JP4649077B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種成形物に有用な難燃性樹脂組成物に関し、更に詳しくは、繰り返し単位中に、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合の如き加水分解性を有する結合基を有する熱可塑性樹脂に難燃剤として水酸化マグネシウムの添加した場合であっても、押出加工時に分子量低下、物性低下、発泡現象が生じない難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平61−254647号公報、特開平61−255950号公報等によって、ハロゲンを含有しない難燃剤として水酸化マグネシウム等の金属水酸化物をポリオレフィンに配合することはよく知られている。
【0003】
しかしながら、繰り返し単位中にアミド基、エステル基、ウレタン基の如き加水分解性を有する結合基を有する熱可塑性樹脂に水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を配合すると、押出加工時に樹脂が加水分解を起こし、分子量低下、物性低下等を引き起こし、あるいは発泡が生じたり、さらに、極端な場合には、押出加工が困難になるという問題点があった。以上の理由により、繰り返し単位中に加水分解性を有する結合基を有する熱可塑性樹脂に適用する難燃剤として水酸化マグネシウムが使用されることは少なかった。
【0004】
これらの問題を解決すべく、ポリアミド樹脂に水酸化マグネシウムを配合する方法として、特開平11−21447号公報には、アミド基濃度の異なる少なくとも2種のポリアミド樹脂で構成され、且つ組成物中に含まれる水酸化マグネシウムの内の50%以上が最もアミド基濃度の高いポリアミド成分以外のポリアミド成分中に存在させる難燃性ポリアミド樹脂組成物が提案されている。しかしながら、この公報に開示された技術では、難燃性樹脂組成物中の水酸化マグネシウムのすべてをアミド基濃度の低いポリアミド成分に含有させ、アミド基濃度の高いポリアミド成分中に水酸化マグネシウムを含まないようにすることは困難であるから、樹脂の加水分解を防止する効果は不十分であった。
【0005】
また、特開昭53−58548号公報、特開昭54−29350号公報等には、難燃剤として、脂肪酸金属塩等で表面処理した水酸化マグネシウムを用いることが提案されている。しかしながら、この方法によっても、繰り返し単位中に加水分解性を有する結合基を有する熱可塑性樹脂の加水分解を防止する効果は不十分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、前記従来の問題点を解決し、繰り返し単位中に加水分解性を有する結合基を有する熱可塑性樹脂及び水酸化マグネシウムを含有する難燃性樹脂組成物であって、加熱加工時に危惧される当該熱可塑性樹脂の加水分解と、それに伴う分子量低下、物性低下、発泡現象を抑制した難燃性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、カチオン性基を有する水溶性ポリマーで表面処理を施した水酸化マグネシウムを難燃剤として用いることにより、繰り返し単位中に加水分解性を有する結合基を有する熱可塑性樹脂の加水分解を防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、(1)繰り返し単位中に加水分解性を有する結合基を有する熱可塑性樹脂及び(2)カチオン性を有する水溶性ポリマーで表面処理を施した水酸化マグネシウムを含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるカチオン性基を有する水溶性ポリマーは、カチオン性基を有する水溶性ポリマーであって、炭酸カルシウムなどの無機系顔料の分散剤として用いることができるものであれば、特に制限なく使用することができる。そのような水溶性ポリマーの中でも、第二級アミン塩基を有するコポリマー系の分散剤が好ましい。
【0010】
また、そのようなカチオン性基を有する水溶性ポリマーの第二級アミン塩基としては、例えば、ジアリルアミノ塩基、アルキルジアリルアミン塩基などが挙げられる。
【0011】
カチオン性基としてジアリルアミン塩基及び/又はアルキルジアリルアミン塩基を有する水溶性ポリマーとしては、特開平5−263010号公報に記載のジアリルアミン塩基及び/又はアルキルジアリルアミン塩基を有する水溶性モノマーと非イオン性ビニルモノマーとを構成単位とする重合体が特に好ましい。
【0012】
本発明で用いられるカチオン性基を有する水溶性コポリマー分散剤を構成するアルキルジアリルアミン塩のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、へキシル基、オクチル基の如き炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の如き炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0013】
また、ジアリルアミン塩又はアルキルジアリルアミン塩は、アミノ基の部位が、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸の如き無機酸あるいは有機酸によって塩を構成したものである。
【0014】
本発明で用いられるカチオン性基を有する水溶性コポリマー分散剤を構成する非イオン性ビニルモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステルなどが挙げられる。これらの非イオン性ビニルモノマーの中でも、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドが特に好ましい。
【0015】
本発明で用いられるカチオン性基を有する水溶性コポリマー分散剤の構成単位であるジアリルアミン塩及び/又はアルキルジアリルアミン塩と非イオン性ビニルモノマーとのモル比は、任意とすることができるが、10/90〜99/1(モル比:以下同じ)の範囲が好ましく、50/50〜99/1の範囲が特に好ましく、80/20〜98/2の範囲が更に好ましい。
【0016】
また、本発明で用いられるカチオン性基を有する水溶性コポリマー分散剤の25℃での極限粘度は、0.05〜3.00(dl/g)の範囲が好ましく、0.10〜1.80の範囲が特に好ましく、0.15〜0.70の範囲が更に好ましい。
【0017】
本発明で用いられるカチオン性基を有する水溶性コポリマー分散剤は、上記したジアリルアミン塩及び/又はアルキルジアリルアミン塩と非イオン性ビニルモノマーとを混合し、ラジカル重合開始剤を用いて溶媒中で重合させることにより容易に製造することができる。
【0018】
カチオン性基を有する水溶性コポリマー分散剤を製造する際に用いるラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、第3級ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2−アミジノブタン)ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス(N−フェニルアミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス(N,N−ジメチルアミジノプロパン)ジヒドロクロライド、アゾビスバレロニトリル、などが挙げられる。
【0019】
カチオン性基を有する水溶性コポリマー分散剤を製造する際に用いる溶媒としては、例えば、水あるいは水と水溶性有機溶媒の混合液、が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、などが挙げられる。
【0020】
また、上記重合反応に用いる各成分の割合は、モノマー成分の合計100重量部に対して、溶媒20〜900重量部、ラジカル重合開始剤0.05〜20重量部の範囲が好ましい。また、必要に応じて、モノマー成分の合計100重量部に対して、酸性亜硫酸ソーダ、硫酸第1鉄などの還元剤0.01〜5重量部併用することもできる。
【0021】
重合温度は、通常、30〜110℃の範囲が好ましく、重合時間は、通常、3〜20時間の範囲が好ましく、また、重合反応は、窒素ガスを吹き込みながら行なうことが好ましい。
【0022】
水酸化マグネシウムへのカチオン性基を有する水溶性コポリマー分散剤の固形分処理量は、水酸化マグネシウム100重量部当たり0.01〜1重量部、好ましくは0.01〜0.7重量部添加し、その処理方法は、乾式、湿式処理どちらの方法でも良い。具体的には、▲1▼粉砕器(兼表面処理機)、例えば、ヘンシェルミキサーやハイスピードミキサーのような高速攪拌機に水酸化マグネシウムと所定量のカチオン性コポリマー分散剤を同時に添加し、粉砕時の新生表面に表面処理を行う方法、▲2▼ビーズミル等に水酸化マグネシウムと水とカチオン性コポリマー分散剤を添加し、表面処理を行い、ついで乾燥、解砕、分級を行う方法、が挙げられる。
【0023】
また、カチオン性を有する水溶性ポリマーで表面処理を施した水酸化マグネシウムとして、カチオン性基を有する水溶性ポリマーで表面処理を施した水酸化マグネシウムを、さらに脂肪酸、脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、リン酸エステルで処理したものも使用することができる。
【0024】
本発明で使用する繰り返し単位中に加水分解性を有する結合基を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、12ナイロン、6ナイロン、6/12ナイロンの如き各種ポリアミド;ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリエステルアミドエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマーの如きポリアミドエラストマー;芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルからなるポリエステルエラストマー、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルからなるポリエステルエラストマー、ポリブチレンテレフタレートとポリエーテルとの共重合体からなるポリエステルエラストマーの如きポリエステルエラストマー、;熱可塑性ポリウレタン;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンテレフタレート、などが挙げられる。
【0025】
本発明の難燃性樹脂組成物中の(1)繰り返し単位中に加水分解性を有する結合基を有する熱可塑性樹脂と(2)カチオン性を有する水溶性ポリマーで表面処理を施した水酸化マグネシウムを含有する難燃剤成分の割合は、(1)加水分解性を有する結合基を有する熱可塑性樹脂100重量部に対して、難燃剤成分1〜400重量部の範囲が好ましく、10〜300重量部の範囲が機械的特性と難燃性が良好となるので、特に好ましい。
【0026】
また、本発明の難燃性樹脂組成物には、カチオン性を有する水溶性ポリマーで表面処理を施した水酸化マグネシウム以外に、分子中にリン原子を有する化合物からなる難燃剤、分子中に窒素原子を有する化合物からなる難燃剤、シリコーン類、分子中にハロゲン原子を有する化合物からなる難燃剤、酸化アンチモンや硼酸亜鉛等の難燃助剤を併用することもできる。これら材料は、樹脂の種類や設定する難燃性能により適宜配合することができる。
【0027】
分子中にリン原子を有する化合物からなる難燃剤としては、例えば、正リン酸エステル、縮合リン酸エステル、赤燐、リン酸エステルアミド、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム等が挙げられる。
【0028】
分子中に窒素原子を有する化合物からなる難燃剤としては、例えば、メラミンシアヌレート、メラミン、メラム、メレム等が挙げられる。
【0029】
分子中にハロゲン原子を有する化合物としては、デカブロモジフェニールオキサイド、デカブロモジフェニールエタン、テトラブロモビスフェノール−A、1,,2,3,4,7,8,9,10,13,13,14,14−ドデカクロロ−1,4,4a,5,6,6a,7,10,10a,11,12,12a−ドデカハイドロ−1,4:7,10−ジメタノジベンゾ(a,e)シクロオクテン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリスチレン等が挙げられる。
【0030】
酸化アンチモンとしては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。
【0031】
なお、本発明の難燃性樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤、発泡剤、滑剤、顔料、充填剤等を適量配合させることもできる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の例において、「部」及び「%」は特に断りがない限り、「重量部」及び「重量%」をそれぞれ表わす。
【0033】
<合成例1>(カチオン性コポリマー分散剤の合成)
還流冷却器、温度計、滴下ロート、攪拌装置およびガス導入管を備えた反応器(容量1L)に、ジアリルアミン塩酸塩(60%)500部とアクリルアミド(40%)5部および水15部を入れ、窒素ガスを流入させながら系内温度を80℃に昇温した。攪拌下で滴下ロートを用いて重合開始剤、過硫酸アンモニウム(25%)30部を4時間にわたり滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を続けて粘稠な淡黄色液状物を得た。このようにして得た淡黄色液状物50gを採り、500mlのアセトン中に注ぐと白色の沈澱を生じた。沈澱を濾別し、さらに2回100mlのアセトンでよく洗浄した後、真空乾燥させて白色固体22.5gを得た。収率は82.0%であった。得られた重合体の1N−NaCl水溶液中、25℃での極限粘度は0.30(dl/g)、GPCより求めた重量平均分子量は5.0万であった。
【0034】
<合成例2>(カチオン性を有する水溶性ポリマーで表面処理を施した水酸化マグネシウムの調製)
水酸化マグネシウムと水との重量比が40/60となるように水を加え、合成例1で得られたカチオン性コポリマー分散剤を水酸化マグネシウム100重量部あたり、固形分で0.2重量部加え、テーブル式アトライター型攪拌機を用いて、φ1mmのジルコンビーズ充填率170%、周速10m/secで混合攪拌した。次いで、330メッシュスクリーンを通したスラリーを115℃の温風乾燥機内で乾燥後、奈良式自由ミルで解砕後、120メッシュで分級して、カチオン性を有する水溶性ポリマーで表面処理を施した水酸化マグネシウムを得た。
【0035】
<実施例1>
ハイトレル7247(東レ・デュポン(株)製、240℃、2.16kgでのメルトマスフローレートが13g/10分)70重量部及び合成例2で得た水酸化マグネシウム30重量部をタンブラーを用いて混合し、さらに、30mmφベント式2軸押出機を用いて220℃で溶融混練した後、ペレット化して、ペレット状の難燃剤樹脂組成物を得た。このようにして得られた難燃剤樹脂組成物について、メルトマスフローレートの測定を実施し、その結果を表1に示した。
【0036】
<実施例2>
耐加水分解性処理が施されたハイトレル7247R09(東レ・デュポン(株)製、240℃、2.16kgでのメルトマスフローレートが17g/10分)を70重量部及び合成例2で得た水酸化マグネシウム30重量部をタンブラーを用いて混合し、さらに、30mmφベント式2軸押出機を用いて220℃で溶融混練した後、ペレット化して、ペレット状の難燃剤樹脂組成物を得た。このようにして得られた難燃剤樹脂組成物について、メルトマスフローレートの測定を実施し、その結果を表1に示した。
【0037】
<実施例3>
6ナイロン1022B(宇部興産(株)製、240℃、2.16kgでのメルトマスフローレートが9g/10分)70重量部及び合成例2で得た水酸化マグネシウム30重量部をタンブラーを用いて混合し、さらに30mmφベント式2軸押出機を用いて240℃で溶融混練した後、ペレット化して、ペレット状の難燃剤樹脂組成物を得た。このようにして得られた難燃剤樹脂組成物について、メルトマスフローレートの測定を実施し、その結果を表1に示した。
【0038】
<実施例4>
ポリエーテルエステルアミドエラストマーTPAE−8(富士化成工業(株)製、190℃、2.16kgでのメルトマスフローレートが5g/10分)を70重量部、合成例2で得た水酸化マグネシウム30重量%をタンブラーを用いて混合し、さらに、30mmφベント式2軸押出機を用いて180℃で溶融混練した後、ペレット化して、ペレット状の難燃剤樹脂組成物を得た。このようにして得られた難燃剤樹脂組成物について、メルトマスフローレートの測定を実施し、その結果を表1に示した。
【0039】
<比較例1>
実施例1において、合成例2で得た水酸化マグネシウムに代えて、「水酸化マグネシウムキスマ5A」(協和化学工業(株)製、ステアリン酸により表面処理)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ペレット化を試みたが、発泡および溶融粘度の低下が激しく、ペレット化することが出来なかった。
【0040】
<比較例2>
実施例2において、合成例2で得た水酸化マグネシウムに代えて、「水酸化マグネシウムキスマ5A」を用いた以外は、実施例2と同様にして、ペレット化して、ペレット状の難燃剤樹脂組成物を得た。このようにして得られた難燃剤樹脂組成物について、メルトマスフローレートの測定を実施し、その結果を表1に示した。
【0041】
<比較例3>
実施例3において、合成例2で得た水酸化マグネシウムに代えて、「水酸化マグネシウムキスマ5A」を用いた以外は、実施例3と同様にして、ペレット化を試みたが、発泡および溶融粘度の低下が激しく、ペレット化することが出来なかった。
【0042】
<比較例4>
実施例4において、合成例2で得た水酸化マグネシウムに代えて、「水酸化マグネシウムキスマ5A」を用いた以外は、実施例4と同様にして、ペレット化して、ペレット状の難燃剤樹脂組成物を得た。このようにして得られた難燃剤樹脂組成物について、メルトマスフローレートの測定を実施し、その結果を表1に示した。
【0043】
<評価>
各実施例及び各比較例で得られた難燃性樹脂組成物を用い、下記方法によりメルトマスフローレートを測定した。加水分解が生じると、樹脂の分子量が低下し、溶融粘度が低下する。溶融粘度の低下はメルトマスフローレートの増加と相関することから、加水分解が防止されているかどうかの指標としてメルトマスフローレートを測定し判定した。
(1)メルトマスフローレート
[測定条件1]:JIS K 7210により、240℃、2.16kgで測定した。測定値の単位はg/10分である。
[測定条件2]:JIS K 7210により、190℃、2.16kgで測定した。測定値の単位はg/10分である。
【0044】
【表1】
Figure 0004649077
【0045】
表1に示した結果から、カチオン性を有する水溶性ポリマーで表面処理を施した水酸化マグネシウムを難燃剤として添加した各実施例の樹脂組成物は、メルトマスフローレートの増加は見られず、加水分解性が大幅に防止されていることが理解できる。一方、ステアリン酸で処理された水酸化マグネシウムを難燃剤として展開した各比較例の樹脂組成物では、メルトマスフローレートが大幅に増加し、加水分解が激しい場合には、ペレット、成型などの加工が困難になることが理解できる。
【0046】
【発明の効果】
本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃剤としてカチオン性基を有する水溶性ポリマーで表面処理を施した水酸化マグネシウムを使用しているので、繰り返し単位中に加水分解性を有する結合基を有する熱可塑性樹脂の加水分解を防止できる結果、機械的特性の低下がなく、成形加工性に優れ、かつ、燃焼時に、ハロゲン化水素ガス等を発生しないという特性を有する。また、本発明の難燃性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の加水分解が抑制されているので、他の難燃剤との組み合わせの自由度が大幅に増加し、種々の規格にあった難燃性や特性を有する難燃性樹脂組成物を設計することができる。さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、シート、フィルム、電線被覆、筐体への加工が容易であるので、建築用シート、工業用フィルムおよびシート、粘着テープ、電線被覆材料、光ファイバー被覆材料、コルゲートチューブ、電力管、電子部品成形材料等への応用、他の素材と組み合わせた応用用途など、工業的価値の高いものである。

Claims (5)

  1. (1)繰り返し単位中に加水分解性を有する結合基を有する熱可塑性樹脂及び(2)カチオン性を有する水溶性ポリマーで表面処理を施した水酸化マグネシウムを含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. カチオン性基を有する水溶性ポリマーが、第二級アミン塩基を有するコポリマー系の分散剤である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. カチオン性基を有する水溶性ポリマーが、少なくとも、ジアリルアミノ塩及び/又はアルキルジアリルアミン塩と非イオン性ビニルモノマーとを構成単位とするものである請求項2記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 非イオン性ビニルモノマーがアクリルアミド及び/又はメタクリルアミドである請求項3記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物からなることを特徴とする成形物。
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