JP4517487B2 - オキセタン環を有するシアヌル酸誘導体 - Google Patents

オキセタン環を有するシアヌル酸誘導体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光硬化や熱硬化が可能な、オキセタン環を有する新規なシアヌル酸誘導体及びそれを含有する硬化性組成物(特に熱硬化性組成物)に関する。オキセタン環を有する化合物は光硬化や熱硬化が可能なモノマーであり、この化合物から誘導される樹脂は、耐熱性、機械特性、密着性などに優れている。このため、オキセタン環を有する化合物は、電気部品等の成型品、耐熱レジスト、コート材、接着剤などの原料、あるいは粉体塗料の架橋剤、改質剤として利用される。
【0002】
【従来の技術】
オキセタン環を有する化合物(オキセタン化合物)は、カチオン重合が可能なモノマーとして、近年注目を集めている化合物であり、多くの単官能性及び多官能性オキセタン化合物が報告されている。
【0003】
例えば、(a)Pure Appl.Chem.,A30(2&3),pp.189(1993)には、各種オキセタン化合物の合成法が記載されている。
【0004】
(b)DE1021858号明細書には、式(4)で表されるオキセタン化合物が記載されている。
【0005】
【化4】
Figure 0004517487
(式中、R2は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、又は2以上の原子価を有する芳香族残基で、kは1又は2である。)
【0006】
(c)特開平6−16804号公報には、式(5)で表されるオキセタン化合物が記載されている。
【0007】
【化5】
Figure 0004517487
(式中、R3は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基、又はチエニル基である。R4は、鎖状もしくは分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、キシリレン基、シロキサン結合、及びエステル結合から選ばれる多価基である。Zは酸素原子又は硫黄原子であり、mは2〜4の整数である。)
【0008】
(d)特開平8−245783号公報には、2,2’−ビトリレンジイル骨格を有する二官能性オキセタンを初めとする数多くのオキセタン化合物が記載されている。
【0009】
(e)特開平9−309950号公報、特開平10−212343号公報には、式(6)で表されるオキセタン化合物が記載されている。
【0010】
【化6】
Figure 0004517487
(式中、R5は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アラルキル基、アリール基、フリル基、又はチエニル基である。R6は水素原子又は1〜4価の有機基であり、pの値に対応する価数を有する。また、Zは酸素原子又は硫黄原子であり、pは1〜4の整数である。)
【0011】
しかしながら、いずれの公知文献にも本発明のオキセタン化合物(オキセタン環を有するシアヌル酸誘導体)は記載されておらず、その具体的な合成例も記載されていない。また、前記のオキセタン化合物を含有する熱硬化性組成物などはその硬化物の耐熱性の点で充分に満足できるものではなく、特にレジストなどの電子材料分野においては耐熱性の優れた硬化物を与えるオキセタン化合物が望まれていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、容易に入手可能な原料から製造できる、新規なオキセタン環を有する化合物(オキセタン化合物)を提供することを課題とする。特に、レジストなどの電子材料分野において有用となる耐熱性の優れた硬化物を与える、新規なオキセタン化合物を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、式(1)で表されるオキセタン環を有するシアヌル酸誘導体により解決される。
【0014】
【化7】
Figure 0004517487
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0015】
【発明の実施の形態】
前記式(1)で表されるオキセタン環を有するシアヌル酸誘導体は、式(2)で表される3−ヒドロキシメチルオキセタン類(以下、オキセタンアルコール類と略称する)と式(3)で表される塩化シアヌルを、塩基を用いて反応させることによって製造することができる。
【0016】
【化8】
Figure 0004517487
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0017】
【化9】
Figure 0004517487
【0018】
前記式(2)で表されるオキセタンアルコール類としては、R1が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等)であるものが挙げられるが、本発明では、R1がメチル基又はエチル基であるオキセタンアルコールが好ましい。具体的には、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンが好ましく挙げられる。
【0019】
前記オキセタンアルコール類は、例えば、1,1,1−トリメチロールアルカンと炭酸ジアルキルから環状カーボネートを生成させ、次いでこの環状カーボネートを脱炭酸する方法により容易に得ることができる(J.Am.Chem.Soc.,1957,79参照)。
【0020】
前記オキセタンアルコール類と塩化シアヌルとの反応は、塩基を用いて効率的に行うことができる。このとき、オキセタンアルコール類は、塩化シアヌル1モルに対して2.5〜10モル、更には3〜5モル使用することが好ましい。また、塩基は、塩化シアヌル1モルに対して2.5〜10モル、更には3〜5モル使用することが好ましい。
【0021】
なお、塩基としては、水酸化アルカリ、炭酸アルカリ等の無機塩基の水溶液や、ピリジン、脂肪族3級アミン等の有機塩基が挙げられる。水酸化アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられ、炭酸アルカリとしては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩が挙げられ、脂肪族3級アミンとしては、例えば、トリエチルアミンが挙げられる。これら塩基では無機塩基の水溶液が好ましく、中でも水酸化アルカリの水溶液が更に好ましい。塩基として無機塩基水溶液を用いる場合、無機塩基の濃度は10〜70重量%、更には30〜60重量%であることが好ましい。
【0022】
前記反応は、例えば、オキセタンアルコール類と塩化シアヌルの混合物に塩基を添加することにより行われる。反応温度は0〜50℃、更には5〜30℃であることが好ましく、塩基を添加する場合、塩基はこの温度範囲を維持できるような速度で添加することが好ましい。反応圧力は特に制限されず、常圧、加圧、減圧のいずれの条件でもよい。反応時間は通常1〜10時間で十分である。なお、塩化シアヌルは一度に全量を仕込んでもよく、数回に分けて反応混合物に逐次添加してもよい。この際も、上記の反応温度範囲を超えないように添加することが好ましい。
【0023】
前記反応は無溶媒下で行うこともできるが、適当な反応溶媒中で行うことが好ましい。反応溶媒としては、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン等)、エーテル(テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等)、ケトン(アセトン等)、ハロゲン化炭化水素(クロロホルム等)、非プロトン性極性溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)などが好適に挙げられる。これら溶媒は単独又は複数で使用され、その使用量(全量)は塩化シアヌル1モルに対して300ml〜10L(リットル)、更には500ml〜5L程度であることが好ましい。
【0024】
前記反応において、塩基として無機塩基水溶液を用い、反応溶媒としてこの無機塩基水溶液と混合しないもの(例えば、トルエン等)を用いる場合は、相間移動触媒を使用することも反応促進効果があることから好ましい。
このような相間移動触媒としては、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩などが挙げられ、塩化シアヌル1モルに対して0.05〜0.5モル程度、単独又は複数で使用される。4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラエチルアンモニウムブロミド等のテトラアルキルアンモニウムハライドや、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等のアラルキルトリアルキルアンモニウムハライドが挙げられ、4級ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウムブロミド等のテトラアリールホスホニウムハライドなどが挙げられる。
【0025】
反応終了後、例えば、溶媒抽出、水洗、乾燥、次いで溶媒除去などの操作を行って、式(1)で表されるオキセタン環を有するシアヌル酸誘導体を得ることができる。特に、テトラヒドロフランやアセトンなどの水溶性溶媒を反応溶媒に用いた場合は、反応液を水で希釈し、析出した固体を濾別して水洗するのみで容易に目的物が得られる。この化合物は、1H−NMR、13C−NMR、マススペクトルなどで確認できる新規な化合物である。
【0026】
式(1)で表されるオキセタン環を有するシアヌル酸誘導体は、前記の方法以外に、式(2)で表されるオキセタンアルコール類を、アルコラート生成用塩基を用いてアルコラートとした後、そのアルコラートを式(3)で表される塩化シアヌルと反応させることによっても製造することができる。
【0027】
この方法において、前記アルコラートは、該オキセタンアルコール類を、例えば、反応溶媒中でアルコラート生成用塩基と反応させることにより得られる。このとき、反応温度は0〜50℃程度が好ましい。また、反応圧力は特に制限されず、常圧、加圧、減圧のいずれでもよい。反応雰囲気も特に制限されない。
【0028】
前記のアルコラートを得る反応において、アルコラート生成用塩基としては、アルカリ金属又はアルカリ金属水素化物が好ましい。このアルカリ金属としては金属ナトリウムが好ましく、アルカリ金属水素化物としては水素化ナトリウムが好ましい。アルコラート生成用塩基の使用量は、オキセタンアルコール類1モルに対して1〜1.5モルが好ましい。
【0029】
前記のアルコラートを得る反応において、反応溶媒としては、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン等)、エーテル(テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等)、非プロトン性極性溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)などが好適に挙げられる。これら溶媒は単独又は複数で使用されるが、その使用量はオキセタンアルコール類1モルに対して100ml〜3L、更には200ml〜2L程度であることが好ましい。
【0030】
オキセタンアルコール類のアルコラートと塩化シアヌルとの反応は、前記のアルコラートを得る反応に引き続き、例えば、オキセタンアルコール類のアルコラートを含有する反応液に塩化シアヌルを添加することにより行われる。このとき、塩化シアヌルは前記溶媒に溶解して溶液として添加してもよい。
【0031】
この反応において、塩化シアヌルは、オキセタンアルコール類のアルコラートに対して0.1〜0.4モル、更には0.2〜0.33モル使用することが好ましい。また、反応温度は0〜50℃、更には5〜30℃であることが好ましく、塩化シアヌルの添加はこの温度範囲を維持できるように行われる。反応圧力は特に制限されず、常圧、加圧、減圧のいずれでもよい。反応雰囲気も特に制限されない。反応時間は通常1〜10時間程度で充分である。
反応終了後、前記と同様にして、式(1)で表されるオキセタン環を有するシアヌル酸誘導体を得ることができる。
【0032】
以上のようにして、本発明の新規なオキセタン化合物(式(1)で表されるオキセタン環を有するシアヌル酸誘導体)が得られるが、その中では、R1がメチル基又はエチル基であるものが好ましい。
【0033】
本発明のオキセタン化合物はカチオン重合が可能であり、例えば、特開平7−53711号公報、特開平11−116663号公報、特願平11−140171号公報記載の方法などにより、公知のオキセタン化合物と同様に重合させることができる。このため、本発明のオキセタン化合物は、光硬化性又は熱硬化性モノマーとして、電気部品等の成型品、耐熱レジスト、コート材、接着剤などの原料、あるいは粉体塗料の架橋剤、改質剤などに利用することが可能である。本発明のオキセタン化合物を含有する硬化性組成物(特に熱硬化性組成物)は、その硬化物のガラス転移温度(Tg)が高いことから、耐熱性の要求される電子材料分野に好適である。
【0034】
本発明のオキセタン化合物は、例えば、本発明のオキセタン化合物(A成分)、カルボン酸無水物(B成分)、及び触媒(C成分)を含有する硬化性組成物(特に熱硬化性組成物)として利用することができる。また、この組成物にエポキシ化合物(E成分)を更に含有させても硬化性組成物として利用することができる。この場合、エポキシ化合物(E成分)、カルボン酸無水物(B成分)、及び触媒(C成分)からなる組成物から得られる硬化物よりも高いTgを有する硬化物を得ることができる。なお、これら組成物はいずれも水酸基含有化合物(D成分)を更に含有していることが好ましい。
【0035】
カルボン酸無水物(B成分)としては、脂環式カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物などが挙げられる。具体的には、例えば、脂環式カルボン酸無水物として、エピキュアYH−306(油化シェルエポキシ製)、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、芳香族カルボン酸無水物として、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物として、無水コハク酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
【0036】
触媒(C成分)としては、例えば、熱によりオキセタン環やエポキシ基の開環重合を促進することができる化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、トリエチレンジアミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のアミン、オクチル酸スズ等のカルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸等のプロトン酸、テトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等のテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。触媒は単独又は複数で使用される。
【0037】
水酸基含有化合物(D成分)としては、水、脂肪族アルコールが好ましく挙げられる。この脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の脂肪族一価アルコールや、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族二価アルコールや、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコール(二価アルコールを除く)が好ましく挙げられる。水酸基含有化合物も単独又は複数で使用できる。
【0038】
本発明の組成物がエポキシ化合物(E成分)を含有する場合、エポキシ化合物(E成分)は、エポキシ樹脂として通常使用されるものであれば、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれでも使用可能である。例えば、芳香族エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等)、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などが挙げられる。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としてエピコート1002(油化シェルエポキシ製)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としてエピコート180S(油化シェルエポキシ製)、脂環式エポキシ樹脂としてセロキサイド2021(ダイセル化学製)などが挙げられる。
【0039】
前記組成物(E成分を含有しない)において、B成分は、A成分中のオキセタン環の当量に対して0.7〜1.0倍当量、更には0.8〜0.9倍当量であることが好ましい。C成分は、A成分中のオキセタン環の当量(モル数)に対して1.0〜7.0モル%、更には2.0〜4,0モル%であることが好ましい。また、D成分は、A成分中のオキセタン環の当量(モル数)に対して2.0〜10.0モル%、更には3.0〜8.0モル%であることが好ましい。
【0040】
前記組成物がE成分を含有する場合、A成分とE成分の割合は任意に選ぶことができる。B成分は、A成分中のオキセタン環の当量及びE成分中のエポキシ環の当量の合計に対して0.7〜1.0倍当量、更には0.8〜0.9倍当量であることが好ましく、C成分は、A成分中のオキセタン環の当量(モル数)及びE成分中のエポキシ環の当量(モル数)の合計に対して1.0〜7.0モル%、更には2.0〜4,0モル%であることが好ましい。また、D成分は、A成分中のオキセタン環の当量(モル数)及びE成分中のエポキシ環の当量(モル数)の合計に対して2.0〜10.0モル%、更には3.0〜8.0モル%であることが好ましい。
【0041】
このような、本発明の新規なオキセタン化合物を含有する硬化性組成物(特に熱硬化性組成物)は、高いガラス転移温度(Tg)を有する硬化物を与えることから、耐熱性に優れた硬化物を与えることができるものである。
【0042】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明を具体的に説明する。
【0043】
実施例1
滴下ロート及び攪拌装置を備えた内容積300mlのフラスコに、塩化シアヌル18.44g(0.1モル)とトルエン100mlを仕込んで氷冷した。これに、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン38.33g(0.33モル)とベンジルトリエチルアンモニウムクロリド1.10g(5ミリモル)を加えた後、よく攪拌しながら、35重量%水酸化ナトリウム水溶液40.0g(NaOH:0.35モル)を30分間で滴下した。この間、反応温度は約10〜15℃であった。その後、反応温度15℃で2時間攪拌した。
【0044】
得られた反応液を分液ロートに移し、これに酢酸エチル200mlと水100mlを追加して激しく振蕩した。次いで、有機層を分液して硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を減圧留去して白色固体39.54gを得た。
【0045】
この物質を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、主成分の純度は93.8%であった。CI−MS、1H−NMR、13C−NMRによる分析の結果、主成分は、式(1)においてR1がエチル基である化合物と同定された。なお、収率は88%であった。
【0046】
分析結果を以下に示す。
CI−MS:分子量 423
1H−NMR(CDCl3,Me4Si):δ 0.92(t,J=7.5Hz,9H)、1.85(q,J=7.5Hz,6H)、4.45(d,J=6Hz,6H)、4.55(d,J=6Hz,6H)、4.60(s、6H)
13C−NMR(CDCl3,Me4Si):δ 8.01、26.18、42.65、70.24、77.72、173.07
【0047】
実施例2
滴下ロート及び攪拌装置を備えた内容積500mlのフラスコに、窒素雰囲気下、水素化ナトリウム(鉱油中分散品;含量60%)13.20g(0.33モル)を量り取った。これにヘキサン30mlを加えてよく分散させた後、静置して上澄みをピペットで抜き取った。同様の操作を更に1回行って、水素化ナトリウムに同伴した鉱油を取り除いた。
【0048】
このフラスコにテトラヒドロフラン200mlを加えて氷冷した後、滴下ロートにより、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン38.33g(0.33モル)を液温が10〜15℃となる速度で滴下した。この間、約40分であった。滴下後、同温度で更に30分攪拌した。
【0049】
この反応液(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのナトリウムアルコラートを含む)に、塩化シアヌル18.44g(0.1モル)をテトラヒドロフラン100mlに溶解した液を、液温が10〜15℃となる速度で滴下した。
この間、約45分であった。滴下後、15℃で更に2時間攪拌した。
【0050】
得られた反応液を分液ロートに移し、これに酢酸エチル500mlと水500mlを追加して激しく振蕩した。次いで、有機層を分液して硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を減圧留去して白色固体38.00gを得た。
【0051】
この物質を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、主成分の純度は96.5%であった。分析の結果、主成分は実施例1で得られた化合物と同一であった。なお、収率は87%であった。
【0052】
実施例3
オキセタン化合物(A成分)、カルボン酸無水物(B成分)、触媒(C成分)、及び水酸基含有化合物(D成分)を含有する熱硬化性組成物を30重量%の割合で含むジメチルホルミアミド溶液を調製した。但し、オキセタン化合物としては実施例1で得られたオキセタン環を有するシアヌル酸誘導体(シアヌル酸型オキセタン化合物)を、カルボン酸無水物としてはエピキュアYH−306(油化シェルエポキシ製)を、触媒としてはベンジルジメチルアミンを、水酸基含有化合物としては水を表1記載の量でそれぞれ使用した。
【0053】
次いで、該ジメチルホルミアミド溶液をガラス板に塗布し、160℃で1時間、そして200℃で30分加熱して硬化物を得た。この硬化物のガラス転移温度を動的粘弾性試験によって測定したところ、ガラス転移温度(Tg)は133℃であった。この測定の装置及び条件を次に示す。
【0054】
測定装置:固体粘弾性アナライザーRSAII(Rhemetrics社製)
測定モード:引っ張りモード、動的測定
SWEEP TYPE:Temperature Steps 3℃/step、Soak Time 0.5分
周波数:10Hz
歪み:0.05%
温度範囲:20〜280℃
雰囲気:窒素気流中
【0055】
比較例1
オキセタン化合物に代えて、エポキシ化合物(E成分)としてエピコート1002(エポキシ当量600〜700g/eq;油化シェルエポキシ製)を表1記載の量で使用したほかは、実施例3と同様に熱硬化性組成物を調製してガラス転移温度を測定した。その結果、硬化物のTgは105℃であった。
【0056】
比較例2
オキセタン化合物に代えて、エポキシ化合物としてエピコート180S(エポキシ当量205〜220g/eq;油化シェルエポキシ製)を表1記載の量で使用したほかは、実施例3と同様に熱硬化性組成物を調製してガラス転移温度を測定した。その結果、硬化物のTgは108℃であった。
【0057】
実施例4
熱硬化性組成物を、オキセタン化合物、カルボン酸無水物、触媒、水酸基含有化合物、及びエポキシ化合物を含有する熱硬化性組成物に代えたほかは、実施例3と同様にガラス転移温度を測定した。但し、オキセタン化合物、カルボン酸無水物、触媒、及び水酸基含有化合物は実施例3と、エポキシ化合物は比較例1と同様のものを表1記載の量で使用した。その結果、硬化物のTgは130℃であった。
【0058】
比較例3
オキセタン化合物を、キシレン型オキセタン化合物の1,4−ビス[(3−エチルー3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼンに代えて、表1記載の量で使用したほかは、実施例4と同様に熱硬化性組成物を調製してガラス転移温度を測定した。その結果、硬化物のTgは89℃であった。
【0059】
実施例5
カルボン酸無水物を無水フタル酸に代えて、表1記載の量で使用したほかは、実施例3と同様に熱硬化性組成物を調製してガラス転移温度を測定した。その結果、硬化物のTgは180℃であった。
【0060】
比較例4
オキセタン化合物に代えて、エポキシ化合物としてエピコート180S(エポキシ当量205〜220g/eq;油化シェルエポキシ製)を表1記載の量で使用したほかは、実施例5と同様に熱硬化性組成物を調製してガラス転移温度を測定した。その結果、硬化物のTgは134℃であった。
【0061】
比較例5
オキセタン化合物を、テレフタル酸型オキセタン化合物のテレフタル酸ビス[(3−エチルー3−オキセタニル)メチル]エステルに代えて、表1記載の量で使用したほかは、実施例3と同様に熱硬化性組成物を調製してガラス転移温度を測定した。その結果、Tgは125℃であった。実施例及び比較例の結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 0004517487
【0063】
【発明の効果】
本発明により、容易に入手可能な原料から製造できる、新規なオキセタン化合物を提供できる。このオキセタン化合物は、カチオン重合が可能で公知のオキセタン化合物と同様に重合させることができるため、光硬化性又は熱硬化性モノマーとして、成型品、コート材、絶縁材、光造型用材料などに利用することが可能なものである。即ち、本発明のオキセタン化合物を含有する硬化性組成物(特に熱硬化性組成物)は、高いガラス転移温度(Tg)を有する耐熱性に優れた硬化物を与えることから、レジストなどの電子材料分野において有用なものである。

Claims (2)

  1. 式(1)
    Figure 0004517487
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
    で表されるオキセタン環を有するシアヌル酸誘導体、脂環式若しくは芳香族カルボン酸無水物、ベンジルジメチルアミン及び水を含有する熱硬化性組成物。
  2. エポキシ化合物を更に含有する、請求項記載の熱硬化性組成物。
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