JP3057259U - 柔軟性ダイス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポンチに対向する箱状のダイス内に填装した
ゴム層上位に硬質のピンを密集して並立状に嵌設し、ピ
ン頂位に成形素板を載装し、プレス機械によりポンチを
素板上より押圧し、ポンチの型面に沿って素板とともに
ピンを変位して下位のゴム層を圧縮し、ピンの頂位と素
板との接点の近傍に塑性変形域を形成するまで加圧し、
塑性変形域外位を弾性域にとどめ、塑性変形域と弾性域
とを混在状に分布して成形し、ゴム層の柔軟性によりポ
ンチ押圧時の衝撃力を緩和して騒音を抑制する柔軟性成
形型を提供しようとするものである。 【構成】 プレス機械のラム側に装着するポンチ１に設
けた成形型面２に対向して金敷台側に箱状の型枠３を載
設し、同型枠内の底位にゴム層４を填装し、同ゴム層上
位に同ゴム層より強靱な可撓材による保護層６を覆設
し、同保護層上位の同型枠内には硬質のピン５を密集し
て並立状に嵌設している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、成形素材としての板金の曲面成形加工において、プレス機械又はハ ンマーなどの加圧手段による板金のラム側に装着するポンチと、これに対向して 金敷台側に載設するダイスとの間において成形素板を挟圧して成形するとき、ダ イス側に弾性に富み柔軟なゴムを用いる成形手段に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、成形素板の曲面成形型は、一対の雄型のポンチと雌型のダイスとの間に 成形素板を装入し、プレス機械又はハンマーなどの加圧手段によりポンチとダイ スとの間に成形素板を挟圧して成形するものが一般に用いられ、また、ダイス又 はポンチに対向する成形型の代わりに柔軟性のゴムの弾性反力を用いて成形する ものがあり、ほかに、液圧、火薬の爆発力、放電による衝撃波及び高密磁力など を利用した加圧手段により成形素板を成形型に押圧して成形するものが知られて いる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の技術で述べたように、プレス機械又はハンマーなどの加圧手段により、 成形型に成形素板を押圧して成形する成形型は、加圧手段のラム側に装着する雄 型のポンチと、これに対向する金敷台側の雌型のダイスを一対として成形型の曲 面を加工し、その加工が複雑で、加工誤差及び熱処理歪みの矯正ならびに表面仕 上に煩雑な熟練と手間を必要とし、工期短縮が困難であつて早期開発の支障とな ることに対し、いわゆる簡易型を含み、ポンチあるいはダイスの一方に弾性に富 み柔軟なゴムを用る成形方法があり、成形型はポンチあるいはダイスの何れか一 方ですむので型の製作は容易であるが、成形素板とゴムとの強い接触によりゴム の損傷・劣化を生じ易く、また、前記の液圧、火薬の爆発力、放電による衝撃波 及び高密磁力などを利用した各種の加圧手段により、成形素板を成形型に押し当 てて成形するものは、何れも特殊の加圧手段のため固有の取り扱い技術と注意が 必要であって、一般の生産に適するものではなかった。

【０００４】 本考案は、従来の技術におけるこのような問題点に鑑みてなされものであり、 その目的とするところは、ポンチの成形型面に対向するダイス内にゴム層を填装 し、同ゴム層上位に硬質のピンを密集して並立状に嵌設し、ピン頂位に成形素板 を載装し、プレス機械によりポンチを素板上位より押圧し、ポンチの型面に沿っ て素板とともにピンを変位し、ピンを介して下位のゴム層を圧縮し、ゴム層の反 発力を受けてピンの頂位と素板との接点の近傍に塑性変形域を形成するまで加圧 し塑性変形域外は弾性域にとどめ、塑性変形域と弾性域とを混在状に分布して成 形するものとし、ゴム層の柔軟性によりポンチ押圧時の衝撃力を緩和して受けて 騒音を抑制するとともにゴム層の損耗を防ぐ柔軟性ダイスを提供しようとするも のである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案における柔軟性ダイスは、プレス機械のラ ム側に装着するポンチに設けた成形型面に対向して金敷台側に箱状の型枠を載設 し、同型枠内の底位にゴム層を填装し、同ゴム層上位の同型枠内には硬質のピン を密集して並立状に嵌設している。

【０００６】 また、プレス機械のラム側に装着するポンチに設けた成形型面に対向して金敷 台側に載設するダイスに設けた箱状の型枠内の底位にゴム層を填装し、同ゴム層 上位に同ゴム層より強靱な可撓材による保護層を覆設し、同保護層上位の同型枠 内には硬質のピンを密集して並立状に嵌設してもよい。

【０００７】 さらに、箱状の型枠内に密集して並立状に嵌設した硬質のピンは各々横断面四 角形としてもよい。

【０００８】

【作用】

加圧手段としてのプレス機械のラム側に装着したポンチの成形型面に対向して 金敷台側に載設した柔軟性ダイスのピンの頂位に成形素板を載装し、プレス機械 によりポンチを同素板上位よりピンの頂位へ押圧すると、素板とピンの頂位との 接点の近傍にヘルツ応力と素板を押し広げる応力との合力として成形応力が得ら れポンチの型面に沿って変形する素板とともにピンを変位してゴム層を圧縮し、 ゴム層の反発力を受け、ピンの頂位と素板との接点の近傍の成形応力が素板の降 伏点応力付近に達するまで加圧して素板に塑性変形域を形成するとともに、塑性 変形域外位の素板は塑性変形域形成に達しない弾性域にとどめ、同塑性変形域と 弾性域とを混在状に均等に素板成形面に分布し、剛性低下の少ない成形面を付与 し、このとき、素板よりピンを介して下位のゴム層を圧縮し、ゴム層の柔軟性に よりポンチ押圧時の衝撃力を緩和して受け、騒音を抑制するとともに素板とゴム との直接接触を避けてゴムの損耗を防止することとなり、プレス機械のラム側と ともにポンチを素板上位より押圧前の位置へ復帰すると、ゴム層の圧縮が解放さ れ、同時にピン位置もポンチによる押圧前の元の位置に復帰する。

【０００９】 また、柔軟性ダイスのゴム層上位に同ゴム層より強靱な可撓材による保護層を 覆設したものは、プレス機械によりポンチを成形素板上位よりピンの頂位へ押圧 すると、ピン下位より同保護層を介してゴム層を圧縮するので、ゴム層は保護層 により保護されて損耗が防止される。

【００１０】 さらに、柔軟性ダイスの硬質のピンの各々の横断面形状を四角形としたものは 、隣接ピン相互の間に隙間を生じることなく稠密な配列が得られ、従って、プレ ス機械によりポンチを同素板上位よりピンの頂位へ押圧するとき、ピンの側方へ の傾きを防ぎ、円滑にゴム層への押圧動作を行うこととなる。

【００１１】 また、成形素板の皺押さえ板を設けない柔軟性ダイスを、ポンチの成形型面よ り広い成形素板の成形に適用するとき、プレス機械のラム側の単動的往復動作に より、ポンチの成形型面を成形素板上よりダイス内のピン頂位へ押圧する動作を 反復すると同時に、同素板を同成形型上で摺動して成形位置を順次移動しながら 成形し、同成形型面とほぼ同一の曲率であって、同型面より広い連続的な成形面 を得る。

【００１２】

【実施例】

実施例について図面を参照して説明すると、図１、２、５及び６において、プ レス機械のラム側に装着するポンチ１に設けた凸状又は凹状の成形型面２に対向 して金敷台側に箱状の型枠３を載設し、同型枠内の底位にゴム層４を填装し、同 ゴム層上の同型枠内には硬質のピン５を密集して並立状に嵌設している。

【００１３】 また、図３及び図４において、プレス機械のラム側に装着するポンチ１に設け た凸状又は凹状の成形型面２に対向して金敷台側に箱状の型枠３を載設し、同型 枠内の底位にゴム層４を填装し、同ゴム層上位に同ゴム層より強靱な可撓材によ る保護層６を覆設し、同保護層上位の同型枠内には硬質のピン５を密集して並立 状に嵌設してもよい。

【００１４】 さらに、図６において、箱状の型枠３内に密集して並立状に嵌設した硬質のピ ン５の各々の横断面形状を四角形としている。

【００１５】

【発明の効果】

本考案は、上述のように構成されているので、次に記載する効果を奏する。

【００１６】 請求項１の、柔軟性ダイスにおいては、ポンチに設けた凸状又は凹状の成形型 面に対向して設けた型枠内のゴム層上位に並立状に嵌設した硬質のピンの頂位に 成形素板を載装し、プレス機械によりポンチを同素板上位よりピンの頂位へ押圧 することにより、素板とピンの頂位との接点の近傍にヘルツ応力と素板を押し広 げる応力とによる成形応力が得られポンチの型面に沿って容易に変形する素板と ともにピンを変位してゴム層を圧縮し、ゴム層の反発力を受け、上記成形応力が 素板の降伏点応力付近に達するまで加圧して素板に塑性変形域を形成し、塑性変 形域外位の素板は弾性域にとどまり、同塑性変形域と弾性域とを混在状に均等に 素板成形面に分布して成形することにより剛性低下の少ない成形面を付与し、こ のとき、素板よりピンを介して下位のゴム層を圧縮するため、ゴム層の柔軟性に よりポンチ押圧時の衝撃力を緩和して騒音を抑制するとともに素板とゴムとは接 接触することなくゴム層の損耗を防ぐことができる。

【００１７】 請求項２の、柔軟性ダイスにおいて、型枠内の底位に填装したゴム層上位に同 ゴム層より強靱な可撓材による保護層を覆設したものは、プレス機械によりポン チを成形素板上位よりピンの頂位へ押圧すると、ピン下位より同保護層を介して ゴム層を圧縮するため、ピン下位はゴム層に直接接触することなくゴム層の損耗 を防止することができる。

【００１８】 請求項３の、柔軟性ダイスにおいて、型枠内に密集して並立状に嵌設した硬質 のピンの各々の横断面形状を四角形としたものは、隣接ピン相互の間に隙間を生 じることなく稠密な配列が得られ、従って、プレス機械によりポンチを同素板上 位よりピンの頂位へ押圧するとき、ピンの側方への傾きを防ぎ、円滑にゴム層へ の押圧動作を行うことができる。

【００１９】 また、請求項１ないし３の柔軟性ダイスにおいて、成形素板の皺押さえ板を設 けないものを、ポンチの凸状又は凹状の成形型面より広い成形素板の成形に適用 するとき、プレス機械のラム側の単動的往復動作により、ポンチの同型面を成形 素板上よりダイス内のピン頂位へ押圧を反復すると同時に、同素板を同成形型上 で摺動して成形位置を順次移動しながら成形し、成形型面とほぼ同一の曲率であ って、同型面より広い連続的な凸状又は凹状の成形面を得ることができる。

【００２０】 さらに、凸状又は凹状の成形型面はポンチ側に設けるだけで、通常の金型より製 作の手間と原価を大幅に低減することができるとともに、種々の成形型面のポン チを製作しておけば、ダイス側の柔軟性ダイスを共用として多種生産に適用する ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】柔軟性ダイスに成形素板を載装した状態を示す
要部断面図である。

【図２】柔軟性ダイスに載装した成形素板をポンチで挟
圧した状態を示す要部断面図である。

【図３】ゴム層上位に保護層を覆設した柔軟性ダイスに
成形素板を載装した状態を示す要部断面図である。

【図４】ゴム層上位に保護層を覆設した柔軟性ダイスに
載装した成形素板をポンチで挟圧した状態を示す要部断
面図である。

【図５】図１のＡ−Ａにおける要部断面図である。

【図６】四角形横断面を有するピンを嵌設した柔軟性ダ
イスの要部断面図である。

【符号の説明】

１ ポンチ ２ 成形型面 ３ 型枠 ４ ゴム層 ５ ピン ６ 保護層 ７ 成型素板

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 プレス機械のラム側に装着するポンチ
   （１）に設けた成形型面（２）に対向して金敷台側に箱
   状の型枠（３）を載設し、同型枠内の底位にゴム層
   （４）を填装し、同ゴム層上位の同型枠内に硬質のピン
   （５）を密集して並立状に嵌設してなる柔軟性ダイス。
2. 【請求項２】 プレス機械のラム側に装着するポンチ
   （１）に設けた成形型面（２）に対向して金敷台側に箱
   状の型枠（３）を載設し、同型枠内の底位にゴム層
   （４）を填装し、同ゴム層上位に同ゴム層より強靱な可
   撓材による保護層（６）を覆設し、同保護層上位の同型
   枠内には硬質のピン（５）を密集して並立状に嵌設して
   なる柔軟性ダイス。
3. 【請求項３】 ピン（５）が横断面四角形である請求項
   １又は２記載の柔軟性ダイス。