JP5644522B2 - 海洋構造物用厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
Fe3++e−→Fe2+ (Fe3+の還元反応)
2H2O+O2+2e−→4OH−、
2H++2e−→H2
アノード反応:Fe→Fe2++2e− (Feの溶解反応)
2Fe3++Fe→3Fe2+・・・・・・(1)式
厚鋼板を構成する化学組成に関して、その含有量と作用効果を説明する。なお、含有量に関する「%」は「質量%」を意味する。
Cは、強度上昇に寄与する元素であり、強度を確保するためには、0.02%以上含有させる必要がある。また、Nb、Ti等の炭窒化物を利用するために、そして、適度な硬質第二相を生成させるために、Cの含有量を0.02%以上とする必要がある。Cの含有量は、好ましくは0.04%以上である。
Siは、Alとともに脱酸に有効な元素である。Siの含有量が0.03%未満となると、脱酸時にAlの損失が大きくなるので、Siの含有量を0.03%以上とする。また、Siは強度上昇への寄与が大きいので、Siの含有量を0.03%以上とする。Siの含有量は、好ましくは0.05%以上であり、より好ましくは0.07%以上である。
Mnは、鋼の強度および靱性を確保するために必要な元素であり、このような効果を確保するためには0.5%以上含有させる必要がある。また、Mnは、Siとは逆にオーステナイトフォーマーと呼ばれる元素のひとつであり、Mnの含有量が0.5%を下回ると、Siを多量に添加した場合と同様、鋼のオーステナイト温度領域が高温側に移行し、本発明のような組織を熱間圧延で製造するための未再結晶オーステナイト域での圧延を充分に実施することが難しくなる。よって、その下限を0.5%とする。Mnの含有量は、好ましくは0.8%以上であり、より好ましくは1.0%以上である。
Alは脱酸に有効な元素であり、0.002%以上の含有量が必要である。0.002%未満の添加量の場合には脱酸不十分のために、凝固時にピンホール等の内部欠陥が発生しやすくなる。よって、Alの含有量を0.002%以上とする。Alの含有量は、好ましくは0.005%以上である。
Nは、TiN等の窒化物を生成するために必要である。TiN等の窒化物の生成によりHAZでのオーステナイト粒の粗大化を抑制して靭性の低下を防止する効果がある。更に、本発明鋼の場合には、Nb−Ti複合炭窒化物の低温加熱中の微細分散析出を通して加熱オーステナイトの成長を抑制するためにも有効である。これらの析出物の効果を有効利用するためには、Nの含有量を0.001%以上とする必要がある。Nの含有量は、好ましくは0.002%以上であり、より好ましくは0.0025%以上である。
Nbは、次に述べる三つの理由から、本発明において必要不可欠な元素である。第一の理由として、Nb−Ti複合炭窒化物を有効に微細分散析出させて低温加熱中のオーステナイト粒成長を抑制し、微細で均一なオーステナイト組織の加熱スラブを準備するために必要である。第二の理由として、Nbは熱間圧延において未再結晶オーステナイト領域を拡大する代表的なマイクロアロイ元素であり、本発明における未再結晶オーステナイト領域での熱間圧延を充分に活用するために必要である。第三の理由として、Nbは硬化第二相を生成させることができる元素であり、オーステナイト中に固溶したNbはオーステナイトからフェライトに変態する温度を極度に低下させる効果があることから、Nbが存在するとフェライト以外の第二相が低温変態生成物となりやすく、極厚の鋼板に対しても強度を確保することができるために必要となる。これらのNbの効果を活用するために、Nbの含有量を0.003%以上とする必要がある。Nbの含有量は、好ましくは0.005%以上であり、より好ましくは0.010%以上である。
TiもNbと同様に、本発明において必要な元素である。Tiは、TiNとして析出してHAZのオーステナイト粒の粗大化防止に有効な元素であるだけでなく、上述した通り、Nb−Ti複合炭窒化物の低温加熱中の微細分散析出を通して加熱オーステナイトの成長を抑制するためにも有効である。TiおよびNbが共に添加された場合には、析出する炭窒化物はすべてNb−Ti複合炭窒化物となる。NbとTiの両元素が添加された場合には、両元素がともにCとNを取り込んで析出しようとするため、その析出物自体も均一で微細なものとなり、低温加熱時のオーステナイト粒成長抑制に対して非常に有効に働くこととなる。また、この複合炭窒化物はNb単体添加のときにできるNb炭窒化物よりもTiを含んでいる分、高温で安定であり、製品となった場合にも溶接時のHAZのオーステナイト粒成長抑制効果が大きく、溶接入熱が小さければHAZ靭性をより高位に安定化する傾向がある。さらに、Ti単体添加に比べても、炭窒化物が微細化する分、溶接入熱が小さい場合は、TiNのみを活用した場合に比べてHAZ靭性が高くなる場合が多い。このような効果をNbとの複合作用として得るために、Tiの含有量を0.003%以上とする必要がある。Tiの含有量は、好ましくは0.007%以上であり、より好ましくは0.010%以上である。
Snは、Sn2+となって溶解し、酸性塩化物溶液中でのインヒビター作用により腐食を抑制する作用を有する。また、Fe3+を速やかに還元させ、酸化剤としてのFe3+濃度を低減する作用を有することにより、Fe3+の腐食促進作用を抑制するので、高飛来塩分環境における耐候性を向上させる。また、Snには鋼のアノード溶解反応を抑制し耐食性を向上させる作用がある。これらの作用は、Snを0.03%以上含有させることにより得られ、0.50%を超えると飽和する。したがって、Snの含有量は0.03〜0.50%とする。なお、好ましいSnの含有量の好ましい下限は0.05%であり、好ましい上限は0.30%である。
Niは、必要に応じて含有させることができる。Niを含有させれば、溶接性およびHAZ靱性に悪影響を及ぼすこともなく、母材の強度および靱性を向上させることができる。特に、鋼板の板厚が厚い場合あるいは鋼板に対する要求強度が高い場合には、Niを含有させることによって、Cの含有量を高めることなく、鋼板の強度を高めることができる。また、Niを含有させると、母材靭性を高める効果が大きいので、より低温での高い靭性が要求される鋼板に対しては、積極的に含有させるのが好ましい。
Crは、必要に応じて含有させることができる。Crを含有させれば、固溶強化を通して強度を高めることができるだけでなく、耐炭酸ガス腐食性および焼入性を高めることができる。
Mo、必要に応じて含有させることができる。Moを含有させれば、母材の強度と靱性を向上させる効果がある。
Vは、必要に応じて含有させることができる。Vを含有させれば、母材の強度を向上させる効果がある。
Cuは、必要に応じて含有させることができる。Cuを含有させれば、母材の靭性および溶接性をあまり損ねることなく、強度を高めることができる。特に、鋼板の板厚が厚い場合あるいは鋼板に対する要求強度が高い場合には、Cuを含有させることによって、Cの含有量を高めることなく、鋼板の強度を高めることができる。また、Cuを含有させることによって、圧延冷却後のCu析出処理による強化作用、つまり析出強化を活用することにより、低C材でもより高い強度を実現でき、溶接性に加えて低温靱性および破壊靱性の両者の向上を期待できる。
本発明に係る厚鋼板のミクロ組織は、未再結晶オーステナイトから変態したフェライトと硬質第二相からなり、フェライト粒径が2〜15μmでありかつ硬質第二層のアスペクト比が10未満であることを特徴とするものである。以下に、このようなミクロ組織を発現するための条件とそのメカニズムを説明する。
(ただし、今回の推定では、P=0.01%と仮定した)
Ar3=910-310C-80Mn-20Cu-15Cr-55Ni-80Mo+0.35*(板厚(mm)-8)
ここで、式中の元素記号は、各供試鋼中の元素の含有量(質量%)を表す。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.02〜0.1%,Si:0.03〜0.5%,Mn:0.5〜2.0%、Al:0.002〜0.08%,N:0.001〜0.008%,Nb:0.003〜0.05%,Ti:0.003〜0.05%,Sn:0.03〜0.50%,Cu:0.2%未満,残部がFeおよび不純物からなる厚鋼板であって、Cu/Sn比が1.0以下であり、鋼板のミクロ組織が、未再結晶オーステナイトから変態したフェライトと硬質第二相からなり、フェライト粒径が2〜15μmでありかつ硬質第二相のアスペクト比が10未満であることを特徴とする、降伏強度320MPa以上、引張強度440MPa以上、延性脆性遷移温度(vTrs)−70℃以下、板厚減少率0.25mm以下、剥離面積率30%以下の海洋構造物用厚鋼板。
- Feの一部に代えて、質量%で、Ni:3.0%以下,Cr:0.8%以下,Mo:0.8%以下,V:0.10%以下の元素のうち1種又は2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の海洋構造物用厚鋼板。
- 請求項1または2に記載の化学組成を有するスラブをAc3変態点〜1050℃未満の温度範囲に加熱し、続けて熱間圧延を未再結晶オーステナイト温度域で行い、このときの仕上圧延温度を750℃以上で行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の海洋構造物用厚鋼板の製造方法。
- さらに680℃以下で焼戻しを行うことを特徴とする、請求項3に記載の海洋構造物用厚鋼板の製造方法。
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