JP2003088303A - アジピン酸を主要成分とする液状pH調整剤およびその水中油型乳化物の製造方法と利用 - Google Patents

アジピン酸を主要成分とする液状pH調整剤およびその水中油型乳化物の製造方法と利用

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JP2003088303A JP2001282204A JP2001282204A JP2003088303A JP 2003088303 A JP2003088303 A JP 2003088303A JP 2001282204 A JP2001282204 A JP 2001282204A JP 2001282204 A JP2001282204 A JP 2001282204A JP 2003088303 A JP2003088303 A JP 2003088303A
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展年 濱口
Ryoji Sono
良治 園
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Yukitane Ko
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TSUJI SEIYU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 静菌性、ほぐれ性、作業性の点で優れた
pH調整剤を提供する。 【解決手段】 ナトリウムまたはカリウムの重炭酸塩及
び/または炭酸塩の水溶液、またはこれらの水溶液と有
機酸塩類との混合水溶液に所定量のアジピン酸を溶解さ
せ、その際pHが7.0〜9.5になるよう重炭酸塩、
炭酸塩、有機酸塩類の添加量を調整し、次いで有機酸を
添加してpH4.5〜6.0に調整することを特徴とす
るアジピン酸を主要成分とする液状pH調整剤の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アジピン酸を主要
成分とする風味の良い新規液状pH調整剤の製造方法に
関し、また炊飯時や焼きそば、スパゲッティー、各種惣
菜の調理時に添加し、米飯や麺のほぐれ、生地の延展性
を良くし、惣菜のくっつき防止とともに保存性を高める
ための水中油型乳化物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在米飯や焼きそば、スパゲッティー、
各種惣菜の保存性を高めるため各種pH調整剤が使用さ
れているが、ほとんどが酢酸ナトリウムを主剤としてい
る。酢酸ナトリウムの静菌性を高めるためpHを4.5
〜5.5と低く調整しているが、遊離の酢酸に基づく酸
味や酸臭を伴わざるを得ない。そのため、例えば炊飯時
に添加すると米飯は酸味や酸臭を有し、炊きたてのご飯
の品質とは言い難いものになる。また、焼きそば、スパ
ゲッティー、各種惣菜の調理時にも同様で、作業時酢酸
臭が強くかつ出来上がったものにも本来の風味以外の酸
味や異味が伴うのが問題であった。
【0003】風味改善のため炊きあがったご飯や各種製
品に、pH調整剤をそのままあるいは水に溶かし、散布
する後添加の方法が採られるが、この操作時にpH調整
剤が不均一に分散することや空中の雑菌に基づく二次汚
染の欠点を伴い、pH調整剤の静菌作用を抑制する結果
となり、そのため保存性が要求される製品ではプロタミ
ンやポリリジン等の保存料に依存せざるを得ないのが現
状であった。しかし、消費者からの要望により、保存料
の使用を回避する風潮の中で、静菌力が高く、無臭で揮
発性が低く加熱時にも添加可能であり、酸味も少ないア
ジピン酸が注目されていたが、水溶解性が悪く、このも
のを主要成分とし、かつ作業性からも要求性の高い液状
のものが望まれていたが、未だその開発がなされていな
いのが現状である。
【0004】水溶性有機酸塩とともにアジピン酸を水に
溶解した状態で含有されている食品保存用アジピン酸の
低温安定液体製剤組成物が報告(特公第2736704
号公報)されているが、液状を保つために、アジピン酸
に対する有機酸塩の割合が明記されていない。しかし、
実施例によるとアジピン酸の約3〜4倍の水溶性有機酸
塩が必要とされる。本特許の実施例でも記述しているよ
うに有機酸塩のみでは6〜10倍が必要であり、到底ア
ジピン酸を主要成分とするpH調整剤とはなり得ない。
また、アジピン酸の水溶解性を高めるためリン酸塩の添
加が報告(特開昭63−44547号公報)されている
が、前記特公第2736704号公報では4倍量近いリ
ン酸三ナトリウムを添加しても沈殿が生じることを述べ
ており、またリン酸塩が多いことからアジピン酸の濃度
が低くなり、静菌性が劣り、多量に使用するとリン酸塩
に基づく異味を伴い到底食用に用いられない。
【0005】アジピン酸、コハク酸、リンゴ酸などの常
温で粉末状の有機酸と炭酸水素ナトリウムなどの組成物
を約50℃以上の茹で液に直接投入して、主として熱に
よって炭酸ガスを茹で液中で発生させることにより有機
酸の溶解を促進する茹で麺類用pH調整剤(特開200
0−125791号公報)も報告されているが、水溶液
状でアジピン酸を主要成分とする本発明とは、発明の意
図、構成が根本的に異なる。アジピン酸および/または
アジピン酸化合物とα−アミノ酸を主成分とする混合保
存剤組成物(特開昭62−58974号公報)が知られ
ている。しかし、この組成物は粉末状であり、粉末のま
まあるいは水に溶解させてから食品に添加するが水溶液
中での安定性については何らの示唆も与えない。
【0006】アジピン酸0.05〜1%含有浸水液に洗
米を浸漬した後水洗し、炊飯するがその際アジピン酸塩
でpHを調整する長期保存可能な米飯の製造方法(特開
2000−217521号公報)や、茹で麺の茹で液に
アジピン酸と有機酸塩、例えばクエン酸ナトリウムとで
pH調整する方法(特開昭61−216651号公報)
も報告されているが、温度が高いとアジピン酸は比較的
良く溶けるが、常温では溶解度が低いため本発明に何ら
の示唆も与えない。また、キトサン、乳酸緩衝液、アジ
ピン酸の3種およびノイペクチンから成る食品添加剤が
提案(特開平6−113802号公報)されているが、
アジピン酸を主要成分とするpH調整剤でなく、かつこ
れら混合物の水中での安定性についての記述もなく、p
H調整剤でないキトサンを主要成分としているものであ
る。
【0007】以上の報告は、アジピン酸の静菌性が優れ
ていること、また風味が良いことを示しているが、アジ
ピン酸を主要成分とする液状pH調整剤の製造法に関し
て何らの示唆も与えていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、風味の
良い該pH調整剤を提供するとともに、食用油脂と乳化
させ、米飯や麺類、各種惣菜のくっつき防止などの機能
も併せ持つ乳化物を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】アジピン酸の水への溶解
度は、15℃で1.5%と低い。アジピン酸を主要成分
とする液状pH調整剤を開発するため鋭意研究した結
果、pH調整剤に使用できる重炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウム、炭酸ナトリウムの重炭酸塩および/または炭酸
塩の水溶液に所定量のアジピン酸を溶解させるが、溶解
後のpHが有機酸塩類やリン酸塩の示すpH7.0〜
9.5になるよう該重炭酸塩、炭酸塩の添加量を調節
し、次いで有機酸を添加してpH4.5〜6に調整すれ
ば液状pH調整剤中のアジピン酸濃度が全く驚くべきこ
とに、5〜12重量%であり、かつ添加する他の有機酸
より多い主要構成酸のものが得られることを見出した。
【0010】本発明者らは、さらにナトリウムまたはカ
リウムの重炭酸塩および/または炭酸塩の水溶液に、有
機酸塩類の水溶液を混合したものでも同様な結果が得ら
れるが、有機酸塩の水溶液のみでは、溶解できるアジピ
ン酸濃度は低くなり、かつ添加する有機酸の濃度がアジ
ピン酸の濃度より高くなり、静菌作用が劣ること、ま
た、アジピン酸添加後のpHが9.5以上であれば添加
する有機酸の量が増し、その結果アジピン酸が析出する
ため、液状を保つためにはアジピン酸濃度が低くなり、
有機酸塩類の水溶液にアジピン酸を添加した場合と同じ
結果となり、その一方でアジピン酸添加後のpHが7.
0以下であれば、アジピン酸の溶解が充分でないため添
加するアジピン酸の量が少なくなることを知見した。ま
た、重炭酸塩、炭酸塩、有機酸塩類の水溶液にアジピン
酸を溶解し、pH7.0〜9.5にしてアジピン酸を完
全に溶解させた後、有機酸を加えてpH4.5〜6.0
に調整すれば、有機酸塩類水溶液にアジピン酸を添加し
て同じpH4.5〜6.0に調整したものに比べ高濃度
のアジピン酸が溶解すること等の新知見も得た。本発明
者らは、さらに鋭意検討を重ねて、本発明を完成するに
至った。
【0011】すなわち、本発明は、(1) ナトリウム
またはカリウムの重炭酸塩及び/または炭酸塩の水溶
液、またはこれらの水溶液と他の有機酸の塩類との混合
水溶液に、アジピン酸を溶解させ、その際pHが7.0
〜9.5になるよう重炭酸塩、炭酸塩、当該有機酸塩類
の添加量を調整し、次いで有機酸を添加してpH4.5
〜6.0に調整することを特徴とするアジピン酸を主要
成分とする液状pH調整剤の製造方法、(2) 前記重
炭酸塩及び/または炭酸塩、または有機酸塩類との混合
物の代わりに、もしくはこれらと併用してナトリウム、
カリウム、カルシウムまたはマグネシウムの水酸化物を
用いることを特徴とする上記(1)記載の液状pH調整
剤の製造方法、(3) 液状pH調整剤中のアジピン酸
濃度が5〜12重量%であり、他の有機酸より多いこと
を特徴とする上記(1)および(2)記載の液状pH調
整剤の製造方法、(4) アジピン酸を主要成分とする
液状pH調整剤90〜55重量部、食用油脂10〜45
重量部、乳化物の全体量に対して0.05〜3重量%の
酵素分解レシチン、および乳化物の全体量に対して0.
2〜3重量のグリセリンの重合度3以上でかつHLB1
0以上のポリグリセリンステアリン酸エステルの製造方
法、(5) 食用油脂にグリセリンおよびグリセリンの
重合度が2以上のポリグリセリンのモノオレエート、モ
ノラウレートおよびモノミリステートより選ばれた少な
くとも1種を食用油脂に対して0.5〜10重量%およ
び食用油脂に対して酵素分解レシチン0.05〜6重量
%を加え、さらに酵素分解レシチンに対して30〜50
0重量%のHLB3以下のしょ糖不飽和脂肪酸エステ
ル、またはポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル
および100〜700重量%のエタノールを添加するこ
とを特徴とする、長期沈殿を起こさず、かつ水溶解性が
良い油脂調製剤の製造方法、(6) 上記(1)記載の
液状pH調整剤または/および請求項4記載の水中油型
乳化物を加熱調理時および/または調理後に添加した食
品、(7) 食品のバラケ、ほぐれ性のためには油分が
食品素材に対して0.1〜5重量%、食品の保存性を高
めるためには食品素材に対してアジピン酸が0.03〜
3重量%になるように上記(1)記載の液状pH調整剤
および/または請求項4記載の水中油型乳化物を添加し
た食品、(8) アジピン酸を含有し、アジピン酸の含
有量が溶液全体に対して5〜12重量%であって、pH
値が4.5〜6.0であることを特徴とする食品用溶液
状pH調整剤、(9) アジピン酸または上記(8)記
載の水溶液、食用油脂、酵素分解レシチンおよびグリセ
リンの重合度が3以上で、かつHLB10以上のポリグ
リセリンステアリン酸エステルを含有することを特徴と
する水中油型乳化物、(10)食用油脂、グリセリンお
よびグリセリンの重合度が2以上のポリグリセリンのモ
ノオレート、モノラウレートおよびモノミリステートか
ら選ばれる1種以上、酵素分解レシチン、およびHLB
3以上のしょ糖不飽和脂肪酸エステルまたはポリグリセ
リン縮合リシノレイン酸エステルを含有することを特徴
とする油脂調整剤、(11)上記(8)記載のpH調整
剤と、上記(10)記載の油脂調整剤とのセット、(1
2)上記(8)記載のpH調整剤、上記(9)記載の水
中油型乳化物または上記(10)記載の油脂調整剤の食
品類の調理のための使用、(13)上記(8)記載のp
H調整剤、上記(9)記載の水中油型乳化物または上記
(10)記載の油脂調整剤を含有することを特徴とする
食品、に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明における炭酸塩としては、
例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム等が挙げられる。本発明における有
機酸または有機酸塩類における有機酸としては、アビピ
ン酸以外であって、食品に添加可能なものであればどの
ようなものでもよく、具体的於には乳酸、コハク酸、リ
ンゴ酸、クエン酸等が好ましく、その塩としてはそのナ
トリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等が好まし
い。食品類は、後述するようにどのようなものでもよい
が、例えば米飯、焼きそば、各種総菜等が代表として挙
げられる。本発明における酵素分解レシチンとしては、
例えば特開平8−333378、特開平11−1722
77において、本発明者らが提出したものを含み、例え
ばレシチン(1,2−ジアシルグリセロリン脂質)にホ
スフォリパーゼA又はA を作用させ、その脂肪酸部
を部分分解して2−モノアシルグリセロリン脂質または
1−モノアシルグリセロリン脂質に改質することによっ
て得られるものが好ましい。そのような酵素分解レシチ
ンとしては、例えばリゾレシチン、大豆レゾレシチン等
が例示される。
【0013】本発明におけるしょ糖不飽和脂肪酸エステ
ルは、従来食品添加物として知られているものならばど
のようなものでもよいが、好ましくは特開平8−333
378を含む公知文献に例示されているもの、具体的に
は例えばしょ糖エルカ酸エステル、しょ糖オレイン酸エ
ステル、しょ糖ステアリン酸エステル等が挙げられる。
また、本発明におけるポリグリセリン縮合リシノレイン
酸エステルとしては、従来食品添加物として知られてい
るものならばどのようなものでもよいが、好ましくは特
開平11−172277を含む公知文献に例示されてい
るもの、具体的には例えばデカグリセリン縮合リシノレ
イン酸エステル、ヘキサグリセリン縮合リシノレイン酸
エステル、テトラグリセリン縮合リシノレイン酸エステ
ル等が挙げられる。
【0014】本発明の組成物であるpH調整剤、水中油
脂乳化物および油脂調整剤は、所要成分を自体公知の手
段に従って混合することにより製造される。以下に、本
発明の好ましい実施態様を説明するが、本発明はこれら
に限定されず、上記した(1)〜(13)の範囲であれ
ばどのようなものであってもよい。
【0015】アジピン酸溶解後、有機酸を添加してpH
4.5〜6に調整するが、pH4.5以下では添加した
食品に酸味を与え風味的に悪影響を及ぼすばかりでな
く、保存中アジピン酸が析出し、液状を保ち得ない。ま
た、pH6以上では非解離アジピン酸の量が減少し、静
菌作用も劣ることになる。このように、本発明でのアジ
ピン酸可溶化のための種々のpH指定はアジピン酸のp
Kaの値が4.43と5.28であり、pKa値が他の
有機酸より比較的高いことを積極的に活用したものであ
る。例えば不揮発性、静菌性で頻用される乳酸ではpK
a値3.86であり、pH4.5〜6では乳酸はほとん
どナトリウム塩となり非解離のアジピン酸の量が多くな
るのである。その結果本発明のpH調整剤は、食品に添
加しても風味が良く、静菌性が高い。添加する有機酸塩
および有機酸としてはpH調整剤で使用できるものであ
れば何ら制限されない。酸味、酸臭、水溶解性の点で良
いものの中から適宜1種または数種混合して選択して用
いられる。
【0016】アジピン酸の溶解には前記重炭酸塩、炭酸
塩、有機酸塩の他にナトリウム、カリウム、カルシウム
またはマグネシウムの水酸化物が用いられ、または併用
しても良いが、アジピン酸添加後のpHは7.0〜9.
5に調整されなければならない。アジピン酸は不揮発性
であることから本発明の液状pH調整剤は食品の加熱調
理時に使用でき、その結果加熱後pH調整剤を粉末のま
ま散布または水溶液にして散布するなど、pH調整剤の
食品素材中での分散の不均一性や水溶液にして散布する
操作に伴う二次汚染をも防ぎ、効果的な静菌作用を発揮
するのである。
【0017】調理食品では素材のほぐれ、即ち炊飯が容
器につかず米飯のほぐれ、色つやが良くなることや麺製
品のくっつき防止、生地の延展性を改善、あるいは各種
惣菜のくっつき防止のため、レシチンを含有した油脂が
利用されている。本特許ではアジピン酸を主要成分とす
る上記液状pH調整剤90〜55重量部に食用油脂10
〜45重量部を加え、水中油型乳化物を提供することも
提案している。即ち従来からの素材のほぐれに利用され
ている油脂が素材に均一に分散せず、本来の目的が充分
に発揮されないことに比べ、水中油型乳化物とすること
により、素材への均一な分散および静菌性も併せ持った
ものを提供することも本発明のもう一つの特徴である。
【0018】米飯用O/Wエマルション組成物について
はジグリセリドを用いる方法(特開平5−316971
号公報)、加工穀物のバラケ剤として食用油脂100重
量部と水、糖質または両者の混合物50〜100重量部
のO/W型乳化混合物を調製するに当たり、HLB12
〜16のポリグリセリン脂肪酸エステル、酵素処理レシ
チンを用い、主にバラケ性を向上させるためクエン酸モ
ノグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エ
ステル及びレシチンからなる群から選ばれた1種以上の
乳化剤を用いることが提案(特開平7−147914号
公報)されている。この報告では食用油脂が50%以上
であり、HLB12以上のポリグリセリン脂肪酸エステ
ルが必要でHLB11のものでは乳化不良であること、
またクエン酸モノグリセリン脂肪酸エステル、モノグリ
セリン脂肪酸エステル、レシチンなどが油脂に対し1%
以下ではバラケ性で不良であると指摘している。
【0019】本発明者らは特開平7−147914号公
報と異なり油分が50%以下でかつ有機酸塩類を多く含
み塩析を起こしやすいO/W型乳化物の調製に当たり、
乳化安定性と風味の点からグリセリンの重合度が3以上
でかつHLBが10以上のポリグリセリンステアリン酸
エステル、乳化安定性と添加食品素材のバラケ、ほぐれ
性改良のため酵素分解レシチンが必須であることを見出
し、安定な乳化物を調製するに至った。即ち、ポリグリ
セリンのラウリン酸、カプリル酸やカプリン酸エステル
は乳化には好適であるが、独特の異味を有し、添加食品
の風味を著しく損なう。一方ポリグリセリンのオレイン
酸エステルでは安定な乳化物を得ることができないので
ある。また、酵素分解レシチンは塩析現象を伴う乳化物
の安定性に大きく寄与し、本発明者らが報告(特開平8
−333378号公報、特開平11−172277号公
報)したように離型作用が通常のレシチンと異なり優れ
ているが、この作用が食品素材のバラケ、ほぐれに寄与
しており、特開平7−147914号公報のようにクエ
ン酸モノグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂
肪酸エステル、レシチンなどの使用がなくても充分なほ
ぐれ性を与えることを確認したのである。
【0020】グリセリンの重合度3以上でかつHLBが
10以上のポリグリセリンステアリン酸エステルの添加
量は、乳化物全体量に対して0.2〜3重量%で、0.
2重量%以下では安定な乳化物が得られず、3重量%以
上では乳化安定に寄与せず、異味を伴う。酵素分解レシ
チンは、レシチンをホスホリパーゼA1またはA2で処
理することにより得られるモノアシルグリセロリン脂質
(リゾレシチン)で油分を含んだもの、脱脂したものが
あるが、添加量は脱脂したリゾレシチンとして乳化物全
体量に対して0.05〜3重量%である。0.05重量
%以下では乳化安定性や食品素材のバラケ、ほぐれに寄
与しない。3重量%以上では風味に影響を及ぼす。これ
らポリグリセリンステアリン酸エステルと酵素分解レシ
チンが必須成分であるが、抗菌性の付与や乳化物の安定
性、食品素材のバラケ、ほぐれ性を向上させるため他の
乳化剤や安定剤、ワックス等を添加しても良い。
【0021】本発明のさらに好ましい実施の態様を以下
に説明する。水中油型乳化物の製造プロセスは常法に従
って行われる。即ち好ましくは加温下水層に重炭酸塩、
炭酸塩、有機酸塩等類を溶解し撹拌しながらアジピン酸
を溶解させ、有機酸を加えて上記のようにpH調整を行
った後、酵素分解レシチン、ポリグリセリンステアリン
酸エステルを添加、溶解させる。品温約60℃以上で食
用油脂を添加し、約65〜75℃程度で20分間加熱撹
拌を続けて、一次乳化液を調製する。次いでこの混合液
を約20〜200kg/cmの圧力で均質機を通過さ
せて均質化し、高温短時間殺菌や高温瞬間殺菌、超高温
滅菌処理(UHT処理)をするが、長期保存可能なUH
T処理が望ましい。
【0022】ここで超高温滅菌処理は、言うまでもなく
間接加熱、直接加熱のいずれの方式によるものであって
も良く、通常の場合は品温約120℃ないし150℃に
おいて処理時間として10〜2秒間を一つの目安として
行えばよい。なおこのような超高温滅菌処理後、さらに
約0〜200kg/cmにおいて再度均質化し、5℃
前後に冷却し、一夜放置して無菌充填機で包装して最終
製品とする。
【0023】通常のレシチンと異なり、酵素分解レシチ
ンは格段に高い離型作用を示すが、油中では分散せず沈
殿する。本発明者らは酵素分解レシチンの油中安定性、
分散性を高め、長期安定な酵素分解レシチン含有油脂の
製造方法を既に報告(特開平8−333378号公報、
特開平11−172277号公報)している。これらの
技術を応用し、酵素分解レシチン含有油脂の水溶解性を
高める方法も開発した。即ち、通常のレシチン含有油脂
に比べ酵素分解レシチン含有油脂は水への分散性は向上
しているが、未だ不充分なことから、水溶解性を高める
乳化剤を探索したところ、グリセリンおよびグリセリン
の重合度が2以上のポリグリセリンのモノオレエート、
モノラウレートおよびモノミリステートが効果的である
ことを見出した。
【0024】食用油脂にグリセリンおよびグリセリンの
重合度が2以上のポリグリセリンのモノオレエート、モ
ノラウレートおよびモノミリステートより選ばれた少な
くとも1種を約0.5〜10重量%、酵素分解レシチン
約0.05〜5重量%を加える。これらの乳化剤の油中
分散を高める方法として上述した報告のように酵素分解
レシチンに対してHLB3以下のしょ糖不飽和脂肪酸エ
ステル約30〜500重量%、ポリグリセリン縮合リシ
ノレイン酸エステル約30〜500重量%およびエタノ
ール約100〜700重量%の内、適宜組み合わせて沈
殿を起こさない長期安定な油脂調整物を得る。これらの
油脂調整物は水に入れ軽く撹拌することで均一な乳化液
になることから、O/W型乳化物を調製せずともこの油
脂調整物とアジピン酸を主要成分とする液状pH調整剤
(例えば上記の(1)または(9)記載の)とを併用し
て用いることができるのである。このように、液状pH
調整剤、油脂との水中油型乳化物、水溶性の油脂調整物
を提供し、ユーザーが適宜選択して必要な油分、静菌作
用を選択できるようにしたのも本特許のもう一つの特徴
である。
【0025】水溶解性の油脂調整物の作成に当たり、グ
リセリンおよびグリセリンの重合度が2以上のポリグリ
セリンでステアリン酸がエステル結合したものや、オレ
イン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸が2個以上エステル
結合したものでは効果がない。モノオレエート、モノラ
ウレート、モノミリステートが効果的で1種または2種
以上混合して用いる。添加量は食用油脂に対し約0.5
〜10重量%で0.5重量%以下では水溶解性が無添加
のものと差がなく、10重量%以上では水溶解性は著し
く良くなるが、風味的に影響を及ぼす。食品素材のほぐ
れのため酵素分解レシチンは不可欠成分で、添加量は食
用油脂に対して約0.05〜6重量%で0.05重量%
以下ではほぐれの効果がなく6重量%以上では風味上問
題となる。
【0026】アジピン酸を主要成分とする液状pH調整
剤やそのO/W型乳化物は種々の加工食品のほぐれ、日
持ち向上のために利用される。応用できる加工食品の範
囲は広く、各種米飯類、うどん、そば、マカロニ、も
ち、ギョウザ、ワンタン、スパゲッティー、ピザ等澱粉
を主体とする食品の他、かまぼこ、はんぺん等の水産練
り製品、ウインナー、ハム、ソーセージ、鳥肉等の畜肉
製品、さきいか、ウニ、漬物等の塩蔵品や、野菜やポテ
トのサラダ等の惣菜など調理済み加工食品の全てが対象
となる。
【0027】アジピン酸を主要成分とする液状pH調整
剤やそのO/W型乳化物の各種食品素材への添加は加熱
調理時に行うのが二次汚染を防ぐ点で効果的であるが、
このことが可能でないときは調理後に添加しても良い。
添加量は各種食品で要求される点で異なるが、食品のバ
ラケ、ほぐれ性のためには油分が食品素材に対して0.
1〜5重量%、食品の保存性を高めるためには食品素材
に対してアジピン酸が約0.03〜3重量%になるよう
液状pH調整剤やそのO/W型乳化物、または水溶性を
高めた油脂調整物を添加する。
【0028】
【実施例】以下に本発明の幾つかの実施例を示し、本発
明をさらに具体的に明らかにすることとするが、本発明
がそのような実施例の記載によって何らの制限を受ける
ものではないことは、言うまでもないことである。ま
た、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の
具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りに
おいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、
改良を加え得るものであることが理解されるべきであ
る。なお、実施例中の部およびパーセントはいずれも重
量基準に基づく。
【0029】〔実施例1〕液状pH調整剤の調製 アジピン酸添加後のpHが8.4〜8.6になるよう、
炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、有機酸塩を添加し
て清澄な水溶液を得、次いで有機酸を添加してpH4.
9〜5.2になるように調整した液100重量部を5℃
に一週間保存した。構成有機酸と液の性状を調べた結果
を表1に示す。なお、有機酸の塩類や有機酸は無水物の
量で表示している。
【0030】
【表1】
【0031】各種アルカリでアジピン酸を完全に溶解さ
せた後有機酸を添加してpH調製を行ったものは、多量
のアジピン酸を含有しながらも清澄である(本発明例
1、3、4)。また、アジピン酸のpKaの値が4.4
3と5.28であり、乳酸のpKa値3.86と比べ高
いため、pH4.9〜5.2の液中では乳酸がナトリウ
ム塩の形で存在し、アジピン酸が遊離の酸の形態をとる
ものが多いため、静菌作用も高まる。なお、乳酸ナトリ
ウムなどの有機酸の塩類と併用しても良い(本発明例
2)。しかしアジピン酸の量が多いと析出し、添加する
アジピン酸の量は12%が限界である(比較例1)。有
機酸塩類の水溶液pH7.0〜9.5にアジピン酸を添
加し、pHを同じように調整したものでは5℃保存中微
濁し(比較例2、3)、アジピン酸の添加量を少なく
し、pHを少し上げねばならないが、いずれにせよ本発
明例ではアジピン酸の含有量が他の有機酸の含量より高
く保持できるのに対し、比較例2、3の方法ではアジピ
ン酸は他の有機酸の1/6〜1/10と低くなり、アジ
ピン酸の静菌作用が期待できなくなる。
【0032】〔実施例2〕pH調整剤含有水中油型乳化
物の調製 実施例1の本発明例1の液状pH調整剤75重量部に表
2記載の各種乳化剤を加え、品温65〜75℃で撹拌し
ながら菜種白絞油25重量部を加え20分間撹拌し、一
次乳化液を調製した。次いでこの混合液を100kg/
cmの圧力で均質機を通過させて均質化し、超高温滅
菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、145℃に
おいて4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った
後、5kg/cmの均質化圧力で再度均質化した。5
℃前後に冷却して、一夜放置後無菌の乳化物を得た。調
製した乳化物を35℃で1日放置し、次いで5℃で1日
保管するのを1サイクルとして、このヒートショック操
作を繰り返し、エマルションの安定性を調べた。その結
果を表2に示す。なお、用いた乳化剤は以下の通りであ
る。 *大豆レシチン:SLP−ホワイト、ツルーレシチン工
業(株)製(リン脂質含量98%) *大豆リゾレシチン:SLP−ホワイトリゾ、ツルーレ
シチン工業(株)製(リン脂質含量95%) *MSW−750:阪本薬品工業(株)製(デカグリセ
リンモノステアレート、HLB13.4、有効成分40
%の含水ペースト。本発明書においてMSW−750と
表記する場合は有効成分100%を意味する) *MS−500:阪本薬品工業(株)製(ヘキサグリセ
リンモノステアレート、HLB11.6) *MO−500:阪本薬品工業(株)製(ヘキサグリセ
リンモノオレエート、HLB11.6) *MS−310:阪本薬品工業(株)製(テトラグリセ
リンモノステアレート、HLB8.4) *サンソフトA−181C:太陽化学(株)製(トリグ
リセリンモノステアレート、HLB10)
【0033】
【表2】
【0034】乳化物の安定性にはHLB10以上のポリ
グリセリンステアリン酸エステルとリゾレシチンが必須
成分で、35℃と5℃のヒートショック操作を7回繰り
返しても油分の分離は認められない(本発明例5、7、
8)。この必須成分に大豆レシチンやHLB10以下の
ポリグリセリンステアリン酸エステルが併用されても良
い(本発明例6、9)。しかし、HLBが10以上であ
るが不飽和脂肪酸を持つもの(比較例4)、HLBが1
0以下のポリグリセリンステアリン酸エステル(比較例
5)、大豆リゾレシチンの代わりに通常の大豆レシチン
を用いたもの(比較例6)では乳化安定性に乏しい。
【0035】〔実施例3〕pH調整剤含有乳化物の静菌
作用 生米320gを水道水1500mlで洗い、ざるで10分
間水切りを行った。米の1.2倍量の水とともに油分と
して対生米0.5%となるよう表3の組成物を加え炊飯
した。Bacillus subtilis(芽胞液)2.6×10
mlを1ml添加し、検体を30℃に保存した。平板希
釈法で標準寒天培地を用い35℃、48時間培養後の一
般生菌数を測定した。2連の菌数検査の結果を表3に示
す。
【0036】
【表3】
【0037】実施例1の本発明例1の乳化物は優れた静
菌性を示した。また、この乳化物を添加した米飯は比較
例8のpH調整剤無添加のものと変わらぬ風味を持ち、
風味の点でも優れていた。一方、アジピン酸を低濃度で
含有した実施例1の比較例2の乳化物(比較例7)は静
菌作用が劣った。なお、炊飯した米飯は乳化物を使用し
たものでは、ともに優れたバラケ、ほぐれ性を示した
が、大豆レシチン1重量%含有した炊飯油は乳化物と同
じく生米に対して0.5重量%の量で添加しているがバ
ラケ、ほぐれ性で劣り、pH調整剤を添加していないこ
とから静菌性でもはるかに劣ったものとなった。このよ
うに食品素材のバラケ、ほぐれ性の上で乳化物の状態で
油分を添加するのが優れていることが明らかとなった。
【0038】〔実施例4〕水溶性油脂調整物 菜種白絞油に酵素分解レシチン(大豆レゾレシチン)1
重量%を添加し、さらに表4記載の各種乳化剤を2重量
%添加し、水に5重量%加え軽く撹拌したときの状態お
よびそのまま放置して2時間後の水溶液の状態を調べ
た。さらに該油脂調整物を生米に対して水とともに0.
5重量%添加して炊飯した後の米飯のほぐれ性を調べ表
4に記載した。なお、用いた乳化剤は以下の通りであ
る。 *エマルジーOL:理研ビタミン(株)製(グリセリン
モノオレエート、HLB4.3) *ポエムJ−2021:理研ビタミン(株)製(ジグリ
セリンモノラウレート、HLB8.0) *ポエムDO−100:理研ビタミン(株)製(ジグリ
セリンモノオレエート、HLB8.0) *ポエムDM−100:理研ビタミン(株)製(ジグリ
セリンモノミリステート、HLB9.0) *MO−310:阪本薬品工業(株)製(テトラグリセ
リンモノオレエート、HLB8.8) *ML−500:阪本薬品工業(株)製(ヘキサグリセ
リンモノラウレート、HLB13.5) *ポエムM−100:理研ビタミン(株)製(グリセリ
ンモノカプリレート、HLB7.0) *PO−310:阪本薬品工業(株)製(テトラグリセ
リンペンタオレエート、HLB3.0) *PO−500:阪本薬品工業(株)製(ヘキサグリセ
リンペンタオレエート、HLB4.9)
【0039】各区の油脂調整物を水に5重量%加え、軽
く撹拌したときの状態およびそのまま放置した2時間後
の水溶液の評価基準は以下の通りである。 ○:油浮きが無く、乳化状態を維持。 △:やや目立つ油浮きがある。 ×:油浮きが目立ち油層がはっきりと認められる。 また各区の油脂調整物を生米に対し水とともに0.5%
添加して炊飯した米飯のほぐれ性の評価基準は以下の通
りである。 ○:米飯が一粒ずつほとんどほぐれて取り扱いやすい。 △:米飯のくっつきがあり、少し取り扱い難い。 ×:米飯の大きな固まりが生じ、ほぐすのに手間がかか
る。
【0040】
【表4】
【0041】グリセリンおよびグリセリンの重合度2以
上のポリグリセリンのモノオレエート、モノミリステー
ト、モノラウレートが水分散性が良く、炊飯後の米飯の
ほぐれも良いが(本発明例10〜14)、モノカプリレ
ート(比較例7)やオレイン酸が2個以上エステル結合
したもの(比較例8、9)では、水分散性、米飯のほぐ
れで劣る。酵素分解レシチンのみでは、水分散性、米飯
のほぐれで劣るが(比較例10)、酵素分解しない通常
のレシチンと結果が良かったエマルジーOLとを組み合
わせた(比較例11)ものでは酵素分解レシチンの本発
明例10に劣り、酵素分解レシチンの効力が高いことが
確かめられた。
【0042】本発明例10〜14の油脂調整物の長期安
定化では、主に酵素分解レシチンの沈殿防止が重要な課
題となるが、それには本発明者らが既に報告した方法
(特開平8−333378号公報、特開平11−172
277号公報)が適用され、酵素分解レシチンに対して
30〜500重量%のHLB3以下のしょ糖不飽和脂肪
酸エステル、30〜500重量%のポリグリセリン縮合
リシノレイン酸エステルおよび100〜700重量%の
エタノールの添加によって防止できることを確認した。
このように、本発明の水溶性油脂調整物とアジピン酸を
主要成分とする液状pH調整剤を併用すれば、要望され
る油分やpH調整剤の量を任意に配合できるのである。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればア
ジピン酸を主要成分とする風味の良い液状pH調整剤を
利用でき、加熱調理時に添加してより静菌性を高めるこ
とができる。また食用油脂との水中油型乳化物を調製
し、食品素材のバラケ、ほぐれ性もかね備えたものがで
きる。さらに水溶性油脂調整物と液状pH調整剤を併用
することにより、目的に応じて任意の油分、pH調整剤
の量を組み合わせることができ、静菌性、ほぐれ性、作
業性の点で優れたものを得ることができるのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07F 9/10 C07F 9/10 B (72)発明者 ▲高▼ 行植 三重県一志郡嬉野町新屋庄565−1 辻製 油株式会社内 Fターム(参考) 4B021 MC01 MK20 4B026 DK01 DK03 DK05 DL02 DX04 4B035 LC05 LG01 LG06 LG14 4B046 LA01 LC15 LG09 4H050 AA02 AC40 BC31

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナトリウムまたはカリウムの重炭酸塩及
    び/または炭酸塩の水溶液、またはこれらの水溶液と他
    の有機酸の塩類との混合水溶液に、アジピン酸を溶解さ
    せ、その際pHが7.0〜9.5になるよう重炭酸塩、
    炭酸塩、当該有機酸塩類の添加量を調整し、次いで有機
    酸を添加してpH4.5〜6.0に調整することを特徴
    とするアジピン酸を主要成分とする液状pH調整剤の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記重炭酸塩及び/または炭酸塩、また
    は有機酸塩類との混合物の代わりに、もしくはこれらと
    併用してナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグ
    ネシウムの水酸化物を用いることを特徴とする請求項1
    記載の液状pH調整剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 液状pH調整剤中のアジピン酸濃度が5
    〜12重量%であり、他の有機酸より多いことを特徴と
    する請求項1および2記載の液状pH調整剤の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 アジピン酸を主要成分とする液状pH調
    整剤90〜55重量部、食用油脂10〜45重量部、乳
    化物の全体量に対して0.05〜3重量%の酵素分解レ
    シチン、および乳化物の全体量に対して0.2〜3重量
    のグリセリンの重合度3以上でかつHLB10以上のポ
    リグリセリンステアリン酸エステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 食用油脂にグリセリンおよびグリセリン
    の重合度が2以上のポリグリセリンのモノオレエート、
    モノラウレートおよびモノミリステートより選ばれた少
    なくとも1種を食用油脂に対して0.5〜10重量%お
    よび食用油脂に対して酵素分解レシチン0.05〜6重
    量%を加え、さらに酵素分解レシチンに対して30〜5
    00重量%のHLB3以下のしょ糖不飽和脂肪酸エステ
    ル、またはポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル
    および100〜700重量%のエタノールを添加するこ
    とを特徴とする、長期沈殿を起こさず、かつ水溶解性が
    良い油脂調製剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の液状pH調整剤または/
    および請求項4記載の水中油型乳化物を加熱調理時およ
    び/または調理後に添加した食品。
  7. 【請求項7】 食品のバラケ、ほぐれ性のためには油分
    が食品素材に対して0.1〜5重量%、食品の保存性を
    高めるためには食品素材に対してアジピン酸が0.03
    〜3重量%になるように請求項1記載の液状pH調整剤
    および/または請求項4記載の水中油型乳化物を添加し
    た食品。
  8. 【請求項8】 アジピン酸を含有し、アジピン酸の含有
    量が溶液全体に対して5〜12重量%であって、pH値
    が4.5〜6.0であることを特徴とする食品用溶液状
    pH調整用剤。
  9. 【請求項9】 アジピン酸または請求項8記載の水溶
    液、食用油脂、酵素分解レシチンおよびグリセリンの重
    合度が3以上で、かつHLB10以上のポリグリセリン
    ステアリン酸エステルを含有することを特徴とする水中
    油型乳化物。
  10. 【請求項10】食用油脂、グリセリンおよびグリセリン
    の重合度が2以上のポリグリセリンのモノオレート、モ
    ノラウレートおよびモノミリステートから選ばれる1種
    以上、酵素分解レシチン、およびHLB3以上のしょ糖
    不飽和脂肪酸エステルまたはポリグリセリン縮合リシノ
    レイン酸エステルを含有することを特徴とする油脂調整
    剤。
  11. 【請求項11】請求項8記載のpH調整剤と、請求項1
    0記載の油脂調整剤とのセット。
  12. 【請求項12】請求項8記載のpH調整剤、請求項9記
    載の水中油型乳化物または請求項10記載の油脂調整剤
    の食品類の調理のための使用。
  13. 【請求項13】請求項8記載のpH調整剤、請求項9記
    載の水中油型乳化物または請求項10記載の油脂調整剤
    を含有することを特徴とする食品。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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