JP5364993B2 - 加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、電気などの産業分野で使用される加工性、特に、穴拡げ性に優れた引張強度TSが980MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する。
近年、自動車業界においては、地球環境保全にとって有効な燃費改善のための車体軽量化と衝突時の安全性向上のための車体強化をめざして、高強度鋼板や耐食性に優れた高強度亜鉛めっき鋼板の車体部品への適用が推進されている。特に、最近では、穴拡げ加工を受ける部品に対して、980MPa以上のTSを有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板のニーズが増加している。
TSが980MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板に関する技術として、例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.10〜0.20%、Si:0.30%以下、Mn:2.0〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.010%以下、Al:0.010〜0.100%、N:0.0050〜0.0150%、Mo:0.05〜0.30%、V:0.02〜0.10%、残部Feおよび付随不純物からなる組成を有するスラブを直送または再加熱後、熱間圧延を行い、酸洗、冷間圧延した後、連続式溶融亜鉛めっきラインにて、再結晶温度以上に焼鈍後、低温保持帯温度を480〜560℃の間にコントロールして溶融亜鉛めっきを行う高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提案されている。また、特許文献2には、質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.6%以下、Mn:0.6〜3.0%、P:0.1%以下、Al:0.01〜0.10%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼を、通常の方法で熱間圧延後、酸洗、冷間圧延した後、(Ac3変態点-50)℃〜900℃の温度にて少なくとも1秒以上保持することを含む再結晶焼鈍工程と、亜鉛めっきを施す工程と、これらの工程の後にAc1変態点以下250℃以上の温度にて再加熱処理を施す工程を有し、さらに、前記再結晶焼鈍工程の後でかつ前記再加熱処理工程の前に、Ms点より高い温度から次式、LnCR=-1.18Mneq+1.87、ここで、Mneq=Mn+1.52Mo+1.10Cr+1.41V+100Bで示される臨界冷却速度CR(℃/秒)以上の冷却速度にて、少なくともMs点以下まで冷却する焼戻しマルテンサイト組織を有する曲げ加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提案されている。さらに、特許文献3には、質量%で、C:0.07〜0.18%、Si:0.3%以下、Mn:1.8〜2.7%、P:0.03%以下、S:0.010%以下、Al:0.005〜0.08%、N:0.0080%以下、Mo:0.03〜0.50%、V:0.01〜0.06%、Ti:0.04%以下、N:0.0080%以下、Ca:0〜0.01%を含み、残部が実質的にFeおよび不可避不純物からなる鋼片に熱間圧延および冷間圧延を施してから合金化溶融亜鉛めっきを施すに際して、上記冷間圧延を施した鋼板を750℃〜930℃で5秒間以上加熱した後、5〜30℃/秒の冷却速度で460〜530℃まで冷却し、この460〜530℃の温度域に10〜50秒間保持してから溶融亜鉛めっきを施し、さらに480〜650℃の温度範囲で合金化処理を施す曲げ性に優れる高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提案されている。
特開平1-198459号公報 特開平6-108152号公報 特開平11-80919号公報
しかしながら、特許文献1や3に記載された高強度溶融亜鉛めっき鋼板では、MoCや、VN、VCの析出強化を利用しているため、980MPa以上のTSが得られるように高強度化を図ると穴拡げ性が劣化する。また、特許文献2に記載された高強度溶融亜鉛めっき鋼板では、焼戻しマルテンサイト組織を形成するために、複雑なプロセスが必要であるとともに、焼戻し脆化が生じて優れた穴拡げ性が得られない。
本発明は、簡便に製造可能であり、TSが980MPa以上で、穴拡げ性に優れた、すなわちTS×λ≧50000 MPa・%を満足する加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。ここで、λは、JFST 1001(鉄連規格)にある穴拡げ性の指標である穴拡げ率(%)である。
本発明者らは、TSが980MPa以上で、TS×λ≧50000 MPa・%を満足する加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板について鋭意検討を進めたところ、980MPa以上のTSを得るには、Bを添加するとともに、Mn、Cr、Moの含有量を制御してマルテンサイト相を主体としたミクロ組織とすることが、また、TS×λ≧50000 MPa・%を満足させるには、フェライト相の量と旧オーステナイトの粒径を制御することが効果的であることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.25%以下、P:0.003〜0.080%、S:0.010%以下、Al:0.010〜0.06%、N:0.007%以下、B:0.0001〜0.005%、さらにMn、Cr、Moのうちから選ばれた少なくとも1種を下記の式(1)を満足するように含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、面積率で20%以下のフェライト相と面積率で75%以上のマルテンサイト相を含み、かつ旧オーステナイトの平均粒径が3μm以上であるミクロ組織を有することを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板を提供する。
[Mn]+1.3[Cr]+2.6[Mo]≧2.0・・・(1)
ただし、[M]は元素Mの含有量(質量%)を表す。
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板には、さらに、質量%で、Ni:2.00%以下、Cu:2.00%以下が含有されることが好ましい。さらにまた、質量%で、Ca:0.001〜0.005%、REM:0.001〜0.005%のうちの少なくとも1種やTi:0.03%以下が含有されることがより好ましい。
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板では、亜鉛めっきを合金化亜鉛めっきとすることもできる。
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板は、例えば、上記の成分組成を有するスラブを、熱間圧延後、圧下率R(%)で冷間圧延して冷延板とし、前記冷延板を、Ac3変態点以上の温度域に下記の式(2)を満足する時間T(秒)加熱後、前記Ac3変態点から平均冷却速度3〜50℃/秒の冷却速度で450〜550℃の温度域に冷却し、溶融亜鉛めっきすることを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法によって製造できる。
T≧R/4・・・(2)
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、溶融亜鉛めっきした後に、亜鉛めっきを合金化処理することもできる。
本発明により、TSが980MPa以上で、TS×λ≧50000 MPa・%を満足する加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造できるようになった。本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板は、B、Mn、Cr、Moの含有量および亜鉛めっき前の焼鈍温度と冷却速度を制御するだけで製造でき、複雑なプロセスを必要とせずに簡便に製造できるといえる。本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板は、耐食性の必要な穴拡げ加工を受ける自動車部品に好適であるのみならず、家電部品やパイプ素材としても適用可能である。
以下に、本発明の詳細を説明する。なお、成分元素の含有量を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
1)成分組成
C:0.05〜0.3%
Cは、オーステナイトを安定化させる元素であり、フェライト相の生成を抑え、マルテンサイト相などの第二相を生成させて高強度化を図る上で必要な元素である。C量が0.05%未満では、フェライト相の生成を抑えることができず、980MPa以上のTSが得られない。一方、C量が0.3%を超えると、溶接性を劣化させる。したがって、C量は0.05〜0.3%、好ましくは0.08〜0.2%とする。
Si:0.25%以下
Siは、鋼の強化に有効な元素であるが、フェライト相の生成元素でもある。Si量が0.25%を超えると、フェライト相の生成を抑えることができず、TS×λ≧50000 MPa・%を達成できなくなる。したがって、Si量は0.25%以下とする。なお、Si量を0.25%以下にすることにより、熱間圧延時の赤スケール発生や溶融亜鉛めっき時のめっき性劣化を回避することもできる。
P:0.080%以下
Pは、Si同様、鋼の強化に有効な元素であるが、フェライト相の生成元素でもある。P量が0.080%を超えると、フェライト相の生成を抑えることができず、TS×λ≧50000 MPa・%を達成できなくなる。したがって、P量は0.080%以下、好ましくは0.030%以下とする。
S:0.010%以下
Sは、MnSなどの介在物として存在して、穴拡げ性を低下させるだけでなく、耐衝撃性や溶接性を劣化させるため、その量は極力低減することが好ましい。しかし、製造コストの面からS量は0.010%以下とする。
Al:0.010〜0.06%
Alは、溶鋼中およびスラブ中の酸素を固定し、スラブ割れなどの欠陥発生を抑制する元素である。Al量が0.010%未満では、このような効果が得られない。一方、Al量が0.06%を超えると、連続鋳造時のスラブ割れの危険性が高まる。したがって、Al量は0.010〜0.06%とする。
N:0.007%以下
N量が0.007%を超えると、連続鋳造時にAlNとして析出し、スラブ割れの原因となる。したがって、N量は0.007%以下とする。
B:0.0001〜0.005%
Bは、フェライト相の生成を抑制し、マルテンサイト相などの第二相を生成させて高強度化を図る上で有効な元素である。B量が0.0001%未満では、980MPa以上のTSが得られない。一方、B量が0.005%を超えると、その効果が飽和する。したがって、B量は0.0001〜0.005%、好ましくは0.0004〜0.002%とする。
Mn、Cr、Moのうちから選ばれた少なくとも1種、かつ[Mn]+1.3[Cr]+2.6[Mo]:2.0以上
Mn、Cr、Moのうちから選ばれた少なくとも1種の元素は、パーライト相の生成を抑制し、マルテンサイト相などの第二相を生成させて高強度化を図る上で有効な元素である。しかし、Mn、Cr、Moのうちから選ばれた少なくとも1種が含有されても、[Mn]+1.3[Cr]+2.6[Mo]が2.0未満では、980MPa以上のTSが得られない。したがって、[Mn]+1.3[Cr]+2.6[Mo]は2.0以上、好ましくは2.5以上とする。一方、Mn量が3.0%を超えると、加工性が低下するので、Mn量は3.0%以下にすることが好ましく、2.5%以下にすることがより好ましい。また、Cr量が2.0%を超えると、溶融亜鉛めっきを施すことが困難になるので、Cr量は2.0%以下にすることが好ましく、1.0%以下にすることがより好ましい。さらに、Mo量が2.0%を超えると、加工性が低下するとともに、大幅なコスト増を招くので、Mo量は2.0%以下にすることが好ましく、1.0%以下にすることがより好ましい。
残部はFeおよび不可避的不純物であるが、以下の理由で、Ni:2.00%以下、Cu:2.00%以下、Ca:0.001〜0.005%、REM:0.001〜0.005%、Ti:0.03%以下が含有されることが好ましい。
Ni:2.00%以下
Niは、パーライト相の生成を抑制し、マルテンサイト相などの第二相を生成させて高強度化を図る上で有効な元素である。このような効果を得るには、Ni量は0.05%以上とすることが好ましい。しかし、Ni量が2.00%を超えると、Niが表面濃化して表面欠陥が発生しやすくなる。したがって、Ni量は2.00%以下とする。
Cu:2.00%以下
Cuは、Ni同様、パーライト相の生成を抑制し、マルテンサイト相などの第二相を生成させて高強度化を図る上で有効な元素である。このような効果を得るには、Cu量は0.05%以上とすることが好ましい。しかし、Cu量が2.00%を超えると、スラブ割れが発生しやすくなる。したがって、Cu量は2.00%以下とする。
Ca:0.001〜0.005%
Caは、介在物の形状を制御して局部延性を向上させるので、穴拡げ性の向上に有効な元素である。このような効果を得るには、Ca量は0.001%以上とする必要があるが、0.005%を超えると、その効果は飽和する。したがって、Ca量は0.001〜0.005%とする。
REM:0.001〜0.005%
REMは、Ca同様、介在物の形状を制御して局部延性を向上させるので、穴拡げ性の向上に有効な元素である。このような効果を得るには、REM量は0.001%以上とする必要があるが、0.005%を超えると、その効果は飽和する。したがって、REM量は0.001〜0.005%とする。
Ti:0.03%以下
Tiは、TiNを生成することにより、スラブ中の固溶Nを固定してスラブ割れを防止する。このような効果を得るには、Ti量は0.005%以上とすることが好ましい。しかし、Ti量が0.03%を超えると、TiCなどの微細析出物として析出し、穴拡げ性を低下させる。したがって、Ti量は0.03%以下とする。
2)ミクロ組織
980MPa以上のTSを得るためには、マルテンサイト相を面積率で75%以上、好ましくは85%以上含むミクロ組織にする必要がある。また、TS×λ≧50000 MPa・%を満足させるには、フェライト相の面積率を20%以下とし、かつ旧オーステナイトの平均粒径が3μm以上となるミクロ組織にする必要がある。これは、フェライト相の量が面積率で20%を超えると、フェライト相に変形が集中し、フェライト相で発生したボイドが連結して亀裂に発展しやすくなり、また、旧オーステナイトの平均粒径が3μm未満だと、フェライト相の生成サイトが多くなり、ファライト相の量が少なくてもフェライト相で発生したボイドが連結して亀裂に発展しやすくなり、穴拡げ性が低下するためと考えられる。なお、フェライト相以外の第二相には、マルテンサイト相の他に、上記したフェライト相とマルテンサイト相の面積率を満たす範囲内で、ベイナイト相などの硬質相を含むことができる。
ここで、フェライト相とマルテンサイト相の面積率とは、観察面積に占めるフェライト相とマルテンサイト相のそれぞれの面積の割合のことである。それらの面積率は、鋼板の板厚断面を研磨後、3%ナイタールで腐食し、板厚1/4の位置をSEM(走査電子顕微鏡)で1000倍で観察し、Adobe社製のPhoto Shopの画像処理ソフトを用いて求めた。また、旧オーステナイトの平均粒径は、研磨後の断面をピクラールで腐食して旧オーステナイト粒界を現出させ、板厚1/4の位置をSEMで観察し、JIS切断法により求めた。観察倍率は旧オーステナイト粒径によって500〜5000倍に適切に設定した。
3)製造条件
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板は、例えば、上記の成分組成を有するスラブを、熱間圧延後、圧下率R(%)で冷間圧延して冷延板とし、前記冷延板を、Ac3変態点以上の温度域に上記の式(2)を満足する時間T(秒)加熱後、前記Ac3変態点から平均冷却速度50℃/秒以下の冷却速度で450〜550℃の温度域に冷却し、溶融亜鉛めっきすることによって製造できる。
冷延板の加熱温度:Ac3変態点以上
フェライト相の面積率を20%以下、旧オーステナイトの平均粒径を3μm以上とするために、冷間圧延後の冷延板をAc3変態点以上の温度域に加熱する必要がある。しかし、加熱温度が900℃を超えると、旧オーステナイトの平均粒径が20μmを超えて、伸びが低下する傾向にあるので、加熱温度は900℃以下にすることが好ましい。
加熱時間T(Ac3変態点以上の温度域に滞留する時間):R/4以上
冷間圧延時の圧下率R(%)を高くすると、旧オーステナイトの粒径が小さくなり、フェライト相の生成を抑制することが困難になる。そのため、圧下率Rに応じて加熱時間Tを長くして旧オーステナイトの粒径を大きくする必要があるが、フェライト相の面積率を20%以下、旧オーステナイトの平均粒径を3μm以上にするには、加熱時間TをR/4以上にする必要がある。このとき、圧下率Rは30〜60%であるが、低い方が旧オーステナイトの粒径が大きくなり、フェライト変態も起こりにくくなるため、50%以下にすることが好ましい。
Ac3変態点から450〜550℃の温度域までの平均冷却速度:3〜50℃/秒
加熱後、Ac3変態点から450〜550℃の温度域までの冷却は、鋼板形状が不安定になったり、めっきムラが生じるため、50℃/秒以下、好ましくは30℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する必要がある。一方、平均冷却速度が3℃/秒未満だと、フェライト相、パーライト相やベイナイト相が生成しマルテンサイト相を75%以上とすることができない。したがって、この平均冷却速度は3℃/秒以上、好ましくは10℃/秒以上にする必要がある。また、冷却終了温度は、450℃未満でめっきの外観不良が生じる。一方、550℃以上では、パーライトやベイナイトが生成しマルテンサイトを70%以上とすることができない。そのため、冷却終了温度は450〜550℃、好ましくは460〜520℃にする必要がある。
その他の条件は、通常の方法の条件を適用できる。すなわち、スラブは造塊法や連続鋳造法で製造でき、薄スラブ鋳造により製造することもできる。スラブを熱間圧延するには、スラブをいったん室温まで冷却し、その後再加熱して熱間圧延を行ってもよいし、スラブを室温まで冷却せずに加熱炉に装入して熱間圧延を行うことも、あるいはわずかの保熱を行った後に直ちに熱間圧延することもできる。このとき、熱間圧延はAr3変態点以上の仕上温度で行う。
溶融亜鉛めっきは、めっきを合金化しない場合はAl量を0.12〜0.22%含む、あるいはめっきを合金化する場合はAl量を0.08〜0.18%含む440〜500℃のめっき浴中に鋼板を浸漬後、ガスワイピングなどによりめっき付着量を調整して行う。めっきを合金化する場合は、その後、さらに450〜600℃で1〜30秒間の合金化処理を施す。
表1に示す成分組成の鋼A〜Sを真空溶解により溶製し、スラブとした後、仕上温度900℃で熱間圧延を行い、表2に示す板厚の熱延板とした。この熱延板を、表2に示す圧下率で冷間圧延を行い、表2に示す板厚の冷延板とした。この冷延板を、表2に示す加熱条件および冷却条件で加熱・冷却後、Al量を0.13%含む460℃のめっき浴中に浸漬し、付着量40〜55g/m2のめっきを形成し、520℃で15秒間めっきの合金化処理を行い、冷却速度10℃/秒で冷却し、めっき鋼板1〜24を作製した。ここで、めっき鋼板14は、合金化処理が行われていない。そして、得られためっき鋼板について、上記の方法でフェライト相、マルテンサイト相の面積率、旧オーステナイトの平均粒径を測定した。また、JIS5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241に準拠して引張試験を行ってTSを求めた。さらに、150mm×150mmの試験片を採取し、JFST 1001(鉄連規格)に準拠して穴拡げ試験を3回行って平均の穴拡げ率λ(%)を求めた。
結果を表2に示す。本発明例であるめっき鋼板は、いずれもTSが980MPa以上で、TS×λ≧50000 MPa・%であり、めっき不良もなく、加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板であることがわかる。
Figure 0005364993
Figure 0005364993

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.25%以下、P:0.080%以下、S:0.010%以下、Al:0.010〜0.06%、N:0.007%以下、B:0.0001〜0.005%、Mn:3.0%以下、さらにCr:0%以上2.0%以下、Mo:0%以上2.0%以下含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、Mnの含有量とCrの含有量とMoの含有量との関係が下記の式(1)を満足し、面積率で20%以下のフェライト相と面積率で75%以上のマルテンサイト相を含み、かつ旧オーステナイトの平均粒径が3μm以上20μm以下であるミクロ組織を有することを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板;
    [Mn]+1.3[Cr]+2.6[Mo]≧2.0・・・(1)
    ただし、[M]は元素Mの含有量(質量%)を表す。
  2. さらに、質量%で、Ni:2.00%以下、Cu:2.00%以下のうち少なくとも1種を含有する成分組成を有することを特徴とする請求項1に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. さらに、質量%で、Ca:0.001〜0.005%、REM:0.001〜0.005%のうちの少なくとも1種を含有する成分組成を有することを特徴とする請求項1または2に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  4. 亜鉛めっきが合金化亜鉛めっきであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  5. 面積率で20%以下のフェライト相と面積率で75%以上のマルテンサイト相を含み、かつ旧オーステナイトの平均粒径が3μm以上20μm以下であるミクロ組織を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の成分組成を有するスラブを、熱間圧延後、圧下率R(%)で冷間圧延して冷延板とし、前記冷延板を、Ac3変態点以上の温度域に下記の式(2)を満足する時間T(秒)加熱後、前記Ac3変態点から平均冷却速度3〜50℃/秒の冷却速度で450〜550℃の温度域に冷却し、溶融亜鉛めっきすることを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法;
    T≧R/4・・・(2)
  6. 溶融亜鉛めっきした後に、亜鉛めっきを合金化処理することを特徴とする請求項5に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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