JP4288654B2 - 半導体薄膜の製造方法、半導体装置の製造方法、半導体装置、集積回路、電気光学装置及び電子機器 - Google Patents
半導体薄膜の製造方法、半導体装置の製造方法、半導体装置、集積回路、電気光学装置及び電子機器 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、薄膜トランジスタ等の半導体素子を含んで構成される半導体装置の製造方法及び当該製造方法を用いて製造される半導体装置、電気光学装置、電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置やEL(エレクトロルミネセンス)表示装置などの電気光学装置においては、薄膜トランジスタ等の半導体素子を含んで構成される薄膜回路を用いて画素のスイッチングなどを行っている。従来の薄膜トランジスタは、非晶質硅素膜を用いて、活性領域(チャネル形成領域)を形成している。また、多結晶硅素膜を用いて活性領域を形成した薄膜トランジスタも実用化されている。多結晶硅素膜を用いることにより、非晶質硅素膜を用いた場合に比較して移動度などの電気的特性が向上し、薄膜トランジスタの性能を向上させることができる。
【0003】
また、薄膜トランジスタの性能を更に向上させるために、大きな結晶粒からなる半導体膜を形成し、薄膜トランジスタの形成領域内に結晶粒界が入り込まないようにする技術が検討されている。例えば、基板上に微細な穴(微細孔)を形成し、この微細孔を結晶成長の起点として半導体膜の結晶化を行うことにより、数μm程度の硅素の結晶粒を形成する技術がいくつかの文献において提案されていた(非特許文献1及び非特許文献2)。この従来技術では、基板上及び微細孔内に非晶質硅素膜を形成した後に当該非晶質硅素膜にレーザ照射を行って、微細孔の底部近傍の非晶質硅素膜を非溶融状態に保持しながら、その他の部分の非晶質硅素膜を溶融状態にすることにより、非溶融部分に保持された非晶質硅素を結晶核とした結晶成長を生じさせて、略単結晶状態の硅素膜(結晶性の硅素膜)を形成している。当該技術を用いて形成される、大きな結晶粒を含む硅素膜を用いて薄膜トランジスタを形成することにより、移動度等の電気的特性に優れた薄膜トランジスタを実現することが可能になる。
【0004】
【非特許文献1】
「Single Crystal Thin Film Transistors」, IBM TECHNICAL DISCLOSURE BULLETIN Aug.1993 pp257-258
【0005】
【非特許文献2】
「Advanced Excimer-Laser Crystallization Techniques of Si Thin-Film For Location Control of Large Grain on Glass 」, R.Ishihara等, proc.SPIE 2001, vol.4295, p.14〜23
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の方法では、微細孔を形成した基板上に非晶質硅素膜を形成する際に、当該微細孔の内部に非晶質硅素膜を確実に堆積させることが重要である。しかしながら従来の方法では、微細孔の内部に十分に非晶質硅素膜が堆積する前に微細孔の上部(開口部)が塞がって微細孔内にボイド(空孔)が生じてしまう場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、微細孔内に半導体膜を確実に堆積させた状態にして、微細孔を結晶成長の起点とした半導体膜の溶融結晶化を行うことを可能とする技術を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の半導体薄膜の製造方法は、基板上に下地絶縁膜を形成する下地絶縁膜形成工程と、下地絶縁膜に微細孔を形成する微細孔形成工程と、微細孔内及び下地絶縁膜上に半導体膜を形成する半導体膜形成工程と、半導体膜を溶融結晶化させて結晶性半導体膜を得る溶融結晶化工程と、を含み、上記半導体膜形成工程は、極薄半導体膜を付着させる極薄半導体膜付着工程と、極薄半導体膜を凝集させる極薄半導体膜凝集工程とを含んでいる。
【0009】
かかる製造方法では、流動性を有する状態となるように極薄い膜厚とした極薄半導体膜を付着させ、その後当該極薄半導体膜を凝集させているので、凝集後の極薄半導体膜によって微細孔内を確実に埋設することができる。したがって、微細孔内に半導体膜を確実に堆積させた状態にして、微細孔を結晶成長の起点とした半導体膜の溶融結晶化を行うことが可能となる。
【0010】
上述した半導体膜形成工程は、不活性雰囲気や還元性雰囲気といった非酸化性雰囲気の減圧下にてなされることが望ましい。これにより、流動性を保った状態の極薄半導体膜を確実に得ることができる。
【0011】
また、半導体膜形成工程は、極薄半導体膜付着工程と極薄半導体膜凝集工程とを複数回交互に繰り返して行うことが好ましい。極薄半導体膜付着工程及び極薄半導体膜凝集工程を1回行うことによって微細孔内に埋設される半導体の量は、微細孔の形状(深さ、孔径等)やプロセス条件などの要因によって増減する。したがって、上記各工程を行う回数を必要に応じて適宜増減することにより、微細孔内に半導体を必要な量だけ十分に埋設することが可能となる。
【0012】
また、半導体膜形成工程は、極薄半導体膜付着工程と極薄半導体膜凝集工程とを複数回交互に繰り返した後、最後に薄膜半導体膜付着工程を行うことが望ましい。これにより、半導体素子を形成するのに必要十分な膜厚の半導体膜を確実に堆積させることが可能となる。
【0013】
上述した極薄半導体膜凝集工程は、極薄半導体膜が付着した基板を略水平な状態に保持することが望ましい。これにより、極薄半導体膜をより確実に微細孔の底部に埋設することが可能となる。
【0014】
上述した極薄半導体膜付着工程は、絶縁膜上に付着させた極薄半導体膜に表面張力による凝集が生じる程度の厚みに当該極薄半導体膜を付着させることが好ましい。より具体的には、当該極薄半導体膜付着工程は、極薄半導体膜をその厚みが50nmを越えない範囲で付着させることが好ましく、10nmを越えない範囲で付着させることが更に好ましい。表面張力による凝集が生じるようにすることによって、極薄半導体膜を微細孔の底部側にまとめることが容易となり、微細孔内に確実に半導体を埋設することが可能となる。
【0015】
上述した極薄半導体膜付着工程は、減圧化学気相堆積法(LPCVD法)によって極薄半導体膜を基板に付着させ、極薄半導体膜凝集工程は、減圧化学気相堆積法において減圧雰囲気を保ったまま材料ガス(例えば、SiH4やSi2H4等)の供給を停止する過程を含むことが好ましい。これにより、特別な装置等を用いることなく、一般的なLPCVD装置を用いて本発明に係る製造方法を行うことができて都合がよい。
【0016】
また、極薄半導体膜凝集工程は、不活性ガスや還元性ガスを含む減圧雰囲気中において基板を保持することが好ましい。より具体的には、上記「還元性ガス」としては、例えば水素(H2)、上記「不活性ガス」としてはヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N2)などが用いられ不活性ガスと還元性ガスの混合ガスも利用できる。本発明ではそうした非酸化性のガスが好適に用いられる。このような非酸化性ガスを導入することにより、極薄半導体膜に不都合な化学反応(例えば、シリコンなどの酸化反応等)が起こることをより確実に抑制することが可能となり表面張力による流動性が増して微細物を確実に埋設できる。また、減圧雰囲気を維持している間にかかる非酸化性ガスを供給し続けることにより、真空引きポンプから真空容器内へのオイルミストの逆流を防ぐことも可能となり具合がよい。
【0017】
また、極薄半導体膜凝集工程は、圧力を1mTorr以上100mTorr以下とした減圧雰囲気中で基板を保持することが好ましい。かかる圧力とすることにより、LPCVD法における一般的な雰囲気温度(例えば、425℃〜450℃程度)において極薄半導体膜の流動性を確実に維持し、当該極薄半導体膜に凝集を生じさせることが可能となる。
【0018】
上述した極薄半導体膜付着工程は、プラズマ励起化学気相堆積法(PECVD法)によって極薄半導体膜を基板に付着させ、極薄半導体膜凝集工程は、プラズマ励起化学気相堆積法において減圧雰囲気を保ち、かつ材料ガス(例えば、SiH4やSi2H4等)の供給を継続しながらプラズマ放電を停止する過程を含むようにすることも好適である。
【0019】
また、極薄半導体膜付着工程は、プラズマ励起化学気相堆積法によって極薄半導体膜を基板に付着させ、極薄半導体膜凝集工程は、プラズマ励起化学気相堆積法において減圧雰囲気を保ち、かつプラズマ放電を継続しながら、材料ガスの供給を停止しても良い。更には、原料ガスに供給を停止し、還元性ガスや不活性ガスを供給する過程を含むようにすることも好適である。
【0020】
また、極薄半導体膜付着工程は、プラズマ励起化学気相堆積法によって極薄半導体膜を基板に付着させ、極薄半導体膜凝集工程は、プラズマ励起化学気相堆積法において減圧雰囲気を保ちながら、プラズマ放電を停止すると共に材料ガス(例えば、SiH4やSi2H4等)の供給を停止し、不活性ガスを供給する過程を含むようにすることも好適である。
【0021】
上記したPECVD法を用いる各方法において「材料ガス」としては種々のものを用いることが可能であるが、特にSiH4を用いることが好適である。また「還元性ガス」としては水素、「不活性ガス」としてはヘリウム、アルゴン、窒素などの非酸化性のガスを用いることが好適であり、特に水素ガスを用いることが好適である。これらの方法を採用することによっても、特別の装置等を用いることなく、一般的なPECVD装置を用いて本発明に係る製造方法を行うことが可能となり都合がよい。
【0022】
また、極薄半導体膜凝集工程は、圧力を1mTorr以上10Torr以下とした減圧雰囲気中で基板を保持することが好ましい。かかる圧力とすることにより、PECVD法における一般的な雰囲気温度(例えば、425℃〜450℃程度)において極薄半導体膜の流動性を確実に維持し、当該極薄半導体膜に凝集を生じさせることが可能となる。
【0023】
上述した微細孔の孔径は、45nm以上190nm以下とすることが好ましい。かかる条件で微細孔を形成することにより、微細孔内で1つの結晶核を優先的に成長させる作用をより確実に得ることが可能となる。
【0024】
上述した半導体膜形成工程において成膜される半導体膜は、その膜厚を30nm以上100nm以下とすることが好適である。これにより、溶融結晶化の際に結晶化の進む方向をほぼ半導体膜の膜厚方向と略直交する方向のみにし、他の方向へ結晶化が進みにくくすることが可能となり、結晶性半導体膜のより一層の均質化を図ることができる。
【0025】
上述した溶融結晶化工程における溶融結晶化は、レーザ照射によって行われることが好適である。これにより、熱処理を効率よく行うことが可能となる。用いるレーザとしては、エキシマレーザ、固体レーザ、ガスレーザなど種々のものが考えられる。
【0026】
また、本発明は、上述した本発明にかかる製造方法によって製造される結晶性半導体膜を使用して半導体素子を形成する素子形成工程を含む半導体装置の製造方法でもある。ここで本発明において「半導体素子」とは、各種トランジスタやダイオード、抵抗、インダクタ、キャパシタ、その他の能動素子・受動素子を問わず、N型やP型半導体の組み合わせにより製造可能な素子を含む。また本発明において「半導体装置」とは、上記半導体素子を含んで構成される装置であり、例えば集積回路等を含む装置である。
【0027】
また、本発明は、上述した本発明にかかる製造方法を用いて製造される半導体装置でもある。更に本発明は、上述した本発明にかかる製造方法により製造された半導体装置を備える集積回路、電気光学装置及び電子機器でもある。ここで「集積回路」とは、一定の機能を奏するように半導体装置及び関連する配線等が集積され配線された回路(チップ)をいう。また「電気光学装置」とは、本発明に係る半導体装置を備えた、電気的作用によって発光するあるいは外部からの光の状態を変化させる電気光学素子を備えた装置一般をいい、自ら光を発するものと外部からの光の透過を制御するもの双方を含む。例えば、電気光学素子として、液晶素子、電気泳動粒子が分散した分散媒体を有する電気泳動素子、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、電界の印加により発生した電子を発光板に当てて発光させる電気放出素子を備えた表示装置等をいう。また「電子機器」とは、本発明に係る半導体装置を備えた一定の機能を有する機器一般をいい、例えば電気光学装置やメモリを備えて構成される。その構成には特に限定がないが、例えば、携帯電話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、リア型またはフロント型のプロジェクター、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA(携帯型情報端末)、電子手帳、ICカード、電光掲示板、宣伝広告用ディスプレイ等が含まれる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
図1及び図2は、本実施形態の半導体薄膜の製造方法について説明する説明図である。
【0030】
(下地絶縁膜形成工程)
図1(a)に示すように、ガラス等の絶縁材料からなる基板10上に下地絶縁膜12を形成する。本実施形態では当該下地絶縁膜12として二酸化珪素膜を形成する。二酸化硅素膜は、例えばプラズマ化学気相堆積法(PECVD法)、減圧化学気相堆積法(LPCVD法)、スパッタリング法等の物理気相堆積法などによって成膜可能である。
【0031】
(微細孔形成工程)
次に、図1(b)に示すように、基板10上の下地絶縁膜12に微細孔13を形成する。この微細孔13は、1つの結晶核のみを優先的に成長させる役割を担うためのものであり「グレイン・フィルタ」と称される場合もある。微細孔13は、例えば当該微細孔13の形成位置を露出させる開口部を有するフォトレジスト膜(図示せず)を下地絶縁膜12上に形成し、このフォトレジスト膜をマスクとして用いて反応性イオンエッチングを行い、その後、下地絶縁膜12上のフォトレジスト膜を除去することによって形成することができる。当該微細孔13の孔径は45nm以上190nm以下とすることが好適である。また、微細孔13は円筒状に形成することが好適であるが、円筒状以外の形状(例えば、円錐状、角柱状、角錐状など)としてもよい。
【0032】
(半導体膜形成工程)
次に、微細孔13内及び下地絶縁膜12上に半導体膜を形成する。本実施形態の半導体膜形成工程は、極薄い膜厚(具体例は後述)の極薄半導体膜を付着させる極薄半導体膜付着工程と、当該極薄半導体膜を凝集させる極薄半導体膜凝集工程とを含んでおり、これらの工程を複数回交互に繰り返し行っている。以下、上記各工程の詳細について説明する。
【0033】
まず、図1(c)に示すように、減圧雰囲気中において、流動性を保った状態となるようにして極薄半導体膜14aを付着させる。本例では、極薄半導体膜14a(及び後述する極薄半導体膜14b、14c)として、減圧化学気相堆積法(LPCVD法)によって非晶質硅素膜を付着させる。この場合のプロセス条件は、材料ガスとしてシラン(SiH4)やジシラン(Si2H6)を用い、圧力(真空度)を1mTorr〜10Torr程度にし、雰囲気温度は425℃〜450℃程度とすることが好適である。
【0034】
ここで、上述した極薄半導体膜14aは、下地絶縁膜12上に付着させた当該極薄半導体膜14aに表面張力による凝集が生じる程度の厚みに形成される。より具体的には、極薄半導体膜14aはその厚みが50nmを越えない範囲で付着させることが好ましく、10nmを越えない範囲で付着させることが更に好ましい。
【0035】
次に、極薄半導体膜14aを付着させた基板10を略水平な状態にし、かつ減圧雰囲気中に保持しながら成膜時と同じ雰囲気温度(例えば450℃程度)を保ち、極薄半導体膜14aに表面張力による凝集が生じさせるようにする。当該工程(極薄半導体膜凝集工程)は、LPCVD法による成膜時に減圧雰囲気を保ちつつ材料ガスの供給を停止することによって行う。極薄半導体膜凝集工程では、10- 7Torr 〜10Torr程度の真空中に前述の堆積温度により1分から20分程度、基板10を保持することが好適である。これにより、特別な装置などを用いることなく一般的なLPCVD装置を用いて、極薄半導体膜付着工程と極薄半導体膜凝集工程を行うことが可能となる。また、当該工程においては、水素(H2)などの還元性ガスや、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などの不活性ガスを導入し、圧力を1mTorr〜100mTorr程度とした減圧雰囲気中において基板10を保持することが好適である。不活性ガス等の非酸化性ガスの導入により、極薄半導体膜14aに不都合な化学反応(例えば酸化反応等)が起こることを極力回避することが可能となる。また、減圧雰囲気を保っている際にかかる不活性ガス等を導入することにより、真空引きポンプから真空容器内へのオイルミストの逆流を防止することができるようになり具合がよい。これにより、図1(d)に示すように、微細孔13の内壁などに付着した極薄半導体膜14aが凝集して微細孔13の底部にまとまり、微細孔13内が埋設される。また、図1(d)に示すように下地絶縁膜12上にも凝集した極薄半導体膜14aが点在して形成される。このように表面張力による凝集を利用することにより、微細孔13の内壁や微細孔13の近傍などに付着した極薄半導体膜14aを微細孔13の底部側にまとめることが容易となる。
【0036】
次に、図1(e)に示すように2回目の極薄半導体膜付着工程を行って極薄半導体膜14bを付着させ、その後図2(a)に示すように2回目の極薄半導体膜凝集工程を行って微細孔13内に極薄半導体膜14bを埋設する。なお、極薄半導体膜付着工程および極薄半導体膜凝集工程は、それぞれ1回だけ行うようにしてもよく、2回以上の複数回繰り返して行ってもよい。すなわち、各工程を行う回数は、微細孔13内に半導体を必要十分に埋設することができるように、プロセス条件等に応じて適宜決定すればよい。
【0037】
極薄半導体膜付着工程及び極薄半導体膜凝集工程を必要な回数(本例では2回)だけ交互に繰り返した後に、最後に、図2(b)に示すように極薄半導体膜付着工程を行って極薄半導体膜14cを形成する。各極薄半導体膜14a〜14cを含んでなる一体の半導体膜の膜厚(下地絶縁膜12の表面からの厚み)は30nm以上100nm以下となるようにすることが好適である。
【0038】
なお、上述した説明では、極薄半導体膜付着工程及び極薄半導体膜凝集工程をLPCVD法を用いて具現化していたが、プラズマ励起化学気相堆積法(PECVD法)を用いて当該各工程を具現化することも好適である。例えば、極薄半導体膜付着工程は、PECVD法によって極薄半導体膜を基板10に付着させ、極薄半導体膜凝集工程は、PECVD法において減圧雰囲気を保ち、かつ材料ガスの供給を継続しながらプラズマ放電を停止する過程を含むようにするとよい。
【0039】
また、極薄半導体膜付着工程は、PECVD法によって極薄半導体膜を基板に付着させ、極薄半導体膜凝集工程は、PECVD法において減圧雰囲気を保ち、かつプラズマ放電を継続しながら、材料ガスの供給を停止して不活性ガスを供給する過程を含むようにしてもよい。
【0040】
また、極薄半導体膜付着工程は、PECVD法によって極薄半導体膜を基板に付着させ、極薄半導体膜凝集工程は、プラズマ励起化学気相堆積法において減圧雰囲気を保ちながら、プラズマ放電を停止すると共に材料ガス(例えば、SiH4やSi2H4等)の供給を停止し、還元性ガスや不活性ガスを供給する過程を含むようにすることも好適である。
【0041】
上記したPECVD法を用いる各方法において「材料ガス」としては種々のものを用いることが可能であるが、特にSiH4を用いることが好適である。また「還元性ガス」としては水素(H2)、「不活性ガス」としては、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などの非酸化性のガスを用いることが好適であり、特に水素ガスを用いることが好適である。これらの方法を採用することによっても、特別の装置等を用いることなく、一般的なPECVD装置を用いて本発明に係る製造方法を行うことが可能となり都合がよい。また、極薄半導体膜凝集工程は、圧力を1mTorr以上10Torr以下とした減圧雰囲気中で基板を保持することが好ましい。かかる圧力とすることにより、PECVD法における一般的な雰囲気温度(例えば、425℃〜450℃程度)において極薄半導体膜の流動性を確実に維持し、当該極薄半導体膜に凝集を生じさせることが可能となる。この場合、一回の極薄半導体膜凝集工程は2分〜30分程度とすることが好適である。
【0042】
(溶融結晶化工程)
次に、図2(c)に示すように、微細孔13内及び下地絶縁膜12上に形成された各極薄半導体膜14a、14b、14cからなる一体の半導体膜に対してレーザ照射による熱処理を加えて溶融結晶化を行う。これにより、図2(d)に示すように微細孔13を中心とした大粒径の結晶粒からなる略単結晶の硅素膜(結晶性半導体膜)18を形成することができる。ここで、本明細書において「略単結晶」とは、結晶粒が単一である場合のみならずこれに近い状態、すなわち、複数の結晶が組み合わさっていてもその数が少なく、半導体薄膜の性質の観点からほぼ単結晶により形成された半導体薄膜と同等の性質を備えている場合も含む。
【0043】
上述した溶融結晶化におけるレーザ照射は、例えば波長308nm、パルス幅20〜30nsのXeClパルスエキシマレーザを用いて、エネルギー密度が0.4〜1.5J/cm2 程度となるようにして行うことが好適である。このような条件でレーザ照射を行うことにより、照射したレーザはそのほとんどが表面付近で吸収される。これはXeClパルスエキシマレーザの波長(308nm)における非晶質珪素の吸収係数が0.139nm−1と比較的に大きいためである。このようにしてレーザ照射の条件を適宜に選択することにより、微細孔13内にある極薄半導体膜が膜厚方向全域に渡って完全には溶融せず、必ず有る程度の非溶融部分が残る一方で、微細孔13以外の領域にある極薄半導体膜を膜厚方向全域に渡って完全に溶融するようにする。これにより、レーザ照射後の珪素の結晶成長は微細孔13の底部近傍で先に始まり、その後表面付近、すなわち略完全溶融状態の部分へ進行する。微細孔13の底部ではいくつかの結晶粒が残留するが、微細孔13の断面寸法(本実施形態では、円の直径)を1個の結晶粒と同程度か少し小さい程度にしておくことにより、微細孔13の上部(開口部)にはいずれか1個の結晶粒だけが到達するようになる。これにより、略完全溶融状態となった半導体膜においては、微細孔13の上部に到達した1個の結晶粒を種として結晶成長が進行するようになり、微細孔13を略中心とした領域に略単結晶状態の珪素膜を形成することができる。
【0044】
(素子形成工程)
次に、薄膜トランジスタを例にして、上述した製造方法により製造される結晶性半導体膜18を用いて半導体素子を形成する工程(素子形成工程)を説明する。本発明に係る結晶性半導体膜を薄膜トランジスタの活性領域に用いることにより、オフ電流が少なく移動度の大きい高性能な薄膜トランジスタを形成することができる。
【0045】
図3は、素子形成工程について説明する図である。まず図3(a)に示すように、結晶性半導体膜18をパターニングし、薄膜トランジスタの形成に不要となる部分を除去して整形する。
【0046】
次に、図3(b)に示すように、下地絶縁膜12および結晶性半導体膜18の上面に二酸化珪素膜20を形成する。この二酸化珪素膜20は薄膜トランジスタのゲート絶縁膜として機能する。二酸化珪素膜20は、例えば電子サイクロトロン共鳴PECVD法(ECR−PECVD法)またはPECVD法等の成膜法によって形成することができる。
【0047】
次に、図3(c)に示すように、スパッタリング法などの成膜法によってタンタル、アルミニウム等の導電体薄膜を形成した後にパターニングを行うことによってゲート電極22及びゲート配線膜(図示せず)を形成する。次にゲート電極22をマスクとしてドナーまたはアクセプタとなる不純物元素を打ち込む、いわゆる自己整合イオン打ち込みを行うことにより結晶性半導体膜18にソース/ドレイン領域24及び活性領域26を形成する。例えば本実施形態では、不純物元素としてリン(P)を打ち込み、その後、XeClエキシマレーザを400mJ/cm2 程度のエネルギー密度に調整して照射して不純物元素を活性化することによってN型の薄膜トランジスタを形成する。なお、レーザ照射の代わりに250℃〜400℃程度の温度で熱処理を行うことにより不純物元素の活性化を行ってもよい。
【0048】
次に、図3(d)に示すように、二酸化珪素膜20およびゲート電極22の上面に二酸化珪素膜28を形成する。本実施形態では、PECVD法などの成膜法によって500nm程度の膜厚の二酸化珪素膜28を形成する。次に、二酸化珪素膜20、28のそれぞれを貫通してソース/ドレイン領域24のそれぞれに至るコンタクトホールを形成し、これらのコンタクトホール内にスパッタリング法などの成膜法によってアルミニウム、タングステン等の導電体を埋め込んでパターニングすることにより、ソース/ドレイン電極30を形成する。これにより、図3(d)に示すように微細孔13を起点として溶融結晶化が行われて形成された結晶性半導体膜18を用いて活性領域26が形成された薄膜トランジスタTが得られる。
【0049】
なお、図3に示す例では説明の便宜上、微細孔13が薄膜トランジスタの真下に位置するように図示されているが、微細孔13の形成位置を薄膜トランジスタTの真下から外すようにすることも好適である。この場合には、上記図3(a)において説明したパターニング工程において、薄膜トランジスタTの活性領域26等となるべき部分をパターニングする際に微細孔13の形成位置を外すようにすればよい。
【0050】
このように、本実施形態では、流動性を有する状態となるように極薄い膜厚とした極薄半導体膜14a等を付着させ、その後当該極薄半導体膜14a等を凝集させているので、凝集後の極薄半導体膜14a等によって微細孔13内を確実に埋設することができる。したがって、微細孔内に半導体膜を確実に堆積させた状態にして、微細孔を結晶成長の起点とした半導体膜の溶融結晶化を行うことが可能となる。
【0051】
次に、本発明の製造方法によって製造される薄膜トランジスタの適用例について説明する。本発明の製造方法により得られる薄膜トランジスタは、例えば、EL表示装置や液晶表示装置などのスイッチング素子や、当該スイッチング素子を駆動する駆動回路(集積回路)の形成に用いることができる。
【0052】
図4は、本実施形態の電気光学装置の接続状態の一例を示す図である。本実施形態の電気光学装置100は、各画素領域Gに電界発光効果により発光可能な発光層(有機EL層)OELDと、それを駆動するための電流を記憶する保持容量などを備え、さらに本発明に係る製造方法によって製造される半導体装置、ここでは薄膜トランジスタT1〜T4を備えて構成されている。ドライバ領域101からは、走査線Vsel および発光制御線Vgpが各画素領域Gに供給されている。ドライバ領域102からは、データ線Idataおよび電源線Vddが各画素領域Gに供給されている。走査線Vsel とデータ線Idataとを制御することにより、各画素領域Gに対する電流プログラムが行われ、発光層OELDによる発光が制御可能になっている。
【0053】
なお、上述した画素領域Gを構成する画素回路は一例でありこの構成に限定されるものではない。また、ドライバ領域101、102のそれぞれに含まれる集積回路について、本発明に係る半導体装置を用いて構成してもよい。また、図4では自発光型の電気光学素子の一例として有機EL等を用いた電気光学装置を示していたが、他の自発光型の電気光学素子を用いた電気光学装置や、液晶素子などの非自発光型の電気光学素子を用いた電気光学装置に対しても本発明を適用可能である。
【0054】
次に、本発明に係る電気光学装置100を適用して構成される種々の電子機器について説明する。図5は、電気光学装置100を適用可能な電子機器の例を示す図である。図5(a)は携帯電話への適用例であり、当該携帯電話230はアンテナ部231、音声出力部232、音声入力部233、操作部234、および本発明の電気光学装置100を備えている。このように本発明に係る電気光学装置は表示部として利用可能である。図5は(b)ビデオカメラへの適用例であり、当該ビデオカメラ240は受像部241、操作部242、音声入力部243、および本発明の電気光学装置100を備えている。このように本発明に係る電気光学装置はファインダや表示部として利用可能である。図5(c)は携帯型パーソナルコンピュータ(いわゆるPDA)への適用例であり、当該コンピュータ250はカメラ部251、操作部252、および本発明に係る電気光学装置100を備えている。このように本発明に係る電気光学装置は表示部として利用可能である。
【0055】
図5(d)はヘッドマウントディスプレイへの適用例であり、当該ヘッドマウントディスプレイ260はバンド261、光学系収納部262および本発明に係る電気光学装置100を備えている。このように本発明に係る電気光学装置は画像表示源として利用可能である。図5(e)はリア型プロジェクターへの適用例であり、当該プロジェクター270は筐体271に、光源272、合成光学系273、ミラー274、275、スクリーン276、および本発明に係る電気光学装置100を備えている。このように本発明に係る電気光学装置は画像表示源として利用可能である。図5(f)はフロント型プロジェクターへの適用例であり、当該プロジェクター280は筐体282に光学系281および本発明に係る電気光学装置100を備え、画像をスクリーン283に表示可能になっている。このように本発明に係る電気光学装置は画像表示源として利用可能である。また、本発明に係る電気光学装置100は、上述した例に限らず有機EL表示装置や液晶表示装置などの表示装置を適用可能なあらゆる電子機器に適用可能である。例えばこれらの他に、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイなどにも活用することができる。
【0056】
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、本発明にかかる極薄半導体膜付着工程および極薄半導体膜凝集工程を具現化する一例としてLPCVD法又はPECVD法を用いる場合について説明していたが、これら以外の手法によって上記各工程を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 半導体薄膜の製造方法について説明する説明図である。
【図2】 半導体薄膜の製造方法について説明する説明図である。
【図3】 素子形成工程について説明する図である。
【図4】 電気光学装置の接続状態の一例を示す図である。
【図5】 表示装置を適用可能な電子機器の例を示す図である。
【符号の説明】
10…基板、 12…下地絶縁膜、 13…微細孔、14a〜14c…極薄半導体膜、 18…結晶性半導体膜、 100…電気光学装置、 T…薄膜トランジスタ
Claims (23)
- 基板上に下地絶縁膜を形成する下地絶縁膜形成工程と、
前記下地絶縁膜に微細孔を形成する微細孔形成工程と、
前記微細孔内及び前記下地絶縁膜上に半導体膜を形成する半導体膜形成工程と、
前記半導体膜を溶融結晶化させて結晶性半導体膜を得る溶融結晶化工程と、を含み、
前記半導体膜形成工程は、極薄半導体膜を付着させる極薄半導体膜付着工程と、前記極薄半導体膜を凝集させる極薄半導体膜凝集工程とを含んでなる、半導体薄膜の製造方法。 - 前記半導体膜形成工程は減圧下にてなされる、請求項1に記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記半導体膜形成工程は、前記極薄半導体膜付着工程と前記極薄半導体膜凝集工程とを複数回交互に繰り返して行う、請求項1又は2に記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記半導体膜形成工程は、前記極薄半導体膜付着工程と前記極薄半導体膜凝集工程とを複数回交互に繰り返した後、最後に前記薄膜半導体膜付着工程を行う、請求項1又は2に記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記極薄半導体膜凝集工程は、前記極薄半導体膜が付着した前記基板を略水平な状態に保持する、請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記極薄半導体膜付着工程は、前記絶縁膜上に付着させた前記極薄半導体膜に表面張力による凝集が生じる程度の厚みに当該極薄半導体膜を付着させる、請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記極薄半導体膜付着工程は、前記極薄半導体膜をその厚みが50nmを越えない範囲で付着させる、請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記極薄半導体膜付着工程は、前記極薄半導体膜をその厚みが10nmを越えない範囲で付着させる、請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記極薄半導体膜付着工程は、減圧化学気相堆積法によって前記極薄半導体膜を前記基板に付着させ、
前記極薄半導体膜凝集工程は、前記減圧化学気相堆積法において減圧雰囲気を保ったまま材料ガスの供給を停止する過程を含む、請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。 - 前記極薄半導体膜凝集工程は、不活性ガスを含む減圧雰囲気中において前記基板を保持する、請求項9に記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記極薄半導体膜凝集工程は、圧力を1mTorr以上100mTorr以下とした減圧雰囲気中で前記基板を保持する、請求項9に記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記極薄半導体膜付着工程は、プラズマ励起化学気相堆積法によって前記極薄半導体膜を前記基板に付着させ、
前記極薄半導体膜凝集工程は、前記プラズマ励起化学気相堆積法において減圧雰囲気を保ち、かつ材料ガスの供給を継続しながらプラズマ放電を停止する過程を含む、請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。 - 前記極薄半導体膜付着工程は、プラズマ励起化学気相堆積法によって前記極薄半導体膜を前記基板に付着させ、
前記極薄半導体膜凝集工程は、前記プラズマ励起化学気相堆積法において減圧雰囲気を保ち、かつプラズマ放電を継続しながら、材料ガスの供給を停止して不活性ガスを供給する過程を含む、請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。 - 前記極薄半導体膜付着工程は、プラズマ励起化学気相堆積法によって前記極薄半導体膜を前記基板に付着させ、
前記極薄半導体膜凝集工程は、前記プラズマ励起化学気相堆積法において減圧雰囲気を保ちながら、プラズマ放電を停止すると共に材料ガスの供給を停止し、不活性ガスを供給する過程を含む、請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。 - 前記極薄半導体膜凝集工程は、圧力を1mTorr以上10Torr以下とした減圧雰囲気中で前記基板を保持する、請求項12乃至14のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記微細孔の孔径を45nm以上190nm以下とする、請求項1乃至15のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記半導体膜形成工程において成膜される前記半導体膜の膜厚を30nm以上100nm以下とする、請求項1乃至16のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 前記溶融結晶化工程における前記溶融結晶化をレーザ照射によって行う、請求項1乃至17のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
- 請求項1乃至18のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法によって製造される結晶性半導体膜を使用して半導体素子を形成する素子形成工程を含む、半導体装置の製造方法。
- 請求項19に記載の製造方法により製造される半導体装置。
- 請求項19に記載の製造方法により製造された半導体装置を備える集積回路。
- 請求項19に記載の製造方法により製造された半導体装置を備える電気光学装置。
- 請求項19に記載の製造方法により製造された半導体装置を備える電子機器。
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