JP2021045078A - 酢酸ナトリウム製剤 - Google Patents

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孝之 北岸
貴志 山本
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Kentaro Tsuda
謙太郎 津田
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Abstract

【課題】食品等の保存剤(日持向上剤)等で使用される酢酸ナトリウムの異味が低減された、酢酸ナトリウム製剤の提供。【解決手段】酢酸ナトリウム及び油脂を含有する製剤。油脂が、α−リノレン酸の割合が9%以下の油脂を油脂全体の30質量%以上含む、該製剤。油脂の割合が、酢酸ナトリウム100質量部に対して30質量部以下である、該製剤。更に、賦形剤及び/又は他の酸成分を含む該製剤。水を含む溶媒中に油脂が分散した分散液であって、レーザ回折式粒子径分布測定装置を用いて測定される、油脂のメジアン径が5μm以下の分散液を経て得られる、該製剤。【選択図】なし

Description

本発明は、酢酸ナトリウムを含む製剤(組成物)等に関する。
酢酸ナトリウムを食品の添加剤として用いる試みがなされている。例えば、特許文献1には、酢酸ナトリウムと、食用可能な水溶性のカルシウム塩、マグネシウム塩又はカリウム塩の1種または2種以上とを、食塩含量3.5〜25重量%の食品(塩蔵品など)に配合することにより、保存性がよくしかも塩味の強くない食品が得られることが開示されている。
特開昭58−860号公報
本発明の目的は、新規な酢酸ナトリウム製剤等を提供することにある。
前記の通り、酢酸ナトリウムは、食品用添加剤等として使用されている。
例えば、本発明者は、酢酸ナトリウムが、静菌性を発揮し、食品等の保存剤(日持向上剤)等として有効であることを確認している。しかし、一方で、このような酢酸ナトリウムを、添加・配合すると、味(苦味等の異味)を生じ、食品等の風味を損なうといった問題を生じる場合があった。
このような中、本発明者は、酢酸ナトリウムと油脂(特に食用油脂)とを組み合わせることで、酢酸ナトリウムに由来する味(苦味等の異味)をマスキングしうること、特に、このような機能は、油脂の種類、割合、組み合わせの態様(例えば、水中での均質化状態を経る)等を選択することにより、より一層、効率良く発揮しうること等を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の発明等に関する。
[1]
酢酸ナトリウム及び油脂を含有する製剤(又は油脂を含有する酢酸ナトリウム製剤、又は酸類及び油脂を含有する製剤であって、酸類が酢酸ナトリウムを少なくとも含む剤)。
[2]
油脂が、25℃で液体の食用油脂(例えば、非硬化油)を含む、[1]記載の製剤。
[3]
油脂が、α−リノレン酸の割合が9%以下の油脂を油脂全体の30質量%以上含む、[1]又は[2]記載の製剤。
[4]
油脂の割合が、酢酸ナトリウム100質量部に対して30質量部以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の製剤。
[5]
油脂の割合が、酢酸ナトリウム100質量部に対して0.1〜20質量部である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製剤。

[6]
さらに、賦形剤を含む[1]〜[5]のいずれかに記載の製剤。
[7]
乳化剤を実質的に含まない[1]〜[6]のいずれかに記載の製剤。
[8]
さらに、他の酸成分を含む[1]〜[7]のいずれかに記載の製剤。
[9]
さらに、他の酸成分を含み、他の酸成分が酸を少なくとも酸を含み、他の酸成分の割合が、酢酸ナトリウム100質量部に対して1質量部以上である、[1]〜[8]のいずれかに記載の製剤。
[10]
水を含む溶媒中に油脂(油脂を含む油滴)が分散した分散液であって、レーザ回折式粒子径分布測定装置を用いて測定される、油脂のメジアン径が5μm以下の分散液(均質化液)を経て得られる、[1]〜[9]のいずれかに記載の製剤。
[11]
水を含む溶媒中に油脂(油脂を含む油滴)が均質化された均質化液であって、レーザ回折式粒子径分布測定装置を用いて測定される、油脂のメジアン径が5μm以下の均質化液を乾燥(例えば、噴霧乾燥)して得られる、粉末状製剤である、[1]〜[10]のいずれかに記載の製剤。
[12]
酢酸ナトリウム由来の異味(油脂を含有しない製剤に比べて異味)が低減されている、[1]〜[11]のいずれかに記載の製剤。
[13]
日持向上剤である、[1]〜[12]のいずれかに記載の製剤。
[14]
[1]〜[13]のいずれかに記載の製剤を含有する食品。
[15]
酢酸ナトリウムを0.1質量%以上含有する、[14]記載の食品。
[16]
酢酸ナトリウム、油脂及び水を少なくとも含む混合液をホモジナイズ処理する工程を経て、[1]〜[13]のいずれかに記載の製剤を製造する方法。
[17]
ホモジナイズ処理する工程を経て、レーザ回折式粒子径分布測定装置を用いて測定される、油脂のメジアン径が3μm以下の均質化液を得、さらに、この均質化液を乾燥(例えば、噴霧乾燥)する工程を経て、粉末状製剤を得る、[15]記載の製造方法。
[18]
油脂を組み合わせる(製剤中に含有させる、共存させる)ことで、(酢酸ナトリウム製剤における)酢酸ナトリウム由来の異味を低減(マスキング)する方法。
本発明によれば、酢酸ナトリウム製剤(酢酸ナトリウム含有組成物)等を提供できる。
このような製剤によれば、酢酸ナトリウムに由来する(又は酢酸ナトリウムを配合・添加することによって生じる)、味(苦味等の異味)を低減しうる。そのため、食品等に添加・配合しても、酢酸ナトリウムに由来する風味の低減を極力抑えうる(風味を損なうことがない)。
しかも、油脂と組み合わせても、酢酸ナトリウムに由来する(又は酢酸ナトリウムを配合・添加することによって生じる)機能(例えば、静菌効果ないし保存効果)を損なうことがなく、このような機能と異味(苦味等)の低減(又は風味の維持)とを両立しうる。
なお、異味(酢酸ナトリウムに由来する味)としては、例えば、苦味、収斂味、渋味、酸味(強い酸味)、塩味(強い塩味)等が挙げられる。本発明では、意外なことに、特に、これらの中でも少なくとも苦味を低減しうる。
このように、本発明では、苦味を低減しうるのであるが、さらに、意外なことに、酸味、塩味等といった別の異味についても低減しうる。
また、本発明の製剤によれば、酢酸ナトリウム由来の臭い(例えば、酸臭)も低減しうる。
[製剤]
本発明の製剤(組成物)は、酢酸ナトリウムと油脂とを少なくとも含む。
このような製剤において、酢酸ナトリウムは、例えば、酸成分として、静菌作用ないし保存作用を発揮しうる。そのため、本発明の製剤は、少なくとも酢酸ナトリウムを含む酸成分(例えば、酸及びその塩)と、油脂とを含む製剤ということもできる。
製剤における酢酸ナトリウムの割合は、他の成分の割合等に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば、製剤を構成する固形分全体(水等の溶媒成分を含む場合には溶媒成分以外の成分全体、以下同じ)に対して、1質量%以上(例えば、3質量%以上)、5質量%以上(例えば、8質量%以上)、10質量%以上(例えば、15質量%以上)、20質量%以上(例えば、25質量%以上)、30質量%以上(例えば、35質量%以上)、40質量%以上(例えば、45質量%以上)等であってもよく、99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、50質量%以下等であってもよい。
なお、上記割合には、適宜上限値と下限値とを組み合わせた範囲(例えば、10〜95質量%、50〜90質量%等)が含まれる。以下割合の記載について同じである。なお、本発明の効果を奏する上で、製剤における酢酸ナトリウムの割合として、10〜80質量%を好適に、20〜50質量%を一層好適に用いることもできる。
(他の酸成分)
このように本発明の製剤は、酢酸ナトリウムを少なくとも含んでいる限り、他の酸成分(酢酸ナトリウムでない成分)をさらに含んでいてもよい。
このような酸成分(酸類)としては、酸(有機酸、無機酸)、その塩(酸の塩)、その脱水物等が挙げられる。このような酸成分は、通常、食品に使用可能な(食品への使用が許容されている)ものであってもよい。
有機酸としては、例えば、脂肪酸(アルカン酸等)、ヒドロキシ酸(ヒドロキシアルカン酸)等が挙げられる。有機酸は、不飽和酸であってもよく、ポリ酸(ポリカルボン酸)であってもよく、アミノ酸であってもよい。
有機酸の炭素数は、特に限定されないが、例えば、20以下、18以下、16以下、12以下、10以下、8以下などであってもよい。
具体的な有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ソルビン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、クエン酸、アミノ酸(グリシンなど)等が挙げられる。
無機酸としては、例えば、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ポリリン酸等が挙げられる。
塩としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩等)等の金属塩が挙げられる。
脱水物としては、例えば、有機酸の脱水物(例えば、グルコノデルタラクトン等)等が挙げられる。
なお、酸成分[例えば、有機酸(例えば、酢酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、クエン酸等)]は、酢等として含んでいてもよい。
酸成分(他の酸成分)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。2種以上組み合わせる場合、その態様は、特に限定されず、例えば、酸と塩とを組み合わせてもよく、2種以上の酸、塩又は脱水物を組み合わせてもよい。
特に、酸成分として、酸(例えば、酢酸、リンゴ酸等の有機酸)等を好適に使用してもよい。そのため、他の酸成分は、特に、少なくとも酸を含んでいてもよい。
酢酸ナトリウムと他の酸成分(例えば、酸)とを組み合わせることで、静菌作用等をより効率良く発揮しうる。
なお、他の酸成分は、グルコン酸ナトリウムを含んでいてもよく、含まないもの(又は実質的に含まない、例えば、他の酸成分全体に対するグルコン酸ナトリウムの割合が、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下等)であってもよい。
他の酸成分を使用する場合、他の酸成分の割合は、他の酸成分の種類等にもよるが、例えば、酢酸ナトリウム100質量部に対して、1質量部以上(例えば、2質量部以上)、好ましくは3質量部以上(例えば、4質量部以上)、さらに好ましくは5質量部以上(例えば、6質量部以上)等であってもよい。なお、上限値は特に限定されないが、例えば、酢酸ナトリウム100質量部に対して、500質量部以下、400質量部以下、300質量部以下、200質量部以下、150質量部以下、100質量部以下(例えば、99質量部以下、50質量部以下、30質量部以下)、20質量部以下(例えば、15質量部以下)、12質量部以下(例えば、10質量部以下)等であってもよい。
(油脂)
油脂としては、種々のものを使用しうるが、特に、食用油脂であってもよい。
油脂の性状は、室温(例えば、20〜35℃、25℃等)において、液体(液状)、半固体(半固体状)、固体(固体状)のいずれであってもよく、特に、液体状ないし半固体状、特に液体状の油脂を好適に使用してもよい。
このような油脂(例えば、室温において液状の油脂)の融点(凝固点)は、例えば、45℃以下、40℃以下、35℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、15℃以下、10℃以下等であってもよい。
なお、このような油脂は、硬化油、部分硬化油、非硬化油のいずれであってもよく、部分硬化油ないし非硬化油、特に、非硬化油を好適に使用してもよい。
油脂として、特定の脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂を好適に使用してもよい。
例えば、油脂として、α−リノレン酸含量(構成脂肪酸全体に対するα−リノレン酸の割合)が、多すぎない又は比較的少ない[例えば、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、特に9.2質量%未満(例えば、9質量%以下)、8.5質量%以下、8質量%以下、7.5質量%以下、7質量%以下、6.5質量%以下、6質量%以下、5.5質量%以下、5質量%以下、4.5質量%以下、4質量%以下、3.5質量%以下、3質量%以下、2.5質量%以下、2質量%以下、1.5質量%以下等の]油脂を好適にしてもよい。本発明の効果を奏する上で、油脂におけるα−リノレン酸含量として、8質量%以下にて好適に、2質量%以下にて一層好適に用いることができる。
α−リノレン酸含量は、例えば、ガスクロマトグラフ(GC)法にて測定できる。
なお、このようなα−リノレン酸含量が少ない油脂には、後述の油脂のうち、大豆油、米油(米ヌカ油)、ゴマ油、ヤシ油、紅花油(高オレイン酸種等)、綿実油、オリーブ油、パーム油等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、これらを複数配合するサラダ油(調合サラダ油)等を使用してもよい。
このようなα−リノレン酸含量が少ない油脂(を含む油脂)を使用することで、より効率よく、味(苦味等の異味)のマスキング効果等を発揮しうる。
油脂が、このようなα−リノレン酸含量が少ない油脂(油脂(A))を含む場合、油脂全体に対する油脂(A)の割合は、例えば、10質量%以上(例えば、20〜100質量%)、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、60質量%以上)であってもよく、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上等であってもよい。
具体的な油脂としては、例えば、植物油[例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、ゴマサラダ油、太白ゴマ油、シソ油、アマニ油、落花生油、紅花油(サフラワー油)、ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、ナッツ油、クルミ油、カボチャ種子油、レモン油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米油(米ヌカ油)、小麦胚芽油、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、これらの高オレイン酸(ハイオレイック)種(例えば、高オレインコーン油、高オレイン酸菜種油、高オレイン酸紅花油、高オレイン酸ひまわり油等)等]、動物油[例えば、牛脂、豚脂(ラード)、鶏脂、乳脂、魚油(例えば、鰯油、鯖油、鱈油、鯨油、ニシン油、肝油等)等]、これらのエステル交換油、これらの硬化油(水素添加油、例えば、大豆硬化油、パーム硬化油、牛脂硬化油、ヤシ油硬化油等)、中鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。
油脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのうち、大豆油、米油(米ヌカ油)、ゴマ油、ヤシ油、紅花油、オリーブ油、パーム油、これらの高オレイン酸種(高オレイン紅花油等)等を好適に使用してもよい。そのため、油脂は、少なくともこれらの油脂を含んでいてもよい。
製剤における油脂の割合は、他の成分の割合等に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば、製剤を構成する固形分全体に対して、0.1質量%以上(例えば、0.2質量%以上)、0.3質量%以上(例えば、0.4質量%以上)、0.5質量%以上(例えば、0.8質量%以上)、1質量%以上(例えば、1.2質量%以上)、1.5質量%以上(例えば、1.8質量%以上)、2質量%以上(例えば、2.2質量%以上)、2.5質量%以上(例えば、2.8質量%以上)等であってもよく、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、18質量%以下、16質量%以下、15質量%以下、14質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下等であってもよい。本発明の効果を奏する上で、製剤における油脂の割合として、0.1〜5質量%を好適に、0.3〜3質量%を一層好適に用いることができる。
また、油脂の割合は、例えば、酢酸ナトリウム(又は酸成分、すなわち、他の酸成分を含有する場合は、酢酸ナトリウム及び他の酸成分の総量、以下、酢酸ナトリウムの割合の記載について同じ)100質量部に対して、0.01質量部以上(例えば、0.05質量部以上)程度の範囲から選択してもよく、0.1質量部以上(例えば、0.2質量部以上)、好ましくは0.3質量部以上(例えば、0.4質量部以上)、さらに好ましくは0.5質量部以上(例えば、0.7質量部以上)、特に0.8質量部以上(例えば、0.9質量部以上)であってもよく、1質量部以上(例えば、1.2質量部以上)、1.5質量部以上(例えば、1.8質量部以上)、2質量部以上(例えば、2.2質量部以上)、2.5質量部以上(例えば、2.8質量部以上)、3質量部以上(例えば、3.2質量部以上)、3.5質量部以上(例えば、3.8質量部以上)、4質量部以上(例えば、4.2質量部以上)、4.5質量部以上(例えば、4.8質量部以上)、5質量部以上(例えば、5.2質量部以上)、5.5質量部以上(例えば、5.8質量部以上)、6質量部以上(例えば、6.2質量部以上)等の比較的高割合としてもよい。
油脂の割合は、例えば、酢酸ナトリウム(又は酸成分)100質量部に対して、300質量部以下、200質量部以下、100質量部以下、80質量部以下、70質量部以下、60質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、35質量部以下、30質量部以下、25質量部以下程度であってもよく、好ましくは、20質量部以下、18質量部以下、16質量部以下、15質量部以下、14質量部以下、13質量部以下、12質量部以下、11質量部以下、10質量部以下、9質量部以下、8質量部以下等であってもよい。本発明の効果を奏する上で、酢酸ナトリウム100質量部に対する油脂の割合として、20質量部以下を好適に、10質量部以下を一層好適に用いることができる。
油脂の割合を選択することで、より一層効率良いマスキング効果を実現できたり、製剤(又は製剤における油脂)を均質化しやすい(又は油脂の分離を効率良く抑えやすい)。
なお、製剤の均質化や油脂の分離の抑制は、実用上の観点[例えば、製剤の性状(べたつく等)、感触や見た目]のみならず、意外なことに、マスキングにおいても影響を与えるようであり、効率良くマスキング効果を発揮するためにも、製剤の均質化や油脂の分離を抑制することが望ましい。
(他の成分)
製剤は、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、製剤の形態、用途(添加・配合対象)等に応じて適宜選択でき、例えば、賦形剤、乳化剤、タンパク質又はその分解物、アミノ酸、糖類、酸化防止剤、殺菌・抗菌剤、結着剤、増粘剤、粘度調整剤、溶媒(溶媒成分)等が挙げられる。
他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
賦形剤としては、例えば、糖類{例えば、多糖類[例えば、澱粉類(澱粉、加工澱粉等)、デキストリン類(例えば、デキストリン、シクロデキストリン、難消化性デキストリン等)、セルロース類、含窒素多糖類(例えば、キチン、キトサン等)、ポリデキストロース等]、単糖類(例えば、グルコース、フルクトース等)、二糖類ないしオリゴ糖類(例えば、ラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース、パラチノース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース等)、糖アルコール類(例えば、マンニトール、ソルビトール、マルチトール等)等}、脂肪酸塩(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩)、二酸化ケイ素、リン酸塩(リン酸カルシウム等)等が挙げられる。
賦形剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
これらのうち、多糖類(例えば、澱粉類、デキストリン類)等を好適に使用してもよい。このような賦形剤(澱粉類等)を使用することにより、油脂の分離を抑制し、製剤ないし油脂をより一層効率良く均質化しやすく、ひいてはマスキング効果をより一層効率良く発揮させやすい。
製剤が賦形剤を含む場合、賦形剤の割合は、酸成分や油脂の量等に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば、製剤を構成する固形分全体に対して、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、6質量%以上等であってもよく、95質量%以下、80質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下等であってもよい。本発明の効果を奏する上で、製剤における賦形剤の割合として、2〜10質量%を好適に用いることができる。
また、賦形剤の割合は、例えば、酢酸ナトリウム(又は酸成分)及び油脂の総量100質量部に対して、0.01質量部以上(例えば、0.05質量部以上)程度の範囲から選択してもよく、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、2質量部以上、3質量部以上、5質量部以上、6質量部以上、7質量部以上、8質量部以上等であってもよく、300質量部以下、100質量部以下、80質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、30質量部以下、25質量部以下、20質量部以下、15質量部以下、12質量部以下、10質量部以下等であってもよい。本発明の効果を奏する上で、酢酸ナトリウム(又は酸成分)及び油脂の総量100質量部に対する賦形剤の割合は、7〜10質量部を好適に用いることができる。
乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン類等が挙げられる。
乳化剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
なお、本発明の製剤は、乳化剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル)を含んで(実質的に含んで)いなくてもよい。乳化剤を含んでいなくても、酢酸ナトリウムと油脂を含む製剤を効率良く製造しうる。
そのため、このような製剤によれば、乳化剤を(実質的に)使用しなくてもよいことはもちろんのこと、乳化剤による特有の味(例えば、苦味)や臭い(例えば、石鹸様臭)を生じにくく、製剤が適用される食品等の風味に対する悪影響を効率良く回避しうる。
製剤が乳化剤を含む場合、乳化剤の割合は、酸成分や油脂の量等に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば、製剤を構成する固形分全体に対して、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上等であってもよく、50質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、5質量%以下、3質量%以下であってもよく、実質的に含んでいなくても(例えば、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、0.3質量%以下、0.1質量%以下等であっても)よい。
また、乳化剤の割合は、例えば、酢酸ナトリウム(又は酸成分)及び油脂の総量100質量部に対して、0.01質量部以上、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上等であってもよく、100質量部以下、50質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、10質量部以下であってもよく、実質的に含んでいなくても(例えば、2質量部以下、1質量部以下、0.5質量部以下、0.3質量部以下、0.1質量部以下等であっても)よい。
製剤を液状とする場合等において、製剤は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、水、アルコール類(エタノール等)が挙げられる。溶媒は、通常、水を含む溶媒(水、水とエタノールとの混合溶媒等)、特に水であってもよい。
このような溶媒(溶媒成分)を含む製剤において、固形分の割合又は濃度(溶媒以外の成分の割合又は濃度)は、製剤の使用態様等に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上等であってもよく、99質量%以下、98質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下等であってもよい。
(性状等)
製剤の性状は、酢酸ナトリウム及び油脂(さらには必要に応じて他の成分)を含んでいる限り、特に限定されず、所望の使用態様に応じて選択でき、例えば、液状、非液状[粘稠状(ペースト状)、固体状、半固体状]等のいずれであってもよい。
液状の製剤としては、水等の溶媒(成分)を含む製剤等が挙げられる。このような液状の製剤において、各成分の存在形態は特に限定されないが、効率よく所望の機能(マスキング効果等)を発揮する等の観点から、溶媒中に油脂(油脂を含む油滴)が分散していてもよく、特に、均質化(ホモジナイズ化)されている[均質化状態である、油脂(油脂を含む油滴)が溶媒中に均質化(ホモジナイズ化)されている]のが好ましい。
このような液状の製剤(特に、均質化状態の製剤)において、メジアン径(分散粒子のメジアン径、油脂又は油滴のメジアン径)は、例えば、50μm以下(例えば、30μm以下)程度の範囲から選択してもよく、20μm以下(例えば、15μm以下)、好ましくは10μm以下(例えば、8μm以下)、さらに好ましくは5μm以下(例えば、4μm以下)であってもよく、特に3μm以下(例えば、2.9μm以下、2.8μm以下、2.7μm以下、2.6μm以下、2.5μm以下、2.4μm以下、2.3μm以下、2.2μm以下、2.1μm以下、2μm以下、1.9μm以下、1.8μm以下)等であってもよい。本発明の効果を奏する上で、製剤のメジアン径は、2.5μm以下が好ましく、2μm以下が好ましい。
メジアン径の下限値は、特に限定されるものではなく、例えば、0.01μm、0.05μm、0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.5μm、0.7μm、1μm、1.2μm等であってもよい。
粒径(メジアン径)は、例えば、レーザ回折式粒子径分布測定装置(例えば、スペクトリス製、マスターサイザー3000等)を用いて測定(湿式又は液状の製剤において測定)できる。
なお、測定は、製剤を溶媒(例えば、水)で希釈した希釈液[例えば、数百mLの水に、液状の製剤を数滴添加した希釈液(分散液)]において行ってもよい。
油脂又は油滴の大きさは、マスキング効果にも影響するようであり、比較的小さいメジアン径とすることでより効率良くマスキング効果を発揮しやすい。
なお、メジアン径(油脂又は油滴の大きさ)は、例えば、製剤に占める油脂の量・割合、処理方法やその条件(例えば、ホモジナイズ処理条件)等によって、調整しうる。
固体状(半固体状)等の製剤の形状は、例えば、粒状(粉末、顆粒等)、錠剤などであってもよい。
代表的な製剤(固体状の製剤)には、粒状の製剤が挙げられる。
粒状の製剤において、大きさは、使用態様等に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、取扱性等の観点から、例えば、メジアン径で、1〜1000μm(例えば、5〜800μm、10〜500μm、20〜400μm、25〜300μm、30〜200μm)等であってもよい。
粒径(メジアン径)は、例えば、レーザ回折式粒子径分布測定装置(例えば、スペクトリス製、マスターサイザー3000等)を用いて(乾式にて)測定できる。
なお、粒状の製剤の大きさは、例えば、各成分の配合比率や乾燥方法等によって調整しうる。
一方、粒状の製剤を、水中で[水に分散(再分散)又は水と均質化させて]測定した時のメジアン径は、例えば、50μm以下(例えば、30μm以下)程度の範囲から選択してもよく、20μm以下(例えば、15μm以下)、好ましくは10μm以下(例えば、8μm以下)、さらに好ましくは5μm以下(例えば、4μm以下)であってもよく、特に3μm以下(例えば、2.9μm以下、2.8μm以下、2.7μm以下、2.6μm以下、2.5μm以下、2.4μm以下、2.3μm以下、2.2μm以下、2.1μm以下、2μm以下、1.9μm以下、1.8μm以下)等であってもよい。
メジアン径の下限値は、特に限定されるものではなく、例えば、0.01μm、0.05μm、0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.5μm、0.7μm、1μm、1.2μm等であってもよい。
なお、粒径(メジアン径)は、例えば、レーザ回折式粒子径分布測定装置(例えば、スペクトリス製、マスターサイザー3000等)を用いて(湿式にて)測定できる。
なお、測定は、上記の通り、水中(又は水に分散した状態)で[例えば、粒状の製剤を大過剰の水に添加(分散)した液(分散液)において]行うことができる。
なお、後述のように、固体状の製剤は、液状の製剤を用いて製造することができるが、このような(原料となる)液状の製剤におけるメジアン径は、上記水中で測定した時のメジアン径に比較的対応する(相関する、反映される)ようである。
製剤における各成分の存在形態は、特に限定されるものではなく、製剤の性状等に応じて適宜選択できる。例えば、液状の製剤において、酢酸ナトリウム(酸成分)は、油脂(油滴)に含まれていてもよく、溶媒(例えば、水)中に溶解(又は分散)していてもよく、これらの混合形態で含まれていてもよい。
また、非液体状の製剤において、酢酸ナトリウム(酸成分)は、他の成分(油脂、賦形剤)中に含まれていてもよく、その表面に付着していてもよく、これらの混合形態で含まれていてもよい。通常、油脂(油滴)の表面(周り)に酢酸ナトリウム(さらには他の成分)が付着(被覆)している場合が多い。
特に、非液体状(例えば、粒状)の製剤は、前記のような液状の製剤(均質化された液状の製剤)から溶媒(成分)を除去(例えば、噴霧乾燥処理)して得たものであってもよい。
このような工程を経ることで、酢酸ナトリウム(酸成分)と、油脂を含む成分とを比較的均質に混合しやすい(さらには、上記のような比較的小さいメジアン径とできる)ためか、より一層効率良くマスキング効果を発揮しうる。
なお、製剤において、油脂は、溶媒成分や酢酸ナトリウム(酸成分)[さらには他の成分(賦形剤)]と分離して存在していてもよいが、効率良くマスキング効果を発揮する等の観点から、分離することなく混合(均質混合)されているのが好ましい。
製剤のpH(25℃)は、各成分の種類や割合等に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば、4〜8、好ましくは5〜7.5、さらに好ましくは5.5〜7であってもよい。
(製造方法)
製剤は、特に限定されず、各成分を混合することで製造できる。
混合の態様や方法は、製剤の性状や形態等に応じて適宜選択(例えば、湿式混合、乾式混合等)してもよい。
例えば、製剤(例えば、液状の製剤)は、溶媒と各成分[例えば、酢酸ナトリウム(又は酸成分)及び油脂、さらには他の成分(賦形剤等)]とを混合(湿式混合)してもよい。
混合の順序等などは特に限定されず、例えば、溶媒とすべての成分とを混合してもよく、溶媒に各成分の一部[例えば、酢酸ナトリウム(酸成分)、賦形剤等]を混合(溶解又は分散)した後、残りの成分(例えば、油脂)を混合(例えば、分散)してもよい。
混合(湿式混合)は、均質混合可能な態様で行うのが好ましく、特に、ホモジナイズ処理(均質化処理)することが好ましい。代表的には、酢酸ナトリウム、油脂及び溶媒(特に水)を少なくとも含む混合液をホモジナイズ処理する工程を経て混合することが好ましい。このような混合液は、段階的に得てもよく、例えば、酢酸ナトリウムと溶媒(特に水)を含む第1の混合液(特に溶液)を調製した後、当該混合液に、油脂(さらには溶媒)を混合して混合液(第2の混合液)を得てもよい。
このような態様で混合することで、前記のような比較的小さい径の製剤(乳化した製剤)を効率良く得やすい。
ホモジナイズ処理において、処理条件(混合時間、攪拌速度、処理装置等)は均質化の程度等に応じて適宜選択でき、代表的には、前記メジアン径となるように(メジアン径を目安として)処理条件を設定してもよい。
なお、ホモジナイズ処理は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー等により行うことができ、特に少なくともホモジナイザーを用いて行うのが好ましい。なお、ホモジナイザーによる処理に先立って、予備混合処理(予備乳化処理、例えば、ホモミキサーを用いた混合処理)を行ってもよい。
ホモジナイザー(ホモジナイザーの破砕方法・形式)は、高圧式、超音波式、超高速式(ポリトロンホモジナイザー)等のいずれであってもよい。
ホモジナイズ処理は、その形式等に応じて、加温下で行ってよく、減圧下及び/又は加圧下で行ってもよい。
また、製剤(例えば、粒状等の固体状の製剤)は、酢酸ナトリウム(又は酸成分)と油脂(さらには他の成分)とを混合(乾式混合)することで得ることができるが、溶媒を含む製剤[又は各成分の湿式混合物]から、溶媒を除去する(乾燥処理する)ことで得ることもできる。特に、上記のように、均質混合(ホモジナイズ処理)された製剤(ホモジナイズ処理物)を、乾燥処理するのが好ましい。このような工程を経ることで、単純に、酢酸ナトリウム(又は酸成分)と油脂(さらには他の成分)とを混合(乾式混合)する場合等に比べ、効率良くマスキング効果等に優れた製剤を得やすい。
乾燥処理は、特に限定されず、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥等であってもよいが、均質混合物(ホモジナイズ処理物)における粒径を比較的反映しやすい等の観点から、噴霧乾燥(スプレードライ)が好ましい。
[製剤の用途等]
本発明の製剤(組成物)は、酢酸ナトリウムを含有しており、食品等の添加剤として使用できる。特に、本発明の製剤は、通常、静菌作用等を有しているため、食品等の保存剤(日持向上剤)等として好適に使用しうる。なお、食品等添加剤たる日持向上剤は、例えば、「食品添加物表示の実務2017」(編集 食品添加物表示問題連絡会、一般社団法人 日本食品添加物協会、平成29年、314頁)等に出典されている。
そのため、本発明には、前記製剤[又は酢酸ナトリウム(酸成分)及び油脂(さらには賦形剤等の他の成分)]を含む食品も包含する。
そして、このような製剤(又は食品)では、酢酸ナトリウムを含んでいるにもかかわらず、酢酸ナトリウム(由来)の味(特に、苦味等の異味)を低減しうる。具体的には、油脂(さらには他の成分)と組み合わせることにより、酢酸ナトリウム(由来)の味をマスキング(低減)しうる。そのため、本発明には、油脂を組み合わせる(さらには前記のような形態・性状等で油脂を存在させる)ことで、酢酸ナトリウム(由来)の味をマスキング(低減)する方法も含まれる。
食品としては、特に限定されず、例えば、植物性食品、動物性食品、真菌類性食品、生鮮食品、加工食品、飲料、調理・調味用材料等のいずれであってもよい。
具体的な食品(加工食品等)としては、特に限定されず種々の食品に適用できるが、例えば、惣菜一般、食肉加工品、パン菓子、フィリング類、麺類・穀類、練り製品(水産練り製品等)等が挙げられる。
このような食品は、味(苦味等)の変化に敏感である場合があり、本発明の製剤を好適に使用しうる。
食品において、本発明の製剤の割合(使用量)は、食品の種類や静菌効果の程度等に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、食品(製剤を含まない)100質量部に対して、酢酸ナトリウム(又は酸成分)の割合として、0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上、特に0.8質量部以上等であってもよく、10質量部以下、5質量部以下、3質量部以下等であってもよい。
本発明の製剤の使用方法は、特に限定されず、食品の種類や製剤の形態等に応じて適宜選択できる。例えば、加工食品であれば、食品の加工時に製剤を存在させて(製剤とともに加工して)もよく、加工後に製剤を添加(配合)してもよく、これらの両方の態様で製剤を適用してもよい。
加工時においても、静菌効果(保存効果)の発揮が要求される場合等においては、特に、少なくとも加工時に製剤を存在させてもよい。
なお、酢酸ナトリウムと油脂を組み合わせる限り、他の酸成分は、これらとともに(すなわち、製剤に含有させて)、食品等に適用(添加、配合)してもよく、製剤とは別に適用してもよい。具体的には、例えば、酢酸ナトリウム、他の酸成分(例えば、酢酸、リンゴ酸など)及び油脂を含む製剤を適用してもよく、酢酸ナトリウム及び油脂を含む製剤と、他の酸成分(又は他の酸成分を含む製剤)とを、分離して(別個に)適用してもよい。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、以下では、特に断りの無い限り、「%」は「質量%」、「部」は「質量部」である。
(実施例1)
酢酸ナトリウムと澱粉(三和澱粉工業製 ソフトスターチSF−930)を水に添加し、90℃以上に加熱して、完全に溶解させた。常温に戻した溶液に米油(ボーソー油脂製)を徐々に加えながらホモミキサー(プライミクス製 超高速マルチ撹拌システム)により12,000rpmで5分間撹拌後、ホモジナイザー(APV製 APV−1000)により、100barで均質化し、各種処方の溶液(酢酸ナトリウム製剤)を得た(処方2〜5)。
なお、別途、米油を使用することなく、酢酸ナトリウムと澱粉を水に溶解させた溶液(酢酸ナトリウム製剤)を得た(処方1)。
得られた各種処方の溶液(分散液)を1時間放置し、油脂の分離状態を観察した。
また、各種処方の溶液(分散液)中の油滴の粒子径(メジアン径)を、レーザ回折式粒子径分布測定装置(スペクトリス製 マスターサイザー3000)を用いて、測定(湿式にて測定)した。
なお、測定は、各種処方の溶液(分散液)を水で希釈した液、具体的には、数百mLの水に、各種処方の溶液(分散液)を数滴添加した液にて行った。
なお、各処方(処方1〜5)において、酢酸ナトリウム、米油、澱粉及び水の質量比(質量割合)は、表1に示すものとした。
次に、下記に示す原材料を用いて、がんもどき煮を調製した。
具体的には、市販の冷凍がんもどきを10倍量の沸騰水に入れ3分加熱して油抜きをした後、流水冷却した。表に示したがんもどき以外の原材料を混合後、沸騰させ、油抜きしたがんもどきを投入し、再沸騰後12分加熱してがんもどき煮を調製した。
がんもどき煮の原材料
水 45.5部
かつおだし 0.8部
醤油 1.4部
砂糖 0.8部
本みりん 0.7部
がんもどき 50.0部
酢酸ナトリウム製剤(溶液) 2.9部
そして、得られたがんもどき煮の異味について、別途調製した酢酸ナトリウム製剤を添加していないがんもどき煮(上記原材料において酢酸ナトリウム製剤が0部のがんもどき煮)に近い順に5名のパネラーで順位付け(処方1〜5を近いものから順に並べて、1番(最も)近いものを1点、2番目に近いものを2点、3番目に近いものを3点、4番目に近いものを4点、5番目に近い(最も遠い)ものを5点)して評価した。
なお、「異味」とは、苦味、収斂味、渋味、酸味(強い酸味)、塩味(強い塩味)といった特異な味であり、特に、処方1〜5では、遠いものほど、苦味、収斂味、渋味、塩味(強い塩味)、特に苦味を感じる場合が多かった。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2021045078
表の結果から明らかなように、処方2〜5の製剤では、効率よくマスキングできた。また、油脂の量の選択、油脂の分離の抑制、油滴の大きさの選択により、より一層マスキング効果を高めることができることもわかった。
(実施例2)
実施例1と同様にして、各種処方の酢酸ナトリウム製剤を調製し、油脂の分離状態を確認した。
なお、各処方(処方6〜8)において、酢酸ナトリウム、米油、澱粉及び水の質量比(質量割合)は、表2に示すものとし、使用した米油、澱粉はいずれも実施例1で使用したものと同じである。
次に、下記に示す原材料を用いて、煮込み竹輪を調製した。
具体的には、下記に示す原材料を用いて、煮込み竹輪を調製した。市販の竹輪(すけそうだら100% 生竹輪卵不使用)の両端を切り落とし、斜めに二つに切った。表に示した竹輪以外の原材料を混合後、沸騰させ、斜めに切った竹輪を投入し、再沸騰してから蓋をして弱火で20分煮て、煮込み竹輪を調製した。
そして、得られた煮込み竹輪の異味を、6名のパネラーにて、実施例1と同様に評価した。
煮込み竹輪の原材料
水 428.5部
和風だし 55.5部
竹輪 100.0部
酢酸ナトリウム製剤(溶液) 22.0部
これらの結果を表2に示す。
Figure 2021045078
上記の結果から明らかなように、添加・配合する対象を変更しても、同様の傾向が見られた。
(実施例3)
実施例1の処方3の溶液(液状の酢酸ナトリウム製剤)を噴霧乾燥し、粉末状の酢酸ナトリウム製剤[組成:酢酸ナトリウム80部、米油6部、澱粉8部の製剤(処方9)]を得た。
なお、噴霧乾燥は、スプレードライヤー(東京理化器械製、SD−1000)を用いて処方3の溶液を送液量450ml/h、乾燥空気量0.57m/min、噴霧圧力120kPa、入り口温度156℃、出口温度88℃の条件で行った。
そして、実施例1において、酢酸ナトリウム製剤(溶液)に代えて表3に示す成分[粉末状の酢酸ナトリウム製剤(処方9)、粉末状の酢酸ナトリウム製剤及びリンゴ酸(処方10〜11)、酢酸ナトリウムのみ(処方12)]を、表3に示す割合(がんもどき煮に対する添加割合(%))で使用したこと以外は、同様にしてがんもどき煮を調製した。
Figure 2021045078
得られたがんもどき煮の苦味を3名のパネラーにて評価したところ、処方12は「苦味が強い」、処方9〜11はいずれも「苦味は少ない」と評価された。
すなわち、粉末状の酢酸ナトリウム製剤においても、苦味のマスキングにおいて同様の傾向が見られることがわかった。
次に、得られたがんもどき煮の表面に、芽胞菌としてバチルス・セレウス(Bacillus cereus)の懸濁液5μL(3cfu)およびブドウ球菌としてスタフィロコッカス・サプロフィティカス(Staphylococcus saprophyticus)の懸濁液5μL(101cfu)を滴下し、25℃で保存した。
そして、標準寒天培地(日水製薬)を用いて、それぞれ、芽胞菌数およびブドウ球菌数を測定した。また、検体の10%懸濁液のpHをガラス電極で測定した。
結果を表4に示す。なお、表4には、対比のため、別途調製した酢酸ナトリウム製剤(及びリンゴ酸)を添加していないがんもどき煮の結果(無添加)についても記載した。
Figure 2021045078
上記表の結果から明らかなように、処方9〜11では静菌(抗菌、保存)効果があることがわかった。特に、静菌効果は、処方12(酢酸ナトリウムのみ)と比べても遜色なく優れたものであり、酸(リンゴ酸)を共存させることで、より高いものとなった。
なお、上記の実験では、リンゴ酸を、酢酸ナトリウム製剤とは別に用いたが、リンゴ酸を酢酸ナトリウム製剤に含有させても、同様の結果が得られた。
(実施例4)
酢酸ナトリウム80.0部、澱粉(三和澱粉工業製 ソフトスターチSF−930)8.0部、デキストリン(松谷化学工業製、マックス1000)6.0部を、水233.3部に溶解後、表5に示す各種の油脂6.0部を添加しながら、ホモミキサー(プライミクス製 超高速マルチ撹拌システム)により12,000rpmで5分間撹拌後、ホモジナイザー(APV製 APV−1000)により、50barで均質化(ホモジナイズ化)し、溶液(分散液)を得た。
そして、得られた溶液(分散液)を、0.3%のフマル酸水溶液に、酢酸ナトリウム濃度が1%となるように添加し、各種油脂の溶液(酢酸ナトリウム製剤、pH4.8)を得た。
次に、別途、油脂を使用することなく溶液(油脂を含有しない酢酸ナトリウム製剤)を調製し、6名のパネラーにて、この油脂を含有しない溶液と各種油脂の溶液とで異味を比べたところ、表5に示すいずれの油脂を用いた溶液も、油脂を含有しない溶液に比べて、異味が抑えられていると評価された。
なお、異味には、苦味の他、酸味も感じられた。酸味を感じたのは、製剤が酸性であった(フマル酸と組み合わせた)ためと考えられる。
さらに、油脂の種類によって異味低減効果に差異があるかを確認するため、油脂としてパーム油を使用した場合を基準として、異味の抑制程度が同等であれば0点、優れていればプラス(1点又は2点)、劣っていればマイナス(−1点又は−2点)として、同じ6名のパネラーにて評価し、その合計点数を求めた。
結果を表5に示す。なお、表5には、油脂のα−リノレン酸量{日本油化学会編 油脂・脂質の基礎と応用((社)日本油化学会2005年) 28頁に記載の表に基づく。ガスクロマトグラフ(GC)法[カラム:2m×3mm ガラスカラム、1.5%OV−17、Gas Chrm−Z(80−100mesh);温度:注入口280℃、カラム250℃;検出器:FID;キャリアーガス:N、流速50mL/min]により求めた値}についても記載している。
Figure 2021045078
上記表の結果から明らかなように、油脂の種類によって異味抑制の程度にはやや差があることがわかった。そして、この差には、α−リノレン酸量も関与している、具体的にはα−リノレン酸量が多すぎないものが異味抑制効果に優れる傾向があるものと推測された。
(実施例5)
上記実施例3と同様にして、下記表に示す製剤を調製した。
Figure 2021045078
Figure 2021045078
Figure 2021045078
6名のパネラーにて、これらの製剤と油脂を含まない製剤とで異味を比べたところ、いずれの製剤も油脂を含まない製剤に比べて、苦味を含む異味が抑えられていると評価された。
本発明によれば、食品の添加剤等として有用な製剤を提供できる。

Claims (10)

  1. 酢酸ナトリウム及び油脂を含有する製剤。
  2. 油脂が、α−リノレン酸の割合が9%以下の油脂を油脂全体の30質量%以上含む、請求項1記載の製剤。
  3. 油脂の割合が、酢酸ナトリウム100質量部に対して30質量部以下である、請求項1又は2記載の製剤。
  4. さらに、賦形剤を含む請求項1〜3のいずれかに記載の製剤。
  5. さらに、他の酸成分を含む請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
  6. 水を含む溶媒中に油脂が分散した分散液であって、レーザ回折式粒子径分布測定装置を用いて測定される、油脂のメジアン径が5μm以下の分散液を経て得られる、請求項1〜5のいずれかに記載の製剤。
  7. 日持向上剤である、請求項1〜6のいずれかに記載の製剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製剤を含有する食品。
  9. 酢酸ナトリウム、油脂及び水を少なくとも含む混合液をホモジナイズ処理する工程を経て、請求項1〜7のいずれかに記載の製剤を製造する方法。
  10. 油脂を組み合わせることで、酢酸ナトリウム由来の異味を低減する方法。
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