JP5364993B2 - 加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
[Mn]+1.3[Cr]+2.6[Mo]≧2.0・・・(1)
ただし、[M]は元素Mの含有量(質量%)を表す。
T≧R/4・・・(2)
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、溶融亜鉛めっきした後に、亜鉛めっきを合金化処理することもできる。
C:0.05〜0.3%
Cは、オーステナイトを安定化させる元素であり、フェライト相の生成を抑え、マルテンサイト相などの第二相を生成させて高強度化を図る上で必要な元素である。C量が0.05%未満では、フェライト相の生成を抑えることができず、980MPa以上のTSが得られない。一方、C量が0.3%を超えると、溶接性を劣化させる。したがって、C量は0.05〜0.3%、好ましくは0.08〜0.2%とする。
Siは、鋼の強化に有効な元素であるが、フェライト相の生成元素でもある。Si量が0.25%を超えると、フェライト相の生成を抑えることができず、TS×λ≧50000 MPa・%を達成できなくなる。したがって、Si量は0.25%以下とする。なお、Si量を0.25%以下にすることにより、熱間圧延時の赤スケール発生や溶融亜鉛めっき時のめっき性劣化を回避することもできる。
Pは、Si同様、鋼の強化に有効な元素であるが、フェライト相の生成元素でもある。P量が0.080%を超えると、フェライト相の生成を抑えることができず、TS×λ≧50000 MPa・%を達成できなくなる。したがって、P量は0.080%以下、好ましくは0.030%以下とする。
Sは、MnSなどの介在物として存在して、穴拡げ性を低下させるだけでなく、耐衝撃性や溶接性を劣化させるため、その量は極力低減することが好ましい。しかし、製造コストの面からS量は0.010%以下とする。
Alは、溶鋼中およびスラブ中の酸素を固定し、スラブ割れなどの欠陥発生を抑制する元素である。Al量が0.010%未満では、このような効果が得られない。一方、Al量が0.06%を超えると、連続鋳造時のスラブ割れの危険性が高まる。したがって、Al量は0.010〜0.06%とする。
N量が0.007%を超えると、連続鋳造時にAlNとして析出し、スラブ割れの原因となる。したがって、N量は0.007%以下とする。
Bは、フェライト相の生成を抑制し、マルテンサイト相などの第二相を生成させて高強度化を図る上で有効な元素である。B量が0.0001%未満では、980MPa以上のTSが得られない。一方、B量が0.005%を超えると、その効果が飽和する。したがって、B量は0.0001〜0.005%、好ましくは0.0004〜0.002%とする。
Mn、Cr、Moのうちから選ばれた少なくとも1種の元素は、パーライト相の生成を抑制し、マルテンサイト相などの第二相を生成させて高強度化を図る上で有効な元素である。しかし、Mn、Cr、Moのうちから選ばれた少なくとも1種が含有されても、[Mn]+1.3[Cr]+2.6[Mo]が2.0未満では、980MPa以上のTSが得られない。したがって、[Mn]+1.3[Cr]+2.6[Mo]は2.0以上、好ましくは2.5以上とする。一方、Mn量が3.0%を超えると、加工性が低下するので、Mn量は3.0%以下にすることが好ましく、2.5%以下にすることがより好ましい。また、Cr量が2.0%を超えると、溶融亜鉛めっきを施すことが困難になるので、Cr量は2.0%以下にすることが好ましく、1.0%以下にすることがより好ましい。さらに、Mo量が2.0%を超えると、加工性が低下するとともに、大幅なコスト増を招くので、Mo量は2.0%以下にすることが好ましく、1.0%以下にすることがより好ましい。
Niは、パーライト相の生成を抑制し、マルテンサイト相などの第二相を生成させて高強度化を図る上で有効な元素である。このような効果を得るには、Ni量は0.05%以上とすることが好ましい。しかし、Ni量が2.00%を超えると、Niが表面濃化して表面欠陥が発生しやすくなる。したがって、Ni量は2.00%以下とする。
Cuは、Ni同様、パーライト相の生成を抑制し、マルテンサイト相などの第二相を生成させて高強度化を図る上で有効な元素である。このような効果を得るには、Cu量は0.05%以上とすることが好ましい。しかし、Cu量が2.00%を超えると、スラブ割れが発生しやすくなる。したがって、Cu量は2.00%以下とする。
Caは、介在物の形状を制御して局部延性を向上させるので、穴拡げ性の向上に有効な元素である。このような効果を得るには、Ca量は0.001%以上とする必要があるが、0.005%を超えると、その効果は飽和する。したがって、Ca量は0.001〜0.005%とする。
REMは、Ca同様、介在物の形状を制御して局部延性を向上させるので、穴拡げ性の向上に有効な元素である。このような効果を得るには、REM量は0.001%以上とする必要があるが、0.005%を超えると、その効果は飽和する。したがって、REM量は0.001〜0.005%とする。
Tiは、TiNを生成することにより、スラブ中の固溶Nを固定してスラブ割れを防止する。このような効果を得るには、Ti量は0.005%以上とすることが好ましい。しかし、Ti量が0.03%を超えると、TiCなどの微細析出物として析出し、穴拡げ性を低下させる。したがって、Ti量は0.03%以下とする。
980MPa以上のTSを得るためには、マルテンサイト相を面積率で75%以上、好ましくは85%以上含むミクロ組織にする必要がある。また、TS×λ≧50000 MPa・%を満足させるには、フェライト相の面積率を20%以下とし、かつ旧オーステナイトの平均粒径が3μm以上となるミクロ組織にする必要がある。これは、フェライト相の量が面積率で20%を超えると、フェライト相に変形が集中し、フェライト相で発生したボイドが連結して亀裂に発展しやすくなり、また、旧オーステナイトの平均粒径が3μm未満だと、フェライト相の生成サイトが多くなり、ファライト相の量が少なくてもフェライト相で発生したボイドが連結して亀裂に発展しやすくなり、穴拡げ性が低下するためと考えられる。なお、フェライト相以外の第二相には、マルテンサイト相の他に、上記したフェライト相とマルテンサイト相の面積率を満たす範囲内で、ベイナイト相などの硬質相を含むことができる。
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板は、例えば、上記の成分組成を有するスラブを、熱間圧延後、圧下率R(%)で冷間圧延して冷延板とし、前記冷延板を、Ac3変態点以上の温度域に上記の式(2)を満足する時間T(秒)加熱後、前記Ac3変態点から平均冷却速度50℃/秒以下の冷却速度で450〜550℃の温度域に冷却し、溶融亜鉛めっきすることによって製造できる。
フェライト相の面積率を20%以下、旧オーステナイトの平均粒径を3μm以上とするために、冷間圧延後の冷延板をAc3変態点以上の温度域に加熱する必要がある。しかし、加熱温度が900℃を超えると、旧オーステナイトの平均粒径が20μmを超えて、伸びが低下する傾向にあるので、加熱温度は900℃以下にすることが好ましい。
冷間圧延時の圧下率R(%)を高くすると、旧オーステナイトの粒径が小さくなり、フェライト相の生成を抑制することが困難になる。そのため、圧下率Rに応じて加熱時間Tを長くして旧オーステナイトの粒径を大きくする必要があるが、フェライト相の面積率を20%以下、旧オーステナイトの平均粒径を3μm以上にするには、加熱時間TをR/4以上にする必要がある。このとき、圧下率Rは30〜60%であるが、低い方が旧オーステナイトの粒径が大きくなり、フェライト変態も起こりにくくなるため、50%以下にすることが好ましい。
加熱後、Ac3変態点から450〜550℃の温度域までの冷却は、鋼板形状が不安定になったり、めっきムラが生じるため、50℃/秒以下、好ましくは30℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する必要がある。一方、平均冷却速度が3℃/秒未満だと、フェライト相、パーライト相やベイナイト相が生成しマルテンサイト相を75%以上とすることができない。したがって、この平均冷却速度は3℃/秒以上、好ましくは10℃/秒以上にする必要がある。また、冷却終了温度は、450℃未満でめっきの外観不良が生じる。一方、550℃以上では、パーライトやベイナイトが生成しマルテンサイトを70%以上とすることができない。そのため、冷却終了温度は450〜550℃、好ましくは460〜520℃にする必要がある。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.25%以下、P:0.080%以下、S:0.010%以下、Al:0.010〜0.06%、N:0.007%以下、B:0.0001〜0.005%、Mn:3.0%以下、さらにCr:0%以上2.0%以下、Mo:0%以上2.0%以下含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、Mnの含有量とCrの含有量とMoの含有量との関係が下記の式(1)を満足し、面積率で20%以下のフェライト相と面積率で75%以上のマルテンサイト相を含み、かつ旧オーステナイトの平均粒径が3μm以上20μm以下であるミクロ組織を有することを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板;
[Mn]+1.3[Cr]+2.6[Mo]≧2.0・・・(1)
ただし、[M]は元素Mの含有量(質量%)を表す。 - さらに、質量%で、Ni:2.00%以下、Cu:2.00%以下のうち少なくとも1種を含有する成分組成を有することを特徴とする請求項1に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
- さらに、質量%で、Ca:0.001〜0.005%、REM:0.001〜0.005%のうちの少なくとも1種を含有する成分組成を有することを特徴とする請求項1または2に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
- 亜鉛めっきが合金化亜鉛めっきであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
- 面積率で20%以下のフェライト相と面積率で75%以上のマルテンサイト相を含み、かつ旧オーステナイトの平均粒径が3μm以上20μm以下であるミクロ組織を有する高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法であって、
請求項1から3のいずれか1項に記載の成分組成を有するスラブを、熱間圧延後、圧下率R(%)で冷間圧延して冷延板とし、前記冷延板を、Ac3変態点以上の温度域に下記の式(2)を満足する時間T(秒)加熱後、前記Ac3変態点から平均冷却速度3〜50℃/秒の冷却速度で450〜550℃の温度域に冷却し、溶融亜鉛めっきすることを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法;
T≧R/4・・・(2) - 溶融亜鉛めっきした後に、亜鉛めっきを合金化処理することを特徴とする請求項5に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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