JP4264968B2 - 半導体薄膜の製造方法、半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体薄膜及び半導体装置の製造方法に関する。特に、略単結晶状態の珪素膜(結晶性珪素膜)を好適に形成させることのできる半導体薄膜の形成方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
今まで、多結晶珪素薄膜トランジスタ(p−SiTFT)に代表される薄膜半導体装置を比較的低温にて製造する方法として、非晶質珪素膜をレーザで熱処理し多結晶珪素膜を形成し、この多結晶珪素膜を半導体膜としてゲート電極、金属薄膜にて配線を形成して薄膜半導体装置を製造する方法が提案されていた。しかしこの方法では、レーザ光のエネルギー制御が難しく、製造される半導体膜の性質にばらつきが生じるため、これに代わり、このような問題の生じない略単結晶珪素膜を成長させる技術が提案されていた。このような技術は、例えば、文献「Single Crystal Thin Film Transistors;IBM TECHNICAL DISCLOSURE BULLETIN Aug.1993 pp257-258」(非特許文献1)や、文献「Advanced Excimer-Laser Crystallization Techniques of Si Thin-Film For Location Control of Large Grain on Glass;R.Ishihara 等, proc.SPIE 2001, vol.4295 p.14〜23」(非特許文献2)などの文献に記載されている。
【0003】
これら文献には、基板上の絶縁膜に穴(微細孔)を開けて、この絶縁膜上及び微細孔内に非晶質珪素膜を形成した後、この非晶質珪素膜にレーザを照射して、前記穴の底部内の非晶質珪素を非溶融状態に保持しながら、その他の部分の非晶質珪素膜を溶融状態にすることにより、非溶融状態に保持された非晶質珪素を結晶核とした結晶成長を生じさせて、略単結晶状態の珪素膜を形成することが開示されている。
【0004】
【非特許文献1】
「Single Crystal Thin Film Transistors」, IBM TECHNICAL DISCLOSURE BULLETIN Aug.1993 pp257-258
【非特許文献2】
「Advanced Excimer-Laser Crystallization Techniques of Si Thin-Film For Location Control of Large Grain on Glass 」, R.Ishihara等, proc.SPIE 2001, vol.4295, p.14〜23
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の方法では、微細孔を形成した基板上に非晶質珪素膜を形成する際に、当該微細孔の内部に非晶質珪素膜を確実に堆積させることが重要である。しかしながら従来の方法では、微細孔の内部に十分に非晶質シリコン膜が堆積する前に微細孔の上部(開口部)が塞がって微細孔内にボイド(空孔)が生じてしまうなど、微細孔内に非晶質珪素膜を十分に堆積させることができない場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、微細孔を結晶成長の起点として半導体膜の溶融結晶化を行う場合において当該微細孔内に半導体膜を確実に堆積させることを可能とする技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の半導体薄膜の製造方法は、基板上に形成された絶縁膜に微細孔を形成する工程と、絶縁膜上に半導体材料を含む液体材料を塗布すると共に微細孔内に上記液体材料を充填し、熱処理を加えて非単結晶半導体膜を形成する工程と、非単結晶半導体膜を溶融結晶化させて結晶性半導体膜を形成する工程と、を備える。
【0007】
基板上及び微細孔に半導体膜(例えば非晶質珪素膜など)を堆積させる場合に、減圧CVD法(LPCVD法)を用いると、比較的に微細孔への埋め込みを良好に行うことができるものの、微細孔の上側の部分において半導体膜にへこみ(凹部)が生じ、半導体膜の平坦性が確保できない場合が多い。このような微細孔上の凹部は、その後の溶融結晶化のためのレーザ照射を行った際に、レーザ光の照射量が場所によって不均一となることから、半導体膜の結晶性を改善する効果を十分に得られないことになる。またLPCVD法は大型基板の処理には適さないという事情もある。一方、半導体膜の堆積をプラズマ励起CVD法(PECVD法)によって行う場合には、比較的に大型基板に適するものの、微細孔への半導体膜の埋め込みを良好に行うことが難しく、微細孔内にボイド(空孔)が生じてしまう場合があった。このようなボイドが生じると、微細孔による作用を十分に発揮させて半導体膜の結晶性の改善を行うことが難しくなる。
【0008】
そこで、本発明では、半導体材料を含有する液体材料を用いて半導体膜(非単結晶半導体膜)の形成を行うこととしている。液体の流動性を利用することにより、微細孔内へ当該液体材料を確実に充填して非単結晶半導体膜を形成することが可能となる。これにより、略単結晶状態の半導体膜(結晶性半導体膜)を確実に得ることが可能となる。また、液体材料を用いていることから、微細孔上に凹部が生じることを回避し、当該微細孔部分を含めて全体的に表面がほぼ完全に平坦な非単結晶半導体膜を形成することが可能となる。これにより、レーザ照射等による熱処理の均一化が図られ、溶融結晶化後に得られる結晶性半導体膜の均質化を図ることが可能となる利点も生じる。
【0009】
なお、本発明において「略単結晶」とは、結晶粒が単一である場合のみならずこれに近い状態、すなわち、複数の結晶が組合わさっていてもその数が少なく、半導体薄膜の性質の観点からほぼ単結晶により形成された半導体薄膜と同等の性質を備えている場合も含む。
【0010】
また、本発明の半導体薄膜の製造方法は、基板上に形成された絶縁膜に微細孔を形成する微細孔形成工程と、微細孔内に半導体材料を含む液体材料を充填し、熱処理を加えて第1の非単結晶半導体膜を形成する半導体膜形成工程と、絶縁膜上及び第1の非単結晶半導体膜上に第2の非単結晶半導体膜を形成する工程と、第1及び第2の非単結晶半導体膜を溶融結晶化させて結晶性半導体膜を形成する工程と、を備える。
【0011】
半導体材料を含有する液体材料を用いて半導体膜(第1の非単結晶半導体膜)の形成を行っているので、液体の流動性により、微細孔内へ当該液体材料を確実に充填することが可能となる。これにより、略単結晶状態の半導体膜(結晶性半導体膜)を確実に得ることが可能となる。また、微細孔内が第1の非単結晶半導体膜で埋められるので、その後に第2の非単結晶半導体膜の形成を行う際には、微細孔が埋められた状態の基板上、すなわち、ほぼ平坦と見なせる基板面に成膜を行うことが可能となる。したがって、微細孔への埋め込み性を考慮する必要がなくなることから、大面積の処理に有利な成膜法(例えばPECVD法など)を用いて第2の非単結晶半導体膜の形成を行うことが可能となる利点も生じる。
【0012】
上述した液体材料は、珪素化合物及びドーパント源を含有するものであることが好ましい。珪素化合物の具体例としては、シクロペンタシラン(Si5H10)など、1個以上の環状構造を持ったものに、紫外線を照射することによって光重合させて高次シランとしたものが挙げられる。また、ドーパント源の具体例としては、リンなどの5族元素あるいはホウ素などの3族元素を含有する物質が挙げられる。このような珪素化合物及びドーパント源を含有する液体材料を使用することにより、ドーパントが高濃度にドーピングされた珪素膜を容易に形成することができる。
【0013】
また、上記液体材料は、液滴吐出法によって絶縁膜上あるいは微細孔内に供給されることが好ましい。ここで、本発明において「液滴吐出法」とは、圧電素子等を含んで構成される吐出ヘッドを用いて液滴を所望の領域に吐出する方法であり、インクジェット法と呼ばれる場合もある。但し、この場合、吐出対象となる液滴は、印刷物に用いられる所謂インクではなく、半導体膜を構成する材料物質を含む液状体であり、乾燥、固化することによって半導体として機能し得る物質を含むものである。さらに、液滴吐出とは、吐出時に噴霧されるものに限らず、液状体の1滴1滴が連続するように吐出される場合も含む。液滴吐出法を採用することにより、滴下位置及び滴下量を適切に制御し、かつ高速に液体材料の供給を行うことが可能となる。
【0014】
また、上述した第2の非単結晶半導体膜は、化学気相堆積法(CVD法)によって形成されることが好ましい。特に、PECVD法を用いることが好適である。
【0015】
上述した非単結晶半導体膜の溶融結晶化は、微細孔以外の領域にある非単結晶半導体膜を略完全溶融状態にすると共に、微細孔内の非単結晶半導体膜を部分溶融状態にする条件にして行われることが好ましい。かかる条件により、溶融結晶化をより良好に行うことができる。
【0016】
また、上記溶融結晶化は、レーザ照射によって行われることが好ましい。これにより、溶融結晶化を効率よく行うことが可能となる。用いるレーザとしては、エキシマレーザ、固体レーザ、ガスレーザなど種々のものが考えられる。
【0017】
また、本発明は、上述した半導体薄膜の製造方法によって製造される結晶性半導体膜を使用して半導体装置を形成する素子形成工程を備える半導体装置の製造方法でもある。ここで、本発明において「半導体装置」とは、本発明に係る結晶性半導体膜を備える装置をいい、トランジスタ、ダイオード、抵抗、インダクタ、キャパシタ、その他能動素子・受動素子を問わない単体の素子を含む。上述した本発明に係る結晶性半導体膜を使用することにより、特性の優れた半導体装置を得ることが可能となる。
【0018】
また、上述した半導体装置の製造方法においては、結晶性半導体膜の微細孔を含まない部分を使用して半導体装置の形成を行うと更に好適である。微細孔近傍では結晶性が若干劣る部分が形成される場合があるため、この部分を含まないようにして半導体装置を形成すると、半導体装置の特性を更に向上させることが可能となる。
【0019】
また、上述した半導体装置の製造方法において、半導体装置として薄膜トランジスタを形成する場合には、微細孔を当該薄膜トランジスタを形成する位置に対応させて設けることが好ましい。これにより、薄膜トランジスタの形成対象となる領域を的確に選択して当該領域に結晶性半導体膜を形成することが可能となる。
【0020】
また、本発明は、上述した製造方法を適用して製造される半導体装置でもある。更に、本発明は、上記本発明に係る半導体装置を備える集積回路であり、電気光学装置であり、また電子機器でもある。
【0021】
ここで「集積回路」とは、一定の機能を奏するように半導体装置及び関連する配線等が集積され配線された回路(チップ)をいう。
【0022】
本発明は、電気光学装置において、複数の画素領域と、画素領域毎に設けられた半導体装置と、半導体装置により制御される電気光学素子と、を備え、半導体装置は、本発明に係る半導体装置の製造方法により製造されるものでもある。
【0023】
ここで「電気光学装置」とは、本発明に係る半導体装置を備えた、電気的作用によって発光するあるいは外部からの光の状態を変化させる電気光学素子を備えた装置一般をいい、自ら光を発するものと外部からの光の通過を制御するもの双方を含む。例えば、電気光学素子として、液晶素子、電気泳動粒子が分散した分散媒体を有する電気泳動素子、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、電界の印加により発生した電子を発光板に当てて発光させる電子放出素子を備えたアクティブマトリクス型の表示装置等をいう。
【0024】
ここで「電子機器」とは、本発明に係る半導体装置を備えた一定の機能を奏する機器一般をいい、例えば電気光学装置やメモリを備えて構成される。その構成に特に限定が無いが、例えば、ICカード、携帯電話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、リア型またはフロント型のプロジェクター、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が含まれる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態における半導体薄膜の製造方法を説明する図である。
【0026】
(微細孔形成工程)
先ず、図1(a)に示すように、基板10上に絶縁膜としての酸化珪素膜12を形成する。基板10上への酸化珪素膜12の形成方法としては、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)や低圧化学気相堆積法(LPCVD法)、あるいはスパッタリング法等の物理気相堆積法が挙げられる。例えば、PECVD法により厚さ数100nmの酸化珪素膜12を形成できる。
【0027】
次に、図1(a)に示すように、酸化珪素膜12の所定位置に微細孔14を形成する。例えば、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程を行うことにより、酸化珪素膜12の面内の所定位置に、断面が直径0.1μm程度の円形である微細孔14を開口できる。例えば、エッチング方法としてCHF3ガスのプラズマを用いた反応性イオンエッチングにより行うことができる。上記微細孔14の直径が0.5μm程度の場合は、該微細孔14を有する基板全面に新たな酸化硅素膜を堆積することにより、微細孔14の直径を0.1μm程度にすることができる。
【0028】
(成膜工程)
次に、図1(b)に示すように、酸化珪素膜12上に半導体材料を含有する液体材料を塗布すると共に微細孔14内に当該液体材料を充填し、その後に熱処理(例えば、300℃〜400℃程度)を加えて非晶質珪素膜16を形成する。本実施形態では、上述した液体材料として、リンなどの5族元素あるいはホウ素などの3族元素を含有する物質をドーパント源として添加した珪素化合物を含有する溶液、または上述した3族又は5族元素で変性された珪素化合物と変性されていない珪素化合物とを含有する溶液を液滴吐出法(インクジェット法)によって供給する。なお、液滴吐出法以外の方法(例えばスピンコート法など)によって液体材料を供給してもよい。また、ドーパント源となる物質の濃度は、薄膜トランジスタの電気的特性(特にしきい値Vth)を制御するために適宜加えられるものである。
【0029】
ここで、上述した液体材料に含まれる珪素化合物としては、例えば、シクロペンタシラン(Si5H10)など、1個以上の環状構造をもったものに紫外線を照射することによって光重合させて高次シランとしたものを用いることが好適である。この場合には、リン化合物やホウ素化合物を混合した後に紫外線を照射し、重合時にこれらを取り込んだ形で高次シラン化合物とすることが更に好ましい。また、液体材料を形成するための溶媒としては、珪素化合物を溶解し、かつ珪素化合物と反応しないものであれば特に限定されないが、室温での蒸気圧が0.001〜200mmHgのものが好適である。このような溶媒の具体例としては、ベンゼンやトルエンなどの炭素水素系溶媒が挙げられる。
【0030】
(溶融結晶化工程)
次に、図1(c)に示すように、非晶質珪素膜16にレーザを照射して部分的に溶融させる。例えば、XeClパルスエキシマレーザ(波長308nm、パルス幅30nsec)を用い、エネルギー密度:0.4〜1.5J/cm2(非晶質珪素膜16の膜厚50nm〜500nm、好ましくは50nm〜250nmに対応)でレーザ照射を行うことにより、部分的溶融が達成できる。
【0031】
ここで、照射されたXeClパルスエキシマレーザは非晶質珪素膜16の表面近傍でほとんどが吸収される。これはXeClパルスエキシマレーザの波長(308nm)における非晶質珪素および結晶性珪素の吸収係数が其々0.139nm−1と0.149nm−1と大きいためである。また、酸化珪素膜12は、上記レーザに対して略透明であって、このレーザのエネルギーを吸収しないため、レーザ照射によって溶融しない。これにより、微細孔14以外の領域にある非晶質珪素膜16は、膜厚方向全域に渡ってほぼ完全に溶融した状態となる。また、微細孔14内にある非晶質珪素膜16は表面が溶融し微細孔14の底部では溶融しない状態(部分溶融状態)となる。
【0032】
レーザ照射後の珪素の凝固は、微細孔14の内部で先に始まり、その後非晶質珪素膜16の略完全溶融状態となっている部分(表面側の部分)に至る。このとき、微細孔14の底部近傍ではいくつかの結晶粒が発生するが、微細孔14の断面寸法(本実施形態では、円の直径)を1個の結晶粒と同程度か少し小さい程度にしておくことにより、微細孔14の上部(開口部)には1個の結晶粒のみが到達するようになる。これにより、非晶質珪素膜16の略完全溶融状態の部分では微細孔14の上部に到達した1個の結晶粒を核として結晶成長が進行するようになり、図1(d)に示すように、微細孔14を略中心とした領域に略単結晶状態の珪素膜(結晶性珪素膜)18が形成される。
【0033】
この結晶性珪素膜(結晶性半導体膜)18は、内部に欠陥が少なく、半導体膜の電気特性の点で、エネルギーバンドにおける禁制帯中央部付近の捕獲準位密度が少なくなる効果が得られる。また、結晶粒界がほぼ無いと見なせるために、電子や正孔といったキャリアが流れる際の障壁を大きく減少できる効果が得られる。この結晶性珪素膜18を薄膜トランジスタの能動層(ソース/ドレイン領域やチャネル形成領域)に用いると、オフ電流値が小さく移動度の大きな優良な薄膜トランジスタが得られる。
【0034】
(素子形成工程)
図2は、本実施の形態で製造する半導体装置(薄膜トランジスタ)の平面図であり、図3は図2におけるA−A’線断面に相当する断面図である。なお、上述した図1は図2のB−B’線断面に相当する断面図である。
【0035】
先ず、図3(a)に示すように、結晶性珪素膜18を含む珪素膜をパターニングして、薄膜トランジスタTの形成に用いる半導体膜を形成する。ここで、説明の便宜上、パターニングがなされる以前の結晶性珪素膜18を「結晶性珪素膜18a」、パターニングがなされた後の結晶性珪素膜18を「結晶性珪素膜18b」と、それぞれ符号を置き換える。図2においては、パターニングがなされる以前の結晶性珪素膜18aを点線により示し、パターニングがなされた後の結晶性珪素膜18bを実線により示している。図2に示すように、結晶性珪素膜18aの面内で微細孔14を含まない部分をパターニングによって切り出して、当該部分(すなわち、結晶性珪素膜18b)を薄膜トランジスタTの能動層に割り当てることは好ましい。微細孔から遠ざかると結晶の性質がより安定するからである。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、酸化珪素膜12および結晶性珪素膜18bの上に酸化珪素膜20を形成する。例えば、酸化珪素膜20は、電子サイクロトロン共鳴PECVD法(ECR−CVD法)またはPECVD法にて形成できる。この酸化珪素膜20は薄膜トランジスタTのゲート絶縁膜として機能するものである。
【0037】
次に、図3(c)に示すように、タンタルまたはアルミニウムの金属薄膜をスパッタリング法により形成した後、パターニングすることによって、ゲート電極22を形成する。次に、このゲート電極22をマスクとしてドナーまたはアクセプターとなる不純物イオンを打ち込み、ソース/ドレイン領域24とチャネル形成領域26をゲート電極22に対して自己整合的に作製する。
【0038】
NMOSトランジスタを作製する場合、例えば、不純物元素としてリン(P)を1×1016cm−2の濃度でソース/ドレイン領域に打ち込む。その後、XeClエキシマレーザを照射エネルギー密度400mJ/cm2程度で照射するか、250℃〜450℃程度の温度で熱処理することにより不純物元素の活性化を行う。
【0039】
次に、図3(d)に示すように、酸化珪素膜20およびゲート電極22の上面に、酸化珪素膜28を形成する。例えば、PECVD法で約500nmの酸化珪素膜28を形成する。次に、ソース/ドレイン領域24に至るコンタクトホールを酸化珪素膜20、28に開けて、コンタクトホール内および酸化珪素膜28上のコンタクトホールの周縁部にソース/ドレイン電極30を形成する。ソース/ドレイン電極30は、例えばスパッタリング法によりアルミニウムを堆積して形成するとよい。また、ゲート電極22に至るコンタクトホールを酸化珪素膜28に開けて、ゲート電極22用の端子電極32(図2参照)を形成する。以上で、本発明に係る半導体装置としての薄膜トランジスタTが作製できる。
【0040】
このように、第1の実施形態では、半導体材料を含有する液体材料を用いて非晶質珪素膜16(非単結晶半導体膜)の形成を行っているので、液体の流動性により微細孔14内へ当該液体材料を確実に充填して非晶質珪素膜16を形成することが可能となる。これにより、結晶性珪素膜18(結晶性半導体膜)を確実に得ることが可能となる。また、液体材料を用いていることから、微細孔14上にへこみ(凹部)が生じることを回避し、当該微細孔14部分を含めて全体的に表面がほぼ完全に平坦な非晶質珪素膜を形成することが可能となる。これにより、レーザ照射による熱処理の均一化が図られ、溶融結晶化後に得られる結晶性半導体膜18の均質化を図ることが可能となる利点もある。
<第2の実施形態>
図4は、第2の実施形態における半導体薄膜の製造方法を説明する図である。なお、本第2の実施形態の製造方法は、基本的には上述した第1の実施形態の製造方法と同様であるため、重複する内容については適宜省略して説明を行う。
【0041】
(微細孔形成工程)
先ず、図4(a)に示すように、基板10上に絶縁膜としての酸化珪素膜12を形成し、当該酸化珪素膜12の所定位置に微細孔14を形成する。酸化珪素膜12及び微細孔14を形成する際の諸条件は上述した第1の実施形態の場合と同様である。
【0042】
(第1の成膜工程)
次に、図4(b)に示すように、微細孔14内に液体材料を充填し、その後に熱処理(例えば、300℃〜400℃程度)を加えて非晶質珪素膜16aを形成する。なお、当該非晶質珪素膜16aが「第1の非単結晶半導体膜」に対応している。本実施形態においても、液体材料の供給は液滴吐出法によって行うことが好ましいが、他の方法を用いてもよい。また、液体材料の好適な例については上述した通りである。
【0043】
(第2の成膜工程)
次に、図4(c)に示すように、酸化珪素膜12上及び非晶質珪素膜16a上に非晶質珪素膜16bを形成する。この非晶質珪素膜16bは、例えば、プラズマ励起CVD法(PECVD法)や減圧CVD法(LPCVD法)によって形成することが好適である。なお、当該非晶質珪素膜16bが「第2の非単結晶半導体膜」に対応している。
【0044】
(溶融結晶化工程)
次に、図4(d)に示すように、非晶質珪素膜16a及び16bにレーザ照射を行うことによりこれらを溶融結晶化させる。レーザ照射の好適な諸条件についても上述した通りである。これにより、図4(e)に示すように、微細孔14を略中心とした領域に略単結晶状態の珪素膜(結晶性珪素膜)18が形成される。
【0045】
上述したように、溶融結晶化により得られる結晶性珪素膜18は、内部に欠陥が少なく、半導体膜の電気特性の点で、エネルギーバンドにおける禁制帯中央部付近の捕獲準位密度が少なくなる効果が得られる。また、結晶粒界がほぼ無いと見なせるために、電子や正孔といったキャリアが流れる際の障壁を大きく減少できる効果が得られる。この結晶性珪素膜18を用いて薄膜トランジスタを形成することにより、オフ電流値が小さく移動度の大きな優良な薄膜トランジスタが得られる。なお、薄膜トランジスタの形成工程(素子形成工程)については、上述した第1の実施形態と同様(図3参照)であるため説明を省略する。
【0046】
このように、第2の実施形態では、半導体材料を含有する液体材料を用いて非晶質珪素膜16a(第1の非単結晶半導体膜)の形成を行っているので、液体の流動性により、微細孔14内へ当該液体材料を確実に充填することが可能となる。これにより、結晶性珪素膜(結晶性半導体膜)を確実に得ることが可能となる。また、微細孔14内が非晶質珪素膜16aで埋められるので、その後に非晶質珪素膜16bの形成を行う際には、微細孔14が埋められた状態の基板10上、すなわち、ほぼ略平坦と見なせる基板面に成膜を行うことが可能となる。したがって、微細孔14への埋め込み性を考慮する必要がなくなることから、大面積の処理に有利なPECVD法などの成膜法を用いて非晶質珪素膜14bの形成を行うことが可能となる。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態は、本発明の半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置等を備えた電気光学装置に関する。
【0047】
図5に、第3の実施形態における電気光学(表示)装置100の接続図を示す。本実施の形態の表示装置100は、各画素領域に電界発光効果により発光可能な発光層OELD、それを駆動するための電流を記憶する保持容量を備え、さらに本発明の製造方法によって製造される半導体装置、ここでは薄膜トランジスタT1〜T4を備えて構成されている。ドライバ領域101からは、走査線Vsel及び発光制御線Vgpが各画素領域に供給されている。ドライバ領域102からは、データ線Idataおよび電源線Vddが各画素領域に供給されている。走査線Vselとデータ線Idataとを制御することにより、各画素領域に対する電流プログラムが行われ、発光部OELDによる発光が制御可能になっている。
【0048】
なお、上記駆動回路は、発光要素に電界発光素子を使用する場合の回路の一例であり他の回路構成も可能である。また、ドライバ領域101、102のそれぞれを構成する集積回路を本発明に係る半導体装置によって形成することも好適である。
<第4の実施形態>
第4の実施形態は、本発明の半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置等を備えた電子機器に関する。
【0049】
図6に、本第4の実施形態における電子機器の例を挙げる。図6(a)は本発明の製造方法によって製造される半導体装置等が搭載された携帯電話の例であり、当該携帯電話230は、電気光学装置(表示パネル)100、アンテナ部231、音声出力部232、音声入力部233及び操作部234を備えている。本発明の半導体装置の製造方法は、例えば表示パネル100や内蔵される集積回路に設けられる半導体装置の製造に適用される。図6(b)は本発明の製造方法によって製造される半導体装置等が搭載されたビデオカメラの例であり、当該ビデオカメラ240は、電気光学装置(表示パネル)100、受像部241、操作部242及び音声入力部243を備えている。本発明の半導体装置の製造方法は、例えば表示パネル100や内蔵される集積回路に設けられる半導体装置の製造に適用される。
【0050】
図6(c)は本発明の製造方法によって製造される半導体装置等が搭載された携帯型パーソナルコンピュータの例であり、当該コンピュータ250は、電気光学装置(表示パネル)100、カメラ部251及び操作部252を備えている。本発明の半導体装置の製造方法は、例えば表示パネル100や内蔵される集積回路に設けられる半導体装置の製造に適用される。図6(d)は本発明の製造方法によって製造される半導体装置等が搭載されたヘッドマウントディスプレイの例であり、当該ヘッドマウントディスプレイ260は、電気光学装置(表示パネル)100、バンド部261及び光学系収納部262を備えている。本発明の半導体装置の製造方法は、例えば表示パネル100や内蔵される集積回路に設けられる半導体装置の製造に適用される。
【0051】
図6(e)は本発明の製造方法によって製造される半導体装置等が搭載されたリア型プロジェクターの例であり、当該プロジェクター270は、電気光学装置(光変調器)100、光源272、合成光学系273、ミラー274、275を筐体271内に備えている。本発明の半導体装置の製造方法は、例えば光変調器100や内蔵される回路に設けられる半導体装置の製造に適用される。図6(f)は本発明の製造方法によって製造される半導体装置等が搭載されたフロント型プロジェクターの例であり、当該プロジェクター280は、電気光学装置(画像表示源)100及び光学系281を筐体282内に備え、画像をスクリーン283に表示可能になっている。本発明の半導体装置の製造方法は、例えば画像表示源100や内蔵される集積回路に設けられる半導体装置の製造に適用される。
【0052】
上記例に限らず本発明に係る半導体装置の製造方法は、あらゆる電子機器の製造に適用可能である。例えば、この他に、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ、ICカードなどにも適用することができる。
【0053】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されることなく、本発明の要旨の範囲内で種々に変形、変更実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、半導体膜の一例として珪素膜を採り上げて説明していたが、半導体膜はこれに限定されるものではない。また、上述した実施形態では、本発明に係る結晶性半導体膜を用いて形成される半導体素子の一例として薄膜トランジスタを採り上げて説明していたが、半導体素子はこれに限定されるものではなく、他の素子(例えば、薄膜ダイオード等)を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態における半導体薄膜の製造方法を説明する図である。
【図2】 本実施の形態で製造する半導体装置(薄膜トランジスタ)の平面図である。
【図3】 図2におけるA−A’線断面に相当する断面図である。
【図4】 第2の実施形態における半導体薄膜の製造方法を説明する図である。
【図5】 第3の実施の形態における電気光学装置の接続図である。
【図6】 第4の実施の形態における電子機器の例を示す図である。
【符号の説明】
10…基板、 12、20、28…酸化珪素膜、 14…微細孔、 16…非晶質珪素膜、 18…結晶性珪素膜(略単結晶状態の珪素膜)、 22…ゲート電極、 24…ソース/ドレイン領域、 26…チャネル形成領域、 30…ソース/ドレイン電極、 32…端子電極、 100…電気光学装置、 T…薄膜トランジスタ
Claims (6)
- 基板上に形成された絶縁膜に穴を形成する穴形成工程と、
前記穴内に半導体材料を含む液体材料を充填し、熱処理を加えて第1の非単結晶半導体膜を形成する第1の成膜工程と、
前記絶縁膜上及び前記第1の非単結晶半導体膜上に第2の非単結晶半導体膜を形成する第2の成膜工程と、
前記第1及び第2の非単結晶半導体膜を、前記穴以外の領域にある部分は膜厚方向全域に溶融し、前記穴にある部分は表面が溶融し当該穴の底部では溶融しない状態で溶融結晶化させ、当該穴の上部に到達した1個の結晶粒を起点として結晶性半導体膜を形成する溶融結晶化工程と、
を備える半導体薄膜の製造方法。 - 前記液体材料は珪素化合物及びドーパント源を含有する、請求項1に記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記液体材料は液滴吐出法によって供給される、請求項1又は2に記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記第2の非単結晶半導体膜は化学気相堆積法によって形成される、請求項1に記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記溶融結晶化は、レーザ照射によって行われる、請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体薄膜の製造方法によって製造される前記結晶性半導体膜を使用して半導体装置を形成する素子形成工程を備え、
前記素子形成工程は、前記結晶性半導体膜の前記穴を含まない部分を使用して前記半導体装置を形成する、
半導体装置の製造方法。
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