JP4655448B2 - 薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体薄膜の製造方法に関する。特に半導体膜にレーザ照射を行うことにより略単結晶半導体膜を製造する製造方法に関する。また、これを用いた半導体装置の製造方法、並びに薄膜トランジスタの製造方法、そして、これらの方法を用いて製造された半導体装置、及びこの半導体装置を用いた薄膜トランジスタ、集積回路、電気光学装置、及び電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜トランジスタ(TFT)を汎用ガラス基板に低温で製造する方法として下記非特許文献1及び非特許文献2の欄に示した文献には、基板上の絶縁膜に孔をあけて、この絶縁膜上及び孔内に非晶質珪素膜を形成した後、この非晶質珪素膜にレーザ光を照射して、前記孔の底部内の非晶質珪素を非溶融状態に保持しながらその他の部分の非晶質珪素膜を溶融状態にすることにより、非溶融状態に保持された非晶質珪素を結晶核とした結晶成長を生じさせて、非晶質珪素膜の面内における前記孔を中心とした領域を略単結晶珪素膜とする方法が開示されている。
【0003】
【非特許文献1】
「Single Crystal Thin Film Transistors」(IBM TECHNICAL DISCLOSURE BULLETIN Aug.1993 pp257-258)
【非特許文献2】
「Advanced Excimer -Laser Crystallization Techniques of Si Thin-Film For Location Control of Large Grain on Glass」(R. Ishihara等proc. SPIE 2001, vol.4295, p14〜23.)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記両文献に記載された従来の方法では、結晶粒の面方位の制御ができないためこのような方法で作製した略単結晶珪素膜においては、特性にばらつきが生じる。したがって、この略単結晶珪素膜を用いて薄膜トランジスタ等の半導体装置を作製した場合には、完成した半導体装置の特性にばらつきが生じてしまい、均一な特性を備えた半導体装置を得ることが困難であるという問題があった。
【0005】
また、従来の方法では、孔の底部内の非晶質珪素膜を核として結晶成長をさせるため、孔の底部の非晶質珪素からランダムに複数の結晶粒が成長してしまい、その結果、孔を中心とした領域に形成される結晶珪素膜が複数の結晶粒を持つ多結晶膜となる恐れがある。これを避けるために、開口部まで成長してくる結晶粒を1つだけにフィルタリングされるよう、直径100nm以下の非常に微細な孔を形成しなければならず、高価で精密な露光装置及びエッチング装置が不可欠とされていた。そして、これらの装置を用いても実際の半導体装置の製造工程においては、大型ガラス基板上に均一にこのような微細な孔を形成することはきわめて難しく、また工程が複雑になるという問題があった。
【0006】
したがって、本発明は上述した従来の実情に鑑みて創案されたものであり、面方位が制御された半導体薄膜を簡便且つ確実に形成可能な半導体薄膜の製造方法、及びこれを用いた半導体装置の製造方法、並びに薄膜トランジスタの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、この方法を用いて作製された半導体装置、及びこの半導体装置を用いた薄膜トランジスタ、集積回路、電気光学装置、及び電子機器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成する本発明に係る半導体薄膜の製造方法は、少なくとも一方の表面が絶縁性の基板の絶縁性表面に厚み方向に細孔を形成する工程と、細孔に所定の面方位とされた表面を有する単結晶半導体片を該表面が上面となるように配置する工程と、単結晶半導体片上と絶縁性表面上に半導体材料を堆積して半導体膜を形成する工程と、半導体膜にレーザを照射して半導体膜を溶融・再結晶化することにより単結晶半導体片の表面と同一面方位を有する略単結晶半導体膜を細孔を中心とした領域に形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
ここで、本明細書において「半導体材料」とは、非晶質半導体材料と結晶質半導体材料とを総称するものであり、結晶質半導体材料には、多結晶半導体材料と微結晶半導体材料とが含まれる。したがって、前記の半導体材料を堆積して形成された「半導体膜」とは、非晶質半導体材料または結晶質半導体材料を堆積して形成されたものであり、非晶質半導体膜または結晶質半導体膜が該当し、結晶質半導体膜には多結晶半導体膜と微結晶半導体膜とが含まれる。なお、以下の記述においても同様である。
【0010】
以上のような本発明に係る半導体薄膜の製造方法によれば、レーザ照射が行われた際、半導体膜はレーザ光から吸収したエネルギーにより温められて溶融状態とされる。そして、この後、溶融状態の半導体材料の結晶化が起きる。
【0011】
このとき、細孔には単結晶半導体片が配置されているため、これを核として単結晶半導体片の上面から結晶成長が進行し、該単結晶半導体片の上部から半導体膜の面内の細孔を中心とした領域までが略単結晶半導体膜に変化する。これにより、略単結晶半導体膜を簡便且つ確実に連続形成することができる。このようにして作製された略単結晶半導体膜は、結晶粒界に起因した膜質のばらつきがなく、均一な特性を有する。
【0012】
そして、略単結晶半導体膜は、内部に欠陥が少ないため半導体の電気特性の点で、エネルギーバンド図における禁制帯中央部付近の捕獲準位密度を多結晶半導体膜と比較して少なくさせる効果を有する。また、略単結晶半導体膜には結晶粒界がない、もしくは少ないため、多結晶半導体膜と比較して電子や正孔といったキャリアが流れる際の障壁が大きく低減されている。
【0013】
そして、この略単結晶半導体膜を半導体薄膜に用いて半導体装置を構成することにより、オフ電流や移動度に優れ、高速動作に対応可能な半導体装置を容易に実現可能である。したがって、この半導体薄膜の製造方法によれば、半導体装置に用いて好適な良好な品質を有する半導体薄膜を作製することができる。
【0014】
さらに、この半導体薄膜の製造方法によれば、単結晶半導体片の表面が所定の面方位に制御されているため、該単結晶半導体片を核として結晶成長した略単結晶半導体膜の表面は、単結晶半導体片の表面と同じ面方位を有する。すなわち、略単結晶半導体膜は、単結晶半導体片と同じ面方位で結晶成長するため、単結晶半導体片の表面の面方位を制御することにより、形成する略単結晶半導体膜の表面の面方位を制御することができる。したがって、この半導体薄膜の製造方法によれば、表面の面方位を所望の向きに制御して略単結晶半導体膜を形成することが可能である。これにより、例えば略単結晶半導体膜を用いて薄膜トランジスタを作製する際に、略単結晶半導体膜の表面の面方位を所望の向きに制御し、さらにチャネル方向も、用いた半導体膜で最も高移動度の方向にそろえることができる。
【0015】
また、この半導体薄膜の製造方法においては、細孔を所定の形状及び向きに形成するとともに該細孔の形状及び向きに合わせて該細孔に単結晶半導体片を配置することにより表面の結晶方位を制御して略単結晶半導体膜を形成することが好ましい。これにより、半導体薄膜の結晶方位に起因する特性を制御して半導体薄膜を作製することができる。
【0016】
また、この半導体薄膜の製造方法においては、細孔の形状を立方体状または直方体状とすることが好ましい。細孔の形状を立方体状または直方体状とし、細孔の中に配置する単結晶半導体片を例えば{100}面で囲まれた立方体状とすることによって単結晶半導体片の上面の面方位を自己整合的に{100}にそろえることができ、形成された略単結晶半導体膜における結晶方位を容易に且つ確実に管理することができる。
【0017】
また、この半導体薄膜の製造方法においては、半導体材料として珪素を用いて珪素膜を形成し、単結晶半導体片として単結晶珪素片を用いることにより、半導体膜として上述したような利点を備えた略単結晶珪素膜を作製することができる。
【0018】
そして、略単結晶珪素膜を作製する場合は、単結晶珪素片の表面の面方位を{100}とすることが好ましい。これにより、表面の面方位が{100}とされた略単結晶珪素膜を得ることができる。そして、面方位が{100}に制御された面は表面状態密度が小さく、その表面準位に捕獲されるキャリアが少ないため、半導体装置に用いて好適な、電気的特性の優れた略単結晶珪素膜を作製することができる。
【0019】
また、この半導体薄膜の製造方法においては、複数の半導体膜を作製する場合には、細孔に単結晶半導体片を配置する際に、複数の細孔に所定の面方位に統一された表面を有する単結晶半導体片を該表面が上面となるように配置することが好ましい。
【0020】
これにより、表面の面方位が所定の方向に統一された、面方位に起因した膜質のばらつきがなく、均一な特性を有する略単結晶半導体膜を複数作製することができる。
【0021】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、少なくとも一方の表面が絶縁性の基板の絶縁性表面に厚み方向に細孔を形成する工程と、細孔に所定の面方位とされた表面を有する単結晶半導体片を該表面が上面となるように配置する工程と、単結晶半導体片上と絶縁性表面上に半導体材料を堆積して半導体膜を形成する工程と、半導体膜にレーザを照射して半導体膜を溶融・再結晶化することにより単結晶半導体片の表面と同一面方位を有する略単結晶半導体膜を細孔を中心とした領域に形成する工程と、略単結晶半導体膜を半導体薄膜として用いて半導体装置を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0022】
以上のような本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、前記の半導体薄膜の製造方法を用いるため、レーザ照射により半導体膜を溶融状態とした後、単結晶半導体片を核として結晶成長させることにより、該単結晶半導体片の上面から半導体膜の面内の細孔を中心とした領域までが略単結晶半導体膜に変化する。これにより、膜質、方位のばらつきがなく、均一な特性を有する略単結晶半導体膜を簡便且つ確実に連続形成することができる。
【0023】
そして、上述した利点を有する略単結晶半導体膜を半導体薄膜として半導体装置を形成するため、多結晶珪素膜を用いた半導体装置と比較して結晶粒界や表面に起因した状態密度が小さくなることによって半導体膜中のキャリア密度が大きくなり、且つ、結晶粒界での結晶の周期性の乱れに起因したキャリアの散乱を受けなくなることによってキャリアの移動度が向上するなど、電気的特性に優れ、低電圧で高速動作可能な半導体装置を容易に実現することができる。
【0024】
さらに、この半導体装置の製造方法によれば、表面の面方位を所望の向きに制御して形成した略単結晶半導体膜を半導体薄膜として用いるため、半導体薄膜の面方位の不均一に起因する特性の不均一性を制御して半導体装置を作製することが可能である。
【0025】
また、この半導体装置の製造方法においては、細孔を所定の形状及び向きに形成するとともに該細孔の形状及び向きに合わせて該細孔に単結晶半導体片を配置することにより表面の結晶方位を制御して略単結晶半導体膜を形成し、該略単結晶半導体膜を半導体薄膜として用いて半導体装置を形成することが好ましい。そして、略単結晶半導体膜を半導体装置に用いる際、該略単結晶半導体膜の結晶方位を考慮することにより、半導体薄膜の結晶方位に起因する特性を制御して容易に半導体装置を作製することができる。
【0026】
また、上述した本発明に係る半導体装置の製造方法においては、細孔の形状を立方体状または直方体状とすることが好ましい。細孔の形状を立方体状または直方体状とし、例えば細孔の中に配置する単結晶半導体片を{100}面で囲まれた立方体状とすることによって単結晶半導体片の上面の方位を自己整合的に{100}にそろえることができ、形成された略単結晶半導体膜における結晶方位を容易に且つ確実に管理することができる。これにより、略単結晶半導体膜を半導体装置に用いる際、該略単結晶半導体膜の結晶方位を考慮することにより、半導体薄膜の結晶方位に起因する特性を制御して容易に半導体装置を作製することができる。
【0027】
また、上述した本発明に係る半導体装置の製造方法においては、半導体材料として珪素を用いて珪素膜を形成し、単結晶半導体片として単結晶珪素片を用いることにより、半導体薄膜として上述したような利点を備えた略単結晶珪素膜を用いた半導体装置を提供することができる。
【0028】
また、略単結晶珪素膜を用いて半導体装置を作製する場合には、単結晶半導体片の表面の面方位を{100}とすることが好ましい。これにより、表面の面方位が{100}とされた略単結晶珪素膜を得ることができる。そして、面方位が{100}に制御された面は表面状態密度が小さく、その表面準位に捕獲されるキャリアが少ないため、電気的特性の優れた半導体装置を製造することができる。
【0029】
また、上述した本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、複数の半導体装置を製造する場合には、細孔に前記単結晶半導体片を配置する際に、複数の細孔に所定の面方位に統一された表面を有する単結晶半導体片を該表面が上面となるように配置することが好ましい。
【0030】
これにより、表面の面方位が所定の方向に統一された、面方位に起因した膜質のばらつきがなく、均一な特性を有する略単結晶半導体膜を複数作製することができる。そして、この表面の面方位が所定の方向に統一された略単結晶半導体膜を用いて半導体装置を製造することにより、各半導体装置に特性のばらつきのない、均一な特性を有する複数の半導体装置を作製することができる。
【0031】
また、本発明に係る半導体装置は、少なくとも一方の表面が絶縁性の基板の絶縁性表面上に面方位が所定の方向に制御された略単結晶半導体膜を有し、絶縁性表面に厚み方向の細孔が設けられるとともに該細孔内が略単結晶半導体膜の一部により埋め込まれ、略単結晶半導体膜を半導体薄膜として用いてなることを特徴とする。
【0032】
この半導体装置によれば、前記の半導体装置の製造方法により製造された、半導体装置に用いて好適な、良好な品質を有する略単結晶半導体膜を用いて形成されているため、多結晶半導体膜を用いた半導体装置と比較して結晶粒界や表面に起因した状態密度が小さくなることによって半導体膜中のキャリア密度が大きくなり、且つ、結晶粒界での結晶の周期性の乱れに起因したキャリアの散乱を受けなくなることによってキャリアの移動度が向上するなど、電気的特性に優れ、低電圧で高速動作可能な半導体装置を実現することができる。
【0033】
また、この半導体装置によれば、表面の面方位が所望の向きに制御された略単結晶半導体膜を半導体薄膜として用いるため、半導体薄膜の面方位に起因する特性が制御された半導体装置を実現することができる。例えば、略単結晶珪素膜の場合は、{100}面は表面状態密度が小さいため、この面が表面に出るように製造された半導体装置は半導体膜中のキャリア密度が大きくなり、高性能な半導体装置を実現することができる。
【0034】
そして、この半導体装置によれば、表面の面方位が所望の向きに制御された略単結晶半導体膜を半導体薄膜として用いるため、各半導体装置に特性のばらつきのない、均一な特性を有する複数の半導体装置を容易に提供することができる。
【0035】
本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法は、少なくとも一方の表面が絶縁性の基板の絶縁性表面に厚み方向に細孔を形成する工程と、細孔に所定の面方位とされた表面を有する単結晶半導体片を該表面が上面となるように配置する工程と、単結晶半導体片上と絶縁性表面上に半導体材料を堆積して半導体膜を形成する工程と、半導体膜にレーザを照射して半導体膜を溶融・再結晶化することにより単結晶半導体片の表面と同一面方位を有する略単結晶半導体膜を細孔を中心とした領域に形成する工程と、略単結晶半導体膜を少なくともチャネル領域として用いて薄膜トランジスタを形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0036】
以上のような本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法においては、前記の半導体薄膜の製造方法を用いるため、レーザ照射により非晶質半導体膜を溶融状態とした後、単結晶半導体片を核として結晶成長させることにより、該単結晶半導体片の上面から非晶質半導体膜の面内の細孔を中心とした領域までが略単結晶半導体膜に変化する。これにより、結晶粒界に起因した膜質のばらつきがなく、均一な特性を有する略単結晶半導体膜を簡便且つ確実に連続形成することができる。
【0037】
そして、上述した利点を有する略単結晶半導体膜を薄膜トランジスタの能動層の少なくともチャネル領域に用いて薄膜トランジスタを形成するため、オフ電流や移動度、しきい値電圧に優れ、低電圧で高速動作可能な薄膜トランジスタを容易に実現することができる。そして、略単結晶半導体膜を薄膜トランジスタのチャネル領域のみならず、ソース/ドレイン領域にも用いることにより、より優れた特性を有する薄膜トランジスタを実現することができる。
【0038】
さらに、この薄膜トランジスタの製造方法によれば、表面の面方位を所望の向きに制御して形成した略単結晶半導体膜を薄膜トランジスタの能動層として用いるため、半導体薄膜の面方位に起因する特性を制御して半導体装置を作製することが可能である。例えば、略単結晶珪素膜の場合は、{100}面は表面状態密度が小さいため、その表面準位に捕獲されるキャリアの数が減る。したがって、表面の面方位が{100}に制御された略単結晶珪素膜を用いることにより、しきい値電圧が低く、サブスレショルド特性にも優れた高性能な薄膜トランジスタを実現することができる。
【0039】
また、上述した本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法においては、細孔を所定の形状及び向きに形成するとともに該細孔の形状及び向きに合わせて該細孔に単結晶半導体片を配置して表面の結晶方位を所定の結晶方位に制御して略単結晶半導体膜を形成し、単結晶半導体膜の表面の結晶方位とチャネル方向とを略平行にして薄膜トランジスタを形成することが好ましい。さらに、所定の結晶方位を略単結晶半導体膜において最も高キャリア移動度の結晶方位とすることが好ましい。
【0040】
これにより、チャネル方向に対する結晶方位も所望の向きに制御できるため、用いた半導体膜の材質や特性に合わせて最もキャリアの移動度が大きい方位とチャネル方向を合わせることによって、より高性能な薄膜トランジスタを均一に製造することができる。
【0041】
本発明に係る薄膜トランジスタは、少なくとも一方の表面が絶縁性の基板の絶縁性表面上に面方位が所定の方向に制御された略単結晶半導体膜を有し、絶縁性表面に厚み方向の細孔が設けられるとともに該細孔内が略単結晶半導体膜の一部により埋め込まれ、略単結晶半導体膜を少なくともチャネル領域として用いてなることを特徴とする。
【0042】
この薄膜トランジスタによれば、前記の半導体装置の製造方法により製造された半導体装置に用いて好適な、良好な品質を有する略単結晶半導体膜を用いて形成されているため、オフ電流や移動度、しきい値電圧に優れ、低電圧で高速動作可能な薄膜トランジスタを容易に実現することができる。
【0043】
また、この薄膜トランジスタによれば、表面の面方位が所望の向きに制御された略単結晶半導体膜を薄膜トランジスタの能動層として用いるため、半導体薄膜の面方位に起因する特性が制御された薄膜トランジスタを実現することができる。例えば、略単結晶珪素膜の場合、{100}面は表面状態密度が小さいため、その表面準位に捕獲されるキャリアの数が減る。したがって、表面の面方位が{100}に制御された略単結晶珪素膜を用いることにより、しきい値電圧が低く、サブスレショルド特性にも優れた高性能な薄膜トランジスタを実現することができる。
【0044】
そして、この薄膜トランジスタによれば、表面の面方位が所望の向きに制御された略単結晶半導体膜を薄膜トランジスタの能動層として用いるため、各薄膜トランジスタに特性のばらつきのない、均一な特性を有する複数の薄膜トランジスタを容易に提供することができる。
【0045】
さらに、この薄膜トランジスタにおいては、略単結晶半導体膜の表面の結晶方位とチャネル方向とが略平行とされていることが好ましい。これにより、用いた半導体膜の材質や特性に合わせて最もキャリアの移動度が大きい方位とチャネル方向を合わせることによって、より高性能な薄膜トランジスタを実現することができる。例えば、略単結晶珪素膜を用いた場合には、チャネル方向が<110>方向とされたときに最も良好な特性が期待できる。
【0046】
本発明に係る集積回路は、前記の本発明に係る半導体装置の製造方法により製造された半導体装置を備えることを特徴とする。これにより、この集積回路においては、低電圧で高速動作に対応可能であり、特性のばらつきのない、均一な特性を有し、低消費電力の集積回路を実現することができる。ここで、本明細書において「集積回路」とは、一定の機能を奏するように半導体装置及び関連する配線等が集積配置された回路(チップ)をいう。
【0047】
また、本発明に係る集積回路においては、複数の半導体装置を備える場合には、上述した本発明に係る半導体装置を複数備え、且つ該半導体装置に用いた半導体薄膜の表面の面方位が所定の方向に統一されていることが好ましい。これにより、半導体装置ごとの特性のばらつきがなくなり、安定して動作する高性能、高機能な電気光学装置を実現することができる。
【0048】
本発明に係る電気光学装置は、前記の本発明に係る半導体装置の製造方法により製造された半導体装置を備えることを特徴とする。これにより、この電気光学装置においては、高速動作に対応可能であり、均一な特性を有する高性能、高機能、高品質、低消費電力な特性が実現されている。
【0049】
ここで、本明細書において「電気光学装置」とは、前記の本発明に係る半導体装置と、電気的作用によって発光する素子または外部からの光の状態を変化させる電気光学素子を備えた装置一般をいい、自ら光を発するものと外部からの光の通過を制御するものとの両者を含むものである。このような電気光学装置としては、例えば電気光学素子として液晶素子、電気泳動素子が分散した分散媒を有する電気泳動素子、エレクトロルミネッセンス(EL)素子、電界の印加により発生した電子を発光板に当てて発光させる電子放出素子などを備えたアクティブマトリクス型の表示装置等が挙げられる。
【0050】
本発明に係る電子機器は、前記の本発明に係る半導体装置の製造方法により製造された半導体装置を備えることを特徴とする。これにより、この電子機器においては、高速動作に対応可能であり、均一な特性を有する高性能、高機能、高品質、低消費電力な特性が実現されている。
【0051】
ここで、本明細書において「電子機器」とは、本発明に係る半導体装置を備え、一定の機能を奏する電子機器一般をいい、例えば前記の電気光学装置を備えて構成されるものである。このような電子機器としては特に構成の限定はなく、例えば、ICカード、携帯電話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、リア型またはフロント型のプロジェクター、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示板、宣伝広告用ディスプレイなどが挙げられる。
【0052】
なお、本発明において「略単結晶」とは、結晶粒が単一である場合のみならず、これに近い状態も含むものである。具体的には、複数の結晶が組み合わさっていても、その結晶の大きさが大きく、且つその数が少ないものとされ、半導体薄膜の性質の観点からはほぼ単結晶により形成された半導体薄膜と同等の性質を備えている場合も含むものである。
【0053】
また、本発明において、「細孔」とは、基板、または絶縁膜の表面に設けられた、所定の面方位とされた表面を有する単結晶半導体片を該表面が上面となるように配置するために設けられるものであり、その断面形状は問わない。すなわち、細孔の断面形状は、単結晶半導体片の断面形状と略同一とされていれば良く、円柱状、直方体状、直方体状等、種々の形状を採用することが可能である。但し、チャネル方向の結晶方位を制御するという観点からは直方体状、直方体状とすることが好ましい。
【0054】
また、本発明において「連続形成」とは、結晶粒界を生ずることなく結晶が成長することをいう。また、結晶粒界が生じても、その数が少ないものとされ、半導体薄膜の性質の観点からは結晶粒界がなく形成された半導体薄膜とほぼ同等の性質を備えている場合も含むものである。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0056】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、本発明に係る半導体薄膜の製造方法について説明する。
【0057】
図1に、絶縁膜上に本発明を適用して半導体薄膜が形成された状態を示す。図1においては、ガラス基板1上に絶縁膜2が形成され、該絶縁膜2上に半導体薄膜である略単結晶珪素膜3が形成されている。また、絶縁膜2の表面には、該絶縁膜2の厚み方向に細孔Hが設けられている。
【0058】
この略単結晶珪素膜3は、内部に欠陥が少ないため、半導体の電気特性の点で、エネルギーバンド図における禁制帯中央部付近の捕獲準位密度を多結晶珪素膜と比較して少なくさせる効果がある。また、この略単結晶珪素膜3には結晶粒界がない、もしくは少ないため、多結晶珪素膜と比較して電子や正孔といったキャリアが流れる際の障壁が大きく低減されている。
【0059】
このため、この略単結晶珪素膜3を半導体薄膜として用いて半導体装置を構成することにより、多結晶半導体膜を用いた半導体装置と比較して結晶粒界や表面に起因した状態密度が小さくなることによって半導体膜中のキャリア密度が大きくなり、且つ、結晶粒界での結晶の周期性の乱れに起因したキャリアの散乱を受けなくなることによってキャリアの移動度が向上するなど、電気的特性に優れ、低電圧で高速動作可能な半導体装置を実現することができる。例えば、この略単結晶珪素膜3を薄膜トランジスタの能動層、すなわちソース/ドレイン領域やチャネル領域に用いることにより、オフ電流や移動度、しきい値電圧に優れ、低電圧で高速動作可能な薄膜トランジスタを容易に実現することができる。
【0060】
そして、この略単結晶珪素膜3は、結晶粒の結晶方位が所望の向きに制御されて形成されている。すなわち、この単結晶珪素膜3は、表面の面方位が所定の方向に制御されて形成されている。例えば、本実施の形態では単結晶珪素膜3の表面は、{100}面に制御されて形成されている。ここで、{100}面は表面状態密度が他の面方位を有する面よりも少ない、すなわちキャリアトラップが少ないため、表面が{100}面に制御された略単結晶珪素膜3を用いて薄膜トランジスタを製造することにより、電気的特性の優れた薄膜トランジスタを実現することができる。
【0061】
図2は、上述した略単結晶珪素膜3の製造方法を示す工程図である。この略単結晶珪素膜3を作製するには、まず、図2(a)に示すように、ガラス基板1上に絶縁膜2として酸化珪素膜を例えば200nmの膜厚で形成する。ここで、ガラス基板1上への酸化珪素膜の形成方法としては、例えば、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)、低圧化学気相堆積法(LPCVD法)、スパッタリング法などの気相堆積法を用いることができる。
【0062】
なお、基板としてガラス、石英、セラミックス、その他少なくとも表面が絶縁性の基板を用いる場合には絶縁膜2は形成しなくてもよい。もちろん、絶縁性基板上であっても、基板からの汚染物質が半導体層へ拡散するのを防止する目的で絶縁膜2を形成してもよい。
【0063】
そして、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行うことにより、図2(b)に示すように一辺が例えば0.5μm程度の略立方体型の細孔Hを絶縁膜2である酸化珪素膜の面内に形成する。なお、酸化珪素膜のエッチングは、例えばCF4ガスとH2ガスのプラズマを用いた反応性イオンエッチングにより行うことができる。
【0064】
なお、基板としてガラス、石英、セラミックス、その他少なくとも表面が絶縁性の基板を使用し、絶縁膜を形成しない場合は、基板の絶縁性表面に直接細孔Hを形成する。
【0065】
次に、図2(c)に示すように、細孔Hと略同一の形状で、大きさが細孔Hよりもやや小とされた、すなわち一辺が例えば略0.4μmの略立方体型に加工した単結晶珪素片4を細孔H内に配置する。このとき、単結晶珪素片4は、全て(100)面と等価な面が表面に出るように、すなわち、全て{100}面で囲まれた立方体となるように加工する。これにより、細孔H内に配置された単結晶珪素片4の上面、すなわち単結晶珪素片4の絶縁膜2の面内に露出する面は、{100}面とされ、また、単結晶珪素片4の上面は絶縁膜2の表面と略同一面とされる。
【0066】
なお、単結晶珪素片4の加工方法は、特に限定されるものではなく、単結晶珪素片4を所望の形状及び大きさに加工可能であればいずれの方法も用いることができる。
【0067】
また、単結晶珪素片4を細孔H内に配置する際には、例えばInformation Display,11/1999,p12 に示されているようなFluidic Self Assembly法などを用いることにより、単結晶珪素片4を容易に細孔H内に配置することができる。
【0068】
すなわち、前記のように細孔H及び単結晶珪素片4を形成し、単結晶珪素片4を液体中に分散させて該液体を絶縁膜2上に流す。これにより、液体中に分散している単結晶珪素片4が絶縁膜2に設けられた細孔Hに嵌入される。そして、液体を除去することにより図2(c)に示すように単結晶珪素片4を細孔Hに配置することができる。このとき、単結晶珪素片4は、全ての面が{100}面で囲まれているため、単結晶珪素片4の絶縁膜2の面内に露出する面は、{100}面とされる。これにより、{100}面を上面として単結晶珪素片4が配置される。
【0069】
なお、単結晶珪素片4を細孔H内に配置する方法は、これに限られるものではなく、単結晶珪素片4を細孔H内に確実に配することができればいかなる方法も用いることが可能である。
【0070】
次に、図2(d)に示すように、例えばLPCVD法により、絶縁膜2上及び単結晶珪素片4上に非晶質珪素を堆積して、膜厚が50nm〜250nm程度の非晶質珪素膜5を形成する。LPCVD法を用いて酸化珪素膜上に非晶質珪素を堆積することにより、高純度の非晶質珪素膜5を絶縁膜2上及び単結晶珪素片4上に容易に形成することができる。また、ここでは、絶縁膜2上及び単結晶珪素片4上に非晶質珪素を堆積して非晶質珪素膜5を形成したが、ここで形成する珪素膜は結晶質珪素膜として多結晶珪素膜または微結晶珪素膜を形成しても構わない。
【0071】
次に、図2(e)に示すように、非晶質珪素膜5にレーザ照射L1を行う。レーザ照射L1は、例えばXeClパルスエキシマレーザ光(波長308nm、パルス幅30nsec)を用い、エネルギー密度は、非晶質珪素膜の膜厚50nm〜250nmに対応するように0.4J/cm2〜1.5J/cm2程度として行う。
【0072】
ここで、照射されたXeClパルスエキシマレーザ光(以下、単にレーザ光と呼ぶ場合がある。)は、非晶質珪素膜5の表面近傍でほとんどが吸収される。これは、XeClパルスエキシマレーザ光の波長(308nm)における非晶質珪素の吸収係数が0.139nm-1と大きいためである。そして、非晶質珪素膜5は吸収したレーザ光のエネルギーにより温められ、溶融状態となる。この時、細孔Hの中に配置した単結晶珪素片4の少なくとも一部は溶融しないようにレーザ照射エネルギー密度を調整する。
【0073】
ここで、溶融状態となった非晶質珪素膜5は、細孔H内に配置された単結晶珪素片4を核として該単結晶珪素片の上面から略単結晶成長が生じることにより非晶質珪素膜5の面内の細孔Hを中心とした領域が略単結晶珪素膜3に変化する。また、このとき、溶融状態の非晶質珪素膜5の略単結晶成長は、単結晶珪素片4の上面と同じ面方位で進行する。したがって、形成された略単結晶珪素膜3の表面は、{100}面となる。以上のようにして図1に示すような略単結晶珪素膜3を連続形成することができる。
【0074】
なお、絶縁膜2である酸化珪素膜は、前記レーザ光に対して略透明な特性を有し、このレーザ光のエネルギーを吸収しないため、レーザ照射によって溶融することはない。また、絶縁膜2を酸化珪素以外の材質で構成する場合には、酸化珪素膜を用いる場合と同様にレーザ光に対して透明な膜か、珪素に比較して十分に融点の高い材質を選べばよい。
【0075】
上述した方法においては、絶縁膜2に細孔Hを形成し、所望の面方位に制御された表面を有する単結晶珪素片4を該表面が上面となるように細孔H内に配置した状態で、非晶質珪素膜5をレーザ照射L1により溶融状態とする。そして、細孔H内に配置した単結晶珪素片4から結晶成長させることにより、溶融状態の珪素を略単結晶珪素膜3に変化させる。
【0076】
すなわち、この方法では、従来のように絶縁膜に設ける孔の大きさやレーザ照射条件などを厳密に制御しなくても、核となる単結晶珪素片4を意図的に細孔H内に配置することにより、この単結晶珪素片4から溶融状態となった非晶質珪素膜5を容易に略単結晶成長させることができる。
【0077】
このため、非晶質珪素膜5の溶融条件の自由度が大きくなり、製造工程における制約が大きく緩和される。すなわち、従来ほど絶縁膜に設ける孔の大きさやレーザ照射条件を厳密に制御する必要がなく、細孔Hの大きさの設計の自由度が大きくなり、高価で精密な露光装置及びエッチング装置を用いる必要がない。また、非晶質珪素膜5の加熱条件、すなわち、レーザ照射条件の自由度を大きくすることができ、効率良く略単結晶珪素膜3を作製することができる。したがって、従来の方法よりも容易に、且つ確実に略単結晶珪素膜3を形成することが可能である。
【0078】
そして、この方法では、略単結晶成長した略単結晶珪素膜3の表面の面方位を所望の方向に制御することが可能である。すなわち、溶融した非晶質珪素は単結晶珪素片4の上面から略単結晶成長する際、単結晶珪素片4の上面の面方位と同一の面方位で成長するため、単結晶珪素片4の上面の面方位を制御することにより形成する略単結晶珪素膜3の表面の面方位を制御することができる。したがって、前記のように、単結晶珪素片4の表面を{100}面としておくことにより、表面が{100}面とされた略単結晶珪素膜3を容易に得ることができる。
【0079】
なお、前記においては、表面が{100}面とされた略単結晶珪素膜3について説明したが、本発明においては、略単結晶珪素膜3の表面の面方位は、{100}に限られるものではなく、表面が{100}面以外の面方位を有する略単結晶珪素膜であっても前記と同様にして作製することができる。
【0080】
この場合、単結晶珪素片4の表面が所望の面方位を有するように、単結晶珪素片4を加工する。そして、この表面が細孔Hから絶縁膜2の面内に露出するように単結晶珪素片4を細孔H内に配置することにより、前記と同様に、所望の面方位、すなわち単結晶珪素片4の表面の面方位と同一の面方位を有する略単結晶珪素膜を形成することが可能である。
【0081】
図3は、細孔Hの他の形成例を示した断面図である。前記においては、細孔Hの形状及び大きさと単結晶珪素片4の形状及び大きさを略同一とした場合について説明したが、細孔Hの深さと単結晶珪素片4の高さを異なるようにしても良い。すなわち、例えば、図3(a)に示すように細孔Hの深さを単結晶珪素片4の高さよりも大きくした構成としても良い。このような構成とした場合は、非晶質珪素膜5を形成した際に、図3(b)に示すように非晶質珪素膜5の一部が細孔H内の単結晶珪素片4上を埋めるように形成される。そして、この場合も、溶融状態となった非晶質珪素膜5は、単結晶珪素片4の上面、すなわち、所定の面方位とされた表面から結晶成長し、前記と同様に、単結晶珪素片4の表面と同一の面方位を有する略単結晶珪素膜3を得ることができる。
【0082】
図4は、細孔Hのさらに他の形成例を示した断面図である。図3においては、細孔Hを形成する際に細孔Hが絶縁膜2を該絶縁膜2の厚み方向に貫通することなく、細孔Hの底部が絶縁膜2の厚み方向の途中部分に位置する構成としているが、図4(a)に示すように細孔Hが絶縁膜2を貫通した構成としても良く、さらに、図4(b)に示すように細孔Hがガラス基板1の表面に達する構成としても良い。これらの場合においても、前記と同様に単結晶珪素片4の表面と同一の面方位を有する略単結晶珪素膜3を得ることができる。ただし、作業効率の観点からは、細孔Hの深さは浅く設定することが好ましい。
【0083】
また、これらの場合も、必ずしも絶縁膜2面内に単結晶珪素片4の上面が露出する必要はなく、単結晶珪素片4の上面が絶縁膜2の面内から多少凹んだ状態とされても構わない。ただし、上面が絶縁膜2の表面と揃っている方が半導体膜に段差がなくなるため好ましい。
【0084】
また、前記においては、細孔H及び単結晶珪素片4の形状を略立方体型とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、細孔H及び単結晶珪素片4の形状を略円柱状や略直方体状などの形状としても良い。このような構成の場合も、単結晶珪素片4の細孔Hに配置された際に上面となる面を所望の面方位としておくことにより、この面と同じ面方位を有する略単結晶珪素膜3を得ることができる。
【0085】
例えば、細孔H及び単結晶珪素片4の形状を略円柱型として表面の面方位が{100}である略単結晶珪素膜3を得るには、単結晶珪素片4の上底面及び下底面の面方位を{100}とすればよい。これにより、単結晶珪素片4が細孔Hに配置された際には、単結晶珪素片4の上底面もしくは下底面が上面となり、この面、すなわち{100}面とされた単結晶珪素片4の上面から溶融した非晶質珪素膜5の略単結晶成長が生じ、前記と同様に表面の面方位が{100}である略単結晶珪素膜3を得ることができる。
【0086】
なお、前記においては半導体薄膜として略単結晶珪素膜を形成する場合について説明したが、本発明はゲルマニウム膜やシリコン・ゲルマニウム膜など他の略単結晶半導体膜を形成する場合においても広く適用することが可能である。
【0087】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、本発明に係る半導体装置及びその製造方法について、薄膜トランジスタを例に説明する。
【0088】
図5(a)は、本発明を適用して作製した半導体装置である薄膜トランジスタの構成を示す平面図であり、図5(b)は図5(a)においてA‐A′線で切断した縦断面図である。
【0089】
本実施の形態に係る薄膜トランジスタにおいては、図5(b)に示すように、ガラス基板1上に絶縁膜2が形成され、該絶縁膜2上に半導体薄膜である略単結晶珪素膜3が形成されている。また、絶縁膜2の表面には、該絶縁膜2の厚み方向に細孔Hが設けられている。
【0090】
また、図5(b)に示すように、パターニングされた略単結晶珪素膜3の一部がソース/ドレイン領域3′とされ、該ソース/ドレイン領域3′に挟まれた部分がチャネル領域3″とされている。そして、チャネル領域3″の上部には、酸化珪素膜10を介してゲート電極11が形成され、さらに酸化珪素膜12が形成されている。
【0091】
一方、ソース/ドレイン領域3′の上部には、酸化珪素膜10及び酸化珪素膜12を介してソース/ドレイン電極13が形成されている。なお、ソース/ドレイン電極13は、コンタクトホールCを介してソース/ドレイン領域3′と接続されている。
【0092】
上述したように本実施の形態に係る薄膜トランジスタにおいては、略単結晶珪素膜3を半導体薄膜として用いて薄膜トランジスタを形成している。この略単結晶珪素膜3は、内部に欠陥が少ないため、半導体の電気特性の点で、エネルギーバンド図における禁制帯中央部付近の捕獲準位密度を多結晶珪素膜と比較して少なくさせる効果がある。また、この略単結晶珪素膜3には結晶粒界がない、もしくは少ないため、多結晶珪素膜と比較して電子や正孔といったキャリアが流れる際の障壁が大きく低減されている。
【0093】
このため、この略単結晶珪素膜3を半導体薄膜として用いて半導体装置を構成することにより、多結晶半導体膜を用いた半導体装置と比較して結晶粒界や表面に起因した状態密度が小さくなることによって半導体膜中のキャリア密度が大きくなり、且つ、結晶粒界での結晶の周期性の乱れに起因したキャリアの散乱を受けなくなることによってキャリアの移動度が向上するなど、電気的特性に優れ、低電圧で高速動作可能な半導体装置を実現することができる。
【0094】
そして、この略単結晶珪素膜3を薄膜トランジスタの能動層、すなわちソース/ドレイン領域やチャネル領域に用いて構成した本実施の形態に係る薄膜トランジスタにおいては、オフ電流や移動度、しきい値電圧に優れ、低電圧で高速動作可能な薄膜トランジスタが実現されている。
【0095】
また、この薄膜トランジスタでは、表面の面方位を所望の向きに制御して形成した略単結晶珪素膜3を能動層、すなわちソース/ドレイン領域やチャネル領域に用いて薄膜トランジスタを形成している。これにより、半導体薄膜の面方位の不均一に起因する特性の不均一性が制御された半導体装置が実現されている。
【0096】
すなわち、この薄膜トランジスタにおいては、略単結晶珪素膜3の表面の面方位は、{100}とされている。{100}面は、表面状態密度の数が他の面方位を有する面よりも少ない、すなわちキャリアトラップが少ないため、表面が{100}面に制御された略単結晶珪素膜3を用いて薄膜トランジスタを製造することにより、電気的特性の優れた高性能な薄膜トランジスタが実現されている。
【0097】
さらに、この薄膜トランジスタにおいては略単結晶珪素膜3を用いて構成したチャネル領域のチャネル方向、すなわち電流の流れる方向であるソース−ドレイン方向が<110>方向とされている。珪素薄膜を用いて構成した薄膜トランジスタにおいては、チャネル方向が<110>方向とされた場合に、最も良好な特性が期待できる。すなわち、チャネル方向が<110>方向とされたときに、キャリアの移動度が最も良好な特性を示す。ただし、半導体膜によって、または、目的に応じて細孔Hの向きを変えることにより任意の所望の結晶方位をチャネル方向と略平行にすることができる。
【0098】
したがって、この薄膜トランジスタにおいては、単結晶珪素膜3の面方位とチャネル方向とを制御することにより、すなわち、表面の面方位を{100}に制御した略単結晶珪素膜3を薄膜トランジスタの能動層に用い、さらにチャネル方向を<110>方向として構成しているため、前述のような優れた特性を有する高性能な薄膜トランジスタが実現されている。
【0099】
なお、表面の面方位を{100}に制御した略単結晶珪素膜3を形成し、且つチャネル方向を<110>方向に制御する場合には、前記の細孔Hの断面形状を四角状とすることが好ましい。細孔Hの断面形状を四角状とすることにより、形成された略単結晶珪素膜3における結晶方位を容易に且つ確実に管理することができる。これにより、チャネル方向が<110>方向とされた薄膜トランジスタを容易に作製することができる。すなわち、形成された略単結晶珪素膜3における結晶方位を容易に且つ確実に管理することで、略単結晶珪素膜3の結晶方位を考慮し、半導体薄膜の結晶方位に起因する特性を制御して半導体装置を作製することができる。
【0100】
図6は、上述した薄膜トランジスタの製造方法を示す工程図である。このような薄膜トランジスタを作製するには、まず、図6(a)に示すように絶縁膜2上に略単結晶珪素膜3を形成する。なお、略単結晶珪素膜3を形成するまでの工程は、第1の実施の形態と同様であるため、第1の実施の形態における説明を参照することとし、ここでは詳細な説明は省略する。
【0101】
次に、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を行うことにより、略単結晶珪素膜3を含む非晶質珪素膜5をパターニングし、図6(b)に示すように薄膜トランジスタ用の半導体薄膜を形成する。
【0102】
次に、図6(c)に示すように、電子サイクロトロン共鳴PECVD法(ECR‐CVD法)、平行平板PECVD法、またはLPCVD法などの方法により、略単結晶珪素膜3上に酸化珪素膜10を形成する。なお、この酸化珪素膜10は、薄膜トランジスタのゲート絶縁膜として機能するものである。
【0103】
次に、タンタルまたはアルミニウムなどの金属薄膜をスパッタリング法により形成した後、パターニングすることにより、図6(d)に示すようにゲート電極11を形成する。そして、このゲート電極11をマスクとして用いて、ドナーまたはアクセプターとなる不純物イオンのイオン注入IIを行うことにより、ソース/ドレイン領域3′とチャネル領域3″とをゲート電極11に対して自己整合的に形成する。nMOSトランジスタを作製する場合には、不純物イオンとしてリン(P)を例えば1×1016cm-2の濃度でソース/ドレイン領域に打ち込む。
【0104】
その後、ソース/ドレイン領域3′に打ち込まれた不純物元素の活性化を行う。不純物元素の活性化は、例えば照射エネルギー密度200mJ/cm2〜400mJ/cm2程度でのXeClエキシマレーザの照射や、250℃から450℃程度の温度の熱処理により行うことができる。
【0105】
次に、図6(e)に示すように、PECVD法などにより、例えば膜厚が略500nmの酸化珪素膜12を、酸化珪素膜10及びゲート電極11上に形成する。そして、ソース/ドレイン領域3′に至るコンタクトホールCを酸化珪素膜12、10に開口し、スパッタリング法などによりコンタクトホールC内及び酸化珪素膜12上のコンタクトホールCの周縁部に例えばアルミニウムを堆積し、パターニングすることによりソース/ドレイン電極13を形成する。このようにして薄膜トランジスタが完成する。
【0106】
上述した薄膜トランジスタの製造方法においては、第1の実施の形態で説明した方法を用いて略単結晶珪素膜3を作製するため、従来の方法よりも容易に、且つ確実に略単結晶珪素膜3を形成することが可能である。そして、この略単結晶珪素膜3を能動層として用いて薄膜トランジスタを作製するため、オフ電流や移動度、しきい値電圧に優れ、低電圧で高速動作可能な薄膜トランジスタを容易に、且つ確実に作製することができる。
【0107】
また、この薄膜トランジスタの製造方法においては、表面の面方位を所望の向きに制御して形成した略単結晶珪素膜3を能動層、すなわちソース/ドレイン領域やチャネル領域に用いて薄膜トランジスタを形成することができるため、半導体薄膜の面方位に起因する特性を制御して薄膜トランジスタを作製することができる。
【0108】
すなわち、この薄膜トランジスタの製造方法においては、例えば略単結晶珪素膜を能動層の半導体膜として用いた場合には、他の面方位を有する面と比べて界面準位密度が小さく、良好な特性を有する{100}面を薄膜トランジスタのMOS界面に用いて薄膜トランジスタを形成することができるため、移動度の大きい高性能な薄膜トランジスタを容易に作製することができる。
【0109】
また、この薄膜トランジスタの製造方法においては、チャネル方向に対する結晶方位も所望の向きに制御できるため、用いた半導体膜の材質や特性に合わせて最もキャリアの移動度が大きい方位とチャネル方向とを合わせることによって、より高性能な薄膜トランジスタを均一に製造することができる。すなわち、結晶珪素膜を能動層の半導体膜として用いた場合、最もキャリアの移動度が大きい<110>方向とチャネル方向とを合わせることによって、より高性能な薄膜トランジスタを均一に製造することができる。
【0110】
また、前記においては、1つの薄膜トランジスタを作製する場合について説明したが、複数の薄膜トランジスタを作製する場合には、各薄膜トランジスタ用に形成した複数の細孔Hに所定の面方位に統一された表面を有する単結晶珪素片を該表面が上面となるように配置する。
【0111】
これにより、表面の面方位が所定の方向に統一された、面方位に起因した膜質のばらつきがなく、均一な特性を有する略単結晶珪素膜を複数作製することができる。そして、この表面の面方位が所定の方向に統一された略単結晶珪素膜を用いて半導体装置を製造することにより、薄膜トランジスタ毎の特性のばらつきのない、均一な特性を有する半導体装置を複数作製することができる。
【0112】
なお、上述した薄膜トランジスタの製造方法においては、形成する細孔Hは、1個の薄膜トランジスタにつき、1個のみとした場合について説明した。これにより、非晶質珪素膜5に対するレーザ照射後に、結晶成長の核となる結晶片が1個の薄膜トランジスタにつき複数箇所で発生することを防止できる。すなわち、細孔Hを1個の薄膜トランジスタにつき1個のみ形成することにより、結晶成長の基点を一カ所のみとすることが可能となり、略単結晶珪素膜3を確実に連続形成することができるため、良好な特性を有する薄膜トランジスタを作製することができる。
【0113】
なお、前記においては半導体薄膜として略単結晶珪素膜を用いた場合について説明したが、本発明はゲルマニウム膜やシリコン・ゲルマニウム膜など他の半導体膜を用いる場合においても広く適用することが可能である。
【0114】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、本発明に係る集積回路及び電気光学装置について説明する。
【0115】
図7は、本発明に係る電気光学装置の具体例である電気光学表示装置20の集積回路構成を示したものであり、本発明に係る半導体装置の製造方法により製造された半導体装置を備えて構成されるものである。図7に示す電気光学表示装置20においては、各画素領域に電界発光効果により発光可能な発光層OELDと、それを駆動するために電荷を溜める保持容量Cを備え、さらにスイッチング素子として上述した第2の実施の形態において作製された半導体装置である薄膜トランジスタT1〜T4を備えて構成されている。
【0116】
ここで、薄膜トランジスタT1〜T4においては、表面の面方位が全て同一の方向、{100}に揃えられ、且つチャネル方向が<110>方向に揃えられた略単結晶珪素膜3が用いられている。したがって、電気光学表示装置20を構成する薄膜トランジスタは、各薄膜トランジスタによって特性のばらつきがない、均一な特性を備え、且つ良好なキャリア移動度を備えた薄膜トランジスタとされている。
【0117】
ドライバ領域21からは、走査線Vsel及び発光制御線Vgpが各画素領域Gに供給されている。また、ドライバ領域22からは、データ線Idata及び電源線Vddが各画素領域Gに供給されている。そして、走査線Vselとデータ線Idataとを制御することにより、各画素領域Gに対する電流プログラムが行われ、発光部OELDによる発光が制御可能となっている。
【0118】
以上のような電気光学表示装置20は、本発明に係る半導体装置の製造方法により製造された半導体装置、すなわち薄膜トランジスタを備えている。そして、この薄膜トランジスタは、オフ電流値が小さく、またキャリア移動度が大きく、且つ特性のばらつきのない、均一な特性を有するなどの優れた特性を持ち合わせているため、これにより構成された半導体集積回路は低電圧で高速動作に対応可能であり、且つ、低消費電力であり、また、これにより構成された電気光学表示装置は高性能、高機能、高品質、低消費電力な特性が実現されている。
【0119】
また、これらの半導体装置を構成する略単結晶珪素膜の表面の面方位は全て同一の方向{100}に揃えられ、且つチャネル方向が<110>方向に揃えられているため、各半導体装置によって特性のばらつきがない、均一な特性を備え、且つ良好なキャリア移動度を備えた半導体装置が実現されている。したがって、電気光学表示装置20においては、安定して高速動作し、半導体装置の不均一に起因する表示斑などのない高性能、高品質な電気光学装置が実現されている。
【0120】
なお、前記において説明した駆動回路は、発光要素に電流発光素子を使用する場合の回路の一例であり、他の回路構成とすることも可能である。また、発光要素には電流発光素子以外にも液晶表示素子を用いることも可能であり、この場合は液晶表示素子に対応して回路構成を変更すればよい。
【0121】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態では、本発明に係る電子機器について説明する。
【0122】
図8(a)〜図8(f)は、本発明に係る電子機器の具体例を示したものであり、本発明に係る半導体装置の製造方法により製造された半導体装置を備えて構成されるものである。
【0123】
図8(a)は、本発明に係る半導体装置の製造方法により製造された半導体装置が搭載された携帯電話30であり、該携帯電話30は、電気光学装置(表示パネル)31、音声出力部32、音声入力部33、操作部34、及びアンテナ部35などを備えて構成されている。携帯電話30においては、本発明に係る半導体装置の製造方法は、例えば表示パネルや、内蔵される集積回路に設けられる半導体装置の製造に適用される。
【0124】
図8(b)は、本発明に係る半導体装置の製造方法により製造された半導体装置が搭載されたビデオカメラ40であり、該ビデオカメラ40は、電気光学装置(表示パネル)41、操作部42、音声入力部43、及び受像部44などを備えて構成されている。ビデオカメラ40においては、本発明に係る半導体装置の製造方法は、例えば表示パネルや、内蔵される集積回路に設けられる半導体装置の製造に適用される。
【0125】
図8(c)は、本発明に係る半導体装置の製造方法により製造された半導体装置が搭載された携帯型パーソナルコンピュータ50であり、該携帯型パーソナルコンピュータ50は、電気光学装置(表示パネル)51、操作部52、及びカメラ部53などを備えて構成されている。携帯型パーソナルコンピュータ50においては、本発明に係る半導体装置の製造方法は、例えば表示パネルや、内蔵される集積回路に設けられる半導体装置の製造に適用される。
【0126】
図8(d)は、本発明に係る半導体装置の製造方法により製造された半導体装置が搭載されたヘッドマウントディスプレイ60であり、該ヘッドマウントディスプレイ60は、電気光学装置(表示パネル)61、光学系収納部62、及びバンド部63などを備えて構成されている。ヘッドマウントディスプレイ60においては、本発明に係る半導体装置の製造方法は、例えば表示パネルや、内蔵される集積回路に設けられる半導体装置の製造に適用される。
【0127】
図8(e)は、本発明に係る半導体装置の製造方法により製造された半導体装置が搭載されたリア型プロジェクター70であり、該リア型プロジェクター70は、電気光学装置(光変調器)71、光源72、光学系73、ミラー74、ミラー75、及びスクリーン77などを筐体内76に備えて構成されている。リア型プロジェクター70においては、本発明に係る半導体装置の製造方法は、例えば光変調器や、内蔵される集積回路に設けられる半導体装置の製造に適用される。
【0128】
図8(f)は、本発明に係る半導体装置の製造方法により製造された半導体装置が搭載されたフロント型プロジェクター80であり、該フロント型プロジェクター80は、電気光学装置(画像表示源)81及び光学系82などを筐体内83に備えて構成されており、画像をスクリーン84に表示可能とされている。フロント型プロジェクター80においては、本発明に係る半導体装置の製造方法は、例えば画像表示源や、内蔵される集積回路に設けられる半導体装置の製造に適用される。
【0129】
以上のような電子機器は、本発明に係る半導体装置の製造方法により製造された半導体装置を備えている。そして、この半導体装置は、オフ電流値が小さく、またキャリア移動度が大きく、且つ特性のばらつきのない、均一な特性を有するなどの優れた特性を持ち合わせているため、これにより構成された半導体集積回路は高速動作に対応可能であり、且つ、低消費電力であり、また、これにより構成された電子機器は高性能、高機能、高品質、低消費電力な特性が実現されている。
【0130】
なお、本発明に係る半導体装置の製造方法は、前記の電子機器に限らず、あらゆる電子機器の製造に適用可能である。例えば、前記の他にも、腕時計、ICカード、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示板、宣伝広告用ディスプレイなどの製造にも適用可能であり、高品質な電子機器が実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る半導体薄膜を示す図である。
【図2】 半導体薄膜の製造方法を示す工程図である。
【図3】 細孔の他の形成例を示した断面図である。
【図4】 細孔のさらに他の形成例を示した断面図である。
【図5】 本発明に係る薄膜トランジスタを示す図である。
【図6】 薄膜トランジスタの製造方法を示す工程図である。
【図7】 本発明に係る電気光学装置の例を示す構成図である。
【図8】 本発明に係る電気機器の例を示す図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板、2 絶縁膜、3 略単結晶珪素膜、3′ ソース/ドレイン領域、3″ チャネル領域、4 単結晶珪素片、5 非晶質珪素膜、10 酸化珪素膜、11 ゲート電極、12 酸化珪素膜、13 ソース/ドレイン電極

Claims (1)

  1. 少なくとも一方の表面が絶縁性の基板の絶縁性表面に厚み方向に細孔を形成する工程と、
    前記細孔に所定の面方位とされた表面を有する単結晶半導体片を該表面が上面となるように配置する工程と、
    前記単結晶半導体片上と前記絶縁性表面上に半導体材料を堆積して半導体膜を形成する工程と、
    前記半導体膜にレーザを照射して前記半導体膜を溶融・再結晶化することにより前記単結晶半導体片の表面と同一面方位を有する略単結晶半導体膜を前記細孔を中心とした領域に形成する工程と、
    前記略単結晶半導体膜を少なくともチャネル領域として用いて薄膜トランジスタを形成する工程とを含み、
    前記半導体材料は珪素であり、前記半導体膜は珪素膜であり、前記単結晶半導体片は単結晶珪素片であり、
    前記単結晶半導体片の形状が略立方体状であるとともに、前記細孔の形状は開口部が正方形状の直方体状または立方体状であり、前記単結晶半導体片の各面の面方位がいずれも{100}であり、
    前記細孔を形成する工程において、前記細孔の正方形状の開口部の対角線方向が、形成する薄膜トランジスタのチャネル方向に一致するように、前記細孔を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
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