JP4647741B2 - 排水口用ヌメリ取り具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、台所流し台の排水口や風呂場の排水口やトイレの床の排水口等のように、雑菌やカビ等の代謝物によりヌメリや悪臭が発生する箇所に設け、ヌメリを除去したり、ヌメリの発生を予防したり、あるいはヌメリを防除したりするのに有用なヌメリ取り具やそのための薬剤容器、それらを用いるヌメリ取り方法等に関するもので、特に、家庭用台所流し台の排水口部を大型化し、ゴミ取りカゴを設置し、排水とともに流出した料理材料クズ等の生ゴミをゴミ取りカゴで補集し、一定量がたまった際に廃棄するタイプの流し台のゴミ取りカゴ用のヌメリ取り具に関する。
【0002】
【従来の技術】
台所流し台や風呂場の排水口のヌメリの主成分は、食材、界面活性剤、石鹸、人の垢等が細菌の栄養源となり、そのとき細菌から分泌されるポリサッカライドであることが知られている。
【0003】
従来、家庭用流し台の排水口部のゴミ取りカゴのヌメリ防止用薬剤として、トリクロルイソシアヌール酸、ジクロルイソシアヌール酸塩、ブロムクロルジメチルヒダントイン等の塩素系酸化剤を単独又は他の成分と配合したものを加圧成形した錠剤を、プラスチック製のネット又はカゴ状薬剤容器に収納し、ヒモ等によりゴミ取りカゴ内に吊し、ゴミ取りカゴのヌメリを防止する薬剤はよく知られており(特開平8−128090号公報)、これらは数年前より「ヌメリ取り剤」等の名称で販売され実用に供されている。
【0004】
上記薬剤は塩素系酸化剤の強力な殺菌力により、ゴミ取りカゴのヌメリと悪臭の防止に効果を発揮し、広く使用されているが、その強力な酸化力によりゴミ取りカゴ及び周辺の排水口材質を劣化・腐食させる他、塩素ガスや塩素ガスと食物クズ中の窒素分との反応により生成する三塩化窒素等の刺激臭のガスを発生する等の安全性に問題を有している。
【0005】
上記問題点を解決するため塩素系酸化剤以外の殺菌剤を用いた「ヌメリ取り剤」が、種々提案されている。例えば、過炭酸ソーダ、過硫酸カリウム、過ホウ酸ソーダ等の過酸化物(特開平8−268818号公報、特開平9−31495号公報)、ポビドンヨード等のヨウ素系殺菌剤(特開平9−124423号公報、特開平9−227317号公報)、亜硫酸塩等の硫黄化合物と抗菌剤からなる除菌用薬剤(特開平9−124422号公報)、オルトフェニルフェノール、ジフェニル、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、ヒノキチオール等の揮発性除菌剤(特開平9−206040号公報)、銀イオン、銅イオン等をゼオライト、シリカゲル等の無機化合物に担持させた無機系殺菌剤(特開平8−157305号公報、特開平9−30915号公報、特開平9−194313号公報)、パラクロロメタキシレノール等の工業用殺菌剤等を単独又は適当な溶解調整剤を添加して加圧成形した錠剤が知られている。
【0006】
これら塩素系酸化剤以外の殺菌剤を用いた「ヌメリ取り剤」は、塩素系酸化剤からなる「ヌメリ取り剤」と同様に、プラスチック製のネット又はカゴ状薬剤容器に収納し、ヒモ等でゴミ取りカゴ内につり下げて設置され、塩素系酸化剤を使用しない「ヌメリ取り剤」として一部市販されているが、従来の塩素系酸化剤を有効成分とする「ヌメリ取り剤」に比べると殺菌力が弱く、ヌメリや悪臭の防止効果が不充分であり、普及が進んでいない。
【0007】
また、特開平7−184823号公報には、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの混合物等の抗菌剤を中空多孔質シリカ等の無機多孔質微粒子に担持させたものを不織布等の透水性の袋に収納したり、蛋白質や多糖類等の水溶性物質に担持させフィルム状とした「ヌメリ取り剤」が記載されている。しかし、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンは、強い抗菌力を有し、かつ材質腐食やガスの発生はともなわないが、水に易溶であり有効期間が従来の薬剤より短期間となる欠点の他、皮膚刺激性が激しいため、家庭において使用するには安全上問題があった。
【0008】
また、排水口部分に設置される排水口用ごみ取り具として、少なくとも排水口部分に通水孔を設けてなる排水口用ごみ取り具であって、排水口に装着される本体部分と該本体部分に装着される蓋体とからなり、該蓋体は通気性を有し、蓋体を本体部分に装着した時に、本体部分と蓋体との間に水溶性薬剤を収納する薬剤収納空間を形成するように構成した排水口用ごみ取り具(特開平9−296492号公報)が知られているが、排水の大部分が薬剤と接触することから溶解液中の薬剤濃度が薄まり、ヌメリを充分防止することができないという問題があった。この他、ヌメリ取り剤を収納した薬剤容器をつなぎ部を介して生ゴミカゴの取っ手に取り付ける取付部を有するもの(特開平9−292号公報)や、フッ素樹脂で表面が被覆された生ゴミ用網カゴを使用するもの(特開平8−158441号公報)や、網カゴの周囲に設けられた環状パイプから電解酸性イオン水を噴射するもの(実開平6−46069号公報)や、排水口の上部に防菌防黴作用を有する溶液を供給する防菌防黴装置(特開平9−154923号公報)等が知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、簡単に排水口の上部に設置することができ、安全性や取り扱い性に優れ、収納されている適度な溶解性を保持したヌメリ防除固形薬剤から薬剤溶解液を排水管壁面等ヌメリ発生面に広がらせることができ、また固形薬剤の交換や薬剤容器の挿着が簡便に行いうる構造を有する排水口用ヌメリ取り具を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと多分子系ホスト化合物とからなる包接化合物を加圧成形してなる非さらし粉系ヌメリ防除剤を提案している(特開平10−245308号公報)。この防除剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンをホスト化合物により多分子包接体としているため皮膚刺激性が低下し、かつ水に対する溶解性も低下しており、ヌメリ防除剤として優れたものである。また、本発明者らは、有機ヨード系抗菌剤と固体酸とを加圧成形してなるヌメリ防除剤についても提案しており(特開平10−245306号公報)、このヌメリ防除剤も優れたヌメリ防除効果が確認されている。
【0011】
ところで、塩素系酸化剤を有効成分とする薬剤であれば、ゴミ取りカゴの底部に設置しても、発生する塩素ガスにより薬剤溶解液が接触しない部分も含め殺菌できるため、カゴ内全体のヌメリ防止が可能であるのに対し、塩素系酸化剤以外を有効成分とする薬剤のヌメリ防除効果は、薬剤の設置された周辺部に限られ、特に薬剤の設置された位置より上部の部分に対する効果が弱いということを見出した。そこで、これらヌメリ防除剤を排水管の入口部又は上部に設置することができ、該ヌメリ防除剤の溶解液を排水口蓋、排水管壁面、排水口に設置されたゴミ取りカゴ等ヌメリ発生面に広がらせることができ、かつ台所流しの生ゴミ等のゴミが排水とともに容器内に流入することを防止した排水口用ヌメリ取り容器を種々試作し、ヌメリ防除効果について検討し、ヌメリ防除効果について確認し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤と、排水の流入と溶解液の流出が可能な前記固形薬剤を収納する薬剤容器と、該薬剤容器を挿着することができ、排水口の入口部又は上部に設置可能な形状をした蓋部とからなるヌメリ取り具において、前記蓋部が上蓋部と下蓋部とから構成され、上蓋部には、前記薬剤容器をその中心付近に挿着するための挿入口と、その上面を利用して排水の一部を前記薬剤容器中の固形薬剤と接触させるための導水部と、排水の多くを前記薬剤容器中の固形薬剤と接触させることなく排水するための陥入切開部とが設けられ、下蓋部には、前記上蓋部の挿入口から挿着された薬剤容器を所定の位置に保持するための当接部と、薬剤容器から流出した固形薬剤の溶解液をヌメリ発生面に広がらせるための外周下部に設けられた複数の溶解液排出孔と、前記上蓋部の陥入切開部からの排水を固形薬剤の溶解液と接触させることなく排水するための切欠きを囲む立設部とが設けられていることを特徴とする排水口用ヌメリ取り具(請求項1)や、下蓋部が、薬剤容器から流出した固形薬剤の溶解液を自然に外周方向へ拡散させるため、その中心付近が外周付近に比べて高く、かつ中心付近から外周方向に緩やかな傾斜面として構成されていることを特徴とする請求項1記載の排水口用ヌメリ取り具(請求項2)や、排水の一部を薬剤容器中の固形薬剤と接触させることなく排水するための上蓋部に設けられた陥入部が、1もしくは複数の略扇形状又は1もしくは2の半円形状であることを特徴とする請求項1又は2記載の排水口用ヌメリ取り具(請求項3)や、薬剤容器に収納される固形薬剤が1個であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の排水口用ヌメリ取り具(請求項4)や、薬剤容器に収納される固形薬剤が、塩素系酸化剤以外の抗菌剤と25℃での飽和水溶液のpHが5〜9である基材の混合物を加圧成形してなる固形薬剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の排水口用ヌメリ取り具(請求項5)や、塩素系酸化剤以外の抗菌剤が5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと多分子系ホスト化合物とからなる包接化合物であり、25℃での飽和水溶液のpHが5〜9である基材が硫酸カルシウム0.5水和物であることを特徴とする請求項5記載の排水口用ヌメリ取り具(請求項6)に関する。
【0013】
【本発明の実施の形態】
本発明の排水口用ヌメリ取り具は、微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤と、排水の流入と溶解液の流出が可能な前記固形薬剤を収納する薬剤容器と、該薬剤容器を挿着することができ、排水口の入口部又は上部に設置可能な形状をした蓋部とから基本的に構成されている。以下、本発明の排水口用ヌメリ取り具を図面を参照しながら説明する。図1は本発明の排水口用ヌメリ取り具の概略組立図、図2は本発明の排水口用ヌメリ取り具の概略斜視図、図3は本発明の排水口用ヌメリ取り具を流し台シンク排水口に適用した場合の概略縦断面図である。
【0014】
本発明の排水口用ヌメリ取り具における薬剤容器1としては、排水の流入と溶解液の流出が可能で、固形薬剤を収納することができる構造であれば特に制限されるものではない。排水の流入部としては、スリット、親水性の不織布、網目構造等を例示することができるが、排水を円滑に容器内に導くとともにゴミが容器内に流入しないスリット状の排水流入孔2を適宜間隔で複数有するものが好ましく、かかるスリット状の排水流入孔が容器上面の中心部寄りから放射状に延び、さらに外周面上部まで連続して設けられているものが特に好ましい。排水流入孔におけるスリットの長さはスリットの幅に合わせて、その幅より長く適宜設定すればよいが、上面、側面あわせて全長2mm以上、好ましくは5mm以上あることが望ましい。スリットはさらに延長して外周面下部まで延長し、溶解液排出孔3を兼ねてもよい。また、これとは別に薬剤容器1の外周面下部にスリット状の溶解液排出孔3を設けることもできる。これらスリットの幅は、0.5〜4mm、さらに0.5〜3mm、特に1〜2mmである排水流入孔が好ましい。スリット幅が0.5mm以上であると水の表面張力の均衡が破れ、水を容器内に流入させることができる。また、スリット幅が4mm以下好ましくは3mm以下であるとゴミの流入を極力防止することができる。これに対し、排水流入孔が円形または四角形の孔の場合、水の表面張力に打ち勝って円滑に容器内へ排水を導くには直径または幅が4mm以上必要であり、この大きさの孔を容器にあけると台所の排水口の場合、排水とともに食物屑等の固形のゴミが容器内に流入し、容器内が汚染されたり、固形薬剤4と水の接触を妨げたり、溶解液流出孔が詰まったりするなど不都合が生じる。
【0015】
また、薬剤容器1を二分割可能な構造とし、二分割した状態でその中に固形薬剤4を収納してもよいが、底なし構造としてその中に固形薬剤4を収納した状態で蓋部5の上蓋部6の挿入口7から挿着してもよい。この場合、挿着された薬剤容器1を所定の位置に保持するための下蓋部8の当接部9が薬剤容器1の底部となる。本発明の排水口用ヌメリ取り具においては、上記のように簡便に固形薬剤4を交換することができるばかりでなく、小型の薬剤容器1が用いられることから、薬剤容器1を廃棄する場合にあっても廃棄物の量が少ないという利点がある。
【0016】
本発明の排水口用ヌメリ取り具における蓋部5は上蓋部6と下蓋部8とから構成されている。かかる上蓋部6と下蓋部8は一体成型とすることもできるが、図1に示すように、上蓋部6に嵌合溝(図示せず)を設け、上蓋部6と下蓋部8を嵌合することにより蓋部5を形成してもよい。上蓋部6には、前記のように、その中心付近に薬剤容器1を挿着するための挿入口7が設けられている。また、上蓋部6の上面には、排水の一部を薬剤容器中の固形薬剤4と接触させるための平坦面からなる導水部10と、排水の多くを薬剤容器中の固形薬剤4と接触させることなく排水するための陥入切開部11とが設けられている。この陥入切開部11の形状としては、略扇形状や半円形状を例示することができ、略扇形状の場合は1又は複数個、半円形状の場合は1又は2個設けることができる。かかる陥入切開構造とすることにより、通常の菊割れ形状よりも構造的に大きな強度の蓋部となる。なお、この陥入切開部11には、図1に示されるものの他、切欠き等の排水の多くを薬剤容器中の固形薬剤4と接触させることなく排水することができる構造が含まれる。また、上蓋部6の外縁部と排水口との隙間から食物クズが流入するのを防止するため、上蓋外縁部から厚さ0.5〜2mm、幅1〜3mmの柔軟性の鍔(図示せず)を延設し、前記隙間を塞いでおくこともできる。
【0017】
また、蓋部5の下蓋部8の中心付近には、前記のように、上蓋部の挿入口から挿着された薬剤容器1を所定の位置に保持するための当接部9が形成される。また、下蓋部8の外周面12の下部には、薬剤容器1から流出した固形薬剤4の溶解液をヌメリ発生面に広がらせるための複数の溶解液排出孔13が適宜間隔で設けられている。また、上蓋部6の陥入切開部11からの排水を固形薬剤4の溶解液と接触させることなく排水するための、陥入切開部11に対応する位置と大きさの切欠き14を囲む立設部15が設けられている。また、中心付近に保持された薬剤容器1から流出した固形薬剤4の溶解液を自然に外周方向へ拡散・分散させるため、その中心付近が外周付近に比べて高く、かつ中心付近から外周方向に緩やかな傾斜面として構成することが好ましい。さらに、前記切欠き14を囲む立設部15に面する外周部分に溶解液を自然に拡散・分散させるため、立設部15に面する外周付近を立設部15に面しない外周付近よりも低くなるようにしておくことが好ましい。
【0018】
そして、これら薬剤容器や蓋部の材質としては、プラスチック、ゴム、金属等各種公知のものが使用可能であるが、コスト、加工面等から各種のプラスチックが好ましく使用される。特に、流し台シンクの排水口に設けられる蓋部を、従来のゴム蓋に代えてプラスチック製、例えば着色プラスチック製とすることもできる。また、これら薬剤容器や蓋部の材質として、抗菌処理が施されたものを用いることもできる。抗菌処理の方法としては、従来公知の抗菌処理方法であれば特に制限されないが、例えば抗菌剤を材質の一部として含有させたり、表面にコーティングする処理方法を挙げることができる。抗菌処理に用いられる抗菌剤としては、バクテリアやカビ等に対する広範囲な抗菌スペクトルを有し、水に対する溶解度が小さいものであればどのようなものでもよいが、樹脂成形時の熱に耐えられる2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛等が好ましい。かかる抗菌処理を施すことにより、薬剤溶解液と相乗的に、あるいは補完的に薬剤容器や蓋部に発生するヌメリを防止することができる。
【0019】
さらに、薬剤容器や蓋部の材質や形状に応じて、薬剤容器や蓋部に親水処理や撥水処理を施すこともできる。親水処理や撥水処理は、例えば、薬剤容器や蓋部に親水性又は撥水性の樹脂材料を用いたり、薬剤容器の樹脂に親水性又は撥水性の界面活性剤を練り込んだ材料を用いたり、あるいは薬剤容器や蓋部の表面に親水性又は撥水性のコーティング剤、塗料を塗布することにより行うことができる。薬剤容器や蓋部の材質の全部又は一部、例えば薬剤収納薬剤容器を親水性とすることにより、水の表面張力の影響を小さくすることができ、該薬剤容器の排水流入孔から薬剤容器内へ排水をより円滑に流入させることができるだけでなく、排水中に含まれる油の薬剤容器への付着を防止することが可能となる。反対に、蓋部表面を撥水性とすることにより、水溶性汚れ物質による蓋表面の汚れの付着を防止することができる。
【0020】
本発明における微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤としては、塩素系酸化剤以外の抗菌剤と25℃での飽和水溶液のpHが5〜9である基材の混合物を加圧成形してなるヌメリ防除剤が好ましい。塩素系酸化剤以外の抗菌剤としては、その使用時に酸性物質等と反応して塩素ガスを発生しないものであればどのようなものでも使用することができ、例えば、一般的な防黴剤又は抗細菌剤として知られている化合物及び抗菌作用を有するとして知られている天然製油類等を例示することができる。
【0021】
かかる防黴剤又は抗細菌剤として例えば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−3−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メトキシカルボニルベンズイミダゾール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メタンスルホニルピリジン、2−チオシアノメチベンゾチアゾール、2,2−ジチオ−ビス−(ピリジン−1−オキサイド)、3,3,4,4−テトラハイドロチオフェン−1,1−ジオキサイド、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオラン−3−オン、5−クロロ−4−フェニル−1,2−ジチオラン−3−オン、N−メチルピロリドン、フェニル−(2−シアノ−2−クロロビニル)スルホン、メチレンビスチオシアネート、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−エタノール、2−ブロモ−4′−ヒドロキシアセトフェノン、ジブロモニトリルプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ブロモメチルグルタルニトリル、過炭酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過ほう酸ナトリウム、オルトフェニルフェノール、ジフェニル、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、パラクロロメタキシレノール、パラヒドロキシ安息香酸n−ブチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸メチル、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロロへキシジン、グルコン酸クロロヘキシジン、2−ピリジンチオール−1−オキサイド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、N,N′−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)、4,4′−(テトラメチレンジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)等を具体的に挙げることができる。
【0022】
また、天然製油類としては、例えば、シネオール、ヒノキチオール、メントール、テルピネオール、ボルネオール、ノポール、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、ゲラニオール、リナロール、ジメチルオクタノール、チモール等を例示することができる。
【0023】
さらに、本発明における塩素系酸化剤以外の抗菌剤として、ヨード系抗菌剤も例示することができ、その中でも特に固体のものが望ましい。ヨード系抗菌剤としては、例えば、2,3,3−トリヨードアリルアルコール類、2,3,3−トリヨードアリルエーテル類、2,3,3−トリヨードアリルアゾール類、3−ヨード−2−プロパギルブチルカルバミン酸、4−クロロフェニル(3−ヨードプロパギル)ホルマール、ヨードプロパギルアゾール類、ジヨード−パラ−トリスルホン、ポピドンヨード、ベンジルヨード酢酸エステル及びパラニトロベンジルヨード酢酸エステルを挙げることができる。
【0024】
これら塩素系酸化剤以外の抗菌剤は、単独又は2種以上混合して使用することができる。また、これら塩素系酸化剤以外の抗菌剤は、多分子系ホスト化合物のゲスト化合物とすることができ、例えば、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等をゲスト化合物として包接化合物を形成させ、これらを塩素系酸化剤以外の抗菌剤として使用することができる。かかる包接化合物は、通常、ゲストとなる塩素系酸化剤以外の抗菌剤とホスト化合物とを、場合によっては水あるいは有機溶媒存在下に、常温〜100℃で数分間〜数時間攪拌して反応させることにより容易に得られる。ここで、多分子系ホスト化合物とは、ゲストとなる抗菌剤と水素結合等の分子間力により相互作用を持ち、結晶性錯体(包接化合物)を形成する化合物をいい、このような性質を有する化合物であれば特に制限されないが、多分子系ホスト化合物として例えば以下の化合物を例示することができる。
【0025】
(1)テトラキスフェノ−ル類
(2)1,1,6,6−テトラフェニル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール
(3)1,6−ビス(2−クロロフェニル)−1,6−ジフェニルヘキサン−2,4−ジイン−1,6−ジオール
(4)1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール
(5)2,5−ビス(2,4,ジメチルフェニル)ハイドロキノン
(6)1,1−ビス(2,4,ジメチルフェニル)−2−プロピン−1−オール(7)1,1,2,2−テトラフェニルエタン−1,2−ジオール
(8)1,1′−ビ−2−ナフトール
(9)9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロキシアントラセン
【0026】
(10)1,1,6,6−テトラ(2,4−ジメチルフェニル)−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール
(11)9,10−ビス(4−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロキシアントラセン
(12)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
(13)N,N,N′,N′−テトラキス(シクロヘキシル)−(1,1′−ビフェニル)−2−2’−ジカルボキシアミド
(14)4,4′−スルホニルビスフェノール
(15)4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)
(16)2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)
(17)4,4′−チオビス(4−クロロフェノール)
(18)2,2′−メチレンビス(4−クロロフェノール)
【0027】
(19)デオキシコール酸
(20)コール酸
(21)α,α,α′,α′−テトラフェニル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジメタノール
(22)t−ブチルヒドロキノン
(23)2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン
(24)顆粒状コーンスターチ
(25)1,4−ジアザビシクロ−(2,2,2)−オクタン
(26)3,3′−ビスフェニルスルフォニル−4,4′−ジヒドロキシフェニルスルフォン
(27)トリ−o−チモチド
【0028】
また、上記多分子系ホスト化合物におけるテトラキスフェノ−ル類としては、例えば、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3,3−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,4,4−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,5,5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1,5,5−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン等テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカン類を具体的に例示することができる。
【0029】
本発明において塩素系酸化剤以外の抗菌剤とともに使用される基材は、25℃の飽和水溶液のpHが5〜9、好ましくは6〜8の物質であり、燐酸水素カルシウム2水和物、燐酸3カルシウム無水物、燐酸水素マグネシウム3水和物、燐酸水素マグネシウム8水和物、乳糖、バニリン、クエン酸カルシウム4水和物、硫酸カルシウム0.5水和物、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸−o−トルイダイド、アセト酢酸−p−トルイダイド、アセト酢酸−o−アニシダイド、ソルビトール、アルキルソルビタンエステル(HLB14以下)、グリセリンモノ脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、蔗糖脂肪酸エステル(HLB14以下)が好ましく選ばれ、これらは、単独で使用することも、あるいは2種以上混合して使用することもできるが、加圧形成した時の打錠性、水に対する溶解性、崩壊性、抗菌剤の安定性への影響を考慮して決定することが望ましい。
【0030】
25℃の飽和水溶液のpHが5未満の基材を用いると、台所の流し台で使用した場合に塩素系の酸化剤を含む台所洗剤が使用された際に、多量の塩素ガスを発生させ危険であり、他方、25℃の飽和水溶液のpHが9を越える基材を用いると、刺激性が強く、使用者の皮膚や目を傷つける危険性が増加するばかりでなく、塩素系酸化剤以外の抗菌剤として5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと多分子系ホスト化合物の包接化合物を用いる場合、有効成分である5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンが分解しやすくなる。
【0031】
本発明者らは、硫酸カルシウム0.5水和物が加圧成形性、溶解性のコントロール面でヌメリ防除剤等の水と接触する徐放性固形薬剤の基材として特に優れた特性を有することを見い出した。特に、硫酸カルシウム0.5水和物を20重量%以上含有する加圧成形物は、加圧成形が容易であるとともに乳糖等の易溶性の基材と混合することにより幅広い範囲で溶解速度をコントロール可能である。また、硫酸カルシウム0.5水和物を基材とするヌメリ防除剤は接触する排水の水温が変動しても溶解速度の変動幅が小さいという特徴を有しており、季節による水温変化に加えて水温の大幅に異なる排水が流される台所流し台のヌメリ防除剤としては最適の基材である。
【0032】
硫酸カルシウム0.5水和物がこのような特性を発揮するのは、水と接触した際に硫酸カルシウム0.5水和物が水と反応し、硫酸カルシウム2水和物に変化する際に固結するという特有の性質によるものと推定される。通常、易溶性の物質と難溶性の物質とを混合して加圧成形した場合は、難溶性の物質の量が50〜60%以下となると水と接触した際に崩れる現象が見られるが、硫酸カルシウム0.5水和物の場合は20重量%以上含有していれば崩れることがないため、幅広い範囲で易溶性物質との混合成形が可能となり、幅広い溶解コントロールが可能となる。なお、同じ硫酸カルシウムの水和物でも、硫酸カルシウム2水和物は加圧成形用基材として用いることもできるが、易溶性物質との混合物は水と接触したとき崩れやすく、水と接触する固形薬剤用基材としては適していない。硫酸カルシウムは安価で安定性が高いため、各種錠剤の増量材、溶解調整材として提案されているが、使用例から判断すると、これらは2水和物であり、本発明のように硫酸カルシウム0.5水和物を加圧成形の錠剤の基材として使用し、水と接触した際に固結する性質を利用した、徐放性錠剤の提案はなされていない。
【0033】
そして、塩素系酸化剤以外の抗菌剤と基材との混合割合は、使用状況が様々であることから塩素系酸化剤以外の抗菌剤1〜99重量部、基材99〜1重量部の間で任意に混合比率を変化させることができるが、好ましくは塩素系酸化剤以外の抗菌剤5〜20重量部、基材95〜80重量部である。また、塩素系酸化剤以外の抗菌剤として包接化合物を用いる場合、該包接化合物2〜30重量部、基材98〜70重量部の混合割合が好ましい。また、本発明に用いられる固形薬剤は、塩素系酸化剤以外の抗菌剤と基材とを加圧成形することにより得られるが、加圧成形する際には、必要に応じてステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、安息香酸ナトリウム等の滑沢剤を、全ヌメリ防除剤100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で添加することにより、加圧成形を容易にすることができる。
【0034】
本発明に用いられる固形薬剤に、水溶性高分子を1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%含有させることができる。水溶性高分子は、結合剤として加圧成形の際には一般的に使用されるが、硫酸カルシウム0.5水和物を基材とする場合、特に併用することが好ましい。併用することにより、水と接触した硫酸カルシウム0.5水和物が2水和物に変化する際に生じやすい一時的崩壊現象を防止することができる。かかる水溶性高分子としては、水と接触した際に高い粘性を示して、固形薬剤の崩壊を防止し、比較的水に溶解しやすく、硫酸カルシウム0.5水和物の水との接触による固結を妨げない、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニールピロリドン等が特に好ましく使用される。
【0035】
また、成形時の滑沢性を付与するのと同時に、固形薬剤の水中での安定性(膨潤、崩壊防止性)を向上させる目的でステアリン酸などのC14〜C24の飽和脂肪酸を添加することができる。特に硫酸カルシウム0.5水和物を基材として使用した場合、溶解調節剤としてC14〜C24の飽和脂肪酸を添加することが好ましい。C14〜C24の飽和脂肪酸の添加量は、全ヌメリ防除剤100重量部に対して1〜10重量部の割合で用いられる。10重量部以上添加することもできるが溶解速度が遅くなる。また、C14〜C24の飽和脂肪酸としてはステアリン酸やラウリン酸を具体的に挙げることができるが、上記滑沢剤としてのステアリン酸カルシウム等のC14〜C24の飽和脂肪酸の金属塩は、全ヌメリ防除剤100重量部に対して1重量部以上の割合で用いると成形性が損なわれることがあるので、溶解調節剤としての使用は適していない。さらに、目的に応じてアルキルチオ尿素系やトリアゾール系等の腐食防止剤を添加し配管などの金属部分の腐食を抑制することもできる。また、ケイソウ土、硫酸白土などを加えることにより、成形の際、帯電防止効果を付与することもできる。また、各種界面活性剤を添加することにより有効成分を広くヌメリ発生面に拡散させることができる。その他、苦味付与成分を添加することにより乳幼児の誤食を防止したり、消臭剤や芳香剤を添加することにより台所生ゴミや排水口の悪臭を防止することもできる。
【0036】
本発明に用いられる固形薬剤(ヌメリ防除剤)の大きさは、薬剤容器へ装填可能であれば特に制限されないが、薬剤容器に1個の固形薬剤を用いると薬剤交換が簡便となることから、薬剤容器より少し小さめの大きさとすることが好ましい。また、かかる小型固形薬剤は各種公知の形状をとることが可能であるが、加圧成形が容易であることや薬剤容器への装填の容易さの面から円板形状、角落し四角形状、楕円形状、偏平球形、球状等の形状が好ましく選択される。
【0037】
【実施例】
以下に、本発明を実施例等により、さらに具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例
(試料の調製)
表1に示される配合割合の各混合物から加圧成形により、直径30mmの円柱状の成形物からなる各試料を調製した。表1中、「TEP・CMI」はゲスト化合物となる抗菌剤として、2モルの5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、多分子系ホスト化合物として、1モルの1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンとの反応により得られた包接化合物を表し、「ブロノポール」は抗菌剤2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを表し、「TIAA」は2,3,3−トリヨードアリルアルコールを表し、「HPC」は結合材ヒドロキシプロピルセルロースを表わす。
【0038】
【表1】
Figure 0004647741
【0039】
(打錠・崩壊試験)
Φ30mm金型を設置した連続油圧打錠機に設置し、打錠圧8t/cm2で重量12gの錠剤を打錠し、胴割れ、キャッピング、滑沢性、付着性などについての「打錠性」試験を行ったところ、すべての試料についての打錠性評価は「○」で、打錠不良を起こしたものはなかった。また、これら試料の成形物1錠を200mlのポリカップに入れ、蒸留水200mlを添加し、室温で24時間放置後の成形物の崩壊状態を観察したところ、比較例3の薬剤が崩壊したが、他の試料においては崩壊したものはなかった。
【0040】
(溶解試験)
成形物1錠を市販のヌメリ取り用収納ケースに入れ、直径18cm、高さ58cmの市販ピペット洗浄器(洗浄水量:14.75L、洗浄水温:35〜40℃、洗浄水接触時間:3分間、洗浄間隔:6.6分間/回)の水深25〜29cmの位置に収納ケースごと紐で吊して設置し、連続的に洗浄して溶解速度を測定した。表1中の数値は、成型物が完全に溶解するまでの時間を表している。
【0041】
(基材水溶液のpH)
蒸留水100mlを200mlのビーカーに採り、これに基材10gを添加して25℃で1時間攪拌し、濾液のpHを測定した。濾過前の液の基材が完全溶解している場合には再度10gを添加して1時間攪拌した。
【0042】
(性能テスト)
図2に示される本発明のヌメリ取り具の薬剤容器[内寸:直径35mm、高さ17mmの円柱形のプラスチック薬剤容器、外側面に巾1.5mm、長さ5mm上下円板面に続いて長さ8mmのスリット円板面中心に直径4mmの円形穴スリット28本]に、加圧成形された直径30mmの円柱状の固形薬剤1個(12g)からなる各試料を収納した後、下蓋部の外周面下方には2mm巾で長さ5mmの長方形のスリットからなる溶解液排出孔が9個設けられている蓋部に挿着した。かかる本発明のヌメリ取り具を一般家庭の台所の排水口に設置した。固形薬剤が途中で90%溶解した場合は、新しい固形薬剤と交換して試験を行い、ヌメリの付着度合いを目視により1ヶ月後に観察した。その結果を表1に示す。表1からもわかるように、1ヶ月後のヌメリ付着量は、実施例5と6のものが評価「△」で弱いヌメリの付着が認められ、比較例2のものとブランクの評価は「×」で多量のヌメリが認められたが、他のものは評価「○」でヌメリの付着が認められなかった。比較例2のものは、試験終了後の残存薬剤を分析した結果、有効成分が分解していないことが確認された。また、本発明のヌメリ取り具を、家庭の台所流し台に2ヶ月間設置し、モニター試験を実施したところ、2ヶ月間にわたり薬剤容器内にゴミが入ること無いことも確認することができた。
【0043】
(次亜塩素酸系洗浄剤との混合時の塩素ガス発生試験)
錠剤1錠を1000mlのビーカーに入れて市販の次亜塩素酸系洗浄剤3mlを添加し、5分間放置後に発生した塩素ガス濃度をガス検知管で測定した。表1からもわかるように、比較例1以外の試料からの塩素ガス発生濃度は0.2ppmでありブランクと同等であったが、比較例1だけは28ppmの塩素ガスの発生が認められた。
【0044】
【発明の効果】
本発明の排水口用ヌメリ取り具は、簡単に排水口の上部に設置することができ、安全性や取り扱い性に優れ、固形ヌメリ防除薬剤を収納した薬剤容器から、ヌメリ防除剤の溶解液を排水管壁面に広がらせることができ、従来のカゴ状薬剤容器では大部分の薬剤が排水とともに流出してしまい、ヌメリ防除に効果を発揮しなかったのに対し、本発明の排水口用ヌメリ取り具では排水で希釈されない溶解液がヌメリ発生部に長時間接触するため、少量の薬剤で効果的にヌメリを防止することができる。しかもまた、適度な溶出速度で有効成分が溶出するので、台所流し台や風呂場の排水口等のように雑菌やカビ等の代謝物によりヌメリが発生する箇所に設け、ヌメリを除去するとともに、ヌメリの発生を長期間にわたって防止することができる。また、薬剤容器内にゴミが流入することを防ぐことができ、溶解液排出孔が詰まったり、薬剤容器内が汚染されることがなく、排水と固形薬剤との接触も円滑に行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の排水口用ヌメリ取り具の概略組立図である。
【図2】 本発明の排水口用ヌメリ取り具の概略斜視図である。
【図3】 本発明の排水口用ヌメリ取り具を流し台シンク排水口に適用した場合の概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 薬剤容器
2 排水流入孔
3 溶解液排出孔
4 固形薬剤
5 蓋部
6 上蓋部
7 挿入口
8 下蓋部
9 当接部
10 導水部
11 陥入切開部
12 外周面
13 溶解液排出孔
14 切欠き
15 立設部

Claims (6)

  1. 微生物の発育抑制物質を含有する固形薬剤と、排水の流入と溶解液の流出が可能な前記固形薬剤を収納する薬剤容器と、該薬剤容器を挿着することができ、排水口の入口部又は上部に設置可能な形状をした蓋部とからなるヌメリ取り具において、前記蓋部が上蓋部と下蓋部とから構成され、上蓋部には、前記薬剤容器をその中心付近に挿着するための挿入口と、その上面を利用して排水の一部を前記薬剤容器中の固形薬剤と接触させるための導水部と、排水の多くを前記薬剤容器中の固形薬剤と接触させることなく排水するための陥入切開部とが設けられ、下蓋部には、前記上蓋部の挿入口から挿着された薬剤容器を所定の位置に保持するための当接部と、薬剤容器から流出した固形薬剤の溶解液をヌメリ発生面に広がらせるための外周下部に設けられた複数の溶解液排出孔と、前記上蓋部の陥入切開部からの排水を固形薬剤の溶解液と接触させることなく排水するための切欠きを囲む立設部とが設けられていることを特徴とする排水口用ヌメリ取り具。
  2. 下蓋部が、薬剤容器から流出した固形薬剤の溶解液を自然に外周方向へ拡散させるため、その中心付近が外周付近に比べて高く、かつ中心付近から外周方向に緩やかな傾斜面として構成されていることを特徴とする請求項1記載の排水口用ヌメリ取り具。
  3. 排水の一部を薬剤容器中の固形薬剤と接触させることなく排水するための上蓋部に設けられた陥入部が、1もしくは複数の略扇形状又は1もしくは2の半円形状であることを特徴とする請求項1又は2記載の排水口用ヌメリ取り具。
  4. 薬剤容器に収納される固形薬剤が1個であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の排水口用ヌメリ取り具。
  5. 薬剤容器に収納される固形薬剤が、塩素系酸化剤以外の抗菌剤と25℃での飽和水溶液のpHが5〜9である基材の混合物を加圧成形してなる固形薬剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の排水口用ヌメリ取り具。
  6. 塩素系酸化剤以外の抗菌剤が5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと多分子系ホスト化合物とからなる包接化合物であり、25℃での飽和水溶液のpHが5〜9である基材が硫酸カルシウム0.5水和物であることを特徴とする請求項5記載の排水口用ヌメリ取り具。
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