JP4642802B2 - 電子レンジ調理用の生タイプ即席麺の液体pH調整剤 - Google Patents

電子レンジ調理用の生タイプ即席麺の液体pH調整剤 Download PDF

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Description

本発明は、電子レンジ調理対応した生タイプ即席麺のpH調整剤に関する。
生タイプ即席麺は、生の食感で長期に保存可能な即席麺として、広く知られている。生タイプ即席麺に使用する麺塊は、常温で長期間保存する必要があるために有機酸処理によって、酸性状態にし、これを密封包装して加熱殺菌するという工程を経て製造される。
生タイプ即席麺は一般には、熱湯で調理されるものであるが、近年の電子レンジの高普及率等から電子レンジ調理に対応できる商品のニーズも高まってきている。
ここで、生タイプ即席麺塊は酸処理されているため、喫食時に酸味を呈するという問題がある。従来まで、この酸味を低減させるための種々の方法が用いられている(例えば、特許文献1)。
また、通常の熱湯を用いるタイプの生タイプ即席麺では、お湯を注いでから麺をほぐして、お湯を湯切りするタイプのものが多い。この湯切りによって麺線のもつ酸味をある程度まで低減することができる。
さらに、この湯切りに加えて、粉末のアルカリ剤を利用するという方法もある。具体的には、例えば、焼きそばやパスタ等のいわゆる“汁無し”タイプである場合、この粉末のアルカリ剤を湯戻しした麺にふりかけることで、麺線のpHを調製し酸味を低減するという方法である。
しかし、電子レンジ調理においては、熱湯を準備する等の手間を除いて簡便に調理するのが目的であるため、煩雑な熱湯による湯切り工程を設けることはできない。このため酸味は一層強く残る。
従って、上述のような粉末のアルカリ剤でのpH調整では十分とはいえず、より効果的で、かつ迅速にpHを調整することによって、酸味の低減を実現する方法が求められていたところである。
特開2003−52323
そこで、本発明者らは電子レンジ調理対応の生タイプ即席麺において、効果的にかつ迅速に酸味を低減できるpH調整剤を開発することを目的とした。
本発明者らは、まず、電子レンジ調理に利用できる種々のタイプのpH調整剤を検討した。その結果、麺に直接作用させ、かつ迅速に満遍なく生タイプ即席麺の酸味を中和させるという観点から、まず、液体タイプのpH調整剤が有利であることを見出した。
一方、液体タイプの場合は、水分活性が高いため、粉末タイプと異なり微生物的な保存性が問題になる。ここで、アルカリ側で保存することで、微生物的に保存性を持たせる場合には、一般には高アルカリ状態である方が有利であると考えられるが、高アルカリの場合、保存中のメイラード反応による褐変や添加する原料のアルカリによる変性、あるいは使用時に飛散等する場合の問題等を考慮する必要があり、pHを低アルカリとすることが好ましい。
また、本発明は電子レンジで調理する生タイプ即席麺に使用するものであるため、通常の熱湯を用いて調理する場合とは異なり、抗菌剤として使用するエタノールをレンジ調理による加熱によって揮発させることが可能という利点がある。
そこで、本発明者等はアルカリ側のpHとエタノール量と微生物の関係を研究し、pH9以上でかつエタノール量を5重量%以上とすることで、微生物的にも細菌を制御できることを見出した。また、通常の電子レンジでの調理条件であれば、5〜10重量%のエタノールの含有量であれば、レンジ調理時に食味に影響を与えない程度にまで、揮発することを見出した。
すなわち、本願第一の発明は、
電子レンジ調理用の生タイプ即席麺の液体pH調整剤であって、5〜10重量%のエタノールを含有し、pHが9以上である液体pH調整剤、
である。
また、前記液体pH調整剤をそのまま使用した場合、生タイプ即席麺塊に対して添加すると、麺塊の麺線同士の隙間を通過して麺塊を収納した容器の底に溜まってしまい、満遍なく、麺と液体pH調整剤を混ぜるためには、操作が煩雑になるという問題も生じた。
ここで、液体pH調整剤に澱粉等を添加し、粘度を付与した場合、麺塊の隙間を容易に通過することなく、液体pH調整剤が麺塊の内部に留まることを見出した。
すなわち、本願第二の発明は、
前記液体pH調整剤がさらに、澱粉又は増粘剤を含有する請求項1に記載の液体pH調整剤、
である。
また、前記液体中和剤の粘度が、一定の範囲にあれば、通常の形態の生タイプ即席麺塊に添加した場合に、麺塊の麺線の隙間に浸透しつつ麺塊を通過することなく、一方、麺塊の表面にダマで残ることもないことを見出した。
すなわち、本願第三の発明は、
前記液体pH調整剤の25℃での粘度が、200〜1,000cpsである請求項2に記載の液体pH調整剤、
である。
さらに、麺塊に絡ませる液体pH調整剤が麺塊に絡まっている程度を視覚的に確認できれば、便利である。そこで、前記液体pH調整剤がカラメル等の色素を含有していれば、液体pH調整剤が麺塊に絡んでいる状態を視覚的に確認できる。
すなわち、本願第四の発明は、
前記液体pH調整剤がさらに、色素を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の液体pH調整剤、
である。
本発明の液体pH調整剤を用いることにより、電子レンジ調理タイプの生タイプ即席麺塊において、pHを調整し、酸味を低減することができ、生タイプ即席麺の一層の発展を図ることができる。
以下に本願の発明内容を開示するが、本発明はこの形態に限定されるものではない。
─対象となる生タイプ即席麺─
本発明は、生タイプ即席麺の液体pH調整剤に関するものである。生タイプ即席麺とは、製麺後に蒸し、又は茹でを施し、これを有機酸溶液中で処理したものを密封包装し加熱殺菌したものをいう。生タイプ即席麺における水素イオン濃度はpHが3.8〜4.8以下とされているが、この範囲内であると酸味を感じるという問題がある。使用されている酸としては、乳酸、酢酸、アジピン酸、クエン酸、リンゴ酸等が挙げられるが、本発明の液体pH調整剤は、対象とする生タイプ即席麺がこれらのいずれの酸を使用していた場合にも利用できる。
本発明は特に電子レンジ調理用の生タイプ即席麺を対象とする。生タイプ即席麺はお湯を用いて調理するタイプが主であるが、電子レンジで調理するタイプのものも種々開発されている。
喫食のメニューとしては、汁物タイプのラーメンやうどんや汁無しタイプの焼きそば、パスタ、焼きうどん等が挙がられるが、本発明の液体pH調整剤は生タイプ即席麺の麺塊に直接に添加して、電子レンジ調理するためのものであるため、特に、汁無しタイプのものに対して好適に利用することができる。
─液体pH調整剤─
本発明は、pH調整剤を用いて生タイプ即席麺塊の酸味を低減するものであるが、従来、このようなpH調整剤には粉末タイプのものがあったが、本発明は特に液体タイプを用いる。
粉末タイプを使用した場合、粉末のみを直接に麺線に添加することになるが、水分が麺線に残存していたとしても、粉末を溶解させてから麺塊全体に満遍なく絡めるには、過度に混合する必要があり煩雑である。
また、少量の水を生タイプ即席麺塊に添加して、その上から粉末を添加するという方法もあるが、麺塊全体にわたって万遍なく絡めることは困難であり、麺塊の任意の部分にアルカリが偏在することが多い。
この点、液体タイプを用いれば、すでにアルカリ剤が溶解されている液体を用いるため、粉末タイプに比べて麺に絡め易く、また、短時間の攪拌でほぼ均一に麺線全体に絡ませることができ、迅速にpH調整を行うことができる。
本発明の液体pH調整剤の原料としては、水にアルカリ剤と緩衝能を持たせるための酸剤を溶解させ、さらに後述する抗菌剤としてエタノールを含有することを基本とする。
また、粘度付与のためには澱粉や増粘剤を含有させるのが好適である。さらに、本液体pH調整剤の麺線への絡み具合を視覚的に確認することができるように、色素も添加することができる。この他、味付等のために塩化ナトリウム、グルタミン酸ソーダ等の塩類や畜肉エキス、野菜エキスも加えることができる。
アルカリ剤については、種々のものを選択することができるが、具体的には炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。また、液体pH調整剤のpHとしては、pHが9以上であればよいが、高アルカリの場合における保存中の褐変や溶解している澱粉等のアルカリによる変性、あるいは使用時におけるアルカリ飛散等の問題を回避するため、中性に近い方が有利である。一方、pHが9より低いと微生物的な問題が生じるおそれが高い。
そこで、具体的な範囲としては、pH9〜11の範囲が好ましい。また、より好ましくはpH9〜10である。
使用する液体pH調整剤の液量としては、種々の範囲を選択することができる。通常、一食分が180g程度の生タイプ即席麺塊であれば、うどん・ラーメン等の麺のタイプによって麺線の太さが異なるため、必要な液量も変化するが、一般には電子レンジ調理後の麺を絡める手順を考慮すると、約15〜30mlとすることが好適である。
本発明におけるpH調整とは、必ずしも生タイプ即席麺塊が有する全ての酸を中和することは意味しない。麺塊の持つすべての酸を中和することができる程度の液体pH調整剤の量を添加しようとしても、麺線が太い場合には電子レンジ調理においても麺線の内部まで短時間に液体pH調整剤が浸透していくことはできず、過剰の液体pH調整剤を供した場合、麺線の外部がアルカリ状態となり、ソースやしょうゆ等を添加した場合に外部がアルカリ状態にあると、ソースやしょうゆの風味を損なうおそれがあるためである。
従って、本発明におけるpH調整とは、喫食時において麺表面に酸味を感じない程度のものであればよく、具体的には、生タイプ即席麺の麺塊に対して本発明の液体pH調整剤を麺塊の上部より添加し、電子レンジ調理した後に混合し、喫食時において、麺線の表面のpHが中性付近であり、喫食時に酸味を感じない程度のものをいうものとする。
─緩衝能─
本液体pH調整剤においては、液体に緩衝能を付与することが好ましい。緩衝能を付与することのメリットとしては、pH9程度の低アルカリ状態でありながら、高濃度のアルカリ溶液とすることができるため、生タイプ即席麺の持つpH調整の効果を高めることができるという点にある。
緩衝能のスタイルとしては、pH9以上のアルカリ性を保持できるアルカリ剤と弱酸の酸剤との組み合わせであれば種々のコンビネーションを選択することができる。具体的には、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムのアルカリ性塩類とリン酸1ナトリウムやコハク酸1ナトリウムその他の塩類又は酸との組み合わせ等がある。
また、緩衝能の濃度としては、種々の範囲を選択することができるが、pHの調整の対象となる生タイプ即席麺塊の有する酸度に応じて適宜調整することができる。
─エタノール─
本発明は、エタノールを必須とする。エタノールは抗菌作用があることが知られているが、エタノールの添加量が増加するに従い、食味に悪影響を及ぼすことが知られている。
しかし、本発明においては、電子レンジ調理という特有の調理方法を対象としている。本発明者等の試験結果によると、通常のレンジ調理の過程においては、生タイプ即席麺塊(約180g)に対して、約25mlの液体pH調整剤を使用する場合において、エタノール濃度が約5重量%程度であっても、通常の500W・3分程度の電子レンジ調理の過程で約60〜70%が揮発し、生タイプ即席麺塊に対する食味に影響を与えない。
また、上限としては、通常の500W、3分程度の電子レンジ調理であれば、食味に影響を与えない上限として、エタノールを約10重量%程度まで添加できる。
尚、電子レンジの調理の時間によっては、含有させるエタノール含量は、さらに増やせるものと推定される。
─アルカリpHとエタノールによる微生物の制御─
通常の醤油やソースであれば、酸性状態を呈するのでこれとエタノールの添加により保存性を高めていることが多く、食味との関係から添加するエタノールの量としては少ない方がよい。一方、本発明は従来までの酸性側での制御に代えて、アルカリ側での制御に加えて、電子レンジ調理によって調理時に揮発するという特性を利用して、エタノールを比較的高い含量である5〜10重量%含有させ、これらの組み合わせで微生物を制御するという特徴を有する。
本発明者等の研究によれば、一般の細菌のみならず、好アルカリ菌に対しても、pHが9以上で、エタノールが5重量%以上であれば、その生育を抑制することができることが判明した。
─澱粉又は増粘剤─
本発明においては、澱粉や増粘剤を添加することが好ましい。通常、アルカリ物質と酸性物質及び塩類等のみからなる液体pH調整剤では粘度が低いために、例えば、容器に生タイプ即席麺塊を収納し、麺塊に調整液を添加した場合、麺線の隙間を調整液が通過して、そのまま容器の底に溜まってしまうことになる。そこで、一定の粘度を付与することで、麺塊の隙間に浸透するが、容器の底に溜まらない程度の粘度を付与することができる。
好ましい粘度の範囲としては、25℃での粘度が200〜1,000cpsが好適である。尚、生タイプ即席麺塊の麺線間の隙間は、麺線の太さや凝集度によって多少異なる場合があるが、通常の製法による生タイプ即席麺塊であれば、ほぼ上記の粘度の範囲を適用できる。
粘性を付与するために使用する澱粉としては、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉等の種々の澱粉を用いることができる。また、加工澱粉であってもよい。また、増粘剤としては、グアーガムやキサンタンガム等の種々の増粘剤を使用することができる。
また、澱粉又は増粘剤を含有させた場合、本液体pH調整剤を生タイプ即席麺塊に絡ませると、pH調整の効果とともに、麺線表面に澱粉等が添加する麺線の表面に澱粉や増粘剤が絡まるため、食感も改良されることになる。
─色素─
本願発明の液体pH調整剤には、色素を含有することもできる。本願発明は、生タイプ即席麺塊のpHを調整するものであるため、麺塊の全域に万遍なく本調整液を絡める必要がある。そこで、本調整液に色素で色を付与しておけば、麺塊に絡めた場合に絡みの程度を目視的に確認することができる。
色素としては、カラメル色素や、種々の色素を選択することができる。具体的には、水溶性色素として、カラメル、ビートカラー、紅麹色素、クチナシ色素等が可能である。また、パプリカ色素のような油溶性色素でも乳化剤を加え水分散性とすることで使用は可能である。
使用する色素の量としては、種類等に応じて種々の範囲を選択することができる。その含量についても色が付く程度の少量であれば十分に視覚的に確認できる効果を発揮することができる。
─その他の添加物─
その他の添加物としては、エタノール以外の抗菌剤、酸化防止剤等を適宜選択することができる。例えば、抗菌の目的として、グリシン、リン酸塩類、プロタミン等を添加することができる。
─包装材料─
本発明の液体pH調整剤は、プラスチック等の種々の包装材料に封入して保持することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アルミニウム等の種々の包装材料を組み合わせて使用することができる。
後述する微生物制御のための熱間充填の場合には、シール性等の問題から、内層を
熱間充填に適した素材にするのが好ましい。
─本液体pH調整剤の製造方法─
以下に、本発明の液体pH調整剤の製造工程の一例について説明する。本液体pH調整剤の製造は、種々の方法を選択することができる。例えば、次のように製造することができる。まず、澱粉を添加しないタイプのものであれば、水、アルカリ性物質、酸性物質、エタノール、その他の塩類、色素等を水に溶解することで簡単に調製することができる。
澱粉を添加するタイプのものであれば、澱粉の糊化が起こらない程度の温度の水に対してアルカリ性物質、酸性物質を添加して、さらに澱粉を添加して、スラリー状態にしておく。これを攪拌しつつ温度を加え、80℃程度まで加熱することで澱粉を糊化させる。尚、エタノールについては、開放系で80℃程度まで加熱すると揮発するという問題があるため、揮発を防ぐ観点から、糊化した後において温度が下がってから添加することが好ましい。
また、微生物的により安全性を担保するために、糊化後において、一定時間80〜90℃程度の高温に保持することも好ましい。細菌の胞子を除く、通常の細菌、カビ、酵母であれば、上記温度で死滅するために、より確実に微生物制御することができる。さらに、包装材料への充填に際しては、微生物的な安全性を担保するために、熱間充填等の手段を採用するのも好ましい。
─本液体pH調整剤を用いた場合の調理方法─
本液体pH調整剤を用いた電子レンジによる生タイプ即席麺の調理方法としては、種々の方法が考えられるが、例えば次のような方法が挙げられる。
焼そば、焼きうどん、パスタ等の汁無しタイプの生タイプ場合には、汁無しタイプであるので、電子レンジ対応の容器内に生タイプ即席麺塊を入れ、本発明の液体pH調整剤、具材、ソース等を添加し、電子レンジで例えば、500W、3分間程度調理する。その後、箸、フォーク等で全体を混ぜれば、直ちに喫食に供することができる。
また、ラーメン、うどん、そば等の汁ものタイプの場合には、例えば、電子レンジ対応容器内に生タイプ即席麺塊を入れ、本発明品の液体pH調整剤を麺塊にかけてから、一定時間電子レンジで調理する。その後、箸等で混ぜて、pHを調整することで酸味を低減した麺塊を得ることができる。
このpHを調整後の麺塊にスープ、具材等を加え、お湯等を注げば、酸味の低減された食味の優れた生タイプ即席麺を喫食することができる。
その他、生タイプ即席麺塊が封入されているパウチを開封し、本発明品の液体pH調整剤をかけ、一定時間電子レンジ内で保持してから、箸等で混ぜるという方法もある。この方法であれば包装材内で、酸味を低減した生タイプ即席麺塊を得ることができる。
本発明の液体pH調整剤を使用することで、電子レンジ調理用の生タイプ即席麺において問題となっていた酸味を低減することができる。これによって、電子レンジ調理用の生タイプ即席麺の一層の発展を図ることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本願発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:液体タイプと粉末タイプのpH調整の効果の比較等
pH調整について粉末タイプと比較して液体タイプを比較して検討した。緩衝能を付与した場合の効果について検討した。
表1に記載のように試験区1〜4にある粉末又は液体の液体pH調整剤を準備し、テーパー形状の箱型紙製容器(上面の縦×横が11.3cm×10.5cmの方形であり、下面が縦×横が8.0cm×7.0cmの方形であって、高さ9.7cmであり、下面から上面に向かって広がるようにテーパー形状を有するものであり、上面の開口部において中央で係合するような上蓋を有するもの)の中に、生タイプ即席麺塊(乳酸によって酸処理したもので、重量180g、pH4.4、大きさ:縦11cm×横13cm×厚さ2cm)を入れた後、試験区1〜試験区3については、水を25gのみを麺塊にムラなく添加した。また、試験区4の場合は、液体pH調整剤(表1記載の配合で澱粉は糊化状態にあり、各原料は溶解しているもの)をそのまま麺塊にムラなく添加した。尚、試験区4の液体pH調整剤は、炭酸ナトリウムとリン酸1ナトリウムの緩衝系を利用した。
Figure 0004642802
次に、全ての試験区について上蓋をして電子レンジで500W、3分間調理した。尚、上蓋をした状態であっても上蓋と本体との隙間から揮発する蒸気等は漏れる状態にあった。電子レンジ調理後、試験区2、3については、表1に記載の混合した粉末pH調整剤をさらに麺塊にムラなくふりかけ、試験区1〜4のすべてについて30秒間、混合した。
混合後の各試験区の麺線をなるべく切断しないように注意しながら15gを10箇所について採取し、ガラス容器に入れた。これに蒸留水50gを加えて麺表面を洗うように、穏やかに10回攪拌した後、麺を取り除き、得られた水層についてpHを測定した。結果を表2に示す。
Figure 0004642802
pHのばらつきは、試験区4が最も小さく、液体タイプを用いることで粉末タイプに比べて麺全体にムラなく混合できることが判明した。また、試験区2に比べて試験区3のpHのばらつきが小さかったが、これは試験区2はアルカリ剤のみであるのに対して、試験区3は弱酸のリン酸1ナトリウムとの混合であるため、両者が麺表面で溶解して緩衝液の状態となり、麺の部位によるpHのムラが生じるのを抑えたものと推定される。
また、試験区4の方が試験区3よりも、中和の効果が大きく、麺が良く中和されていることが判明した。
実施例2:pH・アルコール濃度の違いによる保存性の変動
液体pH調整剤について、中性及びアルカリ側のpH7、9、11の3段階と各pHにおけるエタノール濃度を、無し、1、3、5重量%の4段階に調整し、各液体pH調整剤に各種の細菌を植菌し、菌数の増減を調査することで、各pHとエタノール含量の組み合わせで菌の増殖を制御できるかを検討した。pHが9.0の場合の使用した原料の配合比(重量%)を表3に示す。尚、pHが7.0のものについては、水の量を減らしたpH9.0の液体pH調整剤について0.1Nの塩酸によってpH7.0に調整した後、不足する水を加えて調整した。pHが12.0のものについては、pH7.0の場合と同様にして、0.1Nの水酸化ナトリウムでpHを12.0に調整して作製した。
また、緩衝系は、炭酸ナトリウムとリン酸1ナトリウムの系を利用した。尚、細菌が生育しやすいように酵母エキスを0.5%含有させた。
Figure 0004642802
植菌した細菌については、一般的な細菌としてEscherichia coli IFO330株(大腸菌)、Staphylococcus aureus IFO3060株(黄色ブドウ球菌)、Bacillus cereus(セレウス菌 自然界より分離したもので、特に芽胞を形成させたもの)に加えて、好アルカリ菌であるBacillus alcalophilus IFO15653株、生中華麺より分離したBacillus licheniforms及びBacillus haloduransを選択した。
試験方法としては各pH、エタノール濃度の液体pH調整剤をアルミ蒸着の液体スープのパウチにそれぞれ25gとなるように入れシールしたものを用いた。それぞれのパウチに、概ね1.0×10〜1.0×10cfu/mlの範囲となるように各細菌を添加して、初発、1、3、7日目に一部採取し、直ちに、再度シールして採取した液体を用いてプレート法にて菌数を計測した。
初発に対する7日目の菌数の増減の結果を表4に示す。尚、各欄の記号については、
+ + :初発菌数の10倍以上の菌数の増加が見られたもの
± ± :初発菌数から菌数の増減がないもの
− :初発菌数から菌数のゆるやかな減少があるもの
− − :細菌が死滅するか、又は著しい減少がみとめられたもの
とする。
Figure 0004642802
調査した範囲内においては、pHが9以上で、エタノール含量が5重量%以上であれば、Bacillus cereus(芽胞状態)と好アルカリ菌のBacillus haloduransを除いて、細菌
の死滅又は著しい減少が認められた。
一方、Bacillus cereus(芽胞状態)は、芽胞の発芽見られず、静菌状態が保たれた。
また、好アルカリ菌のBacillus haloduransでは、緩やかに細菌数は減少し、静菌状態
が保たれた。以上より、pHが9以上で、エタノール含量が5重量%以上であれば静菌状態が保たれることが判明した。
尚、本実験は澱粉を含有している場合についてであるが、添加した澱粉量では、十分な
水分活性を有しており、また澱粉は細菌の栄養源となるものであるため、澱粉を含まない
場合にもpHが9以上で、エタノール含量が5重量%以上であれば同様に静菌状態が保た
れるものとなる。
実施例3:エタノール含量の違いによる残存量の確認
エタノール含量がどのような範囲までであれば、電子レンジ調理で揮発して食味に影響を与えないかを検討した。表5に記載する配合比(重量%)の各種濃度となるエタノールを含有する液体pH調整剤を調製した。
Figure 0004642802
テーパー形状の箱型紙製容器(上面の縦×横が11.3cm×10.5cmの方形であり、下面が縦×横が8.0cm×7.0cmの方形であって、高さ9.7cmであり、下面から上面に向かって広がるようにテーパー形状を有するものであり、上面の開口部において中央で係合するような上蓋を有するもの)の中に、生タイプ即席麺塊(乳酸によって酸処理したもので、重量180g、pH4.4、大きさ:縦11cm×横13cm×厚さ2cm)を入れた後、上部より各液体pH調整剤25gを麺塊の上からムラなく添加し、上蓋を係合した後、電子レンジ(500W)にて3分間調理を行った。
その後、上蓋を開封し、直ちに麺をかき混ぜた(30秒間)。かき混ぜた後に喫食して食味をするとともに、麺の一部を袋に採取して密封した。密封した麺の一部は、エタノール含量の測定を行った。測定は王子計測機器株式会社のバイオセンサーBF‐4を用いて、麺を20g秤量して蒸留水180mlを加えてホモジネートした後、その濾液を酵素電極で測定した。
Figure 0004642802
添加するエタノールの濃度を上げると、調理後の残存するエタノール量も比例的に上昇した。エタノール臭は調理後に麺を混ぜる初期の段階、例えば、麺塊を裏返す時などに瞬間的に強く感じられ、その傾向は、特にエタノール濃度15重量%から強く感じられるようになった。製品形態では、他のソース等の味が加わるために、最終的には、本実験ほどのエタノールの影響はでないと考えられるが、調理時に消費者に与える違和感を考慮すると、エタノールの添加量は、5〜10重量%程度が好適な範囲であると考えられる。
実施例4:液の粘度と麺透過率の関係
本発明の液体pH調整剤は、容器に入れた生タイプ即席麺塊に添加して使用するが、本液体pH調整剤の粘性が低いと、生タイプ即席麺塊に添加したとき液体pH調整剤は速やかに、麺塊を通過して容器底部に溜まってしまう。このため、液体pH調整剤を麺線に均一に絡ませるためには、麺線を十分に混ぜることが必要になり、操作が煩雑である。
また、逆に粘性が高すぎるとアルカリ液は麺塊内部を浸透せずに、麺塊上部に留まるために、液体pH調整剤を均一に絡ませるためには、この場合も麺線を十分に混ぜることが必要であり、操作が煩雑である。
そこで、生タイプ即席麺塊に対して液体pH調製剤を絡める際においては、液体pH調製剤が麺塊の間に適度に浸透するが、麺塊を通過せずに麺塊の全体に留まる程度の状態が好ましい。
そこで、澱粉を用いて各種粘度を有する液体pH調整剤を調製し、好ましい液体pH調整剤の粘性を検討した。方法としては、表7に記載する配合比(重量%)のように、タピオカ澱粉の含量を変えることにより、各種粘性を有する液体pH調整剤を調製した。
Figure 0004642802

次に、粘度の測定は、B型粘度計であるVISCOMETER BL(TOKIMEC INC.製)を用いて、保持時間1分、25℃の条件下で行った。
粘度と麺透過率の実験については、金属篩(3.5メッシュ)の上に生タイプ即席麺塊(縦:11cm×横:13cm×厚さ:2cm)を置き、表7に記載する各種澱粉濃度(粘性)を有する液体pH調整剤25gを麺塊の上部より添加した。約1分間経過後に金属製篩を通過して、下部の金属容器に溜まった液の重量(g)を測定した。同様の作業を5回繰り返した結果、表8に示す結果となった。
Figure 0004642802
表8に示すように、生タイプ即席麺塊を通過する液体pH調整剤の量は、粘度が390cpsの場合に麺塊内を浸透して少量が通過するか又は麺塊に十分浸透して麺塊内に適度に留まることがわかった。また、粘度が220cpsの場合においては、麺塊を浸透して通過した液体が、容器の下部に少量みられたが、軽く混合することによって容易に液体pH調整剤を麺線に均一に絡ませることができた。さらに、粘度が960cpsの場合には、麺塊の内部に液体pH調整剤が浸透しており、この場合も、軽く混合することによって、容易に均一に絡ませることができた。
以上より、澱粉濃度としては、粘度が200〜1,000cpsの範囲が好適であることが判明した。

Claims (4)

  1. 電子レンジ調理用の生タイプ即席麺の液体pH調整剤であって、5〜10重量%のエタノールを含有し、pHが9以上である液体pH調整剤。
  2. 前記液体pH調整剤がさらに、澱粉又は増粘剤を含有する請求項1に記載の液体pH調整剤。
  3. 前記液体pH調整剤の25℃での粘度が、200〜1,000cpsである請求項2に記載の液体pH調整剤。
  4. 前記液体pH調整剤がさらに、色素を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の液体pH調整剤。
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