非容量形成領域28dは、スリット状に形成されている。非容量形成領域28dは、主電極部分22において第2の側面L1d側から第1の側面L1c側に向かって伸びるように形成されている。ただし、非容量形成領域28dのスリットは、非容量形成領域28cにまでは達しない。
引き出し電極部分24は、主電極部分22から第1の側面L1cに向けて伸びており、第1の側面L1cまで引き出されている。引き出し電極部分24は、第1の端子電極1に電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分22は、そして第1の内部電極20は、第1の端子電極1に電気的に接続されることとなる。引き出し電極部分24は、主電極部分22の容量形成領域26及び非容量形成領域28aの双方と接している。
第2実施形態の変形例に係る積層コンデンサの第2の内部電極30の主電極部分32は、容量形成領域36と4つの非容量形成領域38a、38b、38c、38dとを含む。4つの非容量形成領域38a、38b、38c、38dは、第1の側面L1cと第2の側面L1dとの対向方向に沿って、この順に第2の側面L1d側から並んで配置されている。非容量形成領域38a、38b、38c、38dは何れも、主電極部分32の第1及び第2の主面L1a、L1bの長辺方向における中央付近に位置している。
非容量形成領域38aは、第2の内部電極30の主電極部分32に四角形状の開口部として形成されている。非容量形成領域38aは、主電極部分32の引き出し電極部分34との境界部から第1の側面L1c側に向かって伸びている。
非容量形成領域38bは、第2の内部電極30の主電極部分32に四角形状の開口部として形成されている。非容量形成領域38bは、非容量形成領域38aより第1の側面L1c側に形成されている。
非容量形成領域38cは、第2の内部電極30の主電極部分32に四角形状の開口部として形成されている。非容量形成領域38cは、非容量形成領域38a、38bより第1の側面L1c側に形成されている。
非容量形成領域38dは、スリット状に形成されている。非容量形成領域38dは、主電極部分32において第1の側面L1c側から第2の側面L1d側に向かって伸びるように形成されている。ただし、非容量形成領域38dのスリットは、非容量形成領域38cにまでは達しない。
引き出し電極部分34は、主電極部分32から第2の側面L1dに向けて伸びており、第2の側面L1dまで引き出されている。引き出し電極部分34は、第2の端子電極2に電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分32は、そして第2の内部電極30は、第2の端子電極2に電気的に接続されることとなる。引き出し電極部分34は、主電極部分32の容量形成領域36及び非容量形成領域38aの双方と接している。
第2実施形態の変形例に係る積層コンデンサの第1及び第2の内部電極20、30は、第1の内部電極20の非容量形成領域28aと第2の内部電極30の非容量形成領域38dとが、さらに第1の内部電極20の非容量形成領域28bと第2の内部電極30の非容量形成領域38cとが、さらに第1の内部電極20の非容量形成領域28cと第2の内部電極30の非容量形成領域38bとが、さらに第1の内部電極20の非容量形成領域28dと第2の内部電極30の非容量形成領域38aとが、それぞれコンデンサ素体L1の少なくとも一部である1つの誘電体層10を挟んで対向するように配置されている。
また、第1の内部電極20において、非容量形成領域28a、28b、28c、28dと引き出し電極部分24との位置は、第1の方向から見たときに、非容量形成領域28a、28b、28c、28dと引き出し電極部分24とが第2の方向で重なりを有するように設定されている。
また、第2の内部電極30において、非容量形成領域38a、38b、38c、38dと引き出し電極部分34との位置は、第1の方向から見たときに、非容量形成領域38a、38b、38c、38dと引き出し電極部分34とが第3の方向で重なりを有するように設定されている。
第2実施形態の変形例に係る積層コンデンサでも、第1の端子電極1付近での電歪効果による機械的歪みを抑制することも可能となる。さらに、第2の端子電極2付近での電歪効果による機械的歪みを抑制することも可能である。
また、第2実施形態の変形例に係る積層コンデンサでは、第1及び第2の内部電極20、30が、第1の内部電極20の非容量形成領域28a、28b、28c、28dと第2の内部電極30の非容量形成領域38d、38c、38b、38aとが、誘電体層10を挟んで対向するように配置されている。そのため静電容量の低減を効率良く抑制すると共に、第1及び第2の内部電極20、30と誘電体層10との層間の密着性を良好にすることが可能となる。
特に、第1及び第2の側面L1c、L1dの対向方向における第1の内部電極20の非容量形成領域28a、28b、28c、28d間の容量形成領域26は、第2の内部電極30の容量形成領域36と誘電体層10を介して対向している。さらに、第1及び第2の側面L1c、L1dの対向方向における第2の内部電極30の非容量形成領域38a、38b、38c、38d間の容量形成領域36は、第1の内部電極20の容量形成領域26と誘電体層10を介して対向している。そのため、第2実施形態の変形例に係る積層コンデンサでは、静電容量の低減をより一層効率良く抑制することが可能である。
また、第2実施形態の変形例に係る積層コンデンサでは、電歪効果によって歪んだコンデンサ素体L1に第1又は第2の端子電極1、2が引っ張られたとしても、当該第1又は第2の端子電極1、2によって実装する基板等に影響を与える面積を小さくすることができる。
また、第2実施形態に係る積層コンデンサでは、第1の端子電極1の第2の方向における長さ、及び第2の端子電極2の第3の方向における長さを小さくすることが可能となる。
(第3実施形態)
図7〜図10に基づいて、第3実施形態に係る積層コンデンサC2の構成について説明する。図7は、本実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。図8は、本実施形態に係る積層コンデンサに含まれる素体の分解斜視図である。図9は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。図10は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を説明するための図である。なお、図9及び図10において、断面のハッチングは省略している。
積層コンデンサC2は、図7に示すように、直方体状をしたコンデンサ素体L2と、コンデンサ素体L2の外表面に配置された第1の端子電極1A、1B、1C、1D及び第2の端子電極2A、2B。2C、2Dとを備える。コンデンサ素体L2は、相対向する長方形状の第1の主面L2a及び第2の主面L2bと、相対する第1の側面(第1の面)L2c及び第2の側面L2dと、相対向する第3の側面L2e及び第4の側面L2fとを含んでいる。第1及び第2の側面L2c、L2dは、第1及び第2の主面L2a、L2b間を連結するように第1及び第2の主面L2a、L2bの長辺方向に伸びている。第3及び第4の側面L2e、L2fは、第1及び第2の主面L2a、L2b間を連結するように第1及び第2の主面L2a、L2bの短辺方向に伸びている。
コンデンサ素体L2の第1の側面L2cには、第1の端子電極1A〜1Dが配置されている。第1の端子電極1A〜1Dは、第1の側面L2c上において、第3の側面L2e側からこの順で配置されている。第1の端子電極1Aは第1の側面L2cの第3の側面L2e側の端部に、第1の端子電極1Dは第1の側面L2cの第4の側面L2f側の端部に、それぞれ配置されている。
コンデンサ素体L2の第2の側面L2dには、第2の端子電極2A〜2Dが配置されている。第2の端子電極2A〜2Dは、第2の側面L2d上において、第3の側面L2e側からこの順で配置されている。第2の端子電極2Aは第2の側面L2dの第3の側面L2e側の端部に、第2の端子電極2Dは第2の側面L2dの第4の側面L2f側の端部に、それぞれ配置されている。
第1及び第2の端子電極1A〜1D、2A〜2Dは、例えば、導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストをコンデンサ素体L2の対応する外表面の付与し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた電極の上にめっき層が形成されることもある。
コンデンサ素体L2は、図8に示されるように、複数(本実施形態では5層)の誘電体層10と、複数(本実施形態では2層)の第1の内部電極40と、複数(本実施形態では2層)の第2の内部電極50とを有している。したがって、コンデンサ素体L2は、誘電特性を有する。
第1の内部電極40と第2の内部電極50とは、コンデンサ素体L2の一部である一つの誘電体層10を挟んで対向するように配置されている。第1の端子電極1A〜1Dが配置された第1の側面L2c、及び第2の端子電極2A〜2Dが配置された第2の側面L2dは、第1の内部電極40と第2の内部電極50とが対向する方向、すなわち第1の方向に平行である。
第1の内部電極40は、主電極部分42と、引き出し電極部分44a、44b、44c、44dとを含んでいる。主電極部分42は、容量形成領域46a、46b、46cと非容量形成領域48a、48bとを含む。第1の内部電極40は、導電性ペーストの焼結体から構成される。
容量形成領域46a〜46cは、それぞれ長方形状を呈しており、第1及び第2の主面L2a、L2bの長辺方向に沿って並んで配列されている。
非容量形成領域48aは、主電極部分42において第2の側面L2d側から第1の側面L2c側に向かって伸び、容量形成領域46aと容量形成領域46bとの間に位置するスリットとして形成されている。非容量形成領域48bは、主電極部分42において第2の側面L2d側から第1の側面L2c側に向かって伸び、容量形成領域46bと容量形成領域46cとの間に位置するスリットとして形成されている。
スリット状に形成された非容量形成領域48a、48bには導電性ペーストの焼結体は存在せず、非容量形成領域48a、48bは静電容量の形成に寄与しない。
引き出し電極部分44aは、主電極部分42の容量形成領域46aから第1の側面L2cに向けて伸びており、第1の側面L2cまで引き出されている。引き出し電極部分44aは、第1の端子電極1Aに電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分42の容量形成領域46aは、そして第1の内部電極40は、第1の端子電極1Aに電気的に接続されることとなる。
引き出し電極部分44bは、主電極部分42の容量形成領域46a、46b及び非容量形成領域48aから第1の側面L2cに向けて伸びており、第1の側面L2cまで引き出されている。引き出し電極部分44bは、第1の端子電極1Bに電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分42の容量形成領域46a、46bは、そして第1の内部電極40は、第1の端子電極1Bに電気的に接続されることとなる。
引き出し電極部分44cは、主電極部分42の容量形成領域46b、46c及び非容量形成領域48bから第1の側面L2cに向けて伸びており、第1の側面L2cまで引き出されている。引き出し電極部分44cは、第1の端子電極1Cに電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分42の容量形成領域46b、46cは、そして第1の内部電極40は、第1の端子電極1Cに電気的に接続されることとなる。
引き出し電極部分44dは、主電極部分42の容量形成領域46dから第1の側面L2cに向けて伸びており、第1の側面L2cまで引き出されている。引き出し電極部分44dは、第1の端子電極1Dに電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分42の容量形成領域46dは、そして第1の内部電極40は、第1の端子電極1Dに電気的に接続されることとなる。
引き出し電極部分44aは、主電極部分42の容量形成領域46aと接している。引き出し電極部分44bは、主電極部分42の容量形成領域46a、46b及び非容量形成領域48aのすべてと接している。引き出し電極部分44cは、主電極部分42の容量形成領域46b、46c及び非容量形成領域48bのすべてと接している。引き出し電極部分44dは、主電極部分42の容量形成領域46cと接している。
非容量形成領域48aは、主電極部分42の容量形成領域46a、46bと引き出し電極部分44bとの境界部に接するように配置されている。非容量形成領域48bは、主電極部分42の容量形成領域46b、46cと引き出し電極部分44cとの境界部に接するように配置されている。
第2の内部電極50は、主電極部分52と、引き出し電極部分54a、54b、54c、54dとを含んでいる。主電極部分52は、容量形成領域56a、56b、56cと非容量形成領域58a、58bとを含む。第2の内部電極50は、導電性ペーストの焼結体から構成される。
容量形成領域56a〜56cは、それぞれ長方形状を呈しており、第1及び第2の主面L2a、L2bの長辺方向に沿って並んで配列されている。
非容量形成領域58aは、主電極部分52において第2の側面L2d側から第2の側面L2d側に向かって伸び、容量形成領域56aと容量形成領域56bとの間に位置するスリットとして形成されている。非容量形成領域58bは、主電極部分52において第2の側面L2d側から第2の側面L2d側に向かって伸び、容量形成領域56bと容量形成領域56cとの間に位置するスリットとして形成されている。
スリット状に形成された非容量形成領域58a、58bには導電性ペーストの焼結体は存在せず、非容量形成領域58a、58bは静電容量の形成に寄与しない。
引き出し電極部分54aは、主電極部分52の容量形成領域56aから第2の側面L2dに向けて伸びており、第2の側面L2dまで引き出されている。引き出し電極部分54aは、第2の端子電極2Aに電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分52の容量形成領域56aは、そして第2の内部電極50は、第2の端子電極2Aに電気的に接続されることとなる。
引き出し電極部分54bは、主電極部分52の容量形成領域56a、56b及び非容量形成領域58aから第2の側面L2dに向けて伸びており、第2の側面L2dまで引き出されている。引き出し電極部分54bは、第2の端子電極2Bに電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分52の容量形成領域56a、56bは、そして第2の内部電極50は、第2の端子電極2Bに電気的に接続されることとなる。
引き出し電極部分54cは、主電極部分52の容量形成領域56b、56c及び非容量形成領域58bから第2の側面L2dに向けて伸びており、第2の側面L2dまで引き出されている。引き出し電極部分54cは、第2の端子電極2Cに電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分52の容量形成領域56b、56cは、そして第2の内部電極50は、第2の端子電極2Cに電気的に接続されることとなる。
引き出し電極部分54dは、主電極部分52の容量形成領域56dから第2の側面L2dに向けて伸びており、第2の側面L2dまで引き出されている。引き出し電極部分54dは、第2の端子電極2Dに電気的且つ物理的に接続されている。これにより、主電極部分52の容量形成領域56dは、そして第2の内部電極50は、第2の端子電極2Dに電気的に接続されることとなる。
引き出し電極部分54aは、主電極部分52の容量形成領域56aと接している。引き出し電極部分54bは、主電極部分52の容量形成領域56a、56b及び非容量形成領域58aのすべてと接している。引き出し電極部分54cは、主電極部分52の容量形成領域56b、56c及び非容量形成領域58bのすべてと接している。引き出し電極部分54dは、主電極部分52の容量形成領域56cと接している。
非容量形成領域58aは、主電極部分52の容量形成領域56a、56bと引き出し電極部分54bとの境界部に接するように配置されている。非容量形成領域58bは、主電極部分52の容量形成領域56b、56cと引き出し電極部分54cとの境界部に接するように配置されている。
第1及び第2の内部電極40、50は、第1の内部電極40の容量形成領域46aと第2の内部電極50の容量形成領域56aとが、さらに第1の内部電極40の容量形成領域46bと第2の内部電極50の容量形成領域56bとが、さらに第1の内部電極40の容量形成領域46cと第2の内部電極50の容量形成領域56cとが、何れも、コンデンサ素体L2の少なくとも一部である1つの誘電体層10を挟んで対向するように配置されている。したがって、第1の内部電極40の容量形成領域46a〜46cと第2の内部電極50の容量形成領域56a〜56cとは協働して静電容量を形成する。
さらに、第1及び第2の内部電極40、50は、第1の内部電極40の非容量形成領域48aと第2の内部電極50の非容量形成領域58aとが、さらに第1の内部電極40の非容量形成領域48bと第2の内部電極50の非容量形成領域58bとが、それぞれコンデンサ素体L2の少なくとも一部である1つの誘電体層10を挟んで対向するように配置されている。
ここで、第1の側面L2cに平行で且つ第1の方向に直交する方向を第2の方向とする。図9では、第2の方向をx方向として表す。図9は、図7の積層コンデンサのIX−IX矢印断面を模式的に表す図であり、第1の内部電極40の上面と誘電体層10とが積層されている箇所で切断した図である。
図9に示すように、第2の方向における第1の端子電極1A、1B、1C、1Dそれぞれの長さd11A、d11B、d11C、d11Dは、第2の方向における第1の側面L2cの長さd12に比して小さく設定されている。すなわち、d11X(11X=11A、11B、11C、11D)<d12が成立する。さらに、図9に示すように、第2の方向における第1の内部電極40の引き出し電極部分44a、44b、44c、44dそれぞれの長さd13A、d13B、d13C、d13Dは、第2の方向における第1の内部電極40の主電極部分42の長さd14に比して小さく設定されている。すなわち、d13X(13X=13A、13B、13C、13D)<d14が成立する。
また、第1の内部電極40において、非容量形成領域48aと引き出し電極部分44bとの位置は、第1の方向から見たときに、すなわち図9の断面図において、非容量形成領域48aと引き出し電極部分44bとが第2の方向(x方向)で重なりを有するように設定されている。さらに、第1の内部電極40において、非容量形成領域48bと引き出し電極部分44cとの位置は、第1の方向から見たときに、非容量形成領域48bと引き出し電極部分44cとが第2の方向(x方向)で重なりを有するように設定されている
第2の側面L2dに平行で且つ第1の方向に直交する方向を第3の方向とする。図10では、第3の方向をy方向として表す。図10は、図7の積層コンデンサのX−X矢印断面図であり、第1の内部電極40の上面と誘電体層10とが積層されている箇所で切断した図である。
図10に示すように、第3の方向における第2の端子電極2A、2B、2C、2Dそれぞれの長さd21A、d21B、d21C、d21Dは、第3の方向における第2の側面L2dの長さd22に比して小さく設定されている。すなわち、d21X(21X=21A、21B、21C、21D)<d22が成立する。さらに、図10に示すように、第3の方向における第2の内部電極50の引き出し電極部分54a、54b、54c、54dそれぞれの長さd23A、d23B、d23C、d23Dは、第3の方向における第2の内部電極50の主電極部分52の長さd24に比して小さく設定されている。すなわち、d23X(23X=23A、23B、23C、23D)<d24が成立する。
また、第2の内部電極50において、非容量形成領域58aと引き出し電極部分54bとの位置は、第1の方向から見たときに、すなわち図10の断面図において、非容量形成領域58aと引き出し電極部分54bとが第3の方向(y方向)で重なりを有するように設定されている。さらに、第2の内部電極50において、非容量形成領域58bと引き出し電極部分54cとの位置は、第1の方向から見たときに、非容量形成領域58aと引き出し電極部分54bとが第3の方向(y方向)で重なりを有するように設定されている。
積層コンデンサC2では、第1の内部電極40の主電極部分42が非容量形成領域48a、48bを含む。したがって、端子電極1A〜1D、2A〜2Dを基板のランド電極等に接続して積層コンデンサC2に電圧をかけ、第1及び第2の内部電極40、50間に電圧を加える場合であっても、主電極部分42にスリット状に形成された非容量形成領域48a、48bに加わる電圧は抑制される。その上、この非容量形成領域48a、48bは、第1の方向から見たときに、引き出し電極部分44b、44cと第2の方向(図9のx方向)でそれぞれ重なりを有するような位置に配置されている。以上より、引き出し電極部分44a〜44d(特に引き出し電極44b、44c)に影響するコンデンサ素体L2の電歪の効果は非容量形成領域48a、48bの分だけ小さくなる。その結果、コンデンサ素体L2の電歪効果によって第1の端子電極1A〜1Dが受ける影響が低減され、積層コンデンサC2では第1の端子電極付近での電歪効果による機械的歪みを抑制することが可能となる。
さらに、積層コンデンサC2では、第2の内部電極50の主電極部分52も非容量形成領域58a、58bを含み、この非容量形成領域58a、58bは、第1の方向から見たときに、引き出し電極部分54b、54cと第3の方向(図10のy方向)でそれぞれ重なりを有するような位置に配置されている。そのため、コンデンサ素体L2の電歪効果によって第2の端子電極2A〜2Dが受ける影響も低減され、積層コンデンサC2では第2の端子電極付近での電歪効果による機械的歪みを抑制することも可能となる。
したがって、積層コンデンサC2を基板等に実装し、電圧を加えた場合であっても、基板等において発生する音鳴りは抑制される。
非容量形成領域が引き出し電極部分に近いほど、コンデンサ素体の電歪効果によって端子電極が受ける影響は低減される。これに対し、積層コンデンサC2では、第1の内部電極40において、主電極部分42と引き出し電極部分44a〜44dとが接しており、非容量形成領域48aは主電極部分42と引き出し電極部分44bとの境界部に、非容量形成領域48bは主電極部分42と引き出し電極部分44cとの境界部に、それぞれ接するように配置されている。そのため、積層コンデンサC2では第1の端子電極付近での電歪効果による機械的歪みをより一層抑制することが可能となる。
さらに、積層コンデンサC2では、第2の内部電極50においても、主電極部分52と引き出し電極部分54a〜54dとが接しており、非容量形成領域58aは主電極部分52と引き出し電極部分54bとの境界部に、非容量形成領域58bは主電極部分52と引き出し電極部分54cとの境界部に、それぞれ接するように配置されている。そのため、積層コンデンサC2では第2の端子電極付近での電歪効果による機械的歪みをも、より一層抑制することが可能である。
また、積層コンデンサC2では、第1及び第2の内部電極40、50が、第1の内部電極40の非容量形成領域48aと第2の内部電極50の非容量形成領域58aとが、さらに第1の内部電極40の非容量形成領域48bと第2の内部電極50の非容量形成領域58bとが、それぞれ誘電体層10を挟んで対向するように配置されている。したがって、積層コンデンサC2では、静電容量の低減を効率良く抑制することができると共に、第1及び第2の内部電極40、50と誘電体層10との間の密着性を良好にすることが可能となる。
また、積層コンデンサC2では、コンデンサ素体L2の層間の密着性が良好であるため、コンデンサ素体L2全体の機械的歪みが抑制されるとともに、第1及び第2の端子電極1A〜1D、2A〜2D付近での機械的歪みをより一層抑制することが可能となる。
また、積層コンデンサC2では、第2の方向において、第1の端子電極1A〜1Dの長さd11A〜d11Dが第1の側面L2cの長さd12に比して小さく設定されている。このため、電歪効果によって歪んだコンデンサ素体L2に第1の端子電極1A〜1Dが引っ張られたとしても、積層コンデンサC2を実装する基板等に影響を与える面積を小さくすることができる。
また、積層コンデンサC2では、第2の方向において、第1の端子電極1A〜1Dに接続する引き出し電極部分44a〜44dの長さd13A〜d13Dが主電極部分42の長さd14に比して小さく設定されている。これにより、第1の端子電極1A〜1Dの第2の方向における長さd11A〜d11Dを小さくすることが可能となる。
さらに、積層コンデンサC2では、第3の方向において、第2の端子電極2A〜2Dの長さd21A〜d21Dが第2の側面L2dの長さd22に比して小さく設定されている。このため、電歪効果によって歪んだコンデンサ素体L2に第2の端子電極2A〜2Dが引っ張られたとしても、積層コンデンサC2を実装する基板等に影響を与える面積を小さくすることができる。
また、積層コンデンサC2では、第3の方向において、第2の端子電極2A〜2Dに接続する引き出し電極部分54a〜54dの長さd23A〜d23Dが主電極部分52の長さd24に比して小さく設定されている。これにより、第2の端子電極2A〜2Dの第3の方向における長さd21を小さくすることが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、誘電体層10及び各内部電極20、40、30、50の積層数、並びに端子電極1、1A〜1D、2、2A〜2Dの数は、上記実施形態及び変形例での数に限られない。
各内部電極20、40、30、50の容量形成領域26、26a、26b、46a〜46c、36,36a、36c、56a〜56c及び非容量形成領域28、28a〜28d、48a、48b、38、38a〜38d、58a、58bの形状は、上記実施形態及び変形例での形状に限られない。各内部電極20、40、30、50の主電極部分22、42、32、52に含まれる容量形成領域26、26a、26b、46a〜46c、36,36a、36c、56a〜56c及び非容量形成領域28、28a〜28d、48a、48b、38、38a〜38d、58a、58bの数は、上記実施形態及び変形例での数に限られない。
また、各内部電極20、40、30、50の非容量形成領域28、28a〜28d、48a、48b、38、38a〜38d、58a、58bは、主電極部分22、42、32、52と引き出し電極部分24、34、44a〜44d、54a〜54dとの境界部に接していなくてもよい。また、第1の内部電極20、40の非容量形成領域28、28a〜28d、48a、48bと、第2の内部電極の非容量形成領域38、38a〜38d、58a、58bとが、第1の方向で対向していなくてもよい。
また、第1及び第2の内部電極20、40、30、50の双方が非容量形成領域を含まず、片方(第1の内部電極)だけが含んでいてもよい。
また、第2及び第3の実施形態に係る積層コンデンサにおいて、複数の第1及び第2の内部電極20、40、30、50のうち第1の方向の第2の主面L1b、L2b側で最も外側に配置された内部電極30、50と該内部電極30、50に対向するコンデンサ素体L1、L2の第2の主面L1b、L2bとの間隔に対する、第1の方向における各第1の端子電極1、1A〜1Dの長さの比が、0.4より大きく且つ8.0より小さくてもよい。また、第2及び第3の実施形態に係る積層コンデンサにおいて、複数の第1及び第2の内部電極20、40、30、50のうち第1の方向の第1の主面L1a、L2a側で最も外側に配置された内部電極20、40と該内部電極20、40に対向するコンデンサ素体L1、L2の第1の主面L1a、L2aとの間隔に対する、第1の方向における各第1の端子電極1、1A〜1Dの長さの比が、0.4より大きく且つ8.0より小さくてもよい。
また、第2及び第3の実施形態に係る積層コンデンサにおいて、複数の第1及び第2の内部電極20、40、30、50のうち第1の方向の第2の主面L1b、L2b側で最も外側に配置された内部電極30、50と該内部電極30、50に対向するコンデンサ素体L1、L2の第2の主面L1b、L2bとの間隔に対する、第2の方向における各第2の端子電極2、2A〜2Dの長さの比が、0.4より大きく且つ8.0より小さくてもよい。また、第2及び第3の実施形態に係る積層コンデンサにおいて、複数の第1及び第2の内部電極20、40、30、50のうち第1の方向の第1の主面L1a、L2a側で最も外側に配置された内部電極20、40と該内部電極20、40に対向するコンデンサ素体L1、L2の第1の主面L1a、L2aとの間隔に対する、第2の方向における各第2の端子電極2、2A〜2Dの長さの比が、0.4より大きく且つ8.0より小さくてもよい。
これらの場合、コンデンサ素体L1、L2の電歪効果による機械的歪みが第1又は第2の端子電極1、1A〜1D、2、2A〜2Dを介して実装基板等に伝搬することを好適に抑制することが可能となる。
C1、C2…積層コンデンサ、L1、L2…コンデンサ素体、1、1A〜1D…第1の端子電極、2、2A〜2D…第2の端子電極、11…第1の外層部、12…第2の外層部、20、40…第1の内部電極、22、42…主電極部分、24、44a〜44d…引き出し電極部分、26、26a、26b、46a〜46c…容量形成領域、28、28a〜28d、48a、48b…非容量形成領域、30、50…第2の内部電極、32、52…主電極部分、34、54a〜54d…引き出し電極部分、36、36a、36b、56a〜56c…容量形成領域、38、38a〜38d、58a、58b…非容量形成領域。