JP6809976B2 - 固形乳化調味料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は固形乳化調味料組成物に関する。
調味料に対して、流通・保管時の品質の安定性や、調理時のハンドリング性等の利便性が市場から求められており、本来は常温で液状〜ペースト状である調味料を、ダイス状やフレーク状、ビーズ状といった小片状や、シート状等の形態に加工した固形調味料組成物として流通・保管を行い、喫食時、又は調理時に加熱溶解させて、液状〜ペースト状の調味料として用いる場合が多くなってきている。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、油脂、水、及び、ゼラチン、寒天、グルコマンナン等から選ばれた1種又は2種以上、並びに卵黄を含む水中油型エマルジョンを冷却してなる固形ソースであることを特徴とする調味材が開示されている。特許文献3にはゼラチンと調味用ソースよりなることを特徴とする冷凍食品調理済焼そば用固形ソースが開示されている。特許文献4には調味料を含むゲル状組成物と酵素を含むゲル状組成物を含有することを特徴とする調味料組成物が開示されている。特許文献5にはサイリウムシードガムと卵白蛋白を含有する固形状酸性水中油型乳化調味料が開示されている。
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の調味材は、加熱による溶解が均一に進行しない場合があり、これらを調味料として用いた際、不均一な外観となったり、バラつきのある風味になってしまう場合があった。
特許文献3及び特許文献4に記載の技術では、調味料に求められる経時的な安定性が十分に得られず、水分・油分の滲みが固形調味料組成物の表面に表れ、べとついて互いにくっついて剥がれにくくなってしまうため、該調味料使用時のハンドリング性が低下するものであった。
また、特許文献5の手法では、製造された固形状酸性水中油型乳化調味料をオーブン中200℃・10分加熱してもなお、十分にダイス状の形状を保持しているが、逆にその高度な保型性によって、適用される食品によっては、違和感のある食感を生み出す場合があった。
また、特許文献1〜5に示されるような従来の固形の調味料組成物は、スライサーやダイサー、ローラー等で小片状、シート状等にカット成形、プレス成形等する際、成形中に脆く崩れたり、べとついて刃やローラーに付着したり、加えられる外力によって水分・油分の分離を起こす場合があり、固形の調味料組成物に対してこれらの問題の発生が生じないような優れた成形適性が求められている。
更に、特許文献1〜5に示されるような従来の固形の調味料組成物を常温保存した際に、経時的に乳化安定性が低下し、水分・油分の分離を引き起こすことで、成形した固形の調味料の表面がべとついて互いにくっついて剥がれにくくなってしまうため、固形の調味料としてのハンドリング性が低下する場合があり、そのため十分な品質の安定性が求められてきた。
これらの成形適性や乳化安定性に加えて、調味料としての美味しさ・風味の強さも求められており、固形の調味料組成物に対して、更なる改良が求められてきた。
特開平11-103813号公報 特開平10-229857号公報 特開平08-107775号公報 特開2004-089059号公報 特開2016-096813号公報
したがって、本発明の課題は以下の2点が併せて解決された固形の調味料を得ることにある。
(1)常温で固体であるが、加熱によって均一に溶解し、液状〜ペースト状となる調味料。
(2)経時的な安定性が良好で、且つ優れた成形適性を有する、常温固体の調味料。
本発明者の検討の結果、下記条件(1)及び(2)を満たすことによって、上記課題が解決された固形の調味料が得られることを知見した。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
(1)固形乳化調味料組成物中、ゼラチン1〜7質量%、寒天を0.3〜3質量%含有する。
(2)固形乳化調味料組成物中に含有される油脂の25℃でのSFCが10〜30%であり、その含有量が20〜40質量%である。
本発明により流通・保管時の品質の安定性や成形適性に優れ、風味が良好な固形乳化調味料組成物を得ることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態に基づいて詳述する。本発明の固形乳化調味料組成物は好ましくは、常温では固体であって、調理時の加熱によって液状〜ペースト状になるものである。
尚、本発明において「固形乳化調味料組成物」とは、W/O型、O/W型、W/O/W型、O/W/O型、等の任意の乳化形態をとり、常温(25℃)で固体であり、下述する調味成分を含有する、調味料組成物のことを指す。
また、本発明における「成形適性」とは、本発明の固形乳化調味料組成物を、ダイス状やフレーク状、ビーズ状といった小片状や、シート状等の任意の形状に成形した際に、崩れたり割れたりしづらい物性のことを示す。以下、本発明の固形乳化調味料組成物を単に本発明品ともいう。
尚、本発明において「加熱」とは、電子レンジ等を使用したマイクロ波照射を含めて、本発明品、並びに本発明品を使用した飲食品に熱を加える行為全般を指し、本発明における「耐熱性」とは、常温(25℃)で固体であって、50℃に設定した恒温槽で8時間静置してもなお、その形状を維持する性質を示す。
本発明の固形乳化調味料組成物は、下記条件(1)及び(2)を満たすものである。
(1)固形乳化調味料組成物中、ゼラチン1〜7質量%、寒天を0.3〜3質量%含有する。
(2)固形乳化調味料組成物中に含有される油脂の25℃でのSFCが10〜30%であり、固形乳化調味料組成物中の油脂の含有量が20〜40質量%である
<条件1>
はじめに条件(1)について述べる。
本発明では、ゼラチンを1〜7質量%、寒天を0.3〜3質量%の範囲で含有させ併用することで、任意の形状に成形した際に、割れたり、千切れたりするような損壊が抑制された、好ましい成形適性とすることができる。
また、常温保存時には、水分・油分の分離は生じず、経時的な劣化が抑制されており、且つ、加熱調理を行う際に均一に溶解する物性を得ることができる。
まず、本発明に用いられるゼラチンについて述べる。
一般的にゼラチンは動物や魚類の骨や皮などに含有されるコラーゲンを加熱抽出した動物性蛋白質であり、本発明では酸処理ゼラチンであってもアルカリ処理ゼラチンであっても、好ましく使用することが出来る。また、その由来についても特に限定されず、牛由来ゼラチン、豚由来ゼラチン、魚由来ゼラチンのいずれも好ましく使用することが可能である。また、その形状も特に限定されず、粉末やフレーク状のものなど、任意の形状のゼラチンを使用することが出来る。
本発明の固形乳化調味料組成物中、ゼラチンの含有量が1質量%未満である場合、固形乳化調味料組成物の物性が軟らかくなり成形適性が低下する他、ゼラチンは固形乳化調味料組成物の乳化にも寄与している為、水分や油分の分離が生じてしまう。また、ゼラチンの含有量が7質量%超である場合、常温下でゼラチンゲル由来のべとつきが出てしまい、任意の形状に成形した場合に相互に結着してしまい、ハンドリング性が低下してしまう。
本発明の固形乳化調味料組成物中にゼラチンを、好ましくは1.3〜4.7質量%、より好ましくは1.5〜4.5質量%含有させることで、より固形乳化調味料組成物の成形適性を高め、任意の形状に成形する際に損壊しづらくなる上、水分や油分の分離が生じにくくなるため好ましい。
次に、本発明に用いられる寒天について述べる。
本発明で用いられる寒天としては原料海藻を熱水で抽出し、抽出液を濃縮し、その後冷却して凝固させ、更に圧搾、凍結、乾燥させた常用のものが使用でき、原料とする海藻に制限はない。
また、本発明に用いられる寒天については、角寒天や細寒天、粉末状の寒天やフレーク状の寒天など、どのような形態をとってもよい。
尚、即溶性寒天や低粘度寒天、高融点寒天等についても制限なく使用することができるが、好ましい成形適性を有する固形乳化調味料組成物が得られ易く、製造する際にもダマ等出来づらいことから、即溶性寒天を用いることが好ましい。
本発明の固形乳化調味料組成物中、寒天の含有量が0.3質量%未満であると、常温での安定性が乏しくなり水分・油分の分離が生じる。また、3質量%超であると、得られる固形乳化調味料組成物の硬さは増すものの、脆い物性となるため、成形適性が乏しくなる。これらの点から、固形乳化調味料組成物中の寒天含有量は、好ましくは0.35〜3質量%、より好ましくは0.38〜1.2質量%であることが好ましい。ここで、ゼラチンのみ、あるいは寒天のみで固形乳化調味料組成物を調製しようとした場合、常温での安定性と、耐熱性が乏しくなるため、本発明では上記ゼラチンと寒天を上記範囲で含有し併用することが必要である。
上記の通り、本発明の特徴の一は、上記のゼラチンと寒天を併用する点にある。通常、乳化形態をとる調味料組成物では、含有させた乳化剤の作用によって乳化の安定を図る場合が多いが、本発明ではゼラチンと寒天を併用することにより、常温で安定な乳化を行うことが出来るため、本発明品は乳化剤を非含有であることが好ましい。尚、本発明において「乳化剤を非含有である」とは、乳化剤の含有量が固形乳化調味料組成物中1質量%以下であることを意味する。
尚、ここでいう乳化剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、シュガーエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレン酸エステル、卵黄、卵等の卵加工品等が挙げられる。
本発明においては、常温での安定性の向上と、加熱調理時に均一に溶解する固形乳化調味料組成物を得る目的から、ゼラチンと寒天の質量比が前者:後者で1〜12:1の範囲にあることが好ましく、4〜12:1の範囲にあることがより好ましい。
<条件2>
次に、条件(2)について述べる。
本発明の固形乳化調味料組成物では、25℃でのSFCが10〜30%である油脂を、固形乳化調味料組成物中20〜40質量%含有することで、常温での安定性と、加熱時に均一に溶解する物性を得る。
ここで、まず、本発明品に含有される油脂のSFCについて述べる。本発明の固形乳化調味料組成物では25℃でのSFCが10〜30%の油脂を用いる。
25℃でのSFCが10%未満である場合、固形乳化調味料組成物から経時的な油脂分の滲みが生じる。また、25℃でのSFCが30%超である場合、本発明品を用いた飲食品に過度な油性感を付与してしまう。
尚、好ましくは25℃でのSFCが10〜25%の油脂を用い、より好ましくは12〜20%の油脂を用いることによって、保管・流通時の乳化安定性を十分に有していながらも、加熱時に均一に溶解しやすくなるため、好ましい。
25℃でのSFCが10〜30%である油脂として用いられる油脂としては特に限定されず、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられ、また25℃でのSFCが10〜30%となるようにこれらの油脂のうちから2種以上選択して混合した混合油脂を用いてもよい。
特に、調味料としての嗜好性を向上させ、飲食品のコク味を特に増強する固形乳化調味料組成物を得る観点からは牛脂や豚脂等の動物脂、胡麻油やオリーブ油等の調味油、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂を用いることが好ましい。特に、固形乳化調味料組成物中に含有される調味成分本来の風味を好ましく発現させたい場合はパーム油や菜種油等の植物油脂、並びにこれらを水素添加、分別、及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂を用いることが好ましい。
尚、使用する油脂の融点が35〜50℃であることが、耐熱性がより高まると共に、常温下での乳化安定性が高まり、離水等が抑制されるため好ましい。
次に、本発明の固形乳化調味料組成物中の油脂含量について述べる。本発明の固形乳化調味料組成物中、油脂を20〜40質量%含有する。
油脂の含有量が20質量%未満の場合、固形乳化調味料組成物中の固形分が不足し耐熱性が乏しくなることから、水分・油分の分離が起こる。
また、油脂含量が40質量%超の場合は、固形乳化調味料組成物の耐熱性に対する油脂の物性の影響が大きくなり、耐熱性が乏しくなってしまう他、乳化安定性が低下する。
尚、上記の油脂のSFC及び含有量については、下述するその他成分中の油脂分も含めるものとする。本発明の固形乳化調味料組成物中の油脂含量は、例えば次のように測定する。固形乳化調味料組成物を試料として、ジエチルエーテル等の有機溶媒を用いて抽出される物質の、試料に対する百分率が油脂含量として測定される。
また含有される油脂のSFCの値は常法により測定することが可能であり、例えば、AOCS official methodのcd16b-93に記載のパルスNMR(ダイレクト法)にて、測定対象となる試料のSFCを測定した後、測定値を油相量に換算した値を使用、即ち、水相を含まない試料を測定した場合は、測定値がそのままSFCとなり、水相を含む試料を測定した場合は、測定値を油相量に換算した値をSFCとする手法や、ジエチルエーテル等の有機溶媒を用いて油脂分を抽出し、抽出された油脂分を試料としてSFCを測定する手法等が挙げられる。
ここで、本発明品中の水分については、固形乳化調味料組成物中10〜30質量%であることが、常温での保存性や、経時的な安定性を高める観点から好ましい。より好ましくは10〜20質量%、特に好ましくは10〜15質量%である。本発明の固形乳化調味料組成物中の水分含量は、例えば赤外線水分計(例えば、株式会社ケツト科学研究所、赤外線水分計FD−720)により測定することができる。
尚、製造時に加えられる水の他、下述する水以外の副原料由来の水分も含め考慮するものとする。
尚、固形乳化調味料組成物を得るために製造時に使用する水については、特に限定されず水道水、軟水系・硬水系のミネラルウォーター、イオン交換水、蒸留水など何でもよく、またこれらを混合して使用してもよい。
<調味成分>
ここで、上記(1)及び(2)を満たす本発明の固形乳化調味料組成物は、任意の調味成分を含有する。
本発明において「調味成分」とは、特に限定されるものではないが、塩化カリウム等の塩味材、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、燐酸、フィチン酸などの有機酸及び無機酸、醗酵乳等の酸味料や、醤油、味噌、砂糖、黒砂糖、塩、酢、醤油、魚醤、味噌、豆板醤、XO醤、芝麻醤、豆鼓醤、甜面醤、コチュジャン、みりん、ウスターソース、ケチャップ、オイスターソース、サルサ、サンバルソース、チリソース、チャツネ、マスタード、マヨネーズ、ドレッシング、ラー油、ハーブ、カレー粉、だし汁、酒、化学調味成分、チーズ類、ブイヨン、中華スープ、洋酒、各種香辛料、各種香味油、お吸い物の素、カレールウ、ホワイトソース、お茶漬けの素、スープの素、インスタントコーヒー、等の即席調理食品、味噌汁、お吸い物、コンソメスープ、ポタージュスープ等のスープ類等調合して調製されるものを指し、これらを希釈、濃縮、粉末化したものも勿論好ましく用いることが出来、これらのうち1つまたは2つ以上を組合せて用いることができる。
とりわけ、粉末状とした上記調味成分を本発明品中に含有させることが、水分・油分の滲みや分離等、経時的な劣化を抑制する観点から好ましい。
粉末状の調味成分としては、塩、砂糖、胡椒、スパイス類等、既に調味時に粉末の形態で使用されている調味成分のみならず、自然乾燥や熱風乾燥、流動層乾燥法、噴霧乾燥、ドラム乾燥、低温乾燥、凍結乾燥、加圧乾燥等の手法によって、乾燥・粉末加工が施された各種調味成分、粉砕等により粉末化された各種調味成分も好ましく使用することが出来る。
尚、上記調味成分は本発明の固形乳化調味料組成物中、固形分で0.01〜20質量%含有されることが好ましく、0.05〜15質量%含有されることがより好ましい。
粉末化された調味成分について、粉末化する際に賦形剤を用いた場合には、賦形剤も考慮して含有されるものとする。
<条件3>
次に条件(3)について述べる。
本発明では上記条件(1)及び(2)に加えて、次の条件(3)を満たすことで、経時的な安定性がより優れた固形乳化調味料組成物が得られるため、好ましい。
(3)水分活性が0.8以下である。
本発明の固形乳化調味料組成物では、常温での保存性や経時的な安定性を高める観点から水分活性が0.8以下であることが好ましい。
水分活性が0.8超の場合であっても常温で固体の状態を有する固形乳化調味料組成物を製造することは出来るが、本発明の固形乳化調味料組成物の常温下での流通・保管時の保存性をより高めるために、水分活性を0.8以下とすることが好ましい。
固形乳化調味料組成物の水分活性の値は、好ましくは0.75以下であり、より好ましくは0.70以下である。水分活性は低い方が好ましいが、例えば、水分活性の値が、0.5以上であれば、呈味性と常温での保存性のバランスを十分とることができるため好ましい。水分活性の値は例えば「AWSPRINT/movasina社製」を用いて測定することができる。
水分活性を上記範囲とする際、任意の手法を選択できるが、好ましくは食品素材を含有させ固形乳化調味料組成物中の固形分含量を増加させると共に、得られる固形乳化調味料組成物中の結合水を減じる手法をとる。
水分活性を上記範囲とする際に、本発明において好ましく用いることのできる食品素材としては、糖類が挙げられる。固形乳化調味料組成物中の自由水が減じることができる他、乳化が安定し経時的な劣化を防ぐことが出来るため、糖類を含有させることが好ましい。
本発明に好ましく用いられる糖類としては白糖、グラニュー糖、粉糖、蔗糖、液糖、はちみつ、ブドウ糖、果糖、黒糖、麦芽糖、乳糖、シクロデキストリン、高甘味度甘味料、グリセロール、エリスリトール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ガラクチトール、ソルビトール、イジトール、マンニトール等の炭素数が3〜6個の単糖アルコールや、還元パラチノース、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール等、オリゴ糖を還元して得られるオリゴ糖アルコール、還元水飴等が挙げられ、これらの内から1種、または2種以上をあわせて用いることが出来る。
<条件4>
本発明では、糖類のうちでも特に糖アルコール類を選択し、さらに下記条件(4)を満たすように含有することで、本発明品の水分活性を低下させ常温での保存性や経時的な安定性を高めるだけではなく、より優れた成形適性を有し、嗜好性にも優れた固形乳化調味料組成物を得ることが出来るため好ましい。
(4)糖アルコール類を固形乳化調味料組成物中、15〜60質量%含有する。
尚、上記糖類のうち、本発明に好ましく用いられる糖アルコール類としては、グリセロール、エリスリトール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ガラクチトール、ソルビトール、イジトール、マンニトール等の炭素数が3〜6個の単糖アルコールや、還元パラチノース、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール等、オリゴ糖を還元して得られるオリゴ糖アルコール、還元水飴等が挙げられ、これらの内から1種、または2種以上をあわせて用いることが出来る。
上記の糖アルコール類のうち、本発明の固形乳化調味料組成物の嗜好性を損ねずに、水分・油分の滲みや分離等の経時的な劣化を抑制し、より優れた成形適性を得る為に、少なくともグリセロールを含有することが好ましく、少なくともグリセロールとソルビトールを含有することがより好ましい。
本発明品は、糖アルコール類を15〜60質量%含有することが好ましく、25〜55質量%含有することがより好ましい。固形乳化調味料組成物中の糖アルコールの量はHPLC、LC−MSを用いて測定することが可能である。
本発明品中の糖アルコール類の含有量が上記範囲とすることで、任意の形状に成形する際に、加えられる圧力等によっても解乳化が起きにくく安定性が乏しくなりにくくなる。また、水分活性が低下し常温での保存性が低下しにくくなる。
<その他の成分>
本発明の固形乳化調味料組成物には、所望により、蛋白質、澱粉類、β−カロチン・カラメル・紅麹色素等の着色料、トコフェロール・茶抽出物等の酸化防止剤、果汁、果肉、着香料、pH調整剤、食品保存料等のその他の成分を本発明の効果を損ねない範囲で適量配合できる。
上記蛋白質としては、α−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、血清アルブミン等のホエイ蛋白質、カゼイン、その他の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦蛋白質、その他上記ゼラチンを除く動物性蛋白質、及び植物性蛋白質等を含有することができる。
また、澱粉類としては、まず穀粉類、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉などの小麦粉類、ライ麦粉、大麦粉、米粉などのその他の穀粉類が挙げられる。また、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉、カシューナッツ粉、オーナッツ粉、松実粉などの堅果粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉 、サゴ澱粉 、米澱粉などの澱粉や、これらの澱粉をアミラーゼなどの酵素で処理したものや、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、グラフト化処理などの中から選ばれた1種又は2種以上の処理を施した化工澱粉等が挙げられる。
尚、本発明の固形乳化調味料組成物中に、澱粉類を含有させる場合は、増粘により製造効率が低下しないように、製造時にα化することに伴う膨潤を起こさないことが好ましい。
上記のその他成分が粉体物である場合、固形乳化調味料組成物を調製する際に油相に含有させることが、固形乳化調味料組成物中に均一に分散させる観点から好ましい。
上記のその他成分の固形乳化調味料組成物中の含有量は、本発明品の効果を損ねない範囲で任意に含有させることができるが、固形乳化調味料組成物中、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは5〜25質量%である。
本発明の固形乳化調味料組成物の乳化型は油中水型であっても水中油型であってもよいが、油中水型であると水相に局在しやすい調味成分の呈味を感じにくくなるため、水中油型乳化物であることが好ましい。尚、水中油中水型は水中油型に、油中水中油型は油中水型に含まれるものとする。
また、熱伝導性の高い水が連続相である水中油型乳化物とすることで、本発明の固形乳化調味料組成物を加熱した際に更に均一に溶解しやすくなるため好ましい。
本発明の固形乳化調味料組成物は、後述するように、油相にゼラチン及び寒天を含有するものであることが好ましい。油相中のゼラチンの量は、固形乳化調味料組成物基準で1〜7質量%であることが好ましく、油相中の寒天の量は、固形乳化調味料組成物基準で0.3〜3質量%であることが好ましい。
<固形乳化調味料組成物の製造方法>
本発明の固形乳化調味料組成物の製造方法について述べる。
先ず、水や糖類、好ましくは糖アルコール等を主成分とする水相を調製し、一方、25℃でのSFCが10〜30%である油脂を主成分とする油相を作成し、該水相と該油相を乳化混合して予備乳化組成物を作成する。その際、水相と油相との比率は、得られる固形乳化調味料組成物中の油脂含量が20〜40質量%となるように配合する。尚、ゼラチン及び寒天は、水相に加えた場合、水相が固いゲルとなる、若しくはダマを形成し、油相と均一に混合できない場合があり、乳化物とすることが難しいため、油相に添加するのが好ましい。また調味成分については、水溶性である場合は水相に、油溶性の場合は油相に添加することが基本であるが、粉末状の場合は上記と同様の理由により油相に添加することが好ましい。
具体的には、油相を調製する際には、上記条件を満たす油脂をあらかじめ加温溶解しておき、ここにゼラチン及び寒天、必要に応じて澱粉類や蛋白質類、粉末の調味料等の粉体物、その他油溶性の副原料を加えて、100〜3000rpmで撹拌し、混合・分散を行うことで固形乳化調味料組成物の油相が得られる。
また水相を調製する際には、水、糖アルコール、水溶性の調味成分や副原料等を混合することで固形乳化調味料組成物の水相が得られる。
水温については問われないが、60℃以上となるように加温しておくことが、予備乳化液の温度を低下させず、また温度低下によって予備乳化液の粘度が高まらない点から好ましい。
上記のとおり、糖アルコールを本発明の固形乳化調味料組成物中に含有させる場合は、あらかじめ70℃以上に加温することが好ましい。70℃以上に加温しなかった場合、後述する油相と水相の混合時に、糖アルコール自体の粘度が高いために、十分に系中に分散させることができず、乳化されない場合がある。
次に乳化物の調製について述べる。水中油型乳化型の固形乳化調味料組成物を調製する場合、上記方法で調製された油相と、上記方法で調製された水相とを混合することにより水中油型乳化物が得られる。
水中油型乳化物とするための乳化操作は、水相及び油相とも好ましくは45〜90℃、より好ましくは55〜80℃に調温して行い、水相と油相とを混合して撹拌し得られる予備乳化液の温度が常に60℃以上となるように調温しながら行うことが好ましい。
また、油中水型乳化型の固形乳化調味料組成物を調製する場合、その製造方法が特に制限されるものではなく、好ましくは上記の条件を満たすように油相と水相をそれぞれ調製し、溶解された油相に、水相を混合乳化した後、冷却することにより得ることができる。尚、水中油型乳化型の固形乳化調味料組成物を得る際と同様に、水相及び油相とも好ましくは45〜90℃の範囲となるように調温しながら製造することが好ましい。
尚、本発明では上述の調味成分そのものを水相、及び/又は油相として直接固形乳化調味料組成物中に含有させることも可能である。
尚、本発明の固形乳化調味料組成物の乳化形態を水中油型とする際、水相を撹拌しながら油相を投入する場合と、水相に油相を投入した後に撹拌をする場合がある。どちらの場合であっても好ましい本発明品を得ることが出来るが、特に高温での保型性を求める場合は水相を撹拌しながら油相を投入する手法をとることが好ましく、加熱した際の均一な溶解性を殊更求める場合は、水相と油相を混合した後、静置し油水分離させた後に撹拌を開始することが好ましい。
該乳化物の調製には、ホモジナイザー、コロイドミル、カッターミキサー等を用い、100〜3000rpmで混合・撹拌を行い、均質化することが好ましい。続いて該水中油型乳化物を冷却し、好ましくは常温(25℃)以下、さらに好ましくは10℃以下、最も好ましくは−18℃以下まで冷却し、冷蔵(10℃) 以下、好ましくは−18℃以下まで冷却し、固化させることにより、本発明の固形乳化調味料組成物を得る。
尚、冷却固化時には必要に応じて成形してもよく、該成形には成形型に上記水中油型乳化物を入れることによって行う。該成形型は使用用途に応じてどのような形態・大きさであってもよい。また、冷却固化後に適当な大きさにスライス、カットしたり、押出し加工やすりおろしなどによりミンチ状や粒状、ビーズ状等の小片状、あるいは粉末状に加工してもよい。
尚、スライスする場合の厚みは好ましくは2〜30mm、より好ましくは4〜16mmである。
また、カットする場合のサイズは直方体や立方体の場合は一辺の長さが好ましくは2〜30mm、より好ましくは4〜16mmである。
尚本発明の固形乳化調味料組成物が具材を含む場合には、水中油型乳化物の製造時に具材を配合する方法でもよく、また、冷却固化時に水中油型乳化物と具材を混合して冷却固化する方法、あるいは固形乳化調味料組成物と具材を練り合わせる方法でもよい。
<固形乳化調味料組成物を用いた飲食品>
本発明の固形乳化調味料組成物を添加し、あるいは含有させ、用いることの出来る飲食品は特に限定されないが、とりわけ、加熱することにより溶解し好ましい風味を飲食品に付与する、という本発明品の特徴を活かすため、製造工程中に加熱工程をとるものが好ましく、例えば、焼肉、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等の畜肉加工品、豚カツ、コロッケ等の油調食品、かまぼこ、干物、塩辛、佃煮、珍味等の水産加工品、野菜加工品、ポテトチップス、煎餅等のスナック類、食パン、菓子パン、調理パン、クッキー等のベーカリー食品類、煮物、揚げ物、焼き物、カレー、シチュー、グラタン、ごはん、おかゆ、おにぎり等の調理食品、パスタ、うどん、ラーメン等の麺類食品、餡等の製菓製パン用素材、パン用ミックス粉、ケーキ用ミックス粉、フライ食品用ミックス粉等のミックス粉、チョコレート、キャンディ、ゼリー等の菓子類、饅頭、カステラ等の和菓子類、コーヒー、コーヒー牛乳、紅茶、ミルクティー等の飲料、牛乳、ヨーグルト、チーズ等の乳や乳製品等を挙げることができる。
尚、飲食品に本発明の固形乳化調味料組成物を用いる際には、どのような手法を用いてもよい。
例えば本発明品を用いたベーカリー生地や麺生地、畜肉生地を得る場合、調製中の生地に本発明品を練り込んでもよく、また目視で確認できる程度に本発明品の小片を残した状態としてもよく、シート状に成形した本発明品を生地に挟み込んでもよく、成形したドウの表面に各種形状に成形した本発明品を積載してもよく、任意の手法や形状で生地中に含有、あるいは生地上に本発明品を積載した後、加熱することにより各種食品を好ましく得られる。
また、本発明品を用いた油調食品であれば、中種生地中に上記手法を用いて含有させた後衣材を付着させてもよく、中種生地表面に積載した後に衣材を付着させてもよい。また、本発明の固形乳化調味料組成物を衣材中に含有させてもよい。勿論、炒め物や煮物等についても好ましく用いることができる。
飲食品に対する本発明品の好ましい添加量は、飲食品の原料100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、5〜25質量部であることがより好ましい。
以下、本発明を実施例を基に詳述する。本発明は下記の実施例に限定されない。
<製造例:混合油脂>
パーム油80質量部と、パーム油とパーム極度硬化油を前者:後者で65:35の質量比で混合しランダムエステル交換を行った油脂20質量部とを、各々あらかじめ加温溶解しておき、均一になるよう混合して、本発明に用いる混合油脂(25℃におけるSFCが23.6%、融点40℃)を得た。
<固形乳化調味料組成物の製造>
表1の配合にしたがい、下記の手順で実施例1〜5、及び比較例1〜5の固形乳化調味料組成物を製造した。なお、表1に記載の組成に係る数値の単位は質量部である。
≪実施例1〜5≫
まず、ソルビトール、グリセロール、及び、水を加温しながら、十分に撹拌・混合し、80℃超に調温した水溶液を水相とした。
また、あらかじめ溶解しておいた牛脂(25℃におけるSFCが15.9%、融点40℃)、もしくは製造例で得た混合油脂を撹拌しながら、ゼラチン、寒天、コーンスターチ(いずれも粉末状)、チーズパウダー、シーズニング(粉末胡椒)、フレーバーをそれぞれ加えて、均一になるようによく撹拌し、これを油相とした。
次に、上記油相と水相を用いて、下記手順で、水中油型に乳化された固形乳化調味料組成物を得た。
カッターミキサーのヴェッセルに調製された水相と油相を投入した後、油相と水相が完全に分離したことが確認されるまで静置し、分離が確認された後、1000rpmで撹拌を開始した。全体が均一に混合されたことを確認した後、更に撹拌速度を上げ、最終速度が2000rpmに到達してから1分程度撹拌を行い、乳化させ、これをパットに移し、−18℃で冷やし固め、実施例1〜5の固形乳化調味料組成物を得た。尚、製造に用いるカッターミキサーは、全体の温度が常時60℃以上となるように加温を継続して行った。
冷やし固めた固形乳化調味料組成物を、ダイサー(アーシャル製)を用いて5mm角の立方体状にカットし、以下の評価例に用いた。
≪比較例1〜5≫
上記実施例の製造方法と同様の製造方法で、比較例1〜5の固形乳化調味料組成物を得た。尚、比較例2については、油相に液状油である菜種油(25℃におけるSFCが0.2%)を用いて調製した。
また、比較例1〜5の固形乳化調味料組成物についても、実施例1〜5の固形乳化調味料組成物と同様に、−18℃で冷やし固めて、5mm角の立方体状にカットし、以降の評価に用いた。
尚、これらは室温で解凍した後、下記の評価を行った。結果を表1に示す。なお、表1には、固形乳化調味料組成物の水分含量、寒天1質量部に対するゼラチン含量を併せて示す。なお、各実施例及び比較例の固形乳化調味料組成物には、牛脂、混合油脂及び菜種油以外の原料由来の油脂の量は固形乳化調味料組成物中、僅少量であるため、各実施例及び比較例の固形乳化調味料組成物に含まれる油脂のSFCは、用いた牛脂、混合油脂又は菜種油のSFCの値とほとんど同じ値であった。更に、表1には、上記の方法にて測定した水分活性についても併せて示す。
<評価>
得られた実施例1〜5、比較例1〜5の固形乳化調味料組成物について、下記評価基準に従って評価を行った。
尚、耐熱性評価は、試料を蓋付きの容器にとり、50℃に調温した恒温槽の中で8時間静置した後の様子を目視で確認した。また、加熱時の溶解性評価については、電子レンジを用いて500w設定で20秒加熱した後の状態を目視で確認した。成形適性評価については、ダイサーを用いた成形の際の、切り屑やダイサーの歯に付着する残存物の量を目視で確認した。安定性の評価については、常温下で経時試験(1ヵ月)を行い、その後の油水分離の程度を目視で確認した。
■耐熱性評価
◎:試験前の形状と同じ
○:一部溶解しているが、大半が元の形状を保っている
△:ほぼ溶解しているが、一部固形状態を保っている
×:完全に溶解しており、液状となっている
■加熱時の溶解性評価
◎:完全に溶解し、皿全体に広がる
○:溶解するが、広がらない
△:大半が溶解しているが一部固形状態を保っている
×:全体が固形状態を保っている
■成形適性評価
○:切り屑が略発生しない
△:少量の切り屑が発生し、ダイサーに少量の付着が見られる
×:多量の切り屑が発生し、ダイサーに付着が見られる
■安定性評価
◎:油水分離が見られない
○:油水分離が僅かにみられるが、相互に結着することはない
△:油水分離が明らかにみられ、表面に滴が見られ、相互に結着している
×:激しく分離し、保管容器の底に分離した液が溜まっている

Figure 0006809976
油脂含量が多い比較例3では、安定性が悪く、経時的に品質が劣化してしまうことがわかる。また、寒天を使用しない比較例4については耐熱性が不良であり、常温下でベタつき、保管での品質劣化が起きていた。比較例1については乳化させること自体は出来たが、常温で固形となる物性を有していなかった。比較例5については、乳化を行うことが出来ず、固形乳化調味料組成物を製造することが出来なかった。これら比較例4、及び比較例5の品と、ゼラチン・寒天の含量以外、略同一の実施例2の品を比較すると、実施例2では各評価において、固形乳化調味料組成物としての使用に耐える物性を有していることから、本発明の効果はゼラチンのみ、或いは寒天のみで得られるものではなく、これらを併用することによって得られるものであることがわかる。
また、25℃におけるSFCの値が0.2%である菜種油を使用した比較例2においては、特に50℃での保型性や成形適性が実施例2と比較して著しく悪く、粘性が高いため成形する際にダイサーへの付着が多く、成形適性が悪く、製造効率の観点からも不良である。
実施例1、実施例4では耐熱性について試験した際に、5mm角の立方体状に成形した端の一部が溶解していたが、固形乳化調味料組成物として問題なく使用することが出来た。また、実施例4については、寒天の含有量が他よりも多く、成形は問題なく行うことが出来るが、他の固形乳化調味料組成物よりも割れやすい物性を有していた。これは寒天の物性の影響が他の固形乳化調味料組成物よりも強く発現し、寒天特有の物性である脆い物性がみられた為であると推察された。
この評価の結果をふまえて、比較例5以外の、実施例1〜5及び比較例2〜4の固形乳化調味料組成物を用いた、飲食品を下記の通り調製した。
<畜肉加工品(ハンバーグ)の製造>
牛挽肉39.68質量部、みじん切りローストオニオン22.68質量部、全卵(正味)3.40質量部、牛乳3.40質量部、パン粉6.80質量部、食塩0.57質量部、水6.80質量部、固形乳化調味料組成物(実施例1〜5、比較例1〜4)を16.67質量部をミキサーボウルに投入し、卓上ミキサーを使用して低速1分混合し、固形乳化調味料組成物が視認できる状態で残存する畜肉加工品生地を得た。この畜肉加工品生地を160gずつに分割して楕円形にまるめた。
これを固定オーブン(設定温度:190℃)で10分間焼成し、実施例1〜5の固形乳化調味料組成物を使用したハンバーグA〜E、及び、比較例2〜4の固形乳化調味料組成物を使用したハンバーグF〜Hを得た。
一方、固形乳化調味料組成物を無添加とした以外は同様の配合・製法で比較例(コントロール品)のハンバーグIを得た。
実施例1の固形乳化調味料組成物を用いたハンバーグAでは、コントロール品としたハンバーグIと比較して、固形乳化調味料組成物の風味が感じられ、またコク味が好ましく付与されていた。
実施例2の固形乳化調味料組成物を用いたハンバーグBでは、同じ原料油脂を使用する実施例1の固形乳化調味料組成物を用いたハンバーグAと比較して、固形乳化調味料組成物の風味がより好ましく感じられる上、コク味が一層増しており、ジューシー感に富んでいた。
実施例3の固形乳化調味料組成物を用いたハンバーグCでは、原料油脂として牛脂を使用する実施例2の固形乳化調味料組成物を用いたハンバーグBと比較すると、コク味の感じられ方は小さかったが、固形乳化調味料組成物中に含有される調味料の風味が活きた、好ましいハンバーグであった。
実施例4の固形乳化調味料組成物を用いたハンバーグDでは、油分含量と油脂種が同一の実施例2の固形乳化調味料組成物を用いたハンバーグと比較すると、同様、且つ同程度の風味やコク味が感じられる他、寒天1質量部に対するゼラチンの量が少なく、ハンバーグの生地物性に対して、固形乳化調味料組成物中の寒天の物性の影響の為か、歯触りのよい食感となっていた。
実施例5の固形乳化調味料組成物を用いたハンバーグEでは、油脂含量以外、略同一の実施例1及び実施例2の固形乳化調味料組成物と比較して、含有される調味料の風味よりもコク味が強く感じられた。
比較例2、比較例4の固形乳化調味料組成物を用いたハンバーグF、ハンバーグHでは、ややパサついた食感であり、固形乳化調味料組成物の風味も乏しかった。これは、耐熱性が実施例1〜5の固形乳化調味料組成物と比較して乏しいために、焼成開始後すぐに溶解し、ハンバーグ生地の焼成中に肉汁と共に流出したためであると推察される。
比較例3の固形乳化調味料組成物を用いたハンバーグGでは、加熱しても十分に溶解しなかった為、ハンバーグ中で違和感のある食感となっており、固形乳化調味料組成物の風味が弱い上、ハンバーグに味付けが十分になされておらず、風味にバラつきが生じていた。

Claims (7)

  1. 次の条件(1)及び(2)を満たす、固形乳化調味料組成物。
    (1)固形乳化調味料組成物中、ゼラチン1〜7質量%、及び、寒天を0.3〜3質量%含有する。
    (2)固形乳化調味料組成物中に含有される油脂の25℃でのSFCが10〜30%であり、固形乳化調味料組成物中の油脂の含有量が20〜40質量%である。
  2. さらに下記条件(3)を満たす、請求項1記載の固形乳化調味料組成物。
    (3)水分活性が0.8以下である。
  3. さらに下記条件(4)を満たす、請求項2記載の固形乳化調味料組成物。
    (4)糖アルコールを固形乳化調味料組成物中、15〜60質量%含有する。
  4. 水中油型乳化物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固形乳化調味料組成物。
  5. 乳化剤を非含有である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固形乳化調味料組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の固形乳化調味料組成物の製造方法であって、ゼラチン及び寒天を含有させた油相と、水相とを乳化させる、固形乳化調味料組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の固形乳化調味料組成物を含有する飲食品。
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