JP4656054B2 - 橋梁用鋼材 - Google Patents
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Description
Fe3++e−→Fe2+ (Fe3+の還元反応)
そして、この反応以外にも、次のカソード反応も併発する。
2H2O+O2+2e−→4OH−、
2H++2e−→H2
一方、上記のFe3+の還元反応に対して、次のアノード反応が起こる。
アノード反応:Fe→Fe2++2e− (Feの溶解反応)
2Fe3++Fe→3Fe2+ ・・・・・・(1)式
上記(1)式の反応により生成したFe2+は、空気酸化によってFe3+に酸化され、生成したFe3+は再び酸化剤として作用し、腐食を加速する。この際、Fe2+の空気酸化の反応速度は低pH環境では一般に遅いが、濃厚塩化物溶液中では加速され、Fe3+が生成され易くなる。このようなサイクリックな反応のため、飛来塩分量が非常に多い環境では、Fe3+が常に供給され続け、鋼の腐食が加速され、耐食性が著しく劣化することになることが判明した。
(1) 質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:2.5%以下、Mn:0.5%を超え2.5%以下、P:0.03%未満、S:0.005%以下、Cu:0.05%未満、Ni:0.05%未満、Cr:0.01〜0.21%、Al:0.003〜0.1%、N:0.001〜0.1%およびSn:0.03〜0.50%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、Cu/Sn比が1以下である組成を有することを特徴とする橋梁用鋼材。
(2) さらに、質量%で、Ti:0.3%以下およびNb:0.1%以下よりなる群から選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする、上記(1)の橋梁用鋼材。
(3) さらに、質量%で、Mo:1.0%以下、W:1.0%以下およびV:1.0%以下よりなる群から選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)または(2)の橋梁用鋼材。
(4) さらに、質量%で、Ca:0.1%以下およびMg:0.1%以下よりなる群から選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかの橋梁用鋼材。
(5) さらに、質量%で、REMを0.02%以下含有することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかの橋梁用鋼材。
(6) 表面が防食皮膜により被覆されていることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかの橋梁用鋼材。
(7) 上記(1)〜(6)のいずれかの鋼材からなる橋梁。
Cは、鋼の強度を確保するために必要な合金元素であるが、多量に含有させると鋼材の溶接性が劣化する。したがって、C含有量は0.15%を上限とする。また、0.001%未満になると所定の強度が確保できないので、下限は0.001%とする。望ましい範囲は、0.005%〜0.15%である。
Siは、製鋼時の脱酸に必要な合金元素である。同じく脱酸剤としての働きをするAlを含有する場合には、特に添加をしなくてもよいが、Al含有量が0.005%未満の場合には、0.4%以上含有させるのが望ましい。一方、Siを2.5%を超えて含有させると、鋼の靱性が損なわれる。したがって、Siの含有量は2.5%以下とする。また、Siには耐候性を向上させる効果もある。この効果を得たい場合には、0.1%以上添加するのが好ましい。
Mnは、低コストで鋼の強度を高める作用効果を有する元素であり、鋼中のSの含有量が低い場合には、一般に高飛来塩分環境における耐候性を向上させる作用を有する。しかしながら、鋼中のSと結合してMnSを形成し、このMnSが腐食の起点となり、耐食性、ひいては耐候性を劣化させる。また、機構は不明であるが、Niと共存する場合にはMnの含有量が2.5%を超えると耐候性が劣化する。したがって、Mnの含有量は2.5%以下とする。望ましくは1.5%以下とする。なお、構造用鋼としての強度を維持するためには、Mnを0.5%を超えて含有させる必要がある。
Pは、不純物として含有されるが、濃厚塩化物環境での過度のPの含有は耐候性を劣化させるため、できるだけ少なくする必要がある。したがって、その含有量は0.03%未満とする。
Sは、不純物として含有されるが、Mnと結合すると非金属介在物のMnSを形成して腐食の起点となり易く、耐候性を劣化させる。したがって、Sの含有はできるだけ少なくする必要があるので、その上限は0.005%とする。
Cuは、一般的に耐候性を向上させる基本元素とされ、全ての海浜耐候性鋼や耐食鋼に添加されているが、高飛来塩分下の比較的ドライな環境においては、むしろ耐食性を低下させる。したがって、Cuの含有はできるだけ少なくする必要があり、不純物として含有されるとしても、Cu含有量は0.05%未満とする必要がある。
Niは、一般的に飛来塩分量の多い環境下での海浜耐候性を著しく向上させる元素として従来から鋼中に添加され、Ni系耐候性鋼として開発・実用化されてきている。しかし、理由は定かではないが、Snと複合添加した場合には、耐食性の改善効果がないばかりか、Snによる耐候性改善効果を低下させるという悪影響が現れる。したがって、Niの含有はできるだけ少なくする必要があり、不純物として含有されるとしても、Ni含有量は0.05%未満とする必要がある。
Crは、飛来塩分量がそれほど多くない環境では保護性さびの形成による耐食性の向上が期待できるが、飛来塩分量が多い環境において鋼のアノード溶解反応を促進し耐候性を劣化させる。
Alは、0.003%以上含有させると耐候性が向上するが、含有量が0.1%を超えると鋼が脆化し易くなる。したがって、Alの含有量の上限は0.1%とする。
Nは、アンモニアとなって溶解し、飛来塩分量の多い環境におけるFe3+の加水分解によるpH低下を抑制することで、塩分環境における耐候性を向上させる効果を有する。この効果はNを0.001%以上含有させることにより得られ、0.1%を超えると飽和する。したがって、Nの含有量は0.001〜0.1%とする。含有量の望ましい範囲は0.002〜0.08%である。
Snは、Sn2+となって溶解し、酸性塩化物溶液中でのインヒビター作用により腐食を抑制する作用を有する。また、Fe3+を速やかに還元させ、酸化剤としてのFe3+濃度を低減する作用を有することにより、Fe3+の腐食促進作用を抑制するので、高飛来塩分環境における耐候性を向上させる。
本願発明のようにSnを含有する鋼の場合には、Cuの含有による耐食性の低下が著しい。また、鋼材を製造する際、Cuの含有による圧延割れの原因ともなる。このため、Cu/Sn比、すなわち、Si含有量に対するCu含有量の比を1以下とする必要がある。
Tiは、TiCを形成してCを固定することによって、クロム炭化物の形成を抑制して耐候性を向上させる。また、TiSの形成によりSを固定することによって、腐食の起点となるMnSの形成を抑える。
Nbには、Tiと同様、NbCを形成することによって、クロム炭化物の形成を抑制して耐候性を向上させる効果がある。
Moは、溶解して酸素酸イオンMoO4 2−の形でさびに吸着し、さび層中の塩化物イオンの透過を抑制し、耐食性を向上させる効果がある。
Wは、Moと同様、溶解して酸素酸イオンMoO4 2−の形でさびに吸着し、さび層中の塩化物イオンの透過を抑制し、耐食性を向上させる効果がある。
Vは、MoやWと同様、溶解して酸素酸イオンMoO4 2−の形でさびに吸着し、さび層中の塩化物イオンの透過を抑制し、耐食性を向上させる効果がある。
Caは、鋼中に酸化物の形で存在し、腐食反応部における界面のpHの低下を抑制して、腐食の促進を抑える効果がある。
Mgは、Caと同様、腐食反応部における界面のpHの低下を抑制し、耐食性を向上させる効果がある。
REMは、鋼の溶接性を向上させる目的で含有させることができる。
湿潤:50℃、100%RH、6時間、
塩分付着:0.5質量%NaCl、0.1質量%CaCl2、0.075質量%NaHCO3水溶液浸漬、0.25時間、
乾燥:60℃、50%RH、
17.75時間を1サイクル(合計24時間)とした。
Claims (7)
- 質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:2.5%以下、Mn:0.5%を超え2.5%以下、P:0.03%未満、S:0.005%以下、Cu:0.05%未満、Ni:0.05%未満、Cr:0.01〜0.21%、Al:0.003〜0.1%、N:0.001〜0.1%およびSn:0.03〜0.50%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、Cu/Sn比が1以下である組成を有することを特徴とする橋梁用鋼材。
- さらに、質量%で、Ti:0.3%以下およびNb:0.1%以下よりなる群から選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする、請求項1に記載の橋梁用鋼材。
- さらに、質量%で、Mo:1.0%以下、W:1.0%以下およびV:1.0%以下よりなる群から選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の橋梁用鋼材。
- さらに、質量%で、Ca:0.1%以下およびMg:0.1%以下よりなる群から選ばれた1種または2種を含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の橋梁用鋼材。
- さらに、質量%で、REMを0.02%以下含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の橋梁用鋼材。
- 表面が防食皮膜により被覆されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれかに記載の橋梁用鋼材。
- 請求項1から6までのいずれかに記載の鋼材からなる橋梁。
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