JP4643777B2 - サイディング材用金属面板の製造方法及びプレス成形装置 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、建築物の壁面,外装材等に使用され、深彫模様で意匠性を向上させたサイディング材用金属面板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
外壁等に使用される金属製のサイディング材は、表面が平坦なままでは意匠性に劣り、安価なイメージを与え易い。そこで、エンボス模様,特殊塗装等で表面に変化をつける方法が採用されている。しかし、エンボスロールを用いた加工でつけられるエンボス模様は、深いものでも2mm未満であり、立体感に乏しい。石目調等の特殊塗装を施しても、表面に立体感がないため偽物の域を出ない。
連続プレス成形により深いエンボス模様を金属帯板につけようとすると、成形される金属帯板を固定するためにプレス終了部を平板で押さえる必要がある。しかし、平板でプレス終了部を押さえると、金属帯板に付けられたエンボス模様が潰れ易くなる。潰れは、エンボス模様が深いものほど発生し易い。そこで、特開平8−224621号公報では、種々の上型及び下型を用いた2回のプレス成形によって意匠付与と共に成形時の材料引込みを抑制するため、材料の送り方向に沿ったビード形状や意匠と同じ模様をもつ押え型を用いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本出願人等は、型板と軟質弾性体との間に金属帯板を挟んでプレス成形することにより、型板に形成されたパターンに対応した張出し部を金属帯板につける方法を特開平7−39963号公報で紹介した。この方法を金属帯板の連続プレス成形に応用すると、複雑な深彫模様を付けたサイディング材用金属面板も容易に製造できる。
しかし、模様の深さや形状によっては、プレス成形された金属面板の幅方向端部にウネリが生じることがある。大きなウネリが発生すると、プレス成形後に金属面板の幅方向両端部に嵌合い用継手を成形するロール成形が困難になる。嵌合い用継手を成形できた場合でも、金属面板に生じている反りは、複数のサイディング材を繋ぎ合せて壁面等を構築する作業に支障を来す。
【0004】
ウネリの発生原因は、幅方向両端部を固定する板押えの出側端部に発生するオレ及び幅方向中央部の材料引込みである。オレ及び材料引き込みは、次のようにして発生する。
オレは、深彫模様の形成による剛性の部分的な上昇及び板押えによる材料の部分的な拘束によって発生する。すなわち、プレス成形中に金属帯板のプレス出側が引き込まれて曲がろうとするとき、深彫模様形成によって剛性が大きくなっている幅方向中央部はオレにならず湾曲する。幅方向両端部は、板押えのある部分では曲がらないが、板押えのない部分では剛性が低く曲がり易い。その結果、板押えの境界でオレが発生する。
また、深彫模様の形成によって金属帯板の幅方向両端部よりも中央部が短くなり、金属帯板の長手方向に関して幅方向中央部と幅方向両端部の間に長さの差が生じる。幅方向両端部が板押えで拘束されているのに対し、金属帯の長手方向に関する長さが短くなった幅方向中央部には板押えによる拘束力が働かない。そのため、深彫模様の形成に起因する材料引込みは、板押えで拘束されている幅方向両端部に比較して幅方向中央部で材料が型板側に大きく引き込まれ、幅方向両端部にオレ及び長さの差が集約される。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、先に提案した金属製サイディング材の製造方法を更に改良したものであり、金属帯板を間欠送りしながらプレス成形して深彫模様を付けるとき、金属帯板の被成形部の四方を拘束すると共に、前回プレス成形で形成した模様形成部の入側一部を今回プレス成形で型板と軟質弾性体との間に挟み込むことにより、反りやウネリがなく、深彫模様によって意匠性を改善したサイディング材用金属面板を得ることを目的とする。
【0006】
本発明は、その目的を達成するため、目地用平面部及び凹凸を付けた装飾用隆起部をもつ硬質の型板を備えたプレス成形装置に金属帯板を間欠的に送り込み、金属帯板を介して目地部形成用平面部に対向配置された硬質の目地押え具及び該目地押え具の間に設けられた軟質弾性体に型板を押し付けて金属帯板をプレス成形する際、金属帯板の被成形部の幅方向両端部を上側端部板押えと下側端部板押えとの間で拘束し、被成形部の入側部を入側部上側板押えと入側部下側板押えとの間で拘束し、前回プレス成形で装飾用入側隆起部にて成形された部位を前記装飾入側隆起部と同一形状に形成された型板の装飾用出側隆起部と軟質弾性体との間で拘束し、かつ前回プレス成形で前記装飾用入側隆起部より下流側で成形された部位を前記装飾用出側隆起部よりも軟質弾性体側に突出している平板状軟質弾性体と硬質の出側目地押え具との間で拘束し、前回プレス成形で形成された模様形成部の入側部を今回プレス成形時に型板の装飾用出側隆起部との間で拘束する軟質弾性体の出側部頂面が入側頂面よりも高くなっていることを特徴とする。
型板としては、たとえば装飾用隆起部及び目地部形成用平面部の繰返しパターンをもつ型板が使用される。この場合、前回プレス成形で金属帯板に付けた模様形成部の入側一定部分を今回プレス成形で型板の同じパターンをもつ装飾用出側隆起部に移動させる。所定距離の間欠移動及びプレス成形を繰り返すと、長手方向に断続した模様形成部が金属帯板に付けられる。
【0007】
使用するプレス成形装置は、間欠送りされる金属帯板の被成形部の四方を拘束し、装飾用隆起部を形成した型板と軟質弾性体及び目地押え具との間に被成形部を挟み、金属帯板を間にして型板を軟質弾性体に押し付けることにより被成形部に装飾模様を付けるプレス成形装置であって、目地部形成用平面部で仕切られた装飾用隆起部をもつ硬質の型板と、目地部形成用平面部に対向配置された硬質の目地押え具と、該目地押え具の間に設けられるとともに装飾用隆起部に対向配置された軟質弾性体と、被成形部の幅方向両端部を拘束する上下の端部板押えと、被成形部の入側部を拘束する上下の入側部板押えと、被成形部の出側部を拘束する平板状軟質弾性体及び硬質の出側目地押え具とを備え、前回プレス成形で装飾用入側隆起部にて成形された部位が前記装飾入側隆起部と同一形状に形成された型板の装飾用出側隆起部と軟質弾性体との間で拘束されるとともに、前回プレス成形で前記装飾用入側隆起部より下流側で成形された部位が前記装飾用出側隆起部よりも軟質弾性体側に突出している平板状軟質弾性体と出側目地押え具との間で拘束される。装飾用隆起部及び目地形成用平面部の繰返しパターンをもつ型板が使用され、繰返しパターンに対応して軟質弾性体及び目地押え具が配置される。軟質弾性体は、型板の装飾用隆起部を反転させた形状の頂面をもつことが好ましい。装飾用出側隆起部は、型板とは別体に構成できる。この場合、コイルバネを介して装飾用出側隆起部を上側均圧板に取り付けることが好ましい。また、前回プレス成形で形成された模様形成部の入側部を今回プレス成形時に型板の装飾用出側隆起部と軟質弾性体との間で拘束するとき、軟質弾性体の出側部頂面を部分的に高くすることにより前回プレス成形で形成された模様形成部の入側部が優先的に拘束され、幅方向中央部で材料が型板側に引込まれることが抑制される。
【0008】
【実施の形態】
本発明に従った金属面板を用いたサイディング材は、たとえば図1に示す製造ラインで製造される。
金属帯板10としては、板厚0.2〜0.4mmの各種塗装鋼板,ステンレス鋼板,アルミ板等が使用される。金属帯板10をペイオフリール21から払い出し、ピンチロール22を経てフィーダ23でプレス成形装置30に間欠的に送り込む。金属帯板10の所定箇所をプレス成形した後、所定ピッチだけ金属帯板10を送り出し、後続する部分を同様にプレス成形する。
プレス成形装置30は、図2に示すように金属サイディング材のレンガ部5(図8)に当る部分に複数の装飾用隆起部31aが形成され、個々の装飾用隆起部31aの間を目地部形成用平面部31bで仕切った型板31を備えている。型板31の材質としては、SKD11等の特殊鋼を焼入れした硬質材の他、硬質樹脂も使用できる。
【0009】
装飾用隆起部31aの頂面には、必要とする凹凸模様6(図8)を金属面板1に付けるための凹凸31cが形成されている。図3では石目調の凹凸31cを示しているが、レンガ調,瓦壁調,石積み調等の模様に対応した各種形状の凹凸が採用される。
金属帯板10の搬送方向に関して型板31の出側部分に位置する一列以上の装飾用出側隆起部31d(図4)は、入側部分に位置する一列以上の装飾用入側隆起部31eと同一形状に形成されている。金属帯板10の搬送ストロークを調整することにより、前回プレス成形で成形された金属帯板10の模様形成部のうち、装飾用入側隆起部31eが当たった部分を、今回プレス成形で装飾用出側隆起部31dに当たる位置まで移動させる。
【0010】
金属帯板10の搬送方向に関して型板31の出側には、型板31との間に段差を付けた平板状軟質弾性体32が配置される。金属帯板10を挟んで型板31の装飾用隆起部31a及び目地部形成用平面部31bと対向する位置に、軟質弾性体33及び目地押え具34がそれぞれ配置される。軟質弾性体33は金属帯板10のプレス成形時に弾性変形できる軟質樹脂,軟質ゴム等で作られ、目地押え具34は型板31と同様に硬質材,硬質樹脂等で作られる。
軟質弾性体33は、凹凸31cを反転させた形状の凹凸33aが頂面に形成されており、隣り合う目地押え具34,34の間及び目地押え具34と下側端部板押え35d(図3)及び入側部下側板押え36d(図4)との間に設けられる。
【0011】
型板31及び平板状軟質弾性体32は、上側均圧板40uに取り付けられている。入側部下側板押え36dに対向する位置に、入側部上側板押え36uが配置されている。上側端部板押え35u及び入側部上側板押え36uは、コイルバネ41を介して上側均圧板40uに吊りボルト(図示せず)等で取り付けられている。軟質弾性体33,目地押え具34,下側端部板押え35d,入側部下側板押え36dは、下側均圧板40dで支持される。或いは、目地押え具34,下側端部板押え35d,入側部下側板押え36d及び目地押え用板36dを一体成形した下型を使用しても良い。
このように端部板押え35u,35d,入側部板押え36u,36d及び平板状軟質弾性体32を配置することにより、1回のプレス成形で加工される金属帯板10の被成形部は四方が拘束される。すなわち、上側端部板押え35uと下側端部板押え35dとの間で幅方向両端部10edg (図5)が挟持され(図3)、入側部上側板押え36uと入側部下側板押え36dとの間で入側部10in(図5)が挟持され(図4)、平板状軟質弾性体32と目地押え具34及び出側軟質弾性体33out との間で出側部10out (図5)が挟持される(図4)。
【0012】
平板状軟質弾性体32及び平板状軟質弾性体32に対向する部分の目地押え具34に替えて、図6(a)に示すような平面状押え板37も使用できる。平面状押え板37としては、発泡樹脂等の軟質材で作られ、型板31との間に2mm以内の段差を付けて下側均圧板40d側に突出配置される。この場合、平面状押え板37に対向する個所の目地押え具34を省略しているが、軟質弾性体33に型板31を押し付けたとき平面状押え板37も金属帯板11に押し付けられ弾性変形する。弾性変形した平面状押え板37は金属帯板11に付けた深彫模様の凹凸に噛み合い、金属帯板11の幅方向及び長手方向の変位を規制する。
模様重複形成部11dpに当たる装飾用出側隆起部31dは、図6(b)に示すように型板31と別体に構成することも可能である。この場合、装飾用出側隆起部31dは、コイルバネ41を介して上側均圧板40uに吊り下げられる。吊り下げられている装飾用出側隆起部31dは、軟質弾性体33との間で金属帯板11をいち早く挟持し、金属帯板11の幅方向中央部が型板31側に引き込まれることを効果的に抑制する。
また、図7に示すように上側均圧板40uからコイルバネ42で吊り下げた平板38を装飾用出側隆起部31dの出側に配置することもできる。平板38としては金属等の硬質材料が使用され、型板31の装飾用出側隆起部31dよりも目地押え具34又は軟質弾性体33側に突出させる。
【0013】
模様重複形成部11dp(図5)に当たる軟質弾性体33の出側部33out を軟質弾性体33の本体部よりも若干高くすることによっても、出側部で金属帯板11が優先的に拘束され、金属帯板11の幅方向中央部が型板31側に引込まれることが防止される。具体的には、型板31の装飾用隆起部31aに対向配置された軟質弾性体33と型板31の目地部形成用平面部31bに対向配置された目地押え具34との段差をH1 (mm),模様重複形成部11dpに当たる装飾用出側隆起部31dに対向配置された軟質弾性体33の出側部33out と型板31の目地部形成用平面部31bに対向配置された目地押え具34との段差をH2 (mm)とするとき(図8)、段差H1 とH2 との間にH1 −1.0mm<H2 <H1 の関係を成立させることが好ましい。
この関係が維持されている軟質弾性体33に向けて型板31を押し下げ金属帯板10をプレス成形するとき、模様重複形成部11dpで金属帯板11がいち早く装飾用出側隆起部31dと出側部33out との間に挟持され、金属帯板11の幅方向中央部の引込みが一層抑制される。ただし、出側部33out に付ける段差H2 をH1 −1.0mmより大きくすると、装飾用出側隆起部31dの成形力が部分的に大きくなる。その結果、模様重複形成部11dpで凹凸が強調され、金属帯板11に付けた深彫模様の均一性が低下する虞れがある。
【0014】
型板31と軟質弾性体33及び目地押え具34の間に金属帯板10を挟んだ状態(図3a及び図4a)で、型板31を軟質弾性体33及び目地押え具34に押し付け(図3b及び図4b)、金属帯板10をプレス成形する。このとき、金属帯板10の幅方向端部10edg (図5)を上側端部板押え35uと下側端部板押え35dとの間で挟持し、金属帯板10の入側部10inを入側部上側板押え36uと入側部下側板押え36dとの間で挟持する。
すでに深彫模様が形成されている金属帯板10の出側部10out のうち、模様重複形成部11dpを除いた部分は平板状軟質弾性体32と目地押え具34との間で挟持される。この状態で型板31を軟質弾性体33に向けて押圧すると、隣り合う目地押え具34,34の間に装飾用出側隆起部31d が降下し、模様重複形成部11dpが装飾用出側隆起部31d と軟質弾性体33との間で挟持される。図4(b)では出側部10out を平板状軟質弾性体32と軟質弾性体33の出側部33out との間で挟持した状態を示している。しかし、出側部10out の軟質弾性体33を省略(図6a)しても、膨出した平板状軟質弾性体32で出側部10out が目地押え具34に押し付けられ、出側部10out が拘束される。
【0015】
型板31で金属帯板10を加圧するとき、装飾用隆起部31aの凹凸形状を倣って金属帯板10が塑性変形し、レンガ部5(図9)が形成される。レンガ部5は、装飾用隆起部31a及び軟質弾性体33それぞれの凹凸31c,33aが転写された凹凸模様6が付与される。しかも、レンガ部5の基部及び肩部がそれぞれ目地押え具34の肩部及び装飾用隆起部31aの肩部に当たるため、目地部4からの立上りが明確になったシャープな形状に成形される。
深彫模様が付けられた金属帯板11は、所定ピッチでプレス成形装置30から間欠的に送り出される。金属帯板11の送出しに際しては、前回プレス成形で形成された模様形成部の入側一定部分11inを出側部10out の模様重複形成部11dp(図5)に対応する位置まで送り、入側一定部分11inを装飾用出側隆起部31dと軟質弾性体33との間に挟み込む。この状態で、金属帯板10の後続部分に対するプレス成形が開始される。
【0016】
プレス成形及び間欠送りの繰返しにより金属帯板10の長手方向全長がプレス成形され、深彫模様が付けられた金属帯板11が製造される。金属帯板11は、ロール成形装置24(図1)で幅方向両端部に嵌合部7及び嵌合受け部8(図9)が成形された後、裏面側に発泡性樹脂13が注入される。次いで、裏面材14を重ね合せ、ダブルコンベア26に通板する。発泡性樹脂13は、金属帯板11と裏面材14との間で発泡する。発泡樹脂が内部に充填された金属帯板11及び裏面材14の積層体は、ダブルコンベア26から送り出された後、カッター27で定寸切断され、図9に示すような金属サイディング材となる。
【0017】
【作用】
金属帯板10を連続的なプレス成形で深彫模様を付けるとき、金属帯板10の幅方向端部10edg 及び出側部10out に発生するオレや深彫模様を付けた金属帯板11の幅方向中央部が型板31側に引き込まれることにより金属帯板11の幅方向両端部にウネリが発生し易い。オレがあるとウネリが急峻になり、ウネリ高さが大きくなる。このようなウネリが発生した金属帯板11を後続するロール成形装置24で加工し、幅方向両端部に嵌合部7及び嵌合受け部8を形成することは困難である。また、嵌合部7及び嵌合受け部8が形成できても、製造された金属サイディング材にウネリが持ち込まれているため、複数の金属サイディング材を相互に繋ぎ合せて塀、壁等を構築する施工作業が難しくなる。
【0018】
これに対し、本発明では、プレス成形される金属帯板10の被成形部は、上側端部板押え35uと下側端部板押え35dとの間で幅方向端部10edg が拘束され、入側部下側板押え36dと入側部上側板押え36uとの間で入側部10inが拘束され、平板状軟質弾性体32と目地押え具34との間で出側部10out が拘束されている。四方が拘束されているため、金属帯板10の被成形部を型板31と軟質弾性体33及び目地押え具34との間に配置してプレス成形しても、幅方向中央部の材料が型板31側に引込まれない。また、深彫模様が付けられた金属帯板11が素材である金属帯板10と同じ高さに保持されているので、幅方向中央部での湾曲がなく、出側部10out にオレが発生することもない。因みに、模様重複形成部11dpがあっても出側部10out での保持を省略すると、金属帯板11は幅方向中央部で湾曲し、幅方向端部10edg の拘束から解放された個所でオレが発生し易くなるため、幅方向両端部にウネリのある金属帯板11となる。したがって、深彫模様が付けられた金属帯板11の幅方向端部にウネリが発生しておらず、ロール成形装置24により嵌合部7及び嵌合受け部8を容易に成形でき、ウネリがない金属サイディング材が得られるため施工性も改善される。
【0019】
【実施例】
金属帯板10として板厚0.35mm,板幅584mmの塗装鋼板を使用し、ペイオフリール21からプレス成形装置30に送り込み、プレス成形装置30で深彫模様を付けた金属帯板11を製造した。深彫模様としては、サイズ65mm×130mmのレンガ部5が金属帯板11の長手方向に3列配列され、各レンガ部5が深さ3.5mmの目地部4で仕切られたレンガ模様を採用した。
プレス成形に際し、金属帯板10の幅方向両端部10edg それぞれ85mm,54mmを上側端部板押え35uと下側端部板押え35dとの間に挟み、入側部10in100mmを入側部上側板押え36uと入側部下側板押え36dとの間に挟み、出側部10out の模様重複形成部11dp及び高さ保持条件がウネリの高さやオレ発生の有無に及ぼす影響を調査した。
【0020】
表1の調査結果にみられるように、模様重複形成部11dpを設け、金属帯板11の出側部10out を平板状軟質弾性体32又は平面状押え板37と軟質弾性体33との間で挟持した試験番号1,2では、オレの発生が検出されず、深彫模様を付けた金属帯板11の幅方向両端部に発生したウネリ高さが19mm以下に抑えられていた。更に、模様重複形成部11dpに当たる凹凸33aを1.0mm高くした試験番号3,4では、ウネリ高さが14mm以下と一層小さくなっていた。また、出側を平板38(図7)で抑えた試験番号7でも、オレがなくウネリ高さが抑えられた状態で深彫模様が付けられた。
他方、模様重複形成部11dpがあっても出側部10out での高さ保持がない試験番号5及び模様重複形成部11dpのない試験番号6では、オレが出側部10out に発生し、高さ31mm以上の大きなウネリが発生していた。
【0021】
深彫模様を付けた各金属帯板11をロール成形装置24に通し、幅方向両端部に嵌合部7及び嵌合受け部8をロール成形した。このとき、高さ45mmのウネリが付けられた試験番号6の金属帯板11は、ロール成形装置24のロール内で金属帯板11が激しく上下動したため、嵌合部7及び嵌合受け部8を成形できなかった。ウネリ高さ31mmの試験番号5の金属帯板11は、ロール成形装置24で嵌合部7及び嵌合受け部8を成形できたものの、成形後の金属帯板11に長手方向に反りが発生した。反りは、発泡性樹脂13として発泡性ウレタンを金属帯板11の裏面に注入して裏面材14を重ね合せ、発泡性樹脂13を加熱発泡させた後で定寸切断して製造される金属サイディング材に持ち込まれた。そのため、得られた複数の金属サイディング材を互いに繋ぎ合せて壁面を構築するとき、嵌合部7と嵌合受け部8との嵌め合せに支障を来した。
他方、試験番号1〜4の金属帯板11は、ウネリ高さが19mm以下に抑えられているため、ロール成形装置24で嵌合部7及び嵌合受け部8を容易に成形できた。製造された金属サイディング材も、反りがないために嵌合部7に嵌合受け部8を容易に嵌め合せることができ、優れた外観をもつ壁面が構築された。
【0022】
【0023】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、金属帯板のプレス成形される部分の四方を拘束し、プレス出側で金属帯板を同じ高さに保持してプレス成形しているため、基部及び肩部共にシャープな輪郭をもつレンガ模様,石積み模様等の装飾部が形成されるばかりでなく、ソリやウネリの少ないサイディング材用金属面板となる。このため、後続工程で嵌合部及び嵌合受け部の形成も容易になり、得られた金属サイディング材の施工も容易になる。しかも、従来の金属製サイディング材を用いた壁面に比較して立体感が格段に優れ、意匠性及び識別性に優れた壁面が構築される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従った金属面板を用いたサイディング材の製造ライン
【図2】 本発明で使用する型板の一例
【図3】 本発明に従ったプレス装置要部の幅方向断面図であり、型板と軟質弾性体及び目地押え板との間に挟み込んだ金属帯板(a)及び金属帯板の幅方向端部を拘束して型板を押し付けプレス成形している状態(b)を示す。
【図4】 本発明に従ったプレス装置要部の長手方向断面図であり、型板と軟質弾性体及び目地押え板との間に挟み込んだ金属帯板(a)及び入側及び出側を押えながら型板を押圧してレンガ部及び目地部をプレス成形している状態(b)を示す。
【図5】 プレス成形される金属帯板の拘束個所を説明する図
【図6】 前回プレス成形で形成された模様形成部の出側を平面状押え板で拘束するプレス成形装置(a)及び装飾用出側隆起部を型板と別体にしたプレス成形装置(b)
【図7】 上側均圧板の出側位置にコイルバネを介して平板を設けたプレス成形装置の断面図
【図8】 出側部を比較的高くした軟質弾性体を備えたプレス成形装置の一部断面
【図9】 本発明に従って製造された金属面板を用いて製作されるサイディング材の部分斜視図
【符号の説明】
1:金属面板 2:裏面材 3:発泡樹脂 4:目地部 5:レンガ部(装飾部) 6:凹凸模様 7:嵌合部 8:嵌合受け部
10:金属帯板(原板) 10in:入側部 10out :出側部 10edg :幅方向端部 11:深彫模様を付けた金属帯板 11in:模様形成部の入り側一定部分 11dp:模様重複形成部 13:発泡性樹脂 14:裏面材
21:ペイオフリール 22:ピンチロール 23:フィーダ 24:ロール成形装置 25:予熱炉 26:ダブルコンベア 27:カッター
30:プレス成形装置
31:型板 31a:装飾用隆起部 31b:目地部形成用平面部 31c:凹凸 31d:装飾用出側隆起部 31e:装飾用入側隆起部
32:平板状軟質弾性体 33:軟質弾性体 33a:凹凸 33out :出側部 34:目地押え具 35u:上側端部板押え 35d:下側端部板押え 36u:入側部上側板押え 36d:入側部下側板押え 37:平面状押え板 38:平板
40u:上側均圧板 40d:下側均圧板 41,42:コイルバネ
Claims (6)
- 目地用平面部及び凹凸を付けた装飾用隆起部をもつ硬質の型板を備えたプレス成形装置に金属帯板を間欠的に送り込み、金属帯板を介して目地部形成用平面部に対向配置された硬質の目地押え具及び該目地押え具の間に設けられた軟質弾性体に型板を押し付けて金属帯板をプレス成形する際、金属帯板の被成形部の幅方向両端部を上側端部板押えと下側端部板押えとの間で拘束し、被成形部の入側部を入側部上側板押えと入側部下側板押えとの間で拘束し、前回プレス成形で装飾用入側隆起部にて成形された部位を前記装飾入側隆起部と同一形状に形成された型板の装飾用出側隆起部と軟質弾性体との間で拘束し、かつ前回プレス成形で前記装飾用入側隆起部より下流側で成形された部位を前記装飾用出側隆起部よりも軟質弾性体側に突出している平板状軟質弾性体と硬質の出側目地押え具との間で拘束し、前回プレス成形で形成された模様形成部の入側部を今回プレス成形時に型板の装飾用出側隆起部との間で拘束する軟質弾性体の出側部頂面が入側頂面よりも高くなっていることを特徴とするサイディング材用金属面板の製造方法。
- 装飾用隆起部及び目地部形成用平面部の繰返しパターンをもつ型板を使用し、前回プレス成形で金属帯板に付けた模様形成部の入側一定部分を今回プレス成形で型板の同じパターンをもつ装飾用出側隆起部に移動させる請求項1記載のサイディング材用金属面板の製造方法。
- 間欠送りされる金属帯板の被成形部の四方を拘束し、装飾用隆起部を形成した型板と軟質弾性体及び目地押え具との間に被成形部を挟み、金属帯板を間にして型板を軟質弾性体に押し付けることにより金属帯板の被成形部に装飾模様を付けるプレス成形装置であって、目地部形成用平面部で仕切られた装飾用隆起部をもつ硬質の型板と、目地部形成用平面部に対向配置された硬質の目地押え具と、該目地押え具の間に設けられるとともに装飾用隆起部に対向配置された軟質弾性体と、被成形部の幅方向両端部を拘束する上下の端部板押えと、被成形部の入側部を拘束する上下の入側部板押えと、被成形部の出側部を拘束する平板状軟質弾性体及び硬質の出側目地押え具とを備え、前回プレス成形で装飾用入側隆起部にて成形された部位が前記装飾入側隆起部と同一形状に形成された型板の装飾用出側隆起部と軟質弾性体との間で拘束されるとともに、前回プレス成形で前記装飾用入側隆起部より下流側で成形された部位が前記装飾用出側隆起部よりも軟質弾性体側に突出している平板状軟質弾性体と出側目地押え具との間で拘束され、前回プレス成形で形成された模様形成部の入側部を今回プレス成形時に型板の装飾用出側隆起部との間で拘束する軟質弾性体の出側部頂面が入側頂面よりも高くなっているプレス成形装置。
- 装飾用隆起部及び目地部形成用平面部の繰返しパターンをもつ型板を使用する請求項3記載のプレス成形装置。
- 装飾用隆起部に対向配置された軟質弾性体が型板の装飾用隆起部を反転させた形状の頂面をもつ請求項3又は4記載のプレス成形装置。
- 型板とは別体の装飾用出側隆起部がコイルバネを介して上側均圧板に取り付けられている請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載のプレス成形装置。
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