JP3064981U - 均圧成形金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダイスに成形素板を載装し、素板上位に多数
の硬質球を填装し、加圧手段のポンチによる圧力を、同
素板上の硬質球へ均等に分散して伝達することにより素
板を硬質球との接点位とダイスとの間に均圧して塑性変
形域を形成し、塑性変形域外位は素板の弾性域にとど
め、素板の成形面に必要且つ十分な圧力を均等に加える
ことにより均圧成形し、成形品の素板板厚をほぼ均一に
し、成形した素板の強度と剛性との低下を防ぎ、且つ、
ダイスの局部偏摩耗を防ぐ均圧成形金型を提供しようと
するものである。 【構成】 ダイス１に成形素板６を載装し、同素板周辺
を押え板３で押圧し、同押え板に付設した導入口４内位
には、素板上位に硬質球７を填装して上位よりポンチ５
を導入嵌設している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、プレス又はハンマーなどの加圧手段により、成形型に成形素板を押 圧して成形する金型に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、成形金型は、ダイスとポンチとの間に成形素板を装入し、プレス又はハ ンマーなどの加圧手段によりポンチを素板に押圧してダイス内へ圧入し、ポンチ とダイスとの間に素板を挟圧して成形するものが公知であり、また、ダイス又は ポンチの何れか一方による成形型に、層状ゴムの弾性反力、液圧、火薬の爆発圧 力、放電による衝撃波及び高密磁力などを利用した加圧手段により成形素板を成 形型に押圧して成形するものが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の技術で述べたように、一対のダイスとポンチとによって成形素板を挟圧 して成形する金型は、型の製作誤差、装着誤差及び局部摩耗などの要因により、 金型全面にわたり均等に加圧することが極めて困難であって、金型と素板との接 触圧力が大きい部位では素板に生じる成形応力が大きく、素板の伸びが大きく素 板厚が薄くなって降伏点付近の応力になり、局部的に強度が低下し、金型の接触 圧力が大きいため局部摩耗を生じやすく、型の当たりが不均一になって片当たり 状となることがあるため、金型の製作は、ダイスとポンチの対として型の曲面を 加工し、組み合わせて行い、加工が複雑で、加工誤差及び熱処理歪みの矯正なら びに表面仕上に煩雑な熟練と手間を必要とし、工期短縮が困難であつて早期開発 の支障となり、また、いわゆる簡易型を含み、ダイス又はポンチの何れか一方を 成形型として、前記の各種の加圧手段により、成形素板を成形型に押し当てて成 形するものは、何れも特殊の加圧手段で、固有の取り扱い技術と注意が必要であ って、一般の生産に適するものではなかった。

【０００４】 本考案は、従来の技術におけるこのような問題点に鑑みてなされものであり、 その目的とするところは、ダイスに載装した成形素板の上位に多数の硬質球を填 装し、プレス又はハンマーなどの加圧手段によりポンチを硬質球上位より圧入し 、ポンチによる圧力を個々の硬質球へ均等に分散伝達して素板を均圧し、漸次素 材を拡張してダイス面へ押圧し、素板と硬質球との接点の近傍の素板の応力が降 伏点応力付近に達して塑性変形域を形成するまで加圧するとともに、塑性変形域 外位の素板応力を弾性域の低応力にとどめ、素板成形面に塑性変形域と弾性域と を混在状に均等に分布して均圧成形することにより、全成形面にわたり、素板は 板厚が比較的均一であって、弾性域を保有した状態で成形品の強度と剛性とをを 低下することが少なく、いわゆる腰の強い成形品を得るとともに、通常の金型の ダイスとポンチとにおける片当たり及び局部摩耗の懼れがなく、雄型としてのポ ンチを省いて金型製作を容易にした均圧成型金型を提供しようとするものである 。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案における均圧成形金型は、ダイスに成形素 板を載装し、同素板周辺を押え板で押圧し、同押え板に付設した導入口内位には 、素板上位に硬質球を填装して上位よりポンチを導入嵌設してしている。

【０００６】 また、ダイスは図２ないし図４に示すように分割してリテーナーに装填しても よい。

【０００７】

【作用】

ダイスに成形素板を載装し、同素板周辺を押え板で押圧し、同押え板に付設し た導入口内の素板上位に硬質球を填装して上位よりポンチを導入し、加圧手段の プレス又はハンマーによりポンチを硬質球上位へ圧入し、ポンチによる圧力を個 々の硬質球へ均等に分散して成形素板を均圧し、漸次同素板を拡張してダイスへ 押圧し、硬質球よりの圧力により硬質球と素板との接点の近傍に生じるヘルツ応 力と同素板を拡張する応力との合応力による成形応力が素板の降伏点応力付近に 達するまで加圧して同素板に塑性変形域（図５のＰ）を形成するとともに、塑性 変形域外位の同素板は塑性変形域形成応力に達しない弾性域（図５のＳ）にとど めることにより、同塑性変形域と弾性域とを混在状に均等に素板成形面に分布し 、成形素板の成形面に必要且つ十分な圧力を均等に加えることにより均圧成形す ることとなる。

【０００８】 また、ダイスを分割して組み合わせ、リテーナーに装填したものは、上記と同 様に成形作業を行い、成形品は、ダイスから抜き勝手になっていなくても、リテ ーナーからダイスとともに取り出し、ダイスを分離して硬質球を填装したままの 状態で取り出すこととなる。

【０００９】

【実施例】

実施例について図面を参照して説明すると、図１ないし図４において、ダイス １に成形素板６を載装し、同素板周辺を押え板３で押圧し、同押え板に付設した 導入口４内位には、素板上位に硬質球７を填装して上位よりポンチ５を導入嵌設 している。

【００１０】 また、図２ないし図４に示すように、ダイス１を分割してリテーナー２に装填 してもよい。

【００１１】 さらに、図１ないし図５において、ダイス１に成形素板６を載装し、同素板周 辺を押え板３で押圧し、同押え板に付設した導入口４内位には、素板上位に硬質 球７を填装して上位よりポンチ５を導入嵌設し、加圧手段のプレス又はハンマー により同ポンチを硬質球の上位より圧入し、同ポンチによる圧力を個々の硬質球 へ均等に分散して成形素板６を均圧し、漸次同素板を拡張してダイス１へ押圧し 、硬質球と素板との接点の近傍に生じる素板のヘルツ応力と、拡張する素板の応 力との合応力による成形応力が、素板の降伏点応力付近に達するまで加圧して素 板に塑性変形域Ｐを形成するとともに、塑性変形域の外位は塑性変形域形成応力 に達しない弾性域Ｓにとどめることにより、同塑性変形域と弾性域とを混在状に 均等に素板成形面に分布して成形する均圧成形金型としている。

【００１２】

【考案の効果】

本考案は、上述のように構成されているので、次に記載する効果を奏する。

【００１３】 請求項１の、ダイスに成形素板を載装し、ポンチ下位の導入口内位のと素板上 位に填装した硬質球を、加圧手段のプレス又はハンマーによりポンチを硬質球上 位より圧入し、ポンチによる圧力を個々の硬質球へ均等に分散して素板へ伝達し 、素板をダイス成形面全体にわたり均圧し、硬質球の接点近傍の素板に塑性変形 域を形成し、塑性変形域外位は素板の弾性域を保有し、同塑性変形域と弾性域と を混在状に均等に素板成形面に分布し、素板の成形面に必要且つ十分な圧力を均 等に加えて均圧成形することができるので、成形品の素板厚を比較的均一に保ち 、成形した素板の強度と剛性の低下を防ぎ、いわゆる腰の強い成形品を得ること ができる。

【００１４】 また、ダイスが、一体型のものでは、一般の絞り成形に適用し、分割型のもの では、複雑な凹凸曲面の成形及びエクスパンド成形に適用することができるとと もに成形品は、前者においては、ダイスから抜き勝手になってるので、硬質球と ともに容易に取出し、後者においては、リテーナーから取り出してダイスを分離 し、硬質球を填装したままの状態で容易に取出すことができる。

【００１５】 このように、均圧金型で均圧成形ができるので、金型に片当たり及び局部的に 過大な圧力のかかる部分がなく、局部摩耗ならびに偏摩耗がなく、型の耐久性を 向上することができる。

【００１６】 さらに、雄型ポンチが不要で、金型製作の手間を大幅に低減し、種々のダイス を製作しておけば、硬質球を圧入するポンチ、押え板及び硬質球は共用すること ができて、多種生産に適する。

【図面の簡単な説明】

【図１】均圧成形金型に成形素板を載装し、硬質球を填
装した状態を示す要部断面図である。

【図２】ダイスを分割してリテーナーに装填した実施例
の要部断面図である。

【図３】図２のＡ−Ａにおける要部断面図である。

【図４】ダイスを分割してリテーナーに装填した実施例
の成形終了状態を示す要部断面図である。

【図５】ダイスと硬質球との間における成形素板の成形
状態を示す要部の詳細断面図である。

【符号の説明】

１ ダイス ２ リテーナー ３ 押え板 ４ 導入口 ５ ポンチ ６ 成形素板 ７ 硬質球 Ｐ 塑性変形域 Ｓ 弾性域

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダイス（１）に成形素板（６）を載装
   し、同素板周辺を押え板（３）で押圧し、同押え板に付
   設した導入口（４）内位には、素板上位に硬質球（７）
   を填装し上位よりポンチ（５）を導入嵌設してなる均圧
   成形金型。