JP4655173B2 - 分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物の製造方法 - Google Patents

分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開環重合および付加反応などに有用な、オキセタニル基と水酸基を有する化合物に関するものであり、該オキセタニル基と水酸基を有する化合物を用いた硬化物は、優れた機械的性質(引張強さなど)、電気的性質(電気絶縁性、低誘電率など)、接着性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などを示すものであり、エポキシ樹脂の代替品として、例えば、接着剤組成物、塗料組成物、加熱により硬化する熱硬化型組成物、または紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型組成物などへ応用することができる。
【0002】
【従来の技術】
4員環の環状エーテル化合物であるオキセタンは、炭素−酸素間の結合が分極していることから高い反応性を示し、ルイス酸などを反応開始剤に用いたオキセタンの開環重合(S.Inoue and T.Aida,“Ring Opening Polymerization” ,K.J.Ivin and T.Saegusa,Eds.,Elsevier,London,1984,Vol.1,pp.185〜298など参照)や、トリアルキルアルミニウム−水反応生成物を触媒として用いたオキセタニルメチル トリメチルシリル エーテルの開環重合(特開平2−29429号公報参照)などが報告されている。
【0003】
ここで、オキセタニルメチル トリメチルシリル エーテルの合成原料となるヒドロキシメチルオキセタンは、トリメチロールアルカンとジエチルカーボナートを水酸化カリウム存在下で反応させ、得られた炭酸エステルを脱炭酸させることによって得られる(J.Am.Chem.Soc.,79,3455(1957)参照)。
【0004】
また、カチオン重合におけるオキセタンの高い反応性を利用し、光酸発生剤存在下での光カチオン重合が報告されている(J.Polym.Sci.,A:Polym.Chem.,33,1807(1995)参照)。
【0005】
オキセタン化合物として、特開平11−130766号公報に一般式(5)で示される、分子中にオキセタニル基と水酸基を有している化合物が報告されている。該化合物を用いた活性エネルギー線硬化型組成物は、短時間の光照射により、重合度が高くかつ密着性に優れた硬化物を与える。
【化
Figure 0004655173
(式中、Rはメチル基またはエチル基を示し、R、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基、フェニル基又はトリハロゲノメチル基を示す。)
【0006】
最近、光酸発生剤存在下でのオキシラン化合物の光カチオン重合において、アルコール類を添加すると、光硬化反応がより高速に進行する結果が相次いで報告されている(例えば、J.V.Crivello他,J.Radiat.Curing,13,3(1986)、特開平11−228610号公報参照)。アルコール類の水酸基が連鎖移動反応に関与しているため、このような現象が起こると説明されている(Chemistry&Technology of UV&EB Formulation for Coatings,Inks&Pigments,Ed.by K.Dietliker,SITA Technology Ltd,London,1991,pp.352−358参照)。
【0007】
上記一般式(5)に示す化合物は分子中にオキセタニル基と水酸基を有しているため、光酸発生剤存在下でオキセタン化合物の光カチオン重合が高速で進行したものと考えられる。
【0008】
一般式(5)に示すオキセタン化合物は、下記一般式(6)で表される[{(オキセタン−3−イル)メトキシ}メチル]オキシランのオキシラン環を、下記一般式(7)で表されるビスフェノール化合物のフェノール性水酸基で開環させることによって得られる。
【化
Figure 0004655173
(式中、Rはメチル基またはエチル基を示す。)
【化
Figure 0004655173
(式中、R、Rは水素原子、ハロゲン原子、メチル基、フェニル基又はトリハロゲノメチル基を示す。)
【0009】
しかし、特開平11−130766号公報には、一般式(7)に示されるようなフェノール類以外のアルコール類を用いて、分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物を得る方法の記載はなく、芳香環を持たない分子中にオキセタニル基と水酸基を有している化合物を合成することは困難であった。
【0010】
また、一般式(6)の化合物はエピクロロヒドリンとヒドロキシメチルオキセタンを反応させて合成している。したがって、ヒドロキシメチルオキセタンを出発原料とすると、一般式(5)の化合物を合成するまでには2回以上の反応が必要であり、操作が煩雑になるとともに総収率が低下するという問題点があった。本発明は、分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物を一段階で簡便に収率よく合成可能な製造方法を提供するものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは鋭意検討した結果、非フェノール性水酸基またはメルカプト基を有するオキセタン誘導体の水酸基またはメルカプト基と、入手容易なオキシラン類を反応させることによって、様々な骨格を有する分子中に水酸基とオキセタニル基を有する化合物が容易に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。請求項1に記載の発明は、非フェノール性水酸基またはメルカプト基を有する下記一般式(1)で示されるオキセタン類(A)の水酸基またはメルカプト基と、下記一般式(2a)または(2b)に記載のオキシラン類(B)のオキシラン環とを100℃以下の反応温度で反応させることを特徴とする、分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)の製造方法である。速い硬化性と密着性に優れた、芳香環をはじめ、脂肪族基や脂環式基等の様々な骨格を有する、分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物を合成する製造方法を提供するものである。副反応を抑制し、水での加熱を可能にし、危険が少なく、汎用の設備で合成でき、エネルギー消費量が低減できる分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物を簡便に収率よく合成する製造方法を提供するものである。
【化7】
Figure 0004655173
(式中Qは、酸素または硫黄原子を示し、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のパーフルオルアルキル基、アリル基を示し、nは0〜6の整数を示す。)
【化8】
Figure 0004655173
請求項2に記載の発明は、オキシラン類(B)が以下に記載のいずれかの構造である、請求項1に記載の分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)の製造方法である。
【化9】
Figure 0004655173
速い硬化性と密着性に優れた、分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物をヒドロキシメチルオキセタンから一段階で簡便に収率よく合成可能な製造方法を提供するものである。請求項3に記載の発明は、塩基の存在下で反応させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)の製造方法である。塩基の存在下で、様々な骨格を持つ分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物を収率よく合成する製造方法を提供するものである。請求項4に記載の発明は、オキシラン類(B)として分子中に1〜2個のオキシラン環を有するオキシラン類を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)の製造方法である。請求項1〜3記載の発明に加えて、適度な架橋密度を持つ硬化物を与える、分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物を簡便に収率よく合成する製造方法を提供するものである。請求項5に記載の発明は、オキシラン類(B)として、エポキシ当量が43から1000のオキシラン化合物を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)の製造方法である。請求項1〜4記載の発明に加えて、保存安定性の高い組成物および硬化物を与える、分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物を簡便に収率よく合成する製造方法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるオキセタン類(A)は分子中にオキセタニル基と非フェノール性水酸基またはメルカプト基を有していれば、いかなる化合物でもかまわない。
【0013】
本発明で用いられるオキセタン類(A)としては、具体的には一般式(1)で示される化合物である。式(1)中Qは酸素または硫黄原子を示すが、合成の容易さから酸素原子が好ましい。また、一般式(1)中nは0〜6までの整数を示すが、入手の容易さからn=1が好ましい。
【化10
Figure 0004655173
【0014】
一般式(1)中Rとしては一価の基である。具体的には水素原子、未置換または脂肪族系または脂環系または芳香族系有機基で置換されたメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素数1から6までのアルキル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロブチル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、パーフルオロヘキシル基などの炭素数1から6までのパーフルオロアルキル基、フェニル基、アリル基、ビニル基などが挙げられる。これらの中で、R1として水素原子、メチル基、エチル基のものはオキセタン含有率が高く、好ましい。
【0015】
本発明で使用されるオキシラン類(B)のうち、1分子中に1つのオキシラン環を有する化合物としては、具体的には、一般式(2)または(3)に記載の化合物である
【化11
Figure 0004655173
【0016】
また、本発明で使用されるオキシラン類(B)のうち、1分子中に2つのオキシラン環を有する化合物としては、以下に示す化合物が挙げられる(Meはメチル基を示す)。
【化12
Figure 0004655173
【0017】
【0018】
【0019】
本発明で用いられるオキシラン類(B)として、一般式(8)で表される化合物も用いることができる。
【化16
Figure 0004655173
一般式(8)中、R15〜R18は各々独立に水素原子の他、フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子、または一価の基が挙げられる。一価の基として、例えば、アミノ基、カルボメトキシ基等のエステル基、カルボアミノメチル基等のアミド基、アミノカルボキシメチル基等のカルバミノ基、置換もしくは未置換のメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などのアルキル基もしくは置換または未置換のフェニル基、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基などのアルケニル基、シリル基などが挙げられる。
【0020】
【0021】
また、本発明に用いるオキシラン類(B)として、エポキシ当量43から1000のオキシラン類を用いることが好ましい。エポキシ当量が43以下ではオキシラン化合物を形成できず、また1000を超えて大きい場合は反応速度が低下する傾向がある。また、この際単一分子だけでなく、以下に示すような、繰り返し単位数(z)に分布を持つオリゴマーを用いると、組成物の結晶性が低下し、保存安定性に優れる。したがって、0<zが好ましく、0.5≦zがさらに好ましく、1≦zが最も好ましい。
【化17
Figure 0004655173
【0022】
本発明におけるオキシラン類(B)のエポキシ当量はJIS K 7236−1986、ASTM D 1652−73またはISO 3001−1978に示す方法に従って測定できる。
【0023】
本発明で使用するオキセタン類(A)の水酸基1モル当量に対して、オキシラン環0.1モル当量から2.0モル当量のオキシラン類(B)を用いることができるが、望ましくは0.5モル当量から1.5モル当量の範囲で使用される。
【0024】
本発明では塩基を用いても用いなくてもよいが、塩基を加えると反応が促進される。本発明で用いられる塩基としては、塩基として働く化合物であればいかなる化合物も用いることができる。本発明で用いられる塩基として具体的には、ピリジン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、アンモニア等のアミン系塩基、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩、苛性カリ、苛性ソーダ等の金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムアミド等の金属アミド、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム等の有機金属化合物が挙げられる。このうち、反応性が優れている点や副生成物が反応不活性である金属水素化物、有機リチウム化合物、リチウムジイソプロピルアミド、グリニアル反応剤がより好ましく、副生成物が水素ガスとして容易に反応系外へ放出される点で金属水素化物がさらに好ましい。これらの塩基は単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
本発明で使用する塩基は、オキセタン類1モル当量に対して0.01モル当量から10モル当量用いることが好ましく、0.1モル当量から1.2モル当量用いることがより好ましい。塩基の量が、オキセタン類1モル当量に対して0.01モル当量未満の場合は反応時間が長くなり、生産性が低下する傾向があり、10モルを超えると副反応が進行する傾向がある。
【0026】
本発明の反応は、溶媒を用いないで行うこともできるが、反応液の流動性を保つために、溶媒を用いて行うこともできる。溶媒を用いる場合、反応を阻害したり、副反応を進行させたりする溶媒以外ならば、いかなる溶媒を用いることができる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなどが好ましい。これらの溶媒は単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
本発明の反応に溶媒を用いる場合、溶媒の添加量は原料オキセタン類(A)100重量部に対して、5〜10000重量部とすることが好ましく、20〜10000重量部とすることがより好ましく、50〜5000重量部とすることが最も好ましい。この配合量が5重量部未満では、実質的な溶媒の添加効果が観察されない傾向があり、10000重量部を超えると反応速度が遅くなり、生産性が低下する傾向がある。
【0028】
本発明の反応において、オキセタン類(A)、オキシラン類(B)、塩基、溶媒はいかなる順序で加えてもよいが、塩基性の強い塩基を用いた場合、オキセタン類、塩基、溶媒の混合物にオキシラン類を加えると、副生成物が生じにくい傾向がある。
【0029】
本発明の反応は、加圧、減圧または大気圧いずれの圧力下でも行うことができるが、操作の簡便性から、大気圧雰囲気下で行うことが望ましい。また、乾燥気流下で行うと水分由来の副反応が抑えられより好ましく、乾燥窒素、乾燥アルゴン下で行うことが最も好ましい。また、本発明の反応は必要に応じてかく拌混合することによって進行する。
【0030】
本発明の反応温度は−100℃から溶媒還流温度または200℃の範囲で行えるが、好ましくは−30℃から150℃の範囲であり、0℃から100℃が特に好ましい。この反応温度が−100℃未満では反応速度が遅くなり、生産性が低下する傾向がある。また、200℃以上では副生成物が生じ、オキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)の収率が低下する傾向がある。反応温度が0℃から100℃の範囲であれば水での加熱または冷却が可能であり、危険が少なく、汎用の設備で合成でき、エネルギー消費量が低減できる。
【0031】
本発明の反応時間は5分〜72時間とすることが好ましく、1時間から24時間がより好ましく、1時間から12時間がさらに好ましい。この反応時間が、5分未満であると反応は十分には進行せず、オキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)の収率が低下する傾向がある。また、72時間を超えてもオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)の収率はあまり向上しない傾向がある。
【0032】
本発明の反応において反応率および反応の終点は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄相クロマトグラフィー、核磁気共鳴スペクトル、および赤外吸収スペクトル等によって確認できる。本発明の反応の反応率は10〜100%が好ましい。オキシラン類(B)の反応率が10%以上、100%未満の場合、分子中にオキセタニル基と水酸基、および未反応のオキシランを有する混合物が得られるが、該混合物中のオキシラン残基も反応性モノマーとして用いることができる。
【0033】
反応終了後、生成物を反応容器から取り出すことにより、目的の分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)が得られる。さらに、反応終了後、反応液を蒸留、再結晶し、反応に用いた塩基と溶媒を除去すると、目的の分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)が純度よく得られ好ましい。または、反応液を水中に分散させ、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、ブタノール等の有機溶媒で抽出し、抽出液は硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等で乾燥した後、濃縮して反応に用いた塩基と溶媒を除去すると、目的の分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)が純度よく得られ好ましい。
【0034】
以上の操作によって得られた化合物(C)中に、副生するオリゴマーなどが含まれている場合があるが、硬化特性に大きな影響はなく、特に分離精製する必要はない。しかし、必要に応じて、蒸留、再結晶、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等、生成物の物性に合わせた方法を用いて精製してもよい。
【0035】
本発明で製造される個々の化合物は、赤外吸収スペクトル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、質量スペクトル(MS)などの手段により確認することができる。
【0036】
このようにして、分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)を簡便に、効率よく製造することができる。
【0037】
本発明で製造される分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物は、熱硬化性組成物あるいは光硬化性組成物を構成する反応性化合物として応用することができる。また、塗料、接着剤、電気・電子材料、半導体材料、光学材料、光ファイバー、光導波路、単層および多層配線板材料、レジスト、ドライフィルムレジスト等、多種多様な用途に応用することができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
1−{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロパン(I)の合成
【化18
Figure 0004655173
【0039】
1L反応容器を乾燥窒素で置換し、水素化ナトリウム(60%油性)8.0g(0.2mol)およびN,N−ジメチルホルムアミド300mlを加え、この溶液を10℃に冷却した。そこへ、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン23g(0.2mol)のN,N−ジメチルホルムアミド100ml溶液をゆっくりと加えた後、反応混合物を10℃で30分間かく拌した。その後、フェニルグリシジルエーテル30g(0.2mol)のN,N−ジメチルホルムアミド100ml溶液を滴下し、反応液を30℃に昇温しながら乾燥窒素気流下4時間撹拌した。反応液を水中に投じ、クロロホルムで抽出した。抽出液は無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣を蒸留することによって、1−{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロパン(I)(沸点180℃/1.3×102Pa)48gを得た(収率91%)。
【0040】
(実施例2)
3,3,18,18−ビス(3−オキサシクロブチリデン)−7,14−ジヒドロキシ−5,9,12,16−テトラオキサイコサン(II)の合成
【0041】
【化19
Figure 0004655173
【0042】
500ml反応容器を乾燥窒素で置換し、水素化ナトリウム(60%油性)0.88g(22mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド100mlを加え、この懸濁液を10℃に冷却した。そこへ、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン2.6g(22mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド50ml溶液をゆっくりと加えた後、反応混合物を10℃で30分間かく拌した。その後、エチレングリコールジグリシジルエーテル1.7g(10mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド50ml溶液を滴下し、反応液を40℃に昇温しながら乾燥窒素気流下4時間撹拌した。反応液を水中に投じ、クロロホルムで抽出した。抽出液は無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、3,3,18,18−ビス(3−オキサシクロブチリデン)−7,14−ジヒドロキシ−5,9,12,16−テトラオキサイコサン(II)2.8gを得た(収率70%)。得られた化合物の赤外線吸収スペクトルを図1に、NMRスペクトルを図2に、13CNMRスペクトルを図3にそれぞれ示した。図1の(a)で示す部分にOH伸縮振動に基づく吸収、(b)で示す部分にオキセタン環のC−O−C変角振動に基づく吸収が観察された。また、図2、3に示したNMRスペクトルにおいて、図中に示す化合物の位置に対応した位置にスペクトルが見られ、上記の化合物であると同定される。
【0043】
【発明の効果】
1−{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロパン(I)は、下記式(9)で表される[{(オキセタン−3−イル)メトキシ}メチル]オキシランと、フェノールを反応させることによっても得られる(特開平10−204072号公報参照)。この報告には化合物(I)が収率87%で得られると記載されている。しかし、この報告の方法では、予め式(9)に示される[{(オキセタン−3−イル)メトキシ}メチル]オキシランを調製する必要があり、本発明の合成法と比較して、工程数が一段多いため操作が煩雑になり、また、総収率も低くなる。また、反応温度も本発明の製造方法を用いれば、低く抑えることができる。
【化20
Figure 0004655173
【0044】
求項1、2記載の発明は、速い硬化性と密着性に優れた、分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物を簡便に収率よく合成する製造方法を提供するものである。副反応を抑制し、水での加熱を可能にし、危険が少なく、汎用の設備で合成でき、エネルギー消費量が低減できる分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物を簡便に収率よく合成する製造方法を提供するものである。請求項3記載の発明は、塩基の存在下で、様々な骨格を持つ分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物を収率よく合成する製造方法を提供するものである。請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載の発明に加えて、適度な架橋密度を持つ硬化物を与える、分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物を簡便に収率よく合成する製造方法を提供するものである。請求項5記載の発明は、請求項1〜4記載の発明に加えて、保存安定性の高い組成物および硬化物を与える、分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物を簡便に収率よく合成する製造方法を提供するものである
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2で得られた化合物の赤外線吸収スペクトル。
【図2】 実施例2で得られた化合物のNMRスペクトル。
【図3】 実施例2で得られた化合物の13CNMRスペクトル。

Claims (5)

  1. 非フェノール性水酸基またはメルカプト基を有する下記一般式(1)で示されるオキセタン類(A)の水酸基またはメルカプト基と、下記一般式(2a)または(2b)に記載のオキシラン類(B)のオキシラン環とを100℃以下の反応温度で反応させることを特徴とする分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)の製造方法。
    Figure 0004655173
    (式中Qは、酸素または硫黄原子を示し、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のパーフルオルアルキル基、アリル基を示し、nは0〜6の整数を示す。)
    Figure 0004655173
  2. オキシラン類(B)が以下に記載のいずれかの構造である、請求項1に記載の分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)の製造方法。
    Figure 0004655173
  3. 塩基の存在下で反応させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)の製造方法。
  4. オキシラン類(B)として分子中に1〜2個のオキシラン環を有するオキシラン類を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)の製造方法。
  5. オキシラン類(B)として、エポキシ当量が43から1000のオキシラン化合物を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の分子中にオキセタニル基と水酸基を有する化合物(C)の製造方法。
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